JP4549543B2 - 排水処理装置および排水処理方法 - Google Patents
排水処理装置および排水処理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4549543B2 JP4549543B2 JP2001005312A JP2001005312A JP4549543B2 JP 4549543 B2 JP4549543 B2 JP 4549543B2 JP 2001005312 A JP2001005312 A JP 2001005312A JP 2001005312 A JP2001005312 A JP 2001005312A JP 4549543 B2 JP4549543 B2 JP 4549543B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- floating
- tank
- gasification
- substance
- treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
- Removal Of Floating Material (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水処理装置および排水処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、有機物を含む排水の処理装置として、排水中の有機物を分解して低級脂肪酸を生成させる酸生成槽と、酸生成処理された排水中の低級脂肪酸を沈降性のグラニュール菌により分解してガス化するガス化槽とを備えた排水処理装置が知られている。このような排水処理装置のガス化槽においては、負荷等の条件によってグラニュール菌がガスを内包してガス化槽内を浮上し、いわゆるスカムとなって蓄積したりガス化槽の外へ流出してしまうことがある。この対策として、たとえば、特開平8−132091号公報等に開示されているように、ガス化槽で浮上したグラニュール菌等の浮上性物質をガス化槽内に設置した破砕機で機械的に破砕して沈降性を回復させる方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、酸生成槽における低級脂肪酸への生物分解速度が遅い有機物、例えば、n−ヘキサン抽出物等を含む排水、例えば、乳業排水等をこのような排水処理装置によって処理する場合、次のような問題が生じていた。
【0004】
すなわち、酸生成槽での生物分解速度が遅いn−ヘキサン抽出物等の有機物を酸生成槽で完全に低級脂肪酸に分解することは難しく、これらの有機物の一部が未分解のままガス化槽へ移送され、ガス化槽内で浮上してスカムを形成する。ところが、浮上したこれらの有機物を破砕機等で破砕して液中に戻しても分解されることはほとんどなく、ガス化槽内に蓄積してしまう上、ガス化槽内でこれらの有機物が高濃度に蓄積するとこれらの有機物がグラニュール菌の表面にまとわり付き、グラニュール菌の比重を軽くしてグラニュール菌を浮上させてガス化槽からグラニュール菌を流出させやすくしてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、酸生成槽での生物分解速度が遅いn−ヘキサン抽出物等の有機物がガス化槽に蓄積することなく効率的に分解されるとともに、ガス化槽における有機物の付着によるグラニュール菌の浮上が防止される排水処理装置および排水処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る排水処理装置は、排水中の有機物を分解して脂肪酸を生成させる酸生成槽と、酸生成処理された排水中の脂肪酸を沈降性のグラニュール菌によって分解してガスを発生させるガス化槽とを備える排水処理装置において、ガス化槽中で浮上する浮上性物質を分離する固液分離手段と、固液分離手段によって浮上性物質が分離された排水表面からガス化処理水を排出する排出手段と、固液分離手段によって分離された浮上性物質を浮上性物質が浮上した排水表面近傍から回収する回収手段と、回収された浮上性物質を再び酸生成槽に戻す移送手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る排水処理方法は、排水中の有機物を分解して脂肪酸を生成させる酸生成工程と、酸生成処理された排水中の脂肪酸を沈降性のグラニュール菌によって分解してガスを発生させるガス化工程とを備える排水処理方法において、ガス化工程において浮上する浮上性物質を分離する固液分離工程と、固液分離工程において浮上性物質が分離された排水表面からガス化処理水を排出する排出工程と、固液分離工程において分離された浮上性物質を浮上性物質が浮上した排水表面近傍から回収する回収工程と、回収された浮上性物質を再び前記酸生成工程に戻す移送工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の排水処理装置および排水処理方法によれば、酸生成槽において低級脂肪酸にまで分解されなかった一部の生物分解速度の遅い有機物がガス化槽で浮上して形成する浮上性物質は分離され、この浮上性物質が流出することなくガス化処理水が排出される。そして、この浮上性物質はガス化槽から回収されるので、ガス化槽内に未分解の有機物が蓄積されない。また、ガス化槽内のグラニュール菌に対して高濃度に蓄積された未分解の有機物がまとわり着くことによるグラニュール菌の浮上も防止される。
【0009】
さらに、移送手段によって回収された浮上性物質が酸生成槽に再び戻るので、未分解の有機物がガス化槽から選択的に回収されて再び酸生成槽で分解処理されることとなる。これによって、未分解の有機物に対する実質的な酸生成槽での滞留時間が増加することとなるので、生物分解速度の遅い有機物を含む排水でも効率よく分解処理される。
【0010】
上記排水処理装置において、回収手段で回収された浮上性物質に対して、加熱処理、酵素処理および塩基処理からなる群から選択される少なくとも1種の処理を施す易分解処理手段を備えていてもよい。
【0011】
これにより、未分解の有機物を多く含む浮上性物質が、酸生成槽に戻って再び分解処理される前に選択的に易分解処理されるので、酸生成槽での分解負荷が低減され排水処理装置の処理能力が向上される。
【0012】
上記排水処理装置において、回収手段で回収された浮上性物質を破砕する破砕手段をさらに備えていてもよい。
【0013】
これにより、浮上性物質中にガスを内含して浮上したグラニュール菌を多く含む場合等に、このグラニュール菌が破砕によりガス抜きされて沈降性を回復した上で酸生成槽を介してガス化槽内に戻って沈降するので、グラニュール菌の浮上によるガス化効率の低下が防止される。
【0014】
上記排水処理装置において、回収手段は、ガス化槽内で発生するガスを利用して浮上性物質を回収するガスリフトポンプであることが好ましい。
【0015】
これにより、何ら外部からの動力を必要としないでガス化槽から浮上性物質を回収することが可能とされ、より低コストな排水処理装置が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の排水処理装置の第1実施形態を示す断面模式図である。第1実施形態の排水処理装置1は、有機物を含有する排水を処理するものであって、有機物を含有する排水を受け入れて酸生成処理する酸生成槽50と、酸生成槽50により処理された酸生成処理水を受け入れてガス化処理するガス化槽10と、ガス化槽10で浮上した浮上性物質を回収するガスリフトポンプ(回収手段)40と、ガスリフトポンプ40により回収された浮上性物質を一時的に蓄える浮上性物質貯槽70とを備えている。
【0018】
酸生成槽50は、排水中の有機物を槽内の酸生成菌の働きで分解して低級脂肪酸を生成する水槽であり、有機物を含む排水を受け入れるラインL1と、被処理水をポンプ11を介してガス化槽10へ送るラインL2と、酸生成槽50から発生するガスを収集するラインL4と、浮上性物質貯槽70から浮上性物質を受け入れる移送ライン(移送手段)L5とが接続されている。
【0019】
ガス化槽10は、酸生成槽50で酸生成処理された排水中の脂肪酸を沈降性のグラニュール菌の働きで分解し、二酸化炭素とメタンを生成させるものである。
このガス化槽10は、壁12によって外郭が形成され、壁12の側面下部に酸生成槽50で処理された酸生成処理水をポンプ11を介して受け入れるラインL2が接続され、壁12の天井部にはガス化槽10で発生したガスを排出するラインL6が接続されている。
【0020】
ガス化槽10内の下部には、沈降性のグラニュール菌が堆積して形成されたスラッジベッド13が存在する。また、ガス化槽10の水面付近には、浮上性物質の存在しない水面を形成するための固液分離器30と、固液分離器30によって形成された浮上性物質が存在しない水面から、ガス化処理水を溢流させて外部へ排出する溢流管15とを備えている。
【0021】
固液分離器30は、各々の一部が水面上に突出するように設置された一対の板であって、その板間の間隔が下側ほど狭くなり最下部に絞り部34が形成されるように互いに逆方向に傾斜され、ガス化処理液中から浮上してくる浮上性物質の侵入を防ぎ浮上性物質が存在しない水面領域を形成させる固液分離板32と、固液分離板32の絞り部34の下方に位置する逆V字型の樋であって、浮上性物質がこの絞り部34を通って固液分離板内に直接浮上することを阻止すべく下端の幅が固液分離板32の絞り部34の幅よりも大きくされたV字樋31と、固液分離板32内の絞り部34の上方に一部が水面上に突出して設置された一対の対向する板であって、絞り部34から固液分離器30内に混入してくる少量の浮上性物質を受け止めるべく固液分離板32の絞り部34の幅よりも広い幅を有するバッフル33とを備えている。そして、固液分離板32とバッフル33との間に、浮上性物質の存在しない水面が形成され、ここに、前述の溢流管15が設置されている。
【0022】
ガスリフトポンプ40は、一端が漏斗状にされた2本のガスリフト管43,44と、ガス化槽10のスラッジベッド13から発生するガスを水中で補集するガス補集器91と、ガス補集器91で補集されたガスをガスリフト管43,44に各々導入するガス導入管47とを備えている。
【0023】
ガスリフト管43は、一端に漏斗状の漏斗部43aを備えた管であり、漏斗部43aは固液分離器30のバッフル33内に漏斗部43aの開口部が上方になり、かつ、漏斗部43aの開口部の高さが溢流管15の上端の高さとほぼ同様になるように設置されている。そして、このガスリフト管43の他端側は、漏斗から垂直に所定の距離下方に向かう下降部43bと、そこから直角に曲がって水平方向へ所定の距離伸びて固液分離板32を貫通する水平部43cと、さらにそこから直角に曲がり垂直上向きに伸びてガス化槽10の壁12を貫通してガス化槽10の上部に設置された浮上性物質貯槽70に接続される上昇部43dとを備えている。そして、上昇部43dの下部にはガス補集器91からのガスを受け入れるガス導入管47が接続されている。
【0024】
また、他方のガスリフト管44は、一端の漏斗部44aが固液分離器30の外側にガスリフト管43の漏斗部43aと同様に設置され、他端側もガスリフト管43と同様に、下降部44b、水平部44cおよび上昇部44dを備え、上昇部44dの上端は浮上性物質貯槽70に接続されている。そして、上昇部44dの下部にガス補集器91からのガスを受け入れるガス導入管47が接続されている。
【0025】
ガス補集器91は、ガス化槽10内のスラッジベッド13の上方近傍に設置され、天井92、底面96および側面93a,93bを備えた矩形の箱状のものである。ガス補集器91は、底面96の端の一部が切欠かれて切欠部95が形成されているとともに、底面96の切欠かれた側の端から天井92に向かい天井92との間に所定の間隔を有する仕切板97aと、仕切板97aと側面93aとの間の天井92から底面96に向かい底面96との間の間隔が仕切板97aの長さより短い仕切板97bとが設置されている。また、側面93aと仕切板97bとの間の天井92にはガス導入管47が接続されている。
【0026】
このガスリフトポンプ40の作用を説明すると、まず、スラッジベッド13から上昇するガスがガス補集器91の切欠部95から補集され、補集されたガスは仕切板97b、天井92および側面93bに囲まれた空間98に蓄えられる。さらに、補集されるガスの容量がこの空間98の容量を越えると、一定量のガスが間欠的に仕切板97bを超えて側面93a、天井92および仕切板97bで囲まれる空間99に溢れ、溢れたガスは間欠的にガス導入管47を介してガスリフト管43の上昇部43dおよびガスリフト管44の上昇部44dへ送られる。そして、ガスリフト管43,44に導入されたガスは、ガスリフト管43,44の上昇部43d,44dを上昇して、浮上性物質貯槽70内に排出される。
【0027】
このとき、ガスリフト管43,44の上昇部43d,44d内の液体の見かけ密度が小さくなるガスリフト効果によってガスリフト管43,44内の液がガスの流れと同方向に移送され、漏斗部43a,44a近傍の液体、すなわち、浮上した浮上性物質が、ガスリフト管43,44の漏斗部43a,44a、下降部43b,44b、水平部43c,44cおよび上昇部43d,44dを介して浮上性物質貯槽70に移送され、回収されるようになっている。
【0028】
ガス化槽10の上方には、ガスリフトポンプ40によって回収された浮上性物質を受け入れるとともに気液分離機能を有する浮上性物質貯槽70が設置され、ガスリフト管43,44の上昇部43d,44dの上端が浮上性物質貯槽70の底面から内部に貫通して接続されているとともに、回収された浮上性物質を酸生成槽50に戻す移送ラインL5と、浮上性物質貯槽70から発生するガスを収集するためのラインL7とが接続されている。
【0029】
つぎに、このような排水処理装置1の作用を説明する。あらかじめ、酸生成槽50には酸生成菌を、ガス化槽10にはグラニュール菌を投入して生物処理が可能な状態にしておく。まず、ラインL1を介して、酸生成槽での低級脂肪酸への生物分解速度が遅いn−ヘキサン抽出物等を含む乳業排水を導入する。導入された排水中の有機物は酸生成槽50内の酸生成菌によって、低級脂肪酸に分解される。このとき、n−ヘキサン抽出物等の分解されにくい有機物は、一部が分解されないままとなる。
【0030】
つぎに、酸生成処理された排水を、ポンプ11によってラインL2を介して酸生成槽50からガス化槽10の下部に移送する。移送された排水は、スラッジベッド13のグラニュール菌と接触し、排水中の低級脂肪酸が分解されて二酸化炭素やメタンガスが発生する。そして、発生したガスは、液中を上昇して水面上へ排出されラインL6を介して外部に排出され適切な処理が行なわれる。
【0031】
同時に、酸生成槽50で分解されなかったn−ヘキサン抽出物等の未分解の有機物は、ガス化槽10内を浮上する。このとき、固液分離器30内は、V字樋31や固液分離板32によって浮上性物質の侵入が阻止されており、たとえ微細な浮上性物質が固液分離器30の絞り部34から固液分離器30内に入り込んでも、絞り部34の上方に設置されたバッフル33の内部に補集される。このため、バッフル33と固液分離板32との間に浮上性物質の存在しない液面が形成され、ここに設置された溢流管15から、浮上性物質が流出することなくガス化処理された水が外部に排出される。
【0032】
一方、固液分離器30の外部では、酸生成槽50で分解されなかったn−ヘキサン抽出物等の未分解の有機物が浮上性物質として浮上し、表面に蓄積して層を形成する。ところが、ガスリフトポンプ40が、前述のように、スラッジベッド13で発生したガスを動力源として、水面上に形成された浮上性物質の層を移送して浮上性物質貯槽70へ回収する。これによって、浮上性物質がガス化槽10に蓄積することが防止されるともに、ガス化槽10内のグラニュール菌に対して高濃度に蓄積した未分解の有機物がまとわり着くことによるグラニュール菌の浮上も防止されている。なお、固液分離器30のバッフル33内の水面上に形成された浮上性物質の層も同様に浮上性物質貯槽70へ移送されて回収される。
【0033】
つぎに、浮上性物質貯槽70に蓄えられた浮上性物質は、移送ラインL5を介して酸生成槽50に戻される。これによって、浮上性物質中のn−ヘキサン抽出物等の未分解の有機物は、酸生成槽50中の酸生成菌によって再び分解処理を受けて低級脂肪酸となり、ガス化槽10へ移送されてガス化されることになる。すなわち、未分解の有機物がガス化槽10から選択的に回収されて再び酸生成槽50で分解処理されるので、未分解の有機物に対する実質的な酸生成槽50での滞留時間が増加することとなり、酸生成槽50での生物分解速度の遅い有機物を含む排水でも効率よく分解処理されるようになっている。
【0034】
このように、本実施形態の排水処理装置1によれば、ガス化槽10内で浮上した浮上性物質を回収するガスリフトポンプ40を備えていて、酸生成槽50において分解されなかった一部の生物分解速度の遅い有機物がガス化槽10で浮上して形成する浮上性物質がガス化槽10から回収されるので、ガス化槽10内に未分解の有機物が蓄積されない。また、ガス化槽10内のグラニュール菌に対して高濃度に蓄積した未分解の有機物がまとわり着くことによるグラニュール菌の浮上も防止されている。さらに、回収された浮上性物質を再び酸生成槽50に戻す移送ラインL5を備えていて、移送ラインL5によって回収された浮上性物質が酸生成槽50に再び戻るので、未分解の有機物がガス化槽10から選択的に回収されて再び酸生成槽50で分解処理されることとなる。これによって、未分解の有機物に対する実質的な酸生成槽50での滞留時間が増加することとなるので、生物分解速度の遅い有機物を含む排水でも効率よく分解処理されるようになっている。
【0035】
また、浮上性物質の回収にガスリフトポンプ40を採用しており、このガスリフトポンプ40は可動部分が無く、かつ、何ら外部からの動力を必要としないので、排水処理装置1の低コスト・高メンテナンス性が達成されている。また、仕切板97bによって空間98と空間99とに区画されたガス補集器91を備えているので、ガスリフト管43,44に間欠的にガスが供給され、少ないガス量で効率的に浮上性物質を回収することができる。
【0036】
つぎに、本発明の第2実施形態の排水処理装置1について説明する。本実施形態の排水処理装置1は、第1実施形態の排水処理装置1の移送ラインL5の途中に、さらに、浮上性物質中の未分解の有機物を易分解処理する易分解処理装置(易分解処理手段)81を備えている。この易分解処理装置81は、n−ヘキサン抽出物等の分解されにくい有機物が濃縮された浮上性物質を、酸生成槽50に戻す前に個別に易分解処理する装置であり、具体的には、酵素処理(リパーゼ等で酵素処理することが好ましい)、塩基処理(NaOH等の塩基で処理することが好ましい)、加熱処理(塩基処理と併用することが好ましい)、オゾン酸化処理による一部分解、変成等が可能となっている。
【0037】
これによって、未分解の有機物が濃縮された浮上性物質が個別選択的に易分解処理されるので、酸生成槽50での分解負荷が低減され排水処理装置1の処理能力が向上されている。なお、これらの酵素処理、塩基処理、加熱処理およびオゾン酸化処理は単独でも複数組み合わせても構わない。
【0038】
つぎに、本発明の第3実施形態の排水処理装置1について説明する。本実施形態の排水処理装置1は、第1実施形態の排水処理装置1の移送ラインL5の途中に、さらに、浮上性物質を破砕する破砕装置(破砕手段)82を備えている。運転条件等によっては、ガス化槽内10でグラニュール菌がガスを内含して沈降性を失い浮上することがあり、浮上性物質中にガスを内包したグラニュール菌を多く含む場合がある。この破砕装置82は、浮上性物質中のガスを内包したグラニュール菌を破砕細断してガス抜きし沈降性を回復させる。これによって、浮上性物質のうちガスを含んで浮上したグラニュール菌が破砕されて沈降性を回復して酸生成槽50に循環され、最終的にガス化槽10に戻って沈降してスラッジベッド13層を形成するので、グラニュール菌の浮上によるガス化槽10の処理能力の低下が防止されている。なお、この破砕装置82としては、機械的に浮上性物質を破砕するものの他、超音波等によって浮上性物質を破砕するものでも構わない。
【0039】
なお、本発明に係る排水処理装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形態様をとることが可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、浮上性物質の回収手段として、ガスリフトポンプ40を採用しているが、これに限られず、遠心ポンプ等、水面上に浮上する浮上性物質を回収できるものなら他の機器でもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、排水として、n−ヘキサン抽出物を含む乳業排水を処理しているが、これに限られず、酸生成槽50での低級脂肪酸への生物分解速度の遅い有機物を含む排水なら排水の種類を問わず適用できる。生物分解速度の遅い有機物を含む排水としては、例えば、コーヒー豆圧搾排水等の油脂を原料とする食品製造プロセスからの排水等があり、これらにも問題なく適用できる。
【0042】
また、上記実施形態では、ガスリフトポンプ40のガス補集器91として、ガスを間欠的にガスリフト管に供給すべく仕切板97a,97bを備えたガス補集器91を採用しているが、これに限られるものではない。例えば、補集されたガスを連続的にガス導入管47に流入する構造を備えるガス補集器でも構わない。
【0043】
また、上記実施形態では、浮上性物質貯槽70を備えているがこれに限られず、ガスリフト管43,44の他端を直接酸生成槽50に引き回して移送手段としても構わない。
【0044】
また、上記実施形態では、浮上性物質貯槽70からの浮上性物質を移送ラインL5によって直接酸生成槽50に接続して戻しているが、これに限られず、ラインL1やその上流等、浮上性物質が再び酸生成槽50に戻るのであれば移送ラインをどこに接続しても構わない。また、浮上性物質貯槽70に貯槽された浮上性物質をバッチ式で酸生成槽50に戻しても構わない
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る排水処理方法および排水処理装置によれば、ガス化槽内で浮上した浮上性物質を分離する固液分離手段と、この浮上性物質を回収する回収手段とを備えていて、この浮上性物質が流出することなくガス化処理水が排出され、酸生成槽において分解されなかった一部の生物分解速度の遅い有機物がガス化槽で浮上して形成される浮上性物質がガス化槽から回収されるので、ガス化槽内に未分解の有機物が蓄積されない。また、ガス化槽内のグラニュール菌に対して高濃度に蓄積した未分解の有機物がまとわり着くことによるグラニュール菌の浮上が防止される。
【0046】
さらに、回収された浮上性物質を再び酸生成槽に戻す移送手段を備えていて、移送手段によって回収された浮上性物質が酸生成槽に再び戻るので、未分解の有機物がガス化槽から選択的に回収されて再び酸生成槽で分解処理されることとなる。これによって、未分解の有機物に対する実質的な酸生成槽での滞留時間が増加することとなるので、生物分解速度の遅い有機物を含む排水でも効率よく分解処理される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排水処理装置の実施形態を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1…排水処理装置、10…ガス化槽、40…ガスリフトポンプ(回収手段)、50…酸生成槽、81…易分解処理装置(易分解処理手段)、82…破砕装置(破砕手段)、L5…移送ライン(移送手段)。
Claims (5)
- 排水中の有機物を分解して脂肪酸を生成させる酸生成槽と、前記酸生成処理された排水中の脂肪酸を沈降性のグラニュール菌によって分解してガスを発生させるガス化槽とを備える排水処理装置において、
前記ガス化槽中で浮上する浮上性物質を分離する固液分離手段と、
前記固液分離手段によって前記浮上性物質が分離された排水表面からガス化処理水を排出する排出手段と、
前記固液分離手段によって分離された前記浮上性物質を前記浮上性物質が浮上した排水表面近傍から回収する回収手段と、
前記回収された浮上性物質を再び前記酸生成槽に戻す移送手段と、
を備えることを特徴とする、排水処理装置。 - 前記回収手段で回収された浮上性物質に対して、加熱処理、酵素処理および塩基処理からなる群から選択される少なくとも1種の処理を施す易分解処理手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の排水処理装置。
- 前記回収手段で回収された浮上性物質を破砕する破砕手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の排水処理装置。
- 前記回収手段は、前記ガス化槽内で発生する前記ガスを利用して前記浮上性物質を回収するガスリフトポンプを備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水処理装置。
- 排水中の有機物を分解して脂肪酸を生成させる酸生成工程と、前記酸生成処理された排水中の脂肪酸を沈降性のグラニュール菌によって分解してガスを発生させるガス化工程とを備える排水処理方法において、
前記ガス化工程において浮上する浮上性物質を分離する固液分離工程と、
前記固液分離工程において前記浮上性物質が分離された前記排水表面からガス化処理水を排出する排出工程と、
前記固液分離工程において分離された前記浮上性物質を前記浮上性物質が浮上した排水表面近傍から回収する回収工程と、
前記回収された浮上性物質を再び前記酸生成工程に戻す移送工程と、
を含むことを特徴とする、排水処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001005312A JP4549543B2 (ja) | 2001-01-12 | 2001-01-12 | 排水処理装置および排水処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001005312A JP4549543B2 (ja) | 2001-01-12 | 2001-01-12 | 排水処理装置および排水処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002205093A JP2002205093A (ja) | 2002-07-23 |
JP4549543B2 true JP4549543B2 (ja) | 2010-09-22 |
Family
ID=18873370
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001005312A Expired - Fee Related JP4549543B2 (ja) | 2001-01-12 | 2001-01-12 | 排水処理装置および排水処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4549543B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AUPR536501A0 (en) * | 2001-05-31 | 2001-06-28 | Chuen, Foong Weng | Method for removing oil, fat and grease from water |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4318993A (en) * | 1974-12-09 | 1982-03-09 | Institute Of Gas Technology | Two phase anaerobic digester system |
JPH06182382A (ja) * | 1992-12-17 | 1994-07-05 | Kurita Water Ind Ltd | 嫌気性処理方法および装置 |
JPH07328687A (ja) * | 1994-06-14 | 1995-12-19 | Kurita Water Ind Ltd | 嫌気性処理装置 |
JPH08103793A (ja) * | 1994-09-30 | 1996-04-23 | Kurita Water Ind Ltd | 嫌気性処理装置 |
JPH10192889A (ja) * | 1997-01-08 | 1998-07-28 | Kurita Water Ind Ltd | 有機性排水の処理方法 |
JPH1157769A (ja) * | 1997-08-27 | 1999-03-02 | Kurita Water Ind Ltd | 有機性排水の嫌気性処理装置 |
JPH11128979A (ja) * | 1997-10-30 | 1999-05-18 | Shinko Pantec Co Ltd | 水処理装置及び水処理方法 |
-
2001
- 2001-01-12 JP JP2001005312A patent/JP4549543B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4318993A (en) * | 1974-12-09 | 1982-03-09 | Institute Of Gas Technology | Two phase anaerobic digester system |
JPH06182382A (ja) * | 1992-12-17 | 1994-07-05 | Kurita Water Ind Ltd | 嫌気性処理方法および装置 |
JPH07328687A (ja) * | 1994-06-14 | 1995-12-19 | Kurita Water Ind Ltd | 嫌気性処理装置 |
JPH08103793A (ja) * | 1994-09-30 | 1996-04-23 | Kurita Water Ind Ltd | 嫌気性処理装置 |
JPH10192889A (ja) * | 1997-01-08 | 1998-07-28 | Kurita Water Ind Ltd | 有機性排水の処理方法 |
JPH1157769A (ja) * | 1997-08-27 | 1999-03-02 | Kurita Water Ind Ltd | 有機性排水の嫌気性処理装置 |
JPH11128979A (ja) * | 1997-10-30 | 1999-05-18 | Shinko Pantec Co Ltd | 水処理装置及び水処理方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002205093A (ja) | 2002-07-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN100500582C (zh) | 餐厨垃圾废水中油水分离装置及方法 | |
CN1492840A (zh) | 液体处理方法及装置 | |
GB1592609A (en) | Sludge thickening apparatus and process | |
US4165285A (en) | Combined anaerobic reactor and settler | |
JP3804004B2 (ja) | 有機性廃棄物処理システム | |
JP2005034752A (ja) | 油水分離除去装置 | |
JP4549543B2 (ja) | 排水処理装置および排水処理方法 | |
JP2011067821A (ja) | 嫌気性処理システム及び嫌気性処理方法 | |
JP4680945B2 (ja) | 嫌気性処理システム及び嫌気性処理方法 | |
CN203820592U (zh) | 一种可曝气式一体化污水处理设备 | |
JP2001269694A (ja) | 上向流嫌気性処理装置 | |
JP2003503200A (ja) | 廃水の浄化方法及び装置 | |
US5888359A (en) | Flock separating apparatus | |
JP3382636B2 (ja) | 液媒体中でガスを付着して浮遊する微細な固体の分離装置 | |
JPH10216784A (ja) | 水処理装置及び水処理方法 | |
JP3280293B2 (ja) | 水処理装置及び水処理方法 | |
JP3358321B2 (ja) | 嫌気性処理装置 | |
JP3358322B2 (ja) | 嫌気性処理装置 | |
JPH11165189A (ja) | 水処理装置及び水処理方法 | |
JP2884971B2 (ja) | 嫌気性処理方法および装置 | |
CN113896380A (zh) | 一种城市垃圾渗漏液处理工艺 | |
JP5600525B2 (ja) | 上向流式の反応槽、該反応槽を用いた水処理方法、該反応槽を備える水処理装置 | |
JP2006272198A (ja) | 汚泥処理装置および汚泥処理方法 | |
JP2000350984A (ja) | 含油廃水処理方法及びその装置 | |
JPH1157769A (ja) | 有機性排水の嫌気性処理装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20070628 |
|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20071011 |
|
A625 | Written request for application examination (by other person) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625 Effective date: 20071226 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100421 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100511 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100621 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100706 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100707 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4549543 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130716 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |