JP3648216B2 - ドップラ式超音波流量計、ドップラ式超音波流量計を用いた流量計測方法および流量計測用プログラム - Google Patents

ドップラ式超音波流量計、ドップラ式超音波流量計を用いた流量計測方法および流量計測用プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定領域の流速分布から被測定流体の流量を時間依存で瞬時に測定することが可能なドップラ式超音波流量計およびそれに関連する技術に関する。
【0002】
【先行技術】
特開2000−97742号では、非定常状態の流れであっても時間依存で正確に精度高く非接触で測定可能なドップラ式超音波流量計が開示されている。
ここで開示されるドップラ式超音波流量計は、以下のような構成をなす。すなわち、所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って被測定流体中に入射させる超音波送信手段と、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、上記被測定流体の流速分布に基づいて、積分演算を行う流量演算手段とを備えたものである。そして、流量演算手段は測定領域における被測定流体の流速分布に基づいて流量を計測する。
【0003】
このドップラ式超音波流量計は、配管内を流れる被測定流体の流速分布を測定し、時間的に変動する過渡時の流量を応答性に優れている。また、流体の流れが充分に発達していない箇所や流れが三次元になっている場所、例えばエルボ配管やU字状の反転配管のように曲げられた配管の直後でも、被測定流体の流量を効率的に精度よく瞬時に測定できる。それ以前に提供されていた超音波流量計と比較した場合、実験値や経験値などから割り出された「流量補正係数」がなくても正確な測定が可能であるという特徴があり、大きく評価されている。
【0004】
さて、上述のドップラ式超音波流量計は、最大で128カ所において超音波エコーを受信している。この数は、短時間に変化する流量を瞬時に演算して計測するという応答性を確保するというハードウエアの能力との関係で、決定されている。
一方、その超音波エコー測定点の間隔(以下、「チャンネルディスタンス」と記す)の最小値は、被測定流体中の超音波速度(Cw)を超音波パルスの基本周波数(f)の2倍で除した値となる。そのため、このドップラ式超音波流量計にて計測可能な最大距離は、最小チャンネルディスタンスの128倍となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、現在のドップラ式超音波流量計には、ハードウエア的に計測可能な範囲がある。また、被測定流体中の超音波速度(Cw)、超音波パルスの基本周波数(f)、超音波パルスの入射角度(α)などは、被測定流体の種類、配管の厚さや材質などによって、適切な測定を行うための設定値が異なる。
現在、これらの設定値を測定対象に合わせて適切な値を求めておく、といった予備的な測定を行うという方法が採用されることも多いが、適切な測定を行う準備にかかる手間がかかることとなり、「流量補正係数」がなくても正確な測定が可能である、という特性が充分に活かされない。
測定対象や計測可能な範囲に合わせてハードウエアの種類を備える、例えば管径の大小や最大流速の範囲に応じて複数種類のドップラ式超音波流量計を設計することも可能であるが、一種類でカバーできる範囲が広い方が望ましい。
【0006】
本願発明が解決しようとする課題は、測定対象に伴う変数に応じて測定可能な範囲を自動的に算出して使用可能なドップラ式超音波流量計およびそれに関連する技術を提供することにある。
請求項1から請求項5記載の発明の目的は、測定対象に伴う変数に応じて測定可能な範囲を自動的に算出して使用可能なドップラ式超音波流量計を提供することにある。
また、請求項6から請求項8記載の発明の目的は、ドップラ式超音波流量計を用いて、測定対象に伴う変数に応じて測定可能な範囲を自動的に算出して使用可能な測定方法を提供することにある。
また、請求項9から請求項11記載の発明の目的は、ドップラ式超音波流量計を用いて、測定対象に伴う変数に応じて測定可能な範囲を自動的に算出して使用可能な流量測定用プログラムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するための手段として、流速分布を瞬時に測定できる特性を活かし、測定可能な範囲をを自動的に算出してその適切な値を用いた測定を行わせることとした。 なお、そのその適切な値が存在する範囲は、本発明者が実験を繰り返して案出したものである。
【0008】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、発振周波数(f)の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ角度(α)にて入射させる超音波送信手段と、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された繰り返し周波数(fPRF)の超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計に係る。
その特徴は、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手段と、前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手段と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手段と、繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手段と、算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように発振周波数(f)を再設定する周波数設定手段とを備える。
そして、前記流体速度分布測定手段は、再設定された発振周波数(f)による超音波エコーを受信して流速分布を測定することとしたドップラ式超音波流量計である。
【0009】
(用語説明)
「流量演算手段」は、流量をm(t)とするとき、
【数1】
Figure 0003648216
の演算を行う手段である。
また、上記の式(1)から、流体配管を流れる時間tの流量m(t)は、次式に書き換えることができる。
【数2】
Figure 0003648216
【0010】
「データ入力手段」は、ドップラ式超音波流量計が計測したデータを自動入力する手段の他、ドップラ式超音波流量計のユーザがデータを入力する手段も含む。
発振周波数(f)は、例えば以下のようにして選択する。すなわち、設定する超音波パルスの半波長の整数倍と被測定流体が流れる流体配管の管厚とが等しくなる周波数を適切な周波数として自動的に選択する。流体配管の壁厚が超音波の基本周波数の半波長を整数倍したときに、超音波の透過特性が非常に高いことを知見したことに基づいている。
【0011】
(作用)
まず、超音波送信手段が、発振周波数(f)の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ角度(α)にて入射させる。被測定流体に入射された超音波パルスは、被測定流体中を流れる気泡や固形物などにぶつかると反射する。反射した超音波パルスのうち、測定領域から反射された繰り返し周波数(fPRF)の超音波エコーを受信する。
その上で、データ入力手段が流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力する。また、最大流速算出手段が前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する。そして、速度無次元数算出手段が算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出し、周波数無次元数算出手段が繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する。そこで算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たされるように、周波数設定手段が発振周波数(f)を再設定する。
超音波送信手段は、再設定された発振周波数(f)による超音波パルスを角度(α)にて入射させ、超音波エコーを受信して流速分布を測定する。
以上のようなドップラ式超音波流量計によれば、調整すべき発振周波数の適切な値を自動的に算出してからの測定が可能である。
【0012】
(請求項2)
請求項2記載の発明は、自動的に変更・決定するその適切な値を、超音波パルスの入射角度(α1)であるとした点が異なる。
すなわち、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手段と、前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手段と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手段と、繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手段と、算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように超音波の入射角度(α1)を再設定する入射角度設定手段とを備え、前記流体速度分布測定手段は、再設定された入射角度(α1)による超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定することとしたドップラ式超音波流量計に係る。
【0013】
(作用)
速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを算出するまでは、請求項1に記載のドップラ式超音波流量計と同様である。算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)との間に、
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たされるように、入射角度設定手段が入射角度(α1)を再設定する。
超音波送信手段は、発振周波数(f)による超音波パルスを、再設定された角度(α1)にて入射させ、超音波エコーを受信して流速分布を測定する。
以上のようなドップラ式超音波流量計によれば、調整すべき入射角度のその適切な値を自動的に算出してからの測定が可能である。
【0014】
(請求項3)
請求項3記載の発明は、自動的に変更・決定する最適値を、超音波の発振周波数(f)および入射角度(α1)であるとした点が異なる。
すなわち、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手段と、前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手段と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手段と、繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手段と、算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように超音波の発振周波数(f)および入射角度(α1)を再設定する超音波パルス再設定手段とを備え、前記流体速度分布測定手段は、再設定された超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定することとしたドップラ式超音波流量計に係る。
【0015】
(作用)
速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを算出するまでは、請求項1および請求項2に記載のドップラ式超音波流量計と同様である。算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)との間に、
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たされるように、超音波パルス再設定手段が発振周波数(f)および入射角度(α1)を同時に再設定する。
以上のようなドップラ式超音波流量計によれば、調整すべき発振周波数および入射角度のその適切な値を自動的に算出してからの測定が可能である。
【0016】
(請求項4)
請求項4記載の発明は、請求項1または請求項3のいずれかに記載のドップラ式超音波流量計を限定したものである。
すなわち、超音波トランスジューサは、第一トランスジューサと、その第一トランスジューサとは流体配管の軸方向に離間させて設置される第二トランスジューサと、第一トランスジューサおよび第二トランスジューサとを相対的に移動させるトランスジューサ移動機構とを備え、前記トランスジューサ移動機構は、第一トランスジューサおよび第二トランスジューサとが発振する超音波パルスが流体配管内の測定領域にて直交するように移動させることとしたドップラ式超音波流量計に係る。
【0017】
(作用)
第一トランスジューサと、それとは流体配管の軸方向に離間させて第二トランスジューサとが設置される。トランスジューサ移動機構は、第一トランスジューサおよび第二トランスジューサとが発振する超音波パルスが流体配管内の測定領域にて直交するように移動させることができる。そのため、二つのトランスジューサの適切な位置へ設置し、その適切な超音波パルスを発振できる。
流体配管の軸方向に離間させ、発振パルスが直交するように位置した二つのトランスジューサによれば、流体配管の軸方向に平行でない流れが存在していても、より正確な速度分布を算出することができる。
【0018】
(請求項5)
請求項5記載の発明は、請求項4記載のドップラ式超音波流量計を限定したものである。
すなわち、第一トランスジューサおよび第二トランスジューサから発振された超音波パルスの流体配管内の測定領域から反射波である超音波エコーをそれぞれ受信する第一反射波レシーバおよび第二反射波レシーバと、第一反射波レシーバおよび第二反射波レシーバにて受信された超音波エコーの強度から超音波測定線の方向の速度ベクトルをそれぞれ算出する速度ベクトル算出手段と、その速度ベクトル算出手段にて算出されたそれぞれの速度ベクトルのベクトル和から被測定流体の流速ベクトルを算出する流速ベクトル算出手段とを備え、流体速度分布測定手段は、前記流速ベクトルを用いて流速分布を測定し、流量演算手段は、当該流速分布を用いて被測定流体の流量を演算することとしたドップラ式超音波流量計に係る。
換言すれば、請求項4記載のドップラ式超音波流量計の構成要件に加え、第一トランスジューサおよび第二トランスジューサとが発振する超音波パルスによる超音波エコーから、より正確な速度分布や流量を算出するために、一旦流速ベクトルを算出する流速ベクトル算出手段などを備えているのである。
【0019】
(作用)
第一反射波レシーバおよび第二反射波レシーバは、第一トランスジューサおよび第二トランスジューサから発振された超音波パルスの流体配管内の測定領域から反射波である超音波エコーをそれぞれ受信する。続いて、速度ベクトル算出手段が、第一反射波レシーバおよび第二反射波レシーバにて受信された超音波エコーの強度から超音波測定線の方向の速度ベクトルをそれぞれ算出する。そして、算出されたそれぞれの速度ベクトルのベクトル和から、流速ベクトル算出手段が被測定流体の流速ベクトルを算出する。
流体速度分布測定手段は、前記流速ベクトルを用いて流速分布を測定し、流量演算手段は、当該流速分布を用いて被測定流体の流量を演算する。
【0020】
(請求項6)
請求項6記載の発明は、所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測方法である。
すなわち、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V0)を算出する速度無次元数算出手順と、繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように発振周波数(f)を再設定する周波数設定手順と、前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された発振周波数(f)による超音波エコーを受信して流速分布を測定させる流速分布再測定手順とを備えた流量計測方法である。
【0021】
(請求項7)
請求項7記載の発明もまた、所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測方法に係る。
速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)を算出するまでは、請求項6記載の発明と同様であり、
算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように超音波の入射角度(α1)を再設定する入射角度設定手順と、前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された入射角度(α1)による超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定する流速分布再測定手順を備えた流量計測方法である。
【0022】
(請求項8)
請求項8記載の発明もまた、所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測方法に係る。
速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)を算出するまでは、請求項6および請求項7記載の発明と同様であり、
算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように超音波の発振周波数(f)および入射角度(α1)を再設定する超音波パルス再設定手順と、前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定する流速分布再測定手順とを備えた流量計測方法である。
【0023】
(請求項9)
請求項9記載の発明は、所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測用プログラムに係る。
そのプログラムは、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手順と、繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f0)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように発振周波数(f)を再設定する周波数設定手順と、前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された発振周波数(f)による超音波エコーを受信して流速分布を測定させる流速分布再測定手順とをコンピュータに実行させるための流量計測用プログラムである。
【0024】
(請求項10)
請求項10記載の発明もまた、所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測用プログラムに係る。
そのプログラムは、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手順と、繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように超音波の入射角度(α1)を再設定する入射角度設定手順と、前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された入射角度(α1)による超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定する流速分布再測定手順とをコンピュータに実行させるための流量計測用プログラムである。
【0025】
(請求項11)
請求項11記載の発明もまた、所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測用プログラムに係る。
そのプログラムは、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手順と、繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、算出された速度無次元数()と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように超音波の発振周波数(f)および入射角度(α1)を再設定する超音波パルス再設定手順と、前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定する流速分布再測定手順とをコンピュータに実行させるための流量計測用プログラムである。
【0026】
請求項9から請求項11に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、DVD−ROM、PDなどである。
また、これらの発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他のコンピュータへ伝送することも可能である。
なお、汎用的なコンピュータを備えたドップラ式超音波流量計に対して、上記のような各手段を達成可能であるようなプログラムをプリインストール、あるいはダウンロードすることで、請求項1等に係る機能を備えたドップラ式超音波流量計を形成することも可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係るドップラ式超音波流量計の実施の形態について、添付図面を参照させながら説明する。ここで使用する図面は、図1ないし図13である。図1から図3は、本願発明に係る実施形態の構成を示す概念図である。図4から図6は、本願発明の中核をなす構成の具体的画面出力を示す図である。図7から図15は、具体的なハードウエア構成、測定原理、実験例などを説明するための図である。
【0028】
(図1)
図1には、本実施形態に係るドップラ式超音波流量計、そのドップラ式超音波流量計に対して設定値の適切化を行うための最適化演算装置を図示している。
ドップラ式超音波流量計は、所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計である。
【0029】
このドップラ式超音波流量計には、被測定流体が流れる流体配管の管壁に対して共鳴的透過現象を生じさせる基本周波数たる適切な周波数を自動的に設定するという機能を備えた周波数選択設定手段も備えている。適切な周波数の設定手法については、後述する。
また、超音波トランスジューサは、超音波エコーを受信する機能も兼ね備えているが、図中では、「エコー受信手段」として便宜上、別に図示している。
なお、流量演算手段における演算手法は、式(1),式(2)にて示しているので、省略する。
【0030】
最適化演算装置は、以下のような構成をなしている。すなわち、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手段と、前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手段と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手段と、繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手段と、算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たすように発振周波数(f)を再設定する周波数設定手段とを備えている。そして、前記流体速度分布測定手段は、再設定されたされた発振周波数(f)を用いて流速分布を測定するのである。
【0031】
以下、ドップラ式超音波流量計の作動について、図1に基づいて説明する。
まず、超音波送信手段が、発振周波数(f)の超音波パルス(1)を超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ角度(α)にて入射させる。被測定流体に入射された超音波パルスは、被測定流体中を流れる気泡や固形物などにぶつかると反射する。反射した超音波パルスのうち、測定領域から反射された繰り返し周波数(fPRF)の超音波エコー(1)を、エコー受信手段が受信する。
【0032】
その上で、データ入力手段が流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力する。また、最大流速算出手段が前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する。そして、速度無次元数算出手段が算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出し、周波数無次元数算出手段が繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する。そこで算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たされるように、周波数設定手段が発振周波数(f)を再設定する。
超音波送信手段は、再設定された発振周波数(f)による超音波パルス(2)を角度(α)にて入射させ、超音波エコー(2)を受信して流速分布を測定する。このようなドップラ式超音波流量計によれば、調整すべき発振周波数の適切な値を自動的に算出してからの測定が可能である。
【0033】
(図2)
続いて、図2について、図1との相違点を説明する。
図2に示す実施形態は、自動的に変更・決定する適切な値を発振周波数ではなく、超音波パルスの入射角度(α1)であるとした点が異なる。すなわち、周波数設定手段に代わりに、入射角設定手段を備えている。
そして、速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たされるように、入射角設定手段が入射角度(α1)を再設定する。
超音波送信手段は、発振周波数(f)による超音波パルス(2)を入射角度(α1)にて入射させ、超音波エコー(2)を受信して流速分布を測定する。このようなドップラ式超音波流量計によれば、調整すべき入射角度の適切な値を自動的に算出してからの測定が可能である。
【0034】
(図3)
続いて、図3についても、図1との相違点を説明する。
図3に示す実施形態は、自動的に変更・決定する適切な値を発振周波数のみではなく、超音波パルスの入射角度(α1)も同時に再設定することととした点が異なる。すなわち、周波数設定手段に代わりに、超音波パルス設定手段を備えている。
そして、速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
≧4V・sinα および fPRF≦Cw/2Di
を満たされるように、超音波パルス設定手段が発振周波数(f)および入射角度(α1)を再設定する。
超音波送信手段は、再設定された発振周波数(f)による超音波パルス(2)を入射角度(α1)にて入射させ、超音波エコー(2)を受信して流速分布を測定する。このようなドップラ式超音波流量計によれば、調整すべき発振周波数および入射角度の最適値を自動的に算出してからの測定が可能である。
【0035】
(図4)
図4では、横軸に速度無次元数V*を、縦軸に周波数無次元数F*を設定し、測定の適切化が可能な領域と、測定の適切化ができない領域とを図示したものである。すなわち、F*≧4V・sinαの領域、図中では左上の領域では、測定の適切化、すなわち測定可能な範囲に入れることが可能である。
【0036】
(図5)
図5では、横軸にCw/Diの対数を、縦軸に繰り返し周波数(fPRF)の対数を設定し、測定の最適化が可能な領域と、測定の最適化ができない領域とを図示したものである。すなわち、fPRF≦Cw/2Diの領域、図中では右下の領域では、測定の適切化が可能である。
【0037】
(図6)
図6は、代表的な配管の種類とその領域に関して、測定の適切化が可能な領域と、測定の適切化ができない領域とを図示したものである。図6に示された出力をユーザが閲覧できたり、予め印刷したりしておけば、測定の適切化が可能な条件での流量測定か否か、ユーザにとって目安となる。
【0038】
なお、図示は省略するが、ユーザによる選択と自動選択との二種類を用意したドップラ式超音波流量計を提供することも可能である。そのような実施形態の場合、再設定可能なデータについてユーザに対して出力するとともに、その出力データをその場で変更設定できるようにする。更に、ユーザが選択しない場合には自動的に変更・決定できる、といったメニューを用意しておくことができる。
【0039】
(ドップラ式超音波流量計)
以下、ドップラ式超音波流量計について、図7から図14を用いて詳細に説明する。
図7に示すドップラ式超音波流量計10は、流体配管11内を流れる被測定流体12(液体や気体)の流速分布を測定し、流量を時間依存で瞬時に測定できるものであり、配管11内を流れる被測定流体12の流速を非接触で測定する超音波速度分布計測ユニット(以下、Udflowユニットという。)13を備える。Udflowユニット13は、被測定流体12に測定線MLに沿って所要周波数(基本周波数f)の超音波パルスを送信させる超音波送信手段15と、被測定流体12に入射された超音波パルスの測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体12の流速分布を測定する流体速度分布測定手段16と、被測定流体12の流速分布に基づいて演算処理して半径方向の積分を行い、被測定流体12の流量を時間依存で求める流量演算手段としてのマイコン、CPU、MPU等のコンピュータ17と、このコンピュータ17からの出力を時系列的に表示可能な表示装置18と、流体配管11内を流れる被測定流体12の適切な周波数である超音波を自動的に選定する周波数選択設定手段19とを有する。
【0040】
超音波送信手段15は、所要周波数の超音波パルスを発振させる超音波トランスジューサ20と、この超音波トランスジューサ20を加振させる信号発生器としての加振用アンプ21とを有する。加振用アンプ21は、所要の基本周波数fの電気信号を発生させる発振器(オッシレータ)23と、この発振器23からの電気信号を所定の時間間隔(1/Frpf)ごとにパルス状に出力するエミッタ24(周波数Frpf)とを備えている。そして、この信号発生器である加振用アンプ21から所要の基本周波数fのパルス電気信号が超音波トランスジューサ20へ入力される。
【0041】
超音波トランスジューサ20は、パルス電気信号の印加により基本周波数fの超音波パルスが測定線MLに沿って発振せしめられる。超音波パルスは、例えばパルス幅5mm程度で拡がりをほとんど持たない直進性のビームである。
超音波トランスジューサ20は送受信器を兼ねており、超音波トランスジューサ20は発振された超音波パルスが流体中の反射体に当って反射される超音波エコーを受信するようになっている。ここで反射体とは、被測定流体12中に一様に含まれる気泡であったり、アルミニウムの微粉末等のパーティクルであったり、または被測定流体12とは音響インピーダンスが異なる異物である。
【0042】
超音波トランスジューサ20に受信された超音波エコーは、反射波レシーバー27にて受信され、その反射波レシーバー27にてエコー電気信号へ変換される。このエコー電気信号は、増幅器28で増幅された後、AD変換器29を通ってデジタル化される。そして、デジタル化されたデジタルエコー信号が流速分布計測回路26に入力される。
流速分布計測回路30には、発振用アンプ21からの基本周波数fの電気信号がデジタル化されて入力され、両信号の周波数差からドップラシフトに基づく流速の変化を計測し、測定線MLに沿う測定領域の流速分布を算出している。測定領域の流速分布を傾斜角αで較正することによって、流体配管11の横断面における流速分布を計測することができる。
【0043】
さて、流体配管11が金属製である場合のその壁厚が超音波の基本周波数fの1/2あるいはその整数倍である場合に、超音波の透過特性が非常に高いことが知見された。そこで、この知見に基づき、超音波トランスジューサ20から発振される超音波パルスの基本周波数fは、流体配管11の壁厚に対して共鳴的透過現象を生じさせる適切な値が自由且つ自動的に選択されるように、周波数選択設定手段19を構成している。
この周波数選択設定手段19は、前述した加振用アンプ21と、その加振用アンプ21の発振周波数を変動させて調整設定可能とする発振周波数可変装置31と、この発振周波数可変装置31に予めユーザが指定した範囲内(例えば、200kHz〜4MHzの周波数領域内)で発振周波数可変装置31を動作させる基本周波数領域設定手段32と、流体配管11内の測定領域から反射される超音波エコーを受信する反射波レシーバ27と、受信した超音波エコー信号を増幅および撹拌する増幅器28と、その増幅器28で撹拌された超音波エコー信号の強度を抽出して記憶する反射波強度抽出手段33と、この反射波強度抽出手段33にて抽出されて記憶された反射強度(超音波エコー強度)を表示させる反射波強度表示機能を備えた表示装置18とを備える。
【0044】
このように構成された周波数選択設定手段19は、反射波強度抽出手段33、発振周波数可変装置31などの協働作用により、流体配管11の壁厚に対して共鳴的透過現象を生じさせる適切な周波数を設定する。設定された適切な周波数は、発振周波数可変装置31からの出力信号によって発振アンプの発振周波数を決定して超音波トランスジューサ20を加振させる。そして、適切な周波数である基本周波数fの超音波パルスが超音波トランスジューサ20から流体配管11内へ発振される。
適切な周波数の超音波パルスが超音波トランスジューサ20から発振されるので、充分な反射波S/N比を確保することができ、反射波である超音波エコー信号を大きく取ることができる。すなわち、共鳴的透過現象を生じさせる超音波パルスが発振されるので、流体配管11の透過率が非常に高く、充分な反射波強度を得ることができる。
【0045】
なお、超音波トランスジューサ20から発振される超音波を流体配管11内へスムーズに発振させるため、超音波トランスジューサ20と流体配管11との間には、ゼリー状の接触媒体35を介在させる。
また、反射波を反射波レシーバ27にて受けるとして前述したが、超音波トランスジューサ20に受信機能を内蔵させて代用させることも可能である。
【0046】
次に、図8を参照させながら、ドップラ式超音波流量計10の作動原理を説明する。
図8(A)に示すように、超音波トランスジューサ20を配管11の放射方向に対し角度αだけ被測定体の流れ方向に傾けて設置した状態で、超音波トランスジューサ20から所要周波数fの超音波パルスを入射させると、この超音波パルスは測定線ML上の被測定流体12に一様に分布する反射体に当って反射し、図8(B)に示すように、超音波エコーaとなって超音波トランスジューサ20に戻される。
ここで、図8(B)における符号bは、超音波パルス入射側の管壁で反射する多重反射エコーである。また符号cは、反対側管壁で反射する多重反射エコーである。超音波トランスジューサ20から発振される超音波パルスの発振間隔は1/Frpfである。
超音波トランスジューサ20で受信したエコー信号をフィルタリング処理し、ドップラシフト法を利用して測定線MLに沿って流速分布を計測すると、図8(C)のように表示される。この流速分布は、Udflowユニット13の流体速度分布測定手段16で測定することができる。
【0047】
ここで「ドップラシフト法」とは、配管11内を流れる流体12中に超音波パルスを放射すると、流体12中に混在あるいは一様分布の反射体(例えば気泡)によって反射されて超音波エコーとなり、この超音波エコーの周波数が流速に比例した大きさだけ周波数シフトする原理を応用し、流速を測定する方法である。超音波流体速度分布測定手段16で測定された被測定流体12の流速分布信号は、流量演算手段としてのコンピュータ17に送られ、ここで流速分布信号を配管11の半径方向に積分し、被測定流体12の流量を時間依存で求めることができる。その流量計算の式については、前述した式(1),式(2)であるので、繰り返しての説明は省略する。
【0048】
なお、式(2)により、本実施形態によるドップラ式超音波流量計10は、被測定流体12の流れの空間分布を瞬時、例えば50msec〜100msec程度の応答速度にて得ることができる。被測定流体12は配管(円管)11内の流れであっても、充分な助走区間をとれない場合や、弁の開閉やポンプの起動・停止などで時間的な揺らぎが存在する場合には、流体の流れは非定常状態で三次元分布をもっているが、このドップラ式超音波流量計10は、測定領域の流速分布を時間依存で瞬時に求めることができるので、被測定流体12の流量を定常状態、非定常状態如何を問わず、正確に精度よく求めることができる。
【0049】
(透過特性の確認実験)
本実施形態によるドップラ式超音波流量計10を用いて、超音波トランスジューサ20から発振される超音波の透過特性の確認実験を行った。
このドップラ式超音波流量計10は、周波数選択設定手段19によって超音波トランスジューサ20から発振される超音波の基本周波数を、200kHzから数MHz(例えば、2MHz)まで、5kHz刻みに自動的に調整設定できるものである。
超音波の壁面透過試験は、250mm径のアクリル配管の一部にステンレス鋼を埋め込み、このステンレス鋼の壁外部へ超音波トランスジューサ20を設置する。そして、基本周波数を変化させながら超音波を入射し、アクリル配管の対抗側壁面からの超音波の反射強度を調べた。
【0050】
(図9)
超音波の壁面透過実験では、ステンレス鋼の壁厚が9.5mm、11.5mm、13.0mmの三種類を用意した。また、超音波トランスジューサ20から発振される超音波の基本周波数は、0.25kHz、0.5kHzおよび1MHzの三種類とした。図9は、9.5mmのステンレス鋼による超音波の壁面透過実験の例を示している。横軸は超音波の基本周波数fであり、縦軸は対抗壁からの超音波の反射強度である。図9中、反射波の透過強度曲線を、0.25kHzがh,0.5kHzがi,1MHzがjにて示している。
さて、図9における上向き矢印l,m,nは、超音波の発振周波数の波長と、ステンレス鋼の壁厚との関係を示すものである。すなわち、波長の低い方からステンレス鋼の壁厚の1/2倍、等倍、3/2倍の周波数位置を示している。
図9からは、例えば1MHzの超音波を選択して超音波トランスジューサ20を使用する場合、ステンレス鋼の配管壁厚に合わせて、基本周波数を約910kHzに設定すると、超音波の透過特性が良好であることが把握できる。周波数の透過強度曲線jは、矢印nの位置で反射波の透過強度が高いことが把握できる。
【0051】
(図10)
壁厚9.5mm、内径150mmの炭素鋼による流体配管を用意し、1MHzの超音波を選択して超音波トランスジューサ20を使用し、周波数選択設定装置19によって超音波トランスジューサ20から発振される基本周波数fが910kHzとなるように設定し、被測定流体の流速分布を測定した。図10は、その測定実験で得られた被測定流体の時間平均流速分布の結果を示したものである。
被測定流体の流速分布の計測点は、流体配管における管中心部から手前側(0〜60mmの範囲)では、壁内部における超音波の反射のために、充分な流速分布を得るのが困難であったため、被測定流体12の流速分布に対して壁面の影響が表れにくかった、60〜150mmの範囲とした。そして、比較的スムーズな平均流速分布曲線(図中O)を得た。
この平均流速分布曲線Oから、平均流速分布を流体配管11内で積分することによって、流体配管11内を流れる被測定流体12の流量を精度よく、被接触状態にて測定することができる。
【0052】
(図11)
図11は、図7に示したドップラ式超音波流量計のバリエーションであり、ドップラ式超音波流量計10Aと記す。
流体配管11内に入射する超音波パルスの適切な周波数を選定する代わりに、反射波のS/N比を向上させる方法として、理論的には流体配管11の壁厚を変化させて共鳴的透過現象を生じさせる、という方法が考えられる。しかし現実的には、流体配管11の壁厚を変化させる方法は不可能である。そこで、流体配管11の壁厚を変化させるのと均等な手段として、流体配管11に対する超音波トランスジューサ20の取り付け角度を変化させる機構を備えたものである。すなわち、超音波トランスジューサ20の入射角度αを調整設定し、流体配管11の壁厚に適合する超音波の入射角度を自動的に選定できる入射角調整設定手段40を備え、ドップラ式超音波流量計10にて備えられていた周波数選定設定手段19を省略している。ここで、超音波トランスジューサ20から発振される超音波の入射角度αは、流体配管11の管表面の垂直線あるいは垂直面との間に形成される角度である。
【0053】
入射角調整設定手段40は、流体配管11に対して外側から取り付け角度を調節自在とした超音波トランスジューサ20と、この超音波トランスジューサ20から発振される超音波パルスの入射角度αを調整設定可能な入射角変換機構41と、予め指定された入射角の範囲(例えば、5〜45度)内で、入射角変換機構41を動作させる入射角領域設定手段43と、反射される超音波エコーを受信してその強度を抽出して記憶する反射波強度抽出手段44とを備えている。その反射波強度抽出手段44で抽出、記憶された超音波エコー強度は、反射波強度表示機能を備えた表示装置18にて表示する。
【0054】
この入射角調整設定手段40は、入射角変換機構41によって流体配管11に対する超音波トランスジューサ20の取り付け角度を変化させ、超音波の入射角度αを約5〜45度の範囲で変化させることができる。具体的には、図11にて図示するように、入射角変換機構41から出力される出力信号によってステッピングモータ46を駆動させ、そのステッピングモータ46によって取付角度調整機構を駆動させることによって達成する。
【0055】
超音波トランスジューサ20から発振される超音波パルスの入射角度αは、流体配管11の壁厚に対して共鳴的透過現象を生じる適切な角度として、入射角調整設定手段40にて設定される。超音波パルスの周波数を変えることなく、壁厚を物理的に変化させて共鳴的透過現象が生じるようにしていることと同じである。共鳴的透過現象が生じる超音波パルスが入射され、十分な反射波S/N比を確保できるので、超音波エコーが反射し、被測定流体12の流速分布および流量を正確に精度よく測定できる。
【0056】
なお、前述した入射角調整設定手段40の機能、すなわち、超音波の入射角度を変化させることができる機能を内蔵した超音波トランスジューサ20を製作して採用することも、当然可能である。
ところで、前述した入射角調整設定手段40は、同じく前述した周波数選定設定手段19の代わりに設けるとして説明したが、両手段40,19を組み合わせて備えることも、当然可能である。その場合、適切な入射角度および適切な周波数を自動的に選択し、設定することとなる。例えば、流速が非常に速い場合において入射角度が大きいと超音波エコーを受信しにくくなるおそれがある。そのような場合には、入射角度を小さく設定し、最適周波数の調整を優先するのである。
【0057】
図7から図11において示したドップラ式超音波流量計10,10Aは、測定線MLに依存した測定方法であるから、測定線MLの数を増やすことが面測定に近付け、測定精度を向上させることに直結する。そこで、N個の超音波トランスジューサ20を流体配管11の周方向に、所定間隔毎に設置する。また、全ての超音波トランスジューサ20の測定線MLを、管壁への垂線に対し角度α傾斜させるとともに、流体配管11の軸線と交差するように設置するのが望ましい。
【0058】
さて、配管11内を流れる被測定流体12の流れが、管軸方向の流れで半径方向や角度θの流れvr,vθを無視できるとすると、vx>>vr=vθとなり、流量計測は簡素化され、次式で表わされる。
【数3】
Figure 0003648216
このように、求められた被測定流体12の流量は、表示装置18により時間依存で瞬時に表示することができる。この表示装置18には、被測定流体12の配管11内の測定線MLに沿う流速分布あるいは配管横断面における流速分布を表示することもできる。
【0059】
図12から図14に示すドップラ式超音波流量計10Bは、被測定流体12の流れが流体配管11に対して平行でない場合、例えば流体配管11内で旋回流が生じているような場合であっても、正確な流速、流量を算出することができるようにするためのものである。例えば、図13において示す速度ベクトルV3は、流体配管11に対して平行ではない。この速度ベクトルV3による流速を算出しようとしたとする。すなわち、この速度ベクトルV3に沿って流れている気泡に超音波が反射し、その超音波反射エコーを超音波トランスジューサ20のみが受信したとする。すると、速度ベクトルV3は、流体配管11に対して平行な速度ベクトルV1として算出されてしまい、実際の流速よりも大きくなってしまう。
【0060】
そこで、超音波トランスジューサは、これまでと同様に設置する超音波トランスジューサ20と、その超音波トランスジューサ20とは流体配管11の軸方向に離間させて設置される第二の超音波トランスジューサ20aとの組合せとするのである。超音波トランスジューサ20および第二の超音波トランスジューサ20aとは、それぞれの発振する超音波パルスが流体配管内の測定領域にて直交するような位置に設置することとしている。
第二の超音波トランスジューサ20aは、速度ベクトルV2、V4、V5を求めることができるので、速度ベクトルV1との関係から、本来の速度ベクトルV3を算出できる。
【0061】
なお、図14において、この実施形態に係る超音波トランスジューサの構成について説明している。すなわち、第一の超音波トランスジューサ20および第二の超音波トランスジューサ20aと、それらトランスジューサ20,20aを相対的に移動させるトランスジューサ移動機構46とを備えている。そして、そのトランスジューサ移動機構46は、第一トランスジューサ20および第二トランスジューサ20aとが発振する超音波パルスが流体配管内の測定領域にて直交するように移動させる構造を備えているのである。
トランスジューサ20,20aには、それぞれ反射波レシーバ27,27aと、速度ベクトル算出手段47,47aとが備えられており、流速ベクトル算出手段48が速度ベクトル算出手段47,47aに基づいて算出される速度ベクトルのベクトル和から、最終的な速度ベクトルV3を算出する。
【0062】
図12から図14に示すドップラ式超音波流量計10Bによれば、被測定流体12の流れ方向が流体配管11に対して平行でない場合であっても、その流れ方向をベクトル演算し、正確な流速、流量を算出することができる。
なお、第一の超音波トランスジューサ20および第二の超音波トランスジューサ20aを一組としたこのドップラ式超音波流量計10Bを、流体配管11の管周方向に複数位置させて組み合わせれば、より正確な流速、流量を算出することができる。
【0063】
【発明の効果】
請求項1から請求項5記載の発明によれば、測定対象に伴う変数に応じて調整すべき適切な値を自動的に算出して使用可能なドップラ式超音波流量計を提供することができた。
また、請求項6から請求項8記載の発明によれば、ドップラ式超音波流量計を用いて、測定対象に伴う変数に応じて調整すべき適切な値を自動的に算出して使用可能な測定方法を提供することができた。
また、請求項9から請求項11記載の発明によれば、ドップラ式超音波流量計を用いて、測定対象に伴う変数に応じて調整すべき適切な値を自動的に算出して使用可能な流量測定用プログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の構成を示す概念図である。
【図2】実施形態の構成を示す概念図である。
【図3】実施形態の構成を示す概念図である。
【図4】横軸に速度無次元数V*を、縦軸に周波数無次元数F*を設定し、測定の適切化が可能な領域と、測定の適切化ができない領域とを図示したものである。
【図5】横軸にCw/Diの対数を、縦軸に繰り返し周波数(fPRF)の対数を設定し、測定の適切化が可能な領域と、測定の適切化ができない領域とを図示したものである。
【図6】代表的な配管の種類とその領域に関して、測定の適切化が可能な領域と、測定の適切化ができない領域とを図示したものである。
【図7】実施形態のハードウエア構成を示す図である。
【図8】ドップラ式超音波流量計の作動原理を説明するための図である。
【図9】超音波の壁面透過実験の例を示す図である。
【図10】測定実験で得られた被測定流体の時間平均流速分布の結果を示したものである。
【図11】超音波の入射角度を変更できる実施形態を示すハードウエア構成図である。
【図12】流体配管に対して平行ではない流れをベクトル表示した図である。
【図13】超音波トランスジューサを管軸方向に複数備えて、流体配管に対して平行ではない流れを測定する原理を示す図である。
【図14】超音波トランスジューサを管軸方向に複数備えた場合の信号処理ブロック図である。
【符号の説明】
10,10A,10B ドップラ式超音波流量計
11 流体配管 12 被測定流体
13 超音波速度分布計測ユニット(Udflowユニット)
15 超音波送信手段 16 流体速度分布測定手段
17 コンピュータ(流体流量演算手段)
18表示装置 19 周波数選択設定手段
20,20a 超音波トランスジューサ
21 発振用アンプ(信号発生器)
23 発振器(オッシレータ) 24 エミッタ
27 反射波レシーバ(超音波受信手段)
28 増幅器 29 A/D変換器
30 流速分布計測回路 31 発振周波数可変装置
32 基本周波数領域設定手段 33 反射波強度抽出手段
35 接触媒体
40 入射角度調節設定手段 41 入射角度変換機構
43 入射角度領域設定手段 44 反射波強度抽出手段
46 超音波トランスジューサ移動機構

Claims (11)

  1. 発振周波数(f)の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ角度(α)にて入射させる超音波送信手段と、
    被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された繰り返し周波数(fPRF)の超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、
    前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計であって、
    流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手段と、
    前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手段と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手段と、
    繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手段と、
    算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
    ≧4V・sinα
    および
    PRF≦Cw/2Di
    を満たすように発振周波数(f)を再設定する周波数設定手段とを備え、
    前記流体速度分布測定手段は、再設定された発振周波数(f)による超音波エコーを受信して流速分布を測定することとしたドップラ式超音波流量計。
  2. 発振周波数(f)の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ角度(α)にて入射させる超音波送信手段と、
    被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された繰り返し周波数(fPRF)の超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、
    前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計であって、
    流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手段と、
    前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手段と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手段と、
    繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手段と、
    算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
    ≧4V・sinα
    および
    PRF≦Cw/2Di
    を満たすように超音波の入射角度(α1)を再設定する入射角度設定手段とを備え、
    前記流体速度分布測定手段は、再設定された入射角度(α1)による超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定することとしたドップラ式超音波流量計。
  3. 発振周波数(f)の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ角度(α)にて入射させる超音波送信手段と、
    被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された繰り返し周波数(fPRF)の超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、
    前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計であって、
    流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手段と、
    前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手段と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手段と、
    繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手段と、
    算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
    ≧4V・sinα
    および
    PRF≦Cw/2Di
    を満たすように超音波の発振周波数(f)および入射角度(α1)を再設定する超音波パルス再設定手段とを備え、
    前記流体速度分布測定手段は、再設定された超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定することとしたドップラ式超音波流量計。
  4. 超音波トランスジューサは、第一トランスジューサと、その第一トランスジューサとは流体配管の軸方向に離間させて設置される第二トランスジューサと、第一トランスジューサおよび第二トランスジューサとを相対的に移動させるトランスジューサ移動機構とを備え、
    前記トランスジューサ移動機構は、第一トランスジューサおよび第二トランスジューサとが発振する超音波パルスが流体配管内の測定領域にて直交するように移動させることとした請求項1または請求項3のいずれかに記載のドップラ式超音波流量計。
  5. 第一トランスジューサおよび第二トランスジューサから発振された超音波パルスの流体配管内の測定領域から反射波である超音波エコーをそれぞれ受信する第一反射波レシーバおよび第二反射波レシーバと、
    第一反射波レシーバおよび第二反射波レシーバにて受信された超音波エコーの強度から超音波測定線の方向の速度ベクトルをそれぞれ算出する速度ベクトル算出手段と、
    その速度ベクトル算出手段にて算出されたそれぞれの速度ベクトルのベクトル和から被測定流体の流速ベクトルを算出する流速ベクトル算出手段とを備え、
    流体速度分布測定手段は、前記流速ベクトルを用いて流速分布を測定し、
    流量演算手段は、当該流速分布を用いて被測定流体の流量を演算することとした請求項4記載のドップラ式超音波流量計。
  6. 所要周波数(f)の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、 被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、
    前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測方法であって、
    流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、
    前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V0)を算出する速度無次元数算出手順と、
    繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、
    算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
    ≧4V・sinα
    および
    PRF≦Cw/2Di
    を満たすように発振周波数(f)を再設定する周波数設定手順と、
    前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された発振周波数(f)による超音波エコーを受信して流速分布を測定させる流速分布再測定手順とを備えた流量計測方法。
  7. 所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、 被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、
    前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測方法であって、
    流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、
    前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手順と、
    繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、
    算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
    ≧4V・sinα
    および
    PRF≦Cw/2Di
    を満たすように超音波の入射角度(α1)を再設定する入射角度設定手順と、
    前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された入射角度(α1)による超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定する流速分布再測定手順とを備えた流量計測方法。
  8. 所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、 被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、
    前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測方法であって、
    流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、
    前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手順と、
    繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、
    算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
    ≧4V・sinα
    および
    PRF≦Cw/2Di
    を満たすように超音波の発振周波数(f)および入射角度(α1)を再設定する超音波パルス再設定手順と、
    前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定する流速分布再測定手順とを備えた流量計測方法。
  9. 所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、
    被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、
    前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測プログラムであって、
    そのプログラムは、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、
    前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手順と、
    繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f0)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、
    算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
    ≧4V・sinα
    および
    PRF≦Cw/2Di
    を満たすように発振周波数(f)を再設定する周波数設定手順と、
    前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された発振周波数(f)による超音波エコーを受信して流速分布を測定させる流速分布再測定手順とをコンピュータに実行させるための流量計測用プログラム。
  10. 所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、
    被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、
    前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測プログラムであって、
    そのプログラムは、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、
    前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手順と、
    繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、
    算出された速度無次元数(V)と周波数無次元数(F)とを間に
    ≧4V・sinα
    および
    PRF≦Cw/2Di
    を満たすように超音波の入射角度(α1)を再設定する入射角度設定手順と、
    前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された入射角度(α1)による超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定する流速分布再測定手順とをコンピュータに実行させるための流量計測用プログラム。
  11. 所要周波数の超音波パルスを超音波トランスジューサから測定線に沿って流体配管内の被測定流体中へ入射させる超音波送信手段と、
    被測定流体に入射された超音波パルスのうち測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における被測定流体の流速分布を測定する流体速度分布測定手段と、
    前記被測定流体の流速分布に基づいて、前記測定領域における被測定流体の流量を演算する流量演算手段とを備えたドップラ式超音波流量計を用いた流量計測プログラムであって、
    そのプログラムは、流体配管の管内径(Di)、被測定流体中の超音波速度(Cw)および超音波パルスの入射角(α)を入力するデータ入力手順と、
    前記流体速度分布測定手段から最大流速(V)を算出する最大流速算出手順と、算出した最大流速(V)を被測定流体中の超音波速度(Cw)にて除した速度無次元数(V)を算出する速度無次元数算出手順と、
    繰り返し周波数(fPRF)を発振周波数(f)にて除した周波数無次元数(F)を算出する周波数無次元数算出手順と、
    算出された速度無次元数()と周波数無次元数(F)とを間に
    ≧4V・sinα
    および
    PRF≦Cw/2Di
    を満たすように超音波の発振周波数(f)および入射角度(α1)を再設定する超音波パルス再設定手順と、
    前記流体速度分布測定手段に対して、再設定された超音波パルスによる超音波エコーを受信して流速分布を測定する流速分布再測定手順とをコンピュータに実行させるための流量計測用プログラム。
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