JP4553697B2 - 表面処理組成物およびゴムの表面処理方法、並びにリリーフ弁の製造方法 - Google Patents
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リリーフ弁は、一般に、弁座(固定部)と、弁体(可動部)と、弁座に対して弁体を圧接させるよう付勢するスプリングと、スプリングの圧縮手段とを備えてなる。
リリーフ弁の可動部である弁体は、弁座に対し接離するOリング(ゴム部品)を備えており、これにより、閉弁時における弁座との気密性が確保される。
リリーフ弁の作動圧力、すなわち、開弁によって加圧流体が解放されるときの圧力は、これを構成するスプリングによる弁体への付勢力(弁体を弁座へ押し付ける力)に依存する。例えば、スプリングによる付勢力をFとし、加圧流体の圧力を受ける弁体の受圧面積をAとすると、加圧流体の圧力が上昇して(F/A)以上になったときに、前記付勢力(F)に抗して弁体が弁座から離間(開弁)して加圧流体が解放される。
ここで、スプリングによる付勢力(F)は、前記圧縮手段により、スプリングの圧縮量を適宜変更することにより調整することができる。
リリーフ弁に設定される作動圧力(以下、「設定圧力」という。)は、これが装着される管路(空気圧回路)の仕様によって様々であり、また、種々の用途において、100KPa以下の圧力で作動する低圧用のリリーフ弁が望まれている。
特に、スプリングによる付勢力の小さい低圧用のリリーフ弁においては、その作動圧力がOリングの粘着による影響を受けやすく、例えば、設定圧力の1.5倍以上に上昇してもリリーフ弁が作動しないこともある。
本発明の第1の目的は、非粘着性などの特性をゴム表面に十分かつ安定的に付与することができる表面処理組成物および表面処理方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、閉弁状態で長時間にわたり放置した後においても、放置後の作動圧力が、設定圧力(放置前の作動圧力)から大きく変化しない低圧用のリリーフ弁の製造方法を提供することにある。
(1)前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシラン(TMOS)またはテトラエトキシシラン(TEOS)であり、前記テトラアルコキシチタンが、テトラエトキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタンおよびテトラ−n−ブトキシチタンから選ばれた少なくとも1種、特にテトラエトキシチタンであること。
(2)酸を含有すること。
(3)テトラエトキシシランと、テトラエトキシチタンと、シランカップリング剤と、酸と、有機溶剤とを含有すること。
(4)テトラエトキシシランの含有量に対して1〜10質量%のテトラエトキシチタンを含有すること。
(5)テトラエトキシシランの含有量に対して3〜10質量%のテトラエトキシチタンを含有すること。
(6)テトラエトキシシランの含有量に対して6〜10質量%のテトラエトキシチタンを含有すること。
(7)テトラアルコキシシランとテトラアルコキシチタンとの合計の含有量に対して0.1〜100質量%のシランカップリング剤を含有すること。
しかも、本発明の製造方法により得られるリリーフ弁によれば、閉弁状態での長時間の放置を含む弁の開閉操作を多数回にわたり繰り返しても、Oリングに形成されている表面処理層が剥離するようなことはなく、表面処理層による性能(非粘着性または低粘着性)を長期にわたり安定的に発現させることができ、その作動圧力が、設定圧力から大きく変化することはない。
<表面処理組成物>
本発明の組成物は、テトラアルコキシシランと、テトラアルコキチタンと、シランカップリング剤と、これらを溶解する溶剤とを必須成分として含有する。
一方、テトラアルコキシチタンの含有割合(テトラアルコキシシランに対する相対的な割合)が過大である場合には、得られる組成物が短時間で硬化してしまい、塗布性などの作業性が低下する。
一方、シランカップリング剤の含有割合(テトラアルコキシシランとテトラアルコキシチタンの合計に対する相対的な割合)が過大である場合には、得られる組成物による架橋構造の形成が不十分となり、ゴム(基材)の表面を完全に覆うこと(表面処理層の形成)が困難となる。
本発明の製造方法により得られるリリーフ弁は、弁座に対して接離(接触/離間)するOリングを備えた弁体を有する低圧用のリリーフ弁である。
図1において、10はハウジング、20は弁座、30は弁体、40はスプリング、50はスプリングの圧縮手段である。
この例のリリーフ弁は、加圧流体の管路(図示省略)に装着され、この管路内の圧力(1次側の圧力)が設定圧力を超えたときに、弁座20から弁体30が離間(開弁)して、当該加圧流体を低圧側(2次側)に解放するよう作動するものである。
弁体30を構成するOリング31は、閉弁時には弁座20と接触し、開弁時には弁座20から離間する。Oリング31により、閉弁時の気密性(シール性)が確保される。
弁体30を構成するガイド部32は、Oリング31を保持するとともに、Oリング31にスプリング40による付勢力を伝達している。このガイド部32には、切り欠きにより加圧流体の流路33が形成されている。
「低圧用の」リリーフ弁を構成するOリング31の寸法としては、線径が1.0〜5.0mm、内径が0.5〜4.0mm、外径(内径+線径×2)が2.5〜14.0mmとされる。
スプリング40は、弁体30(Oリング31)を弁座20に圧接させるよう付勢している。
「低圧用の」リリーフ弁を構成するスプリング40のばね定数としては、0.05〜1.0N/mmとされる。
圧縮手段50の外周面51にはネジ(外ネジ)が形成されており、これをハウジング10の内周面11に形成されているネジ(内ネジ)と螺合させることにより、当該圧縮手段50を、スプリング40の圧縮・伸張方向に移動させることができ、これにより、スプリング40の圧縮量、延いてはスプリング40による付勢力を適宜調整することができる。52は、圧縮手段50に設けられた加圧流体の流路である。
作動圧力が100KPa以下である低圧用のリリーフ弁は、スプリングによる付勢力が小さいために、弁体(Oリング)と弁座との間の粘着の影響を受けやすい。
従って、本発明により達成される弁体(Oリング)と弁座との間の低い粘着性は、このような低圧用のリリーフ弁において重要な意義を有する。
すなわち、本発明のリリーフ弁の製造方法は、本発明の表面処理方法により処理されたOリングを弁体の構成部品として装着する点に特徴を有する。
なお、組成物の塗布後、Oリングの表面に形成された塗膜から溶剤を除去するために乾燥処理を行うことが好ましい。乾燥条件としては、組成物を構成する溶剤の種類および含有割合などによっても異なるが、例えば室温で1分間〜24時間とされ、好ましくは3分間〜1時間とされる。
塗膜の加熱方法としては、オーブンによる加熱、熱プレスによる加熱など、特に制限されるものではない。加熱条件としては、例えば50〜150℃で5分間〜24時間とされ、好ましくは80〜120℃で5〜120分間とされる。
これにより、(i)架橋構造(表面処理層を構成するSiO2 −TiO2 系の被膜)とシランカップリング剤との間、および、(ii)シランカップリング剤とゴムのポリマー主鎖との間に化学的な結合が形成され、この結果、Oリングを構成するゴムに対する密着性(被膜としての耐久性・強靱性)に優れた表面処理層(被覆層/改質層)が形成される。
しかも、本発明の製造方法により得られるリリーフ弁によれば、閉弁状態での長時間の放置を含む弁の開閉操作を多数回にわたり繰り返しても、Oリングに形成されている表面処理層が剥離するようなことはなく、表面処理層による性能(非粘着性または低粘着性)を長期にわたり安定的に発現させることができ、その作動圧力が、設定圧力から大きく変化することはない。
ニトリルゴム「JSR N240S」(ジェイエスアール(株)製)100質量部と、老化防止剤「ノクラックCD」1.5質量部と、ステアリン酸「アデカ脂肪酸SA−300」1.5質量部と、酸化亜鉛5質量部と、カーボンブラック「サーマックスMT」70質量部と、炭酸カルシウム「白艶華CC」(白石工業(株)製)10質量部と、フタル酸ジオクチル(DOP)30質量部と、硫黄0.3質量部と、加硫促進剤「ノクセラーTT」(大内新興化学(株)製)1.5質量部と、加硫促進剤「ノクセラーCZ−G」(大内新興化学(株)製)1.5質量部とを8インチロールによって混練してニトリルゴム組成物からなる未加硫ゴムを調製した。次いで、この未加硫ゴムを熱プレスを用いて加熱処理(150℃×20分間)することにより、ニトリルゴム(加硫ゴム)からなる厚さ2.0mmのゴム板(基材)を作製した。
(1)表面処理組成物の調製:
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシシラン(TEOS)0.40gと、テトラエトキシチタン〔Ti(OEt)4 〕0.004gと、式:Si(OCH3 )3 −(CH2 )3 −SHで示されるシランカップリング剤「A−189」〔日本ユニカー(株)製〕0.01gと、塩酸(0.1N)0.05gとを、アセトン7.91gに添加し、この系を室温下に1時間攪拌することにより、本発明の組成物(TEOS濃度=約4.8質量%,テトラエトキシチタン濃度=約0.05質量%,シランカップリング剤濃度=約0.12質量%)を調製した。
上記(1)により得られた本発明の組成物(1時間の攪拌操作の終了直後における組成物)中に、作製例Aで得られたゴム板を室温下に3分間浸漬することにより、当該ゴム板の全表面に組成物を塗布した。次いで、当該ゴム板を室温下に10分間放置して塗膜を乾燥させた後、100℃のオーブン内で60分間加熱処理することにより、本発明の組成物による表面処理層(SiO2 −TiO2 系の被膜からなる表面処理層)が形成されたゴム板が形成されたゴム板を得た。
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.012gに変更したこと以外は実施例1A(1)と同様にして本発明の組成物(テトラエトキシチタン濃度=約0.14質量%)を調製し、このようにして得られた組成物を使用したこと以外は実施例1A(2)と同様にして、本発明の組成物による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.024gに変更したこと以外は実施例1A(1)と同様にして本発明の組成物(テトラエトキシチタン濃度=約0.29質量%)を調製し、このようにして得られた組成物を使用したこと以外は実施例1A(2)と同様にして、本発明の組成物による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.032gに変更したこと以外は実施例1A(1)と同様にして本発明の組成物(テトラエトキシチタン濃度=約0.38質量%)を調製し、このようにして得られた組成物を使用したこと以外は実施例1A(2)と同様にして、本発明の組成物による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.040gに変更したこと以外は実施例1A(1)と同様にして本発明の組成物(テトラエトキシチタン濃度=約0.48質量%)を調製し、このようにして得られた組成物を使用したこと以外は実施例1A(2)と同様にして、本発明の組成物による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.024gに変更し、シランカップリング剤の使用量を0.02gに変更したこと以外は実施例1A(1)と同様にして本発明の組成物(TEOS濃度=約4.8質量%,テトラエトキシチタン濃度=約0.29質量%,シランカップリング剤濃度=約0.24質量%)を調製し、このようにして得られた組成物を使用したこと以外は実施例1A(2)と同様にして、本発明の組成物による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
作製例Aで得られたゴム板(基材)を100℃のオーブン内で60分間加熱処理することにより、表面処理層が形成されていない比較用のゴム板を得た。
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシチタンを使用しなかったこと以外は実施例1A(1)と同様にして比較用の組成物を調製し、このようにして得られた組成物を使用したこと以外は実施例1A(2)と同様にして、比較用の組成物による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
下記表1に示す処方に従って、シランカップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例1A(1)と同様にして比較用の組成物を調製し、このようにして得られた組成物を使用したこと以外は実施例1A(2)と同様にして、比較用の組成物による表面処理層が形成されたゴム板を得た。
下記表1に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.080gに変更したこと以外は実施例1A(1)と同様にして本発明の組成物(テトラエトキシチタン濃度=約0.95質量%)を調製した。得られた組成物には、縮合反応の進行によると思われる白濁が認められたため、実施例1A(2)と同様の表面処理は行わなかった。このようにテトラエトキシチタン濃度の高い場合には、厳密な温・湿度の管理下に、組成物を調製および使用することが必要と思われる。
上記の実施例1A〜実施例6Aおよび比較例1A〜比較例3Aにより得られたゴム板の各々について、タッキング試験機「TAC−II」((株)レスカ製)を用いて、金属(ステンレス)に対する粘着力を測定することにより、表面の非粘着性を評価した。結果を併せて表1に示す。
ここに、測定条件は、下記のとおりである。
(1)プローブ素材:SUS304
(2)プローブ形状:直径5.1mmの円柱形状
(3)進入速度:5mm/min
(4)加圧力:100gf
(5)加圧時間:3秒間
(6)離間(引き離し)速度:600mm/min
(7)測定温度:室温
そして、本発明の組成物による優れた非粘着性は、種々の溶剤との接触処理(ソックスレー抽出,抽出時間=12時間)を行うことによっても失われることはなかった。
更に、本発明の組成物により表面処理されたゴム板は、表面潤滑性にも優れていることが認められた。
作製例Aと同様にして、ニトリルゴム組成物(未加硫ゴム)を調製し、この未加硫ゴムを熱プレスを用いて加熱処理(150℃×20分間)することにより、Oリング(線径=1.42mm、内径=1.53mm、外径=4.37mm)を作製した。
(1)表面処理組成物の調製:
下記表2に示す処方に従って、テトラエトキシシラン(TEOS)0.40gと、テトラエトキシチタン0.004gと、シランカップリング剤「A−189」〔日本ユニカー(株)製〕0.01gと、塩酸(0.1N)0.05gとを、アセトン7.91gに添加し、この系を室温下に1時間攪拌することにより、本発明の組成物(TEOS濃度=約4.8質量%,テトラエトキシチタン濃度=約0.05質量%,シランカップリング剤濃度=約0.12質量%)を調製した。
上記(1)により得られた本発明の組成物(1時間の攪拌操作の終了直後における組成物)中に、作製例Bにより得られたOリングを室温下に3分間浸漬することにより、当該Oリングの表面に本発明の組成物を塗布した。次いで、当該Oリングを室温下に10分間放置して塗膜を乾燥させた後、100℃のオーブン内で60分間加熱処理することにより、本発明の組成物により表面処理されたOリング(SiO2 −TiO2 系の被膜からなる表面処理層が形成されたOリング)を製造した。
上記(2)により表面処理されたOリングをガイド部に装着して弁体とし、この弁体と、スプリングと、スプリングの圧縮手段とをハウジングに収容して、図1に示したような構造を有する低圧用のリリーフ弁を製造した。
このリリーフ弁において、弁体の受圧面積(A)≒0.07cm2 、スプリングのばね定数≒0.16N/mm、スプリングによる付勢力(F)=0.14〜0.70N、作動圧力=20〜100KPaである。
下記表2に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.012gに変更したこと以外は実施例1B(1)と同様にして本発明の組成物(テトラエトキシチタン濃度=約0.14質量%)を調製し、得られた組成物を使用したこと以外は実施例1B(2)と同様にして、本発明の組成物により表面処理されたOリングを製造し、得られたOリングをガイド部に装着して弁体としたこと以外は実施例1B(3)と同様にして低圧用のリリーフ弁を製造した。
下記表2に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.024gに変更したこと以外は実施例1B(1)と同様にして本発明の組成物(テトラエトキシチタン濃度=約0.29質量%)を調製し、得られた組成物を使用したこと以外は実施例1B(2)と同様にして、本発明の組成物により表面処理されたOリングを製造し、得られたOリングをガイド部に装着して弁体としたこと以外は実施例1B(3)と同様にして低圧用のリリーフ弁を製造した。
下記表2に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.032gに変更したこと以外は実施例1B(1)と同様にして本発明の組成物(テトラエトキシチタン濃度=約0.38質量%)を調製し、得られた組成物を使用したこと以外は実施例1B(2)と同様にして、本発明の組成物により表面処理されたOリングを製造し、得られたOリングをガイド部に装着して弁体としたこと以外は実施例1B(3)と同様にして低圧用のリリーフ弁を製造した。
下記表2に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.040gに変更したこと以外は実施例1B(1)と同様にして本発明の組成物(テトラエトキシチタン濃度=約0.48質量%)を調製し、得られた組成物を使用したこと以外は実施例1B(2)と同様にして、本発明の組成物により表面処理されたOリングを製造し、得られたOリングをガイド部に装着して弁体としたこと以外は実施例1B(3)と同様にして低圧用のリリーフ弁を製造した。
下記表2に示す処方に従って、テトラエトキシチタンの使用量を0.024gに変更し、シランカップリング剤の使用量を0.02gに変更したこと以外は実施例1B(1)と同様にして本発明の組成物(TEOS濃度=約4.8質量%,テトラエトキシチタン濃度=約0.29質量%,シランカップリング剤濃度=約0.24質量%)を調製し、得られた組成物を使用したこと以外は実施例1B(2)と同様にして、本発明の組成物により表面処理されたOリングを製造し、得られたOリングをガイド部に装着して弁体としたこと以外は実施例1B(3)と同様にして低圧用のリリーフ弁を製造した。
作製例Bで得られたOリングをガイド部に装着して弁体としたこと以外は実施例1B(3)と同様にして低圧用のリリーフ弁を製造した。
下記表2に示す処方に従って、テトラエトキシチタンを使用しなかったこと以外は実施例1B(1)と同様にして比較用の組成物を調製し、得られた組成物を使用したこと以外は実施例1B(2)と同様にして、比較用の組成物により表面処理されたOリングを製造し、得られたOリングをガイド部に装着して弁体としたこと以外は実施例1B(3)と同様にして低圧用のリリーフ弁を製造した。
下記表2に示す処方に従って、シランカップリング剤を使用しなかったこと以外は実施例1B(1)と同様にして比較用の組成物を調製し、得られた組成物を使用したこと以外は実施例1B(2)と同様にして、比較用の組成物により表面処理されたOリングを製造し、得られたOリングをガイド部に装着して弁体としたこと以外は実施例1B(3)と同様にして低圧用のリリーフ弁を製造した。
実施例1B〜実施例6Bおよび比較例1B〜比較例3Bで得られたリリーフ弁の各々について、閉弁状態で一定時間放置することによる作動圧力の上昇率を測定した。具体的には、空気圧の調整手段(減圧弁)を備えた管路にリリーフ弁を装着し、その作動圧力を30〜35KPaの範囲に設定した後、管路内の空気圧を0KPaとすることにより当該リリーフ弁を閉弁状態で1時間にわたり放置し、その後、管路内の空気圧を上昇させて作動圧力を再度測定し、放置前の作動圧力(設定圧力)に対する、放置後の作動圧力の比率(上昇率)を求めた。結果を併せて下記表2に示す。なお、リリーフ弁の作動圧力の設定は、圧縮手段でスプリングの圧縮量を調整することにより行った。
実施例1B〜実施例6Bおよび比較例1B〜比較例3Bで得られたリリーフ弁の各々について、空気圧の調整手段(減圧弁)を備えた管路にリリーフ弁を装着し、その作動圧力を30〜35KPaの範囲に設定した後、閉弁状態(1時間)と開弁状態(10秒間)を1サイクルとして、300サイクルの開閉操作を繰り返した後、作動圧力を再度測定し、放置前の作動圧力(設定圧力)に対する、開閉操作繰り返し後の作動圧力の比率(上昇率)を求めた。結果を併せて下記表2に示す。
20 弁座
30 弁体
31 Oリング
32 ガイド部
33 加圧流体の流路
40 スプリング
50 圧縮手段
51 外周面
52 加圧流体の流路
Claims (9)
- ゴムの表面を処理するための組成物であって、
式(1):Si(OR1 )4 (式中、R1 は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシシランと、
式(2):Ti(OR2 )4 (式中、R2 は、炭素数2〜4のアルキル基を表す。)で示されるテトラアルコキシチタンと、
式(3):Si(OR3 )m R4 3-m −(CH2 )n −R5 (式中、R3 はアルキル基またはアルコキシアルキル基を表し、R4 はアルキル基を表し、mは1〜3の整数であり、nは0〜5の整数である。また、R5 は、ゴムのポリマー主鎖との反応性を有する有機官能基を表す。)で示されるシランカップリング剤と、
これらを溶解する溶剤とを含有する表面処理組成物。 - 前記テトラアルコキシシランが、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであり、前記テトラアルコキシチタンが、テトラエトキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタンおよびテトラ−n−ブトキシチタンから選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の表面処理組成物。
- 酸を含有する請求項1または請求項2に記載の表面処理組成物。
- テトラエトキシシランと、テトラエトキシチタンと、シランカップリング剤と、酸と、有機溶剤とを含有する請求項1に記載の表面処理組成物。
- テトラエトキシシランの含有量に対して1〜10質量%のテトラエトキシチタンを含有する請求項4に記載の表面処理組成物。
- テトラエトキシシランの含有量に対して3〜10質量%のテトラエトキシチタンを含有する請求項4に記載の表面処理組成物。
- 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の表面処理組成物をゴムの表面に塗布する工程と、当該表面処理組成物による塗膜を加熱する工程とを含むゴムの表面処理方法。
- ニトリルゴムの表面を処理する請求項7に記載のゴムの表面処理方法。
- 弁座に対して接離するOリングを備えた弁体を有し、100KPa以下の圧力において作動する低圧用のリリーフ弁を製造する方法であって、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の表面処理組成物をOリングに塗布する工程と、当該表面処理組成物による塗膜を加熱することにより当該Oリングを表面処理する工程と、表面処理された当該Oリングを弁体の構成部品として装着する工程とを含むリリーフ弁の製造方法。
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