JP4549506B2 - シュレッダの満紙検知装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、書類等を細断するシュレッダに関し、特に細断された紙葉類(以下、「細断屑」という。)を収容する収容部の満紙検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に従来より一般的に使用されているシュレッダの概略構造図を示す。シュレッダ本体1の上面には処理すべき紙葉類が投入される投入口2が形成されこの投入口2の内部には2組のカッタローラ3が一部重なり合う状態で設置されている。このカッタローラ3は円板状の回転刃を軸方向に複数枚連結したものである。本体1下部にはカッタローラ3によって線条または短片状に細断された紙葉類(細断屑)を収容する収容箱(収容部)4が設置されている。この収容箱4は本体1側面に設けられている扉(図示せず)を開いて取り出し、収容された細断屑を廃棄することができる。この収容箱4の上方の本体内壁部にはマイクロスイッチ5がそのヒンジレバー6を下側にして設置されている。このヒンジレバー6の先端部は前記収容箱4内上部または収容箱4より上になるようにされている。
【0003】
このシュレッダにおいて、カッタローラ3で細断された細断屑が収容箱4に堆積され、その堆積高さがヒンジレバー6の位置に達すると、ヒンジレバー6は紙葉類に押し下げられてマイクロスイッチ5が開閉する。この開閉状態を図示しない制御部が検知して動作の停止、アラームの発生等の満紙対応動作を行う。このようなシュレッダでは前記ヒンジレバー6が収容箱4の上部に突出しているため、収容箱4を出し入れするときに接触しやすくヒンジレバー6を破損してしまう危険性があった。このため出し入れには注意を要し作業性が悪くなる問題点があった。また、ヒンジレバー6が細断屑の均等な落下を妨げ、ヒンジレバー6を押し下げる状態まで堆積されるため満紙検知が遅れ、細断屑を装置本体内にあふれさせてしまう危険性もあった。また、機械的な振動のためにヒンジレバー6が揺動し誤動作する問題点もあった。さらに、ヒンジレバー6が収容箱4より上にある場合は、細断屑が収容箱4の上端を超える状態にはならないと検知できずそのため収容箱4を引き出すとき、細断屑が内部に散乱してしまう問題点があった。
【0004】
このような問題点を解決するために、光学的方式で正確に満紙を検知することができるシュレッダの満紙検知装置が知られている(実願昭61−149904号)。
【0005】
図7に前記シュレッダの満紙検知装置が適用されるシュレッダの概略構造図を示す。カッタロータ3と収容箱4との間には外部からの光を遮断するための遮蔽板7が設けられている。遮蔽板7には細断された紙葉類を収容箱4へ落下させるための開口部7aが設けられている。この遮蔽板7の下側には、発光部8および受光部9が設けられている。これら発光部8、受光部9はともに収容箱4内部方向(下向き)に向けて設置されている。これによって、発光部8が照射する光が直接受光部9へ入光することはなく、収容箱4内に堆積収容されている細断屑の上端で反射した光が入光する。
【0006】
この装置では、細断屑の堆積量が増加すると反射面(細断屑の上面)が上昇し発光部および受光部に接近するため、受光部の受光量が増加する。細断屑が収容箱4に満杯になったときの受光部の受光量を基準値として設定しておき、実際の受光量をこれと比較することによって、満紙を検知することができる。
【0007】
この装置は、機械部分を持たないため故障が少なく、堆積の妨げにもならない利点がある。しかしながら、細断時に発生する微小な紙粉等が静電気によって発光部や受光部に付着することがあった。この場合、受光部の受光する光量が減少してしまい、収容箱が満紙になっても受光部は十分な光量を受光することができず、誤動作のために細断屑が収容箱からあふれ出してしまうおそれがあった。
【0008】
このような問題点を解決するために、発光部、受光部の発光面、発光面に帯電防止層を形成することにより紙粉の付着をなくし誤動作を防止したシュレッダの満紙検知装置が知られている(実公平1−43177号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実公平1−43177号公報に記載の満紙検知装置においては、発光面と受光面の全面に渡って均一の厚さの透明性の導電性薄膜を形成していた。
【0010】
このように発光面と受光面の全面に渡って導電性薄膜が形成されていたため、わずかでも発光面または受光面に存在する電荷によって帯電した細断屑が静電気的に引き寄せられ、発光面または受光面に細断屑が付着するという問題があった。特に冬季においては、空気が乾燥しており細断屑等に帯電した電荷が空気中へ放電されにくいため、問題となっていた。
【0011】
また、発光面と受光面の全面に渡って均一の厚さの導電性薄膜が形成されていたため、発光面と受光面の帯電を完全に防止できたとしても、細断屑は表面張力により吸着力あるいは粘着力を受け、発光面または受光面に細断屑が付着するという問題があった。
【0012】
また、導電性薄膜は発光面と受光面の全面に渡って形成されるで透明性である必要があり、導電性薄膜は特定の材料で形成される必要があり、金属材等のような非透明性の材料を用いて形成することができず、このため、製造コストの面や耐久強度の面において問題があった。
【0013】
そこで発明の目的は、上記従来技術の有する問題を解消し、発光面及び発光面に細断屑の付着をなくし誤動作を防止したシュレッダの満紙検知装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、投入された紙葉類を細断する細断部と細断された紙葉類を堆積収容する収容する収容部とを有するシュレッダに設置される装置であって、前記収容部に堆積される紙葉類に向けて設けられた発光部および受光部を有し、前記受光部が受光する信号に基づいて前記収容部の満紙の有無を検知するシュレッダの満紙検知装置において、前記発光部の発光面及び前記受光部の受光面に帯電防止部を有し、前記帯電防止部は所定高さを有する導電性の線状突起からなるパターンとして形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記パターンは、前記発光面および前記受光面において光の通る中央部はその周辺部より細い線幅で形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、前記パターンは、櫛歯状に形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、前記所定高さは、0.02mm乃至1mmであることを特徴とする。
【0018】
上述の発明において帯電防止部を形成する線状突起は所定の高さを有するので、発光面及び受光面と細断屑との間に隙間を形成することができ、細断屑と発光面及び受光面との間に生じ得る表面張力による吸着力及び静電的力を小さくすることができる。また、帯電防止部は線状突起からなるパターンとして形成されているので、帯電防止部を非透明性の材料で形成しても発光面及び受光面の必要な光学的開口を確保することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1乃至図6を参照してこの発明の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態が適用されるシュレッダはその構造においては、図7に示したシュレッダと同様であるため説明を省略する。
【0020】
図5はこの発明の実施例であるシュレッダの満紙検知装置に使用される光電センサ20の外観を示す図である。この光電センサ20は発光部8および受光部9が一体化されたものである。発光部8及び受光部9の前面にある発光面8a及び受光面9aには、静電気による帯電を防止するための帯電防止部12が形成されている。帯電防止部12によって、細断屑が発光面8a及び受光面9aに付着することを防止するようにする。
【0021】
図6は前記満紙検知装置の回路構成を示す図である。発光部8は赤外線を含む光を発する発光ダイオード11を有し、発光ダイオード11には特定の周波数の振動電流を供給する発振器10が接続されている。この発振器10は3.3kHzの振動電流を前記発光ダイオードに供給する。これによって、発光部8は3.3kHzで振幅変調された赤外線を収容箱4内に照射することになる。一方、受光部9はフォトダイオード14を有している。フォトダイオード14によって検知された信号はフィルタ16、増幅器17及び整流器18を経て比較器19に入力され、比較器19におい基準電圧と比較される。この基準電圧は、収容箱4が満紙になったときに対応する電圧値に設定されており、これによって、収容箱4内に細断層が一杯になったときカッタローラ駆動停止回路やアラーム鳴動回路等を動作させるようになっている。
【0022】
次に、帯電防止部12について詳細に説明する。
図1に示すように、帯電防止部12は、発光面8a及び受光面9a上に所定高さを有する導電性の線状突起12aからなる櫛歯状のパターンとして形成されている。帯電防止部12の端部12bは装置のグランド端子に接続されてアースされている。
【0023】
発光面8a及び受光面9aの横幅総計は約18mmであり縦幅は8mmであり、線状突起12aの高さは0.02mm乃至1mm、例えば0.1mmであり、線幅は例えば0.4mmであり、パターンのピッチは2.5mmである。
【0024】
帯電防止部12は、発光面8a及び受光面9aの漏れの無い全面ではなく一部にパターンとして形成されているので、発光面8a及び受光面9aに必要な光学的な開口は確保されている。
【0025】
線状突起12aの高さは大きいほど、帯電防止部12と細断屑との間に大きい隙間が形成され、この隙間が大きく形成されるほど、細断屑は発光面8a及び受光面9aの表面に表面張力による吸着力は小さくなる。この表面張力による吸着力は、帯電した細断屑の電荷が端部12bから装置のグランド端子へ放電された場合にあってもなお残る吸着力である。従って、線状突起12aの高さは大きいほど好ましい。しかし、線状突起12aの高さが極端に大きいと、帯電防止部12を簡易に塗装等で形成することができなくなり製造の容易性が失われ、また線状突起12aの高さが極端に大きいと線状突起12aの側端部において信号光の散乱等が生じ正確な信号検出をできなくなる。従って、線状突起12aの高さの上限は1mm程度が好ましい。
【0026】
また、線状突起12aが所定高さを有し帯電防止部12と細断屑との間に大きい隙間が形成されるので、帯電した細断編と発光面8a及び受光面9a上に存在する電荷との間の距離を大きくして静電力を小さくすることができ、細断屑の電荷を放電することによって、細断屑を発光面8a及び受光面9aから分離しやすくすることができる。
【0027】
帯電防止部12は導電性の材料で形成されていさえすれば光学的に透明性である必要はなく、例えば、金属材等の黒色塗料を塗布して形成することができる。
【0028】
図1に示す帯電防止部12の線状突起12aは均一の線幅で形成されている例を示すが、図2に示す例は、発光面8a及び受光面9aにおいて光路となる中央部は細い線幅であるのに対し光路とならない周辺部12c、12dはより広い線幅で形成されている。これによって、発光面8a及び受光面9aに必要な光学的開口を犠牲にすることなく、紙葉屑と線状突起12aとの接触面積を大きく確保することができる。
【0029】
また、図3に示す帯電防止部12の線状突起12aは、光学的な開口に寄与しない発光面8aと受光面9aの境界部12eの線幅をさらに広くした例である。
周辺部12cは導電ペーストと銅箔とによって面で装置のグランドにアースされている。
【0030】
また、図4は、帯電防止部12がつづれ折りパターンで形成された例を示す。
帯電防止部12パターンは、発光面8a及び受光面9aに必要な量の開口が確保され、また、発光面8a及び受光面9aに至った紙葉屑が帯電防止部12における線状突起12aのいずれかの部分に確実に接触できるようにしてあれば、任意のパターンでよい。
【0031】
以上、本実施の形態によれば、帯電防止部12を形成する線状突起12aは所定の高さを有するので、発光面8a及び受光面8bと細断屑との間に隙間を形成することができ、細断屑と発光面8a及び受光面8bとの間に生じ得る表面張力による吸着力を小さくすることができる。
【0032】
また、発光面8a及び受光面8bと細断屑との間に隙間を形成することができ、帯電した細断屑と発光面8a及び受光面8bに誘導された電荷との間に生じ得る静電気力を小さくすることができ、この結果、空気が乾燥しており細断屑等に帯電した電荷が空気中へ放電されにくい冬季においても、発光面8a及び受光面8bに細断屑が付着することを防止することができる。
【0033】
また、帯電防止部12は線状突起12aからなるパターンとして形成されているので、帯電防止部12を非透明性の材料で形成しても発光面8a及び受光面8bの必要な光学的開口を確保することができる。この結果、帯電防止部12を入手の容易で安価の金属材等の導電性塗料を塗布するだけで簡易に形成することが可能になる。
【0034】
また、帯電防止部12の線状突起12aは、発光面8a及び受光面9aにおける光路となる中央部は細い線幅で形成し、光路とならない周辺部12c、12dをより広い線幅で形成することによって、発光面8a及び受光面9aに必要な光学的開口を確保できるとともに、帯電した紙葉屑と線状突起12aとの接触面積を大きく確保でき、紙葉屑の電荷を線状突起12aを介して容易に放電させることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、帯電防止部は所定高さを有する導電性の線状突起からなるパターンとして形成されているので、発光面及び受光面と細断屑との間に隙間を形成することができ、細断屑と発光面及び受光面との間に生じ得る吸着力及び静電気力を小さくすることができ、また、帯電防止部を非透明性の材料で形成しても発光面及び受光面の必要な光学的開口を確保することができる。
【0036】
この結果、発光面及び受光面に細断屑の付着をなくし誤動作を防止したシュレッダの満紙検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシュレッダの満紙検知装置における発光面及び受光面に形成された帯電防止部の一例を示す平面図(a)と断面図(b)。
【図2】帯電防止部の他の例を示す平面図。
【図3】帯電防止部の他の例を示す平面図。
【図4】帯電防止部の他の例を示す平面図。
【図5】本発明に係るシュレッダの満紙検知装置における発光部及び受光部を示す概略斜視図。
【図6】満紙検知装置の回路構成を示す図。
【図7】満紙検知装置を備えたシュレッダの概略構造図。
【図8】従来より一般的に使用されているシュレッダの概略構造図。
【符号の説明】
8 発光部
8a 発光面
9 受光部
9a 受光面
12 帯電防止部
12a 線状突起

Claims (4)

  1. 投入された紙葉類を細断する細断部と細断された紙葉類を堆積収容する収容する収容部とを有するシュレッダに設置される装置であって、前記収容部に堆積される紙葉類に向けて設けられた発光部および受光部を有し、前記受光部が受光する信号に基づいて前記収容部の満紙の有無を検知するシュレッダの満紙検知装置において、
    前記発光部の発光面及び前記受光部の受光面に帯電防止部を有し、前記帯電防止部は所定高さを有する導電性の線状突起からなるパターンとして形成されていることを特徴とするシュレッダの満紙検知装置。
  2. 前記パターンは、前記発光面および前記受光面において光の通る中央部はその周辺部より細い線幅で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシュレッダの満紙検知装置。
  3. 前記パターンは、櫛歯状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシュレッダの満紙検知装置。
  4. 前記所定高さは、0.02mm乃至1mmであることを特徴とする請求項1に記載のシュレッダの満紙検知装置。
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