JP4547891B2 - フェザードフィラメント歯ブラシ - Google Patents

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Description

本発明は、歯ブラシの技術に係わり、更に詳しくは、歯ブラシの刷毛の先端部に分岐毛部を設けたフェザードフィラメント歯ブラシに関するものである。
歯ブラシにおいては、豪快な刷掃感覚をもたらす強い毛腰と、歯肉や歯周病の患部に傷をつけないソフトな先端部とを兼ね備え、しかも歯間や歯肉辺縁部や歯周ポケット部など狭所に挟まったプラークの除去に優れた機能を有する歯ブラシとして、刷毛の先端に先割り加工を施した分岐毛部を有する歯ブラシが従来から知られている。そのような歯ブラシの例として、熱可塑性樹脂を素材として、長手方向に内部を貫通する複数の空隙を有する形態に紡糸されたモノフィラメントを適宜の長さにカットしてブラシ用の刷毛となし、該刷毛の一端を、または該刷毛の中間で2折りにしたその曲折部を、柄の先端に設けた植毛部に植え付けるとともに、該刷毛の自由端側の先端部に該刷毛をそれぞれ長手方向に沿って複数本に分割して分岐毛部を形成してなるフェザードフィラメント歯ブラシがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この特許文献1に示されたフェザードフィラメント歯ブラシは、水分はもとより歯磨き粉や食べ物の滓などといった異物が、刷毛の空隙内に侵入して沈着したり刷毛の表面や分岐毛部に沈着しやすく、使用後の清掃手入れを十分に行わない場合、空隙内に侵入したり分岐毛部に沈着した異物が細菌繁殖の巣窟となって不衛生であるばかりでなく刷毛の変色の原因となる。従ってこの種の歯ブラシは、通常の歯ブラシ以上に使用後の清掃手入れや殺菌処理を入念にする必要がある。しかしながら、刷毛の空隙内に侵入した水分や汚物は除去が困難で、空隙内に侵入したり刷毛の表面に沈着した水分と異物がカビの発生や刷毛の変色を生じ、歯ブラシの耐用期間が短縮される要因となるといった問題がある。また、この特許文献1には、歯ブラシの刷毛の先端部に高速で回転するカッター刃を接触させて刷毛の先端を複数に切り裂いて分岐毛部を形成する方法が開示されている。しかし、このような方法でモノフィラメントの先端部を切り裂くと、先端の割れ方に大きなバラツキが生じ、また割れ方が不十分である場合は毛先の狭所への到達性が低下してプラークの除去作用が低下し、さらには、分岐毛部の切り裂かれて表面が荒れた部分に異物が沈着して汚れやシミ(ステイン)となり易い。
一方、歯ブラシの刷毛に撥水性を付与させて水切り性をよくし、刷毛の汚れを少なくする従来技術として、歯ブラシの刷毛を中心部と該中心部を覆う外鞘部の二重構造に形成するとともに、刷毛の中心部には剛性の高い樹脂、外鞘部には疎水性樹脂をそれぞれ用い、刷毛の表面に撥水性を付与させた歯ブラシが知られている(例えば、特許文献2参照。)。この歯ブラシは、二重構造の刷毛を製作することが容易ではなく、また、先端部に細い複数に分割された分岐毛部を形成したり、或いは更にその分岐毛部にも外鞘部を設けて撥水性を付与させるといったような事を実現することは製造コスト的にも容易でない。
特表2001−523308号公報(第2頁、図1,図9) 特開平7−222624号公報(第2頁、第3頁)
上記の状況に鑑み本発明が解決しようとする課題は、刷毛の先端に分岐毛部を設けた歯ブラシにおいて、分岐毛部を容易に形成することが可能で、汚れが付きにくく且つ水切れがよく、細菌の増殖やカビの発生を抑制し、刷毛の変色を押さえて耐用期間を長くし、且つ、狭所の刷掃性即ちプラークの除去作用が改善されるフェザードフィラメント歯ブラシを提供することにある。
前述の課題解決のために、本発明に係るフェザードフィラメント歯ブラシは、熱可塑性樹脂をベース材としてこれに粒径1〜20μmの粉末状のフッ素樹脂(例えばテフロン(4フッ化エチレン樹脂:米国デュポン社の登録商標)など)を4〜50重量%添加混練した合成樹脂により、長手方向に内部を貫通する複数の空隙を有する形態に紡糸されたモノフィラメントを適宜の長さにカットしてブラシ用の刷毛となし、該刷毛の一端を、または該刷毛の中間で2折りにしたその曲折部を、柄の先端に設けた植毛部に植え付け、且つ、該刷毛の自由端側の先端部に該刷毛をそれぞれ長手方向に沿って複数本に分割して分岐毛部を形成してなる。刷毛のベース材に粉末状のフッ素樹脂を添加混練させることにより、フッ素樹脂によってもたらされる刷毛の表面エネルギーの低下と摩擦係数の低減と作用により、刷毛に撥水性を付与して水切れ性の向上をはかり、異物の離れ易さと狭所への侵入性の向上をはかる。また、刷毛の先端を複数に割って分岐毛部を形成する方法としては化学的加工方法と物理的加工方法があり、例えばカセイソーダの水溶液などアルカリ溶液に刷毛の先端部を浸漬し、刷毛の表面から内部の空隙部に至る間の繋がり部や互いの空隙同士の間の繋がり部を一部加水分解させて分割する化学的加工方法や、例えば刷毛の先端部に高速で回転するカッター刃を接触させて刷毛の先端を引き裂いて複数に分割する物理的加工方法などの種々の方法が従来から知られており、それらの中から適宜の方法を採用して行う。前記カッター刃で分割する方法による場合は、ベース材中に添加した粉末状のフッ素樹脂による刷毛の摩擦係数の低減により、群立する刷毛の内部へのカッター刃の侵入性を向上させ、全ての刷毛に対しカッター刃を均一に接触させ、分割された各々の分岐毛の太さがほぼ均一な分岐毛部となり、加工性を向上させることができる。
モノフィラメントのベース材は、その中に添加混練されるフッ素樹脂の融点よりも低温の融点を有して、前記フッ素樹脂と相溶性を有しない特性を有する熱可塑性樹脂を選定するのが好ましい。この場合、添加するフッ素樹脂の融点よりも低い温度で溶融したベース材にフッ素樹脂を添加混練して紡糸すると、粉末状のフッ素樹脂が融解せず且つ接着されずにベース材中に粒状で点在する状態の合成樹脂となる。この合成樹脂から紡糸したモノフィラメントを、歯ブラシの刷毛として植毛して、例えばこの刷毛の先端部に高速で回転するカッター刃を接しさせて刷毛の先端部を所定の長さだけ複数に分割して分岐毛部を形成する場合、添加されたフッ素樹脂とベース材との界面部が基点となって容易に引き裂かれ好ましい形態に先割れする。つまりこの刷毛は、カッターで先割り加工をするのに適した素材からなり、均一な分岐毛部の形成がより一層効果的に行える。
更に前記モノフィラメントの材質としては、具体的には、ベース材である熱可塑性樹脂は、ポリアミドを選択する。一方、ベース材に添加混練するフッ素樹脂は、例えば4フッ化エチレン樹脂や3フッ化塩化エチレン樹脂の群などから選択し、粒径1〜20μm(好ましくは4〜10μmの範囲内に分布するもの)の粉末状のフッ素樹脂を使用する。そして、モノフィラメントは、前記粉末状のフッ素樹脂を4〜50重量パーセント(実用上好ましい作用効果が認められる最少適正値は4重量パーセント)の割合で前記ベース材に添加混練した合成樹脂から紡糸すると都合がよい。
前記のフッ素樹脂が添加混練された合成樹脂を紡糸する際は、長手方向と直交する断面(即ち横断面)において、外周または外接円の直径が0.12〜0.3mm(成人用歯ブラシでは約0.2mmが一般的)で、円形、三角形、四角形、多角形、またはその他の異形などの断面を有し且つ長手方向に内部を貫通する複数の空隙を有する形態のモノフィラメントに紡糸する。そして前記空隙は、このモノフィラメントの中心から外周に至る中間部に、ほぼ同一半径の円上に沿って等間隔で複数配置され(例えば4乃至8個が放射状に配置され)、且つ複数の空隙の横断面の総断面積がモノフィラメントの横断面の総面積に占める割合で4〜20パーセント(好ましくは10乃至14パーセント)となるように形成する。前記空隙の形状は、モノフィラメントの半径方向に長く、中心側が小径で外側が大径の曲率からなる略イチジク形のような異形空隙にするのが好ましい。
上記のモノフィラメントをカットして刷毛となし、これを柄の先端植毛部に植毛した歯ブラシは、刷毛の先端部に高速回転するカッター刃を接しさせて分岐毛部を形成する際には、理想的な形態、即ち大多数がほぼ10〜12本を中心とする8本〜16本前後に引き裂かれるように先割れして且つ先割れした各々がほぼ均等の太さになって好都合である。なお、刷毛先端部の先割れ数は、空隙の数や形状、カッター刃の回転速度や加工時間などで変わるので、これらの関係を適宜調整して分岐毛部が適正な仕上がり状態に近づくように制御する。
また、モノフィラメントが前述のいずれの材料からなる場合も、また前記いずれの断面形状に形成した場合も、フェザードフィラメント歯ブラシの刷毛は、植毛部の表面から刷毛の分岐毛部先端までの毛丈を5〜18mmとし、且つ、分岐毛部を0.5〜5mm(好ましくは0.5〜2.5mm)の長さに形成するのが実用的である。この植毛部の表面から分岐毛部の先端までの刷毛の毛丈と分岐毛部の長さとの関係は、一般の消費者向けの用途としてはそれぞれ互いにほぼ比例関係に設定され、幼児用と子供用では、毛丈5〜8mm、分岐毛部の長さ0.5〜2.5mmとし、大人用では毛丈9〜18mm、分岐毛部の長さ1.5〜3.5mmとし、幼児および子供用と大人用では異なる長さに設定する。但し医療用の場合は、用途に応じて分岐毛部の長さの割合を変えることもでき、用途によっては分岐毛部の長さを実用上5mm程度にすることもできる。
以上にしてなる本発明のフェザードフィラメント歯ブラシは、柄の先端の植毛部に植毛する刷毛として、熱可塑性樹脂をベース材としてこれにフッ素樹脂を添加混練した合成樹脂により、長手方向に内部を貫通する複数の空隙を有する形態に紡糸されたモノフィラメントを用いたことにより、フッ素樹脂が刷毛の表面エネルギーの低下と摩擦係数を低減させる。そのため以下のような作用効果が得られる。即ち、表面エネルギーの低下は、刷毛の表面はもとより、分岐毛部およびフィラメント内に形成された複数の空隙の内面を含む全ての面に撥水作用を付加してそれらの各部位の水切れを向上させる。その結果、水分や異物が離れ易くなり、細菌の増殖とカビの発生が抑制され、刷毛の変色が生じにくく耐用期間が長くなるなどの作用効果が得られる。そして、従来のフェザードフィラメント歯ブラシでとくに困難視されていたところの、分岐毛部とフィラメント内に形成された空隙内部の水切り性と異物の清掃除去作用が大きく改善されるという点がとくに優れた効果として注目される。一方、刷毛の摩擦係数の低下は、刷毛の先端分岐毛部の狭所への侵入性を向上させプラークの除去性を向上させる。また、刷毛の摩擦係数の低減は、前記効果に加えて、刷毛の先端部に高速で回転するカッター刃を接しさせて刷毛の先端を複数に引き裂いて分岐毛部を形成する場合、群立する刷毛の内部へのカッター刃の侵入性を向上させる作用があり、これによりカッター刃が全ての刷毛に対し均一に接触するようになる。その結果、刷毛の先割れ数がほぼ一定域に分布する均等な先割れを発生し、且つ先割れした部分の太さがほぼ均一な分岐毛部が形成され、分岐毛部の加工性も向上する。
また、前記フェザードフィラメント歯ブラシにおいて、モノフィラメントのベース材として、その中に添加混練されるフッ素樹脂の融点よりも融点の低い熱可塑性樹脂を選定し、添加するフッ素樹脂の融点よりも低い温度で溶融したベース材にフッ素樹脂を添加混練した合成樹脂から紡糸したモノフィラメントを刷毛の素材に用いると、前記刷毛においては、ベース材中にフッ素樹脂が融解せず且つ接着されずにモノフィラメントの内部および表面に粒状で点在する。従って、この刷毛の先端部に高速で回転するカッター刃を接しさせて刷毛の先端部を所定の長さだけ引き裂いて複数に分割、即ち先割り加工して分岐毛部を形成する場合、添加されたフッ素樹脂とベース材との界面部が基点となって容易に引き裂かれる。つまりこの刷毛は、カッターで先割り加工をするのに適し、均一な分岐毛部の形成がより一層効果的に行える。前述の説明のように、刷毛の先端部をカセイソーダの水溶液(溶解液)に浸漬溶解する方法とは異なり、カッターで分岐毛部を形成する方法を採る場合、刷毛の素材であるモノフィラメントの内部の空隙の数や形や配置による制約をあまり受けずにカッター刃の挿入深さと加工時間の調整で適宜の先割れ数や太さに加工できる。またカッターによる刷毛の先割り加工は、前記溶解液による加工よりも短時間で分岐毛部が形成されるといった効果がある。従って、ベース材とその中に添加混練するフッ素樹脂の互いの融点温度が上記のような組み合わせで混練して紡糸されたモノフィラメントを刷毛の素材に用いることで、カッターを用いて分岐毛部を効率よく形成でき、且つ、そのようにして分岐毛部が形成されたフェザード歯ブラシは、刷毛の物理的な耐久性も向上するといった作用効果がある。
更に、フェザードフィラメント歯ブラシの植毛部の表面から刷毛の分岐毛部の先端までの毛丈を5〜18mmとし、且つ、分岐毛部を0.5〜5mmの長さにし、前記植毛部の表面から分岐毛部の先端までの刷毛の毛丈と分岐毛部の長さとの、互いの関係をほぼ比例的関係で、幼児用および子供用と大人用とでそれぞれの体格に応じ一般の歯ブラシと同様に適宜段階的に異なる長さに設定し、或いは医療用としては分岐毛部の長さの割合を変えるとよい。これにより、消費者は成長に伴う歯とあごや歯茎の発達に合せ、或いは治療目的に応じて、それぞれ適切な関係寸法に製造されたフェザードフィラメント歯ブラシを選定して使用することができる。
本発明の形態について添付図面に基づき説明するが、本発明は、以下に記載の説明と添付図面に示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の要件を備えたものすべてが含まれる。図1は、本発明のフェザードフィラメント歯ブラシに用いる刷毛の実施例を示し、(a)は側面図、(b)は刷毛の中間部X−X横断面図をそれぞれ示している。図2は本発明のフェザードフィラメント歯ブラシの外観を示す側面図である。図3はフッ素樹脂(テフロン:登録商標)を添加したフェザードフィラメントを刷毛に用いた歯ブラシとフッ素樹脂非添加のフェザードフィラメントを刷毛に用いた歯ブラシとの含水試験結果、図4はフッ素樹脂(テフロン:登録商標)添加フェザードフィラメントとフッ素樹脂非添加のフェザードフィラメントの色素沈着試験結果、図5はフッ素樹脂(テフロン:登録商標)添加フェザードフィラメントとフッ素樹脂非添加のフェザードフィラメントのブラッシング前後の色差変化の試験結果、図6はフッ素樹脂(テフロン:登録商標)添加フェザードフィラメントとフッ素樹脂非添加のフェザードフィラメントの先割れ数の比較試験結果をそれぞれ示す図である。図7はフッ素樹脂(テフロン:登録商標)添加フェザードフィラメントとフッ素樹脂非添加のフェザードフィラメントの摩擦係数の比較、図8はフィラメントの摩擦係数測定装置をそれぞれ示す図である。図9はフィラメントの先割り加工用カッターの一例を示す図で、(a)は側面、(b)は斜め側方向から見た状態をそれぞれ示している。
図において、本発明に係るフェザードフィラメント歯ブラシ1は、熱可塑性樹脂をベース材6としてこれにフッ素樹脂の粒子7が添加混練された合成樹脂により、長手方向に内部を貫通する複数の空隙8を有する形態に紡糸されたモノフィラメント5を適宜の長さにカットしてブラシ用の刷毛4となし、刷毛4の一端を、または刷毛4の中間で2折りにしたその曲折部を、柄2の先端に設けた植毛部3に植え付け、且つ、刷毛4の自由端側の先端部に刷毛4をそれぞれ長手方向に沿って複数本に分割して(即ち先割り加工を施して)分岐毛部9を形成してなる。柄2および植毛部3については、添付図は一例を示し、柄2および植毛部3は一般の歯ブラシに用いられている各種の形態のものを用いてよい。また、刷毛4を柄2の植毛部3に植毛する方法についても、説明は省略するが、一般の歯ブラシと同様の方法で植毛する。該フェザードフィラメント歯ブラシ1の植毛部3の表面から刷毛4の分岐毛部9の先端9bまでの毛丈は、通常5〜18mm(子供用では5〜8mm、一般成人用では9〜18mm)の範囲に設定され、且つ、分岐毛部9の長さは通常0.5〜5mm(子供用では0.5〜2.5mm、一般成人用では1.5〜3.5mm、医療用など特殊用途では5mmにする場合もある。)に設定する。この植毛部の表面から分岐毛部の先端までの刷毛の毛丈と分岐毛部の長さとの関係については、前述のように一般消費者用の場合は、互いにほぼ比例的関係に設定し、幼児用と子供用または大人用と対象消費者の体格に応じて一般の歯ブラシと同様に適宜段階的に長さを設定する。ただし、医療用などに用いる場合は、前述のように治療の対象に応じ分岐毛部の長さの割合を変えてもよい。
つぎに、上記構成からなるフェザードフィラメント歯ブラシの刷毛4について詳しく説明する。刷毛4の素材となるモノフィラメント5は、刷毛4にカットする前の状態では刷毛4の中間部がその原形を留めており、図1(a)に示された断面構造を有し、長く紡糸されたモノフィラメントである。即ち、モノフィラメント5は、長手方向と直交する横断面において、外周が直径0.2mmのほぼ円形の断面を有し、内部にモノフィラメント長手方向に内部を貫通する4個の空隙8を有する。空隙8は、このモノフィラメントの中心から外周に至る中間部に、ほぼ同一半径の円上に沿って等間隔で放射状に配置されている。そして空隙8の横断面の総断面積は、モノフィラメント外周の横断面の総面積に占める割合で約12%に設定されている。空隙8の形状は、モノフィラメントの半径方向に長く、中心側が小径で外側が大径の曲率からなる略イチジク形のような異形空隙である。空隙8の具体的な寸法は、空隙内周において、モノフィラメント半径方向の最大2点間で約45μm、それと直交方向の最大2点間で約27μmにそれぞれ設定され、断面積が4個合計で約4860平方マイクロメートルである。
なお、上記に限らず、モノフィラメント5の外周の直径については、0.12〜0.3mmの範囲で対象年齢と用途に応じて設定し、その横断面形状については、円形、三角形、四角形、多角形、またはその他の異形などいずれでもよく、空隙8の数については、4〜8個の適宜の個数にしてよい。但し空隙の個数をあまり多くすると、分岐毛部の先割れ数が必要以上に多くなり、分岐毛部が細くて弱くなる。空隙8の横断面の総断面積については、モノフィラメント外周の横断面の総面積に占める割合で、4〜20パーセントの範囲に設定すればよい。また、空隙の形状については、上記のほかにも、円形、楕円形、三角形、またはその他の適宜の異形断面の形状にしてもよい。
このモノフィラメント5は、熱可塑性樹脂、例えばポリアミド(例えば、ナイロン610、ナイロン612など)をベース材(図1の符号6)とし、このベース材6に、熱分解温度または融点がベース材6の融点よりも高温のフッ素樹脂、例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)を直径約4〜10μmの範囲の微粒粉末状にして、これを重量比で4%添加混練したものを原料としている。この場合、原料のベース材6には、一般の歯ブラシでよく用いられる素材としてナイロン610およびナイロン612のいずれかを用いることが好ましい。ナイロン610の融点は498K(225℃)、ナイロン612の融点は485K(212℃)であり、これに対し添加混練される4フッ化エチレン樹脂(PTFE)の融点は約600K(327℃)であるので、これらベース材とフッ素樹脂とのそれぞれの融点の中間の温度で両者を混練する。この混練された合成樹脂を原料として紡糸されたモノフィラメントは、フッ素樹脂粒子(図1の符号7)が微粒粉末状のまま、ナイロン(ベース材6)との界面が接着されず、ベース材6中に均一に混在する形態をなしている。そして、添加混練されたフッ素樹脂粒子7は、モノフィラメント5の表面にも均一に点在する。なお、フッ素樹脂の粒径については、実用的には約1〜20μmの範囲でよく、ベース材へのフッ素樹脂の添加混練比率については、実用上は重量比で4〜50%の範囲に設定すればよい。
つぎに、このモノフィラメント5をカットした刷毛4を柄2の植毛部3に植毛した後、刷毛4の先端部に分岐毛部9を形成するための、いわゆる刷毛の先割り加工の方法、および、モノフィラメント5の内部の空隙8と添加混練されたフッ素樹脂粒子7がそれぞれ先割り加工に及ぼす作用効果について以下に説明する。まず、この先割り加工には、前述のように化学的加工方法と物理的加工方法とがあるが、ここでは物理的加工方法の一例としてカッターを用いる先割り加工について説明する。カッターに用いる先割り加工には、例えば図9に示すようなカッター20を用いる。カッター20は、回転軸23に、スペーサ25を挟んで互いが平行に均等間隔で配置され各々が120°ずつ位相をずらせて取り付けられた3枚のカッター刃21,21,21を有してなる。カッター刃21は、それぞれ、薄く細長い菱形の帯板部材21aの長手方向両端に、長い対角線側の角部から側方に向け互いに反対方向(つまり回転方向)に突出する1対の刃部22,22を有するとともに、中間には回転軸23に嵌合し回転軸23に装着された3本のキーに係合する係合部を有する装着穴が形成されてなる。カッター刃21,21,21は図9に示す様に回転軸23に装着して固定される。このカッター20を、高速回転モータ、例えばルーターモータなどの軸端に取り付け、毎分約3万回転以上の高速で回転させる。そして、植毛を終えた前記歯ブラシを、群立する刷毛4の先端部をカッター刃21の半径方向に対向する方向に向けて接近させ、カッター刃21の刃部22の先端が刷毛4の先端から一定の深さに侵入する状態を保って前後左右に平面的に移動させる。この動作により、刷毛4の先端部が高速回転するカッター刃21の刃部22先端と衝突して、先端部が引き裂かれるようにして刷毛の長手方向に沿って割れる。所定時間この動作を持続することで植毛全体が一定の深さで先端部がほぼ均等に複数本に分割されて分岐毛部9が形成される。
カッター刃21が刷毛4の先割り加工する手順は、添加混練されたフッ素樹脂粒子7とベース材6(ナイロン610、ナイロン612など)との界面部が最初の起点つまり分岐点9aとなり、その起点から内部の空隙8に向けて亀裂が入り、その裂け目が順次先端9bまで延びて切り裂かれ、この先割れが繰り返し行われることで次第に細かく先割れを起こして、刷毛4の先端部に内部の空隙8と平行に複数本に先割れ分岐した分岐毛部が形成される。つまりこの刷毛4の素材は、フッ素樹脂を粒状で添加混練したことでカッター20による先割り加工に適した特性を備えることができ、また、内部に長手方向に貫通する空隙を設けたことで分岐毛部の形成が容易で且つほぼ均等の太さで且つほぼ均等の本数に分割できるといった特性を備えることができた。なお、先割れ部の全てがカッターの引き裂き作用のみで形成されるという訳ではなく、カッター刃21が刷毛4に衝突する衝撃回数と刷毛4の固有振動数との共振に伴って割れたりその割れが広がって行く現象が関わっていると考えられる。従ってカッター20は刷毛4の固有振動数に近い衝撃回数が得られる回転数にして作業するとよい結果が得られる。また、分岐毛部9の分岐点9aから先端9bまでの長さは、カッター刃21の群立する刷毛の先端からの侵入深さを調整することで設定可能である。但し、上記説明のように先割れ部はカッター刃21の引き裂き作用のみで形成される訳ではないので、カッター刃21の侵入深さと分岐毛部9の長さとは一致しないが、実際の加工現場で状況分析することで先割り加工時の最適条件の設定が可能である。
また、刷毛の素材として熱可塑性樹脂をベース材としてフッ素樹脂を添加混練したモノフィラメントを用いたことで、フッ素樹脂を添加しないナイロンの刷毛に比べ後述のように刷毛の摩擦係数を約半分に低下させることができた(図7参照)。その結果として、歯間部などの狭所への挿入性が向上するといった作用効果に加え、刷毛の先割り加工時のカッター刃21の侵入の抵抗軽減効果が得られ、先割り加工時の刷毛の姿勢が安定して先割れの本数のバラツキを押さえることに成功した。このことは、当然分岐毛の太さの均一化にも貢献しているといえる。
つぎに、本発明のフェザードフィラメント歯ブラシ1について、刷毛先端部の先割り加工性と、含水性と、汚れの沈着性と、汚れの落ち易さのそれぞれについて、ナイロン612にフッ素樹脂(テフロン:登録商標)を添加混練した合成樹脂から紡糸したモノフィラメントを素材とする刷毛を用いたフェザードフィラメント歯ブラシと、フッ素樹脂非添加のナイロン612から紡糸したナイロンフィラメントを素材とする刷毛を用いたフェザードフィラメント歯ブラシとを比較する試験を行ったので、その試験結果を以下に説明する。それぞれの試験に用いたフェザードフィラメント歯ブラシ(以下、これらを「供試歯ブラシ」という)は、それぞれ同じ条件で製造されたものを使用し、それぞれ同じ条件で試験を行ってその結果を比較した。なお、フッ素樹脂添加フィラメントの刷毛は、ベース材としてナイロン612を用いて、これに粒径4〜10μmのフッ素樹脂(テフロン:登録商標)粒子を重量比で4%添加混練した合成樹脂から紡糸したものを用いた。供試歯ブラシは、いずれも、刷毛の素材のモノフィラメント5(図1参照)が、外周の直径が0.2mm、横断面形状が図1(b)と同じで、空隙8の内周のモノフィラメント半径方向の最大2点間が約45μm、それと直交する方向の最大2点間が約27μm、4個の空隙の合計面積が約486平方マイクロメートルの形状のモノフィラメントをカットして刷毛4となし、その刷毛4を柄(図2の符号2に相当する柄で市販の歯ブラシに用いられているもの)の先端の植毛部に植毛し、且つその刷毛4の先端部をカッター(図9の符号20に相当する高速回転のカッター)を用いて前述の要領で先割り加工を施して刷毛4の先端部に分岐毛部9を形成してなるフェザードフィラメント歯ブラシである。供試歯ブラシは、いずれも成人用で、毛丈および分岐毛部の長さはそれぞれ同じ寸法(毛丈10mm、分岐毛部の長さ2.5mm)に設定して作られたもの同士を用いて効果を比較した。なお、下記のそれぞれの試験については、1種類の供試サンプルのみで行ったが、毛丈と分岐毛部の長さが異なる場合でも下記とほぼ同様の傾向となりほぼ同じ結果となるといえる。
まず、刷毛の先割り加工性の比較試験について説明する。先割り加工性の試験結果は図6に棒グラフで示す。この試験は、それぞれ同じ条件で先割り加工を施した供試歯ブラシそれぞれについて、歯ブラシの群立する刷毛のそれぞれ同じ部位から同数のサンプルをとり、それぞれ先割れ数毎に本数を数えた。図6に、刷毛1本当たりの先割れ数を横軸にとり、その先割れ数毎の刷毛の本数(発生数)を縦軸にとり、フッ素樹脂添加を黒塗りの棒、フッ素樹脂非添加を白抜きの棒でそれぞれの発生数を示した。図6によれば、フッ素樹脂非添加のフェザードフィラメント歯ブラシでは、先割れ数が1から18までといった具合で非常に広域に分布し、且つ各先割れ数毎の発生数はほぼ平均的であり、先割れの仕方に大きなバラツキがある。これに対しフッ素樹脂を添加したものでは、先割れ数7から17の域に留まり且つ大多数が8から12の域に集中し、先割れの仕方にバラツキが少ない。つまり、この試験から、フッ素樹脂添加のフェザードフィラメント歯ブラシが、フッ素樹脂非添加のフェザードフィラメント歯ブラシに比べて、先割れ数と分岐毛の太さが安定してバラツキが小さくなる作用効果があるということがわかる。
つぎに含水性の比較試験について説明する。含水性の比較試験結果は図3に示す。含水性の試験方法は、それぞれの供試歯ブラシを恒温恒湿の室内(室温23℃、湿度50%)に24時間放置した後の重量を測定して測定値W1とし、つぎにこの歯ブラシのヘッド部つまり刷毛の部分を23℃±1℃の水に3分間浸漬し、その歯ブラシを前記水中から取り出して柄の部分を手で持って3回振った後に重量を測定して測定値W2とし、前記前後2回の重量測定値の差(W2−W1)を初期水分量をWとして求め、これをそれぞれ同じ条件で室内に放置した後、一定時間毎に重量を測定してその測定値をWtとして、W1との差(W1−Wt)をその測定時における水分残量とする、といった方法を採用した。この時間経過に伴う水分残量の変化は図3の折れ線グラフで表している。図3において、折れ線Aはフッ素樹脂非添加のナイロンのみの刷毛、折れ線Bはフッ素樹脂(テフロン:登録商標)を添加した刷毛、をそれぞれ植毛したフェザードフィラメント歯ブラシにおける水分残量の経時変化を示している。この図から、水分の残量がほぼゼロになる時間が、ナイロンのみのフェザードフィラメント歯ブラシでは約6時間に対し、フッ素樹脂を添加したフェザードフィラメント歯ブラシでは約4時間となり、乾燥までの時間が約33%短縮されることがわかる。つまり、フッ素樹脂を添加したフェザードフィラメント歯ブラシは含水性が低くて乾燥が早いといった作用効果があるといえる。また、この試験は、フッ素樹脂を添加したフェザードフィラメントのフッ素樹脂添加量が4重量パーセントの場合であるので、フッ素樹脂の添加量を増すと上記作用効果が更に向上するといえる。
つぎに、刷毛の色素沈着作用を比較する試験について説明する。色素沈着試験結果は図4に棒グラフで示す。この色素沈着試験には、汚れ浸漬液として、ポリフェノンG(粉末ポリフェノール、東京フードテクノ社製)1グラムを水100ミリリットルに溶解した溶液を用いた。色素沈着試験方法は、前記溶液に、供試歯ブラシの刷毛の部分を浸漬し、約100時間恒温室内(室温23℃)に放置した後、歯ブラシを前記溶液から取り出して手で振って歯ブラシに付着している水気を取り除き、40℃の乾燥室で約24時間放置して乾燥させ、この歯ブラシと前記溶液に浸漬する前の歯ブラシとの刷毛の色差を色彩色差計(株式会社島津製作所製の自記分光光度計、型式:UV−2200)を用いて測定するといった方法を採用した。図4は、縦軸に色差変化指数をとり、横軸上の、白抜きの棒グラフはフッ素樹脂非添加の刷毛、黒塗りの棒グラフはフッ素樹脂(テフロン:登録商標)を添加した刷毛、をそれぞれ植毛したフェザードフィラメント歯ブラシとして、その試験結果を棒グラフで示している。前記測定で得られた色差を、色差変化指数として縦軸方向の高さで表している。この図から、溶液浸漬前と浸漬後の色差変化指数が、フッ素樹脂非添加の刷毛(ナイロンフェザードフィラメント)では19であるのに対し、フッ素樹脂添加の刷毛(テフロン入りフェザードフィラメント)では13.5となり、色素沈着性が約29%少ないことがわかる。つまり、フッ素樹脂入りフェザードフィラメント歯ブラシは色素沈着性が低くて汚れにくく変色しにくいといった作用効果があるといえる。また、この試験は、フッ素樹脂入りフェザードフィラメントのフッ素樹脂添加量が4重量パーセントの場合であるので、フッ素樹脂の添加量を増すと上記作用効果が更に向上するといえる。
つぎに、色素を沈着させた歯ブラシの色素の落ち易さ、即ち色素除去作用を比較する試験について説明する。色素除去の方法は、試験装置の図示は省略するが、多数の疑似歯が水平直列配置に固定された水槽内に、37℃の恒温に保たれた水を循環させ、該水槽内の疑似歯に対し色素を沈着させた供試歯ブラシの刷毛先端部を300グラムの押し力で押し当て、水槽を疑似歯の配列方向に一定振動数で往復動させてブラッシングを行い、一定時間毎(10秒経過後および30秒経過後)の色素除去の度合いを測定するといった方法で行った。色素除去試験に用いた供試歯ブラシは、前述の色素沈着試験と同様の方法で色素沈着後おなじく同様の方法で乾燥処理した歯ブラシである。また、色素除去の度合いの測定は、前記のブラッシングの開始前の歯ブラシとの色差を色彩色差計(株式会社島津製作所製の自記分光光度計、型式:UV−2200)を用いて測定する方法を採用した。この試験結果は図5に折れ全グラフで示す。この図において、折れ線Cはフッ素樹脂非添加のナイロンのみの刷毛、折れ線Dはフッ素樹脂(テフロン:登録商標)を添加した刷毛、をそれぞれ植毛したフェザードフィラメント歯ブラシにおける色差の変化を、縦軸にとった色差変化指数として表している。この図から、ブラッシング時間が30秒後の色差変化指数が、フッ素樹脂非添加の刷毛では1.3となっているのに対し、フッ素樹脂添加の刷毛では6.7となり、色素除去性が5倍も向上することがわかる。つまり、フッ素樹脂を添加したフェザードフィラメント歯ブラシは色素除去性が高く汚れが落ち易く変色しにくいといった作用効果があるといえる。また、この試験は、フッ素樹脂を添加したフェザードフィラメントのフッ素樹脂添加量が4重量パーセントの場合であるので、フッ素樹脂の添加量を増すと上記作用効果が更に向上するといえる。
つぎに、フッ素樹脂添加とフッ素樹脂非添加のそれぞれのフィラメントの摩擦係数について説明する。モノフィラメントの摩擦係数は、例えば図8に示すような摩擦係数測定装置10で測定される。この摩擦係数測定装置10は、米国デュポン社がフィラメントの摩擦係数の測定に採用している装置である。摩擦係数測定装置10は、モータ14の出力軸に減速機13を介して可変速に回転制御可能に水平支持されたドラム11を備え、ドラム11には、シート体に供試フィラメントと同じ材料からなるフィラメントまたはテープなどを平行に貼付した供試シート16を、前記フィラメントまたはテープがドラム軸方向に沿う方向にしてドラム11の全周に巻き付けて固定された装置である。この摩擦係数測定装置10のドラム11に貼付された供試シート16の上に供試フィラメント15を半周巻き掛けて、供試フィラメント15の一端には質量30グラムの錘17を吊り下げ、且つ供試フィラメント15の他端を測定器18に垂直に連結する。この様にセットして、モータ14を回転させ、ドラム11の周面が測定器18側から錘17側に回転する方向に回転をあたえる。その際の測定器18に作用する荷重を測定器18で摩擦係数に換算して表示する。錘17側の荷重をt(単位:ニュートン(N))(この場合、t=(30×g)÷1000、但しgは重力の加速度で約9.8m/s2 )、測定機18側の作用力をT(単位:ニュートン((N))、供試シート16と供試フィラメント15との摩擦係数をμ、供試フィラメント15のドラム11への巻き掛け角度をθ(単位:ラジアン、この場合、θ=3.1415ラジアン)とすると、摩擦係数は、μ={log(T)−log(t)}÷θの関係式で求めることができる。前記関係式において、log(T)、およびlog(t)は、Tおよびtの自然対数をそれぞれ意味する。測定器18は、測定器18側のフィラメント15に作用する作用力Tを上記関係式で換算して摩擦係数として表示する様に設計されている。そしてドラム11の回転速度を極微速から適度な高速度まで変化させると、極微速時の表示値を静止摩擦係数として、また高速時の表示値を動摩擦係数として測定値が得られる。
この摩擦係数測定装置10を用いて測定した、フッ素樹脂(テフロン:登録商標)を添加混練したモノフィラメント(図1(b)の符号5)、およびこれと同じ断面構造を有してフッ素樹脂非添加のモノフィラメントのそれぞれの摩擦係数を図7に比較してグラフで示している。図7は、米国デュポン社の試験結果を引用して掲載したものであるが、横軸にドラム11の供試シート16の回転速度(単位はcm/sec)、縦軸に摩擦係数をとって測定結果を示している。この図7のグラフから、フッ素樹脂添加のフェザードフィラメント(図7の曲線F)は、フッ素樹脂非添加のフェザードフィラメント(図7の曲線E)に対し摩擦係数が約半分であることが判る。この試験結果は、同じ素材同士の接触摩擦係数の測定結果を示しているが、フッ素樹脂を添加したフィラメント同士の摩擦係数がフッ素樹脂非添加の場合に比べて約半分に低減されるという大きな作用効果が得られた事実から、フッ素樹脂添加のフィラメントは、歯との接触摩擦係数も同様に低減されるものと想定できる。つまり、フッ素樹脂を添加したモノフィラメントを刷毛の素材に用いたフェザードフィラメント歯ブラシは、刷毛の摩擦係数が低下して歯間などの狭所への侵入性が向上し、且つ異物が付着しにくく、異物の除去性が高いといった作用効果があるといえる。また、この試験は、フッ素樹脂を添加したフェザードフィラメントのフッ素樹脂添加量が4重量パーセントの場合であるので、フッ素樹脂の添加量を増すと上記作用効果が更に向上するといえる。
つぎに、上記の実施形態の説明においてはモノフィラメントのベース材としてナイロン612(これを単に「ナイロン」とも記載した。)を用いた場合で説明したが、前記説明とほぼ同様の作用効果が得られる素材名を列挙する。ベース材の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(ナイロン66、ナイロン610すなわちポリヘキサメチレンセバカミド、ナイロン612すなわちポリヘキサメチレンドデカノアミドなど)、ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、その他として、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ピニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリカーボネートなどから選択される。
つぎに、上記の実施形態の説明においてはモノフィラメントのベース材に添加混練するフッ素樹脂として4フッ化エチレン樹脂(PTFE(テフロン:登録商標))を用いた場合で説明したが、前記説明とほぼ同様の作用効果が得られる素材名を列挙する。ベース材に添加混練するフッ素樹脂としては、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、4フッ化エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP)、3フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)、4フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE)、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)ガラス入り、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体樹脂(ECTFE)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)などから選択される。前記ベース材とフッ素樹脂との組み合わせを選択する場合、ベース材の融点温度よりもフッ素樹脂の融点温度が高い組み合わせになるようにして両者の組み合わせを決定すればよい。
本発明のフェザードフィラメント歯ブラシに用いる刷毛の実施例を示す図で、(a)は側面図、(b)は刷毛の中間部X−X横断面図をそれぞれ示している。 本発明のフェザードフィラメント歯ブラシの外観を示す側面図である。 フッ素樹脂添加フェザードフィラメントを刷毛に用いた歯ブラシと他の歯ブラシとの含水試験結果を示す図である。 フッ素樹脂添加フェザードフィラメントとフッ素樹脂非添加のナイロンフェザードフィラメントの色素沈着試験結果を示す図である。 フッ素樹脂添加フェザードフィラメントとフッ素樹脂非添加のフェザードフィラメントのブラッシング前後の色差変化の試験結果を示す図である。 フッ素樹脂添加フェザードフィラメントとフッ素樹脂非添加のフェザードフィラメントの先割れ本数の比較試験結果を示す図である。 フッ素樹脂添加フェザードフィラメントとフッ素樹脂非添加のフェザードフィラメントの摩擦係数の比較を示す図である。 フィラメントの摩擦係数測定装置を示す図である。 フィラメントの先割り加工用カッターの一例を示す図で、(a)は側面図、(b)は斜視図をそれぞれ示している。
符号の説明
1 フェザードフィラメント歯ブラシ(歯ブラシ)
2 柄
3 植毛部
4 刷毛
5 モノフィラメント(フィラメント)
6 ベース材
7 フッ素樹脂粒子)
8 空隙
9 分岐毛部
9a 分岐点
9b 先端
10 摩擦係数測定装置
11 ドラム
12 駆動軸
13 減速機
14 モータ
15 供試フィラメント
16 供試シート
17 錘
18 測定器
20 カッター
21 カッター刃
21a 帯板部材
22 刃部
23 回転軸
24 キー
25 スペーサ

Claims (3)

  1. ポリアミドをベース材としてこれに粒径1〜20μmの粉末状のフッ素樹脂を4〜50重量%添加混練した合成樹脂により長手方向に内部を貫通する複数の空隙を有する形態に紡糸されたモノフィラメントを適宜の長さにカットして歯ブラシ用の刷毛となし、該刷毛の一端を、または該刷毛の中間で2折りにしたその曲折部を、柄の先端に設けた植毛部に植え付け、且つ、該刷毛の自由端側の先端部に該刷毛をそれぞれ長手方向に沿って複数本に分割して分岐毛部を形成してなるフェザードフィラメント歯ブラシ。
  2. 前記ポリアミドがナイロンである、請求項1に記載のフェザードフィラメント歯ブラシ。
  3. 歯ブラシの植毛部の表面から刷毛の分岐毛部の先端までの毛丈が5〜18mmで、且つ、分岐毛部が0.5〜5mmの長さに形成されてなる、請求項1または2に記載のフェザードフィラメント歯ブラシ。
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