JP4553452B2 - 銀−酸化物系接点およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁開閉器、配線用遮断器、漏電遮断器、真空遮断器、制御リレーその他各種スイッチ等の電気・電子制御機器に用いられる接点およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、継電器用の開閉制御器具の事業活動においても、地球環境保護と環境汚染防止対策等が要求されている。
とくに、環境問題の影響によりこれまで多用されてきたCdを含有する銀系接点材料ができなくなり、現在では、Sn、Inを主とする銀合金等の内部酸化型銀系接点材料が広く使用されている。
【0003】
そのような接点材料の製造方法の一例として、Sn、Inを含有する銀系合金の片面にAgの薄い板を複合し、プレス金型において所定の形状にプレス打ち抜き加工を行った後、このブランク切断片を数気圧の酸素圧力下で600〜800度Cの温度で数十時間内部酸化を施して銀−酸化物系接点を得るという方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような技術によると、銀系合金接点材料を所定の接点形状にプレス抜き加工を行った後、内部酸化処理を行うと、銀合金中に酸素が取り込まれることにより、図14に示す如く、その両面中央部が丸みをおびた凸形状に膨張する。この現象は、材料寸法が小さくなるほどその傾向が顕著になり、後の端子台材との接合に際して台材との接合強度低下や接合強度のばらつきの要因となる等の接点材として致命的な弊害となっている。
【0005】
特に、最近の接合方法に用いられるようになった超音波接合や炉中拡散による接合方法では接合面の台材との接合安定性が必要とされる。
【0006】
【課題を解決する手段】
そこで本発明は、銀系合金材料の型による接点形状打ち抜き加工時に表面に内部酸化処理後の膨張量を予め想定して形成した凹部を内部酸化処理による膨張によって平坦な面にしてあることを特徴とする。
また、その製造方法として、銀系合金材料を型による接点形状打ち抜き加工によって表面に内部酸化処理後の膨張量を予め想定した凹部を形成し、その凹部を気圧、温度および処理時間を定めた内部酸化処理により溶質金属を酸化膨張させて平坦な面に回復成形させることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
第1実施の形態例
主として、Sn、Inを含有する銀系合金材料1の片面に0.1mmのAg板2を複合させ、図1に示すような幅10mm、板厚2mmの板材に圧延後、プレス型によって打ち抜き加工を行い、6mm角の接点材料3を得る。
【0008】
この接点材料3を、図2に示すようなプレス金型によって、図3に示すような先端が上底部4mm角、下底面6mm角、高さ0.2mmの台形状に面取りしたパンチ4で金型ダイ5の中で上下面より凹部6を圧潰形成して図4に示すような接点材料3を得た。
この凹部6を有する接点材料3を、8気圧、700度Cで48時間の条件で内部酸化処理を施すことによって、凹部6が膨張して平坦な面を有する接点材料を形成した。
【0009】
なお、上記の説明では、幅10mm、板厚2mmの板材を用いてプレス金型によって打ち抜き加工を行って6mm角の接点材料3を得たが、図5に示す如く、幅6mm、板厚2mmに圧延した条材を6mm間隔に切断して6mm角の接点材料3を得ても同様である。
また、凹部6の形状も上記の四角形状に限るものではなく、例えば図6に示すような、パンチ刃先の縁全周あるいは一部を残して面取りするか、先端を球アール凸状に形成したパンチを用いて成形した凹部でもよい。
【0010】
第2実施の形態例
上記第1実施の形態例では、接点材料の両面に凹部を形成したが、接合面となる片面だけでもよく、銀合金からなる幅10mm、板厚2mmの板状に圧延した板材を6mm角の寸法に抜き落とす際に、図7、図8に示す如く、先端が上底面4mm角、下底面6mm角、高さ0.2mmの台形状に面取りした上パンチ4で金型ダイ5の中で上面より凹部6を圧潰形成した。
【0011】
この凹部6を有する接点材料3を、8気圧、700度Cで48時間の条件で内部酸化処理を施すことによって、凹部6が膨張して平坦な面を有する接点材料を形成した。
第3実施の形態例
上記同様の銀合金接点材料を幅6mm、板厚2mmに圧延した条材を、引き抜きダイス、成形ロールによって図9に示す如く、平板の状態から両面を上底4mm、下底6mm、高さ0.2mmの台形断面凹状に圧潰成形後、内部酸化処理を施し、6mm間隔に切断して平坦な面の接点材料を得た。なお、6mm間隔に切断後に内部酸化処理を施しても同様である。
【0012】
また、この説明では条材の両面に台形断面凹状の圧潰成形を行ったが、接合面となる片面であってもよい。
以上説明した各実施の形態例において、必要に応じて図10に示す如く、接点の表裏判別マークを付けておくとよく、そのマークは丸穴、リング、溝、ローレット等どのようなものでもよい。
【0013】
また、接点材料の大きさは上記の大きさに限るものではなく、使用目的、使用個所に応じて適宜決定されるものである。
さらに、単一材料だけでなく、図11に示す如く、クラッド材、エッジレイ材等の複合材でもよい。
さらに、上記各説明では、単独の金型による単一工程の場合で説明を行ったが、製造工程を一部あるいは全てつなげた図12、図13のような順送金型による連続の成形でもよい。
【0014】
図12および図13に示す如く、凹部6を形成した接点材料3は内部酸化処理により平坦面となる。
本発明による試料と、銀合金材料の片面に0.1mmのAgを複合させ、幅10mm、板厚2mmの板状に圧延後、プレス金型によって6mm角の接点形状に打ち抜き加工を行い、内部酸化を施した従来技術による試料とをそれぞれ台材に接合してその接合強度の結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明によると、銀合金接点材料の少なくとも接合面となる片面に、内部酸化後の膨張量を想定して予め凹状に圧潰して凹部を成形し、内部酸化処理によって膨張して平坦な面に成形することができる効果を有する。
さらに、この平坦面によって接点材と端子台材とを接合する際の接合強度不足や接合強度のばらつき等がなくなる効果を有する。
【0017】
また、抵抗溶接や抵抗ろう材においては、傾斜した状態での接合、位置ずれした接合、スパッタ散りが発生する等の問題が解消され、その電極の寿命を永くすることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態例を示す説明図
【図2】成形状態を示す説明図
【図3】パンチの説明図
【図4】接点材料の説明図
【図5】条材の説明図
【図6】パンチの説明図
【図7】第2実施の形態例を示す説明図
【図8】作動状態の説明図
【図9】第3実施の形態例を示す説明図
【図10】表裏判別マークの説明図
【図11】複合材の説明図
【図12】他の製造工程の説明図
【図13】他の製造工程の説明図
【図14】従来の接点材料の説明図
【符号の説明】
1 銀系合金材料
2 Ag板
3 接点材料
4 パンチ
5 金型ダイ
6 凹部
Claims (2)
- 銀系合金材料の型による接点形状打ち抜き加工時に表面に内部酸化処理後の膨張量を予め想定して形成した凹部を内部酸化処理による膨張によって平坦な面にしてあることを特徴とする銀−酸化物系接点。
- 銀系合金材料を型による接点形状打ち抜き加工によって表面に内部酸化処理後の膨張量を予め想定した凹部を形成し、その凹部を気圧、温度および処理時間を定めた内部酸化処理により溶質金属を酸化膨張させて平坦な面に回復成形させることを特徴とする銀−酸化物系接点の製造方法。
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- 2000-06-29 JP JP2000196803A patent/JP4553452B2/ja not_active Expired - Fee Related
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