JP2005241628A - ドップラー式超音波流速分布計 - Google Patents

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紀友 平山
Toshihiro Yamamoto
俊広 山本
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博信 矢尾
Osamu Kashimura
修 鹿志村
Takuya Onodera
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Abstract

【課題】 温度変化の影響を考慮した高精度な流速及び流量測定を可能とする。
【解決手段】 配管の外壁面に設置した超音波送受信手段から該配管内の流体へ超音波を発信し、該流体内の反射体に反射された超音波エコーのドップラー周波数に基づき、流体の流速分布を計測するクランプオン型のドップラー式超音波流速分布計において、超音波送受信手段の超音波振動子13と配管の外壁面との間に、該超音波振動子13を所定角度に傾斜させて超音波を流体に伝送するための楔14を介在させ、該楔14の温度を温度センサー15により測定するとともに、該測定結果から楔の音速を導き出し、これら楔の音速,ドップラー周波数,楔内の超音波傾斜角及び超音波送受信手段の送信周波数を、特定の式に代入し流体の流速を算出する構成としてある。
【選択図】図2

Description

本発明は、配管内の流体中に存在する浮遊粒子や気泡等に反射された超音波エコーのドップラー周波数に基づいて流速分布を計測するドップラー式超音波流速分布計に関し、特に、前記配管の外壁面に楔を介して超音波送受信手段を設置(クランプオン)するドップラー式超音波流速分布計に関する。
クランプオン型超音波流量計は、管状体の外周面の一部に装着し、その管状体の内部を移動する流体の流量を、管状体の外側から測定する流量計である。このようなクランプオン型超音波流量計は、主に、伝搬時間差式とドップラー式に分類できる。
伝搬時間差式は、超音波を、管状体の内部を移動する流体を斜めに横切るような経路で往復させて、超音波が往路と復路のそれぞれを伝搬するのに要する時間の差から、流体の流量を測定する方法である。一方、ドップラー式は、流体中に含まれる浮遊粒子や気泡が、流体と同じ速度で移動すると仮定して、浮遊粒子などの移動速度から流体の流量を測定する方法である。浮遊粒子などの移動速度は、流体中に超音波を送信して、浮遊粒子などに反射された超音波の周波数がドップラー効果により変化することから、超音波の周波数を検出することにより測定する。
ここで、図5は特開2000−97742号で提案されている従来のドップラー式超音波流速分布計を示す簡略的な構成図である。ドップラー式超音波流量計110は、配管111内を流れる流体112の流速を非接触で測定する超音波速度分布計測ユニット(以下、UVPユニットという。) 113を備える。UVPユニット113は、流体112に測定線MLに沿って所要周波数(基本周波数f0 )の超音波パルスを送信させる超音波送信手段115と、流体112に入射された超音波パルスの測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における流体112の流速分布を測定する流体速度分布測定手段116と、流体112の流速分布に基づいて演算処理して半径方向の積分を行ない、流体112の流量を時間依存で求める流量演算手段としてのマイコン、CPU、MPU等のコンピュータ117と、このコンピュータ117からの出力を時系列的に表示可能な表示装置118とを有する。
超音波送信手段115は、所要周波数、例えば1MHz,2MHz,4MHz等の基本周波数f0 の電気信号を発生させる発振器(オッシレータ)120と、この発振器120からの電気信号を所定の時間間隔(1/Frpf )毎にパルス状に出力するエミッタ121(周波数Frpf )とからなる信号発生器122を備え、この信号発生器122から基本周波数f0 のパルス電気信号が超音波トランスジューサ123に入力される。超音波トランスジューサ123は、パルス電気信号の印加により基本周波数f0 の超音波パルスが測定線MLに沿って発信せしめられる。超音波パルスは、例えばパルス幅5mm程度で拡がりをほとんど持たない直進性のビームである。
このような超音波トランスジューサ123は、送受信器を兼ねており、発信された超音波パルスが流体中の反射体に当って反射される超音波エコーを受信するようになっている。反射体は、流体112中に一様に含まれる気泡であったり、Alの微粉末等のパーティクルであったり、又は流体112とは音響インピーダンスが異なる異物である。
超音波エコーは、超音波トランスジューサ123に受信され、エコー電気信号に変換される。このエコー電気信号は、増幅器124で増幅された後、AD変換器125を通ってデジタル化され、このデジタルエコー信号が流速分布計測回路126に入力される。流速分布計測回路126には、発振器120からの基本周波数f0 の電気信号が入力され、両信号の周波数差からドップラーシフトに基づく流速の変化を計測し、測定線MLに沿う測定領域の流速分布を算出している。測定領域の流速分布を傾斜角αで補正することで配管111の横断面における流速分布を計測することができる。
次に、上述した従来のドップラー式超音波流量計110の動作原理について、図6(A)〜(C)を参照しつつ説明する。図6(A)に示すように、超音波トランスジューサ123を配管111の流れの鉛直方向に対し角度αだけ被測定体の流れ方向に傾けて設置した状態で、超音波トランスジューサ123から所要周波数f0 の超音波パルスを入射させると、この超音波パルスは、測定線ML上の流体112に一様に分布する反射体に当って反射し、図6(B)に示すように、超音波エコーaとなって超音波トランスジューサ123に戻される。なお、同図(B)において符号bは超音波パルス入射側の管壁で反射する多重反射エコーであり、符号cは、反対側管壁で反射する多重反射エコーである。超音波トランスジューサ123から発信される超音波パルスの発信間隔は1/Frpfである。
そして、超音波トランスジューサ123で発信したエコー信号をフィルタリング処理し、ドップラーシフト法を利用して測定線MLに沿って流速分布を計測すると、図6(C)のように表示される。この流速分布はUVPユニット113の流体速度分布測定手段116で測定することができる。
ここで、ドップラーシフト法は、配管111内を流れる流体112中に超音波パルスを放射すると、流体112中に混在あるいは一様分布の反射体によって反射され、超音波エコーとなり、この超音波エコーの周波数が流速に比例した大きさだけ周波数シフトする原理を応用したものである。
また、超音波流体速度分布測定手段116で測定された流体112の流速分布信号は流量演算手段としてのコンピュータ117に送られ、ここで径方向流速分布信号を配管111の半径方向に積分し、流体112の流量を時間依存で求めることができる。この流体112の時tにおける流量をm(t)とすると、下記(2)式で表わすことができる。
Figure 2005241628
但し、ρ:流体の密度,v(x・t):時間tにおける速度成分(x方向)
上記(2)式から配管111を流れる時間tの流量m(t)は、下記(3)式に書き換えることができる。
Figure 2005241628
但し、vx(r・θ・t):時間tにおける配管横断面上の中心から距離r,角度θの管軸方向の速度成分
以上のような計測原理から分かるように、ドップラー式超音波流速分布計による流量測定は、超音波の反射体からの超音波エコーを信号処理から流速分布を求め、配管の断面積で積分処理を行うことで算出する。
このため高精度な流量測定を行うには、超音波エコー信号から求めた流速分布が精度良く、計測され、演算されている必要がある。下記に超音波エコー信号より求めたドップラー周波数fdより流速vを求める計算式を下記(4)式に記述する。
Figure 2005241628
但し、v:流体の流速,Cf:流体の音速,θf:水中入射角,fd:ドップラー周波数,f0:超音波トランスジューサからの送信周波数
特開2001−124603号公報 特開2000−97742号公報 特開平10−281832号公報
上述した従来のドップラー式超音波流速分布計では、上記(4)式に基づいて、超音波エコーのドップラー周波数fdから流体の流速vの分布を求め、これを配管の断面積で積分処理することによって前記流体の流量を算出していた。
しかし、上記(4)式に基づいて流速vを算出する場合、ドップラー周波数fdから流速vを演算するには、流体の音速Cf、水中入射角度θf、トランスジューサからの送信周波数f0が必要となる。例えば、金属配管へクランプオンで流量を高精度に計測しようとすると、流体の音速Cfと、水中入射角θfを知る必要がある。このため従来技術では、音速Cfが不明な流体を測定する場合には、この流体の音速Cfを事前に調査する必要があった。
また、一般に物質の音速は温度依存性を有するため、配管内の流体の温度変化によってその音速Cfが変化してしまい事前調査した値と誤差が生じてしまう。これに加え、クランプオン型の場合には、楔の温度変化によってその音速Cwも変化してしまい、スネルの法則(後述する(5)式参照)に従って、これら音速Cf,Cwの変化により流体内の超音波傾斜角θfも変化してしまう。したがって、上述した従来のドップラー式超音波流速分布計では、配管内流体の流量を高精度に計測するためには、流体の音速Cfと楔の音速Cwの変化により、水中入射角θfも変化するため、流体の音速Cf及び楔の音速Cwを共に正確に把握しなければ、流体の流速及び流量を高精度に算出することができないという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、流体及び楔の音速が不明な場合であっても何ら事前調査を要することなく、該流体の流速及び流量を高精度に測定することができるクランプオン型のドップラー式超音波流速分布計を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の本発明に係るドップラー式超音波流速分布計は、配管の外壁面に設置した超音波送受信手段から該配管内の流体へ超音波を発信し、該流体内の反射体に反射された超音波エコーのドップラー周波数に基づき、前記流体内の流速分布を計測するクランプオン型のドップラー式超音波流速分布計において、前記超音波送受信手段の超音波振動子と前記配管の外壁面との間に、該超音波振動子を所定角度に傾斜させて超音波を前記流体に伝送するための楔を介在させ、該楔の温度を温度センサーにより測定するとともに、該測定結果から楔の音速を導き出し、これら楔の音速,ドップラー周波数,楔の超音波傾斜角及び超音波送受信手段の送信周波数を、下記(1)式に代入し前記流体の流速を算出する構成としてある。
Figure 2005241628
但し、v:流体の流速,Cw:楔の音速,θw:楔内の超音波傾斜角,fd:ドップラー周波数,f0:超音波送受信手段の送信周波数
また、上記目的を達成するために、第2の本発明に係るドップラー式超音波流速分布計は、配管の外壁面に設置した超音波送受信手段から該配管内の流体へ超音波を発信し、該流体内の反射体に反射された超音波エコーのドップラー周波数に基づき、前記流体内の流速分布を計測するクランプオン型のドップラー式超音波流速分布計において、前記超音波送受信手段の超音波振動子と前記配管の外壁面との間に、該超音波振動子を所定角度に傾斜させて超音波を前記流体に伝送するための第1楔を介在させ、一方、前記流体の進行方向を基準にして前記第1楔よりも後方に、該第1楔とほぼ同一構成の第2楔を配置し、該第2楔における前記第1楔の超音波送受信手段の超音波振動子と前記配管の外壁面との中間部に対応する部分の温度を温度センサーにより測定し、該測定結果から楔の音速を導き出し、これら楔の音速,ドップラー周波数,楔の超音波傾斜角及び超音波送受信手段の送信周波数を、下記(1)式に代入し前記流体の流速を算出する構成としてある。
Figure 2005241628
但し、v:流体の流速,Cw:楔の音速,θw:楔内の超音波傾斜角,fd:ドップラー周波数,f0:超音波送受信手段の送信周波数
好ましくは、上記各ドップラー式超音波流速分布計における、前記温度センサーを感温抵抗とし、該温度センサーを前記楔又は第2楔とほぼ同等の膨張係数を有する充填材とともに該楔又は第2楔に埋設した構成としてもよい。
上記構成からなる本発明のドップラー式超音波流速分布計によれば、流体の音速と流体内の超音波傾斜角とを、スネルの法則に基づいて、楔の音速と楔内の超音波傾斜角(=楔の傾斜角)とに置き換えて流速を算出することにより、温度変化の影響を考慮した高精度な流速及び流量の測定を行うことができる。
また、従来技術では、流体の音速及び流体の超音波傾斜角という二つの要素を事前調査しなければならず、音速が不明な流体を対象とする場合はその音速を事前調査する手間がかかるという問題があったが、本ドップラー式超音波流速分布計では、楔の温度変化と音速の関係を一度だけ事前調査すれば、同じ材料の楔を使用する限り二度と事前調査を要しないで高精度な流速及び流量の測定を行うことができる。
さらに、超音波振動子と温度センサーとをそれぞれ別個の第1楔と第2楔とに設け、第2楔における第1楔の超音波振動子と配管の外壁面との中間部に対応する部分の温度を、温度センサーにより測定する構成とした場合は、第1楔における音波の伝搬経路上の中間点の温度を温度センサーによって擬似的に測定することができ、超音波振動子を有する第1楔のより正確な温度の計測が可能となる。また、超音波振動子と温度センサーとをそれぞれ別個の第1楔と第2楔とに設けているので、温度センサーが超音波振動子の音波の伝播経路と干渉しない。これにより、流速及び流量をより高精度に測定することが可能となる。
これに加え、温度センサーを楔又は第2楔とほぼ同等の膨張係数を有する充填材とともに埋設したことにより、楔又は第2楔の温度変化による膨張・収縮に伴って充填材も膨張・収縮するので、温度センサーが外気に曝されることなく楔又は第2楔(これに対応する第1楔)の温度を正確に検知することができる。
以下、本発明の実施形態に係るドップラー式超音波流速分布計について、図面を参照しつつ説明する。まず、本発明の第1実施形態に係るドップラー式超音波流速分布計について、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るドップラー式超音波流速分布計を示す簡略的な構成図、図2は上記ドップラー式超音波流速分布計の楔周辺部の拡大図,図3は楔に用いるアクリルの温度変化と音速の関係を示すグラフである。
図1において、1は本実施形態に係るクランプオン型のドップラー式超音波流速分布計であり、超音波送受信手段10(図中の波線で囲まれた部分参照),増幅器20,AD変換器30,流速分布計測手段40,流量演算手段50及び表示装置60を備えている。なお、70は配管であり、80は該配管内を流れる流体である。
超音波送受信手段10は、送信周波数f0の電気信号を発生する発振器11と、この発振器11からの電気信号を所定の時間間隔(1/Frpf)毎にパルス状に出力するエミッタ12と、PZT(ジルコン・チタン酸鉛)などの圧電材料からなり、エミッタ12からのパルス電気信号の印加により送信周波数f0の超音波パルスを発信し、反射された超音波エコーを受信する超音波振動子13と、該超音波パルスを配管70に伝送する所定材料により形成した楔14と、該楔14に埋設した温度センサー15とで構成してある。
ここで、楔14は、アクリルやポリ塩化ビニル等の樹脂材料からなり、配管70を流れる流体80の進行方向と逆方向に下降傾斜する傾斜面14aを有している。該傾斜面14aには、例えば、エポキシ系の接着剤などにより前記超音波振動子13が接着してあり、これと対向する底面14bは、配管70の外壁面に当接している。このような構成からなる楔14は、図示しない金属ベルト,布ベルト又はばね等を巻き付けることによって、既存の配管70に設置(クランプオン)してある。
また、温度センサー15は、熱電対,測温抵抗体又はサーミスタ等の感温抵抗であり、楔14における超音波振動子13が発信した超音波パルスの伝播経路(図2中の破線参照)と干渉しない位置に孔14cを穿設し、該孔14cに楔14とほぼ同等の膨張係数を有する充填材15aとともに埋設してある。
増幅器20は、超音波振動子13からのエコー電気信号と、温度センサー15からの温度電気信号とを受信して増幅した後、これら二種の電気信号をAD変換器30に送信する。AD変換器30は、増幅器20からエコー電気信号及び温度電気信号を受信する一方で、発振器11から送信周波数f0の電気信号を受信し、これら三種の電気信号をデジタル化して流速分布計測手段40に送信する。
流速分布計測手段40は、これら三種のデジタル信号を受信して、デジタル化された送信周波数f0とデジタルエコー信号の周波数差に基づいてドップラー周波数fdを算出するとともに、デジタル温度信号に基づいて楔14の音速Cwを導き出す。
ここで、楔14の音速Cwは、例えば、図3に示すアクリルの温度変化と音速の関係のように、サンプル材料の温度変化と音速の関係を実験等により事前調査し、流速分布計測手段40にあらかじめ演算式又はデータとして保持してある。
また、流速分布計測手段40には、楔14内の超音波傾斜角θwの値をあらかじめ設定してある。より具体的に、本実施形態では、該楔14内の超音波傾斜角θwを楔14の傾斜角、すなわち、楔14の傾斜面14aの角度とみなして、温度変化に左右されない一定の値としている。
そして、流速分布計測手段40は、これら楔14の音速Cw,楔14内の超音波傾斜角θw,ドップラー周波数fd及び送信周波数f0を下記(1)式に代入し流体80の流速vを求め、測定領域における流速分布を算出する。
Figure 2005241628
但し、v:流体の流速,Cw:楔の音速,θw:楔内の超音波傾斜角,fd:ドップラー周波数,f0:超音波送受信手段の送信周波数
ここで、上記(1)式に基づく流速vの計測原理について詳細に説明する。上述した通り、配管70内の流体80の音速Cfはその温度変化に伴って変化するものであるが、当該流体80の温度変化をクランプオンで正確に測定することはできない。そこで、温度変化を考慮した高精度な測定を行うべく、下記(5)式に表されるスネルの法則に基づいて下記(6)式を導き、従来の上記(4)式における流体80の音速Cfと流体80内の超音波傾斜角θfとを、楔14の音速Cwと楔14内の超音波傾斜角θwとに置き換えて流体80の流速vを算出することとしている。
Figure 2005241628
但し、Cw:楔の音速,Cp:配管材の音速,Cf:流体の音速,θw:楔内の超音波傾斜角,θp:配管材内の超音波傾斜角,θf:流体の超音波傾斜角
Figure 2005241628
但し、v:流体の流速,Cf:流体の音速,θf:流体内の超音波傾斜角,Cw:楔の音速,θw:楔内の超音波傾斜角
上述したように、楔14内の超音波傾斜角θwは、楔14の傾斜面14aの角度とみなしているので、この値が温度変化によらず一定となり、温度センサー15の検知結果に基づいて楔14の音速Cwを温度補正しながら正確に算出することにより、流体80の流速vを高精度に計測することができる。例えば、図3のアクリルの温度変化と音速の関係より、温度20℃の音速は2760[m/s]、温度25℃の音速は2740[m/s]で約1%音速が違う。この約1%は直接流速vの誤差に影響するので、楔14の温度を測定して温度補正を行う必要がある。
流量演算手段50は、流速分布計測手段40からの流速分布に基づいて、配管70の半径方向の積分を行ない、流体80の流量を時間依存で算出する。表示装置60は、流量演算手段50の算出結果を時系列的に表示する。
上記構成からなる本実施形態のドップラー式超音波流速分布計によれば、流体80の音速Cfと流体80内の超音波傾斜角θfとを、スネルの法則に基づいて、楔14の音速Cwと楔14内の超音波傾斜角(=楔の傾斜角)θwとに置き換えて流速vを算出することにより、温度変化の影響を考慮した高精度な流速v及び流量の測定を行うことができる。
また、従来技術では、流体80の音速Cf及び流体80の超音波傾斜角θfという二つの要素を事前調査しなければならず、音速Cfが不明な流体を対象とする場合はその音速Cfを事前調査する手間がかかるという問題があったが、本ドップラー式超音波流速分布計では、楔14の温度変化と音速Cwの関係を一度だけ事前調査すれば、同じ材料の楔14を使用する限り二度と事前調査を要しないで高精度な流速v及び流量の測定を行うことができる。
さらに、温度センサー15を楔14とほぼ同等の膨張係数を有する充填材15aとともに埋設したことにより、楔14の温度変化による膨張・収縮に伴って充填材15aも膨張・収縮するので、温度センサー15が外気に曝されることなく楔14の温度を正確に検知することができる。これにより、流速v及び流量をより高精度に測定することが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態に係るドップラー式超音波流速分布計について、図4を参照しつつ説明する。図4は本発明の第2実施形態に係るドップラー式超音波流速分布計の楔周辺部の拡大図である。なお、上記第1実施形態と同様の箇所については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
同図において、本実施形態のドップラー式超音波流速分布計2は、主として、超音波振動子13と温度センサー15とをそれぞれ別個の第1楔16と第2楔17とに設け、第2楔17における第1楔16の超音波振動子13と配管70の外壁面との中間部P1に対応する部分P2の温度を、温度センサー15により測定することにより、第1楔16における音波の伝搬経路上の中間点の温度を温度センサー15によって擬似的に測定する構成としてある。
第1楔16は、上述した楔14(図1及び図2参照)と同様に、アクリルやポリ塩化ビニル等の樹脂材料からなり、配管70を流れる流体80の進行方向と逆方向に下降傾斜する傾斜面16aを有している。該傾斜面16aには、例えば、エポキシ系の接着剤などにより超音波振動子13が接着してあり、これと対向する底面16bは、配管70の外壁面に当接している。
第2楔17は、第1楔16と同一構成、すなわち、同一形状、同一寸法かつ同一材料により形成してあり、第1楔16の傾斜面16a及び底面16bと同一の、傾斜面17a及び底面17bを有している。また、第2楔17の傾斜面17aには、第1楔16内の超音波傾斜角θwと同じ角度で傾く孔16cが穿設してあり、該孔16cには、第2楔17とほぼ同等の膨張係数を有する充填材15aとともに温度センサー15が埋設してある。該温度センサー15は、第2楔17における第1楔16の超音波振動子13と配管70の外壁面との中間部P1に対応する部分P2の温度を測定する。
これら第1及び第2楔16,17は、ハウジング18内に接着等により固定してあり、配管70を流れる流体80の進行方向を基準にして、第1楔16よりも後方に第2楔17を配置してある。また、ハウジング18を、図示しない金属ベルト,布ベルト又はばね等を巻き付けることによって、既存の配管70に設置(クランプオン)可能となっている。さらに、図示しないが、超音波振動子13及び温度センサー15は、図1に示すような超音波送受信手段10の構成部材であり、超音波振動子13はエミッタ12、温度センサー15は増幅器20に接続してある。
上述した第1実施形態と同様の手順で、温度センサー15が測定した第2楔17の部分P2の温度に基づき、例えば、図3に示すアクリルの温度変化と音速の関係より、第2楔17の音速CWを正確に算出し、これを下記(1)式へ代入すると、より正確な流速vを求めることができる。
Figure 2005241628
但し、v:流体の流速,Cw:楔の音速,θw:楔内の超音波傾斜角,fd:ドップラー周波数,f0:超音波送受信手段の送信周波数
このような本実施形態のドップラー式超音波流速分布計によれば、超音波振動子13と温度センサー15とをそれぞれ別個の第1楔16と第2楔17とに設け、第2楔17における第1楔16の超音波振動子13と配管70の外壁面との中間部P1に対応する部分P2の温度を、温度センサー15により測定することができる。これにより、第1楔16における音波の伝搬経路上の中間点P1の温度を温度センサー15によって擬似的に測定することができ、超音波振動子13を有する第1楔16のより正確な温度の計測が可能となる。また、超音波振動子13と温度センサー15とをそれぞれ別個の第1楔16と第2楔17とに設けているので、温度センサー15が超音波振動子13の音波の伝播経路と干渉しない。この結果、流体80の流速v及び流量をより高精度に測定することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るドップラー式超音波流速分布計を示す簡略的な構成図である。 本発明の第1実施形態に係るドップラー式超音波流速分布計の楔周辺部の拡大図である。 本発明の第1実施形態に係るドップラー式超音波流速分布計の楔に用いるアクリルの温度変化と音速の関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るドップラー式超音波流速分布計の楔周辺部の拡大図である。 従来のドップラー式超音波流速分布計を示す簡略的な構成図である。 同図(A)〜(C)は、従来のドップラー式超音波流速分布計による流量測定における作動原理の説明面である。
符号の説明
1,2 ドップラー式超音波流速分布計
10 超音波送受信手段
11 発振器
12 エミッタ
13 超音波振動子
14 楔
14a 傾斜面
14b 底面
14c 孔
15 温度センサー
15a 充填材
16 第1楔
17 第2楔
16a,17a 傾斜面
16b,17b 底面
17c 孔
18 ハウジング
20 増幅器
30 AD変換器
40 流速分布計測手段
50 流量演算手段
60 表示装置

Claims (3)

  1. 配管の外壁面に設置した超音波送受信手段から該配管内の流体へ超音波を発信し、該流体内の反射体に反射された超音波エコーのドップラー周波数に基づき、前記流体内の流速分布を計測するクランプオン型のドップラー式超音波流速分布計において、
    前記超音波送受信手段の超音波振動子と前記配管の外壁面との間に、該超音波振動子を所定角度に傾斜させて超音波を前記流体に伝送するための楔を介在させ、
    該楔の温度を温度センサーにより測定するとともに、該測定結果から楔の音速を導き出し、これら楔の音速,ドップラー周波数,楔の超音波傾斜角及び超音波送受信手段の送信周波数を、下記(1)式に代入し前記流体の流速を算出することを特徴とするドップラー式超音波流速分布計。
    Figure 2005241628
    但し、v:流体の流速,Cw:楔の音速,θw:楔内の超音波傾斜角,fd:ドップラー周波数,f0:超音波送受信手段の送信周波数
  2. 配管の外壁面に設置した超音波送受信手段から該配管内の流体へ超音波を発信し、該流体内の反射体に反射された超音波エコーのドップラー周波数に基づき、前記流体内の流速分布を計測するクランプオン型のドップラー式超音波流速分布計において、
    前記超音波送受信手段の超音波振動子と前記配管の外壁面との間に、該超音波振動子を所定角度に傾斜させて超音波を前記流体に伝送するための第1楔を介在させ、
    一方、前記流体の進行方向を基準にして前記第1楔よりも後方に、該第1楔とほぼ同一構成の第2楔を配置し、該第2楔における前記第1楔の超音波送受信手段の超音波振動子と前記配管の外壁面との中間部に対応する部分の温度を温度センサーにより測定し、
    該測定結果から楔の音速を導き出し、これら楔の音速,ドップラー周波数,楔の超音波傾斜角及び超音波送受信手段の送信周波数を、下記(1)式に代入し前記流体の流速を算出することを特徴とするドップラー式超音波流速分布計。
    Figure 2005241628
    但し、v:流体の流速,Cw:楔の音速,θw:楔内の超音波傾斜角,fd:ドップラー周波数,f0:超音波送受信手段の送信周波数
  3. 前記温度センサーを感温抵抗とし、該温度センサーを前記楔又は第2楔とほぼ同等の膨張係数を有する充填材とともに該楔又は第2楔に埋設したことを特徴とする請求項1又は2記載のドップラー式超音波流速分布計。
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