JP4547656B2 - 潤滑剤付着性および耐摩耗性に優れた温熱間加工用被覆工具 - Google Patents

潤滑剤付着性および耐摩耗性に優れた温熱間加工用被覆工具 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温間ないしは熱間で金属同士の摺動を伴う環境にて使用される鍛造用金型等の温熱間加工用被覆工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、温熱間加工用工具には、主にJISに規定されるSKD61、SKT4といった熱間金型用鋼が広く用いられており、特に耐久性を要求される用途には、これらよりも高温強度の高いSKD7、SKD8、高速度工具鋼あるいはこれらの改良鋼が使用されている。
【0003】
例えば、温熱間鍛造用金型(以下、金型と記す)においては、近年の、加工効率の向上、被加工製品の高精度化、ニアネットシェイプ化の要求に対し、金型の靭性を保持するとともに、金型作業面の耐摩耗性、耐焼付き性、耐ヒートクラック性を向上させる目的で、プラズマ法、塩浴法、ガス法等による窒化処理や、アークイオンプレーティング法等の物理蒸着法(以下、PVD法と記す)による皮膜が窒化処理と組み合わされて適用されるようになってきた。
【0004】
特開平11−92909号には、金型母材とPVD皮膜の密着性を向上させるために、CrNまたはTiAlNといったPVDによる被覆の前処理として、ダイアモンドペースト等による被覆母材の表面粗さの調整、真空ガス窒化処理の適用、電解法による洗浄が提案されている。また、特開平11−152583号には、金型の耐ヒートクラック性、耐酸化性の向上を目的に、窒化処理とPVD法によるTiN、CrN、TiCrNの併用が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−92909号、特開平11−152583号の提案による効果は、従来工具と比較して、2〜3割程度の寿命向上であり、飛躍的な工具寿命の改善は達成できず、加工効率の向上、被加工製品の高精度化、ニアネットシェイプ化といった要求に対しては十分に満足できるものではなかった。
【0006】
特に被加工製品のニアネットシェイプ化は、製品形状が複雑となるため、加工時には金型作業面への負荷応力も大きくなるだけでなく、被加工材の肉流れ速度が金型の場所によって大きく異なる。つまり、金型の表面温度が不安定な鍛造初期においては、被加工材との摺動発熱による金型の表面温度も場所によって大きく異なることとなる。
【0007】
一般に温熱間鍛造においては、鍛造毎に潤滑剤を噴霧するが、潤滑剤はある任意の金型表面温度で最も付着しやすくなる特性を有している。このため、金型の表面温度が場所により大きく異なるということは、潤滑剤の付着量も金型の場所により大きく変化し、潤滑剤が適量付着する場所と、付着しない場所が生ずる。
当然、潤滑剤の付着量が低下する部位においては、早期に被加工材との焼付き、かじり等が発生しやすくなる。
【0008】
この被加工材との焼付き、かじりについては、鍛造条件の過酷さに起因する潤滑剤の途切れも要因の一つと考えられる。このような焼付き、かじり等の発生は、金型作業面と被加工材との界面で、過大な摩擦力を働かせることとなり、著しい摩擦熱が発生する。その結果、金型材表面部では熱により母材が極端に軟化するため、皮膜は容易に剥離してしまい、金型の耐摩耗性は極端に低下してしまう。製品形状によっては、上記摩擦熱が、金型材自身の変態点(700〜900℃)を上回るほど高温になる場合があり、金型がさらされる環境は、非常に厳しいものとなる。
【0009】
現在、温熱間金型用として提案されているPVD皮膜は、金型母材と皮膜の密着性向上を主体に改善が行われているため、先述の潤滑剤付着性にバラツキが生じる環境ならびに摩擦熱が著しく発生する環境で使用すると、早期に焼付き、かじり等が発生してしまい、その効果を十分に発揮する間もなく剥離してしまうという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記のような問題を解消した耐焼付き性、耐摩耗性に優れる温熱間加工用被覆工具を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、温熱間加工用工具における潤滑剤の付着性および耐焼付き性、耐かじり性に及ぼす、PVD皮膜の組成、層構造ならびに成膜条件の影響について詳細な検討を行った。
【0012】
その結果、最表層に粗さを特定値内に規定した層を適用し、その層の直下には硫化物層を形成させ、かつ、母材直上には、Ti、V、Cr、Al、Siから選んだ1種もしくは2種以上の金属元素が主体の窒化物、炭化物、炭窒化物の1種以上を形成することで温熱間加工用工具として極めて良好な潤滑剤付着性ならびに耐焼付き性が得られることを見いだした。この結果により、例えば熱間鍛造用金型においては、鍛造初期の局部的な焼付きと、鍛造中期以降の被加工材との摺動発熱は十分に抑制され、熱間鍛造金型として著しく寿命が向上するということを確認した。
【0013】
すなわち、本発明の第1発明は、熱間ダイス鋼もしくは高速度鋼を母材とする、少なくとも作業面に被覆層を有す温熱間加工用工具であって、該被覆層の最表層は、表面粗さがRz:4〜15μmのa層であり、a層の直下には硫化物であるb層が存在し、かつTi、V、Cr、Al、Siから選んだ1種もしくは2種以上の金属元素が主体の窒化物、炭化物、炭窒化物の1種以上からなるc層が、母材直上にあることを特徴とする潤滑剤付着性および耐摩耗性に優れた温熱間加工用被覆工具である。
【0014】
なお、本発明のa層は、Ti、V、Cr、Al、Si、Cuの1種もしくは2種以上の金属元素を主体とし、層厚を2〜15μmとすることが望ましく、また、硫化物である本発明のb層は、金属組成のみの原子%で、Ti、Crの1種もしくは2種が合計で50%以下、実質的に残部Moであり、層厚を0.5〜10μmとすることが望ましい。
【0015】
更に上記被覆層は物理蒸着法により被覆されたことが望ましく、被覆母材は母材最表面から25μmの深さにおける硬さが、母材最表面から500μmの深さにおける硬さに比べ、200HV0.2以上高いことが望ましい。
【0016】
【発明実施の形態】
まず、本発明の温熱間加工用被覆工具は、その被覆層が形成される母材として、熱間強度に優れる材料を適用する。この材料としては、例えば従来よりその温熱間工具として適用されている鋼素材であればよく、例えばJISに規定される熱間ダイス鋼や高速度鋼、そしてそれらの改良鋼であってもよい。はじめに請求項中記載のa層に関し、その構成要件について詳しく述べる。
【0017】
TiN、CrN、TiAlNといったPVD法による皮膜は、窒化層に比べ著しく硬さは高いことから、切削工具を主体に適用が広がっている。例えば窒化層の硬さは、被処理材の組成にもよるが、1000〜1100HVであるのに対して、TiNでは2000〜2200HV、CrNでは1800〜2000HV、TiAlNでは2400〜2700HVと、窒化層に比べ約2倍以上の硬さが得られる。このため、本来耐摩耗性はPVDによる皮膜の方が優れているはずである。
【0018】
そこで発明者は温熱間加工用金型の使用環境と表面処理に必要とされる特性について種々検討を重ねた結果、従来より適用されてきたPVD皮膜は、温熱間加工用金型において、非常に重要な特性である潤滑剤の付着性が、窒化層に比べ極端に劣るということを確認した。
【0019】
図1は、予め表面処理を施したテストピースを100〜350℃の任意の温度で加熱し、10%の濃度に調整した白色系潤滑剤(大同化学株式会社製ホットアクアルブ#300TK)水溶液を、距離470mm、噴霧量2.0ml/sで2秒噴霧した際の、試験片表面に付着した潤滑剤の単位面積あたりの重量を示したものである。この時、テストピースは、表面処理を施さないものと、塩浴窒化材、ならびにPVD法(アークイオンプレーティング法)によるCrNを被覆したものを用いた。
【0020】
この結果によると、塩浴窒化材については、無処理材に比べ潤滑剤の付着量が多く、特に本潤滑剤が付着し難くなる試験片加熱温度250〜350℃において、その傾向は顕著になる。この時、CrN被覆材の潤滑剤付着性は、無処理材と同等もしくはそれ以下の結果であり、明らかにPVD皮膜の潤滑剤付着性は、他の表面処理に比べ劣っていることがわかる。このようなPVD皮膜の潤滑剤付着性に劣る点が、実際の温熱間加工用金型において、特に金型の場所によって表面温度が異なるような複雑な形状の場合では、顕著に現れるため、局部的に潤滑剤の付着し難い部位が発生し、焼付きやかじりを誘発するものと推察された。
【0021】
そこで、上記試験後のテストピースについて、潤滑剤付着状況の詳細な観察を行った結果、潤滑剤はテストピース表面の微小な凹凸を核にして凝固している様子が認められ、この凝固単位が微細なものほど潤滑剤の付着量は増加するということが確認された。
【0022】
そこでPVD法の成膜条件を制御して、被覆層の表面粗さが種々異なるテストピースを作製し、同様の試験方法により表面の面粗さと潤滑剤付着量の関係を調査した。このとき、試験片加熱温度は、潤滑剤が付着し難い300℃に設定した。
【0023】
また、PVD法による被覆には、純Cr製ターゲットを用い、被覆材温度500℃、アルゴン雰囲気中3〜25Paの圧力を選択し成膜を行った。表面粗さは成膜中の圧力により制御した。成膜初期の5分間についてはBias電圧を−100Vにし、後半の30分間は0Vにした。テストピース被覆面の面粗さは、長さ5mmの領域について、オリンパス光学株式会社製走査型レーザー顕微鏡OLS1000を用いて測定した。
【0024】
図2に結果を示すが、潤滑剤の付着量は、面粗さRz(JIS−B−0601:十点平均粗さ)で4μm付近を境に大きく増加し、図1で示した塩浴窒化材と同等以上に改善されることがわかった。また、面粗さRzが16μm以上になると、PVD皮膜は成膜直後の時点で剥離が生じてしまい、実型への適用は困難であることが認められた。
【0025】
本発明のa層は、金型の表面温度が不安定な鍛造初期において、潤滑剤の付着量を向上させることが主な役割であり、その存在は極めて重要である。この効果を発揮するためには、表面粗さRzで4μm以上必要であるが、15μmを越えると皮膜の密着性が極端に低下する。よって本発明のa層は、表面粗さRzで4〜15μmとする。本発明のa層は、特にその組成・構成の規定を設けないが、Ti、V、Cr、Al、Si、Cuの1種もしくは2種以上の金属元素を主体とすることが、以下の理由により、望ましい。
【0026】
上記組成の中でもTi、V、Cr、Al、Siについては、本発明の温熱間加工用被覆工具において、下記必須となる、被覆母材直上にTi、V、Cr、Al、Siから選んだ1種もしくは2種以上の金属元素が主体の窒化物、炭化物、炭窒化物の1種以上からなるc層を成膜することと関連している。例えば、PVD法の中でもスパッタリング法、アークイオンプレーティング法を適用した場合、a層とc層を構成する金属元素が異なることは、同様に種類の異なる金属ターゲットを用意する必要がある。このことは、高価なターゲットの種類が増加することとなり、結果的に成膜のコストを増加させてしまうため望ましくない。
【0027】
ただし、a層の望ましい構成元素にCuを挙げる理由については例外で、熱伝導率の高いCuを適用することにより、潤滑剤の乾燥時間が早まり、潤滑剤の付着量は著しく増加するためである。これはTi、V、Cr、Al、Siといった他の金属に比べ、その効果が絶大であり、潤滑剤が極めて付着し難い環境下では有効である。以上のような理由から、本発明のa層は、Ti、V、Cr、Al、Si、Cuの1種もしくは2種以上の金属元素を主体とすることが望ましい。
【0028】
なお、その主体とすることについては、例えば上記より選ばれた元素種の合計にて50(原子%)以上、特に効果の期待できるCuの選択も鑑みれば合計にて70(原子%)以上、更には90(原子%)とすればよいが(実質100(原子%)を含む)、これについては、その成膜コスト低減の上での、後に述べるc層との兼合いにて決定されればよいことは、上記の通りである。
【0029】
更に本発明のa層は、その層厚が2〜15μmであることが望ましい。層厚が2μm未満であると、加工時の負荷が極めて高い場合に、早期に滅失してしまい効果のない場合がある。逆に15μmを越えて成膜すると、成膜条件によっては、早期に剥離してしまう場合があるためである。よって、本発明のa層の層厚は、2〜15μmであることが望ましい。
【0030】
本発明のa層は、その表面粗さを適度に粗化することで潤滑剤の付着性を向上させ、焼付きを防止するが、a層自体はその粗化によって耐摩耗性に優れていない。つまり、鍛造初期においては潤滑剤付着性を向上させる層として焼付き防止の役割は果たすものの、鍛造中期になると摩耗によって滅失してしまい、結果、耐焼付き性に劣るものとなる。そのため鍛造中期に被加工材との耐焼付き性、耐かじり性を向上させるためには、硫化物のb層を、a層直下に被覆することが必要である。
【0031】
一般に硫化物は冷間で使用される摺動部品等において摩擦係数を低下させる固体潤滑材として知られているが、発明者の研究によると熱間においても、耐焼付き性という点で著しい効果が認められた。
【0032】
表1はJISに規定されるSKH51(硬さ60HRC)を直径5mm、長さ20mmの円柱状テストピースに加工し、直径5mmの試験部にPVD法にて各種皮膜を被覆し、熱間焼付き評価試験を行った結果を示したものである。熱間焼付き試験は、テストピースの一端部を、ボール盤のチャックに取り付け、1540rpmで回転させながら、相手材である600℃に加熱したSNCM439製の30mm×30mm、厚み20mmのブロックに、被覆面をある所定の面圧で押付け、最高40秒間摩擦摺動させた。この時、テストピースが摩擦発熱により座屈し、相手材に焼付いた面圧を焼付き限界面圧と見なし評価するものである。
【0033】
【表1】
Figure 0004547656
【0034】
表1より、アークイオンプレーティング法にて成膜したTiN、CrN、TiAlNといったPVD皮膜に比べ、代表的な硫化物であるMoSをスパッタリング法でTiN、CrN、TiAlNの上に適用した皮膜の方が、著しく高い焼付き限界面圧を有していることがわかる。このように、従来は冷間での摺動摩擦でしか効果が確認されていなかった硫化物が、熱間においても十分に効果的であることが認められた。このような理由から、本発明においては、硫化物のb層を、a層直下に被覆することが必要である。
【0035】
また、硫化物である本発明のb層は、金属組成のみの原子%で、Ti、Crの1種もしくは2種が合計で50%以下であり、実質的に残部Moであることが望ましい。詳しくは金属元素としてMoを主体(実質100(原子%)を含む)とする二硫化物であることが望ましい。Ti、Crは、Moの硫化物中に含有させることで、硫化物の硬さを向上させる効果がある。しかしながら、金属組成のみの原子%で、Ti、Crの合計が50%を越えて含有すると、Mo硫化物の耐焼付き性を向上させる効果が低下する。そのため、硫化物である本発明のb層は、金属組成のみの原子%で、Ti、Crの1種もしくは2種が合計で50%以下であり、実質的に残部Moであることが望ましい。
【0036】
更にb層は、層厚が0.5〜10μmであることが望ましい。層厚が0.5μm未満であると、熱間における耐焼付き性の向上効果が十分に得られず、逆に10μmを越えて成膜すると、早期に剥離してしまう可能性が高くなる。よって、本発明のb層は、層厚が0.5〜10μmであることが望ましい。更に望ましい層厚は、1〜5μmである。
【0037】
本発明のa層ならびにb層は、それらの機構は異なるものの、いずれも耐焼付き性という特性の向上を主体に適用されているのみであり、温熱間加工用金型としての耐摩耗性は十分ではない。そのため、Ti、V、Cr、Al、Siから選んだ1種もしくは2種以上の金属元素が主体の窒化物、炭化物、炭窒化物の1種以上からなるc層を、母材直上に成膜することが必要である。
【0038】
ここで本発明のc層は、例えば窒化物においては、TiN、CrN、VN、CrNといった金属元素が1種の場合や、TiVN、TiAlN、TiSiN、CrSiN、CrAlN、TiAlSiNといった金属元素が2種類以上の場合が挙げられる。金型の形状が極めて複雑で、凸部において非常に応力が集中しやすい場合では、上記窒化物の中でも比較的残留応力が小さく、密着性に優れる、TiN、CrN、VN、TiVNといった皮膜の適用が好ましく、鍛造温度が高く、皮膜に耐酸化性が求められる場合には、TiAlN、TiSiN、CrAlN、CrSiNといったAl、Siを含む皮膜が望ましい。
【0039】
上記は窒化物を例として挙げたが、炭化物、炭窒化物についても同様の効果であり、また、Ti、V、Cr、Al、Siからの選択を主体(金属元素のみの原子%で実質100%を含む)とするも、必要に応じてIVa、Va、VIa属の金属元素ならびにB等を、金属元素のみの原子%で30%以下、更には10%以下微量添加してもよい。更に異なる組成の窒化物、炭化物、炭窒化物を2種以上選択し、多層膜として適用してもよい。
【0040】
以上、本発明の温熱間加工用被覆工具は、熱間ダイス鋼もしくは高速度鋼を母材とする、少なくとも作業面に、上記構成の被覆層を有す温熱間加工用工具であって、その効果を得るに好ましい一具体例としては、母材直上に本発明のc層を形成し、該c層の上に本発明のb層を、そして、その上に最表層となる本発明のa層を形成するものである。
【0041】
本発明の温熱間加工用被覆工具は、その被覆方法について特に限定されるものではないが、被覆母材の熱影響、工具の疲労強度、皮膜の密着性等を考慮すると、被覆母材である熱間ダイス鋼もしくは高速度鋼の焼戻し温度以下で成膜でき、皮膜に圧縮応力が残留するアークイオンプレーティング法もしくはスパッタリング法といった被覆母材側にBias電圧を印可する物理蒸着法であることが望ましい。
【0042】
更に本発明の被覆母材は、より耐摩耗性の向上を目的に、母材最表面から25μmの深さにおける硬さが、母材最表面から500μmの深さにおける硬さに比べ、200HV0.2以上高いこと、つまりその具体例として、窒化処理、浸炭処理等と言った拡散を利用した表面硬化処理を予め適用することが望ましい。この時、窒化処理で形成される白層と呼ばれる窒化物層や、浸炭で認められる炭化物層と言った化合物層は、c層の密着性を低下させる原因となるため、処理条件の制御により形成させないようにするか、研磨等により除去することが望ましい。
【0043】
【実施例】
次に実施例に基づき詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定を受けるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更が可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0044】
(実施例1)
JISに規定されるSKD61を用意し、1030℃より油焼入れ後、550〜630℃での焼戻しにより47HRCに調質した。その後、熱間焼付き性評価用に直径5mm、長さ20mmの円柱状テストピースと、潤滑剤付着性の評価用に厚み3mm、一辺が30mmの板状テストピースの加工を行った。
【0045】
次に、流量比5%N(残H)雰囲気中で、550℃、10時間保持の条件でイオン窒化処理を施した後、それぞれの試験面を研磨によって鏡面に仕上げた。なお、仕上げ後の表面より25μmの深さにおける硬さは、全テストピースにて、その500μmの深さにおける硬さより200HV0.2以上に硬化されていることを確認済みである。そして、仕上げ後の母材表面に対し、次に示す条件にてPVD法による被覆を行った。
【0046】
母材直上のc層は、小型アークイオンプレーティング装置にて、圧力0.5PaのAr雰囲気中で、被覆母材に−400VのBias電圧を印可し、60分の熱フィラメントによるプラズマクリーニングを行った後、金属成分の蒸発源である各種金属製ターゲットならびに反応ガスとしてNガスを用い、被覆母材温度500℃、反応ガス圧力3.0Pa、−50VのBias電圧にて層厚が5μmとなるよう成膜した。
【0047】
また、b層を被覆するものについては、小型スパッタリング装置にて、皮膜源に硫化物ターゲットを用い、被覆材温度300℃、Ar雰囲気中0.8Paの圧力で、ターゲットへの投入電力を4kWにし、被覆材にBias電圧を−100V印可し、層厚が4μmになるように成膜を行った。
【0048】
更に最表層を形成するa層を被覆するものについては、小型アークイオンプレーティング装置にて、蒸発源に純Cuターゲットもしくはc層の成膜に使用したターゲットを用い、被覆材温度500℃で、成膜初期の5分間についてはBias電圧を−100Vにし、後の30分間は0Vにして、皮膜の層厚が5μmとなるよう成膜を行った。この時、純Cuターゲットを使用する場合にはN雰囲気、c層の成膜に使用したターゲットを使用する場合はAr雰囲気中で成膜を行い、比較例No.22、No.23、No.24の被覆には3Pa、本発明例ならびに比較例No.21の被覆には13Paの圧力を用いた。
【0049】
また、従来例としては、前記イオン窒化処理後にTiN、CrN、(Ti0.50Al0.50)Nを、前記c層の被覆と同じ条件で成膜したものを用意した。
【0050】
得られたテストピースは、オリンパス光学株式会社製走査型レーザー顕微鏡OLS1000を用い、板状テストピース試験面の長さ3mmの領域について面粗さを測定した。その後、潤滑剤付着性の評価ならびに熱間焼付き試験を実施した。潤滑剤付着性の評価は、テストピースを300℃に加熱し、10%の濃度に調整した白色系潤滑剤(大同化学株式会社製ホットアクアルブ#300TK)水溶液を、距離470mm、噴霧量2.0ml/sで2秒噴霧した際の、試験片表面に付着した潤滑剤の単位面積あたりの重量にて評価を行った。
【0051】
熱間焼付き試験は、前述の円柱状テストピース一端部を、ボール盤のチャックに取り付け、1540rpmで回転させながら、相手材である600℃に加熱したSNCM439製の30mm×30mm、厚み20mmのブロックに、ある所定の面圧で押付け、最高40秒間摩擦摺動させた。この時、供試部材が摩擦発熱により座屈し、相手材に焼付いた面圧を焼付き限界面圧と見なし評価した。
【0052】
表2に各テストピースの被覆層の詳細と、潤滑剤付着性評価および熱間焼付き試験の結果を示す。なお、本発明の被覆層構成を満たさない比較例および従来例においては、その成膜されたa、b、c層の定義がし難いものではあるが、本発明との比較を分かり易くするための便宜上、表2の通りに示すものである。
【0053】
【表2】
Figure 0004547656
【0054】
表2に示すように、本発明例は、被覆層の構成ならび表面粗さが本発明の規定範囲を満足しているため、潤滑剤の付着性、熱間焼付き試験における焼付き限界面圧は、いずれも著しく優れていることがわかる。
【0055】
一方、比較例No.21は、a層の表面粗さが本発明に含まれるものであるため、潤滑剤の付着性には優れるものの、b層(硫化物層)が存在しないために焼付き限界荷重は極めて低い値となった。また、比較例No.22、23、24は、a層は存在しているものの、その表面粗さが本発明の規定範囲を外れるものであるため、比較例No.25、26は、a層(粗化面)が存在していないために、いずれも潤滑剤の付着性が著しく劣る結果となった。言うまでもなく、従来例の潤滑剤付着性ならびに焼付き限界面圧は、本発明例に比べ大幅に劣る。以上のことから、潤滑剤の付着性ならびに熱間における耐焼付き性の両特性を兼備するには、本発明を満足しなければならないことがわかる。
【0056】
なお、図3はa層被覆直後における本発明例No.2の表面SEM像であり、粒径で約1μmのこぶ状粒子によって表面が覆われていることが認められる。
【0057】
(実施例2)
次に、表2中の本発明例No.1、No.2、No.11、No.14、従来例No.32、No.33と同等の表面被覆層構成であるカップ成型用温間鍛造パンチを作製し、実金型における寿命で評価を行った。
【0058】
まず、表3に示す化学成分の高速度鋼ベースの靭性改良材を、金型近似形状に粗加工し、1080℃の油焼入れを行い、600℃の焼戻しにより55HRCに調質した。その後、仕上げ加工を行い、それぞれ実施例1と同様の条件で窒化処理ならびにPVD法による成膜を施した。なお、窒化・仕上げ後の表面より25μmの深さにおける硬さが、その500μmの深さにおける硬さより200HV0.2以上に硬化されていることは確認済みである。
【0059】
【表3】
Figure 0004547656
【0060】
上記にて作製された金型は、直径110mm、高さ300mmの寸法で、その先端部にカップ成型用パンチに加工が施されている。そして、1600tの鍛造プレスを用い、750℃に加熱したS45Cワークを温間鍛造成形した。表4に各パンチの寿命を示す。
【0061】
【表4】
Figure 0004547656
【0062】
本発明を適用したパンチは、従来例適用のパンチに比べ、工具寿命は3倍以上に向上した。また、本発明適用のパンチは、いずれも摩耗による損傷で寿命となったが、従来例適用のパンチは、早期にパンチ先端曲面部にかじりを発生した後、局部的にえぐれたように損傷が進行し寿命となった。以上のように、本発明を温間鍛造用パンチに適用することで、パンチの寿命は飛躍的に向上することが確認された。
【0063】
なお、実施例1および2においては、c層が窒化物の場合を例にして示したが、c層が炭化物もしくは炭窒化物、さらにはそれらを含む構成であっても、同様の効果が得られる。
【0064】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明で規定した表面被覆層構造を適用することにより、耐焼付き性、耐かじり性は著しく向上する。その結果、温熱間加工用工具として、耐摩耗性の改善が達成できるため、工具寿命を飛躍的に向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】各表面処理の試験片加熱温度と潤滑剤付着量の関係を示す図である。
【図2】試験片加熱温度300℃における表面粗さRzと潤滑剤付着量の関係を示す図である。
【図3】本発明例No.2の表面SEM像であり、本発明の一例を示す顕微鏡写真である。

Claims (5)

  1. 熱間ダイス鋼もしくは高速度鋼を母材とする、少なくとも作業面に被覆層を有す温熱間加工用工具であって、該被覆層の最表層は、表面粗さがRz:4〜15μmのa層であり、a層の直下には硫化物であるb層が存在し、かつTi、V、Cr、Al、Siから選んだ1種もしくは2種以上の金属元素が主体の窒化物、炭化物、炭窒化物の1種以上からなるc層が、母材直上にあることを特徴とする潤滑剤付着性および耐摩耗性に優れた温熱間加工用被覆工具。
  2. 該a層は、Ti、V、Cr、Al、Si、Cuの1種もしくは2種以上の金属元素を主体とし、層厚が2〜15μmであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤付着性および耐摩耗性に優れた温熱間加工用被覆工具。
  3. 硫化物である該b層は、金属組成のみの原子%で、Ti、Crの1種もしくは2種が合計で50%以下、実質的に残部Moであり、層厚が0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の潤滑剤付着性および耐摩耗性に優れた温熱間加工用被覆工具。
  4. 被覆層は物理蒸着法により被覆したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の潤滑剤付着性および耐摩耗性に優れた温熱間加工用被覆工具。
  5. 被覆母材最表面から25μmの深さにおける硬さが、母材最表面から500μmの深さにおける硬さに比べ、200HV0.2以上高いことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の潤滑剤付着性および耐摩耗性に優れた温熱間加工用被覆工具。
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