JP4558242B2 - フロート形防水装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の出入口、地下への出入口、地下駐車場への出入口等の建築物の開口部、または路面、堤防等に設置され、洪水時の浸水を防止するフロート形の防水装置に関する。さらに特定すれば、本発明は浸水時にフロート部の浮力により防水体が自力で略鉛直の起立状態まで一気に起立することができるフロート形の防水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、豪雨、洪水等の際の浸水を阻止する防水対策としては、土嚢の積み上げが一般的であったが、人手を必要とし、また時間が掛かるという問題があった。このため集中豪雨等の際の局地的な浸水等の場合には土嚢の積み上げが間に合わない場合が多い。
【0003】
特に都市部では、舗装が施されている部分が多いため、豪雨の際には雨水が一気に流れて下水路が溢流し、濁流が店舗やビル内に浸入して多大の経済的損失が生じる。また、この雨水が地下室や地下駐車場に流れ込んだ場合には地下機械室の電気・空調設備に多大な損害を与えるとともに、地下室が水没すれば人命にも関わる。
【0004】
このため、従来の土嚢の積み上げに代わって、自動的に浸水を阻止する防水装置が開発されている。これらの防水装置は、通常は床面または路面に埋設されており、浸水時に防水体が床面から突出して浸水を阻止するものである。
【0005】
これらの防水装置は、防水体を突出させる駆動源として、油圧、空圧、電気モータ、フロートの浮力等の各種のものがある。しかし、油圧、空圧、電気モータ等の駆動源を使用するものは、構造が複雑となり、また浸水の検出手段や油圧、電力等の動力の供給装置を必要とし、付属する設備が大掛かりとなり、コストが高い。また、洪水時には、停電等の可能性があり、信頼性の点からも好ましくない。これに対してフロートの浮力を利用する装置は、構造が簡単であり、浸水の検出手段や動力源等を必要とせず、コストが低く、また信頼性も高い。
【0006】
このようなフロート形の防水装置は、一般的に床面にピットを形成し、通常時はこのピットの上面開口を覆う踏み板を兼用する防水体を昇降自在または回動自在に設け、このピット内にフロートを収容した構造をなしている。そして浸水時には、このピットが満水状態となり、上記のフロートの浮力により防水体を上昇または回動起立させる。
【0007】
ところで、このような防水体は、通常時は踏み板として歩行者や車両の荷重を支持しなければならず、また浸水時に堰き止めた水の水圧に対抗するために、相当の強度を必要とし、その重量が大きくなる。このため、これら防水体を上昇または起立させるには、大きなフロートを必要とし、これを収容するピットが大形化し、設置の施工コストが高くなる。
【0008】
また、フロートは当然ながら浮揚するに従って浮力が減少してゆくので、防水体を必要な位置まで上昇または起立させるには、さらに大きな浮力すなわち体積を必要とする。特に、防水体が上昇する構造のものは、この防水体が上昇しても、これを押し上げるに必要な力は減少せず、またこの防水体を浸水の水圧に対抗して水密を維持しながら昇降自在に案内する機構の摺動抵抗も大きいため、極めて大きなフロートを必要とする等の不具合があった。
【0009】
これに対して、防水体が回動して起立する形式のものは、構造が簡単であるとともに、この防水体の起立に要する力が小さくてすむという利点がある。しかし、このような構造のものは、防水体が略鉛直の位置まで起立して建物の出入口等の開口部の両側縁部に密着しこれらの間の水密が確保されるまでは、この防水体の両側縁部から水が回りこんでしまうため、浸水を防止できないという不具合がある。
【0010】
このような問題を解決するためには、フロートの浮力のみにより防水体を略鉛直の位置まで一気に起立させることが必要であるが、従来のフロート形の防水装置では、フロートの浮力のみで防水体を略鉛直の起立状態まで起立させるのは困難であった。
【0011】
たとえば、上記のような防水体が回動起立する防水装置の例として、特開平9−137631に開示されているものがある。このものは、通常時はピットの上面開口を覆う踏み板を兼用した防水扉を水平軸を中心として回動自在に枢着し、この防水扉の下面にはフロートを取り付け、通常時はこのフロートはピット内に収容されている。
【0012】
このものは、浸水時には上記のピット内に流れ込んだ水により、フロートが浮揚し、防水扉をある角度まで起立させる。そして、この後は、堰き止めた浸水の水圧により、この防水扉が上記の水平軸を超えない角度まで起立するように構成されている。
【0013】
このものは、上記のように、フロートの浮力のみでは防水扉を小さな起立角度までしか起立させることができないので、この防水扉の起立初期からその両側縁部の水密を維持するために、この防水扉の両側の側壁に摺接板を取り付け、防水扉の両側縁部に設けたゴム材をこの摺接板と摺接させることにより水密を確保するような構成となっている。
【0014】
しかし、このようなものは、地下駐車場の出入口等、最初から開口部の両側に側壁が形成されている場所に設置するには適しているが、店舗やビル等の出入口に設置するには適していない。すなわち、これら店舗等の出入口の両側には、側壁が設けられていない場合がほとんどであり、上記のような防水装置を設置するには、出入口の両側に側壁すなわち袖壁を新設する必要がある。しかし、このような袖壁は、この出入口の通行の妨げとなり、また外観を損なうという不具合がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の事情に基づいてなされたもので、ピット内が浸水により満水となった場合に、フロートの浮力のみで防水体を一気に略鉛直位置まで起立させることができ、また構造が簡単でコストが低く、信頼性も高いフロート形の防水装置を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、床面または地面に形成されたピットと、このピット内に収容されるとともに水平方向の回動軸を中心として回動自在に枢支された防水体とを備え、この防水体は、少なくとも略水平の倒伏状態から略鉛直の起立状態まで約90°の範囲で回動自在であり、また上記の防水体は、上記の倒伏状態において上記のピットの上面を覆い荷重を支持する踏面部と、この踏面部の下方に設けられ上記の倒伏状態において上記のピット内に収容されこのピット内に水が浸入した場合に浮力によって上記の防水体を起立させるフロート部とを備えており、上記の防水体の倒伏状態において、この防水体の自重によりこの防水体に与えられる倒れ方向の回動トルクをTmとした場合に、上記のフロート部の断面形状は、上記の回動軸を含む水平面と鉛直面との間の略90°の範囲にわたる扇形をなし、上記のピットが満水状態となった場合の浮力によりこの防水体に与えられる起立方向の回動トルクをTbとした場合に、
Tb=1.117・Tm
となる扇形の断面形状より大きな輪郭の断面形状であることを特徴とするものである。
【0017】
このような防水装置は、構造が簡単であるとともに油圧や電力等を必要とせず、コストが低いとともに信頼性も高い。また、フロート部の形状が上記の条件を満足することにより、ピットが浸水により満水状態となった場合には、このフロート部の浮力のみにより防水体を一気に略鉛直の起立状態まで起立させることができる。よって浸水がピットを越えて建物の開口部内に侵入する前に、この防水体が鉛直に起立して建物等の開口部の両側縁部に嵌合して水密を維持し、水の浸入を確実に防止することができ、かつ必ずしも側壁部を必要としない。
【0018】
また、請求項2に記載の本発明は、前記のフロート部の断面形状は、前記の回動軸を中心とする扇形をなしていることを特徴とするものである。このような形状のフロート部は、ピット内に効率良く収納でき、また防水体にきわめて大きな起立方向の回動トルクを与えることができる。
【0019】
たとえば、ピット幅が約300mmの場合に、このピット幅と略等しい半径の断面扇形のフロート部を形成し、この防水体の踏面部に鋼板を使用し、またフロート部には発泡スチロール樹脂等の軽量材を使用した場合、上記の鋼板の板厚が30mmを超えるものであっても、これを一気に鉛直の起立状態まで起立させる能力がある。従って、実用上十分な余裕があり、信頼性の高い堅牢な防水装置を提供することができる。
【0020】
また、請求項3に記載の本発明は、前記の防水体は、倒伏状態において前記のピットの上面開口部を覆い荷重を支承する踏み板と、この踏み板の下面に取り付けられたフロートとを備えていることを特徴とするものである。
【0021】
このものは、たとえば踏み板として鋼板、フロート部として発泡スチロール樹脂等、その機能に応じた最適の材料を使用でき、また構造が簡単であり、製造コストを低減することができる。
【0022】
また、請求項4に記載の本発明は、前記のフロート部は、前記の防水体が倒伏状態の場合に前記の回動軸を含む鉛直面より後方側に張り出した追加のフロート部分を有していることを特徴とするものである。
【0023】
このものは、防水体が略鉛直の起立状態においても、上記の追加のフロート部分がピット内の水面より下に没しているので、この部分の浮力によりこの防水体により大きな起立方向の余剰トルクが与えられる。よって、起立状態において防水体の両側縁部が建物開口部の縁部の嵌合部とより強く嵌合し、水密維持がより確実となる。
【0024】
また、請求項5に記載の本発明は、前記の防水体の重心は、この防水体が倒伏状態の場合において前記の回動軸を通る水平面より上方に位置していることを特徴とするものである。
【0025】
従って、この防水体が起立状態に近くなると、この防水体の重心が前記の回動軸を含む鉛直面を越して回動軸の後方に移動し、この防水体の自重により起立方向のトルクが追加される。よって起立状態における防水体の両側縁部の水密維持等がより確実となる。
【0026】
また、請求項6に記載の本発明は、前記の防水体を起立方向に付勢する付勢手段を備えており、この付勢手段により上記の防水体に与えられる起立方向のトルクをTsとすると、前記のフロート部の断面形状は、
上記の回動軸を含む水平面と鉛直面との間の略90°の範囲にわたる扇形をなし、上記のピットが満水状態となった場合の浮力によりこの防水体に与えられる起立方向の回動トルクをTbとした場合に、
Tb=1.117・Tm−Ts
となる扇形の断面形状より大きな輪郭の断面形状であることを特徴とするものである。
【0027】
よって、この付勢手段による追加のトルクTs分だけフロート部の浮力による起立トルクTbを小さくでき、よってフロート部を小形化でき、またピットも小形にすることができる。また、この追加のトルクTsにより、防水体が鉛直の起立状態となった場合の起立方向の余剰のトルクを大きくすることもできる。
【0028】
また、請求項7に記載の本発明は、前記のピットおよび防水体は建築物の開口部の全幅にわたって設けられており、この建築物の開口部の両縁部には上記の防水体が略鉛直に起立した場合にこの防水体の側縁部が当接または嵌合する側縁嵌合部が設けられており、この側縁嵌合部または防水体の側縁部の少なくともいずれか一方には、この側縁嵌合部と防水体の側縁部との間の水密を維持するシール機構が設けられていることを特徴とするものである。
【0029】
よって、店舗やビルの出入口等の防水装置として適し、これらの出入口の両側に袖壁等を突設する必要がなく、通行の妨げやまた外観を損なうこともない。
【0030】
また、請求項8に記載の本発明は、前記のピット内には、前記の防水体が略鉛直の起立状態に起立した場合にそれ以上の回動を規制するストッパ機構が設けられていることを特徴とするものである。従って、この防水装置の複数台を堤防の上等に直列に連設して洪水の際に一斉に起立させるような場合、起立した防水体が鉛直より後方に倒れないように規制するストッパを堤防上に立設する必要がなく、このようなストッパが通行の妨げになることがなく、また構造が簡単となり、外観も良好となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図3には本発明の第1の実施形態を示す。このものは、主として店舗や建物の出入口に設置するのに適した本発明の防水装置であり、図1は断面図、図2は平面図、図3は起立状態の防水体の側縁部と嵌合部の部分を拡大して示す断面図である。
【0032】
図1ないし図3において、1は建物躯体、2は出入口などの開口部、3は床面である。なお、図1において右側、図2および図3において下側が建物の外側すなわち浸水の方向である。
【0033】
そして、この建物1の開口部2の前方すなわち浸水方向側の床面3には、この開口部2の全幅以上にわたって溝状のピット4が形成されており、このピット4の底部には、必要に応じて排水管5が接続されている。この排水管5は、床面の洗浄等の際にこのピット4内に流入した水を排出するため、および浸水の水が引いた場合にこのピット4内の水を排出するものである。よって、たとえば電動または手動の排水ポンプ等の排水手段を使用する場合には、この排水管5は必ずしも設けなくても良い。
【0034】
そして、このピット4の上面開口の縁部には、型材などからなる枠体6,7が取り付けられており、前方、すなわち浸水方向側の枠体7には、流入口8が形成され、床面8上を流れて来た水は、この流入口8からピット4内に流入するように構成されている。なお、これら流入口8は複数のスリット状のもので、ごみ等の異物が水とともにピット4内に流入するのを防止するように構成されている。
【0035】
なお、実際の建築物では、出入口等の開口部2の近傍の床面3には、外側に向かって下方に傾斜した排水勾配が付されている。図1では、この排水勾配は示されていないが、浸水が発生した場合には、図1の右側から床面3上の水位が上昇して来るので、この水は上記の流入口8から優先的にピット4内に流入し、このピット4が満水状態になった後でなければ開口部2から建物内には侵入することはない。
【0036】
そして、このピット4内には、防水体10が設けられている。この防水体10は、通常時はこのピット4の上面開口を覆い、通過する歩行者や車両の荷重を支持する踏み板11と、この踏み板11の下面に取り付けられたフロート12とを備えている。
【0037】
上記の踏み板11は、たとえば鋼板、ステンレス鋼板等で形成され、その後縁部は水平方向の回動軸を有する軸受14により回動自在に支承されており、少なくとも略水平の倒伏状態から略鉛直の起立状態までの約90°の範囲にわたって回動自在となっている。上記の軸受14は、たとえばピット4の後側の枠材6に取り付けられている。また、この踏み板11の後縁部と、ピット4の上縁部、たとえば後側の枠材6との間には、合成ゴム材料等の可撓性のシート材からなるシール部材15が設けられ、これらの間を水密にシールしている。また、この踏み板11の前縁部は、略水平の倒伏状態で前側の枠材7に設けられた複数のストッパ16に当接し、床面3と同一平面上に保持されている。なお、これらのストッパ16は、合成ゴム等の弾性材料で形成され、この踏み板11を安定して支持するように構成されている。
【0038】
また、上記のフロート12は、たとえば発泡スチロール樹脂等、軽量の材料で形成されている。このフロート12は上記の踏み板11の全幅にわたって設けられている。そして、このフロート12の断面形状は、上記の軸受14の水平の回動軸を含む水平面と鉛直面との間の略90°の範囲にわたり、上記の回動軸を中心とする扇形をなしている。また、この実施形態では、フロート12には上記の回動軸を含む鉛直面より後方側に張り出した追加のフロート部分13を有している。なお、実際の装置では、上記のフロート12と追加のフロート部分13とは、発泡スチロール樹脂等の材料で一体的に形成されている。
【0039】
また、上記の建物1の開口部2の両側縁部には、たとえばアングル材21等からなる嵌合部20が設けられている。そして、上記の防水体10が略鉛直の起立状態まで起立した場合に、その踏み板11の両側縁部がこれらの嵌合部20内に嵌合するように構成されている。なお、これらの嵌合部20には、それぞれ合成ゴム材料等からなるストッパ22が設けられ、鉛直に起立した踏み板11の縁部に当接し、この防水体10を鉛直に起立した状態に保持する。
【0040】
そして、上記の嵌合部20には、防水シール23が設けられている。この防水シール23は、合成ゴム材料等の弾性材料で形成され、略U字状をなしている。そして、上記の防水体20の踏み板11がこれら嵌合部20内に嵌合した場合に、この踏み板11の両側縁部に形成されたシール面部17に上記の防水シール23が接触し、この防水体20の両側縁部と、建物1の開口部2の両側縁部との間の水密を維持するように構成されている。なお、上記の防水シール23は、断面U字状をなしており、建物1の外側に浸水した水の水位が高くなった場合には、その水頭圧がこの断面U字状の防水シール23の内部に作用してこの防水シール23を押し広げるので、この防水シール23が踏み板11のシール面部17により強く接触し、より確実な水密を維持する。
【0041】
次に、上述したような防水装置の作用、特性を説明する。まず、説明を容易にするために、図4に示すように、この防水装置の基本的な構成を単純化したものについて説明する。この単純化したモデルでは、防水体10の踏み板11を幅Wの均一な厚さの板材とし、またフロート12は、回動軸14を含む水平面と鉛直面との間の90°の範囲にわたる半径Wの扇形の断面形状のものとし、またこのフロート12の重量は無視する。なお、これら踏み板11とフロート12は、建物の開口部の間口方向すなわち回動軸の方向にわたって同じ断面形状のものとする。また、倒伏状態におけるフロート12の上面は、ピット4の上縁面すなわちこのピットが満水状態となった場合の水面と一致しているものとする。また、この防水体10の倒伏状態を0°とし、この防水体10の任意の起立角度をθとする。
【0042】
通常の場合には、上記のピット4内には水が存在しておらず、フロート12に浮力は生じておらず、防水体10には踏み板11の重量により倒伏方向のトルクが作用しており、このトルクによりこの踏み板11は水平の状態に保持されている。
【0043】
そして、浸水が生じた場合には、上記のピット4内に水が流入し、このピット4内が満水状態となり、フロート12に浮力が発生し、この浮力により、この防水体10に起立方向のトルクが作用し、この防水体10が起立する。なお、実際には、このピット4内の水位が上昇するにしたがってこの防水体10は次第に起立してゆくが、説明を簡単にするために、この防水体10が倒伏状態でピット4内が満水状態となったと仮定する。
【0044】
この防水体10が倒伏状態の場合に、踏み板11の重量によりこの防水体10に作用する倒れ方向のトルクTmは、踏み板11の質量をM、重心位置を1/2・Wとすれば、
Tm=M・(1/2・W) …(1)
である。そして、この防水体10が任意の角度θだけ起立した場合には、
Tm=M・(1/2・W)・cosθ …(2)
である。したがって、この倒れ方向のトルクTmは、起立角度θが大きくなるに従って減少してゆき、起立角度90°で零となる。
【0045】
次に、上記のフロート12の浮力について説明する。まず、この扇形のフロート12の形状を頂角の小さな二等辺三角形の集合と考えると、このフロート12の浮力の中心は半径2/3・Wの円弧の上に存在する。そして、任意の起立角度θにおけるこのフロートの水中に没している部分は初期の状態すなわち全体が水中に没している場合の(90°−θ)/90°であり、この場合の浮力の中心位置は、上記の円弧上でかつ(90°−θ)/2である。したがって、このフロート12の倒伏状態すなわち全体が水中に没している場合の浮力をBとすると、任意の起立角度θにおける起立方向のトルクTbは、
Tb=B・(2/3・W)・((90°−θ)/90°)
・cos((90°−θ)/2) …(3)
となる。したがって、この浮力による起立方向のトルクTbは起立角度θ=0°で最大で、かつ起立角度θ=90°で零となる。
【0046】
ここで、上記の(3)式に示す起立角度θについての扇形のフロート12の浮力によるトルクTbの特性は、上記のトルクTmの特性と同様の余弦の関数の成分を含んでいる。したがって、これらTbとTmの特性曲線は近似した曲線となるので、定数等を適宜設定することにより、起立角度θが0°から90°までの範囲にわたり、任意の起立角度θについて、常にフロートの浮力による起立方向のトルクTbが、重量による倒れ方向のトルクTmを上回るように設定することが可能となる。そして、このように設定すれば、ピット4内が満水状態となった場合に、この防水体10は、途中で停止することなく、一気に略鉛直の起立状態まで起立することになる。
【0047】
次に、上記の特性をさらに具体的に説明するために、任意の起立角度θにおける重量による倒れ方向のトルクTm、浮力による起立方向のトルクTbの特性を図5に示す。なお、図5における曲線Tm、Tbは、いずれもθ=0°の場合の値を1.0とした相対値である。この図5から明らかなように、曲線Tbは曲線Tmの下方にあるため、初期の倒伏状態、すなわちθ=0°の場合にTb>Tmとなるように設定し、浮力により防水体10が起立するように設定しても、起立角度θが大きくなるとTbとTmの値が逆転することがあり、その時点でピット4が満水でも防水体10の起立が停止することになる。
ところで、上記の任意の起立角度θについて、図5に示すTmとTbとの比Tm/Tb=Kを求めた結果、図6に示すような特性となる。このKの値が最大となるのは、θが約80°の場合で、この場合の最大値Kmaxは1.117である。
【0048】
よって、任意の起立角度θについて、Tbに上記のKmaxを乗じると、図5に示すKmax・Tbの曲線となる。このKmax・Tbの曲線は、前述したように、Tmの曲線に近似しており、かつ0°から90°の範囲の任意の起立角度θについて、常に曲線Tmより上にある。よって、倒伏状態においてピットが満水状態となった状態において、
Tb>Kmax・Tm=1.117・Tm …(4)
となるように各部の寸法等を設定しておけば、この防水体10が倒伏状態でピット4内が満水状態となった場合には、この防水体10は途中で停止することなく、一気に90°の起立状態まで起立する。
【0049】
従って、このピット4が満水状態となれば、このピット4を越して水が建物1の開口部2内に浸入する前に、この防水体10は開口部2の嵌合部20内に嵌合し、防水シール23によりこれらの間の水密が確保され、水の浸入を確実に防止する。なお、この後に建物1の外部の水位が上昇した場合には、その水頭圧により防水体10が起立方向に押され、嵌合部20に益々強く嵌合するので、より完全な防水がなされる。したがって、建物1内への浸水を確実に防止し、かつ油圧や電力等の外部の駆動源を必要としない。
【0050】
なお、実際の場合には、上記のピット4内の水位が上昇するに従って、防水体10も徐々に起立してゆくが、当然途中で停止することはなく、ピットが満水状態になった場合には、防水体10が完全に起立状態となり、浸水を防止する。
【0051】
また、上記の図4に示すような単純化したモデルについて、W=300mm、踏み板11を均一な厚さの鋼板とし、またフロート12を発泡スチロール樹脂等その自重を無視できるほどの軽量材料を使用したとして前記の式を用いて計算すると、踏み板11の厚さtは、t=34.8mmとなる。
【0052】
実際の装置では、この踏み板11上を歩行者のみが通過する場合には、t=5〜6mm、重車両が通過することを考慮しても、t=10〜12mm程度で十分である。したがって、フロート12の浮力には十分な余裕がある。
【0053】
なお、このフロート12の浮力の余裕の関係を図7に示す。曲線Kmax・Tbは、前述のように、防水体10を90°の起立状態まで一気に起立させるに必要最小限の浮力特性である。また、曲線Tbmaxは、ピット4内に起立可能に収容できる最大のフロート、すなわち半径がピット幅一杯の扇形のフロートの浮力の特性である。実際の装置におけるフロート12の形状、寸法等は、このKmax・TbとTbmaxとで囲まれる範囲内の特性を有していれば良い。フロートの具体的な断面形状、寸法で示せば、図8に示すように、上記のKmax・Tbの浮力特性を有する最小半径の扇形のフロート形状Fminと、ピット4内に収容可能な最大半径の扇形のフロート形状Fmaxとの間の形状(図8で斜線で示す部分)であればよく、たとえば図8のFxのような四角形の断面形状のものでもよく、要は上記のFminの扇形の形状を含むような輪郭の形状のものであればよい。
【0054】
なお、図7に示すように、フロートの浮力に余裕のある場合でも、起立角度θが90°に近づくに従って、TbおよびTmの絶対値は小さくなる。これは、起立状態において、防水体10と嵌合部20との嵌合力が小さくなることを意味している。もちろん、このピット4が満水状態となった場合、すなわち建物1内に水が浸入する前に、この防水体10が略鉛直の起立状態まで起立し、嵌合部20に嵌合してさえいれば、その後に浸水の水位が上昇すると、その水頭圧によりこの防水体10が起立方向に強く押されるので、嵌合部20により強く嵌合し、より確実な水密が維持されるので、水の浸入は防止できる。しかし、この防水体10が起立状態まで起立した直後において、起立方向のトルクの値の絶対値が小さいと、この状態で防水体10の保持が不安定となり、少しの外力によってもこの防水体10が容易に回動してしまうことがある。
【0055】
前述した実施形態では、このような問題を解消するために、フロート12の後面側に、軸受14の回動軸を含む鉛直面より後方側に張り出した追加のフロート部分13を備えている。この追加のフロート部分13は、この防水体10が鉛直の起立状態となった場合でも、満水状態のピット4の水面下に没しており、この追加のフロート部分13の浮力により、起立方向のトルクが与えられ、この防水体10と嵌合部20との嵌合をより確実にする。なお、図7には、このような追加のフロート部分13を備えた場合の浮力の特性Tbaddを示す。このように、この追加のフロート部分13を設けることにより、起立角度θが90°の場合でも、絶対値の大きな起立方向の余剰トルクを与えることができる。
【0056】
なお、上記の説明では、踏み板やフロートの断面形状は建物開口の間口方向すなわち回動軸の方向にわたって均一なものとしたが、これ以外の場合、たとえば複数のフロートを回動軸の方向に隙間を空けて並べて配置したような場合、または踏み板に補強材を設けた場合のように、これらの断面形状が変化するような場合には、これらが回動軸の方向にわたって均一な断面形状であるとして換算するか、または踏み板全体の重量や重心位置、フロート全体の浮力や浮力中心を求めて上記の計算をすればよい。
【0057】
また、上記の説明では、フロートの重量を無視し、踏み板の重心が倒伏状態において回動軸を中心とする水平面内にあるとしたが、実際の製品ではフロートの重量や踏み板の構造等の関係で、これらのアセンブリすなわち防水体の重心が倒伏状態において回動軸を含む水平面からずれた位置にある場合がある。このような場合には、その重心位置のずれ角度をαとし、上述の重量による倒れ方向のトルクの計算式においてθの代わりにθ−αを代入して計算すればよい。なお、このずれ角度が小さい場合には、実用上はこれを無視することができる。
【0058】
なお、図9には本発明の第2の実施形態を示す。このものは、略水平の倒伏状態において、防水体10の重心C/Gの位置を、軸受14の回動軸を含む水平面より上方に位置させたものである。
【0059】
このものは、この防水体10の起立角度θが90°近傍となると、この重心C/Gが回動軸を含む鉛直面より後方側に移動し、この防水体10に起立方向のトルクを与える。よって、この防水体10が略90°の起立状態の場合でも、絶対値の大きな起立方向のトルクが与えられ、防水体10の両側縁部と嵌合部20の嵌合がより確実となり、これらの間の水密シールがより確実となる。なお、この第2の実施形態において、上述の点以外は前述した第1の実施形態と同様な構成であり、図示およびその説明は省略する。
【0060】
また、図10には本発明の第3の実施形態を示す。このものは、防水体10を支承する軸受14の部分に付勢手段、たとえばねじりコイルばね30を設け、この防水体10に起立方向のトルクを与えるものである。
【0061】
このものは、この防水体10が略鉛直の起立状態の場合でも、このねじりコイルばね30によりこの防水体10に絶対値の大きな起立方向のトルクが与えられ防水体10の両側縁部と嵌合部20の嵌合がより確実となり、これらの間の水密シールがより確実となる。なお、上記の付勢手段としては、ねじりコイルばねには限らず、その他の形式のスプリング、ガスばね、カウンターウエイト等、各種の手段が採用できる。なお、この第2の実施形態において、上述の点以外は前述した第1の実施形態と同様な構成であり、図示およびその説明は省略する。
【0062】
この実施形態の場合、上記のねじりコイルばね30等により、防水体10の倒伏状態から起立状態まで、余剰の起立方向のトルクが与えられる。したがって、この実施形態の場合には、この付勢手段により与えられる余剰のトルクをTsとすれば、前述の(4)式は、
Kmax・Tb=1.117Tb>Tb−Ts …(4a)
となり、この付勢手段のトルクTs分だけフロートの浮力を減少させることができる。よって、フロート12をより小形化することができ、またピット4もより小形化することができる。
【0063】
また、図11には、本発明の第4の実施形態を示す。このものは、ピット4内にストッパ手段、たとえば所定の長さだけ伸長可能な伸縮ロッド40を収容し、この伸縮ロッド40の基端部をたとえばピット4の底部のアンカー41に枢着し、また先端部を防水体10の踏み板11の下面に枢着したものである。そして、この防水体10が略鉛直の起立位置まで起立すると、この伸縮ロッド40が一杯に引き伸ばされ、この防水体10がこれ以上起立方向に回動するのを規制するストッパとして作用する。
【0064】
なお、このストッパ手段としては、上記のような伸縮ロッドに限らず、所定の長さのワイヤーロープ、リンク機構、カム板、その他の任意の構造のストッパ手段を採用することができる。
【0065】
この実施形態のものは、前述した実施形態の防水装置のように建物の開口部の防水装置として使用する場合以外に適している。すなわち、前述した実施形態のものは、防水体が略鉛直の起立状態まで起立し、建物等の開口部の縁部の嵌合部に嵌合し、この嵌合部がストッパと水密シールを兼用している。しかし、本発明の防水装置は、上述したような開口部の防水装置としてだけではなく、各種の用途に使用できるものであり、この場合に、ストッパを兼用する嵌合部が設けられていない場合があり、この第4の実施形態は、このような場合に適するものである。
【0066】
たとえば、図12および図13には、上述した第4の実施形態の防水装置を堤防の防水装置として使用する場合を示す。すなわち、図中の50は堤防、51は河川である。そして、この堤防50の上面には、前述した第4の実施形態のよう防水装置52が複数台、直列に連設されている。そして、隣接する防水装置52の踏み板11の側縁部は、ある程度の遊びを与えるためのワイヤーロープ53により互いに接続され、またこれら隣接する踏み板11の側縁部の間はある程度のたるみを持った防水シート54により水密が維持されている。
【0067】
このような防水装置は、通常は倒伏状態にあり、踏み板11の上は遊歩道、車道等として使用される。そして、豪雨等により河川51の水が堤防50の上まで溢れた場合には、各防水装置52のピット4内に水が流入し、各防水装置の防水体10が一斉に鉛直の起立状態まで起立し、洪水を阻止する。
【0068】
このような場合には、各防水体10を起立状態に保持するストッパが必要であるが、このようなストッパを堤防50の上に立設すると、通行の妨げとなり、また外観を損ねる。しかし、前述したな第4の実施形態のような防水装置52であれば、ピット4内にストッパ40が内蔵されているので、上述したようなストッパを立設する必要がない。
【0069】
なお、本発明の防水装置は、前述したようなものに限らず、たとえば道路、空港の誘導路、駐機場、競技場、その他の場所に本発明の防水装置を設置しておき、豪雨等の際に溢れた雨水が望ましくない方向に流れるのを阻止するために使用してもよい。また、公共の公園や遊戯場等、遊水地として使用する場所の周囲を本発明の防水装置で囲んでおき、通常時は道路等として使用し、これらの場所を遊水地として使用する場合に、流入した水により本発明の防水装置を起立させて堤防として使用しても良い。このようにすれば、遊水地として使用する場所を掘り下げたり、堤防で囲んだりする必要がなく、建設コストを低減することができる。
【0070】
また、上記の実施形態では、説明を容易にするために、踏み板を均一な板厚の単一の板材、フロートを発泡スチロール樹脂等の単一部材で構成した例を示したが、本発明はこれらの限定されるものではない。たとえば、踏み板は比較的薄い表面板の裏側に補強材を設けたもの、またはサンドイッチ板等のものでもよく、このようにすれば、より軽量でかつ高強度が得られ、その分だけフロートを小形化することができる。
【0071】
また、フロートも発泡スチロール樹脂等の単一の部材で構成したものには限らず、ポリエチレン樹脂のブロー成型による中空構造のもの、または大形の防水装置では鋼板を溶接した中空構造のものでも良い。
【0072】
【発明の効果】
請求項1に記載の本発明の防水装置は、構造が簡単であるとともに油圧や電力等を必要とせず、コストが低いとともに信頼性も高い。また、フロート部の形状を特別なものとすることにより、ピットが浸水により満水状態となった場合には、このフロート部の浮力のみにより防水体を一気に略鉛直の起立状態まで起立させることができる。よって、浸水がピットを越えて建物の開口部内に侵入する前に、この防水体が鉛直に起立して建物等の開口部の両側縁部に嵌合して水密を維持し、水の浸入を確実に防止することができ、かつ必ずしも側壁部を必要としない。
【0073】
また、請求項2に記載の本発明は、フロート部の断面形状が扇形をなしており、ピット内に効率良く収納でき、また防水体にきわめて大きな起立方向の回動トルクを与えることができる。
【0074】
また、請求項3に記載の本発明は、防水体はピットの上面開口部を覆い荷重を支承する踏み板と、この踏み板の下面に取り付けられたフロートとを備えており、踏み板として鋼板、フロート部として発泡スチロール樹脂等、その機能に応じた最適の材料を使用でき、また構造が簡単であり、製造コストを低減することができる。
【0075】
また、請求項4に記載の本発明は、前記のフロート部は、前記の防水体が倒伏状態の場合に前記の回動軸を含む鉛直面より後方側に張り出した追加のフロート部分を有していることを特徴とするものである。
【0076】
このものは、防水体が略鉛直の起立状態においても、上記の追加のフロート部分がピット内の水面より下に没しているので、この部分の浮力によりこの防水体により大きな起立方向の余剰トルクが与えられる。よって、起立状態において防水体の両側縁部が建物開口部の縁部の嵌合部とより強く嵌合し、水密維持がより確実となる。
【0077】
また、請求項5に記載の本発明は、防水体の重心が回動軸を通る水平面より上方に位置しているので、防水体が起立状態に近くなると、この防水体の重心が前記の回動軸を含む鉛直面を越して回動軸の後方に移動し、この防水体の自重により起立方向のトルクが追加される。よって起立状態における防水体の両側縁部の水密維持等がより確実となる。
【0078】
また、請求項6に記載の本発明は、防水体を起立方向に付勢する付勢手段を備えており、この付勢手段による追加のトルク分だけフロート部の浮力による起立トルクTbを小さくでき、よってフロート部を小形化でき、またピットも小形にすることができる。また、この追加のトルクにより、防水体が鉛直の起立状態となった場合の起立方向の余剰のトルクを大きくすることもできる。
【0079】
また、請求項7に記載の本発明は、前記のピットおよび防水体は建築物の開口部の全幅にわたって設けられ、この開口部の両縁部には上記の防水体が略鉛直に起立した場合にこの防水体の側縁部が当接または嵌合する側縁嵌合部が設けられており、この側縁嵌合部にはシール機構が設けられている。よって、店舗やビルの出入口等の防水装置として適し、これらの出入口の両側に袖壁等を突設する必要がなく、通行の妨げやまた外観を損なうこともない。
【0080】
また、請求項8に記載の本発明は、前記のピット内には、前記の防水体が略鉛直の起立状態に起立した場合にそれ以上の回動を規制するストッパ機構が設けられている。従って、この防水装置の複数台を堤防の上等に直列に連設して洪水の際に一斉に起立させるような場合、起立した防水体が鉛直より後方に倒れないように規制するストッパを堤防上に立設する必要がなく、このようなストッパが通行の妨げになることがなく、また構造が簡単となり、外観も良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態の平面図。
【図3】本発明の第1の実施形態の嵌合部の部分の断面図。
【図4】本発明の第1の実施形態の構成を単純化して示す概略図。
【図5】本発明の防水装置のフロートの浮力と自重のトルクの関係を示す線図。
【図6】フロートの浮力と自重のトルク特性の関係を示す線図。
【図7】本発明の防水装置のフロートの浮力と自重のトルクの関係を示す線図。
【図8】本発明の防水装置のフロートの形状を説明する概略図。
【図9】本発明の第2の実施形態の概略的な断面図。
【図10】本発明の第3の実施形態の概略的な断面図。
【図11】本発明の第4の実施形態の概略的な断面図。
【図12】本発明の第4の実施形態の防水装置の設置例の断面図。
【図13】本発明の第4の実施形態の防水装置の設置例の平面図。
【符号の説明】
1 建物
2 開口部
3 床面
4 ピット
10 防水体
11 踏み板
12 フロート
14 軸受
20 嵌合部
23 防水シール
30 ねじりコイルばね
40 ストッパ機構
Claims (8)
- 床面または地面に形成されたピットと、このピット内に収容されるとともに水平方向の回動軸を中心として回動自在に枢支された防水体とを備え、この防水体は、少なくとも略水平の倒伏状態から略鉛直の起立状態まで約90°の範囲で回動自在であり、また上記の防水体は、上記の倒伏状態において上記のピットの上面を覆い荷重を支持する踏面部と、この踏面部の下方に設けられ上記の倒伏状態において上記のピット内に収容されこのピット内に水が浸入した場合に浮力によって上記の防水体を起立させるフロート部とを備えており、
上記の防水体の倒伏状態において、この防水体の自重によりこの防水体に与えられる倒れ方向の回動トルクをTmとした場合に、上記のフロート部の断面形状は、
上記の回動軸を含む水平面と鉛直面との間の略90°の範囲にわたりこの回動軸を中心とする扇形をなし、倒伏状態において上記のピットが満水状態となった場合の浮力によりこの防水体に与えられる起立方向の回動トルクをTbとした場合に、
Tb=1.117・Tm
となる扇形の断面形状より大きな輪郭の断面形状であることを特徴とするフロート形防水装置。 - 前記のフロート部の断面形状は、前記の回動軸を中心とする扇形をなしていることを特徴とする請求項1のフロート形防水装置。
- 前記の防水体は、倒伏状態において前記のピットの上面開口部を覆い荷重を支承する踏み板と、この踏み板の下面に取り付けられたフロートとを備えていることを特徴とする請求項1のフロート形防水装置。
- 前記のフロート部は、前記の防水体が倒伏状態の場合に前記の回動中心を通る鉛直面より後方側に張り出した追加のフロート部分を有していることを特徴とする請求項1のフロート形防水装置。
- 前記の防水体の重心は、この防水体が倒伏状態の場合において前記の回動軸を含む水平面より上方に位置していることを特徴とする請求項1のフロート形防水装置。
- 前記の防水体を起立方向に付勢する付勢手段を備えており、この付勢手段により上記の防水体に与えられる起立方向のトルクをTsとすると、前記のフロート部の断面形状は、
上記の回動軸を含む水平面と鉛直面との間の略90°の範囲にわたりこの回動軸を中心とする扇形をなし、倒伏状態において上記のピットが満水状態となった場合の浮力によりこの防水体に与えられる起立方向の回動トルクをTbとした場合に、
Tb=1.117・Tm−Ts
となる扇形の断面形状より大きな輪郭の断面形状であることを特徴とする請求項1のフロート形防水装置。 - 前記のピットおよび防水体は建築物の開口部の全幅にわたって設けられており、この建築物の開口部の両縁部には上記の防水体が略鉛直の起立状態まで起立した場合にこの防水体の側縁部が当接または嵌合する側縁嵌合部が設けられており、この側縁嵌合部または防水体の側縁部の少なくともいずれか一方には、この側縁嵌合部と防水体の側縁部との間の水密を維持するシール機構が設けられていることを特徴とする請求項1のフロート形防水装置。
- 前記のピット内には、前記の防水体が略鉛直の起立状態に起立した場合にそれ以上の回動を規制するストッパ機構が設けられていることを特徴とする請求項1のフロート形防水装置。
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