JP4548636B2 - 排水管洗浄方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マンション、ビル等に配設された排水管等の配管設備を洗浄する排水管洗浄方法及び装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
配管設備の洗浄に使用する従来の高圧ホース先端に配設されたヘッド部は、高圧水を進行方向対し斜め後方に放射状に憤出するための噴射孔が円周方向に沿って所定のピッチで複数個穿設されたノズルと、該ノズルの先端に連設された自在ガイドとから構成されている。
【0003】
このような高圧ホースは、日本国実開昭55一20380号公報、実公昭49−37403号公報に示されるように、回転ドラム内に収納され、この回転ドラムを回転することによって高圧ホースに対し回転を与えるようにしている。
【0004】
一方、上述した高圧ホース先端に連設されたノズルには、日本国特開昭54−110658号公報に示されるように、該ノズルから噴射される高圧水による推進力及び回転ドラムからの高圧ホースの送り出し動作によって排水管内を回転しつつ進行し、これにより管内周面の洗浄を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した洗浄対象の排水管としては大きく別けて縦管と横管があるが、上述した従来の排水管洗浄装置によると、縦管内で高圧ホースを回転させ、これにより該高圧ホース先端に連結したノズルを回転させると、ノズルは縦管の内周面に沿って旋回する。
【0006】
この状態で回転ドラムから高圧ホースを少しづつ送り出して縦管内に送り込むと、ノズルは縦管内周面に沿って螺旋状に旋回しつつ前進し、縦管の内周面に付着した固形物をノズルから噴射された高圧水により粉砕除去する。
【0007】
一方、排水管が横管の場合には、横管内で高圧ホ一スを回転させても、ノズルには管底へ向けて自重が作用するので管内周面に沿って旋回することはない。
【0008】
従って、従来の排水管洗浄装置では、排水管が横管の場合に横管内で高圧ホースを回転させ、かつ回転ドラムから高圧ホースを少しづつ送り出して管内に送り込んでも、ノズルは横管の管底に沿って単に直線的に進行するだけで、横管内周面に沿って螺旋状に旋回することはなく、横管内周面のうち特に横管上部の洗浄力が劣る難点がある。
【0009】
また、ノズルの噴射孔から噴射された高圧水の噴射圧力は管壁から遠くなるほど低下するため、管底から遠い位置にある横管上部に付着している固形物を高圧水により粉砕することは難しく、これを粉砕するためには、より高圧、より大水量を供給する設備が必要とされ、この点においても従来のものは効率良く管内部を均一に洗浄することができなかった。
【0010】
一方、近年においてマンション等の排水管を洗浄する場合、従来のごとく各部屋毎に配設された排水管の始端(流し、トイレ等の廃水設備に連通する排水管の始端)を起点に当該排水管内にノズルを侵入させて、その洗浄を開始するのではなく、各部屋から延設された各排水管の後端側を集中的に配置管理する排水管集中管理部にある排水管を起点にそこからノズルを当該排水管内に侵入させて各部屋の排水管の始端へ向け洗浄を開始するようにしている。このように排水管集中管理部にある各部屋ごとの排水管の後端側から当該排水管の洗浄を開始すると、各部屋の住人が留守の場合でも簡単に排水管の洗浄が行えることとなる。
【0011】
この場合、従来の排水管洗浄装置によると、ノズルの進行方向対し斜め後方へのみ高圧水を放射状に憤出して排水管の洗浄を行い、またその高圧水が管壁に衝突する際の反力によりノズルを進行方向へ向け自走させる構造であるから、ノズルの進行方向前方の排水管内には斜め後方へ憤出する高圧水により負圧が発生しやすく、これが原因で、各部屋毎の排水管の始端側にある封水弁の水を吸引し、当該封水弁を破壊してしまう虞があった。
【0012】
なお、この封水弁は通常「流し、浴槽等」の廃水設備に連通する排水管の始端側に形成され、その中に滞留する水により外気、特に排水管を伝わる匂いや小動物等が部屋内に侵入することを防ぐもので、これが破壊されると、排水管を経由して悪臭が部屋内に充満してしまう虞がある。
【0013】
この発明は上述した事情に鑑み、横管内でも管内周面に沿ってノズルを管壁に沿って旋回させることができるようにするとともに、封水弁を破壊することのない排水管洗浄方法及び装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、この発明では、高圧ホースの先端にノズルを設け、該ノズルの先端に自在ガイドを連結し、前記ノズルに穿設された複数の噴射孔から噴射媒体を噴射させ、前記高圧ホースを回転させつつ該高圧ホースを排水管内に送り出し、前記ノズルを管の内周面に沿って螺旋状に旋回させながら、前記ノズルから噴射する噴射媒体によって管内を洗浄する排水管洗浄方法において、前記複数の噴射孔は、径の大きい特定の噴射孔と、該特定の噴射孔より径を小さくした複数の他の噴射孔とを有し、前記特定の噴射孔は、前記ノズルの進行方向から見て他の噴射孔の位置よりも後方に形成し、前記特定の噴射孔の中心軸線Iと前記ノズルの中心軸線Hとが交わる角度αを鋭角に設定し、また他の噴射孔の中心軸線Jと前記ノズルの中心軸線Hとが交わる角度βをそれぞれ略90度に設定するとともに、前記複数の噴射孔の形成位置および各噴射孔から噴射される噴射媒体の噴射量を調整し、前記他の噴射孔から噴射される各噴射媒体の噴射圧力の各分力によって、前記特定の噴射孔のみを常時管内周面に押し付けるようにしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係わる排水管洗浄方法及び装置を詳述する。
【0016】
図1は、本願発明に係わる排水管洗浄方法及び装置に適用されるノズル1を示す高圧ホース先端部の要部破断面図である。
【0017】
このノズル1は、高圧水を送給するための若干可撓性を有する剛体管、例えばステンレスホースからなる高圧ホース2の先端に圧着ソケット4を介し直接連結している。またこのノズル1の先端には周知の自在ガイド6が連設されている。
なお、この自在ガイド6の詳細については本願出願人が先に提出した特開昭62−163789号を参照されたい。
【0018】
なお、上述したようにノズル1と高圧ホース2を圧着ソケット4を介し直接連結すると、高圧ホース2の連結端2aとノズル1の先端面1aとの間の長さLを短く設定することができるので、排水管の曲り部での高圧ホース2の湾曲性を著しく向上させることができる。
【0019】
一方、図1のAA断面で示す図2のように、ノズル1の周面には、水あるいは温水からなる高圧水を噴射する4個の噴射孔10、11、12、13が穿設され、これらの噴射孔10、11、12、13は図1に示すように、ノズル1の軸穴1b及びホースジョイント3を介して前記ホース2の内部と連通している。
【0020】
なお、実施例ではこのような噴射孔10、11、12、13のうち、図2で示すように下方に位置する噴射孔10の径の大きさを、他の同一径の噴射孔11、12、13の径よりも大きく設定し、これにより噴射孔10からは他の噴射孔よりも大流量の高圧水が噴射されるようにしている。
【0021】
また、他の噴射孔11、12、13のうち、噴射孔12はノズル1の中心Oを中心として噴射孔10と対称な位置に形成され、また噴射孔11、13は噴射孔12と中心Oを結ぶ線分に対して左右対称な位置に形成されている。
【0022】
なお、これらの各噴射孔10、11、12、13の断面積の総和は従来のノズルに形成された複数の噴射孔の断面積の総和と同一に設定されている。
【0023】
また、図1に示すように、ノズル1の軸穴1bの中心軸線Hに対する上述した径の大きい噴射孔10の中心軸線Iの傾斜角度αは鋭角(0度<α<90度)に設定され、他の噴射孔11、12、13の前記ノズル1の軸穴1bの中心軸線Hに対する中心軸線Jの傾斜角度βは略90度(ほぼ垂直)に設定されている。
【0024】
さらに、図1で示すように、上述した各噴射孔10、11、12、13のうち、径の大きい噴射孔10の形成位置は前記ノズル1の進行方向(矢印B)から見て他の噴射孔11、12、13の位置よりも後方に形成されている。
【0025】
なお、このようにノズル1の軸穴1bの中心軸線Hに対し径の大きい噴射孔10の傾斜角αを鋭角に設定し、また他の噴射孔11、12、13の傾斜角β度を略90度に設定すると、図3に示すように、横排水管5内にノズル1を挿入した後、各噴射孔10、11、12、13から各高圧水を噴射すると、ノズル1はその噴射圧力F1、F2、F3、F4(F1>F2=F3=F4)のうち、横排水管5の内周面5aへ向け垂直に作用するF1の分力F1´およびF2、F3、F4の合力により、径の大きい噴射孔10のみが管内周面5aへ押し付けられた状態で、当該横排水管5内で停止した姿勢を維持する。なお横排水管5の内周面5aと平行なF1の分力F1´´はノズル1の矢印B方向への推進力として作用する。
【0026】
このようにノズル1の各噴射孔10、11、12、13からそれぞれ高圧水が噴射されると、図3のCC断面で示す図4のように横排水管5の内周面5aにはF1´と、このF1´と向きが反対の分力F2´、F4´とF3が作用する。
【0027】
その際、ノズル1には横排水管5の内周面5aからF2´、F3、F4´に対応する反作用が作用するが、その反作用がノズル1が横排水管5の管底5bにある場合に、
F1´<F2´+F3+F4´+mg…(1)の条件を満たし、
かつ、図4と同一部分を同一符号で示す図5のように、ノズル1が管上5cにある場合は、
F1´<F2´+F3+F4´−mg…(2)の条件を満たすようにそれぞれF1´、F2´、F3、F4´、mgを設定する、
なお、mgはノズル1に作用する自重、F2´はF2の垂直方向へ向け作用する分力であり、またF4´はF4の垂直方向へ向け作用する分力である。
【0028】
また図4、図5で、F2´´はF2の水平方向へ向け作用する分力であり、またF4´´はF4の水平方向へ向け作用する分力であり、この各水平方向へ向け作用する各分力によって横管5内におけるノズル1の自転が阻止されている。
【0029】
一方、上述した(1)(2)式を満足するように、F1´、F2´、F3、F4´、mgを設定すると(即ち、複数の噴射孔の形成位置および各噴射孔から噴射される高圧水の噴射水量を調整すると)、図4で示すように、ノズル1が横管5の管底5bにある場合は、(1)式の設定条件に基づき、ノズル1はその噴射孔10のみを管底5bに押し付けた姿勢を維持する。
【0030】
また図5で示すように、ノズル1が横管5の管上5cにある場合は、(2)式の設定条件に基づき、ノズル1はその噴射孔10のみを管上5cに押し付けた姿勢を維持する。
【0031】
上述した各設定条件を満足させると、図4で示すノズル1の姿勢では、径の一番大きい噴射孔10から噴出される高圧水は、その流量が一番大きく、しかもこの噴射孔10が横管5の管底5bに最も接近するから、この噴射孔10から噴出される高圧水により横管5の管底5bに付着した固形物が効率良く洗浄されることとなる。
【0032】
なお高圧水として温水を使用した場合はその洗浄効率が一層向上する。
【0033】
また、図5で示すノズル1の姿勢では、径の一番大きい噴射孔10から噴出される高圧水は、その流量が一番大きく、しかもこの噴射孔10が横管5の管上5cに最も接近するから、この噴射孔10から噴出される高圧水により横管5の管上5cに付着した固形物も効率良く洗浄されることとなる。
【0034】
次に、上述した排水管洗浄装置における排水管の洗浄作用を説明し、併せて構成をより詳細に説明する。
【0035】
図6は本願発明に係わる排水管洗浄装置の作用を示す配管設備の要部断面図で、特に、マンション等の各部屋に通ずる排水管の後端側を集中的に配置管理する排水管集中管理部から特定の部屋の廃水設備30(流し)に通ずる横排水管5の始端側へ向け洗浄を開始した状態を示している。
【0036】
なお、この廃水設備30(流し)に通ずる横排水管5の始端側には、当該排水管5を湾曲形成した封水弁31が形成され、その内部には一定量の封水32が滞留し、これにより外気、特に排水管5を伝わる匂いや小動物等が部屋内に侵入することを防いでいる。
【0037】
この図6で、ノズル1の後端に連設固定された高圧ホース2は、端末機20を介して図示せぬ高圧ポンプの排出口に連結している。
【0038】
この端末機20は、高圧ポンプから送給される高圧水の開閉を行うハルブの制御、ドラムに巻回した高圧ホース2の繰り出し、高圧ホース2のドラムヘの巻き取り、および高圧ホース2の回転を行う。なおこの端末機20の詳細は日本国実公昭56−36856号公報に開示されている。
【0039】
排水管5の洗浄は図示せぬ高圧ポンプで加圧した高圧水を、高圧ホース2の先端に取り付けたノズル1の各噴射孔10、11、12、13(図2)から噴射させることにより行う。
【0040】
すなわち図3で示すように、ノズル1の大径の噴射孔10により、斜め後方へ噴射される高圧水の噴射圧力F1により、横排水管5の管壁に付着した管内付着物を粉砕剥離するとともに、その分力F1´´による推進力と、高圧ホース2の送り出し操作によって横排水管5内を矢印B方向へ向けて前進する。
【0041】
その際、図4で示すノズル1の初期位置から、高圧ホース2を図6に示す端末機20によって一方向(時計方向)へ回転させると、それに連動して当該ノズル1は矢印のごとく軸穴1bを中心に時計方向へ回転する。
【0042】
そのノズル1の回転の際、各噴射孔10、11、12、13から噴射される高圧水(F1、F2、F3、F4)の噴射方向は図7で示すように変化し、これによりノズル1には、噴射孔10のみを管内周面5aに押し付けた姿勢を維持したまま矢印G方向への旋回力が発生する。
【0043】
このように、ノズル1に、噴射孔10のみを管内周面5aに押し付けた姿勢を維持したまま矢印G方向への旋回力が発生すると、当該ノズル1は図8に示すように、噴射孔10が常時管内周面5aと対向する姿勢を維持しつつ横管5内を旋回し、ついには図5で示すように、ノズル1は噴射孔10を横管5の管上5cと対向させた位置に到達する。
【0044】
なお、この図5で示すように、ノズル1の噴射孔10を横管5の管上5c対向させた位置に到達した時点で、図6に示す高圧ホース2の回転を停止すれば、ノズル1は、その噴射孔10を横管5の管上5c対向させた姿勢を維持したままその旋回を停止する。
【0045】
従って、図5で示すように、ノズル1の噴射孔10を横管5の管上5c対向させた姿勢を維持したまま旋回を停止させ、その後、手操作又は自動により高圧ホース2を送り出し、または引き戻し操作をすれば、ノズル1の噴射孔10は横管5の管上5cに対向した姿勢を維持したまま管長方向に沿って進行するから、これにより横管5の管上5cに付着した管内付着物a(図6)のみを、噴射孔10から噴射される流量が一番大きい高圧水F1により洗浄して、これにより当該管内付着物aを粉砕剥離させることができることとなる。
【0046】
さらに、図5で示すノズル1の位置から、高圧ホース2を端末機20(図6)によって回転させることにより、当該ノズル1をさらに矢印のごとく軸穴1bを中心に時計方向へ回転させると、その回転の際に各噴射孔10、11、12、13から噴射される高圧水(F1、F2、F3、F4)の噴射方向が図9で示すように再び変化し、これによりノズル1には、噴射孔10のみを管内周面5aに押し付けた姿勢を維持したまま矢印G方向への旋回を開始する。
【0047】
このように、ノズル1に、噴射孔10のみを管内周面5aに押し付けた姿勢を維持したまま矢印G方向への旋回を開始すると、当該ノズル1は図10に示すように、噴射孔10が常時管内周面5aと対向する姿勢を維持しつつ横管5内を旋回し、ついには図4で示すように、ノズル1は噴射孔10を横管5の菅底5bと対向させた初期位置に復帰する。
【0048】
従って、図6で示す横排水管5内では、図11で示す要部拡大図で示すように、高圧ホース2を端末機20(図6)によって回転させ、かつ、高圧ホース2を送り出し操作をすることにより、当該ノズル1は噴射量が最も多い、噴射孔10を管内周面5aに対向させた姿勢を維持しつつ矢印G方向へ螺旋状に旋回し、これにより横管5の内周面5aに付着した管内付着物aを、噴射される流量が一番大きい高圧水により効率よく粉砕剥離すこととなる。
【0049】
ところで、図3と同一部分を同一符号で示す図12で示すように、ノズル1がその噴射量の最も多い噴射孔10を管内周面5aに対向させた姿勢を維持しつつ当該排水管5に沿って矢印Gで示すように螺旋状に旋回すると、当該ノズル1はその間常時高圧水(F1)を斜め後方へ噴射するので、その噴射圧力により排水管5のうち、ノズル1の前方に位置する領域(矢印Dで示す領域)に負圧を発生させようとする。
【0050】
一方、上述したノズル1のうち、噴射孔10の前方に位置する他の噴射孔11、12、13からは、ノズル1の中心軸線に対してほぼ垂直方向へ向け常時高圧水(F2、F3、F4)が噴射されるので、ノズル1が排水管5に沿って矢印Gで示すように螺旋状に旋回すると、この噴射孔11、12、13から噴射される高圧水(F2、F3、F4)が、ノズル1の前方に位置する排水管5の領域(矢印Dで示す領域)を可及的に密封する蓋のような作用をなし、このためノズル1の後方に位置する噴射孔10から噴射される高圧水(F1)により、排水管5内に発生する負圧の影響がノズル1の前方に位置する排水管5の領域(矢印Dで示す領域)に伝達される虞が可及的に減少する。
【0051】
従って、ノズル1の前方に位置する排水管5の領域(矢印Dで示す領域)における負圧の発生が可及的に除去されることとなる。
【0052】
このため、図6で示すように、排水管集中管理部から特定の部屋の廃水設備30(流し)に通ずる横排水管5の始端側へ向け洗浄を開始した場合であっても、ノズル1の前方に位置する排水管5の領域(矢印Dで示す領域)における負圧の発生が可及的に除去され、このため廃水設備30(流し)に通ずる横排水管5の始端側に形成された封水弁31の封水32を排水管5の後端側に吸引して、その弁機能を破壊する虞が可及的に阻止される。
【0053】
なお、図示せぬ排水管の縦主管内においても、高圧ホース2を一定の速度で回転し、且つ高圧ホース2をくり出すことでノズル1は管内周面を螺旋状に旋回する。
【0054】
その際も、噴射量が最も多い噴射孔10を縦主管の内周面に対向させた姿勢を維持しつつ螺旋状に旋回するので、縦管内においても、ノズル1は効率よく管内付着物を粉砕剥離すこととなる。
【0055】
なお、図1に示したように、ノズル1と高圧ホース2とを圧着ソケット4を介し直接連結し、これにより高圧ホース2の連結端2aとノズル1の先端面1aとの長さLを短く設定したので、図13で示すように、排水管21の曲り部23では、ノズル1近傍の高圧ホース2の湾曲性、すなわち湾曲する際の曲率半径をより一層小さく設定することができ、これによりノズル1が小径の排水管の曲り部23をスムーズに通過して、このような小径の排水管の曲り部23を効率よく洗浄することもできる。
【0056】
なお、上記実施例では、噴射量が最も多い噴射孔10を排水管の内周面に常時対向させる姿勢を維持させることができるため、例えば図14で示すように、ノズル1の噴射孔10と対応する部分の高圧ホース2周面に、その長手方向に沿って噴射孔10の位置を示す基準ライン30´を形成し、これにより高圧ホース20回転させている間に噴射孔10の位置が、管内周面のどの位置にあるかを確実に知ることができる。
【0057】
なお、上記実施例ではノズル1に高圧水を噴射する4個の噴射孔10、11、12、13を穿設する場合について詳述したが、全体として前述の(1)、(2)式が満足すればよく、その噴射孔の数、形成位置、あるいは径の大きさ等は実施例に限定されるものではなく、各種の変形が考えられる。
【0058】
なお、上記実施例ではノズル1の各噴射孔10、11、12、13から噴射される噴射媒体として水または温水等の液体を使用する場合について詳述したが、この発明は上記実施例に限定されることなく、噴射媒体としては液体と気体の混合体を使用しても良い。
【0059】
このように、噴射媒体として液体と気体の混合体を使用すると、噴射媒体が排水管に衝突すると、混合された気体が弾けてその洗浄力を一層向上させることができる。
【0060】
なお、噴射媒体を構成する液体および気体は各種のものを使用することができるが、例えば液体として水または温水を使用し、また気体としては空気を使用することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の排水管洗浄方法及び装置では、高圧ホースの回転及び送り出し操作に伴って、複数の噴射孔のうち、特定の噴射孔のみが常時管内周面と対向するように、ノズルを螺旋状に旋回させるとともに、特定の噴射孔の径を他の噴射孔の径よりも大きく、かつこの特定の噴射孔の位置を前記ノズルの進行方向から見て他の噴射孔の位置よりも後方に形成するとともに、この特定の噴射孔の中心軸線Iと前記ノズルの中心軸線Hとが交わる角度αを鋭角に設定し、また他の噴射孔の中心軸線Jと前記ノズルの中心軸線Hとが交わる角度βをそれぞれ略90度に設定するようにしたから、ノズルの旋回により管壁周囲のすべての部分に固着した付着物を大径なる特定の噴射孔から噴射される大流量の高圧水で効率良く粉砕洗浄することができるだけでなく、ノズルの前方に位置する排水管の領域に負圧を発生させないようにしたから、流し等の廃水設備に連通する排水管に配設された封水弁を破壊することなく、しかも効率よく洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明に係わるノズルを示す要部破断面図。
【図2】図2は図1のAA断面図。
【図3】図3はノズルを横管内に配設した状態を示す要部破断面図。
【図4】図4は図3のCC断面図。
【図5】図5は本願発明の作用を示す断面図。
【図6】図6は排水管設備を示す要部断面図。
【図7】図7は本願発明の作用を示す断面図。
【図8】図8は本願発明の作用を示す断面図。
【図9】図9は本願発明の作用を示す断面図。
【図10】図10は本願発明の作用を示す断面図。
【図11】図11は横管内におけるノズルの作用を示す要部破断面図。
【図12】図12は横管内におけるノズルの作用を示す要部破断面図。
【図13】図13は排水管の折れ曲り部におけるノズルの作用を示す要部破断面図。
【図14】図14は特定噴射孔の位置表示用の基準ラインを示す高圧ホースの平面図。
【符号の説明】
1…ノズル
2…高圧ホース
6…自在ガイド
10、11、12、13…噴射孔
30´…基準ライン
H、I、J…中心軸線

Claims (12)

  1. 高圧ホースの先端にノズルを設け、該ノズルの先端に自在ガイドを連結し、前記ノズルに穿設された複数の噴射孔から噴射媒体を噴射させ、前記高圧ホースを回転させつつ該高圧ホースを排水管内に送り出し、前記ノズルを管の内周面に沿って螺旋状に旋回させながら、前記ノズルから噴射する噴射媒体によって管内を洗浄する排水管洗浄方法において、
    前記複数の噴射孔は、径の大きい特定の噴射孔と、該特定の噴射孔より径を小さくした複数の他の噴射孔とを有し、
    前記特定の噴射孔は、前記ノズルの進行方向から見て他の噴射孔の位置よりも後方に形成し、
    前記特定の噴射孔の中心軸線Iと前記ノズルの中心軸線Hとが交わる角度αを鋭角に設定し、また他の噴射孔の中心軸線Jと前記ノズルの中心軸線Hとが交わる角度βをそれぞれ略90度に設定するとともに、
    前記複数の噴射孔の形成位置および各噴射孔から噴射される噴射媒体の噴射量を調整し、
    前記他の噴射孔から噴射される各噴射媒体の噴射圧力の各分力によって、前記特定の噴射孔のみを常時管内周面に押し付けるようにしたことを特徴とする排水管洗浄方法。
  2. 前記ノズルと前記高圧ホースは圧着ソケットを介して直接連結されていることを特徴とする請求項(1)記載の排水管洗浄方法。
  3. 前記高圧ホースの表面には、その長手方向に沿って前記特定の噴射孔の位置を示す基準ラインが形成されていることを特徴とする請求項(1)記載の排水管洗浄方法。
  4. 前記噴射媒体は水または温水であることを特徴とする請求項(1)記載の排水管洗浄方法。
  5. 前記噴射媒体を液体と気体との混合体により構成することを特徴とする請求項(1)〜(3)のいずれか一項に記載の排水管洗浄方法。
  6. 前記液体は水または温水であり、前記気体は空気であることを特徴とする請求項(5)記載の排水管洗浄方法。
  7. 高圧ホースの先端にノズルを設け、該ノズルの先端に自在ガイドを連結し、前記ノズルに穿設された複数の噴射孔から噴射媒体を噴射させ、前記高圧ホースを回転させつつ該高圧ホースを排水管内に送り出し、前記ノズルを管の内周面に沿って螺旋状に旋回させながら、前記ノズルから噴射する噴射媒体によって管内を洗浄する排水管洗浄装置において、
    前記複数の噴射孔は、径の大きい特定の噴射孔と、該特定の噴射孔より径を小さくした複数の他の噴射孔とを有し、
    前記特定の噴射孔は、前記ノズルの進行方向から見て他の噴射孔の位置よりも後方に形成し、
    前記特定の噴射孔の中心軸線Iと前記ノズルの中心軸線Hとが交わる角度αを鋭角に設定し、また他の噴射孔の中心軸線Jと前記ノズルの中心軸線Hとが交わる角度βをそれぞれ略90度に設定するとともに、
    前記複数の噴射孔の形成位置および各噴射孔から噴射される噴射媒体の噴射量を調整し、
    前記他の噴射孔から噴射される各噴射媒体の噴射圧力の各分力によって、前記特定の噴射孔のみを常時管内周面に押し付けるようにしたことを特徴とする排水管洗浄装置。
  8. 前記ノズルと前記高圧ホースは圧着ソケットを介して直接連結されていることを特徴とする請求項(7)記載の排水管洗浄装置。
  9. 前記高圧ホースの表面には、その長手方向に沿って前記特定の噴射孔の位置を示す基準ラインが形成されていることを特徴とする請求項(7)記載の排水管洗浄装置。
  10. 前記噴射媒体は水または温水であることを特徴とする請求項(7)記載の排水管洗浄装置。
  11. 前記噴射媒体を液体と気体との混合体により構成することを特徴とする請求項(7)〜(9)のいずれか一項に記載の排水管洗浄装置。
  12. 前記液体は水または温水であり、前記気体は空気であることを特徴とする請求項(11)記載の排水管洗浄装置。
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