JP4555510B2 - 回転検出センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転検出センサに係り、詳しくは回転検出センサの気密構造及び、その形状に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転検出センサとしては、例えば特開2000−310646号公報に記載されたものが知られている。第1従来例の回転検出センサは、ターミナルがインサート成形され、センサ及び電子部品が取り付けられたホルダを有底筒状のケース体に収容している。そのケース体の長手方向に外周溝及びコネクタを有したハウジングをケース体に対して一体成形し、成形時にケース体に設けられた溶着部がハウジング形成時に溶着され、シール性が保たれている。そして、回転部材を収容するハウジング内のオイルがコネクタ側に漏れるのを防いでいる。
【0003】
第2従来例の回転検出センサは、ケース体に対し、ハウジングの2次成形による溶着部の融着によるシール以外に、ホルダ側にさらにシール機能を有している。これは、ホルダの外径に円周状の凹部を形成し、この凹部にOリングなどのシール部材を取り付けると共に、ターミナルが延びる長手方向のホルダ端部に凹部を設け、この凹部に樹脂ポッティングによるシールを行ったり、ゴムブッシュを嵌め込んでシールを行うことで、センサ内部に対し、2重シール構造をとっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、第1従来例の回転検出センサでは、樹脂境界面がすべて外周溝に取着されたシール部材より回転部材側にあるため、回転検出センサの先端部に高温高圧のオイルが作用する搭載状態では脈動する油圧によりケース体が押される。そのため、溶着部に応力が加わることで溶着部が破損し、内部にオイルが浸入するという問題があった。
【0005】
第2従来例の回転検出センサでは、ホルダに形成した凹部に取り付けたシール部材によりセンサ内部(ホールIC収納空間)へのオイルの浸入は防げる。しかし、ホルダとターミナル間のシールは樹脂ポッティングとなっているため、脈動する高温高圧のオイルによってポッティングの接着面がターミナルから剥離し、ターミナルとホルダの隙間からオイルがセンサ内部に浸入するという問題があった。
【0006】
第1及び第2従来例では、回転検出センサのハウジング成形時においては、欠肉など樹脂の成形不良を防ぐために、樹脂成形の金型に流し込む樹脂圧をある程度高くする必要がある。しかし、樹脂圧はホルダ後端面に加わるため、ホルダを強く検出素子側に押圧することとなり、その結果ケース体の変形等の不具合を招くという問題があった。
【0007】
第1及び第2従来例では、ケース体とハウジングとの固定は、ケース体に設けられた抜け防止部にハウジング樹脂をまわしこむことで行っている。この時、抜け防止部は薄肉であり樹脂の最終到達点となるため、ハウジング成形時の樹脂圧を非常に高くする必要がある。しかし、第2従来例では抜け防止部が設けられている位置の内側にシール部材が配置されているため、成形樹脂圧力がケース内径を変形させ、シール部材の締め代が確保されなくなり、シール不良となりやすい問題があった。
【0008】
本発明の目的は、高温高圧の液体内に先端が挿入される回転検出センサにおいて、内部へ液体の浸入を防ぐことができる回転検出センサを提供することにある。
【0009】
また、ハウジング成形時の高い樹脂圧に対して、ケース体の変形などの不具合の発生をおさえることができる回転検出センサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、回転部材の回転を検出する検出素子と、検出素子が先端に取着され、外周面に第1溝が形成されたホルダと、検出素子及びホルダの第1溝より先端側部分を収容するケース体と、前記ケース体に形成した凸部と該ケース体に収容される前記ホルダに形成した凸部と係合する抜け止め部と、前記ホルダの第1溝より後端側部分を覆うハウジングと、前記ホルダの第1溝に取り付けられる第1シール部材と、を備え、該抜け止め部は、ハウジング成形時に前記第1溝より先端側部分における前記ホルダ及び前記ケース体の外周面に形成された円環状の樹脂流路に樹脂を注入することにより前記ハウジングと別体に成形されてなることにより構成されている。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、抜け止め部を収容する前記円環状の樹脂流路における樹脂の注入口と対向する箇所の底面が、樹脂の注入口と対向しない箇所の底面よりも深く形成されていることにより構成されている。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、第1溝より先端側部分におけるホルダの外周面に第2溝が形成されるとともに、該第2溝にはケース体の内周と前記ホルダとの間をシールする第2シール部材が配設されることにより構成されている。
【0014】
また、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、第2溝及び第2シール部材は、軸方向に関して抜け止め部よりも検出素子側に配設されることにより構成されている。
【0015】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、ホルダの第1溝より先端部分のみが高圧の流体内で作用することになり、樹脂成形圧力がケース体に及ぼす力は、前記円環状の樹脂流路に成形される樹脂からのもののみとなるためケース体にかかる圧力が小さくなる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、抜け止め部における樹脂の注入口と対向する箇所の底面が深く形成されているので、樹脂の流れ性が向上し、樹脂注入口より注入された樹脂が樹脂流路全体にスムーズに行き渡ることとなる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、ホルダに第2溝を設けるとともに第2溝に第2シール部材を配設することで、ケース体とホルダとの間におけるシール性が向上する。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、ホルダに設けられた第2溝上に位置するケース体に抜け止め部の樹脂成形時の圧力がかかり難くなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した回転検出センサの一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0021】
回転検出センサ1は、ホルダ2と、ターミナル3と、磁気検出素子4と、ケース体5と、ハウジング6を備えている。尚、以下の説明は、図面1〜3及び図面5において、図面下端を先端とし、図面上端を後端として行う。
【0022】
前記ホルダ2は、樹脂(PPS)により形成されており、略円柱状をなしている。ホルダ2は、先端部及び後端部が縮径され、先端部がケース体5に収容され、後端部がハウジング6により覆われている。
【0023】
ホルダ2の円筒面上には、その軸長さの略中央に、第1溝としての第1設置溝10が円周方向に沿って円環状に形成されており、その第1設置溝10には、第1シール部材として外部シールを行うために第1Oリング11が嵌め込まれている。第1設置溝10は、それに嵌め込まれる第1Oリング11の外径がホルダ2の外径よりも大きくなるように形成されている。
【0024】
ホルダ2の先端側にはケース体5に挿入されるケース挿入部12が形成されており、そのケース挿入部12の直径は該ケース挿入部12を挿入するケース体5の内径よりやや小さく形成されている。
【0025】
ホルダ2の円筒面上の第1設置溝10と、ケース挿入部12の間には、その円周面上にホルダ凹部13が円周方向に沿って円環状に形成されている。従って、ホルダ凹部13と、ケース挿入部12に挟まれた位置(ホルダ凹部13より先端側)には円周方向に沿った円環状の凸部が形成されることとなる。その凸部は、周方向に適当な間隔を持って内方に向かって切り欠かれており、複数(本実施形態では4つ)のホルダ凸部14が形成されている。
【0026】
前記ホルダ2の切り欠きから、ホルダ凹部13の底部の間にはテーパ状の斜面15が複数面形成されている。尚、本実施形態では円周面対向位置に2つ形成されている。前記斜面15はホルダ2の切り欠きから、ホルダ凹部13の底部へ近づくにつれ、ホルダ2内方へと形成されている。つまり、斜面15は、その中央部の深さ(ホルダ2の最外周からの半径方向の距離)は、ホルダ凹部13の深さより大きく形成されている。
【0027】
また、ホルダ2の先端部近傍には、円周方向に沿って円環状に第2溝としての第2設置溝16が形成されている。第2設置溝16は、その径方向にケース体5に設けられた後述するケース体凹部17より先端側に形成されている。従って、第2設置溝16とケース体凹部17の軸線方向(図1の上下方向)の位置はずれている。
【0028】
第2設置溝16には、シーリング部材として内部シールを行うために第2シール部材としての第2Oリング18が嵌め込まれている。第2設置溝16は、それに嵌め込まれた第2Oリング18の外径がホルダ2のケース挿入部12の外径よりも大きく、かつ第2Oリング18の外径がケース体5の内径よりも大きくなるように形成されている。
【0029】
前記ホルダ2には、その先端に磁気検出素子4が取着されている。磁気検出素子4は、磁束を発生させる磁石20と、ホールICなどを備えた検出素子21とを内部又は一体で有している。ホルダ2には、一方の端部が垂直方向に曲がったターミナル3がインサートされており、磁気検出素子4は、そのターミナル3の先端部に半田付けなどにより電気的に接続され固定されている。
【0030】
磁気検出素子4は、外周にギヤ面を有するまたは放射状のスリットが径方向に設けられた回転部材22の回転を非接触により検出するものである。具体的には磁石20により自身の周囲に生じる磁束が回転部材22の回転により磁束密度が変化する条件の基で、その変化を検出素子21により検出するものである。尚、この場合、回転部材22は回転運動を行うものではなく、直線運動を行うラックのようなものでもラックの直線運動を検出素子21により検出を可能とすることができる。
【0031】
前記ターミナル3は、その後端がホルダ2後端より突出している。ホルダ2は、ターミナル3の突出部の周囲に樹脂注入部23が凹設されている。この樹脂注入部23には、ポッティング材としてのシリコン樹脂24が注入されており、ポッティングシールがされている。
【0032】
ターミナル3の後端部にはリード線25が電気的に接続されており、そのリード線25は回転検出センサ1の後端より引き出されている。そのリード線25にはグロメット26が嵌め込まれ、それによるシーリングがなされている。
【0033】
前記磁気検出素子4は樹脂(PPS)よりなる有底筒状のケース体5の内側に収容されている。
ケース体5は、樹脂よりなり、有底筒状に形成されている。ケース体5は、開口端から前方所定距離に周方向に沿って全周にわたるケース体凹部17が形成されている。ケース体凹部17の深さはケース体5の側壁の厚さの略半分となっており(図4参照)、ケース体凹部17の径は前記ホルダ2上で切り欠かれた部位の径と同一となるように形成されている。また、ケース体5の開口端は、周方向所定間隔毎に内方に向かって切り欠かれて複数(本実施形態では4つ)のケース体凸部27が形成されている。尚、ケース体5の開口端切り欠きは、ケース体凹部17の深さと同一に形成されている。従って、ケース体凹部17は、全周にわたる周方向の溝と、その溝から開口端に向かう軸線方向の溝から形成されており、その溝は前記ホルダ2上の切り欠きへと同一円筒面上でつながることとなる。
【0034】
また、前記ケース体5は、後端部に近づくにつれて内径が大きくなるように後端部内周面に、テーパ状の導入面28が形成されている。尚、導入面28の開口端内径は、ホルダ2に嵌め込まれた第2Oリング18の外径よりも大きく設定されている。また、ケース体5の内径は、ホルダ2に嵌め込まれた第2Oリング18の外径よりも小さくなるように形成されている。従って、第2Oリング18は導入面28により縮径され、ケース体5にホルダ2の先端部を挿入することを容易にしている。また、導入面28の開口端内径が第2Oリング18より大きいため、その開口端により第2Oリング18を傷つけない。
【0035】
ホルダ2とケース体5は抜け止め部29により抜け止めされている。詳述すると、抜け止め部29はホルダ凹部13とケース体凹部17の形状に対応する円環状に形成されている。そして、抜け止め部29は、ホルダ2のホルダ凸部14と、ケース体5のケース体凸部27との周囲を囲むように形成されている。従って、抜け止め部29は、ホルダ凸部14及びケース体凸部27と係合し、ホルダ2とケース体5の抜け止めを行っている。
【0036】
ハウジング6には回転検出センサ1を所定部材(例えば、オートマチックトランスミッションの油圧回路等)に取り付けるためのフランジ部37が設けられており、そのフランジ部37にはボルト38などの締結部材により固定されるための締結孔39が成形されている。
【0037】
ハウジング6と抜け止め部29は、図6に示す金型30に樹脂(ナイロン66等)を注入することによって成形される。
金型30には、ワーク(組み付けたケース体5及びホルダ2)を収容する凹部31と止め部成形部32及びハウジング成形部33に樹脂を供給するランナー34が形成されている。また、金型30には、金属製のカラー35をセットし、該カラー35内部に樹脂の流入を防ぐためのスライドコア36が設けられている。
【0038】
ワークは、軸方向にケース体5先端面と、第1設置溝10と、グロメット26により保持固定される。また、ワークは、ホルダ2の斜面15が止め部成形部32のゲートと対向するように挿入され、成形樹脂に対して、ケース体5先端面と、第1設置溝10と、グロメット26によりその姿勢が固定される。
【0039】
図6に示すように、樹脂の注入は二股に分かれたランナー34によって行われ、一方は、ホルダ2とケース体5の止め部成形部32に、他方は、ハウジング成形部33に注入される。
【0040】
抜け止め部29はホルダ2及び、ケース体5にまたがって形成され、その両方に形成されている凹部の径が同一に形成されている。すなわち、同一円筒面上に凹部が形成されており、それが樹脂流路となっている。
【0041】
ハウジング成形部33に注入された樹脂は、ホルダ2の後端部と、ホルダ2の後端部から突出するターミナル3と、リード線25と、前記リード線25をその内部に有するグロメット26とを略覆い、ハウジング6を成形している。
【0042】
止め部成形部32に注入された樹脂は、斜面15により樹脂流路が深くなっているのでその流れ性がよく、樹脂が樹脂流路全体に容易に行き渡る。
抜け止め部29の成形状態は、抜け止め部29とケース体5を形成する樹脂の径方向への厚さが略同一となっている。すなわち、ケース体5の後端部と樹脂はケース体5の厚さの略半分の面積で接することとなる。
【0043】
図4は、図3のA−A線断面図である。すなわち、抜け止め部29の成形状態は、抜け止め部29とケース体5を形成する樹脂の径方向への厚さが略同一となっている。成形時に金型30に注入される樹脂は、抜け止め部29を形成する。従って、成形時の樹脂圧は、抜け止め部29を形成する部分に加わる。従って、成形時に樹脂の圧力を受けるホルダ2の軸方向に関する受圧面積が従来例に比べて極めて小さい。従って、樹脂注入時にホルダ2をケース体5に向かって押圧する力が少なく、ホルダ2が移動しないので、ケース体5の開口端は座屈変形しない。
【0044】
また、樹脂流路(ケース体凹部17とホルダ凹部13)の位置は、ケース体5とホルダ2の先端部との間に配置された第2Oリング18の位置と軸線方向にずれている。従って、抜け止め部29の成形時に第2Oリング18を挟み込むケース体5の部分は変形しないので、第2Oリング18の締め代は変化しない。
【0045】
次に、上記のように構成された回転検出センサ1の作用を説明する。
図5に示すように、回転検出センサ1は、磁気検出素子4が回転部材22の回転を検出できるように取付孔40aに挿入され、フランジ部37の締結孔39に挿入されたボルト38により部材40に固定される。第1Oリング11は、取付孔40aの内周面と第1設置溝10の外周面に挟まれて、縮径状態となる。縮径状態とされた第1Oリング11は、その弾性力により取付孔40aの内周面と第1設置溝10の外周面それぞれの面に対して圧着状態となっている。
【0046】
即ち、取付孔40aは第1Oリング11によりシールされている。そして、回転検出センサ1は、先端側が高圧のオイル内に挿入され、後端側は通常圧力雰囲気になる。また、部材40内の高圧のオイルは、取付孔40aからしみ出さない。従って、回転検出センサ1の後端側からオイルが浸入しない。
【0047】
また、高圧なオイルの脈動により抜け止め部29とケース体5との間に隙間ができても、ケース体5とホルダ2の先端部との間に第2Oリング18が配置され、その第2Oリング18の締め代は抜け止め部29の成形時においても変化していないので、回転検出センサ1内にオイルがそれ以上浸入しない。
【0048】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)第1Oリング11は、その弾性力によって取付孔40aの内周面とホルダ2の外周面に形成された第1設置溝10の外周面それぞれの面に対して圧着状態となっているため、前記第1Oリング11によるシール能力を発揮することができる。従って、磁気検出素子4が高圧状況下で検出を行う場合においても、前記第1Oリング11によるシーリングを行うことができる。
【0049】
(2)第2Oリング18は、その弾性力によってケース体5の内周面と第2設置溝16の外周面それぞれの面に対して圧着状態となっているため、前記第2Oリング18によるシール能力を発揮することができる。従って、磁気検出素子4が高圧状況下で検出を行う場合においても、前記第2Oリング18によるシーリングを行うことができる。
【0050】
(3)ホルダ2の後端面は、ターミナル3の突出部の周囲に樹脂注入部23が凹設され、ポッティング材としてのシリコン樹脂24によるポッティングシールがされている。従って、常圧状態において、十分なシーリングを行うことができる。
【0051】
(4)導入面28の開口端内径は、ホルダ2に嵌め込まれた第2Oリング18の外径よりも大きく形成されているため、ケース挿入部12をケース体5に挿入する際にケース体5は第2Oリング18を導入面28で当接することになる。従って、第2Oリング18の挿入時に常に面で第2Oリング18に接することができ、第2Oリング18を傷つけずに挿入を行うことができる。
【0052】
(5)ホルダ2の切り欠きから、ホルダ凹部13の底部の間にはテーパ状の斜面が複数面形成されているため、樹脂の流路が滑らかな斜面状によって設けられているため、樹脂の流れ性が良くなり樹脂を注入するのに必要な圧力を小さく抑えることができる。
【0053】
(6)第2設置溝16を樹脂を注入する際の流路となるケース体凹部17よりも先端側に形成したので、樹脂の成形圧力によるケース体5の変形を防ぐことができ、第2Oリング18の締め代を適正に確保することができる。
【0054】
(7)ホルダ2及びケース体5において、樹脂の流路となる凹部が、同一円筒面上に形成されているため、樹脂の流れをスムーズなものとすることができ、必要とする樹脂の圧力を小さくすることができる。
【0055】
(8)ケース体5の後端部と樹脂はケース体5の厚さの略半分の面積で接することとなるため、従来例に比べ樹脂成形時の圧力がケース体5に伝わるのを抑えることができ、ケース体5の変形を防ぐことができる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・上記実施形態において、第1Oリング11を収容するための第1溝として第1設置溝10をホルダ2の外周面に凹設したが、抜け止め部29及びハウジング6の成形後に第1Oリング11を収容する凹部が形成されていればよく、例えば、第1設置溝10の先端側段部を省略し、抜け止め部29とホルダ2とにより第1Oリング11を収容する第1溝を形成するようにしてもよい。
【0057】
・前記実施形態においては、ケース体5に、例えば、耐薬耐油性を考慮してPPSを使用しているが、ナイロン66、ナイロン6、PBT等を使用してもよい。
【0058】
・前記実施形態においては、ハウジング6を成形する2次成形用の樹脂は、ここではケース体5と同じくPPSを使用しているが、ナイロン66、ナイロン6、PBT等を使用することが可能である。
【0059】
・前記実施形態においては、高圧部のシール部材として、Oリング11,18を用いたが、高圧下におけるシール性を保てるものであれば良く、これに限定されない。
【0060】
次に、以上の実施形態から把握することができる技術的思想をその効果と共に以下に記載する。
(イ)請求項1〜4のいずれか一項に記載の回転検出センサにおいて、
前記抜け止め部を成形するための樹脂流路は、底面が同一円筒面上となるように形成されていることを特徴とする回転検出センサ。この構成により、樹脂流路に段差がなくなるため、樹脂の流れ性が良くなり樹脂を注入するのに必要な圧力を小さく抑えることができる。
【0061】
(ロ)請求項1〜4のうちいずれか一項、又は上記(イ)に記載の回転検出センサにおいて、前記ホルダの後端面は、ターミナルの突出部の周囲に樹脂注入部が凹設され、ポッティング材によるポッティングシールがされていることを特徴とする回転検出センサ。この構成により、常圧部からの液体の浸入を防ぐことができる。
【0062】
(ハ)請求項1〜4のうちいずれか一項、又は上記(イ)及び(ロ)に記載の回転検出センサにおいて、前記検出素子の前記ケース体への挿入時に、前記ケース体内部に樹脂をポッティングすることを特徴とする回転検出センサ。この構成により、耐振性を要する場合の回転検出センサを提供することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明では、高温高圧状況下の液体内に先端が挿入されるような回転検出センサの使用状況においても、センサ内部への液体の浸入を防ぐことができる。
【0064】
また、回転検出センサの樹脂成形時において、ケース体にかかる圧力を小さくすることによって、ケース体の変形などによる成形不良を少なくすることができる。
【0065】
請求項2に記載の発明では、樹脂成形時に樹脂を流し込むとき、樹脂が流れやすい形状になっているため、極度の高い圧力をかけなくても、欠肉等の成形不良を防ぐことができる。
【0066】
請求項3に記載の発明では、抜け止め部より浸入してきた液体がセンサ内部へ浸入するのを防ぐことができる。
請求項4に記載の発明では、ホルダに設けられた第2溝上に位置するケース体に抜け止め部の樹脂成形時の圧力がかかり難くなるため、ケース体の変形を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転検出センサ正面外観図。
【図2】本発明に係る回転検出センサ正面断面図。
【図3】本発明に係る回転検出センサ側面断面図。
【図4】本発明に係る回転検出センサA―A線断面図。
【図5】本発明に係る回転検出センサ搭載図。
【図6】本発明に係る回転検出センサの樹脂部形成金型図。
【符号の説明】
1…回転検出センサ、2…ホルダ、5…ケース体、6…ハウジング、10…第1溝、11…第1シール部材、13…樹脂流路としてのホルダ凹部、14…ホルダ凸部、16…第2溝、17…樹脂流路としてのケース体凹部、18…第2シール部材、21…検出素子、29…抜け止め部
Claims (4)
- 高圧の流体を収容する所定部材に取り付けられ、該所定部材内に配置された回転部材の回転を検出する回転検出センサであって、
前記回転部材の回転を検出する検出素子と、
前記検出素子が先端に取着され、外周面に第1溝が形成されたホルダと、
前記検出素子及び前記ホルダの前記第1溝より先端側部分を収容するケース体と、
前記ケース体に形成した凸部と該ケース体に収容される前記ホルダに形成した凸部と係合する抜け止め部と、
前記ホルダの第1溝より後端側部分を覆うハウジングと、
前記ホルダの第1溝に取り付けられる第1シール部材と、
を備え、該抜け止め部は、ハウジング成形時に前記第1溝より先端側部分における前記ホルダ及び前記ケース体の外周面に形成された円環状の樹脂流路に樹脂を注入することにより前記ハウジングと別体に成形されてなることを特徴とする回転検出センサ。 - 請求項1に記載の回転検出センサにおいて、
前記抜け止め部を収容する前記円環状の樹脂流路における樹脂の注入口と対向する箇所の底面が、樹脂の注入口と対向しない箇所の底面よりも深く形成されていることを特徴とする回転検出センサ。 - 請求項1又は請求項2に記載の回転検出センサにおいて、
前記第1溝より先端側部分における前記ホルダの外周面に第2溝が形成されるとともに、該第2溝には前記ケース体の内周と前記ホルダとの間をシールする第2シール部材が配設されることを特徴とする回転検出センサ。 - 請求項3に記載の回転検出センサにおいて、
前記第2溝及び前記第2シール部材は、軸方向に関して前記抜け止め部よりも前記検出素子側に配設されることを特徴とする回転検出センサ。
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