JP4548482B2 - 超音波流量計、2方式併用型超音波流量計 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超音波による流量計測技術として、クランプオン型超音波流量計がある。このクランプオン型超音波流量計は、被測定流体がその内部を通過する配管に対し、この配管の外周面の一部に、音波を配管に伝えるための材料、すなわち楔(くさび)を設置し、この楔を介して音波を配管内部に送信することにより、上記被測定流体の流量を測定する流量計である。クランプオン型超音波流量計として、パルスドップラー法を用いた流量測定技術(以下、パルスドップラー方式と呼ぶ)や伝搬時間差法を用いた流量測定技術(以下、伝搬時間差方式と呼ぶ)が知られている。
【0003】
パルスドップラー方式は、流体中に含まれる浮遊粒子や気泡が流体と同じ速度で移動すると仮定して、浮遊粒子などの移動速度から流体の流量を測定するものであり、例えば、特許文献1に記載されているように、非定常状態の流体に対し、非接触で高精度な測定を可能にしている。特許文献1記載の流量計測技術は、超音波パルス(群)を管内の被測定流体に対して一定の間隔で送信し、流体中に混在する気泡などの異物(測線上の反射体)によって反射された超音波エコー波の周波数が、流速に比例した大きさだけ変化するという、ドップラシフトの原理を応用したものである。すなわち、上記エコー波に基づいてドップラーシフトを算出し、被測定流体の流速分布を求め、この流速分布に基づいて積分演算により流量を算出することで、被測定流体の流量を求めるものである。
【0004】
上記パルスドップラー方式は、伝搬時間差方式と比較して、精度が高く高速応答が可能で、かつ耐気泡性に優れており、さらに計測線を複数設けることで偏流でも高精度な計測が可能となる特徴がある。しかし、上記パルスドップラー方式は、被測定流体に、一定量の反射体が、ある程度均一に存在することで測定が可能になる為、十分な反射体が存在しない又は反射体が偏って存在する流体では高精度な測定を行うことができないという問題がある。
【0005】
一方、伝搬時間差方式は、一対の送受信一体型トランスデューサを1組以上用いて、上流側から下流側への超音波伝搬時間と下流側から上流側への超音波伝搬時間とを比較して、その差を用いることで、非測定流体の平均流速および流量を算出するものである。この方式では、パルスドップラー方式と比較して、不純物の少ない液体や純水の流量を計測するのに適する。逆に言えば、伝搬時間差方式では、被測定流体内に気泡等の不純物が多く混入していると、高精度な測定が困難になることがある。
【0006】
従来の超音波流量計では、パルスドップラー方式か伝搬時間差方式の何れか一方の方式で計測を行なっていた。
また、従来、例えば特許文献2記載の発明が提案されている。
【0007】
特許文献2記載の発明は、時間差式超音波流量計とドップラー式超音波流量計とを備え、定められた流量のしきい値以下では時間差式超音波流量計に、しきい値以上ではドップラー式超音波流量計に切り換えるものである。
【0008】
但し、上記特許文献2におけるドップラー式とは、上記パルスドップラー方式とは異なる。すなわち、上記特許文献2におけるドップラー法とは、一般に連続波方式と呼ばれる方法であり、上記パルスドップラー方式はパルス波方式である。上記特許文献2におけるドップラー法(連続波方式)に関しては、例えば非特許文献1等で説明されているが、簡単に説明するならば、配管の中心軸上の一点での被測定流体の速度をドップラシフトを用いて求め、この流体速度から流量を算出する手法である。一方、パルスドップラー方式は、配管内の特定位置(複数)の流速を求め、得られた流速分布を用いて流量を算出する手法である。それ故、上記特許文献2には、ドップラー式は時間差式に比べて精度が悪いという問題点を有している旨の記載がある。一方、パルスドップラー方式は、上記の通り、伝搬時間差方式と比較して、測定精度が高い。
【0009】
上記の通り、パルスドップラー法を用いた流量計測技術は、伝搬時間差方式に比べて優れている点が多いが、被測定流体の状態(上記反射体の量や偏り等)によっては、伝搬時間差方式を用いたほうが良い場合がある。ここで、被測定流体の状態は、ある測定地点(超音波流量計の設置地点)において一定というわけではなく、変化するものである。よって、ある時点で被測定流体に一定量の反射体がある程度均一に存在するとしても、別の時点では十分な反射体が存在しない又は/及び反射体が偏って存在する状況となる場合もある。
【0010】
したがって、各測定地点毎に、パルスドップラー方式と伝搬時間差方式とを混在させた超音波流量計を設置し、被測定流体の状態に応じて両者を切り替える手法が考えられる。
しかしながら、従来では、被測定流体の状態を装置によって自動的に判別することは困難であった。従来では、上記流量演算の為の処理中に得られる上記流速分布を表示させたり、上記反射された超音波エコー波の受信信号を表示させたりして、これら表示内容を人間が見て、被測定流体の状態を経験的に判断していた。
【0011】
以上述べたように、被測定流体の状態を装置によって自動的に判別することが望まれる。そして、この判別結果に基づいて、パルスドップラー方式と伝搬時間差方式とを切り替えることで、より高精度に流量計測を行えるようにすることが望まれる。
【0012】
これに対して、上記特許文献2記載の手法では、流量に基づいて切り替えを行っているに過ぎず、反射体の量や均一性等のような被測定流体の状態を判別するものではなく、切り替えの判断基準が十分に適切なものとは言えない。また、特許文献2は、上記の通り、そもそもパルスドップラー方式に関するものではない。パルスドップラー方式を用いることで、非定常状態においても、より高精度な測定が可能となる。
【特許文献1】
特開2000−97742号公報
【特許文献2】
特開2004−184245号公報
【非特許文献1】
「計装エンジニアのための流量計測A to Z」128頁〜131頁、著者:社団法人 日本計量機器工業連合会、出版社:工業技術社、平成7年11月1日 初版
【発明の開示】
【0013】
本発明の課題は、パルスドップラー方式の超音波流量計において被測定流体の状態を判別することで、測定結果の確からしさを知ることができるようにし、更にパルスドップラー方式と伝搬時間差方式との併用型の超音波流量計を構成し、被測定流体の状態の判別結果に応じて、パルスドップラー方式を伝搬時間差方式に切り替えることで、パルスドップラー方式による高精度な測定を活かしつつ測定精度を悪化させずに流量測定することを可能にする超音波流量計、2方式併用型超音波流量計等を提供することである。
【0014】
本発明のパルスドップラー式超音波流量計は、各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラースペクトルに基づいて、前記エコー信号の強度を示すパワーを算出するパワー算出手段と、各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラーシフト周波数とその平均値とに基づいて、その標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、各チャンネル毎に、前記パワー又は/及び標準偏差をそれぞれ所定の閾値と比較することで、被測定流体の状態を判別する状態判別手段とを有するように構成する。
【0015】
上記算出されるパワーは、被測定流体に含まれる反射体の状態(数に比例等)を示しており、標準偏差は流れの安定性を示すものである。例えばパワーが閾値より大きく且つ標準偏差が閾値より小さい場合には、被測定流体の状態は、反射体がある程度多く含まれ且つある程度均一な流れであるものと見做せる。つまり、パルスドップラー方式で高精度な測定が行える状態にあると見做せる。この様に、被測定流体の状態を自動的に判別できるので、例えば判別結果を表示等すれば、監視者等は、測定結果の確からしさを知ることができる。
【0016】
更に、上記被測定流体の状態の判別手法を、パルスドップラー方式と伝搬時間差方式との併用型の超音波流量計に適用することで、両測定方式を適切なときに切り替えることができる。
【0017】
すなわち、本発明の2方式併用型超音波流量計は、パルスドップラー方式と伝搬時間差方式との併用型の超音波流量計であって、通常時は、パルスドップラー方式を用いるものとし、各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラースペクトルに基づいて、前記エコー信号の強度を示すパワーを算出するパワー算出手段と、各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラーシフト周波数とその平均値とに基づいて、その標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、各チャンネル毎に、前記パワー又は/及び標準偏差をそれぞれ所定の閾値と比較することで、被測定流体の状態を判別する状態判別手段と、状態判別手段による判別結果に応じて一時的に伝搬時間差方式に切り換えるか否かを決定する切換手段とを有するように構成する。
【0018】
上記状態判別手段によって、パルスドップラー方式で高精度な測定が行える状態にあるか否かを判別できるので、測定精度が悪化していると判定した場合には、一時的に伝搬時間差方式に切り換えることで、測定精度の大幅な悪化を防止できる。
【0019】
そして、例えば、前記状態判別手段は、前記各チャンネル毎に、測定精度が悪化しているか否かを判定するものであり、前記切換手段は、前記状態判別手段によって測定精度が悪化していると判定されたチャンネルの数が、予め設定される割合以上であった場合は、測定方式を伝搬時間差方式に切り換える。
【0020】
また、例えば、前記パワーは前記ドップラースペクトルを積分処理して得られる総パワー又は該総パワーを取込回数で除算した平均化パワーである。
また、例えば、前記ドップラーシフト周波数とその平均値とに基づいて算出される標準偏差に代えて、該算出された標準偏差を前記ドップラーシフト周波数の平均値によって規格化した値を用いるものである。
【0021】
また、例えば、予め任意の測定回数又は測定時間を設定させ、前記切換手段によって一時的に伝搬時間差方式に切り換えられた場合、該伝搬時間差方式による測定は、前記設定された測定回数又は測定時間分、行われるようにしてもよい。
【0022】
また、例えば、前記切換手段によって一時的に伝搬時間差方式に切り換えられた場合、該伝搬時間差方式による測定結果を、該切換え直前のパルスドップラー方式による測定結果から緩やかに変化するように補正して出力するようにしてもよい。
【0023】
本発明の超音波流量計、2方式併用型超音波流量計等によれば、パルスドップラー方式の超音波流量計において被測定流体の状態を判別することで、測定結果の確からしさを知ることができるようにし、更にパルスドップラー方式と伝搬時間差方式との併用型の超音波流量計を構成し、被測定流体の状態の判別結果に応じて、パルスドップラー方式を伝搬時間差方式に切り替えることで、パルスドップラー方式による高精度な測定を活かしつつ測定精度を悪化させずに流量測定することを可能にする。また、判別精度が高いので、適切なときに切換えが行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本例によるパルスドップラー式超音波流量計の構成・機能ブロック図である。
[図2A]実験結果に基づく被測定流体の状態の判別基準を示す図である。
[図2B]実験結果に基づく判別方法(基準)について説明するための図である。
[図2C]実験結果に基づく判別方法(基準)について説明するための図である。
[図3]本例による2方式併用型超音波流量計の構成・機能ブロック図である。
[図4]本例の流量測定処理のフローチャート図である。
[図5]図4の処理の変形例である。
[図6]成功率を用いて判別する処理を説明する為の図である。
[図7A]両測定方式が短時間で頻繁に切り替わる場合の対応方法について説明する為の図である。
[図7B]両測定方式が短時間で頻繁に切り替わる場合の対応方法について説明する為の図である。
[図7C]両測定方式が短時間で頻繁に切り替わる場合の対応方法について説明する為の図である。
[図7D]両測定方式が短時間で頻繁に切り替わる場合の対応方法について説明する為の図である。
[図8]チャンネルについて示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
[0025]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例によるパルスドップラー式超音波流量計の構成・機能ブロック図であり、これは被測定流体の状態を判別することができるものである。
[0026]
図示のパルスドップラー式超音波流量計は、センサ1、発信器2、エミッタ3、増幅器4、A/D変換部5、表示装置6、及びCPU/MPU10より成る。CPU/MPU10は、その内臓メモリ又は不図示の外部メモリに格納された所定のアプリケーション・プログラムを実行することにより、流速分布計測部11、パワー・標準偏差算出処理部12、及び流量演算処理部13の各機能部の処理を実行する。
[0027]
センサ1は、超音波トランジューサであり、被測定流体が流れる配管の管壁7の外周面の一部に設置されている楔8に取り付けられている。センサ1は、発信器2及びエミッタ3により生成される電気信号に基づいて超音波パルスを出力する。この超音波パルスは、例えば直径5mm程度の直進性のビームであり、楔8、管壁7を介して配管内を流れる流体中に入り、流体中に含まれる反射体9(気泡等)によって反射される。この反射エコーはセンサ1が受信して電気信号に変換した後、増幅器4に出力する。
[0028]
発信器2は、基本周波数f0の電気信号を発生させ、エミッタ3は、この発信器2からの電気信号を所定の時間間隔(1/Fprf)毎にパルス状に出力する。これより、センサ1からは、基本周波数f0の上記超音波パルスが所定の時間間隔毎に出力される。尚、上記基本周波数f0は、基本的には、配管の内径に反比例して定まる所要周波数である。また、尚、センサ1は、配管に対して一定の角度だけ傾斜するようにして楔8に取り付けられるものであり、上記超音波パルスは図示の測定線に沿って流体中を進行するものである。また、尚、反射体9は、上記気泡以外にも、微粉末等のパーティクル、被測定流体とは異なる音響インピーダンスを有する異物等がある。
[0029]
上記センサ1から出力される反射エコー電気信号は、増幅器4によって増幅され、更にA/D変換部5によってディジタル化されて、CPU/MPU10に入力する。
CPU/MPU10においては、上記流速分布計測部11と流量演算処理部13は、従来から存在する処理部であり、上記ディジタル信号が入力されると、まず、流速分布計測部11によって被測定流体の流速分布を算出し、流量演算処理部13がこの流速分布に基づいて被測定流体の流量を算出するが、本装置では、更に、パワー・標準偏差算出処理部12を有している。
[0030]
上記の通り、パルスドップラー法による測定では、所定の繰返し周期(1/Fprf)で上記超音波パルスの送信・受信を繰返し多数回実行する。
流速分布計測部11は、上記多数回の計測結果に基づいて、測定線上の各位置の流速を算出し、算出した各位置(計測点)の流速に基づいて、流速分布を求めることになる。流速算出の際には、ドップラーシフト(送信パルスの周波数と受信エコーの周波数との差)成分を抽出して、このドップラーシフトの周波数fd等に基づいて、流速を算出する。
[0031]
ここで、各位置(計測点)は、1点を意味するのではなく、測定領域(例えば、管軸に対して垂直方向における配管半径分の領域)を分割して成る各エリア(チャンネルと呼ぶ)を意味するものである。当然、反射体9がどのエリアを通過するのかは予測がつかないものであるが、更に各エリア毎に、そのエリア内の何処を反射体9が流れてくるのかは予測のつかないものである。つまり、パルスドップラー方式は、確率的な事象を扱うものであり、真値を得ることは困難である。よって、各チャンネル毎に、例えば256回分の流速計測が行われたら、その平均値を算出し、これを上記各位置(計測点)の流速としている。そして、各チャンネル毎に、この256回分の計測結果に基づいて、ドップラースペクトルを算出することになる。尚、各計測実行毎に、その計測点(そのとき反射体9が存在した位置)がどのチャンネルであるのかは、上記超音波パルスの送信から反射エコーの受信までに掛かる時間に基づいて判別できる。
【0032】
パワー・標準偏差算出処理部12は、まず、上記流速分布計測部11による流速演算の処理過程で得られるデータ(上記ドップラーシフト周波数fdやドップラースペクトル等)に基づいて、例えば参考文献1(「基礎超音波医学」八木晋一、遠藤信行、平田經雄、伊藤紘一 著; 医歯薬出版株式会社; 2002年10月10日 第1版第3刷発行の26頁〜31頁)、参考文献2(「超音波医学辞典」辻本文雄 著 秀潤社 2000年9月8日 第1版第1刷発行の170頁〜175頁)等に記載の方法により、以下に説明するように、各チャンネル毎に、パワー(P)と標準偏差σとを算出する。
【0033】
各チャンネル毎に、例えば、上記参考文献1、2に記載されているように、まず、ドップラーシフト周波数fdを横軸、パワーを縦軸とするパワースペクトル、すなわちドップラースペクトルP(fd)を求める。そして、このドップラースペクトルP(fd)を用いて、以下の(1)式により、そのチャンネルにおけるパワー(P)を算出する。
【0034】
【数1】
上記パワー(P)はエコー波の強度を示すものであり、また上記参考文献1に記載のように、被測定流体内の反射体の数に比例するものである。
【0035】
また、ドップラーシフト周波数fdの平均値である平均ドップラーシフト周波数
(一次モーメント)より、ドップラーシフト周波数fdのバラツキの程度を特定する統計量である分散σ2(二次モーメント)は以下の(2)式で表すことができる。
【0036】
【数2】
上記分散の平方根(√)が、標準偏差σである。この標準偏差は、各チャンネル毎に、そのチャンネルに係る計測結果の時間領域におけるばらつき(流れの安定性)を示すものであり、このばらつきが実用的な範囲であれば、計測結果は有効なものと考えられる。
【0037】
以上述べたように、パワー(P)は被測定流体に含まれる反射体の状態(数等)を示しており、標準偏差は流れの安定性を示すものであるから、図2Aに示すように、パワーが大きく且つ標準偏差が大きい場合には、被測定流体の状態は、反射体がある程度多く含まれ且つ不均一な流れであることを示す。また、パワーが大きく且つ標準偏差が小さい場合には、被測定流体の状態は、反射体がある程度多く含まれ且つ均一な流れであることを示す。また、パワーが小さく且つ標準偏差が大きい場合には、被測定流体の状態は、反射体が少なく(又は無い)且つ不均一な流れであることを示す。
【0038】
ここで、本出願の発明者は、パルスドップラー式超音波流量計において同流量計の特徴である高精度の流量計測を行える条件(被測定流体の状態)を、実験等に基づいて確認した。すなわち、図2Aに示すように、パワーが大きく、標準偏差が小さいという条件を満たす場合には、問題なく高精度の流量測定を行える状態にあることを確認した。
【0039】
具体例としては、例えばSUS50A配管を用いた実験により、図2Bに示すように、本実験結果としては、被測定流体の平均流速が0.4(m/s)〜2(m/s)である場合には測定精度が良く、測定結果のバラツキが少なく、平均流速0.2(m/s)においては測定精度の悪化や測定結果の大きなバラツキが確認できる。そして、発明者は、更に、実験により、被測定流体の平均流速を順次変えながら、パワー(P)と標準偏差を算出した結果、図2Cに示す実験結果を得た。
【0040】
図2Cに示す通り、測定精度よく測定可能な平均流速である0.4(m/s)〜2(m/s)の範囲内にある各流速は、図2Cを図2Aに示す分類に当てはめた場合、「パワーが大きく且つ標準偏差が小さい」という条件にほぼ該当している。そして、この実験顕結果では、“大きい”と“小さい”とを分ける閾値は、大体、パワー(P)に関しては10の7乗〜8乗付近、標準偏差はおよそ1〜1.5(rad)付近であると判断できる。
【0041】
ここで、本実験では、流速を変化させて、各流速におけるパワーと標準偏差を求めているが、これは流速によって正常・異常を判定するという意味ではない。流速を変えることで、被測定流体の状態がどの様になるのかが、ある程度分かっているので、流速をパラメータとして使用しているのである。すなわち、本実験では流体中に気泡等をほぼ一定量でほぼ均一となるように含ませるが、流速が早いほど、単位時間当たりに測定線を通過する反射体9の数が多くなる。よって、流速が流体中の反射体の数を示唆することになる。また、本実験では反射体として気泡を用いており、水中の気泡は、当然、浮かび上がる性質であるが、流速が早いとそのまま押し流されていくので、バラツキは小さい。一方、流速が遅いと、途中で気泡が浮かび上がり、配管の重力方向上側に気泡が偏る為、バラツキが大きくなる。
【0042】
以上述べたように、上記実験結果は、例えば流速が2m/sである場合は常に正常に計測できるという意味ではなく、流速によって、被測定流体の状態を再現しているだけであり、
上記パワー(P)、標準偏差は、流体中の反射体の数、バラツキに応じた値が算出されるものである。
【0043】
尚、換言すれば、パワー・標準偏差算出処理部12は、各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラースペクトルに基づいて、上記エコー信号の強度を示すパワーを算出するパワー算出部と、各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラーシフト周波数とその平均値とに基づいて、その標準偏差を算出する標準偏差算出部と、各チャンネル毎に、上記パワー又は/及び標準偏差をそれぞれ所定の閾値と比較することで、被測定流体の状態を判別する状態判別部(何れも不図示)とから成ると言える。
【0044】
以上述べたように、パワー・標準偏差算出処理部12が算出したパワー(P)と標準偏差とを例えば表示装置6に表示し、オペレータ等が上記実験結果による閾値等に基づいて現在の被測定流体の状態を判断し、測定精度が悪化していないか等を確認することができる。あるいは、パワー・標準偏差算出処理部12において予め上記閾値等を設定しておき、例えば「パワーが大きく且つ標準偏差が小さい」という条件に該当しない場合には、測定精度が悪化している旨を表示装置6に表示するようにしてもよい。つまり、これら表示内容は、測定結果の確からしさを知る指標となる。
【0045】
上記のようにパワーと標準偏差を用いることで、被測定流体の状態を的確に表すことができるので、上記「測定結果の確からしさを知る指標」は信頼性の高いものとなる。更に、上記のように実験結果に基づいて適切な閾値を設定することで、測定精度が悪化しているか否かの判断の信頼性も高いものとなり、後述する2方式併用型超音波流量計においては適切なときに切換えが行われるようになる。
【0046】
すなわち、上記被測定流体の状態の判別手法を、以下に述べる図3に示す2方式併用型超音波流量計に適用することで、パルスドップラー方式の測定精度の高さを活かしつつ、測定精度が悪化する状態になった場合には、伝搬時間差方式に切り替えることで、測定精度の悪化を抑止することができるようになる。
【0047】
図3は、本例による2方式併用型超音波流量計の構成・機能ブロック図である。
尚、2方式とは、上記の通り、パルスドップラー方式と伝搬時間差方式とである。
図示の2方式併用型超音波流量計は、センサ1、センサ21、センサ22、スイッチ23、増幅器24、増幅器25、切替部26、A/D変換器27、CPU/MPU28、送信回路29、表示装置30、及び入力装置31より成る。
【0048】
センサ1は、上記図1に示すパルスドップラー方式用の超音波トランジューサである。図3では、更に伝搬時間差方式用の1対の超音波トランジューサであるセンサ21、センサ22が設けられている。尚、センサ21、センサ22自体は、センサ1と同じであってよいので、共用することもできる。すなわち、センサ1は削除し、センサ21をパルスドップラー方式用としても使用するようにしてもよい。
【0049】
送信回路29は、例えば図1に示す発信器2及びエミッタ3より成る。
スイッチ23は、センサ1を用いるのかセンサ21,22を用いるのかを切り替える為のスイッチである。スイッチ23がセンサ1側に切り替わっている場合には、送信回路29から出力される電気信号は、センサ1に入力して超音波パルスが発射され、これが反射体9等によって反射された結果センサ1から出力されるエコー電気信号は、増幅器24に入力されるようになる。一方、スイッチ23がセンサ21,22側に切り替わっている場合には、送信回路29から出力される電気信号は、センサ21又は22に入力して超音波パルスが発射され、これをセンサ22又は21が受信して出力する電気信号(受信波)は、増幅器25に入力されるようになる。
【0050】
増幅器24,25は、増幅器4と同様、単なる信号増幅回路であり、増幅器24は上記エコー電気信号を増幅し、増幅器25は上記受信波を増幅する。
切替部26は、増幅器24、25の何れか一方の増幅出力信号を、A/D変換器27に入力させるものであり、当然、センサ1を使用する場合には増幅器24側に切り替わっている。A/D変換器27は上記何れかの増幅出力信号をA/D変換し、このディジタル信号をCPU/MPU28に出力する。
【0051】
CPU/MPU28は、図1のCPU/MPU10と同様に上記流速分布計測部11、パワー・標準偏差算出処理部12、及び流量演算処理部13の各機能部を有するが、更に、パワー・標準偏差算出処理部12によって上記の通り測定精度が悪化していると判定された場合に、切替部26及びスイッチ23を伝搬時間差方式側へと切り替える切替制御部(不図示)を有している。また、伝搬時間差方式による流量算出処理を実行する処理機能部(不図示)も有している。
【0052】
CPU/MPU28において上記何れかの方式により流量が算出されると、この流量は表示装置30に表示される。また、現在、上記何れの方式を用いているのかを、表示装置30に表示してもよい。
【0053】
図4に、CPU/MPU28によって実行される流量測定処理のフローチャート図を示す。
本例では、通常はパルスドップラー方式で流量測定を行っており、測定精度が悪化したと判定されたときだけ伝搬時間差方式に切り替えるものである。
【0054】
これより、通常時は、スイッチ23及び切替部26はセンサ1側に切り替えられており、センサ1によって検出されたエコー波のディジタル信号を、A/D変換器27から入力すると、上記流速分布計測部11によって流速算出が行われるが(ステップS11)、上記の通り、その処理過程で得られるドップラースペクトルP(fd)等を用いて、パワー・標準偏差算出処理部12がパワー(P)と標準偏差σとを算出する(ステップS12)。
【0055】
そして、上述してあるように、予めパワー(P)に対する閾値Xと標準偏差σに対する閾値Yが設定・登録されているので、ステップS12で算出したパワー(P)と標準偏差を、各々、閾値X、Yと比較し、例えばパワー(P)≧X且つ標準偏差≦Yである場合、すなわち上記「パワーが大きく且つ標準偏差が小さい」という条件を満たしている場合には(ステップS13,YES)、そのままパルスドップラー方式を継続するものとし、流量演算処理部13によって流量を算出し(ステップS14)、算出結果等を表示装置30に出力する(ステップS19)。
【0056】
一方、上記「パワー(P)≧X且つ標準偏差≦Y」の条件を満たさない場合には(ステップS13,NO)、伝搬時間差方式に切り替える。すなわち、まずスイッチ23及び切替部26を切り替えた後、センサ21から超音波パルスを送信させてセンサ22で受信させ、センサ22から超音波パルスを送信させてセンサ21で受信させ(ステップS15)、両方とも正常に受信できた場合には(ステップS16,YES)、両者の伝搬時間差に基づいて被測定流体の平均流速および流量を算出し(ステップS17)、結果を表示装置30に出力する。尚、少なくとも一方が正常受信できなかった場合には(ステップS16,NO)、異常処理を行う(ステップS18)。
【0057】
尚、ステップS13の処理は、上記説明では「パワー(P)≧X且つ標準偏差≦Y」を判定条件としたが、この例に限らず、「パワー(P)≧X」のみを判定条件としてもよいし、「標準偏差≦Y」のみを判定条件としてもよい。図2Cに示す実験結果によれば標準偏差のみを用いても、ある程度判別可能である。また、パワーは、被測定流体中の反射体の数に比例するのであり、パルスドップラー方式では反射体の数が少ないと精度良い計測が行えないことは分かっているので、パワーのみを用いても、ある程度判別可能であるからである。
【0058】
図5に、図4の処理の変形例を示す。
図5に示すステップS21〜S26の処理は、図4のステップS11〜S19の処理とほぼ同じである(ステップS25の処理は図4のステップS15〜S18の処理である)。異なる点は、事前の任意のときに、ユーザに任意の閾値Xs、Ysを設定させることで(ステップS27)、ステップS23の判定は、ステップS13における閾値X,Yの代わりに、上記閾値Xs、Ysを用いることである。すなわち、上記2方式併用型超音波流量計の製造元では、上記実験結果等やその他経験等に基づいて上記閾値X、Yを設定するが、最適な閾値は配管条件や被測定流体の性質等によって変わってくる。よって、各ユーザ毎に、そのユーザが適切と考える任意に閾値Xs、Ysを設定できるようにする。これは不図示の閾値設定画面を表示装置30に表示し、ユーザは入力装置31を操作して、所望の閾値を入力するものである。入力装置31は、タッチパネル、キーボード等である。
[0059]
流速の算出は、上記の通り配管の管軸に対して垂直方向(配管断面方向)の各位置(チャンネル)毎に行われるが、図4、図5の処理が、一部のチャンネルのみを用いるのか全てチャンネルのみを用いるのか等について、説明していなかった。これは、任意の1つのチャンネルのみを用いることや、任意の一部(複数)のチャンネルを用いることも考えられるが、判定精度良く判定する為に適切と考える手法を、以下に、図6を参照して説明する。
[0060]
図6に示す処理例では、まず事前に図5と同様にユーザ側で任意に閾値Xs、Ysを設定させると共に任意の成功率の閾値Zsを設定させる。この成功率の閾値Zsは、0%〜100%の間の任意の値を設定できるが、本発明者は実験結果等から70%程度が適切であると考える。尚、パワーと標準偏差の閾値は、図4と同様、製造元で設定した値X、Yを用いてもよい。同様に、成功率の閾値も、製造元で設定した値を用いてもよい。
[0061]
図6において、ステップS31、S32の処理は、上記ステップS11,S12等と同様であるが、パワー(P)と標準偏差は、全てのチャンネルについて、それぞれ算出する。
[0062]
そして、各チャンネル毎にそのパワー(P)と標準偏差を、上記閾値Xs、Ysと比較して、測定精度が悪化しているか否かを判定し、測定精度は悪化していないと判定されたチャンネルの数をカウントする。そして、このカウント数nと全チャンネル数Nとにより、成功率=n/Nを算出する。そして、算出した成功率を上記成功率の閾値Zsと比較して、成功率≧Zsであれば(ステップS34,YES)、そのままパルスドップラー方式を用いるものとし、流量演算処理部13によって流量演算を実行する(ステップS35)。一方、成功率<Zsであれば(ステップS34,NO)、伝搬時間差方式に切り替えるものとし、図4で説明したステップS15〜S18の処理を実行する(ステップS36)。
【0063】
ここで、上述したパワー(P)や標準偏差の算出は、設定したパラメータに影響を受ける。例えば、パワー(P)は、取込回数によって影響を受ける。この取込回数とは、例えば上記説明で256回としているものであり、取込回数が多ければパワー(P)は大きくなる。この様にパラメータによって影響を受ける為、上記閾値によって一元的に正常・異常を評価できない場合がある。
【0064】
よって、パワー(P)や標準偏差が設定パラメータによって変動することを抑える為に、パワー(P)や標準偏差の算出方法を、以下の様にしてもよい。
パワー(P)は、取込回数で平均化した値としてもよい。すなわち、上記(1)式で求めたパワー(P)を取込回数で除算したもの(パワー(P)/取込回数)を、パワー(P)の算出結果としてもよい。
【0065】
あるいは、標準偏差は、上記(2)式に基づいて求めた上記標準偏差σを、上記平均ドップラーシフト周波数
によって規格化した値
【0066】
としてもよい。これは、σの値が同じであっても、平均ドップラーシフト周波数
の値が大きい場合と小さい場合とでは、その意味が違うからである。つまり、σの値が同じであっても、平均ドップラーシフト周波数
【0067】
の値が小さい場合は、大きい場合に比べて、バラツキが大きいことになる。勿論、これらの場合には、上記閾値X,Y等も、平均化又は規格化した値に基づいて決定される。
【0068】
また、上記標準偏差は、ドップラーシフト周波数fdの標準偏差としたが、代わりに、ドップラーシフト位相角ωdの標準偏差としてもよい。ドップラーシフト周波数fdとドップラーシフト位相角ωdとの関係は、以下の(3)式で表される。従って、上記(2)式の算出結果の平方根より算出されるドップラーシフト周波数fdの標準偏差に、2πTを乗算した値が、ドップラーシフト位相角ωdの標準偏差となる。尚、Tは、上記パルス繰返し周期1/Fprfである。
【0069】
【数3】
上述した2方式併用型超音波流量計では、パルスドップラー方式による計測を基本とし、上記閾値に基づいて測定精度が悪化していると判定されたときだけ、一時的に、伝搬時間差方式に切り換えるが、被測定流体の状態によっては、例えば上記パワーと標準偏差の算出結果が、上記閾値とほぼ同じ値となる場合があり、この場合、ちょっとした変動により、閾値を超えたり超えなかったりする為、上記切り換えが頻繁に行われるという状況に成り得る。しかし、パルスドップラー方式による計測結果と、伝搬時間差方式による計測結果とでは、例えば図7Aに示すように、多少異なる為、両測定方式が短時間で頻繁に切り替わった場合、測定結果は例えば図7Bに示すように、頻繁に変動することになる。
【0070】
尚、パルスドップラー方式においては、1チャンネルの流速計測の為に超音波パルスの送受信を、例えば256回行って平均値をとり、更に測定方式を切り換えるか否かを判定する。一方、伝搬時間差においても、256回分の処理を行った後、相関演算、伝搬時間,伝搬時間差の算出、温度補正等の演算を行い、最終的に被測定流体の流速、及び流量を算出する。従って、伝搬時間差法、並びパルスドップラー法における流量算出までの処理時間は、同程度のオーダーとなるので、例えば図7Bに示すような状態に成り得る。
【0071】
超音波流量計は、流量を測定・表示するが、流速も表示して、これを監視者等が参照して、異常がないかを判断している場合も少なくない。この為、上記の通り流速が頻繁に変動すると、異常が発生したと誤解する可能性がある。また、出力する流量値への影響も少なくない。
【0072】
本例では、この問題に対応する為に、以下の2通りを提案するが、この例に限るものではない。
第1の方法は、パルスドップラー方式から伝搬時間差方式に切り替わった場合に、一定時間t経過するまで又は測定回数nを実行するまでは伝搬時間差方式による測定を継続する方法である。上記t又はnの値は、例えばユーザ側で設定可能であり、予め任意に設定しておくものである。例えば、nとして20を設定すれば、伝搬時間差方式に切り替わった後、伝搬時間差方式による測定を20回連続して行った後、パルスドップラー方式に戻り、測定方式の切換を判定することになる。この様にして、両測定方式が短時間で頻繁に切り替わることを防止できる。たとえ図7Bに示すような状況であっても、計測結果は例えば図7Cに示すようになる。
【0073】
第2の方法は、パルスドップラー方式から伝搬時間差方式に切り替わる直前のパルスドップラー方式による流速の測定結果をv1とし、切り替え後の伝搬時間差方式による測定回数nまでの各流速測定結果をv2k(k;1〜nまでの整数であり、v2kは、k回目の流量測定結果を意味する)とした場合に、切り替え後の流速vを、伝搬時間差方式によって測定を行う毎に以下の式により算出するものである。
【0074】
v=(ak−1)v1+ak×v2k
(但し、nは上記第1の方法と同様に設定される測定回数であり、ak=(1/n)×kである)。
【0075】
上記算出式により、流速vの値は、v1に近い値から徐々に伝搬時間差方式による測定結果の値に近づいていくので、出力される流速値は、急激に変化することなく、例えば図7Dに示すように時間の経過と共に緩やかに変化することになる。
【0076】
そして、n回測定した時点で、パルスドップラー方式に切り換える。
上記第2の方法は、特に、v1とv2の差が大きい場合に有効である。
上記第1又は第2の方法により、測定方式の切換えによる出力の乱れを抑制することができる。
[0077]
最後に、上記測定線上の位置(チャンネル)について、図8に示しておく。
図8に示すCH1、CH2,CH3等が、上記測定線上の位置(チャンネル)に相当する。
本発明の超音波流量計、2方式併用型超音波流量計等によれば、パルスドップラー方式の超音波流量計において被測定流体の状態を判別することで、測定結果の確からしさを知ることができるようにし、更にパルスドップラー方式と伝搬時間差方式との併用型の超音波流量計を構成し、被測定流体の状態の判別結果に応じて、パルスドップラー方式を伝搬時間差方式に切り替えることで、パルスドップラー方式による高精度な測定を活かしつつ測定精度を悪化させずに流量測定することを可能にする。また、判別精度が高いので、適切なときに切換えが行われるようになる。
Claims (11)
- パルスドップラー式超音波流量計において、
各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラースペクトルに基づいて、前記エコー信号の強度を示すパワーを算出するパワー算出手段と、
各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラーシフト周波数とその平均値とに基づいて、その標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、
各チャンネル毎に、前記パワー又は/及び標準偏差をそれぞれ所定の閾値と比較することで、被測定流体の状態を判別する状態判別手段と、
を有することを特徴とするパルスドップラー式超音波流量計。 - パルスドップラー方式と伝搬時間差方式との併用型の超音波流量計であって、
通常時は、パルスドップラー方式を用いるものとし、
各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラースペクトルに基づいて、前記エコー信号の強度を示すパワーを算出するパワー算出手段と、
各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラーシフト周波数とその平均値とに基づいて、その標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、
各チャンネル毎に、前記パワー又は/及び標準偏差をそれぞれ所定の閾値と比較することで、被測定流体の状態を判別する状態判別手段と、
状態判別手段による判別結果に応じて一時的に伝搬時間差方式に切り換えるか否かを決定する切換手段と、
を有することを特徴とする2方式併用型超音波流量計。 - 前記状態判別手段は、前記各チャンネル毎に、測定精度が悪化しているか否かを判定するものであり、
前記切換手段は、前記状態判別手段によって測定精度が悪化していると判定されたチャンネルの数が、予め設定される割合以上であった場合は、測定方式を伝搬時間差方式に切り換えることを特徴とする請求項2記載の2方式併用型超音波流量計。 - 前記パワーは前記ドップラースペクトルを積分処理して得られる総パワー又は該総パワーを取込回数で除算した平均化パワーであることを特徴とする請求項2又は3記載の2方式併用型超音波流量計。
- 前記ドップラーシフト周波数とその平均値とに基づいて算出される標準偏差に代えて、該算出された標準偏差を前記ドップラーシフト周波数の平均値によって規格化した値を用いることを特徴とする請求項2又は3記載の2方式併用型超音波流量計。
- 標準偏差算出手段は、前記ドップラーシフト周波数とその平均値に代えて、ドップラーシフト位相角とその平均値を用いて、ドップラーシフト位相角の標準偏差を算出することを特徴とする請求項2又は3記載の2方式併用型超音波流量計。
- 前記閾値を設定・変更させる入力手段を更に有することを特徴とする請求項2記載の2方式併用型超音波流量計。
- 予め任意の測定回数又は測定時間を設定させ、
前記切換手段によって一時的に伝搬時間差方式に切り換えられた場合、該伝搬時間差方式による測定は、前記設定された測定回数又は測定時間分、行われることを特徴とする請求項2記載の2方式併用型超音波流量計。 - 前記切換手段によって一時的に伝搬時間差方式に切り換えられた場合、該伝搬時間差方式による測定結果を、該切換え直前のパルスドップラー方式による測定結果から緩やかに変化するように補正して出力することを特徴とする請求項2記載の2方式併用型超音波流量計。
- パルスドップラー式超音波流量計におけるコンピュータに、
各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラースペクトルに基づいて、前記エコー信号の強度を示すパワーを算出する機能と、
各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラーシフト周波数とその平均値とに基づいて、その標準偏差を算出する機能と、
各チャンネル毎に、前記パワー又は/及び標準偏差をそれぞれ所定の閾値と比較することで、被測定流体の状態を判別する機能と、
を実現させる為のプログラム。 - パルスドップラー方式と伝搬時間差方式との併用型の超音波流量計におけるコンピュータに、
通常時は、パルスドップラー方式を用いるものとし、
各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラースペクトルに基づいて、前記エコー信号の強度を示すパワーを算出する機能と、
各チャンネル毎に、計測したエコー信号に基づいて得られるドップラーシフト周波数とその平均値とに基づいて、その標準偏差を算出する機能と、
各チャンネル毎に、前記パワー又は/及び標準偏差をそれぞれ所定の閾値と比較することで、被測定流体の状態を判別する機能と、
状態判別手段による判別結果に応じて、伝搬時間差方式に切り換えるか否かを決定する機能と、
を実現させる為のプログラム。
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