JP4554812B2 - 排気パイプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動二輪車、雪上車、四輪バギー車等のエンジンとマフラーとの間を接続する排気パイプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動二輪車用の排気パイプは、ステンレス鋼管を所定の形状に折曲げることによって形成している。この種の排気パイプは、パイプ内を排ガスが円滑に流れることができるとともに、途中で圧力波が不必要に反射することがないように、内径が一定であることが望ましい。
【0003】
しかし、パイプを折曲げると、曲げ外側の部分が内側へ偏在するようになって曲げ外側の曲率が内側の曲率より小さくなるから、従来の排気パイプにおいては、折曲部分で部分的に偏平となり、排気通路の断面積が小さくなってしまうという不具合があった。
このような不具合は、例えば特開平10−58051号公報に開示されているように、折曲部分の内部に液体を密封した状態で折曲げ加工を行うことによって、ある程度は解消することができる。
【0004】
この公報に示された折曲機は、パイプの折曲部分の一端部と他端部の内部に栓部材を挿入して折曲部分内を密封するとともに、一方の栓部材から密封空間内に液体を供給して密封空間内に液体を充填した状態で折曲げ加工を行うものである。この折曲機において、折曲げは、曲げ内側に位置するロールダイと曲げ外側の締型とによってパイプを挟持し、前記液体を所定の圧力に加圧した状態で、ロールダイにパイプを巻き付けることによって行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように液体を加圧した状態でパイプ内に封入して折曲げ加工を行ったとしても、折曲部分で偏平化し断面積が小さくなるのを防ぐことはできなかった。これは、折曲げ中にパイプが長手方向に伸びて折曲部分内の容積が増大し、液体の圧力が低下することが原因であると考えられる。
【0006】
このため、前記折曲機によって形成した排気パイプは、折曲部分で排気抵抗が増大し、特にエンジンの回転域が高回転域にあるときのエンジンのガス交換性が低くなり、エンジン性能が低下するという問題が生じる。しかも、折曲部分で通路断面積が最小になり、ここで排気の圧力波の一部が反射してしまうから、排気脈動を有効に利用してエンジン性能を向上させることができない。
【0007】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、パイプ内を排ガスが円滑に流れることができるとともに、途中で圧力波が反射し難い排気パイプを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係る排気パイプは、折曲機によって折曲げられた折曲部を有する排気パイプであって、前記折曲部での最小外径を折曲げ前のパイプの外径で除した値に100を乗算した値である偏平率が92%以上であり、前記折曲部は、パイプ内に密封した液体を曲率と折曲部分の全長とのうち少なくともいずれか一方に対応する圧力に加圧した後、加圧しながら成形されたものである。
本発明によれば、直線状部分での内径と折曲部分の最小内径との差、すなわちパイプ内側断面積の差を低減することができる。また、本発明に係る排気パイプは、折曲部分の曲率が大きいほど(曲率半径が小さいほど)または折曲部分の長さが長いほど液体の圧力が高くなるように折曲げられ、しかも、折曲げ中に折曲部分内の圧力が低下することがない状態で折曲げられる。このため、曲率が異なる複数の折曲部分または折曲部分の長さが異なる複数の折曲部分を全ての折曲部分で前記偏平率が92%以上になるように形成することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明に係る排気パイプは、請求項1に記載した発明に係る排気パイプにおいて、曲率半径が最も小さくなる前記折曲部は、曲率半径を排気パイプの外径で除した値が2以下であることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る排気パイプの一実施の形態を図1ないし図13によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る排気パイプを装着した自動二輪車の側面図、図2は本発明に係る排気パイプを示す図で、同図(a)は平面図、同図(b)は車体左側から見た状態を示す側面図である。図3は曲げ加工装置の平面図、図4は曲げ加工装置の水循環装置の構成を示す図、図5はパイプに栓手段を取付けた状態を示す断面図、図6は密栓機の構成を示す図、図7は加圧機の構成を示す側面図で、同図においては、栓手段を把持するチャック部分を破断した状態で描いてある。
【0012】
図8は折曲機の平面図、図9は折曲機の背面図である。図10は多関節ロボットの側面図、図11は本発明に係る排気パイプの性能と従来の排気パイプの性能とを比較するためのグラフで、同図はエンジン回転数に対する出力の変化を示している。図12は曲げ加工装置の構成を示すブロック図、図13は折曲機と密栓機の動作を説明するためのタイムチャートである。
【0013】
図1において、符号1で示すものは、本発明に係る排気パイプ2を装着した自動二輪車である。この自動二輪車1は、4サイクル単気筒エンジン3を搭載している。符号4は車体フレームを示し、5は前輪、6は後輪、7は操向ハンドル、8はシートを示す。
【0014】
前記排気パイプ2は、図2に示すように、3箇所を折曲げることによって所定の形状に形成しており、一端部(上流側端部)にエンジン接続用のフランジ11を溶接している。この排気パイプ2に形成する3箇所の折曲部分を符号12〜14で示す。この排気パイプ2の下流側端部には、図1に示すように、後端にマフラー15を設けた後部排気パイプ16を接続している。
【0015】
排気パイプ2の前記折曲部分12〜14は、図3中に符号21で示す曲げ加工装置によって折曲げている。この曲げ加工装置21は、排気パイプ2内に水を充填するとともに所定の圧力をもって加圧した状態で排気パイプ2を折曲げる構造を採っており、後述する栓手段を用いてパイプ内に水を密封するための密栓機22と、折曲工程でパイプの基端部を保持するとともにパイプ内の水を加圧する加圧機23と、パイプの先端部を折曲げる折曲機24と、栓手段をパイプから取外して水を排出するための開栓機25と、パイプや栓手段を搬送するための第1および第2の多関節ロボット26,27と、水循環装置28(図4参照)と、上述した各装置を制御する制御装置29(図12参照)などを備えている。
【0016】
前記密栓機22は、図5に示すように、排気パイプ2を形成するための直管からなる素材パイプ31の両端部に第1および第2の栓手段32,33を取付けて素材パイプ31内を密閉するとともに、これらの栓手段32,33を用いて素材パイプ31内に水を充填して密封する。
前記第1および第2の栓手段32,33は、図5に示すように、素材パイプ31の端部を嵌入させる有底円筒体34と、この有底円筒体34に支持用ボルト35によって取付けた円筒状のシール用ゴム36とを備えている。
【0017】
前記シール用ゴム36は、素材パイプ31の内周部に嵌合できるように形成しており、有底円筒体34の底部34aと、前記支持用ボルト35の内端部に支持させたプレート37とによって挟持している。前記支持用ボルト35は、外端部に螺着させたナット38を締付けることによって、前記プレート37がシール用ゴム36を前記底部34a側へ押圧するように形成している。すなわち、前記ナット38を締付けることによって、シール用ゴム36は、有底円筒体34の底部34aと前記プレート37とで軸線方向に挟圧されて径方向へ膨らみ、外周面が素材パイプ31の内周面に液密になるように全周にわたって密着する。
【0018】
第1および第2の栓手段32,33を素材パイプ31の両端部に取付けて各栓手段32,33のシール用ゴム36を素材パイプ31に密着させることによって、素材パイプ31内が密閉される。
図5において、素材パイプ31の下端部に取付けた第1の栓手段32は、前記支持用ボルト35の軸心部に素材パイプ31の内外を連通するように貫通孔39を穿設するとともに、支持用ボルト35の外端部にカプラ40を取付けている。
このカプラ40は、従来からよく知られているように、内部通路に逆止弁40aを有し、相手側のカプラ(例えば図6中に符号41で示す給水用カプラ)を取付けることによって、給水用カプラ41内に設けられる不図示の逆止弁の押しロッドによって逆止弁40aが押し開かれ、この反作用によって給水用カプラ41側の逆止弁も押し開かれて前記貫通孔39と相手側カプラ内の通路とが連通し、相手側のカプラを取外すことによって、カプラ40の逆止弁40aと相手側カプラ(給水用カプラ41)の逆止弁が各々ばね力で閉じる。逆止弁40aは脱状態において外部から素材パイプ31内への空気の浸入を阻止するとともに、素材パイプ31内から外部に水を洩らさないようにする。給水用カプラ41側の逆止弁も外部から注水管109内への空気の浸入を阻止するとともに、注水管109内の水を外部に洩らさないようにする。
【0019】
他方の第2の栓手段33は、前記支持用ボルト35の軸心部を通って素材パイプ31外へ延びる排出通路42を形成するとともに、この排出通路42を開閉する開閉弁43を取付けている。この開閉弁43の排出口には、前記カプラ40とは異なり逆止弁40a相当が配置されない構造のカプラ44を取付けている。また、支持用ボルト35と、これに設けた前記プレート37には、前記排出通路42の途中から横方向へ延びる空気抜き用の連通孔45を穿設している。この連通孔45は、図5に示すように、第2の栓手段33を素材パイプ31に取付けた状態で素材パイプ31内の最も高い位置に開口するように形成している。
【0020】
これらの栓手段を素材パイプ31に取付ける密栓機22は、図6に示すように、素材パイプ31を上下方向に延びるように立てた状態で保持するパイプ用クランプ装置51と、第1の栓手段32を着脱自在に保持する第1のクランプ装置52と、この第1のクランプ装置52を昇降させるアクチュエータ54a(図12参照)と、第2の栓手段33を着脱自在に保持する第2のクランプ装置53と、この第2のクランプ装置53を昇降させるアクチュエータ54b(図12参照)と、第1の栓手段32の前記ナット38を締付けるための第1のナット締付機55と、第2の栓手段33の前記ナット38を締付けるための第2のナット締付機56と、第1の栓手段32のカプラ40に給水用カプラ41を着脱させるための第1のカプラ脱着機57と、第2の栓手段33のカプラ44に排水・空気抜き用カプラ58を着脱させるための第2のカプラ脱着機59と、第2の栓手段33の開閉弁43を駆動するアクチュエータ60(図12参照)とを備えている。なお、排水・空気抜き用カプラ58はカプラ44と同様に逆止弁を有さない。排水・空気抜き用カプラ58は第1の排水管112の最上位位置において密栓機22に固定されており、水が洩れることはないからである。
【0021】
前記第1および第2のクランプ装置52,53は、二つの爪61,61を第1・第2の栓手段32,33の係合溝62に係合させることによって、これらの栓手段32,33を把持するように形成している。第1のクランプ装置52は、素材パイプ31の下方に配設し、第2のクランプ装置53は、素材パイプ31の上方に配設している。この実施の形態では、素材パイプ31をパイプ用クランプ装置51で所定高さ位置に保持した状態で、第1のクランプ装置52をアクチュエータ54aで上昇させることにより、第1のクランプ装置52で保持した第1の栓手段32を素材パイプ31に下方から嵌合させ、第2のクランプ装置53をアクチュエータ54bで下降させることにより、第2のクランプ装置53で保持した第2の栓手段33を上方から嵌合させる。この後、第1のナット締付け機55でナット38を締付け、第1の栓手段32を素材パイプ31に水密に連結し、第2のナット締付け機56でナット38を締付け、第2の栓手段33を素材パイプ31に水密に連結する。
【0022】
第1および第2のナット締付機55,56は、それぞれナット38に嵌合するソケット63をナット38に対して進退できるように設けている。前記ソケット63は、各々独立のモータ64に歯車結合させてあり、ナット38に嵌合させた状態で各々のモータ64によって回転させる。
【0023】
前記加圧機23は、図7に示すように、素材パイプ31の一端に取付けた第1の栓手段32を着脱自在に保持するクランプ装置65と、このクランプ装置65を素材パイプ31の長手方向に沿って移動させるクランプ装置用アクチュエータ66(図12参照)と、第1の栓手段32のカプラ40に接続して素材パイプ31内と後述する高圧ポンプの吐出系とを連通させるための加圧用カプラ67と、この加圧用カプラ67を第1の栓手段32のカプラ40に着脱させるためのカプラ脱着機68(図12参照)と、高圧ポンプと加圧機23との間の水供給系の空気抜きを行うための空気抜き装置69とを備えている。
【0024】
前記クランプ装置65は、従来からよく知られているように、第1の栓手段32の円筒部32a内に挿入した爪65aを径方向の外側へ移動させて前記円筒部32aを保持する構造のものである。クランプ装置用アクチュエータ66は、図3中に符号70で示すレールに沿って前記クランプ装置65を素材パイプ31の長手方向に前進後退移動させる移動動作と、クランプ装置65を素材パイプ31の周方向へ回動させる回動動作とを行えるように構成している。
【0025】
前記加圧用カプラ67は、上述した密栓機22の給水用カプラ41と同等の構造のもので、図7に示すように、支軸71によって加圧機23のフレーム72に支持させている。支軸71の内部に水通路(図示せず)を形成し、支軸71の外端部に取付けた加圧管73によって後述する高圧ポンプに接続している。
【0026】
この実施の形態では、前記支軸71を前記フレーム72に移動自在に支持させ、圧縮コイルばね74によってカプラ接続方向(図7においては右方向)へ付勢されるようにしている。この構造を採ることによって、加圧用カプラ67を第1の栓手段32のカプラ40と接続できる位置に移動させることができるとともに、カプラ接続時の衝撃を緩和させることができる。
【0027】
カプラ脱着機68は、前記密栓機22に設けたものと同等の構造のものを使用しており、クランプ装置65と一体的に移動できるようにしている。
前記空気抜き装置69は、前記加圧用カプラ67に着脱する空気抜き用カプラ75を加圧機23のフレーム72に支持部材76と支持軸77とを介して支持させている。前記支持軸77は、軸線が素材パイプ31の長手方向と平行になる状態で前記クランプ装置65の真上に配設している。前記支持部材76は、前記支持軸77を軸線回りに回動自在に支持するとともに、支持軸77を軸線方向に移動自在に支持している。図7は、支持軸77を軸線回りに回動させて空気抜き用カプラ75をクランプ装置65の側方へ移動させた状態で描いてある。
【0028】
前記折曲機24は、図8および図9に示すように、曲率の小さい(曲率半径の大きい)折曲げを行うための第1のロールダイ81Aと、第1のロールダイ81Aの下側に配置される曲率の大きい(曲率半径の小さい)折曲げを行うための第2のロールダイ81Bと、第1のロールダイ81Aの第1のパイプ保持部81Abに素材パイプ31を押付けクランプする第1のシリンダ装置82Aと、第2のロールダイ81Bの第2のパイプ保持部81Bbに素材パイプ31を押付けクランプする第2のシリンダ装置82Bと、第1および第2のロールダイ81A,81Bと一体となって回転可能とされるとともに、第1および第2のシリンダ装置82A,82Bが取付けられる支持台83と、支持台83を回転駆動する曲げ加工用アクチュエータ84と、加工用アクチュエータ84の他端を回転可能に支持するとともに、一体化された第1および第2のロールダイ81A,81Bおよび支持台83を回転可能に支持する基台85と、この基台85を上下させる昇降アクチュエータ85aと、第1および第2のロールダイ81A,81Bの回転角を検知する回転角センサ86を備えている。
【0029】
前記第1および第2のロールダイ81A,81Bの外周部には、それぞれ素材パイプ31が嵌合する断面半円状の溝81Aa,81Baをロールダイ81A,81Bの周方向に延びるように形成している。この実施の形態では、曲率が異なる折曲部分を複数のロールダイ81A,81Bによって成形することができるように、第1および第2のロールダイ81A,81Bに溝81Aa,81Baを上下方向に離間させて二つ形成している。
【0030】
折曲機24の前記第1および第2のシリンダ装置82A,82Bは、前記二つの溝81Aa,81Baに対応するように上下方向に離間させて設けている。
前記アクチュエータ84は、油圧シリンダ84aを駆動源として支持台83の一端部を押圧する。
【0031】
前記開栓機25は、図3に示すように、折曲加工後の素材パイプ31(排気パイプ2)に取付けられている第1および第2の栓手段32,33を保持する第1および第2のクランプ装置87,88と、これらのクランプ装置87,88が保持した第1・第2の栓手段32,33のナット38を緩めるための第1および第2のナット緩め機89,90とを備えている。
【0032】
この開栓機25の第1・第2のクランプ装置87,88とナット緩め機89,90は、密栓機22で使用したクランプ装置52,53とナット締付機55,56と略同じ構造になるように形成しており、第1のクランプ装置87・ナット緩め機89と、第2のクランプ装置88・ナット緩め機90とを水平方向(図3においては左右方向)に並べて配設している。この実施の形態では、第1および第2のクランプ装置87,88の間に製品取出し用のシュート91を配設し、栓手段32,33を取外した素材パイプ31(排気パイプ2)を取出すことができるようにしている。
【0033】
前記第1および第2の多関節ロボット26,27は、図10に示すように、床92に固定した基台93と、この基台93に支持させた二つのアーム94,95と、先端側のアーム95の先端部に取付けたパイプ把持用のクランプ96とを備えている。これらの多関節ロボット26,27が素材パイプ31を搬送できる範囲を図3中に二点鎖線で示す。
【0034】
図3において左側に位置する第1の多関節ロボット26は、図3中に符号97で示す素材パイプ用ストッカから素材パイプ31を密栓機22に搬送する移送動作と、密栓機22から素材パイプ31を加圧機23および折曲機24に搬送する移送動作と、図3中に符号98で示す栓手段用支持台から第1および第2の栓手段32,33を密栓機22に搬送する移送動作と、図3中に符号99で示す栓手段用移送装置の下流側端部から第1および第2の栓手段32,33を前記栓手段用支持台98に搬送する移送動作とを行う。前記栓手段用移送装置99は、図3において右側の端部(上流側端部)に載置した第1および第2の栓手段32,33を他端部へ移動させる構造のものである。なお、第1の多関節ロボット26によることなく、素材パイプ用ストッカ97から第1および第2の栓手段32,33の密栓動作領域まで、素材パイプ31を搬送する搬送装置を、密栓機22に一体的に設けてもよい。
【0035】
第2の多関節ロボット27は、加圧機23および折曲機24から素材パイプ31を開栓機25に搬送する移送動作と、開栓機25から素材パイプ31を製品取出し用シュート91に搬送する移送動作と、開栓機25から第1および第2の栓手段32,33を前記栓手段用移送装置99の上流側端部に搬送する移送動作とを行う。図3において、素材パイプ用ストッカ97と栓手段用支持台98に隣接するように配置した符号100で示すものは、不良品を排出するための不良品用シュートである。
【0036】
前記水循環装置28は、図4に示すように、水を貯留するための第1および第2の水タンク101,102と、第1の水タンク101の水を第2の水タンク102に送る循環ポンプ103と、前記密栓機22に水を供給するための注水ポンプ104と、折曲工程で前記加圧機23に水を供給するための高圧ポンプ105などを備えている。
前記第1の水タンク101と第2の水タンク102は、連通管106によって互いに連通させており、循環ポンプ103によって両タンク101,102の水が循環するようにしている。循環ポンプ103と第2の水タンク102との間には、フィルター107を介装している。
【0037】
前記注水ポンプ104および高圧ポンプ105は、それぞれ入泡検知センサ108を通して第2の水タンク102の水を吸込むようにしている。この入泡検知センサ108は、各ポンプ104,105に吸込まれる水に含まれる気泡を検出し、検出データを後述する制御装置29に出力する。この入泡検知センサ108によって気泡が検出されたときには、給水異常として制御装置29が両ポンプ104,105を停止させる。
【0038】
前記注水ポンプ104の吐出側は、注水管109によって前記給水用カプラ41に接続しており、給水用カプラ41が第1の栓手段32のカプラ40に接続している状態で素材パイプ31内に水を供給する。素材パイプ31の上端部に位置する第2の栓手段33のカプラ44に接続した排水・空気抜き用カプラ58は、出泡検知センサ110と流量センサ111とを介装した第1の排水管112を接続している。この第1の排水管112の下流側端部は、第1の水タンク101に水を戻すように形成している。
【0039】
前記出泡検知センサ110は、空気抜きが完了したか否かを判定するために設けており、第1の排水管112を流れる水に含まれる気泡を検出し、検出データを制御装置29に出力する。前記流量センサ111は、第1の排水管112を流れる水の流量を検出し、検出データを制御装置29に出力する。
【0040】
前記高圧ポンプ105の吐出側は、加圧管73によって前記加圧機23の加圧用カプラ67に接続しており、この加圧用カプラ67が素材パイプ31側のカプラ40や、このカプラと同構造の空気抜き装置の空気抜き用カプラ75に接続している状態でこれらに水を供給する。空気抜き用カプラ75は、図4および図7中に符号113で示す第2の排水管に接続しており、この第2の排水管113によって水や空気を第1の水タンク101に排出するようにしている。第2の排水管113にも出泡検知センサ110を介装し、制御装置29によって空気抜きが完了したか否かを判定できるようにしている。
【0041】
高圧ポンプ105に接続した前記加圧管73には、三方弁114と圧力センサ115とを介装している。三方弁114は、高圧ポンプ105が吐出した水の供給先を前記加圧用カプラ67と第1の水タンク101の何れか一方に切換えることができるように接続してある。すなわち、この三方弁114は、高圧ポンプ105と加圧用カプラ67とが接続される第1の形態と、三方弁114を介して高圧ポンプ105と第1の水タンク101と加圧用カプラ67とが相互に接続される放圧のための第2の形態を採ることができる。なお、加圧用カプラ67は給水用カプラ41と同様、脱状態において外部からの空気の浸入を阻止するとともに、加圧管73内の水が洩れない逆止弁が設けられている。カプラ75もカプラ40と同様の構造を採り逆止弁40aと同様の逆止弁を有する。
【0042】
前記圧力センサ115は、前記三方弁114より加圧用カプラ67側で加圧管73内の水圧を検出し、検出データを制御装置29に出力する。この実施の形態では、高圧ポンプ105として空気駆動式のプランジャポンプを採用し、吐出圧調整装置116(図12参照)が駆動用空気の圧力を変化させることによって、高圧ポンプ105の吐出圧が増減するようにしている。前記吐出圧調整装置116は、制御装置29から送出された指令値に対応させて駆動用空気の圧力を増減させる。前記指令値は、前記圧力センサ115が検出した水圧と、予め定めた目標水圧とが一致するように制御装置29が設定する。すなわち、高圧ポンプ105の吐出圧が目標水圧に一致するように高圧ポンプ105がフィードバック制御される。
【0043】
前記目標水圧は、排気パイプ2の形状に対応させて設定する。例えば、折曲部分の曲率に対応させて目標水圧を設定する。すなわち、曲率が相対的に大きい(曲率半径が相対的に小さい)折曲部分は、曲率が相対的に小さい折曲部分より水圧が高い状態で折曲げる。折曲中には、折曲げ中の水圧が一定になるように制御したり、折曲部分の曲げ角度が大きくなるほど水圧が高くなるように制御する。
折曲部分の曲げ角度は、折曲機24に設けた曲げ回転角センサ86によって検出する。
【0044】
次に、この実施の形態による曲げ加工装置21の動作を説明する。
図示していない操作盤のスタートスイッチをON操作すると、先ず、第1の多関節ロボット26が素材パイプ用ストッカ97の素材パイプ31を把持し、上下方向に延びるように立てた状態で密栓機22に装填する。密栓機22に素材パイプ31が装填されると、先ず、パイプ用クランプ装置51が素材パイプ31を保持し、第1および第2のクランプ装置52,53およびアクチュエータ54a,54bにより第1および第2の栓手段32,33を素材パイプ31に嵌合させる。なお、これらの栓手段32,33は、密栓機22による前回の注水工程が終了した後に第1の多関節ロボット26によって栓手段用支持台98から搬送されたものである。
【0045】
両栓手段を素材パイプ31に嵌合させた後、第1および第2のナット締付機55,56によって両栓手段のナット38を締付ける。このとき、第1のナット締付機55は、ソケット63を上昇させた後に回転させ、第2のナット締付機56は、ソケット63を下降させた後に回転させる。ナット38の締付けが終了した後、ソケット63を初期位置に復帰させる。
【0046】
その後、第1および第2のカプラ脱着機57,59が作動を開始し、第1の栓手段32のカプラ40に給水用カプラ41を接続するとともに、第2の栓手段33のカプラ44に排水・空気抜き用カプラ58を接続する。そして、開閉弁43用アクチュエータ60が第2の栓手段33の開閉弁43を開いた後、注水ポンプ104が作動を開始し、素材パイプ31内に第1の栓手段32を通して下方から水が供給される。
【0047】
素材パイプ31内が水で満たされると、水は第2の栓手段33の排水通路42から開閉弁43を通って第1の排水管112に排出されるようになり、この第1の排水管112に介装した流量センサ111に検出される。これとともに、水に含まれる気泡が出泡検知センサ110によって検出される。第1の排水管112を流れる水から気泡が検出されなくなるまで上述した状態が維持され、出泡検知センサ110からの検知信号により気泡が検出されなくなった後、あるいは流量センサ111からの流量信号を積分して得られる総流量が素材パイプ31を水で充填するに充分な量以上であると確認された後に注水ポンプ104が停止するとともに、開閉弁用アクチュエータ60が開閉弁43を閉じる。また、第1のカプラ脱着機57が給水用カプラ41を第1の栓手段32のカプラ40から取外すとともに、第2のカプラ脱着機59が排水・空気抜き用カプラ58をカプラ44から取外す。
この実施の形態で示すように素材パイプ31を立てて下方から水を注入するとともに上方から空気を流出させることによって、空気抜きを確実に行うことができる。
【0048】
このように注水工程が終了した後であって、加圧機23および折曲機24で先に折曲げ加工されていた素材パイプ31が搬出された後、第1の多関節ロボット26が密栓機22から素材パイプ31を加圧機23および折曲機24に搬送する。この搬送時には、先ず、第1の多関節ロボット26が密栓機22の素材パイプ31を把持し、密栓機22のパイプ用クランプ装置51が素材パイプ31を開放するとともに栓手段用クランプ装置52,53が第1および第2の栓手段32,33を開放する。次に、第1の多関節ロボット26が素材パイプ31を密栓機22から取出し、加圧機23および折曲機24に装填する。
【0049】
このとき、素材パイプ31は、両端部が第1および第2の栓手段32,33によって閉塞されて水が密封された状態で、基端部(第1の栓手段32側の端部)が加圧機23のクランプ装置65に保持されるとともに、先端部(第2の栓手段33側の端部)が折曲機24の第1のクランプ装置82に保持される。加圧機23のクランプ装置65に素材パイプ31を保持させるときには、第1の栓手段32のカプラ40を加圧機23の加圧用カプラ67に接続する。
【0050】
加圧機23は、上述したように素材パイプ31を装填する以前に、少なくとも1回は高圧ポンプ105と加圧用カプラ67との間の水通路の空気抜きを行っておくか、折曲げ生産性向上のため素材パイプ31の折曲げ本数が数十本、数百回あるいは1ロット本数毎に空気抜きが実施される。この空気抜きは、空気抜き装置69のカプラ75を加圧用カプラ67に接続し、高圧ポンプ105によって水を循環させて行い、第2の排水管113に設けた出泡検知センサ110によって水中の気泡が検出されなくなったときに終了する。空気抜き工程が終了すると、加圧用カプラ67が空気抜き用カプラ75から脱とされる。
【0051】
素材パイプ31を加圧機23と折曲機24に装填した後、第1の多関節ロボット26は密栓機22に新たに第1および第2の栓手段32,33を装填し、次の素材パイプ31を素材パイプ用ストッカ97から密栓機22へ搬送する。なお、第1および第2の栓手段32,33は、予め複数組用意しておき、栓手段用支持台98に載置させておく。このように次の素材パイプ31が密栓機22に装填された後、密栓機22は再び注水作業を行う。すなわち、折曲げ加工を加圧機23と折曲機24で行っている一方で、次の素材パイプ31に対して注水が密栓機22によって行われる。
【0052】
加圧機23と折曲機24に素材パイプ31を装填した後に、高圧ポンプ105を作動させて素材パイプ31内の水の圧力を上昇させる。この圧力上昇時には、折曲部分の曲率に対応させて設定した目標水圧の約90%の圧力に達した後にフィードバック制御によって目標水圧まで徐々に昇圧させる。
目標水圧に達した後、折曲機24の曲げ加工用アクチュエータ84によって支持台83を駆動し、素材パイプ31をロールダイ81に巻き付けるようにして折曲げる。
【0053】
この折曲げ加工は、素材パイプ31の基端部を加圧機23で保持するとともに、先端部を上側の第1のロールダイ81Aの第1のパイプ保持部81Abに第1のシリンダ装置82Aのピストン先端部82Aaを押付けてクランプした状態で、加工用アクチュエータ84のピストンを伸長し、素材パイプ31の先端部より加圧機23寄り部を第1のロールダイ81Aの溝81Aaに巻き付けるようにして行う。また、この折曲げは、曲げ回転角センサ86によって検出した角度が折曲部分の設計上の折曲げ角度に達するまで行う。折曲げ加工時に加圧機23は、折曲げ時に素材パイプ31に過大な引張り荷重が加えられることがないように、折曲工程中に折曲機24側(図3においては右側)へクランプ装置65を移動させる。
【0054】
折曲げ時には、クランプ装置65の移動によっても素材パイプ31の長手方向の伸びは僅かに発生するので、折曲部分内の容積が増大して水圧が低下する。しかし、高圧ポンプ105と素材パイプ31内との間の圧力センサ115によって圧力低下が検出され、素材パイプ31内の水圧が目標水圧を保つように高圧ポンプ105の吐出圧がフィードバック制御される。このため、折曲工程の全域にわたって折曲部分内が目標水圧に維持される。前記目標水圧は、折曲げ角度が大きくなる(折曲部分の長さが長くなる)にしたがって徐々に増大させる。
【0055】
この実施の形態では、図2に示した排気パイプ2の3箇所の折曲部分12〜14を下流側から順に折曲げる。すなわち、折曲機24の第1のパイプ保持部81Abと第1のシリンダ装置82Aで素材パイプ31を保持した状態で最も下流側の折曲部分12と中央の折曲部分13とを折曲げ、第2のパイプ保持部81Bbと第2のシリンダ装置82Bで素材パイプ31を保持した状態で最も上流側の折曲部分14を折曲げる。
【0056】
最も下流側の折曲部分12を折曲げた後に中央の折曲部分13を折曲げるためには、先ず、下流側の折曲部分12の折曲げが終了した後に折曲機24のピストン先端部82Aaを後退させて素材パイプ31を開放させるとともに曲げ加工用アクチュエータ84を初期位置に復帰させる。この段取り替え時には、高圧ポンプ105から水が第1の水タンク101へ戻されるように三方弁114を切換える。次に、加圧機23のクランプ装置65を回転させるとともに折曲機24側へ移動させ、中央の折曲部分13を形成する部位を第1のロールダイ81Aの溝81Aaに嵌合させる。
【0057】
そして、第1のパイプ保持部81Abにピストン先端部82Aaを押付けて素材パイプ31の先端部を再び保持させ、折曲機24の曲げ加工用アクチュエータ84を作動させて中央の折曲部分13を折曲げる。折曲げ時には、三方弁114を切換えて高圧ポンプ105から素材パイプ31内に水圧を作用させ、前回の折曲げ時と同様に高圧ポンプ105の吐出圧力をフィードバック制御する。中央の折曲部分13は、下流側の折曲部分12と同じ曲率を有するが曲げ角度は小さい(折曲部分が鈍角)ので、折曲部分12より目標水圧を低く設定される。曲げ角度が小さい場合、偏平になり難いので大きな水圧を必要としないからである。
【0058】
中央の折曲部分を折曲げた後、ピストン先端部82Aaを後退させて排気パイプ31を開放させるとともに曲げ加工用アクチュエータ84を初期位置に復帰させ、折曲機24の基台を上下させる昇降アクチュエータ85aを駆動して基台を上昇させる。この段取り替え時にも高圧ポンプ105から水が第1の水タンク101へ戻されるように三方弁114を切換える。
前記上昇動作によって、折曲機24の第2のパイプ保持部81Bbと第2のシリンダ装置82Bで素材パイプ31の先端部を保持できるようになる。加圧機23のクランプ装置65は、上述したように下降した後に素材パイプ31を回転させるとともに折曲機24側へ移動し、最後の折曲部分14をロールダイ81の下側の溝81bに嵌合させる。
【0059】
この位置決めが終了した後に、折曲機24の第2のパイプ保持部81Bbと第2のシリンダ装置82Bで素材パイプ31の先端部を保持させ、曲げ加工用アクチュエータ84を作動させて最後の折曲部分14を折曲げる。この折曲げ時にも、三方弁114を切換えて高圧ポンプ105から素材パイプ31内に水圧を作用させ、高圧ポンプ105の吐出圧力をフィードバック制御する。折曲部分14は他の部分より曲率が大きく(曲率半径が小さく)第2のロールダイ81Bの下側の溝81Baの溝半径が上側の溝81Aaの溝半径より大きい場合には、折曲時の目標水圧を曲率に対応させて増大させる。なお、曲げ完成品の曲率半径より、ロールダイの溝半径を僅かに小さくし、かつ曲げ完成品の曲げ角度より、折曲機24における折曲げの曲げ角度を大きくし、スプリングバック現象が起きても正しい完成品形状が得られるようにする。
【0060】
3箇所の折曲部分12〜14を折曲げた後には、高圧ポンプ105による加圧を停止するとともに、素材パイプ31内を減圧させる。このときには、三方弁114を切換え、高圧ポンプ105と第1の水タンク101および素材パイプ31内を連通させ、素材パイプ31内の水圧を低下させて高圧ポンプ105を停止させる。
その後、第2の多関節ロボット27に素材パイプ31を把持させ、加圧機23のカプラ脱着機68によって第1の栓手段32のカプラ40から加圧用カプラ67を外すとともに、加圧機23と折曲機24から素材パイプ31を取外す。
【0061】
折曲げ後の素材パイプ31は、第2の多関節ロボット27が開栓機25に搬送し、第1の栓手段32を開栓機25の第1のクランプ装置87に装填する。このように第2の多関節ロボット27によって素材パイプ31を加圧機23および折曲機24から取外した後、加圧機23および折曲機24は、第1の多関節ロボット26によって密栓機22から次の素材パイプ31が搬送され、この素材パイプ31に対して曲げ加工を行う。
【0062】
前記開栓機25の第1のクランプ装置87に素材パイプ31の一端の第1の栓手段32が装填されると、この第1のクランプ装置87が第1の栓手段32を保持した状態で第1のナット緩め機89が第1の栓手段32のナット38を緩める。このようにナット38を緩めた後、第2の多関節ロボット27が素材パイプ31を第1のクランプ装置87から引出すようにして外す。この作業によって、第1の栓手段32が開栓機25に残り、素材パイプ31から外れる。素材パイプ31内に充填されていた水は、開栓機25の下方に設けた排水装置(図示せず)に流下し、第1の水タンク101に戻される。
【0063】
次に、第2の多関節ロボット27が第2の栓手段33を開栓機25の第2のクランプ装置88に装填する。この第2のクランプ装置88でも第1のクランプ装置87での取外し作業と同一の作業が行われ、第2の栓手段33が素材パイプ31から取外される。このように素材パイプ31の両端から栓手段32,33を取外した後、第2の多関節ロボット27が素材パイプ31を製品取出し用シュート91に載置させる。このシュート91によって素材パイプ31が製品取出し口(図示せず)に移動する。
【0064】
上述したように素材パイプ31をシュート91に搬送した第2の多関節ロボット27は、開栓機25に残存する第1および第2の栓手段32,33を栓手段用移送装置99の上流側端部に搬送し、加圧機23および折曲機24での次の素材パイプ31に対する折曲げ加工が終わるのを待機する。栓手段用移送装置99に載置された二つの栓手段32,33は、栓手段用移送装置99の下流側端部まで移送された後、第1の多関節ロボット26によって栓手段用支持台98に搬送される。
【0065】
このように構成したパイプ用曲げ加工装置21においては、図13に示すように、加圧機23・折曲機24での折曲げ作業と、密栓機22での注水・密封作業とが同時に行われる。なお、図13には示していないが、開栓作業も折曲げ加工と平行して行われる。このため、1本の素材パイプ31に対して上述した各作業を順次行って製造する場合に較べて待機時間が少なくなり、加工時間を可及的短くすることができる。
【0066】
このパイプ用曲げ加工装置21によって折曲げられた排気パイプ2の折曲部は、パイプ内に密封した水を曲率に対応する圧力で加圧しながら折曲げているから、折曲げ中に折曲部分内の圧力が低下することがなく、折曲げ時に曲げ外側が内側へ凹むように変形することがない。この結果、折曲部分での偏平率が92%以上になるように成形できた。ここでいう偏平率とは、外形が円形のほぼ均一肉厚のパイプが前記折曲部で変形し、略楕円形となるが、この略楕円形の短径(前記折曲部での最小外径)を折曲げ前のパイプ外径で除した値に100を乗算した値である。また、この実施の形態で示したように、1本の排気パイプ2に複数の折曲部分12〜14を形成する場合であっても、それぞれの折曲部分の曲率に対応させて水圧を設定しているから、全ての折曲部分で偏平率が92%以上になるように成形することができる。
【0067】
また、折曲部分の曲げ角度が大きいほど水圧を増大させて折曲げているから、折曲げ中に折曲部分内の圧力が低下するのを阻止することができる。このため、折曲部分の曲げ角度が大きくても偏平率が高くなるように折曲げることができ、この実施の形態で示したように、この折曲部分の長さが異なる3箇所の折曲部分を全ての折曲部分で前記偏平率が92%以上になるように成形することができた。
【0068】
折曲部分の偏平率が92%以上の排気パイプ2は、直線状部分での内径と折曲部分の内径との差、すなわちパイプ内側の断面積の差が少なくなり、パイプ内を排ガスが円滑に流れることができるとともに、途中で圧力波が反射することが少なくなる。
このため、この排気パイプ2を用いることによってエンジン3の出力を向上させることができる。この排気パイプ2を取付けたエンジン3の出力変化と、従来の排気パイプ2を取付けたエンジン3の出力変化の違いを図11に示す。
【0069】
図11においては、この実施の形態による曲げ加工装置21によって成形した排気パイプ2を用いた場合を実線で示し、従来の排気パイプ2を用いた場合を破線で示している。同図から明らかなように、この実施の形態による曲げ加工装置21によって成形した排気パイプ2を用いることによって、高回転域での出力(最大出力)が増大する。
【0070】
(第2の実施の形態)
密栓機は図14に示すように構成することができる。
図14は密栓機の他の実施の形態を示す側面図で、同図において、前記図1ないし図13によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0071】
図14に示す密栓機22は、水を貯留した水槽201の底に、素材パイプ31を保持するためのパイプ用クランプ装置51と、第1および第2の栓手段32,33を着脱自在に保持する第1および第2のクランプ装置52,53とを配設し、水槽201の中(水中)で素材パイプ31に第1および第2の栓手段32,33を取付ける構造を採っている。
【0072】
両栓手段32,33のナット38を締付けるナット締付機55,56は、ソケット63を支持する軸202のみを水槽内に側方から挿入している。この軸202は、水槽201の側壁203に設けたシール部材204を貫通しており、回転と軸線方向への平行移動を行っても水が水槽外に漏洩することがないようにしている。
【0073】
このように構成した密栓機22においては、第1の多関節ロボット26によって素材パイプ31を斜めに傾斜させた状態で水槽中に浸漬させ、パイプ用クランプ装置51に保持させた状態で第1および第2の栓手段32,33を取付ける。
この取付け作業が終了することによって、素材パイプ31内に水が密封される。
すなわち、第1の実施の形態を採る場合で行う空気抜き作業が不要になる。このため、第2の栓手段33は、空気抜きをするための構造を採らなくてよいから、単なる盲栓として機能するだけの簡単な構造に形成することができる。
【0074】
【実施例】
上述した実施の形態で示した排気パイプ2は、材質がSUS304Lで、外形が円形で外径が約38mm、厚みがほぼ均一の0.8mmの素材パイプ31を曲げ加工することによって形成した。折曲部分の曲率半径は、3箇所とも約60mm(溝の半径は58mm)とし、折曲げ時の水圧は、折曲げ角度が33.5°の場合は110kg/cm2、折曲げ角度が180°の場合は155kg/cm2 とした。
このような条件で折曲げを行ったところ、偏平率は97%であった。なお、上記実施の形態の排気パイプは、外形が円形で略均一肉厚をもつステンレス製のものであったが、本願発明はこれのみに限らず、外形が円形で偏肉した排気パイプや、外形が矩形、あるいは多角形の排気パイプや、材料面において普通鋼パイプに溶融アルミメッキをしたもの、あるいは耐熱性の銅系合金製のものにも適用可能である。外形が異形あるいは均一肉厚をもたないパイプにおいても、パイプ内側に内圧を加えて折曲げ成形し、折曲により外径が縮む側での最小外径をこの最小外径を測定した箇所に相当する折曲げ前のパイプ外径で除した値に100を乗算した値である偏平率が92%以上であるものは、折曲げ部で排気脈動を乱さず、排気脈動を有効に活用可能である。
【0075】
すなわち、真直部の形状および折曲げ方向によっては、折曲げ部でパイプ内側の断面積が減少するもののみでなく、増加するものもある(折曲により外径が縮む側での折曲げ前外径が折曲により外径が伸びる側の折曲げ前外径より大きい場合等)。増加するものでは折曲げ部が膨張室として機能してしまい、180°位相がずれた反射波がエンジン側に戻るようになり、エンジンの排気脈動を乱し、性能を低下させてしまうが、偏平率が92%以上であるものはこのようなことがなく、排気脈動を有効に活用可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、折曲部分の内径と直線状部分での内径との差を低減することができるから、パイプ内を排ガスが円滑に流れることができるとともに、途中で圧力波が反射し難い排気パイプを提供することができる。
【0077】
また、本発明によれば、折曲部分の曲率が大きいほど液体の圧力が高くなるように折曲げ、しかも、折曲げ中に折曲部分内の圧力が低下することがない状態で折曲げることにより、曲率が異なる複数の折曲部分を全ての折曲部分で前記偏平率が92%以上になるように形成することができる。したがって、排気抵抗が小さくしかも排気脈動を有効に利用できる排気パイプを複雑な形状に形成することができる。
【0078】
さらに、本発明によれば、折曲部分の長さが長いほど液体の圧力が高くなるように折曲げ、しかも、折曲げ中に折曲部分内の圧力が低下することがない状態で折曲げることにより、折曲部分の長さが異なる複数の折曲部分を全ての折曲部分で前記偏平率が92%以上になるように形成することができる。したがって、排気抵抗が小さくしかも排気脈動を有効に利用できる排気パイプを複雑な形状に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る排気パイプを装着した自動二輪車の側面図である。
【図2】 本発明に係る排気パイプを示す図である。
【図3】 曲げ加工装置の平面図である。
【図4】 曲げ加工装置の水循環装置の構成を示す図である。
【図5】 パイプに栓手段を取付けた状態を示す断面図である。
【図6】 密栓機の構成を示す図である。
【図7】 加圧機の構成を示す側面図である。
【図8】 折曲機の平面図である。
【図9】 折曲機の背面図である。
【図10】 多関節ロボットの側面図である。
【図11】 本発明に係る排気パイプの性能と従来の排気パイプの性能とを比較するためのグラフである。
【図12】 曲げ加工装置の構成を示すブロック図である。
【図13】 折曲機と密栓機の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図14】 密栓機の他の実施の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
2…排気パイプ、22…密栓機、23…加圧機、24…折曲機、25…開栓機、26…第1の多関節ロボット、27…第2の多関節ロボット、31…素材パイプ、32…第1の栓手段、33…第2の栓手段。
Claims (2)
- 折曲機によって折曲げられた折曲部を有する排気パイプであって、前記折曲部での最小外径を折曲げ前のパイプの外径で除した値に100を乗算した値である偏平率が92%以上であり、
前記折曲部は、パイプ内に密封した液体を曲率と折曲部分の全長とのうち少なくともいずれか一方に対応する圧力に加圧した後、加圧しながら成形されたものであることを特徴とする排気パイプ。 - 請求項1記載の排気パイプにおいて、曲率半径が最も小さくなる前記折曲部は、曲率半径を排気パイプの外径で除した値が2以下であることを特徴とする排気パイプ。
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