JP4549699B2 - ラン共生菌及びシナノショウキランの人工発芽方法・人工増殖方法 - Google Patents

ラン共生菌及びシナノショウキランの人工発芽方法・人工増殖方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラン共生菌及び該ラン共生菌を用いたシナノショウキラン又はショウキラン属のランの人工発芽方法及び人工培養方法に関する。
野生ランの栽培に関しては、例えば、特許文献1に記載されている「野生ランの大量生産方法」がある。
この方法は、絶滅危惧種に指定されているエビネやシュンラン、ヘッカランなどの野生ランを大量に生産する方法で、概要は下記の如くである。
人工受粉させた種子に発芽阻害物質の除去処理及び殺菌処理を施す前処理工程と、
発芽促進剤を入れた培地に種子を播種して培養する第一の培養工程と、
発根促進剤を入れた培地で培養する第二の培養工程を設けて苗を生長させる培養工程と、
培養した苗を培地から培養土に移し替えて順化(適応)、育苗させる工程とからなるものである。
一方、非特許文献1においては、「共生菌については、19世紀の初めにランの根に糸状菌が存在することが注目され、20世紀はじめにはランの種子発芽に共生菌が重要な役割を担っていることが明らかとなった。その後、多くのランで共生菌が発見されており、生理的作用の解明や栽培技術への応用がおこなわれている。」旨の記載がある。
また、非特許文献2においては、腐生ランを含む地生ランについての知見がまとめられている。
日本では、これまで、ショウキラン(Yoania japonica)とキバナノショウキラン(Yoania amagiensis)の2種のショウキラン属が確認されていた。そして、シナノショウキラン(Yoania flava)は長野県南部に生息し、日本で3種目のショウキラン属として、2002年5月に新種として報告されたばかりである(Inoue&Yukawa 2002)。
しかし、シナノショウキランについての人工発芽や人工培養については行われた前例が無く、これまでその詳細な生態すら不明であったため、人工増殖は成功していない。
シナノショウキランは、腐生ランの1種で葉緑素を持たないため野外での生育には共生菌が不可欠である。
しかし、これまでシナノショウキランの増殖に適したラン共生菌は、本発明者らが知る限り特定されていない。
特開2003−189750号公報 ジョゼフ アーディティー編著「ランの生物学I」誠文堂新光社出版、1991年10月15日、p13 Rasumussen著「Terrestrial Orchid」CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS出版、1995年、p77,142,227
本発明の課題は、上記シナノショウキランの共生菌を特定し、これを用いることによる、共生発芽及び共生培養することで、効率的なシナノショウキラン又はショウキラン属の人工発芽・人工増殖方法を提供することにある。
シナノショウキランは、詳細な生態は不明であったが、本発明者等は、シナノショウキランの保護に取り組む過程で、シナノショウキランから前記共生菌の分離(単離)に成功した。
そして、前記共生菌を用いて、試験管内(in Vitro)での人工発芽・人工増殖に成功した。すなわち、共生培養によって発芽率及び生育速度が大幅に向上するとともに、生息地への戻し導入移植が可能になった。
本発明における上記共生菌は、スピヌロスポラ(Spinulospora)と分生子の形態が似ているが、分生子のサイズが相対的に大きく且つ表面突起物の形状が異なるとともに、生育地がかけ離れていることから新属に属すると考えられる糸状菌(仮名:SLF(Spinulospora-like fungus)株)で、寄託番号:FERM−P−19696で特定されるものからなる。本明細書において以下「特定ラン共生菌」という。
そして、本発明に係るシナノショウキランの人工発芽方法は、通常、共生菌を予め継代用培地で育成して隣接する水寒天まで繁茂させた菌糸上で、無菌のシナノショウキランの種子を共生菌と共生させながら発芽させる方法とすることが望ましい。
上記継代用培地の水溶液組成は、通常、モルト(麦芽)エキス:10〜30kgm-3(g/L)、炭素源:10〜30kgm-3、窒素源:0.1〜3kgm-3、必要により凝固剤:5〜60kgm-3とする。望ましくは、モルト(麦芽)エキス:15〜25kgm-3、炭素源15〜25kgm-3、窒素源:0.5〜1.5kgm-3、必要により凝固剤:10〜30kgm-3とする。なお、培地をスポンジ、不織布、ガーゼ等で形成する場合は、凝固剤は必然的ではない。
炭素源としては、グルコース(ぶどう糖)、フルクトース(果糖)、マンニトール等の単糖類、スクロース(蔗糖)、マルトース(麦芽糖)等のニ糖類を好適に使用できる。
窒素源としては、たんぱく質の加水分解物(例えばペプトン)、アミノ酸等を使用可能であるが、特に、ペプトンを好適に使用可能である。
凝固剤としては、寒天、ゲルライト(ジェランガム)、増粘性多糖類等を使用可能であるが、特に、寒天、ゲルライトを好適に使用可能である。
また、本発明のシナノショウキランの発芽方法は、シナノショウキランの種子を、特定ラン共生菌とともに、該特定ラン共生菌の栄養分を含む無菌発芽用培地上で共生させてシナノショウキランを発芽させる方法である。上記栄養分としては、炭素源をオートミール等の麦系穀粉を用いることができる。
上記無菌発芽用培地としては、表1に示した「MSオートミール培地」、「ハイポオートミール培地」等を好適に使用可能である。
この栄養分の添加量は、栄養分をオートミールとした場合、例えば1/20MS又はハイポネックス培地(無菌発芽用培地)においては、15〜45kgm-3、望ましくは25〜35kgm-3とする。
上記各場合において、発芽は、雰囲気温度を、約10〜30℃、望ましくは約15〜25℃に設定する。温度が低すぎても高すぎても、発芽が促進されない又は妨げられる。
また、特定ラン共生菌を用いて、上記発芽方法と同様にして、シナノショウキランを人工増殖することができる。
すなわち、本発明に係るシナノショウキランの人工増殖方法は、特定ラン共生菌を予め継代用培地で育成して隣接する水寒天まで繁茂させた菌糸上で、無菌シナノショウキランの組織を特定ラン共生菌と共生させながら成長させる方法である。
上記本発明において、上記無菌シナノショウキランの組織としては、通常、培養したシナノショウキランの地下茎(根茎:リゾーム)とするが、プロトコームであってもよい。
上記継代用培地は、上記発芽方法で使用したものを使用可能であり、雰囲気温度の設定範囲も、同様とする。
なお、上記本発明に係る人工発芽方法及び人工増殖方法は、ショウキラン属におけるシナノショウキラン以外のいくつかのランにも、適用することができるものと推定される。
以下、本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明を行う。
なお、以下で使用した薬剤は、それぞれ、下記各社から製造販売されているものを使用した。
和光社・・・グルコース、モルトエキス、ゲルライト(ジュランガム)、寒天、展着剤(「Tween20」)
極東社・・・ペプトン、
雪印社・・・オートミール
ハイポネックス社・・・ハイポネックス
difco社・・・「PDA(potato dextrose agar)」PDA培地、モルトエキス
<共生菌の単離>
共生菌の単離のため、1)自生の植物組織(リゾーム)内から採る方法、2)土壌から採る方法、3)種子を埋めて発芽後発生したプロトコーム(原塊体)から採る、の三つの菌の採取方法を試みた。
1)採取した植物体(根茎部:リゾーム)は、流水で洗いながら付着している土を刷毛で丁寧に取り除き、展着剤を点滴しながら約1.5h流水で洗浄した。
次に、1%NaClOaq溶液に1〜10min浸漬して殺菌し、滅菌水で5min×3回すすいだ。一部をFAA(ホルマリン:50%エタノール:酢酸=10:45:5)で固定し、徒手切片(手で剃刀切断したもの)を作成してサフラニン等の染色液で染め、顕微鏡下で組織内の共生菌の観察を行った。共生菌の存在が確認できたリゾームの5mm厚の徒手切片を菌分離培地に置床させ、25℃の暗条件下で発生してくる菌を順に拾った(採った)。
なお、菌分離培地としては、グルコース20kgm-3、モルトエキス5kgm-3、ゲルライト11kgm-3:pH5.0のものを使用した。
2)現地土壌は希釈法により希釈し、該希釈液を前記菌分離培地と同じ組成の培地に塗布し発生してくる菌を拾った。
3)種子は不織布にはさんでマウントで固定し、群落確認場所に埋め、50day後に一部を掘り出して種子の肥大や発芽を確認した。持ち帰った種子は、0.5%NaClOaq(展着剤添加)に15min浸漬して表面殺菌し、メッシュをセットしたロートで濾して回収した。滅菌水で5min×3回すすいだ後、前記菌分離培地上に播種して発生してくる菌を拾った(採取した)。他の種子は現地に残し、さらに130day後、490day後にも同様にして、菌の採取を行った。
こうして、各方法で拾った(採った)菌を、シャーレを用いて継代培地上で継代純化(継代回数:例えば1〜5回)させてゆき、共生菌であるかどうかの確認試験を下記の如く行った。
繁殖した菌の上に無菌培養したリゾーム(rhizome:根茎)を載せて一晩共存させた後、リゾームをもとの培地に戻して2週間培養した。
2週間後にリゾームの徒手切片を作成して染色し、組織内への菌の進入の有無を観察した。さらに、その組織から菌を再単離し、再感染させた組織の成長から共生関係のある菌を選抜した。
その結果、自生地の土壌及び埋土種子からは、ラン共生菌は採取できなかった。しかし、リゾーム(根茎)の切片からは、ラン共生菌の採取ができた。
すなわち、図1(A)、(B)の写真に示す如く、ラン共生菌とみられる菌糸の塊が表皮から数細胞内側の形成層付近の細胞内に見られ、細胞中にラン共生菌の存在を確かめることができた。
継代培地上に置床した切片からは数種の菌が発生したが、このなかで最も遅い約1ヶ月後に切片上部から分離した菌のみが、リゾームの細胞に感染した。(図2(A)、(B)参照)
この他、腐生ランの共生菌で知られる、ナラタケ菌5系統及びナラタケモドキ菌1系統を取り寄せ、計9系統の菌について共生するか確認を行ったが、いずれも細胞内への菌糸の進入は見られなかった。
こうして採取したラン共生菌は、再分離しても、再感染することを確認した。
さらに感染リゾームは二分割シャーレの水寒天上でも伸長を続けていたことから、共生関係が成り立っていると判断した。
この菌の菌糸は白色で、シャーレ上で継代すると菌糸が放射状に伸びる。菌の継代にはモルト培地又はPDA(ポテトデキストロース寒天)培地を用いることができる。特にモルト培地を用いた場合に最も旺盛に生育し、数ヶ月経つと黒褐色のリングを形成した(図3参照)。モルト培地及びPDA培地での継代においては、通常は菌糸体のみが増殖し、胞子を形成しなかった。
この菌は、既知のラン菌に似たものが無く、分生子の形がSpinulospora-pucciniiphila (Deighton 1973)と似ているが、分生子のサイズが相対的に大きく且つ表面突起物の形状が異なるとともに、生育地がかけ離れていることから仮名をスピヌロスポラ様糸状菌(Spinulospora-like fungus:SLF菌株)とした。
図4(A)は培地上に形成した特定ラン共生菌における分生子塊の顕微鏡写真、同(B)は同じく分生子及び分生子柄(矢印先)を示す顕微鏡写真である。なお、同顕微鏡写真を用いて特定ラン共生菌を観察したところ、該特定ラン共生菌の分生子柄を観察した結果は、長さ20〜44μm×幅5〜10μm(n=10)であり、表面突起物の長さは0.75〜2.5μmであった。
図5にSpinulospora-pucciniiphila の分生子塊(a)及び分生子・分生子柄(b)をそれぞれ示す(「Transactions British Mycological Society 61(2)」1973, Printed in Great Britain, p195から引用)
<共生発芽>
無菌培養では発芽しなかったシナノショウキランの種子を使って共生発芽試験を実施した。
分割したシャーレの一方に特定ラン共生菌の栄養培地(表1のモルト培地)をいれて該菌を繁殖させ、もう一方には水寒天をいれ、菌糸が進入した後水寒天上に播種し、発芽率を調査した。種子は、熟度による共生効果を把握するため、受粉から採取までの期間別に3種類に分け、20℃、1000ルクス(lx)×14h日長(日照時間)の条件下で1回/週の頻度で継代しながら発芽数を計測した。対照区は無菌で通常の表1の発芽用培地とした。
その結果、水寒天上の種子は、菌糸に囲まれた状態で約50日後から発芽が見られ、200日後に発芽率は24%となった。対照区では、発芽は見られなかった。(表2参照)
Figure 0004549699
Figure 0004549699
一方、表1のMSオートミール培地、ハイポオートミール培地で特定ラン共生菌とシナノショウキランの種子を共存培養した場合でも、約1.5ヶ月後から発芽が見られた。種子の熟度により発芽率は異なり、表1の無菌発芽用培地を使用した対照区でも一部は発芽したが、十分熟した種子を特定ラン共生菌と共生させた場合には3ヶ月後に8割近くが発芽した。(表3参照)
Figure 0004549699
<共生培養>
特定ラン共生菌がシナノショウキランのリゾームの成長に与える効果について確認するため、共生培養試験を実施した。
共生発芽と同様、無菌増殖用培地から糖を抜いた培地で1ヶ月順化させた前記リゾームを用い、二分割したシャーレの一方に表1のモルト培地をいれて菌を繁殖させ、もう一方の水寒天上にリゾームを置床した。対照区は無菌の水寒天上に置床し、20℃、1000ルックス(lx)×14h照射day-1の条件下で培養し、重量の変化を計測した。
特定ラン共生菌を繁茂させた水寒天上のリゾームは、開始から増加傾向を示し約90日後から増殖のスピードは落ちたものの、約130日後には、平均約400%以上の増加を示した。対照区は、試験開始後若干増加を示したがその後減少傾向を示し約130日後には、21%減となった(図6参照)。
また、グラフには示さなかったが、特定ラン共生菌の栄養培地を表1に示すPDAに代えた試験では、2ヶ月後に600%以上の増加率を示した。
<埋め戻し導入移植>
人工増殖させたシナノショウキランのリゾームを生育場所に戻し、定着可能であるかを確認した。無菌リゾーム及び特定ラン共生菌に感染させたリゾームを不織布の袋に現地土壌とともに入れ、資料採取した群落確認場所に埋め戻し、50日後、130日後、490日後に掘り返して、リゾームの成長を観察した。
その結果は、下記の如くであった。
埋め戻し50日後には、無菌のまま埋め戻したリゾームは全て消滅しており、一方、特定ラン共生菌に感染させておいたリゾームは全て生き残っていた。130日後には、感染リゾームの重量は、現地で簡易に洗浄し測ったかぎりではあまり変化は見られなかったが、外観上は引き締まった感じであった。
埋め戻し490day後になると、一部のリゾームを残し消滅しているものが多かった。しかし、生き残ったリゾームは明らかに成長しており、現地で本共生菌とともに定着している様子であった。
<総合考察>
全く葉緑素を持たないショウキラン属の生育には、共生菌が必要でありシナノショウキランを自然へ戻し保護を図るには、共生菌の発見が必須であった。腐生ランの共生菌としては、リゾクトニア属やナラタケ菌が知られているが、本研究で発見した共生菌はこれらとは異なっていた。これまでの同定では、1973年に記載されたSpinulospora-pucciniiphila (Deighton 1973)に類似した分生子をつくることが分かっているが、いずれにせよ、これまでラン科植物との共生が知られていない菌であることは明らかである。
この菌との共生培養によって、発芽率や成長率が上がり、増殖効率を向上させることが可能となった。共生発芽させる場合には、熟度の進んだ種子を用いなければ共生の効果が得られなかった。自然界で菌が感染するタイミングは、十分熟したさく果がはじけ土壌中に種子が埋もれた後だと考えられる。
共生培養では、明らかな共生菌からの栄養供給効果がみられた。SLF菌株では、継代時に増殖速度を重視すればモルト培地が適切であるが、共生培養での生育量は、ポテト培地(PDA培地:表1参照)の方が良いことが分かった。PDA培地では、培養中に非常に太い菌糸束を形成しており、これがリゾームへの栄養供給を促進していると考えられる。
埋め戻し導入では、群落確認場所の朽ちた樹木に接するように埋め戻しを行ったが490日後に定着していたのはわずかだった。自然界でのシナノショウキランの生育は非常に緩慢であるが、これは共生菌が得る養分に左右されるのではないかと考えられる。このことから菌培地とシナノショウキランへの栄養供給との関係が明らかにできれば戻し導入の場所選定にも活かすことが可能である。
本発明のシナノショウキラン又はショウキラン属の人工発芽方法及び人工増殖方法は、ショウキラン属以外の腐生ランについても適用の可能性を有するものである。
採取したリゾーム内の菌の顕微鏡写真で(A)は未固定切片内の菌を示し、(B)は固定した細胞内の菌をそれぞれ示す。 無菌増殖したリゾームに感染した分離菌の顕微鏡写真で(A)は未固定切片内の菌を示し、(B)は固定した細胞内の菌をそれぞれ示す。 シャーレ上でモルト培地を用いて継代培養させたSLF菌株の写真である。 (A)、(B)は、培地上に形成した特定ラン共生菌における分生子塊の顕微鏡写真及び分生子・分生子柄(矢印先)をそれぞれ示す顕微鏡写真である。 (A)、(B)は、Spinulospora-pucciniiphila の分生子塊及び分生子・分生子柄をそれぞれ示す文献引用図である。 共生培養におけるリゾーム成長の共生菌の効果を示すヒストグラムである。

Claims (11)

  1. スピヌロスポラ(Spinulospora)と分生子が形態的に似ているが、分生子のサイズが相対的に大きく且つ表面突起物の形状が異なるとともに、生育地がかけ離れていることから新属に属すると考えられる糸状菌(仮名:SLF(Spinulospora-like fungus)株)で、寄託番号:FERM−P−19696で特定されるものからなることを特徴とするラン共生菌。
  2. 請求項1記載のラン共生菌(以下「特定ラン共生菌」という。)を予め継代用培地で育成して隣接する水寒天まで繁茂させた菌糸上に、シナノショウキランの種子を播種し、前記特定ラン共生菌と共生させながら発芽させることを特徴とするシナノショウキランの人工発芽方法。
  3. 前記継代用培地の成分組成が、モルトエキス:10〜30kgm-3、炭素源:10〜30kgm-3、窒素源:0.1〜3.0kgm-3、必要により凝固剤:5〜60kgm-3の組成要件を満たすことを特徴とする請求項2記載のシナノショウキランの人工発芽方法。
  4. シナノショウキランの種子を、請求項1に記載の特定ラン共生菌(FERM−P−19696)とともに、該特定ラン共生菌の栄養分を含む無菌発芽用培地上に共生させてシナノショウキランを発芽させることを特徴とするシナノショウキランの人工発芽方法。
  5. 前記特定ラン共生菌の栄養分が、麦系穀粉であることを特徴とする請求項4記載のシナノショウキランの人工発芽方法。
  6. 雰囲気温度を、約10〜30℃に設定して発芽をさせることを特徴とする請求項2〜5いずれか一記載のシナノショウキランの人工発芽方法。
  7. 請求項1に記載の特定ラン共生菌(FERM−P−19696)を予め継代用培地で育成して隣接する水寒天まで繁茂させた菌糸上で、無菌のシナノショウキランの組織を該特定ラン共生菌と共生させながら成長させることを特徴とするシナノショウキランの人工増殖方法。
  8. 前記無菌のシナノショウキランの組織が、培養したリゾーム(根茎)であることを特徴とする請求項7記載のシナノショウキランの人工増殖方法。
  9. 前記継代用培地が、モルトエキス:10〜30kgm-3、炭素源:10〜30kgm-3、窒素源:0.1〜3kgm-3、必要により凝固剤:kgm-3の組成要件を満たすことを特徴とする請求項7又は8記載のシナノショウキランの人工増殖方法。
  10. ショウキラン属の種子を、請求項1に記載の特定ラン共生菌(FERM−P−19696)とともに、該特定ラン共生菌の栄養分を含む培地上に共生させてショウキラン属を発芽させることを特徴とするショウキラン属の人工発芽方法。
  11. 請求項1に記載の特定ラン共生菌(FERM−P−19696)を予め継代用培地で育成して隣接する水寒天まで繁茂させた菌糸上で、無菌のショウキラン属の組織を前記特定ラン共生菌と共生させながら成長させることを特徴とするショウキラン属の人工増殖方法。
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