JP4552227B2 - 位置検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、移動する移動部材の位置を検出する位置検出装置に関する。
従来、鍵盤楽器の鍵、ハンマ、ペダル等の、操作等によって移動する移動部材の移動行程における位置を、光学的検出手段によって連続的に検出するようにした位置検出装置が知られている(下記特許文献1、2)。
特に鍵盤楽器においては、自動演奏データに基づき移動部材を駆動制御する自動演奏の際に移動部材の検出位置をフィードバックすること、移動部材の位置を検出して演奏に基づく演奏データを記録すること、移動部材の検出位置に基づき移動初期位置であるレスト位置、移動終了位置であるエンド位置の位置調整を行うこと、等がなされる。そのため、移動部材の位置を正確に検出することが求められる。
特開2002−156967号公報 特開平6−149234号公報
しかしながら、例えば、鍵でいえば、レスト位置、エンド位置は製造段階で個々にばらつきがあり、ハンマにおいても、ゆっくり押鍵した場合におけるハンマの最上位置と弦との距離である「接近距離」も個々にばらつきがある。また、温度、湿度等の環境変化、光源の劣化、各部の摩耗、へたりによる経年変化、あるいは整調等によって、レスト位置、エンド位置でのセンサの出力値等も変化する。さらには、光学的検出で採用されるシャッタの個々の取り付け精度が、移動部材の位置検出の精度に影響を与える。
従って、上記特許文献1、2に示されるような位置検出装置による移動部材の位置情報を示す出力値は、必ずしも正確とはいえない。すなわち、連続的に変化する出力値の、どの値が、移動部材の移動行程中におけるどの位置に対応するのかが正確にわからず、移動部材の絶対位置が正確に把握できないという問題があった。しかも、上記のように、環境変化や経年変化等によって、移動部材の実際の位置と出力値との対応関係が変化するため、長期に亘って移動部材の絶対位置を正確に把握することが困難であるという問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、環境変化や経年変化等による誤差を補償して、移動部材の絶対位置を常に正確に把握することができる位置検出装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の請求項1の位置検出装置は、移動初期位置から移動終了位置までの間を移動行程として移動する移動部材(10)の位置を検出する位置検出装置であって、前記移動部材に設けられたシャッタ部材と、検出用光を発する発光手段と、前記発光手段から発し前記シャッタ部材を通過した検出用光を受光し、その受光量に基づいて、前記移動部材の前記移動行程における位置情報(yk(s))を連続量で出力する連続量出力手段(14a)と、前記発光手段から発し前記シャッタ部材を通過した検出用光を受光し、その受光量に基づいて、前記移動行程における前記移動初期位置以外で且つ前記移動終了位置以外の途中の位置であって、前記移動行程中の所定の基準位置からの距離が既知である位置に前記移動部材が位置するか否かを示す2値的情報(yk(p))を出力する2値出力手段(14b)と、前記連続量出力手段により出力される位置情報と、該連続量出力手段により該位置情報が出力されるのと並行して前記2値出力手段により出力される2値的情報とに基づいて、前記移動部材の位置に対する前記連続量出力手段の出力特性を求める出力特性算出手段(17)と、前記出力特性算出手段により算出された出力特性を記憶する出力特性記憶手段(17)と、前記出力特性記憶手段により記憶された出力特性と前記連続量出力手段により出力される位置情報とに基づいて、前記移動部材の絶対位置を連続的に検出する絶対位置検出手段(17)とを有することを特徴とする。
上記目的を達成するために本発明の請求項2の位置検出装置は、移動初期位置から移動終了位置までの間を移動行程として移動する移動部材の位置を検出する位置検出装置であって、前記移動部材に設けられたシャッタ部材と、検出用光を発する発光手段と、前記発光手段から発し前記シャッタ部材を通過した検出用光を受光し、その受光量に基づいて、前記移動部材の前記移動行程における位置情報を連続量で出力する連続量出力手段と、前記発光手段から発し前記シャッタ部材を通過した検出用光を受光し、その受光量に基づいて、前記移動行程における前記移動初期位置以外で且つ前記移動終了位置以外の途中の位置であって、互いの距離が既知である複数の位置のそれぞれに前記移動部材が位置するか否かを示す2値的情報を出力する2値出力手段と、前記連続量出力手段により出力される位置情報と、該連続量出力手段により該位置情報が出力されるのと並行して前記2値出力手段により出力される2値的情報とに基づいて、前記移動部材の位置に対する前記連続量出力手段の出力特性を求める出力特性算出手段と、前記出力特性算出手段により算出された出力特性を記憶する出力特性記憶手段と、前記出力特性記憶手段により記憶された出力特性と前記連続量出力手段により出力される位置情報とに基づいて、前記移動部材の絶対位置を連続的に検出する絶対位置検出手段とを有することを特徴とする。
上記目的を達成するために本発明の請求項4の位置検出装置は、移動初期位置から移動終了位置までの間を移動行程として移動する移動部材の位置を検出する位置検出装置であって、前記移動部材の前記移動行程における位置情報を連続量で出力する連続量出力手段と、前記移動行程における予め定められた特定の途中の位置に前記移動部材が位置するか否かを示す2値的情報を出力する2値出力手段と、前記連続量出力手段により出力される位置情報と、該連続量出力手段により該位置情報が出力されるのと並行して前記2値出力手段により出力される2値的情報とに基づいて、前記移動部材の位置に対する前記連続量出力手段の出力特性を求める出力特性算出手段と、前記出力特性算出手段により算出された出力特性を記憶する出力特性記憶手段と、前記出力特性記憶手段により記憶された出力特性と前記連続量出力手段により出力される位置情報とに基づいて、前記移動部材の絶対位置を連続的に検出する絶対位置検出手段とを有し、前記連続量出力手段及び前記2値出力手段はいずれも、光学的検出により値を出力するものであり、前記移動部材には、シャッタ部材が設けられ、該シャッタ部材は、前記連続量出力手段用の第1シャッタ部と前記2値出力手段用の第2シャッタ部とが一体に併設されて構成されることを特徴とする。
なお、上記括弧内の符号は例示である。
本発明によれば、環境変化や経年変化等による誤差を補償して、移動部材の絶対位置を常に正確に把握することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の位置検出装置が適用される鍵盤装置の構成を、ある1つの鍵に着目して示した部分断面図である。本位置検出装置が適用される鍵盤装置1は、自動演奏ピアノとして構成され、同様に構成される複数(例えば88鍵)の鍵10を備える。
鍵盤装置1は、通常のアコースティックピアノと同様、鍵10の運動をハンマ4に伝達するアクション機構6と、ハンマ4により打撃される弦2と、弦2の振動を止めるためのダンパ3とを備えており、これらの構成は、一般的な自動演奏ピアノと同様である。また、通常のアコースティックピアノと同様にバックチェック5が設けられており、打弦の反動により戻ってくるハンマ4の暴れが防止される。
以降、鍵10の奏者側(図1の左側)を「前方」と称する。複数の各鍵10及びそれに関連する要素の構成は、いずれも共通であるので、共通部分については、以降、1つの鍵10及びそれに関連する要素の構成を代表して説明する。
鍵10は、押鍵操作により、各鍵10毎に設けられたバランスピン15を中心に、非押鍵位置であるレスト位置RPから、押鍵終了位置であるエンド位置EPまで反時計方向に回動し、押鍵終了状態で離鍵されると、レスト位置RPに復帰するようになっている。鍵10が押下されたとき、弦2がハンマ4により叩かれることにより発音する。鍵10の前部下部には、シャッタ40が垂下して設けられている。シャッタ40については後述する。
また、不図示のソレノイドコイルを有するキードライブユニット16が、鍵10毎に設けられ、鍵10の後端部側の下方に配置されている。演奏データに基づく自動演奏(再生)においては、演奏データ中の発音イベントデータで規定される音高に対応するキードライブユニット16に駆動信号が供給されると、そのプランジャ7が上昇して対応する鍵10の後端部を突き上げる。これによりその鍵10が押下され、対応する弦2が対応するハンマ4により叩かれることによりピアノ音が発音されるようになっている。
鍵盤装置1はまた、ピアノコントローラ19、モーションコントローラ18及びサーボコントローラ17を備える。ピアノコントローラ19は、モーションコントローラ18に演奏データを供給する。この演奏データは、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)コードで構成され、鍵10の動作を規定する。モーションコントローラ18は、供給された演奏データに基づいて、各時刻における鍵10の各位置に対応した位置制御データrkをそれぞれ生成し、サーボコントローラ17に供給する。なお、上記モーションコントローラ18及びサーボコントローラ17の機能は、実際には、図示しないCPU、タイマ、ROM、RAM、記憶装置等の協働作用によって実現される。
一方、詳細は後述するが、受光部ユニット14の出力である第1検出信号yk(s)及び第2検出信号yk(p)が、サーボコントローラ17に供給される。
サーボコントローラ17は、位置制御データrkに応じた励磁電流として電流指示値ukを生成し、キードライブユニット16に供給する。この電流指示値ukは、実際には、キードライブユニット16の上記不図示のソレノイドコイルに流すべき平均電流の目標値に応じたデューティ比となるようにパルス幅変調を施したPWM信号である。
演奏データに基づく自動演奏においては、サーボコントローラ17は、位置制御データrkと第1検出信号yk(s)とをそれぞれ比較し、両者が一致するように電流指示値ukを随時更新して出力することでサーボ制御を行う。これにより、演奏データに従って鍵10が駆動されて、自動演奏がなされる。
図2(a)は、本位置検出装置の主要部の側面図、同図(b)は同主要部の下面図である。本位置検出装置は、発光部ユニット11、受光部ユニット14のほか、いずれも複数のシャッタ40、センサヘッド20、30、光ファイバ12(12A、12B)及び光ファイバ13(13A、13B)を含んで構成される。
同図(b)では、発光側、受光側の両ヘッド20、30が2つずつ示されているが、実際には、これらが交互に多数配設されている。発光側ヘッド20、受光側ヘッド30の各々は、アクリル樹脂等の透明な合成樹脂で、一体に形成される。
発光側ヘッド20は、胴体部21と、それぞれV字状溝を有する第1レンズ部22及び第2レンズ部23から成る。図2(a)に示すように、第1レンズ部22と第2レンズ部23とは上下方向の段差を有して配設され、発光側ヘッド20の長手方向における位置が、第1レンズ部22と第2レンズ部23とで異なっており、第2レンズ部23の方が突出している。受光側ヘッド30についても形状的には発光側ヘッド20と同様で、胴体部31、第1レンズ部32及び第2レンズ部33から成る。
発光側ヘッド20の胴体部21には、各1本の光ファイバ12A、12Bの一端部が挿入され、受光側ヘッド30の胴体部31には、各1本の光ファイバ13A、13Bの一端部が挿入されている。全発光側ヘッド20に対応する複数の光ファイバ12A、12Bは、それらの他端部が複数本(例えば5本)ずつ束ねられて振り分けられて、受光部ユニット14に接続される。また、全受光側ヘッド30に対応する複数の光ファイバ13A、13Bも、それらの他端部が複数本(例えば5本)ずつ束ねられて振り分けられて、発光部ユニット11に接続される。
発光部ユニット11は、上記複数本ずつ束ねられた光ファイバ12A、12Bのファイバ束に対応してLED等の発光部を備え、この発光部が発光することで、対応するファイバ束に対して検出用光OPを入射させる。
発光部ユニット11から発した検出用光OPは、各光ファイバ12A、12Bを通じて各発光側ヘッド20に供給され、各発光側ヘッド20の第1レンズ部22、第2レンズ部23のV字状溝で内面反射して両側に振り分けられる。そして、第1レンズ部22、第2レンズ部23を介する光が、それぞれ光路24A、24Bを通って、隣接する受光側ヘッド30へ検出用光OP1、OP2として導かれる。これらの検出用光OP1、OP2は、受光側ヘッド30の第1レンズ部32、第2レンズ部33から入射し、第1レンズ部32、第2レンズ部33の各V字状溝で内面反射して、各光ファイバ13A、13Bを通じて受光部ユニット14へ導かれる。
受光部ユニット14は、上記複数本ずつ束ねられた光ファイバ13A、13Bのファイバ束に対応するフォトトランジスタ等の受光部14a、14bを複数備え、各受光部14a、14bが、受光量に応じた電流値を出力する。押離鍵動作がされると、発光側ヘッド20と受光側ヘッド30との間の2つの光路24A、24Bをシャッタ40が横断するようになっており、受光部ユニット14の上記各受光部14a、14bの受光量が変化して、それに伴い出力される電流値に変化が生じるようになっている。
受光部ユニット14の受光部14aは、光ファイバ13Aに対応し、受光部14bは、光ファイバ13Bに対応し、これらは、第1レンズ部22、32を介する検出用光OP1と第2レンズ部23、33を介する検出用光OP2とで、それぞれ独立した検出を行い、信号を出力する。これら各受光部14a、14bの出力信号のうち、検出用光OP1に応じた受光部14aの出力信号が、第1検出信号yk(s)であり、検出用光OP2に応じた受光部14bの出力信号が、第2検出信号yk(p)である。
ところで、発光部ユニット11の発光部の発光は極めて短い周期でなされ、光パルスとなって、キースキャン信号として機能する。キースキャンの手法としては、特開平9−152871号公報等に開示されている公知の手法を用いることができる。例えば、発光部ユニット11と受光部ユニット14との間にマトリクススイッチを構成し、時分割処理等により、各発光部の発光タイミングと各受光部14a、14bでの出力値の変化とに基づいて押離鍵動作を検出することができる。
図1に示すように、シャッタ40は、PET(ポリエチレンテフタレート)等の透明基材で成り、スリット部42とグレースケール部41とが前後に一体に併設されている。グレースケール部41には、下方から上方にいくにつれて黒色面積が減少するパターンが形成される。一方、スリット部42には、2カ所の透明部42a1、42a2が設けられ、その他の部分は黒塗りされている。透明部42a1、42a2の上下方向の幅は同じであり、両者間の距離Dは既知(例えば2mm)である。なお、透明部42a1、42a2の相対距離(D)が既知であるので、それらの絶対位置(例えばシャッタ40の下端からの位置)は既知である必要はない。
鍵10がレスト位置RPにあるとき、シャッタ40に対する光路24Aの位置は、図2(a)に24A(r)で示すように、グレースケール部41の下部にあり、光路24Bは、図2(a)に24B(r)で示すように、スリット部42における、光路24Aよりやや高い位置にある。鍵10がレスト位置RPからエンド位置EPまで回動する回動行程において、シャッタ40は、光路24A、24Bに対して、図1に示すストローク(押鍵ストロークに相当するもの)の量だけ相対的に移動し、エンド位置EPにおいて、シャッタ40に対する光路24A、24Bの相対的位置は、図2(a)に24A(e)、24B(e)で示す位置となる。鍵10の回動行程において、スリット部42の透明部42a1、42a2が光路24Bを横断する。
図3(a)は、検出結果による鍵10のストローク位置xと第1検出信号yk(s)との関係を示す図である。図3(b)は、検出結果による鍵10のストローク位置xと第2検出信号yk(p)との関係を示す図である。図3(c)は、受光部ユニット14の受光部14aの出力特性を示す図であり、この出力特性は、後述するように演算によって求められる。
上記構成において、押鍵操作により、鍵10が回動するとき、光路24Aを通る光(検出用光OP1)は、鍵10に連動して変位するグレースケール部41によって減光されて、受光部ユニット14の受光部14aに受光される。従って、第1検出信号yk(s)は、鍵10の回動位置に応じた連続量として得られる。ここで、鍵10のストローク位置xは、レスト位置RPからの変位とする。また、第1検出信号yk(s)は、ストローク位置xに対して、ほぼ線形であることが既知であるとする。
例えば、図3(a)に示すように、第1検出信号yk(s)の、レスト位置RPにおける値YRとエンド位置EPにおける値YEとから、直線LAが得られる。ところが、レスト位置RPとエンド位置EPとの距離である押鍵ストロークは、個々の鍵10においてばらつきがあり、環境変化や経年変化等によっても変化するので、実際には直線LAの傾きが不明である。従って、結局、鍵10の絶対位置を、第1検出信号yk(s)のみから把握することができない。
一方、光路24Bを通る光(検出用光OP2)については、光路24Bがスリット部42の透明部42a1、42a2を通過したときのみ一時的にその通過光量が増加し、それ以外では通過光量が極めて少ない。従って、受光部ユニット14の受光部14bの受光量は、2回だけ瞬時に多くなる。ここで、受光部ユニット14の受光部14bは、その受光量が所定の閾値を超えていないとき第2検出信号yk(p)として「0」を出力し、該所定の閾値を超えているとき、第2検出信号yk(p)として一定の値を出力するように構成されている。従って、第2検出信号yk(p)は、2値的信号であり、鍵10の回動行程においてパルス的に2回発生する。例えば、同図(b)に示すように、位置X1、X2でパルスが立ち上がっている。
以下に説明するように、同図(c)に示す受光部ユニット14の受光部14aの出力特性直線LBは、鍵10の回動動作に対して同時に出力される第1検出信号yk(s)及び第2検出信号yk(p)に基づいて求められる。すなわち、同図(b)に示すように、パルスが立ち上がった時点における第1検出信号yk(s)の値をY1、Y2とする。位置X1、X2間の距離は上記透明部42a1、42a2間の距離と同じ「D」であって上述のように既知であるから、D値とY1、Y2値とから、直線LAの真の傾きが判明する。直線LAの傾きがわかったことで、同図(c)に示すように、出力特性直線LBが一義的に規定され、レスト位置RPとエンド位置EPとの距離も規定される。出力特性直線LBを示す情報は、不図示の記憶装置に記憶しておく。
このような、出力特性直線LBを求める処理は、個々の鍵10毎に行う。この処理は、頻繁に行う必要はなく、鍵盤装置1の出荷時、メンテナンス時、整調時、鍵10の位置の自己学習時等において定期的に行えばよく、あるいは、環境変化や経年変化の度合いに応じて適宜行えばよい。そして、一旦、出力特性直線LBを求め記憶した後は、鍵10の毎回の回動動作を検出して得られる第1検出信号yk(s)と、上記記憶された出力特性直線LBとに基づいて、鍵10の現在の絶対位置を特定する。すなわち、出力特性直線LBにより、連続的に変化する第1検出信号yk(s)の各値が、鍵10の回動行程中におけるどの位置に対応するのかを正確に知ることができる。
鍵10の現在の絶対位置を連続量で正確に把握できることにより、例えば、演奏データに基づきキードライブユニット16を駆動する自動演奏の際には、第1検出信号yk(s)の値をフィードバック信号として用い、鍵10の位置を正確に制御しつつ動作させることができる。また、鍵10の位置を検出して鍵10の演奏操作に基づく演奏データを記録する際にも、各位置が正確であることから、正確な演奏データが得られる。さらには、出荷、メンテナンス時等において、レスト位置RPやエンド位置EP等を調節する際にも、適切な量の調節が可能となる。
なお、出力特性直線LBは、鍵10の1回の回動動作に対して並行して出力される第1検出信号yk(s)と第2検出信号yk(p)とから求めることができるが、好ましくは、鍵10を複数回回動させ、出力特性直線LBの算出を複数回行って、それらの平均値を執るようすれば、より正確な出力特性直線LBが得られる。
本実施の形態によれば、シャッタ40にグレースケール部41とスリット部42とを設け、グレースケール部41を用いて得られる連続量である第1検出信号yk(s)とスリット部42を用いて得られる2値的信号である第2検出信号yk(p)とを、鍵10の回動行程において同時に出力させ、これらから、出力特性直線LBを求め、記憶するようにしたので、以後、出力特性直線LBと第1検出信号yk(s)に基づき鍵10の現在位置を特定することで、環境変化や経年変化による押鍵ストローク量等の誤差を補償して、鍵10の絶対位置を常に正確に把握することができる。
また、シャッタ40は、グレースケール部41とスリット部42とが一体に併設されて成るので、構成が簡単であり、第1検出信号yk(s)と第2検出信号yk(p)の同時検出に都合がよい。
なお、本実施の形態では、第1検出信号yk(s)がストローク位置xに対してほぼ線形であるとしたが、線形でなくても、受光部14aの出力特性曲線の形状が既知(表せる式が既知)であれば、本発明を適用可能である。
なお、本実施の形態では、絶対位置を把握する対象である移動部材として、操作により回動する鍵10を例示したが、これに限られず、駆動等の外部作用、あるいは自己の作用等によって移動する部材であって、その位置が把握されるべきものであれば、絶対位置を把握する対象とすることが可能である。例えば、ハンマ4、ペダル等のほか、プランジャ7を対象とすることも可能である。従って、適用される装置も鍵盤装置に限定されない。例えば、ハンマ4に適用した場合は、ハンマ4の絶対位置を把握して、それをハンマ4と弦2との接近距離の調節、あるいはバックチェック5の高さ調節等に利用することができる。
なお、スリット部42に、互いの距離が既知である透明部を3カ所以上設けてもよい。そして、各透明部間の距離を既知としておき、鍵10の1回の回動動作により、上記直線LAの傾きを示す情報を2つ以上獲得し、それらの平均値を採用する等によって、少ない回動数で正確な出力特性直線LBを求めるようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、スリット部42に、互いの距離が既知である2カ所の透明部42a1、42a2を設け、これらを介して得られるパルス状の第2検出信号yk(p)の2回の発生タイミングとそれらの時点における第1検出信号yk(s)の値とから、出力特性直線LBの傾きを規定したが、出力特性直線LBの傾きを把握するためには、スリット部42におけるある基準位置からの距離が既知である透明部を1つだけ設けてもよい。この基準位置は、例えば、スリット部42における、レスト位置RPにおいて光路24Bに対応する位置としてもよい。
なお、鍵10の回動動作を連続量で検出すると共に、それと並行して鍵10が回動行程の途中の位置を通過したことを2値的に検出するための構成は、上記例示したものに限られない。例えば、第1検出信号yk(s)を得るための検出手段は、センサヘッド20、30を用いた透過型に代えて、反射型としてもよい。また、スリット部42については、透明部42a1、42a2に相当する穴を有する金属等の薄片で構成してもよい。さらには、センサヘッド20、30は、第1レンズ部22、32と第2レンズ部23、33とで成る2段構成としたが、これは例示であり、検出用光OP1、OP2に対応する2つの光路を形成できる構成であれば、どのような構成を作用してもよい。
なお、第1検出信号yk(s)を得るための検出手段を、反射型とする場合は、例えば、図4に示すように構成すればよい。図4は、本実施の形態の変形例に係る位置検出装置が適用される鍵盤装置の構成を、ある1つの鍵に着目して示した部分断面図である。
この変形例では、図4に示すように、図1に示す構成に対し、上記シャッタ40におけるスリット部42を残し、グレースケール部41を廃止する。そして、出射入射ユニット50を鍵盤装置1の本体に対して固定的に設ける。また、発光側ヘッド20、受光側ヘッド30については、図示はしないが、図2(a)、(b)に示す構成に対し、第1レンズ部22、第1レンズ部32をそれぞれ廃止して、一般的な1段構成とする。
出射入射ユニット50は、図4に示すように、出射部51と入射部52とが隣接して組み合わされて成り、出射、入射側が鍵10の下面10aに近接対向するように配置される。出射部51には光ファイバ12A、入射部52には光ファイバ13Aが接続される。出射部51には上記検出用光OPが導かれ、該検出用光OPが鍵10の下面10aに向けて出射され、下面10aで反射する。そして、その反射光が入射部52に入射され、受光部ユニット14の受光部14aに検出用光OP1として受光される。鍵10が回動すると、下面10aと出射入射ユニット50との距離が変化し、受光部14aの出力である第1検出信号yk(s)もそれに応じて変化する。
なお、上記変形例において、出射入射ユニット50に代えて、フォトリフレクタを採用し、その出力を第1検出信号yk(s)としてもよい。
なお、第1検出信号yk(s)、第2検出信号yk(p)に相当する信号を得るためには、光学的検出手段に限定されず、磁気、あるいは静電容量等を用いた検出手段を採用してもよい。
本発明の一実施の形態の位置検出装置が適用される鍵盤装置の構成を、ある1つの鍵に着目して示した部分断面図である。 本位置検出装置の主要部の側面図(図(a))、及び同主要部の下面図(図(b))である。 検出結果による鍵のストローク位置と第1検出信号との関係を示す図(図(a))、検出結果による鍵のストローク位置と第2検出信号との関係を示す図(図(b))、及び受光部ユニットの受光部の出力特性を示す図(図(c))である。 本実施の形態の変形例に係る位置検出装置が適用される鍵盤装置の構成を、ある1つの鍵に着目して示した部分断面図である。
符号の説明
10 鍵、 11 発光部ユニット、 12、13 光ファイバ、 14 受光部ユニット、 14a 受光部(連続量出力手段)、 14b 受光部(2値出力手段)、 17 サーボコントローラ(出力特性算出手段、出力特性記憶手段、絶対位置検出手段)、 20、30 センサヘッド、 40 シャッタ(シャッタ部材)、 41 グレースケール部(第1シャッタ部)、 42 スリット部(第2シャッタ部)、 42a1、42a2 透明部、 yk(s) 第1検出信号(位置情報)、 yk(p) 第2検出信号(2値的情報)

Claims (4)

  1. 移動初期位置から移動終了位置までの間を移動行程として移動する移動部材の位置を検出する位置検出装置であって、
    前記移動部材に設けられたシャッタ部材と、
    検出用光を発する発光手段と、
    前記発光手段から発し前記シャッタ部材を通過した検出用光を受光し、その受光量に基づいて、前記移動部材の前記移動行程における位置情報を連続量で出力する連続量出力手段と、
    前記発光手段から発し前記シャッタ部材を通過した検出用光を受光し、その受光量に基づいて、前記移動行程における前記移動初期位置以外で且つ前記移動終了位置以外の途中の位置であって、前記移動行程中の所定の基準位置からの距離が既知である位置に前記移動部材が位置するか否かを示す2値的情報を出力する2値出力手段と、
    前記連続量出力手段により出力される位置情報と、該連続量出力手段により該位置情報が出力されるのと並行して前記2値出力手段により出力される2値的情報とに基づいて、前記移動部材の位置に対する前記連続量出力手段の出力特性を求める出力特性算出手段と、
    前記出力特性算出手段により算出された出力特性を記憶する出力特性記憶手段と、
    前記出力特性記憶手段により記憶された出力特性と前記連続量出力手段により出力される位置情報とに基づいて、前記移動部材の絶対位置を連続的に検出する絶対位置検出手段とを有することを特徴とする位置検出装置。
  2. 移動初期位置から移動終了位置までの間を移動行程として移動する移動部材の位置を検出する位置検出装置であって、
    前記移動部材に設けられたシャッタ部材と、
    検出用光を発する発光手段と、
    前記発光手段から発し前記シャッタ部材を通過した検出用光を受光し、その受光量に基づいて、前記移動部材の前記移動行程における位置情報を連続量で出力する連続量出力手段と、
    前記発光手段から発し前記シャッタ部材を通過した検出用光を受光し、その受光量に基づいて、前記移動行程における前記移動初期位置以外で且つ前記移動終了位置以外の途中の位置であって、互いの距離が既知である複数の位置のそれぞれに前記移動部材が位置するか否かを示す2値的情報を出力する2値出力手段と、
    前記連続量出力手段により出力される位置情報と、該連続量出力手段により該位置情報が出力されるのと並行して前記2値出力手段により出力される2値的情報とに基づいて、前記移動部材の位置に対する前記連続量出力手段の出力特性を求める出力特性算出手段と、
    前記出力特性算出手段により算出された出力特性を記憶する出力特性記憶手段と、
    前記出力特性記憶手段により記憶された出力特性と前記連続量出力手段により出力される位置情報とに基づいて、前記移動部材の絶対位置を連続的に検出する絶対位置検出手段とを有することを特徴とする位置検出装置。
  3. 前記シャッタ部材は、前記連続量出力手段用の第1シャッタ部と前記2値出力手段用の第2シャッタ部とが一体に併設されて構成されることを特徴とする請求項1または2記載の位置検出装置。
  4. 移動初期位置から移動終了位置までの間を移動行程として移動する移動部材の位置を検出する位置検出装置であって、
    前記移動部材の前記移動行程における位置情報を連続量で出力する連続量出力手段と、
    前記移動行程における予め定められた特定の途中の位置に前記移動部材が位置するか否かを示す2値的情報を出力する2値出力手段と、
    前記連続量出力手段により出力される位置情報と、該連続量出力手段により該位置情報が出力されるのと並行して前記2値出力手段により出力される2値的情報とに基づいて、前記移動部材の位置に対する前記連続量出力手段の出力特性を求める出力特性算出手段と、
    前記出力特性算出手段により算出された出力特性を記憶する出力特性記憶手段と、
    前記出力特性記憶手段により記憶された出力特性と前記連続量出力手段により出力される位置情報とに基づいて、前記移動部材の絶対位置を連続的に検出する絶対位置検出手段とを有し、
    前記連続量出力手段及び前記2値出力手段はいずれも、光学的検出により値を出力するものであり、前記移動部材には、シャッタ部材が設けられ、該シャッタ部材は、前記連続量出力手段用の第1シャッタ部と前記2値出力手段用の第2シャッタ部とが一体に併設されて構成されることを特徴とする位置検出装置。
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