JP4556161B2 - ボールリバウンド性に優れた軟質ポリウレタンフォームの製造方法。 - Google Patents
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ポリウレタン系樹脂は、分子中にウレタン結合を有するもので、ジイソシアネートと活性水素を有す化合物との重付加反応により合成され、耐摩耗性や耐久性ないしは機械的特性や耐薬品性などの各種の性質に優れており、軟質から硬質まで幅広い成形品が得られるので、合成皮革や塗料あるいはフォームや繊維製品などに幅広く利用されている。
さらに、本発明においては、有機ジイソシアネートや高分子ポリオールあるいは発泡剤などを具体的に特定すると、より優れた改良結果が得られる。
[2]有機ジイソシアネート(A)が、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネートから選ばれる単独又は2種類以上の混合物であることを特徴とする、[1]における軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[3]ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体構成比において、2,2´−MDIと2,4´−MDIの異性体の合計の含有量が1〜60重量%であることを特徴とする、[2]における軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[4]高分子ポリオール(B)が、 数平均分子量1,000〜10,000であり、公称官能基数2以上のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールであることを特徴とする、[1]又は[2]における軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[5]改質剤(F)としてマレイン酸ジアルキルエステルを使用することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおける軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
[6][1]〜[5]のいずれかにおける製造方法により生成させたことを特徴とする、高ボールリバウンド性を有する軟質ポリウレタンフォーム。
そして、本発明により製造された、高いボールリバウンド性を有する軟質ポリウレタンフォームにおいては、主として自動車用のクッション材として、工業的用途に広く利用でき非常に有用である。
本発明においては、軟質ポリウレタンフォーム成形用組成物に対する改質剤として、隣接した炭素間不飽和結合とカルボニル基を有する低分子化合物を特定量において使用するものであり、機械強度や圧縮強度などの物性を実質的に低下させずにボールリバウンド性(反発弾性性能)を向上させることができ、それと共に付随的作用効果ももたらされるものなので、各原材料や重合条件及び重合反応の作用などを記述する。
本発明において使用される有機ジイソシアネート(A)は、通常のものが使用され、芳香族ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(p−MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート(XDI)、m−キシリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルジイアソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ニトロジフェニルジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネートなどが例示され、脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネートなどが例示される。また、脂環族ジイソシアネートとしては、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート(水添TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネート(水添MDI)などが例示される。さらに、これらのジイソシアネートのポリメリック体、ウレタン変性体、ウレア変性体、アロファネート変性体、ビュウレット変性体などの各種変性体も使用しうる。
以上のジイソシアネートは、1種単独または2種以上の混合で使用される。なお、特に、上記したMDI、MDIとp−MDIの混合物、TDI、TDIとMDIの混合物、TDIとMDIとp−MDIの混合物を用いると、より良質の軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。
高分子ポリオール(B)は、ジイソシアネートと重付加してポリウレタンを形成するものであり、本発明においては、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールであることが望ましい。さらに、数平均分子量1,000〜10,000で、公称官能基数2以上のものがより望ましい。数平均分子量が下限未満では、得られるフォームの柔軟性が不足し、上限を超えると、フォームの硬度が低下しやすい。公称官能基数はポリオールの平均官能基(分子当たりの活性水素原子の数)を示し、実際には末端の不飽和のために僅かに少ない数値となる。
本発明においては、触媒(C)として当該分野において公知である各種のウレタン化触媒を使用できる。
例示をすれば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモリホリン、N−エチルモリホリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N´,N´−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N´,N´,N´´−ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,2−ジメチルイミダゾール、ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチル−N−ヘキサノールアミン、さらにこれらの有機酸塩、スタナスオクトエート、ナフテン酸亜鉛などの有機金属化合物も挙げられる。また、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなどの活性水素を有すアミン触媒も好ましい。
触媒(C)の添加量は、ポリオール(B)に対して、0.01〜10重量%が好ましい。
整泡剤は通常の界面活性剤が使用され、有機珪素系の界面活性剤が好適に使用できる。例えば、日本ユニカー製のL−520、L−5309、東レ−ダウコーニング製のSRX−274C、SF−2962、エアープロダクツ製のDC−5169、信越化学工業製のF−220などを挙げられる。
整泡剤(D)の添加量は、ポリオール(B)に対して、0.01〜10重量%が好ましい。
発泡剤としては、主として水を用いる。水はイソシアネート基との反応で炭酸ガスを発生し、これにより発泡することになる。また、水と付加的に任意の発泡剤を使用してもよい。例えば、少量のシクロペンタンやイソペンタンなどの低沸点有機化合物を併用してもよいし、ガスローディング装置を用いて原液中に空気や窒素ガスや液化二酸化炭素を混入溶解させて発泡することもできる。
発泡剤の添加量は得られる製品の設定密度によるが、通常は、ポリオール(B)に対して0.5〜15重量%である。上限を超えると発泡が安定し難くなる場合があり、下限未満では発泡が有効になされない場合がある。
改質剤は、本発明の主要な構成要素をなすものであり、軟質ポリウレタンフォームの成形用組成物に対して添加され、発泡製品の物性を改良向上させる作用をなす。
本発明で使用される特定の改質剤は、軟質ポリウレタンフォームにおける機械強度や圧縮強度などの物性を低下させずにボールリバウンド性を向上させるのに、非常に有効である。ボールリバウンド性は反発弾性性能ともいわれ、発泡製品のレオロジー特性のひとつであり、発泡製品に力学的な変形を与えたときに変形量が小さいときには変形は弾性的であり外力を取り去ると変形は消えて元の状態に戻るが、ある変形量を超えると降伏流動を起こし元の状態に回復しない永久変形を生じる。
ボールリバウンド値は、この弾性限界に至るエネルギーの目安であり、JIS−K6400に準拠して測定され、単位はc.g.s.の付かない、「%」である。
改質剤は、高分子ポリオールに対して1〜20重量%添加すると特に有効である。下限未満では改質作用が不足する場合があり、上限を超えると他の物性を低下させる場合がある。
隣接した炭素間不飽和結合とカルボニル基を有する低分子化合物は、マレイン酸ジアルキルエステルに代表される化合物であり、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸におけるエステルや無水物あるいはアミドやハロゲン化物、不飽和アルデヒドや不飽和ケトン及びこれらの種々の置換誘導体などである。
具体的な化合物を例示すれば、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸、フマル酸エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、イタコン酸、イタコン酸エステル、さらには、アクロレイン、メタアクロレイン、クロトン酸、ベンゾキノン、イソホロンなど多種のものが使用できる。
これらのなかで、特にマレイン酸エステルは、1級アミンとの反応の速さ、粘度、有機ジイソシアネートやポリオールとの混和性、臭気、安全性、価格などの点において優れている。
R−NCO + H2O → [R−NHCOOH] → R−NH2 + CO2
したがって、本発明においては、水又は水と任意の発泡剤を使用する発泡剤(E)により軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、改質剤として、隣接した炭素間不飽和結合とカルボニル基を有する低分子化合物(F)を組み合わせることに顕著な特徴を有するものともいえる。
本発明においては、必要に応じて通常の、重付加反応における鎖延長剤を使用してもよい。
ウレタン重合での、鎖延長剤は2個以上の活性水素基を有する通常の低分子化合物が使用され、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが用いられる。
また、各種の添加剤として、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、充填剤、内部離型剤、その他の加工助剤を用いることができる。
なお、これらの助剤のなかで、イソシアネートと反応する活性水素を有さないものは、ポリウレタンフォーム成形用組成物中に予め混合して使用することもできる。
本発明は、以上において詳述した軟質ポリウレタンフォームの製造方法により製造したところの、機械強度や圧縮強度などの物性を低下させずにボールリバウンド性(反発弾性性能)が顕著に向上された軟質ポリウレタンフォーム製品をも発明に包含するものであり、家具や寝具あるいは自動車などの車両用シート材料などにおける、機能の高められたクッション材として利用される。
本発明においてポリウレタンフォームを製造する方法としては、通常の公知のウレタン化反応の技術が用いられる。例えば、高分子ポリオールと有機ジイソシアネートを反応させ、鎖延長剤により高分子量化及び発泡化をなして、発泡した目的とする軟質ポリウレタンフォームが得られる。
この反応においては、当然のことながら、必要に応じて、段落0022に前記したような、適当量の三級アミンや錫、鉛、チタンの有機金属塩などで代表されるウレタン化反応において公知の重合触媒を用いることも可能である。
(なお、実施例と比較例中における記載の、「比率」と「%」は各々、重量比と重量%を示すものである。
(ポリオールプレミックスの調製)
表1に示す割合でポリオールプレミックスとして、OH−1〜OH−11を調製した。
ポリオール1:FA−703(三洋化成工業製 ポリエーテルポリオール 水酸基価34(mgKOH/g))
ポリオール2:FA−728R(三洋化成工業製 ポリエーテルポリオール 水酸基価28(mgKOH/g))
ポリオール3:N−2200(日本ポリウレタン工業製 ポリエステルポリオール 水酸基価60.5(mgKOH/g))
ポリオール4:GP−3000(三洋化成工業製 ポリエーテルポリオール 水酸基価56(mgKOH/g))
触媒1:三級アミン触媒(東ソー製 アミン系触媒)
触媒2:三級アミン触媒(東ソー製 アミン系触媒)
触媒3:三級アミン触媒(TEDA−L33 東ソー製)
触媒4:金属触媒(DABCO T−9 エアープロダクツ製)
触媒5:モルフォリン系触媒(KAOLIZER No.22 花王製)
整泡剤1:シリコン系整泡剤 B4113LF(ゴールドシュミット製)
整泡剤2:シリコン系整泡剤 B−8719(ゴールドシュミット製)
整泡剤3:シリコン系整泡剤 SE−232(日本ユニカー製)
DOM:マレイン酸ジ−2−エチルヘキシルエステル
表2に示す割合でイソシアネートを調製した。
A:ジフェニルメタンジイソシアネート
B:MR−200(日本ポリウレタン工業製 ポリメリックMDI)
C:MF−24MR(日本ポリウレタン工業製 ポリメリックMDI)
D:トリレンジイソシアネート
表1と表2に記載した配合比に基づいて、ポリオールプレミックスとイソシアネート成分を配合し、これらを25℃に調温した後に、2,000mlのポリカップに秤量し、ハンドミキサーにより回転数3,000rpmで10秒間撹拌した。撹拌終了後、直ちに内寸250×250×250mmのアクリルボックスに注入して発泡を行った。24時間静置後、所定の形状に切り出し表3の項目について測定を行った。なお、物性の測定方法は、JIS K 6400によった。
ポリオールプレミックスに[ ]数字として、改質剤DOMの重量比を付記した。
以上の各実施例および各比較例を対比することにより、本発明においては、本発明の特定の改質剤(DOM)を1〜20重量%配合することにより、軟質ポリウレタンフォームにおいて、機械強度や圧縮強度などの物性を低下させずにボールリバウンド性(反発弾性性能)を顕著に向上させることが、明白に実証されている。
ポリオールプレミックスとポリイソシアネートについて同一原料を使用し、改質剤のDOMの量を変化させた、比較例1,2及び実施例1〜3の集団、比較例3及び実施例4の集団、比較例4及び実施例5の集団、比較例5及び実施例6の集団において、各々の実施例と比較例を対照すると、各実施例は、圧縮強度及び引張強度、引張伸びと引裂強度さらには圧縮永久歪みなどの機械的な各性質を、各比較例とほぼ同程度に維持しながら、各比較例に対してボールリバウンド値を大幅に向上させ、反発弾性性能が顕著に改良されていることが明確に示されており、本発明の構成の有意性と顕著な卓越性を理解できる。
Claims (5)
- 有機ジイソシアネート(A)、数平均分子量1,000〜10,000の高分子ポリオール(B)、触媒(C)、整泡剤(D)、水又は水と任意の発泡剤を使用する発泡剤(E)、その他の助剤からなる組成物により軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、当組成物に改質剤として、マレイン酸ジアルキルエステル(F)を高分子ポリオールに対して1〜20重量%添加することを特徴とする、軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 有機ジイソシアネート(A)が、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネートから選ばれる単独又は2種類以上の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載された軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体構成比において、2,2´−MDIと2,4´−MDIの異性体の合計の含有量が1〜60重量%であることを特徴とする、請求項2に記載された軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 高分子ポリオール(B)が、 数平均分子量1,000〜10,000であり、公称官能基数2以上のポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載された軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載された製造方法により生成させたことを特徴とする、高ボールリバウンド性を有する軟質ポリウレタンフォーム。
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