JP4556097B2 - 光学活性化合物、該化合物を含有する液晶組成物、該化合物の重合体、該重合体を含有する液晶表示素子 - Google Patents

光学活性化合物、該化合物を含有する液晶組成物、該化合物の重合体、該重合体を含有する液晶表示素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶素子や光学フィルム等に利用される光学活性化合物、該光学活性化合物を用いた液晶組成物、光学活性化合物の重合体、該重合体を含有する液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
重合性官能基を有する光学活性化合物は、液晶表示素子の他、種々の光学的応用に使用することができる(特許文献1参照)。このような技術において、光学活性化合物は液晶材料の螺旋配向を誘起させるために用いられる。液晶材料に光学活性化合物を添加した時に誘起される螺旋ピッチは、光学活性化合物の螺旋誘起力と、その添加量によって決まる。光学活性化合物の螺旋誘起力が強いほど、また、その添加量が多いほど螺旋ピッチを短くすることができる。一般に光学活性化合物の添加量を多くすると、粘度の上昇、応答速度の低下、駆動電圧の上昇、所望の液晶相の温度範囲の縮小などの問題が生じるため、螺旋誘起力の強い化合物が求められている。
【0003】
特許文献2には螺旋誘起力の強い化合物(1)
R-X1-A1-C*HY1-CH2-(B2)n-X2-A2-X3-A3-X4-Z-OCO-CY2=CH2 (1)
(式中、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基、水素原子の一個以上がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のアルキル基、水素原子またはハロゲン原子を表し、X1、X2、X3、X4は相互に独立して-COO-、-O-、-OCO-、-OCH2-、-CH2O-、または単結合を表し、Y1はメチル基、または水素原子の一個以上がフッ素原子で置換されてメチル基、Y2は水素原子またはメチル基を表し、A1、A2、A3は相互に独立して、水素原子の1個または2個がフッ素原子に置換されていても良い1,4-フェニレン基、水素原子の1個または2個がメチル基に置換されていても良い1,4-フェニレン基、非置換の2,6-ナフチレン基、非置換のトランス-1,4-シクロヘキシレン基または単結合を表し、B1、B2は相互に独立して水素原子の1個または2個がフッ素原子に置換されていても良い1,4-フェニレン基、水素原子の1個または2個がメチル基に置換されていても良い1,4-フェニレン基、非置換の2,6-ナフチレン基、非置換のトランス-1,4-シクロヘキシレン基または-D1-CH2-D2-(D1またはD2はそれぞれ独立に、水素原子の1個または2個がフッ素原子および/またはメチル基に置換されていても良い1,4-フェニレン基、非置換の2,6-ナフチレン基、非置換のトランス-1,4-シクロヘキシレン基)、nは1または2、C*は不斉炭素を表す)が開示されており、特許文献3にも、螺旋誘起力の強い化合物(2)
【0004】
【化2】
Figure 0004556097
【0005】
が開示されている。しかしながら、これらの化合物による螺旋誘起力では要求される特性を満たすことができず、さらに強い螺旋誘起力をもつ化合物が求められていた。
【0006】
特許文献4には、螺旋誘起力が強い化合物として下記化合物が開示されている。
【0007】
【化3】
Figure 0004556097
【0008】
(式中、Spはそれぞれ独立して20個までの炭素原子を有するスペーサー基を表し、Xはそれぞれ独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、または単結合を表し、Yはそれぞれ独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH2CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CH=CH-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-C≡C-または単結合を表し、a、b、cおよびdは相互に独立して0または1であり、ただしa及びdの全部が同時に0になることはなく、R1及びR2は相互に独立して、H、CNまたはハロゲンであるか、あるいは25個までの炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状アルキル基であり、この基は未置換であるか、あるいは置換基として1個または2個以上のCNまたはハロゲンを有することができ、さらにまたこの基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基はそれぞれ相互に独立して、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-S-CO-、-C-O-S-または-C≡C-により置き換えられていてもよく、あるいはR及びR2はまた、P-(Sp-X)n-(ここで、SpおよびXは上記意味を表し、nは0または1であり、そしてPは重合性基を表す)を表すことができ、そして、MG1およびMG2はそれぞれ独立して、下記式(4)で表されるメソゲン基またはメソゲン支持基である:
-(A1-Z)m-A2- (4)
(式中、Zは-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH2-CH2-、-OCH2-、-CH2O-、-SCH2-、-CH2S-、-CH=CH-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-C≡C-または単結合を表し、A1及びA2はそれぞれ独立して1,4-フェニレン基であり、この基中に存在する1個または2個以上のCH基はNにより置き換えられてもよく、あるいは1,4-シクロヘキシレン基であり、この基中に存在する1個または隣接していない2個のCH2基はまた、Oおよび(または)Sにより置き換えられていてもよく、あるいは1,4-シクロヘキセニレン基、1,4-ビシクロ-(2,2,2)-オクチレン基、ピペリジン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基であり、これらの基は全部が未置換であるか、または置換基として、1個または2個以上のハロゲン、シアノ、またはニトロ基を有するか、あるいは炭素原子1〜7個を有し、その分子中の1個または2個以上のH原子がFまたはClにより置換されていても良いアルキル基、アルコキシ基またはアルカノイル基を有し、そしてmは0、1、2または3である)。このような化合物は強い螺旋誘起力をもつものの、不斉中心が2つあるため、光学純度を上げるのが難しく、製造ロットごとの螺旋誘起力のバラツキが大きくなりやすいという欠点があった。
【特許文献1】
特開平7−258638号公報
【特許文献2】
特開2002−12580号公報
【特許文献3】
特開平8−245960号公報(8項)
【特許文献4】
特開11−302229号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
不斉中心が一つであり、かつ螺旋誘起力が大きく、重合性官能基を有する光学活性化合物、該光学活性化合物を含有する液晶組成物、該光学活性化合物を重合体、該重合体を含有する液晶表示素子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は一般式(I)で表される光学活性化合物を提供する。
【0011】
【化4】
Figure 0004556097
【0012】
(式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基、フルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、C*は不斉炭素原子を表し、Pは重合性官能基を表し、Sは炭素原子数1〜12のアルキレン基を表し、置換基として1個以上のF、Cl、CN、CH3またはCF3を有することができ、該アルキル基に存在する1個または2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとしてO、CO又はCOOで置換されていてもよく、X1は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、-COO-、-OCO-、-CH=N-、-N=CH-、-C≡C-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-CH=CH-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2OCO-、-COOCH2CH2-を表し、Z1及びZ2はそれぞれ独立的に、単結合、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CONH-、-NHCO-、-CH2COO-又は-CH2OCO-を表し、Wは、炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、ハロゲン原子、CN又はNCSを表し、該アルキル基又はアルケニル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CN、CH3又はCF3を有することができ、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよく、Rは炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、ハロゲン原子、CN、NCSを表し、該アルキル基又はアルケニル基は非置換であるか又は置換基として1個または2個以上のF、Cl、CN、CH3、又はCF3を有することができ、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個または2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよく、もしくは、P1-S1-X1と同じ意味を表し、m、n、p及びqはそれぞれ独立的に0、1、2、又は3を表し、n又はm=2のとき複数存在するZ1、Z2、A1及びA3は各々同じ基を意味しても、異なる基を意味しても良い。ただし、RがCH3、Z1がCOO、Z2が単結合、q=m=0を表す場合、pは1又は2を表す。)。 一般式(I)において、置換基Wが水素原子を表す化合物は、、特許文献2において既に開示されている、しかしながら、本発明の化合物は、不斉炭素に結合したベンゼン環のメタ位に置換基Wを導入することにより、螺旋誘起力を著しく大きくできるという新しい知見により、設計されたものである。特許文献2には、フェニル基のメタ位に置換基Wを導入することにより螺旋誘起力が増大することについて示唆する記述は無い。
【0013】
さらに本発明は、一般式(I)で表される光学活性化合物を含有する液晶組成物、該光学活性化合物の重合体、該重合体を含有する液晶表示素子を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一例について説明する。一般式(I)のP1は重合性官能基を表し、重合性官能基として認識されるものであれば特に制限は無いが、下記式(II-1)〜(II-2)から選択するのが好ましい。この中でも、(II-1)、(II-3)、(II-9)は好ましく、(II-1)が特に好ましい。
【0015】
【化5】
Figure 0004556097
【0016】
一般式(I)のS1は炭素原子数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素原子数2〜8のアルキレン基がさらに好ましく、3〜6のアルキレン基が特に好ましい。
一般式(I)のWは、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子またはCNが好ましく、F、CH3、CF3、OCH3、またはOCF3がさらに好ましく、OCH3が特に好ましい。
一般式(I)のA1、A2、A3としてはそれぞれ独立的に1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基が好ましく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基がさらに好ましい。1,4-フェニレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3、CH3を置換基として有していても良い。
【0017】
一般式(I)のX1としては、単結合、-O-が好ましく、-O-がさらに好ましい。
一般式(I)のY1、Y2としてはそれぞれ独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH2CH2-、-CH2CH2OCO-、-COOCH2CH2-が好ましく、単結合、-COO-、-OCO-、-CH2CH2OCO-、-COOCH2CH2-がさらに好ましく、単結合、-COO-、-OCO-が特に好ましい。また、紫外線照射量の多寡によって螺旋誘起力を変化させたい場合には、一般式(I)のY1、Y2としては-CF=CF-、-CH=CH-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-が好ましく、-CF=CF-、-CH=CH-、-CH2CH=CHCH2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-がさらに好ましく、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-が特に好ましい。
一般式(I)のZ1及びZ2はそれぞれ独立的に、単結合、-O-、-COO-、-OCO-が好ましい。
【0018】
一般式(I)のRは、化合物として低い粘度が必要な場合にはCH3、もしくはCF3が好ましく、反応により架橋密度を有する高分子を得ることが必要な場合には、P1-S1-X1と同じ意味であることが好ましい。
一般式(I)のmは1または2が好ましく、1がさらに好ましい。
一般式(I)のnは、化合物として低い粘度が必要な場合は0が好ましく、化合物として低い粘度が必要でない場合は2または3が好ましい。
一般式(I)のpは0または1が好ましい。
一般式(I)のqは0または1が好ましい。
一般式(I)の不斉炭素C*の絶対配置は、RまたはSどちらでも良く、その用途に合わせて選択すれば良い。
【0019】
一般式(I)のnが0の具体的な化合物としては式(I-1)〜(I-24)で表される化合物が好ましい。これらの化合物は低い粘度が得られる。
【0020】
【化6】
Figure 0004556097
【0021】
【化7】
Figure 0004556097
【0022】
【化8】
Figure 0004556097
【0023】
(式中、P1、S1、X1は一般式(I)におけるものと同じ意味を表す)。P1は、CH2=CH-COO-が好ましく、S1は炭素原子数2〜8のアルキレン基が好ましく、X1としては-O-が好ましい。
【0024】
一般式(I)のnが1、2、3の場合の具体的な化合物として、式(I-25)〜(I-)の化合物が上げられる。これらの化合物は、反応により架橋密度を有する高分子を得ることができる。
【化9】
Figure 0004556097
(式中、P1、S1、X1は一般式(I)におけるものと同じ意味を表す)。P1は、CH2=CH-COO-が好ましく、S1は炭素原子数2〜8のアルキレン基が好ましく、X1としては-O-が好ましい。
【0025】
一般式(I)において、q=0、Z1が-COO-、Z2が単結合、nが0の化合物の場合、例えば、以下の方法で合成することができる。
【化10】
Figure 0004556097
(P1、S1、Y1、p、W、A1、A2、Wは一般式(I)におけるものと同じ意味を表す)
一般式(PI-1)のカルボン酸誘導体と一般式(PI-2)の光学活性アルコール誘導体をDCCのような縮合剤を用いてエステル縮合させることによって一般式(PI-3)の本発明の化合物を合成することができる。
【0026】
一般式(I)において、q=0、Z1が-OCO-、Z2が単結合、nが0の化合物の場合、例えば、以下の方法で合成することができる。
【化11】
Figure 0004556097
(P1、S1、Y1、p、W、A1、A2、Wは一般式(I)におけるものと同じ意味を表す)
一般式(PI-4)のアルコール誘導体と一般式(PI-2)の光学活性カルボン酸誘導体をDCCのような縮合剤を用いてエステル縮合させることによって一般式(PI-6)の本発明の化合物を合成することができる。
【0027】
一般式(I)において、q=0、Z1が-O-、Z2が単結合、nが0の化合物の場合、例えば、以下の方法で合成することができる。
【化12】
Figure 0004556097
(P1、S1、Y1、p、W、A1、A2、Wは一般式(I)におけるものと同じ意味を表す)
【0028】
一般式(PI-4)のようなアルコール誘導体と一般式(PI-7)の光学活性アルコールのp-トルエンスルホン酸エステル誘導体を塩基の存在下と反応させることによって一般式(PI-8)の本発明の化合物を合成することができる。
【0029】
一般式(I)においてZ1が-COO-、Z2が-OCO-の化合物の場合、例えば、以下の方法で合成することができる。
【化13】
Figure 0004556097
(P1、S1、Y1、p、q、m、W、A1、A2、Wは一般式(I)におけるものと同じ意味を表す。pとqは等しくない)。
【0030】
一般式(PI-1)のようなカルボン酸誘導体と一般式(PI-9)のような光学活性アルコールをDCCのような縮合剤を用いてエステル縮合させることによって一般式(PI-10)の本発明の化合物を合成することができる。
【0031】
本発明の液晶組成物について説明する。
本発明の液晶組成物は、本発明の光学活性化合物を1つ以上含有することを特徴とする。光学活性化合物の含有は0.01〜80質量%が好ましいが、ピッチの要求値に応じて調整する必要がある。
【0032】
本発明の液晶組成物の25℃におけるピッチは0.1〜1000μmがこのましいが、最適値は使用用途によって異なり、TN(ツイステッドネマチック)液晶表示に用いる場合には20〜500μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。STN(スーパーツイステッドネマチック)液晶表示素子に用いる場合には、2〜30μmが好ましく、4〜15μmがより好ましい。コレステリック液晶を用いた素子の場合、0.1〜2μmが好ましく、0.15〜1.0μmがより好ましい。
【0033】
本発明の液晶組成物には、本発明の光学活性化合物の他に、重合性を有する化合物を含有しても良い。このような化合物の中でも、液晶骨格を有する化合物が好ましい。このような化合物としては、一般式(III)
【化14】
Figure 0004556097
【0034】
(式中、A4、A5及びA6はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基、フルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、P2は重合性官能基を表し、S2は単結合、炭素原子数1〜12のアルキレン基を表し、置換基として1個以上のF、Cl、CN、CH3またはCF3を有することができ、該アルキル基に存在する1個または2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとしてO、CO又はCOOで置換されていてもよく、X2は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-を表し、Y3、Y4及びY5はそれぞれ独立的に、単結合、-COO-、-OCO-、-CH=N-、-N=CH-、-C≡C-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-CH=CH-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2COO-、-OCOCH2CH2-を表し、Z3は単結合、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CONH-、-NHCO-、-CH2COO-又は-CH2OCO-を表し、Lは炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、ハロゲン原子、CN、NCSを表し、該アルキル基又はアルケニル基は非置換であるか又は置換基として1個または2個以上のF、Cl、CN、CH3、又はCF3を有することができ、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個または2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよく、もしくは、P2-S2-X2と同じ意味を表し、rは0、1、又は2を表す)で表される化合物が好ましい。
【0035】
一般式(III)のP1は重合性官能基を表し、重合性官能基として認識されるものであれば特に制限は無いが、下記式(II-1)〜(II-2)から選択するのが好ましい。この中でも、(II-1)、(II-3)、(II-9)は好ましく、(II-1)が特に好ましい。
【化15】
Figure 0004556097
【0036】
一般式(III)のS2は炭素原子数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素原子数2〜8のアルキレン基がさらに好ましく、3〜6のアルキレン基が特に好ましい。アルキレン基は、置換基として1個以上のF、Cl、CN、CH3またはCF3を有することができ、該アルキレン基に存在する1個または2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとしてO、CO又はCOOで置換されていてもよい。
一般式(I)のA4、A5、A6としてはそれぞれ独立的に1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基が好ましく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基がさらに好ましく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基が特に好ましい。1,4-フェニレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基は1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3、CH3を置換基として有していても良い。
一般式(III)のXとしては、単結合、-O-が好ましく、-O-がさらに好ましい。
【0037】
一般式(III)のY3、Y4としてはそれぞれ独立的に単結合、-COO-、-OCO-、-C≡C-、-CH2CH2-、-CH2CH2COO-、-OCOCH2CH2-が好ましい。
一般式(III)のZ3は単結合、-O-、-COO-、-OCO-が好ましい。
一般式(III)のLは、化合物として低い粘度が必要な場合には炭素原子数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基がより好ましい。反応により架橋密度を有する高分子を得ることが必要な場合には、P1-S1-X1と同じ意味であることが好ましい。
【0038】
一般式(III)の化合物の中でも、P1がアクリロイルオキシ基、S2が単結合、X2が単結合の化合物は、粘度が低いため好ましい。具体的には式(III-A-1)〜(III-A-12)の化合物を挙げることができる。
【0039】
【化16】
Figure 0004556097
(式中、L'は炭素原子数1〜8のアルキル基を表す)
【0040】
一般式(III)の化合物の中でも、P1がアクリロイルオキシ基、S2が炭素原子数2〜8のアルキレン基、X2が単結合、又は-O-、Lは炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、ハロゲン原子、CNを表す化合物は、粘度が低く、かつ反応により得られる高分子の柔軟性を確保できるため好ましい。具体的には式(III-B-1)〜(III-B-11)の化合物を挙げることができる。
【0041】
【化17】
Figure 0004556097
(式中、uは2〜12の整数を表し、vは0または1を表し、Z3、Lは一般式(III)におけると同じ意味を表す)。
【0042】
一般式(III)の化合物の中でも、P1がアクリロイルオキシ基、S2が炭素原子数2〜8のアルキレン基、LがP2-S2-X2と同じ意味を表す化合物は、分子内に2つの重合性官能基を有するため反応により得られる高分子の機械的、熱的な安定性が高いために好ましい。具体的には式(III-C-1)〜(III-C-6)の化合物を挙げることができる。
【0043】
【化18】
Figure 0004556097
(式中、uは2〜12の整数を表し、vは0または1を表し、Z3、Lは一般式(III)におけると同じ意味を表す)。
【0044】
本発明の液晶組成物には本発明の光学活性化合物の他に、重合性官能基を持たない液晶材料を含有していても良い。このような液晶材料としては、液晶表示素子の技術分野で用いられているネマチック液晶材料、スメクチック液晶材料、コレステリック液晶材料を挙げることができる。
【0045】
本発明の液晶組成物は、その目的に応じて特性や成分を調節するのが好ましい。
本発明の液晶組成物を、電圧の印加により光学特性を変化させる表示目的で使用する場合、液晶相としてはキラルネマチック(コレステリック)相を呈することが好ましい。結晶相又はスメクチック相−キラルネマチック相転移温度は0℃以下、好ましくは-10℃以下、さらに好ましくは-20℃以下、特に好ましくは-30℃以下が良い。また、キラルネマチック相−等方性液体相転移温度は、60〜150℃の範囲から選択することができ、好ましくは75℃以上、さらに好ましくは85℃以上が良い。粘度は、5 〜150mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは5〜60 mPa・sの範囲であり、特に好ましくは5〜40 mPa・sの範囲である。誘電率異方性Δεは、25℃において、1≦Δε≦60の範囲が好ましく、2≦Δε≦40の範囲がさらに好ましく、6≦Δε≦30の範囲が特に好ましい。屈折率異方性Δnは、25℃において0.03≦Δn≦0.40の範囲が好ましく、0.04≦Δn≦0.38の範囲がさらに好ましく、0.05≦Δn≦0.35の範囲が特に好ましい。成分としては重合性官能基を持たない液晶化合物を少なくとも20質量%以上、このましくは80%質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含有させることが好ましい。
【0046】
一方、本発明の液晶組成物を電圧の印加により光学特性を変化させる表示目的ではなく、コレステリックフィルムなどの固体フィルムの製造に使用する場合、液晶相としてはキラルネマチック(コレステリック)液晶相もしくはキラルスメクチック相が好ましく、キラルネマチック相がより好ましい。キラルネマチック−等方性液体相転移温度は、40〜90℃の範囲に調製するのが好ましく、40〜80℃の範囲に調整するのがより好ましく、40〜60℃の範囲に調整するのが特に好ましい。キラルネマチック−等方性液体相転移温度が90℃より高い場合、注入工程等において本発明の液晶組成物を等方性液体相にする必要がある場合において、意図しない熱重合を誘起させてしまう危険があり、キラルネマチック相−等方性液体相転移温度が40℃より低いと20〜25℃の室温で、本発明の光学活性化合物を反応させる場合において、温度変化が屈折率異方性Δnに大きな影響を与えてしまいやすくなる危険がある。
【0047】
本発明の液晶組成物には、含有される本発明の光学活性化合物の重合性を向上させることを目的として、光重合開始剤を添加することができる。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。その添加量は、液晶組成物に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.02〜1質量%がさらに好ましく、0.03〜1質量%の範囲が特に好ましい。また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β-ナフチルアミン類、β-ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%がさらに好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。成分としては、本発明の光学活性化合物と一般式(III)のような重合性官能基を有する液晶化合物の総量が、60質量%以上になるのが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
次に本発明の高分子について説明する。
【0048】
本発明の高分子は、本発明の液晶組成物中に含有される重合性化合物を反応させることによって作製することができる。本発明の液晶組成物を布等でラビング処理した基板、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持し、本発明の液晶組成物に、紫外線又は電子線を照射することによって反応させる方法が好ましい。成分として重合性官能基を持たない液晶化合物を含有する場合、重合性官能基を持たない液晶化合物と重合性化合物の硬化物である高分子の複合体を得られる。このような複合体はそのまま利用しても良い。紫外線または電子線の照射時の温度は、本発明の組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって重合体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線や電子線の強度は、0.1mW/cm2〜2W/cm2が好ましい。強度が0.1mW/cm2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm2以上の場合、重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0049】
重合によって得られた本発明の重合体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲で、また熱処理時間は30秒〜24時間の範囲が好ましい。
【0050】
このような方法によって製造される本発明の高分子は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた重合体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【0051】
次に本発明の液晶表示素子について説明する。
本発明の液晶表示素子、は液晶セルに重合性官能基を持たない液晶化合物を含有する本発明の液晶組成物を注入し、本発明の液晶組成物に紫外線または電子線を照射し、液晶セルの内部に重合性官能基を持たない液晶化合物と重合性化合物の硬化物である高分子の複合体を形成することによって作製することができる。紫外線または電子線の照射時の温度は、本発明の組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって重合体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線や電子線の強度は、0.1mW/cm2〜2W/cm2が好ましい。強度が0.1mW/cm2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm2以上の場合、本発明の液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0052】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。粘度はE型粘度計を用いて20℃において測定した。%は質量%を表す。
【0053】
螺旋の掌性は右ねじと同じ螺旋構造を右巻きとし、左ねじと同じ螺旋構造を左巻きとする。又、掌性は螺旋構造の知られている標準試料との接触法を用いて決定した。
螺旋の自然ピッチは、くさび法(Cano法)により25℃にて測定を行った。
【0054】
(実施例1) 光学活性化合物の合成(1)
以下の経路に従って、本発明の光学活性化合物(e-5)を合成した。
【化19】
Figure 0004556097
【0055】
化合物(e-1)、化合物(e-1)に対して3モル当量の水酸化ナトリウム、及びエタノールと水の混合溶媒(容量比1:1)の混合物に、6-クロロ-1-ヘキサノールを化合物(e-1)に対して2モル当量滴下した後、24時間加熱環流させて化合物(e-2)を得た。化合物(e-2)、化合物(e-2)に対して4モル当量のアクリル酸、及び触媒量のp-トルエンスルホン酸、ヒドロキノン、及びトルエンとヘキサンの混合溶媒(容量比1:1)の混合物を、生成する水を留去しながら10時間加熱環流して化合物(e-3)を得た。化合物(e-3)、化合物(e-3)に対して1モル当量の光学活性化合物(e-4)、化合物(e-3)に対して1.2モル当量の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、及び塩化メチレンからなる混合物を室温で3時間撹拌して、化合物(e-5)の粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Rf=1.0)、及びエタノールからの再結晶により精製して、本発明の光学活性化合物(e-5)を得た。この化合物は接触法により左巻きの掌性を有していた。
融点49℃。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ 1.51〜1.70(m、11H)、3.80(s、3H)、4.02(t、2H)、4.17(t、2H)、5.42(q、1H)、5.80(d、1H)、6.13(dd、1H)、6.38(d、1H)、6.80〜7.85(m、12H)。
【0056】
(実施例2) 光学活性化合物の合成(2)
以下の経路に従って、本発明の光学活性化合物(e-7)を合成した。
【化20】
Figure 0004556097
【0057】
化合物(e-3)、化合物(e-3)に対して0.5モル当量の光学活性化合物(e-6)、化合物(e-3)に対して1.2モル当量の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、触媒量の4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、及び塩化メチレンからなる混合物を室温で3時間撹拌して、化合物(e-7)の粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Rf=0.8)、及びトルエンと酢酸エチルの混合溶媒(容量比5:1)からの再結晶により精製して、本発明の光学活性化合物(e-7)を得た。
融点77℃。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ1.51〜1.71(m、16H)、3.80(s、3H)、4.02(t、4H)、4.17(t、4H)、5.01(d、2H)、5.80(d、2H)、5.84(t、1H)、6.13(dd、2H)、6.38(d、2H)、6.80〜7.85(m、20H)。
【0058】
(実施例3) 液晶組成物の調整(1)
下式の液晶組成物(A)を調整した。
【化21】
Figure 0004556097
この液晶組成物は室温(25℃)でネマチック液晶相を示し、ネマチック−等方性液体相転移温度は41℃であった。波長550nmにおけるΔnは0.116であった。20℃における粘度は、59mPa・sであった。
この液晶組成物(A)に、本発明の光学活性化合物(e-5)を濃度が1%となるように添加して、本発明の液晶組成物(B)を調整した。液晶組成物(B)の25℃における螺旋ピッチは、4.3μmであった。
【0059】
(実施例4)
液晶組成物(A)に、本発明の光学活性化合物(e-7)を濃度が1%となるように添加して、本発明の液晶組成物(C)を調整した。液晶組成物(C)の25℃における螺旋ピッチは、3.1μmであった。
【0060】
(比較例1)
液晶組成物(A)に、光学活性化合物(e-11)
【化22】
Figure 0004556097
を濃度が1%となるように添加して、液晶組成物(D)を調整した。液晶組成物(D)の25℃における螺旋ピッチは、6.1μmであった。
【0061】
(比較例2)
液晶組成物(A)に、光学活性化合物(e-12)
【化23】
Figure 0004556097
を濃度が1%となるように添加して、液晶組成物(E)を調整した。液晶組成物(E)の25℃における螺旋ピッチは、3.9μmであった。
以上の結果から、本発明の光学活性化合物は、同じ添加量で比較した場合、より短い螺旋ピッチが得られることがわかる。
【0062】
(実施例5)
実施例3で調製した液晶組成物(B)に、光重合開始剤「ルシリンTPO」(BASF社製)を濃度が0.1%となるように添加して、本発明の液晶組成物(B')を調製した。この液晶組成物(B')をセルギャップ10μmのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に室温にて注入した。室温にて10分間静置後、紫外線照射機SP−III(ウシオ電機社製)を用いて4mW/cmの紫外線を2分間照射して、本発明の光学活性化合物の共重合体を得た。この共重合体は、内部にキラルネマチック配向が固定化されていることが偏光顕微鏡観察により確かめられた。
【0063】
(実施例6)
実施例4で調製した液晶組成物(C)に、光重合開始剤「ルシリンTPO」を濃度が0.1%となるように添加して、本発明の液晶組成物(C')を調製した。この液晶組成物(C')をセルギャップ10μmのアンチパラレル配向液晶ガラスセル(液晶を一軸配向するよう配向処理を施したガラスセル)に室温にて注入した。室温にて10分間静置後、紫外線照射機SP−III(ウシオ電機社製)を用いて4mW/cmの紫外線を2分間照射して、本発明の光学活性化合物の共重合体を得た。この共重合体は、内部にキラルネマチック配向が固定化されていることが偏光顕微鏡観察により確かめられた。
【0064】
(実施例7)
下式の液晶組成物(F)を調製した。
Figure 0004556097
この液晶組成物(F)のネマチック−等方性液体相転移温度は92℃、屈折率の異方性は0.140、誘電率の異方性は8.1、粘度は15.2mPa・sであった。この液晶組成物(F)に本発明の光学活性化合物(e-5)を濃度が13.3%になるように添加して、本発明の液晶組成物(G)を調製した。この液晶組成物(G)の螺旋ピッチは0.35μmであった。また、このキラルネマチック−等方性液体相転移温度は61℃であった。
【0065】
(比較例3)
実施例7で調製した液晶組成物(F)に、光学活性化合物(e-11)を濃度が18.2%となるように添加して、液晶組成物(H)を調製した。この液晶組成物(H)の螺旋ピッチは0.35μmであった。また、このキラルネマチック−等方性液体相転移温度は53℃であった。
実施例7と比較例3の比較から、同じ螺旋ピッチを得ようとした場合、本発明の光学活性化合物を使用すると添加量が少なくてすみ、液晶組成物としてのキラルネマチック−等方性液体相転移温度の低下が小さくてすむことがわかる。
【0066】
(実施例8) 液晶表示素子の作製
実施例7で調製した液晶組成物(G)に、光重合開始剤「ルシリンTPO」を濃度が0.5%となるように添加して、本発明の液晶組成物(G')を調製した。この液晶組成物(G')ををセルギャップ10μmのTN(ツイステッドネマチックセル:配向膜は約2度のプレチルトを与える)に注入して、10分間静置後、紫外線照射機SP−IIIを用いて4mW/cmの紫外線を3分間照射して、本発明の光学活性化合物を重合させることにより、本発明の液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子は、メモリー性を有するもので、しきい値電圧は15Vであった。
【0067】
(比較例4)
実施例3で調製した液晶組成物(H)に、光重合開始剤「ルシリンTPO」を濃度が0.5%となるように添加して、液晶組成物(H')を調製した。この液晶組成物(H')ををセルギャップ10μmのTN(ツイステッドネマチックセル:配向膜は約2度のプレチルトを与える)に注入して、10分間静置後、紫外線照射機SP−IIIを用いて4mW/cmの紫外線を3分間照射して、光学活性化合物を重合させることにより、本発明の液晶表示素子を作製した。この液晶表示素子は、メモリー性を有するもので、しきい値電圧は17Vであった。
実施例8と比較例4の比較から、本発明の光学活性化合物の重合体を含有する液晶表示素子は、しきい値電圧が低減されたものであることがわかる。
【0068】
【発明の効果】
本発明の光学活性化合物は、不斉中心が一つであり、かつ螺旋誘起力が大きい。
そのため、液晶材料に添加して螺旋構造を誘起させる際に、添加量が従来のものと比較して小量ですむ。そのため、液晶材料の特性を損なう危険が少ない。また、本発明の光学活性化合物は、重合性官能基を有しているため、重合体を製造することができ、例えばコレステリックフィルム作製や重合体を含有する液晶表示素子の作製にも有用である。

Claims (5)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004556097
    (式中、A1、A2及びA3はそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基、フルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、C*は不斉炭素原子を表し、Pは式(II-1)又は式(II-2)
    Figure 0004556097
    で表される重合性官能基を表し、Sは炭素原子数1〜12のアルキレン基を表し、置換基として1個以上のF、Cl、CN、CH3またはCF3を有することができ、該アルキル基に存在する1個または2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとして-O--CO-又は-COO-で置換されていてもよく、X1は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、-COO-又は-OCO-を表し、Z1は-COO-を表し、Z2は-OCO-を表し、Wは、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子又はCNを表しRは炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、ハロゲン原子、CN、NCSを表し、該アルキル基又はアルケニル基は非置換であるか又は置換基として1個または2個以上のF、Cl、CN、CH3、又はCF3を有することができ、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個または2個以上のCH 2 基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、-O--CO-又は-COO-で置換されていてもよく、もしくは、-X 1 -S 1 -P 1 と同じ意味を表し、mは0、1、2、又は3を表し、nは1、2、又は3を表し、pは0を表し、qは1を表し、n又はm=2のとき複数存在するY 1Y 2、A1及びA3は各々同じ基を意味しても、異なる基を意味しても良い。)で表される光学活性化合物。
  2. Wが炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のアルコキシ基である請求項1記載の光学活性化合物。
  3. 請求項1〜2の何れかに記載の光学活性化合物を含有する液晶組成物。
  4. 請求項1〜2の何れかに記載の光学活性化合物の重合体。
  5. 請求項4記載の重合体を含有する液晶表示素子。
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JP2004176038A (ja) * 2002-06-28 2004-06-24 Dainippon Ink & Chem Inc ヘリカルツイスティングパワーの増大方法、光学活性化合物、それを含有した液晶組成物及び液晶表示素子

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