JP2006194634A - ドップラ式超音波流量計、及びドップラ式超音波流量計における超音波振動子への送信電圧調整方法と配管内の流体の状態監視方法 - Google Patents

ドップラ式超音波流量計、及びドップラ式超音波流量計における超音波振動子への送信電圧調整方法と配管内の流体の状態監視方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 測定条件を最適に調整可能で、また、測定の際に被測定流体の状態を把握することが可能なドップラ式超音波流量計を提供すること。
【解決手段】 従来のドップラ式流量計に、ドップラ周波数のバラツキ度合いを示す標準偏差を演算する手段と、求められた標準偏差に基づいて流体に入射させる超音波パルスを生成する超音波振動子への送信電圧を変更する手段とを加えるように備えるように構成した。また、更に、送信電圧に対応するドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに取得・記憶し、該標準偏差の変化から流体の状態を監視する手段を備えるように構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、配管の外壁に超音波トランスデューサを設置し、配管の外側から配管内の流体へ超音波を入射させることで、流体中の浮遊粒子や気泡などから反射された超音波の周波数がドップラ効果により変化することから、測定流体の流速分布を測定し、測定流体の流量を時間依存で瞬時に測定するドップラ式超音波流量計やドップラ式測定方式を持つ全ての流量計に関する。
クランプオン型超音波流量計は、管状体の外周面の一部に装着し、その管状体の内部を移動する流体の流量を、管状体の外側から測定する流量計である。クランプオン型超音波流量計は、主に、伝搬時間差式とドップラ式に分類できる。伝搬時間差式は、超音波を管状体の内部を移動する流体を斜めに横切るような経路で往復させて、超音波が往路と復路のそれぞれを伝搬するのに要する時間の差から、流体の流量を測定する方法である。一方、ドップラ式は、流体中に含まれる浮遊粒子や気泡が、流体と同じ速度で移動すると仮定して、浮遊粒子などの移動速度から流体の流量を測定する方法である。浮遊粒子などの移動速度は、流体中に超音波を送信して、浮遊粒子などに反射された超音波の周波数がドップラ効果により変化することから、超音波の周波数を検出することにより測定する。特許文献1には、このようなドップラ式超音波流量計が開示されている。
以下、図8を参照して従来のドップラ式超音波流量計の構成を説明する。
ドップラ式超音波流量計10は、配管11内を流れる被計測流体12の流速を非接触で測定する超音波速度分布計測ユニット(以下、UVPユニットという。)13を備える。UVPユニット13は、被測定流体12に測定線ML(Measuring Line)に沿って所要周波数(基本周波数f0)の超音波パルスを送信させる超音波送信手段15と、被測定流体12に入射された超音波パルスの測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体12の流速分布を測定する流体速度分布測定手段16と、被測定流体12の流速分布に基づいて演算処理して半径方向の積分を行い、被測定流体12の流量を時間依存で求める流量演算手段としてのマイコン、CPU,MPU等のコンピュータ17と、このコンピュータ17からの出力を時系列的に表示可能な表示装置とを有する。
超音波送信手段15は、所要周波数、例えば1MHz、2MHz、4MHz等の基本周波数f0の電気信号を発生させる発振器(オッシレータ)20と、この発振器20からの電気信号を所定の時間間隔(1/Frpf)毎にパルス状に出力するエミッタ21(周波数Frpf)とからなる信号発生器22を備え、この信号発生器22から基本周波数f0のパルス電気信号が超音波トランデューサ23に入力される。超音波トランデューサ23はパルス電気信号の印加により基本周波数f0の超音波パルスが測定線MLに沿って発信せしめられる。超音波パルスは例えばパルス幅5mm程度で拡がりをほとんど持たない直進性のビームである。
超音波トランスデューサ23は送受信器を兼ねており、超音波トランスデューサ23は発信された超音波パルスが流体中の反射体に当たって反射される超音波エコーを受信するようになっている。反射体は被測定流体12中に一様に含まれる気泡であったり、Al(アルミニウム)の微粉末等のパーティクルであったり、または被測定流体12とは音響インピーダンスが異なる異物である。
超音波トランスデューサ23に受信された超音波エコーは、このトランデューサ23でエコー電気信号に変換される。このエコー電気信号は、増幅器24で増幅された後、AD変換器25を通ってデジタル化され、このデジタルエコー信号が流速分布計測回路26に入力される。流速分布計測回路26には、発振器20からの基本周波数f0の電気信号が入力され、両信号の周波数差からドップラシフトに基づく流速の変化を計測し、測定線MLに沿う測定領域の流速分布を算出している。測定領域の流速分布を傾斜角αで補正することで配管11の横断面における流速分布を計測することができる。
次に図9を参照して、図8に示した従来のドップラ式超音波流量計10の動作原理を説明する。
図9(a)に示すように、超音波トランスデューサ23を配管11の流れの鉛直方向に対し角度αだけ被測定体の流れ方向に傾けて設置した状態で、超音波トランスデューサ23から所要周波数f0の超音波パルスを入射させると、この超音波パルスは測定線ML上の被測定流体12に一様に分布する反射体に当たって反射し、図9(b)に示すように、超音波エコーaとなって超音波トランスデューサ23に戻される。尚、図9(b)において符号bは超音波パルス入射側の管壁で反射する多重反射エコーであり、符号cは、反対側管壁で反射する多重反射エコーである。超音波トランスデューサ23から発信される超音波パルスの発信間隔は1/Frpfである。
そして、超音波トランスデューサ23で発信したエコー信号をフィルタリング処理し、ドップラシフト法を利用して測定線MLに沿って流体速度分布測定手段16で測定することができる。
ドップラシフト法は、配管11内を流れる流体12中に超音波パルスを放射すると、流体12中に混在あるいは一様分布の反射体によって反射され、超音波エコーとなり、この超音波エコーの周波数が流速に比例した大きさだけ周波数シフトする原理を応用したものである。
また、超音波流体速度分布測定手段16で測定された被測定流体12の流速分布信号は流量演算手段としてのコンピュータ17に送られ、ここで径方向流速分布信号を配管11の半径方向に積分し、被測定流体12の流量を時間依存で求めることができる。この流体12の時間tにおける流量をm(t)とすると、(1)式で表すことができる。
(1)式から配管11を流れる時間tの流量m(t)は、次式に書き換えることができる。
このように従来のドップラ式超音波流量計では、流速分布に基づいて流量を求める。よって被測定流体12の流量を定常状態、非定常状態の如何を問わず、高精度で流量を計測するためには、測定流体の流速分布を精度良く測定する必要がある。前述の動作原理の説明からも分かるように、流速分布は反射体からの超音波エコーを信号処理して求められるため、超音波エコー信号中の音響的なノイズ及び電気的なノイズ等を排除し、超音波エコー信号に所望の音響信号のみが含まれるようにする必要がある。また、超音波エコー信号は、超音波振動子からの送信音圧、気泡、パーティクル等のトレーサからの反射音圧(トレーサでの反射率)、トレーサからの反射を計測する超音波振動子の受信感度、送受信器の電気的ノイズ、流体の流れに対するトレーサの追従性などの測定条件によっても影響を受けるため、これらの測定条件を考慮してより最適な条件下で流速分布を求める必要がある。
しかしながら従来装置には、超音波エコー信号中のノイズを排除したり、より最適な測定条件で測定したりするための手段、方法が無いという問題がある。また、実際の流体の測定では流体が流れる配管は透明な配管ではなく、金属配管や不透明な樹脂配管を用いていることが多く、配管内部の気泡やパーティクル等のトレーサの混入状態、すなわち流体の状態を把握する方法が無いという問題もある。
特開2000−97742号公報 「ドップラ式超音波流量計」
そこで本発明の課題は、上述の問題点に鑑み、測定条件を最適に調整可能なドップラ式超音波流量計を提供することであり、また、測定の際に被測定流体の状態を把握することの可能なドップラ式超音波流量計を提供することである。
上述した課題を解決するために、本発明では、従来のドップラ式流量計に加えて、ドップラ周波数のバラツキ度合いを示す標準偏差を演算する手段と、求められた標準偏差に基づいて、流体に入射させる超音波パルスを生成する超音波振動子への送信電圧を変更する手段とを備えるように構成した。また、更に、送信電圧に対応するドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに取得・記憶し、該標準偏差の変化から流体の状態を監視する手段を備えるように構成した。
本発明の一態様によれば、超音波送受信手段と、測定領域において測定流体に入射された超音波パルスの反射波である超音波エコーを受信し、測定領域における測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、測定流体の流速分布に基づいて半径方向の積分演算処理を行い測定流体の流量を求める流量演算手段とを備えるドップラ式超音波流量計において、ドップラ周波数の標準偏差を演算する標準偏差演算手段と、前記演算して求められたドップラ周波数の標準偏差に基づいて、前記超音波送受信手段内の超音波振動子への送信電圧を変更する送信電圧変更手段と、を備えることを特徴とする。これにより、ドップラ周波数の標準偏差が最も小さくなるように調整して測定することが可能となる。これはすなわち、超音波エコー信号中のノイズをできるだけ除去し、超音波エコー信号に与えられる様々な影響が最小になるように調整して測定をすることができることと同意である。よって測定精度を向上させることができる。
更に、本発明の一態様によれば、前記ドップラ式超音波流量計は、送信電圧に対応するドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに取得・記憶し、該標準偏差の変化から流体の状態を監視する、流体状態監視手段を備えることを特徴とする。これにより、流体内部のトレーサの混入状態を把握することが可能で、配管が金属や不透明な場合でも内部の流体の状態を把握することが可能である。またこれにより流体中のトレーサの混入状態が変わった場合などでも測定条件を最適な状態に調整するようにすることも可能である。
また、本発明の一態様によれば、超音波振動子を備える超音波送受信手段と、測定領域において測定流体に入射された超音波パルスの反射波である超音波エコーを受信し、測定領域における測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、測定流体の流速分布に基づいて半径方向の積分演算処理を行い測定流体の流量を求める流量演算手段とを備えるドップラ式超音波流量計における前記超音波振動子への送信電圧調整方法であって、ドップラ周波数の標準偏差を演算し、前記演算して求められたドップラ周波数の標準偏差に基づいて、前記超音波振動子への送信電圧を変更する、ことを特徴とする。これにより、ドップラ周波数の標準偏差が最も小さくなるように調整して測定することが可能となる。これはすなわち、超音波エコー信号中のノイズをできるだけ除去し、超音波エコー信号に与えられる様々な影響が最小になるように調整して測定をすることができることと同意である。
また、本発明の一態様によれば、超音波振動子を備える超音波送受信手段と、測定領域において測定流体に入射された超音波パルスの反射波である超音波エコーを受信し、測定領域における測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、測定流体の流速分布に基づいて半径方向の積分演算処理を行い測定流体の流量を求める流量演算手段とを備えるドップラ式超音波流量計を用いた配管内の流体の状態監視方法であって、前記超音波振動子への送信電圧に対応するドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに取得、記憶し、前記取得、記憶した標準偏差の変化から流体の状態を監視する、ことを特徴とする。これにより、流体内部のトレーサの混入状態を把握することが可能で、配管が金属や不透明な場合でも内部の流体の状態を把握することが可能である。また流体中のトレーサの混入状態が変わった場合などでも測定条件を最適な状態に調整するようにすることも可能である。
本発明によれば、ドップラ式超音波流量計において、ドップラ周波数の標準偏差を求め、該標準偏差に基づいて超音波振動子への送信電圧を調整することで測定条件を最適にし、測定精度を上げることが可能である。また、超音波振動子への送信電圧に対応するドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに測定、記憶し、その変化から流体の状態を監視することが可能で、配管が金属や不透明な場合でもその内部状態を把握することが可能である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明のドップラ式超音波流量計の原理構成図である。
本発明のドップラ式超音波流量計は、ドップラ周波数の標準偏差(分散)を求める標準偏差演算処理手段2と、該標準偏差演算手段2で求められた標準偏差に基づいてドップラ式超音波流量計内の超音波振動子への送信電圧を変更する送信電圧変更手段4と、ドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに取得、記憶し、その変化から流体の状態を監視する流体状態監視手段3とが、図1に示すように従来のドップラ式超音波流量計1に接続して構成される。
図2は、本発明の原理構成に基づいた実施例を示すものである。図2において、従来のドップラ式音波流量計と同一な部分については図8の符号と同一の符号を付してある。すなわち、すなわち、本発明の実施例は従来のドップラ式超音波流量計10に、送信電圧変更部100、標準偏差演算処理部200、流体状態監視部300、が加えられた構成をとる。図2において、送信電圧変更部100は、図1の送信電圧変更手段4に対応し、標準偏差演算処理部200は、図1の標準偏差演算処理手段2に対応し、流体状態監視部300は、流体状態監視手段3に対応する。送信電圧変更部100、標準偏差演算処理部200、流体状態監視部300は、ソフトウェアで実現され、MPU,CPUなどのコンピュータ17で実行される。送信電圧変更部100によって、送信電圧の制御命令が出力され、該命令がDAコンバータ400を用いて超音波を発振する信号発信機22に伝達され、送信電圧が段階的に変更される。
以下、コンピュータ17で実行される、標準偏差演算処理部200、送信電圧変更部100、流体状態監視部300について順に詳細に説明をする。
標準偏差演算処理部200では、ドップラ周波数の標準偏差(分散)を演算して求める処理を行う。以下、数式を用いて演算方法を説明する。
流体内の多数の微小な反射体、すなわち気泡やパーティクルなどのトレーサが流体と同じ速度で流れている場合、その観測領域の平均速度は(3)式のようにみなせる。
しかし、観測点で受信される反射波は、各反射体からの足し合わせとなり、様々な干渉を起こしたものでしか観測できず、各々の個数を独立に知ることはできない。そこで、確率的に分布する粒子からの反射波は、その振幅ではなくパワーが粒子数に比例することから(3)式を(4)式のように置き換える。
流速vdをドップラ周波数fd、個数NdをパワースペクトルP(fd)とすると、(5)式のようになる。
よって、流速vdは、配管中の流れの鉛直方向に超音波(周波数f)が角度θfをなすように入射する、とすると(6)式のように求められる。((6)式の導出方法は省略する。)
ところで、ドップラ周波数の分散(標準偏差)は(7)式で求められる。
これにより、上記計算方法に従えば、ドップラ周波数の分散(標準偏差)とパワースペクトルを演算可能である。よって、標準偏差演算処理部200は(7)式からドップラ周波数の標準偏差を演算する。
ところで、標準偏差の概念を具体例を用いて示しておく。図3(a)は、流速分布の測定例で、図2の流速分布測定回路16で取得される。この流速分布は、例えば平均化処理回数を128回としたときの平均値を表示している。流速分布の各測定点ごとに、トレーサの大きさや通過する頻度が異なるのでドップラ周波数のバラツキも各点で異なる。そこで図3(b)に、図3(a)の配管中心付近の一点のドップラ周波数とそのスペクトル分布を示す。このスペクトル分布も流速分布測定回路16で取得可能である。上述してきたドップラ周波数の分散(標準偏差)とは、図3(b)のスペクトルの標準偏差を演算したもので、パワースペクトルは図3(b)のスペクトルを積分したものである。
次に、標準偏差演算処理部200で演算して求められた標準偏差に基づいて送信電圧を制御する送信電圧変更部100の処理について説明する。
流量計において一定間隔で送信電圧を変更し流速分布を測定する。そして、図3(b)に示したようなスペクトル分布の結果から、標準偏差演算処理部200がドップラ周波数の分散(標準偏差)を演算する。(この標準偏差は、流速分布の各測定点から結果が得られるため例えば配管中心から配管壁までの平均値を求めてもよいし、特定のチャネル(配管の中心のみ)に着目し、その数値を用いるようにしてもよい。)そして、求めた分散(標準偏差)に基づいて送信電圧変更部100が超音波振動子への送信電圧を決定する。この一連の処理フローを図4に示すとともに、図5を用いてより具体的に説明する。
まず、図4のステップS41で送信電圧Vnを20Vに初期化する。次にステップS42で超音波振動子へ送信電圧Vnを送信する。そしてステップS43で標準偏差演算処理部200が上述の(7)式を用いてドップラ周波数の分散(標準偏差)σnを求める。求められた標準偏差は送信電圧変更部100に出力され、送信電圧変更部100は、送信電圧Vnとそれに対応する標準偏差を記憶する。ステップS44でVn=Vn+10とし、送信電圧Vnを10V増加させる。ここで送信電圧Vnが120V以上であればステップS46に進むが、それまではステップS42に戻り、送信電圧Vnに対応するドップラ周波数の分散(標準偏差)σnを求め、図5に示すようなリストを作成する(図5の左側の二列)。ステップS46では求められたリストにおいて、標準偏差の差分|σn−σn-1|を求める(図5の右側の一列)。ステップS47で求めた標準偏差の差分が小さいということは、すなわち標準偏差の変化が少ないということである。標準偏差の変化が少ないということは、測定条件が最適な状態に落ち着いていることと同意である。そこで、ある閾値を定めておき、該閾値よりも標準偏差の差分が小さくなる一番最初の電圧を、最低送信電圧とし(ステップS47)、ステップS48で送信電圧が該最低送信電圧以上になるように送信電圧を変更するようにDAコンバータ400に制御命令を伝達する。図5を例に説明するとすれば、標準偏差の差分の閾値を例えば0.02と定めると、最初に|σn−σn-1|が0.02よりも小さくなるのは60Vのときであるので、60Vを最低送信電圧とし、送信電圧が60V以上になるような制御命令が送信電圧変更部100からDAコンバータ400に伝達される。
尚、図4では、最低送信電圧を決定するのに、低い電圧から電圧を10Vずつ上げていき図5のリストを得るようにしたが、逆に高い電圧(例えば120Vくらいから)から出夏を10Vずつ下げていくようにする方法でも構わない。その場合の構成は上述の記載から容易に変形可能である。
最後に、流体状態監視部300について説明する。一般に、測定に十分なトレーサを含む流体において、送信電圧とドップラ周波数の分散(標準偏差)は、図6に示すような関係を示すことがわかっている。すなわち、図中の具体的な数値は配管の設置状態やトレーサの状態により異なるが、ある一定以上の送信電圧を加えても、ドップラ周波数の標準偏差は一定の値に収束し、変化しなくなる。これは、電圧が低い場合には、超音波振動子からの送信音圧、気泡からの反射音圧(気泡での反射率)、気泡からの反射を計測する超音波振動子の受信感度などに影響される送受信感度が、電気ノイズとのSN(Signal to Noise ratio)が悪く、ドップラ周波数のバラツキが大きくなるが、電圧が高い場合には、送受信感度と電気的ノイズとのSNが向上しドップラ周波数のバラツキが小さくなることから図6のような相関を持つと考えられる。収束していく標準偏差の値は、流れに対する気泡の追従性によるバラツキを示している。
従って、流体状態監視部300で送信電圧と標準偏差の相関を監視する処理を行うことによって、測定開始または測定中に測定条件が十分であるかを判断することが可能であり、また、測定中に流体中のトレーサの混入状態が変わるなどの流体の状態を把握することが可能となる。すなわち、測定開始前に、送信電圧を変化させたが、ドップラ周波数の標準偏差が図6のように一定の値に収束していかない場合には、流体にトレーサが十分に含まれていないことが推定可能であり、これにより測定条件が十分でないと判断できる。また、ある一定の送信電圧で測定している場合に標準偏差が変化したとすると、トレーサの混入状態が変化したことを推定することが可能で、この変化に対応してより最適な測定条件になるように送信電圧を調整することも可能となる。このように流体状態監視部300は、送信電圧とドップラ周波数の標準偏差の相関のみで流体の状態を把握できるため、配管が金属で目視では配管内部の流体の状態を確認できない場合などに非常に有効な手段となる。
以下、流体状態監視部300の処理フローを、図7を用いて説明する。
まず、ステップS71で、測定中か否かを判断する。測定開始前(N)である場合、ステップS72で送信電圧Vnを20Vに初期化し、ステップS73で送信電圧Vnを送信する。ステップS74で、標準偏差演算処理部200で演算された、送信電圧Vnに対応する標準偏差σnを記憶する。そしてステップS75でVn=Vn+10とし、送信電圧Vnを10V増加させる。ここで送信電圧Vnが120V以上であればステップS77に進むが、そうでなければステップS73に戻り、送信電圧Vnに対応するドップラ周波数の分散(標準偏差)σnを求め、それぞれ記憶する。そして、ステップS77では、記憶された送信電圧Vnと標準偏差σnの関係が、標準偏差が一定の値に収束しているか否かを判断する。一定の値に収束していれば(Y)、ステップS78に進み、測定条件は十分とし、ステップS79で前述の送信電圧変更部100の処理により測定感度が最適な送信電圧を設定し、測定に入る(ステップS80)。また、標準偏差が一定の値に収束していない(N)場合には、ステップS81で測定者などに測定条件が十分でない旨のアラートを表示装置18に出力するなどの処理を行う。
ステップS71で、測定中であると判断されると、ステップS82に進み、標準偏差演算処理部200から演算される標準偏差σnを一定時間間隔で記憶する。ステップS83で|σn−σn-1|を求め、この値が予め決められた閾値以上でなければステップS82に戻る。|σn−σn-1|が閾値以上であった場合、流体の状態が変化したと判断し(ステップS84)、ステップS85で流体状態の変化を表示装置18に表示するなどして測定者などに通知する、かつ/または前述送信電圧変更部100の処理により測定感度が最適な送信電圧を再設定するなどの処理を行う。
以上、標準偏差演算処理部200、送信電圧変更部100、流体状態監視部300について詳細に説明した。本発明によれば、従来のドップラ式流量計に、標準偏差演算処理部200、送信電圧変更部100、流体状態監視部300を加えることによって、測定感度を最適化することが可能で、測定精度を向上させることが可能である。また、配管内部を外部から目視できない場合などでも、送信電圧とドップラ周波数の標準偏差の相関から内部の流体の状態を監視することが可能である。
以上、本発明のドップラ式流量計について詳細に説明したが、本発明は以上に述べたことに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々の構成または形状をとることができることはいうまでもない。
本発明の原理構成を示す図である。 本発明の実施例を示す図である。 (a)は、流速分布の測定例を示す図である。
(b)は、図3(a)のある一点におけるドップラ周波数とそのスペクトル分布を示す図である。
送信電圧を変更する処理のフローを示す図である。 図4のフロー処理を説明するために用いる図である。 送信電圧と標準偏差の関係の一例を示す図である。 流体状態監視部の処理フローを示す図である。 従来のドップラ式超音波流量計を示す図である。 従来のドップラ式超音波流量計の動作原理を説明する図である。
符号の説明
1 ドップラ式超音波流量計
2 標準偏差演算処理手段
3 流体状態監視手段
4 送信電圧変更手段
10 ドップラ式超音波流量計
11 配管
12 被測定流体
13 超音波速度分布計測ユニット(UVPユニット)
15 超音波送信手段
16 流体速度分布測定手段
17 コンピュータ
18 表示装置
20 発振器
21 エミッタ
22 信号発生器
23 超音波トランスジューサ
24 増幅器
25 AD変換器
26 流速分布計測回路
100 送信電圧変更部
200 標準偏差演算処理部
300 流体状態監視部
400 DAコンバータ

Claims (7)

  1. 超音波送受信手段と、測定領域において測定流体に入射された超音波パルスの反射波である超音波エコーを受信し、測定領域における測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、測定流体の流速分布に基づいて半径方向の積分演算処理を行い測定流体の流量を求める流量演算手段とを備えるドップラ式超音波流量計において、
    ドップラ周波数の標準偏差を演算する標準偏差演算手段と、
    前記演算して求められたドップラ周波数の標準偏差に基づいて、前記超音波送受信手段内の超音波振動子への送信電圧を変更する送信電圧変更手段と、
    を備えることを特徴とするドップラ式超音波流量計。
  2. 送信電圧に対応するドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに取得・記憶し、該標準偏差の変化から流体の状態を監視する、流体状態監視手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のドップラ式超音波流量計。
  3. 配管内の流体へ超音波振動子を振動させて超音波を入射させ、流体中のトレーサから反射された超音波の周波数がドップラ効果により変化することに基づいて流体の計測を行うドップラ式測定方式を備える流量計において、
    ドップラ周波数の標準偏差を演算する標準偏差演算手段と、
    前記演算して求められたドップラ周波数の標準偏差に基づいて前記超音波振動子への送信電圧を変更する送信電圧変更手段と、
    を備えることを特徴とする流量計。
  4. 送信電圧に対応するドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに取得・記憶し、該標準偏差の変化から流体の状態を監視する、流体状態監視手段を更に備えることを特徴とする請求項3記載の流量計。
  5. 超音波振動子を備える超音波送受信手段と、測定領域において測定流体に入射された超音波パルス反射波である超音波エコーを受信し、測定領域における測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、測定流体の流速分布に基づいて半径方向の積分演算処理を行い測定流体の流量を求める流量演算手段とを備えるドップラ式超音波流量計における前記超音波振動子への送信電圧調整方法であって、
    ドップラ周波数の標準偏差を演算し、
    前記演算して求められたドップラ周波数の標準偏差に基づいて、前記超音波振動子への送信電圧を変更する、
    ことを特徴とする送信電圧調整方法。
  6. 超音波振動子を備える超音波送受信手段と、測定領域において測定流体に入射された超音波パルスの反射波である超音波エコーを受信し、測定領域における測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、測定流体の流速分布に基づいて半径方向の積分演算処理を行い測定流体の流量を求める流量演算手段とを備えるドップラ式超音波流量計を用いた配管内の流体の状態監視方法であって、
    前記超音波振動子への送信電圧に対応するドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに取得、記憶し、
    前記取得、記憶した標準偏差の変化から流体の状態を監視する、
    ことを特徴とする流体の状態監視方法。
  7. 配管内の流体へ超音波振動子を振動させて超音波を入射させ、流体中のトレーサから反射された超音波の周波数がドップラ効果により変化することに基づいて流体の計測を行うドップラ式測定方式を備える流量計を用いた配管内の流体の状態監視方法であって、
    前記超音波振動子への送信電圧に対応するドップラ周波数の標準偏差を一定時間ごとに取得、記憶し、
    前記測定、記憶した標準偏差の変化から流体の状態を監視する、
    ことを特徴とする流体の状態監視方法。
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