JP4552041B2 - 介護用車椅子装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、寝たきり、あるいは下半身が不自由であるために介護を必要とする人(以下「被介護人」と言う。)をベッドから車椅子に、車椅子からベッドあるいは車等に移動させることが容易な介護用車椅子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前記被介護人の移動には、一般に車椅子が使用されている。そして介護人が被介護人をベッドから車椅子に、車椅子からベッドあるいは車等に移動させる場合には、被介護人を抱き抱えて行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記被介護人を抱き抱えて前記ベッドから車椅子に乗せる場合には、介護人に多大な労力を強いるものであった。本発明は前記事情に鑑み為されたもので、介護人の労力の軽減を図ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る介護用車椅子装置は、走行輪及び後方に傾倒自在な背もたれを有し、座席の上面横方向に平行ガイドレールが設けられ、さらに該平行ガイドレールの端部に水平連結自在の延長ガイドレールが垂下させられた車椅子本体と、全長が就寝可能な長さに構成され、略三等分されて一端部が起立自在、他端部が垂下自在、中間部が水平維持自在であり、さらに前記中間部の下面に、前記車椅子本体の前記平行ガイドレール及び延長ガイドレールに適合して走行するキャスターが設けられた移動座席と、前記背もたれを後方へ傾倒させた時に該背もたれを水平に保持する支持杆と、前記背もたれの後方への傾倒動作に連動して前記走行輪を制動するブレーキ装置と、を備えることを特徴とする。
【0005】
本発明によれば、前記被介護人をベッドから車椅子、車椅子からベッドあるいは車等に容易に移動させることができる。すなわち、被介護人をベッドから本発明の車椅子本体上に移動させる場合の一例を述べると、まず、ベッド上の被介護人をベッドの脇に一時横臥させる。これと並行して、被介護人を横たわった状態のままで車椅子本体上に移動させるために、前記背もたれを後方へと傾倒させる。前記背もたれの後方への傾倒動作に連動して、前記ブレーキ装置によって前記走行輪が制動される。
【0006】
つぎに、前記車椅子本体の平行ガイドレールの端部に設けられた延長ガイドレールを水平にし、さらに前記車椅子本体を移動させて被介護人の就寝位置に前記延長ガイドレールを配置する。
【0007】
同時に、前記移動座席の前記中間部の下面のキャスターを前記延長ガイドレールに適合させ、該移動座席全体を水平状態にしてその上面に被介護人を復帰就寝させる。その後、前記移動座席を前記延長ガイドレールから前記車椅子本体の平行ガイドレール上にスライドさせればよい。
【0008】
本発明によれば、前記背もたれは、これを後方へと傾倒させたときに前記支持杆によって水平に保持されるので、移ってくる被介護人の荷重がしっかりと支えられる。よって、車椅子本体の転倒のおそれがなく安全であり、同時に介護人の労力も軽減される。また、前記背もたれの後方への傾倒動作に連動して、前記ブレーキ装置によって前記走行輪が制動されるので、被介護人の移し変えの最中に車椅子本体が思いがけずに移動してしまうことが防止される。よって、被介護人の移し変えを常に安全に行うことができる。
【0011】
なお、前記車椅子としての走行使用時には、前記車椅子本体の背もたれ及び移動座席の起立自在の一端部はそれぞれ起立させられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る介護用車椅子装置の分解斜視図、図2は、使用状態を示す斜視図、図3は、他の使用状態を示す斜視図、図4は、背もたれの後方傾倒部の一部切り欠き側面図である。
【0015】
車椅子本体1は、図1に示すごとく、一般の車椅子と同様に、前脚2、後脚3、座席4及び背もたれ5を有し、さらに前記前脚2及び後脚3の下端にはそれぞれ走行輪6が設けられて構成される。
【0016】
なお、図面実施の一形態では、前記背もたれ5が後方に傾倒自在に構成されている。すなわち、、図4に示すごとく、前記座席4の後端部に、背もたれ5を形成する両側支柱7の下端がそれぞれ軸8にて取り付けられる。
【0017】
つぎに、前記両側支柱7の下端に延長部7aを設け、該延長部7aに係止ピン9が挿通する孔10を設け、他方前記後脚3の適位置に前記両側支柱7の起立時に前記孔10と適合する適合孔11を有するブラケット12を設け、さらに前記座席4側の適位置に前記背もたれ5、すなわち、両側支柱7の後方への傾倒時に前記孔10と適合する適合孔13を設け、前記孔10と前記適合孔11あるいは適合孔13に対する前記係止ピン9の差し換えにより前記両側支柱7を含む背もたれ5が傾倒自在に構成されている。
【0018】
つぎに、前記座席4の上面横方向に平行ガイドレール14、14が設けられ、さらに、該平行ガイドレール14、14の端部に水平連結自在の延長ガイドレール15、15が垂下させられて、車椅子本体1が構成される。なお、図1実施例では、前記延長ガイドレール15、15が前記平行ガイドレール14、14の両端に垂下させられているが、図2及び図3実施例のごとく、前記平行ガイドレール14、14の片側のみでもよい。
【0019】
さらに図面に示す実施の一形態では、前記背もたれ5の背面部に、該背もたれ5を後方へ傾倒させた時、該背もたれ5を水平に保持する支持杆40が設けられている。
【0020】
前記支持杆40は、前記背もたれ5の上部に軸41にて取り付けられ、さらに前記背もたれ5を取り付けた前記軸8に一端を取り付けたストッパー杆42により垂直状態が維持されるように構成されている。すなわち、前記ストッパー杆42の先端にフック43が形成され、該フック43が前記支持杆40の適位置に設けた係止ピン44に係止自在に構成されている。図中、6aは前記支持杆40の下端に設けられた走行輪である。
【0021】
さらに図面実施の一形態では、前記車椅子本体1の座席4及び背もたれ5部が昇降自在に構成される。該座席4及び背もたれ5の昇降自在構成は、前記前脚2及び後脚3を伸縮自在に構成することにより行われる。
【0022】
すなわち、前記前脚2及び後脚3がそれぞれ上下二分割され、下部前脚2b及び下部後脚3bに形成した細径部16を上部前脚2a及び上部後脚3aに挿入して伸縮自在に構成している。
【0023】
さらに図面実施の一形態では、前記座席4及び背もたれ5の昇降自在構成をジャッキ17を使用して行っている。すなわち、前記下部前脚2b及び下部後脚3b間に補強杆18を設け、該補強杆18上に前記ジャッキ17を支持し、該ジャッキ17を構成するパンタグラフの上端を前記平行ガイドレール14、14を支持する座席4の下面、具体的には前記上部前脚2a及び上部後脚3aの連結部に枢支してなる。図中、22は前記ジャッキ17の操作ハンドル、19はそれぞれ補強杆である。
【0024】
本発明では、前記車椅子本体1とともに、さらに、全長が就寝可能の長さに構成され、略三等分されて一端部が起立自在、他端部が垂下自在、中間部が水平維持自在であり、さらに前記中間部の下面に前記前記車椅子本体1の前記平行ガイドレール14、14及び延長ガイドレール15、15に適合するキャスター20を有する移動座席21が準備される。
【0025】
図面にしたがって説明すると、前記移動座席21は、全長が被介護人の就寝可能な長さ、具体的にはベッドB上に配置できる長さに構成され、略三等分されて、その一端部23が起立自在、他端部24が垂下自在、中間部25が水平維持自在に構成される。
【0026】
すなわち、前記一端部23と前記中間部25間及び前記他端部24と前記中間部25間がヒンジ26及び27で連結され、さらにそれぞれの上面には、適宜クッション材が張設される。
【0027】
そして、前記中間部25の下面に前記車椅子本体1の前記平行ガイドレール14、14及び延長ガイドレール15、15に適合して走行する前記キャスター20が設けられる。
【0028】
図面実施の一形態では、さらに、前記中間部25の中央部に、開閉自在孔45が設けられている。該開閉自在孔45は、被介護人がトイレに行く場合に使用される。図中、46は前記開閉自在孔45の蓋体、47は足載せ板であり、前記移動座席21の他端部24の上面に折り畳み自在に構成されている。
【0029】
さらに、図中、29はブレーキ装置の一例であり、前記車椅子本体1の背もたれ5を後方に傾倒した時に、自動的に前記走行輪6にブレーキが掛かるように構成されている。
【0030】
すなわち、ボーデンワイヤ30のアウターチューブ31が前記後脚3側にブラケット32、33によって保持され、インナーワイヤ34の一端前記背もたれ5に設けられたブラケット35に連結され、他端が中間部を軸36で前記後脚3に取り付けたブレーキレバー37の後端に連結されている。なお、該ブレーキレバー37の先端は前記走行輪6に当接する位置となっている。
【0031】
そして、さらに前記インナーワイヤ34の前記ブラケット33と前記ブレーキレバー37の後端間に弾発コイルスプリング38が巻装されている。
【0032】
前記構成において、背もたれ5の起立時には、該背もたれ5によって前記ボーデンワイヤ30のインナワイヤ34が引っ張られ、前記弾発コイルスプリング38が縮小されて、前記ブレーキレバー37の先端が前記走行輪6から離されている。
【0033】
つぎに、前記背もたれ5を後方に傾倒すると、前記インナワイヤ34が緩められ、前記弾発コイルスプリング38が前記ブレーキレバー37の後端を押圧し、該ブレーキレバー37の先端が前記走行輪6に押圧されてブレーキが掛かるものである。
【0034】
もっとも、車椅子本体1には、図示しないが、背もたれ5を起立させた状態で、自然走行を防止するブレーキが別に設けることは従来一般の車椅子と同様である。
【0035】
図2には、本発明の使用状態の一例が示されている。すなわち、ベッドBから被介護人Hを本発明の車椅子装置に移動させる場合の一例が示されている。まず、前記ベッドB上に就寝している被介護人Hが前記ベッドBの脇に一時横臥させられる。つぎに好ましくは、前記車椅子本体1の背もたれ5が後方に傾倒させられ、支持杆40によって水平に保持される。
【0036】
つぎに前記延長ガイドレール15、15を水平にして被介護人Hの就寝位置に配置し、同時に前記移動座席21の前記中間部25の下面のキャスター20を前記延長ガイドレール15、15に適合させ、さらに移動座席21を水平状態にし、被介護人Hの横臥を解除して、前記移動座席21の上面に被介護人Hを就寝させる。
【0037】
その後、前記移動座席21を前記延長ガイドレール15、15から前記車椅子本体1の平行ガイドレール14、14上にスライドさせれば、車椅子本体1への被介護人Hの移動が完了する。さらにその後、前記車椅子本体1の背もたれ5を起立させれば、前記移動座席20の一端部23も同時に起立させられる。
【0038】
なお、車椅子本体1の背もたれ5を起立させたままでも被介護人Hを本発明の車椅子装置に移動させることができる。その場合には、前記延長ガイドレール15、15上において前記移動座席21の一端部23を起立させて車椅子本体1の平行ガイドレール14、14上にスライドさせればよい。
【0039】
図3には、被介護人Hを、車椅子本体1から車Cに移動させる場合の一例が示されている。この場合は前記ベッドBから車椅子本体1への移動と反対に移動させる場合、すなわち、車椅子本体1からベッドBに移動させる場合とほぼ同様であるが、必要に応じて前記延長ガイドレール15、15に、さらに再延長レール48、48を連結して移動幅の拡大が図られる。
【0040】
さらに、図示しないが、車椅子本体1へ被介護人Hの移動完了時に、例えば、前記車椅子本体1の座席4、あるいは移動座席21の中間部25の両側に着脱自在の手すりを起立させたり、さらに該手すりの前部間に安全手すりを掛け渡したり、シートベルトを設ける等して被介護人Hの安全保持措置が講じられる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、被介護人をベッドから車椅子に、車椅子からベッドあるいは車に容易に移動させることができ、介護人の労力の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る介護用車椅子装置の分解斜視図である。
【図2】使用状態を示す斜視図である。
【図3】他の使用状態を示す斜視図である。
【図4】背もたれの後方傾倒部の一部切り欠き側面図である。
【符号の説明】
1 車椅子本体
4 座席
5 背もたれ
6 走行輪
7 両側支柱
14 平行ガイドレール
15 延長ガイドレール
20 キャスター
21 移動座席
22 (移動座席の)一端部
23 (移動座席の)他端部
24 (移動座席の)中間部
Claims (1)
- 走行輪及び後方に傾倒自在な背もたれを有し、座席の上面横方向に平行ガイドレールが設けられ、さらに該平行ガイドレールの端部に水平連結自在の延長ガイドレールが垂下させられた車椅子本体と、全長が就寝可能な長さに構成され、略三等分されて一端部が起立自在、他端部が垂下自在、中間部が水平維持自在であり、さらに前記中間部の下面に、前記車椅子本体の前記平行ガイドレール及び延長ガイドレールに適合して走行するキャスターが設けられた移動座席と、前記背もたれを後方へ傾倒させた時に該背もたれを水平に保持する支持杆と、前記背もたれの後方への傾倒動作に連動して前記走行輪を制動するブレーキ装置と、を備えることを特徴とする介護用車椅子装置。
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