JP4546683B2 - ファクターVIIa阻害剤 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、下記式Iの化合物
【化3】
Figure 0004546683
(式中、R1、R2、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、r、sおよびtは、以下に示す意味を有する)に関する。式Iの化合物は価値ある薬理活性化合物である。これらは強い抗血栓症効果を示し、例えば血栓塞栓性疾患または再発狭窄症を治療または予防するのに適している。これらは血塊生成酵素であるファクターVIIa(F VIIa)の可逆性阻害剤であり、一般的に、ファクターVIIaの望ましくない活性が存在する状態、またはファクターVIIaの阻害が意図される状態を治癒または予防するために適用することができる。本発明はさらに、式Iの化合物の製造方法、その使用、特に医薬における活性成分としての使用、およびそれを含む医薬調製物に関する。
【0002】
血塊を形成する能力は生存にとって極めて重要である。血塊または血栓の形成は、通常は凝固カスケードを開始させる組織損傷の結果であり、傷の治癒において血流を遅れさせるか防止する効果を有する。組織損傷には直接に関連しないアテローム性動脈硬化症および炎症のような他の要因も、凝固カスケードを開始させることがある。一般的に、炎症と凝固カスケードとの間には関係が存在する。炎症メディエイタは凝固カスケードを調節し、凝固成分は炎症メディエイタの産生および活性に影響を与える。しかしながら、ある種の疾患状態においては循環系内での血塊の形成が望ましくない程度に達し、それ自体が罹患状態の原因であり、病理的結果をもたらす可能性がある。それにもかかわらず、このような疾患状態において血塊形成系を完全に阻害することは、生命を脅かす出血が続いて起こるであろうから、望ましくない。このような状態の治療においては血塊形成系へのバランスのとれた介入が必要であり、このような結果を達成するのに適する薬理活性を示す物質が依然として要求されている。
【0003】
血液凝固は次第に増幅される一連の酵素活性化反応を伴う複合した過程であり、これらの反応において血漿酵素原が制限されたタンパク質分解により連続的に活性化される。機械論的には血液凝固カスケードは内因性および外因性の経路に分類されており、これらの経路はファクターXの活性化に集束する。これに続くトロンビンの生成は一つの共通経路によって進行する(スキーム1参照)。知られた証拠は、内因性経路がフィブリン形成の維持および発展において重要な役割を演じる一方で、外因性経路は血液凝固の初期段階において決定的であることを示唆している(H. Cole, Aust. J. Med. Sci. 16 (1995) 87-93; G. J. Broze, Blood Coagulation and Fibrinolysis 6, 補追 1 (1995) S7-S13)。血液凝固はファクターVIIa/組織ファクター(TF)複合体が形成されたときに物理的に開始されることが、一般的に認められている。この複合体ははいったん形成されると、ファクターIXおよびXを活性化することにより凝固を急速に開始させる。新たに生成した活性化されたファクターX、すなわちファクターXaは、次いでファクターVaとリン脂質との1対1複合体を形成してプロトロンビナーゼ複合体を生成させ、この複合体は、トロンビンをその前駆体プロトロンビンから活性化することにより、可溶性フィブリノーゲンを不溶性フィブリンに変換する原因である。時間が経過するにつれて、ファクターVIIa/組織因子複合体の活性(外因性経路)は、Kunitz−型プロテアーゼ阻害剤タンパク質、TFPIにより抑制され、これはファクターXaに複合すると、ファクターVIIa/組織因子のタンパク質分解活性を直接阻害することができる。
【0004】
【化4】
Figure 0004546683
【0005】
阻害された外因性系の存在下に凝固過程を維持するために、内因性経路のトロンビン−媒介活性を介して追加のファクターXaが産生される。このように、トロンビンは二重の自己触媒的役割を演じ、すなわちそれ自身の産生を媒介し、そしてフィブリノーゲンをフィブリンに変換する。トロンビン生成の自己触媒的性質は、制御できない出血に対する重要なセーフガードであり、この性質は、プロトロンビナーゼの所定の閾値レベルが存在するとき、血液凝固が終結するまで進行することを保証する。従って、トロンビンを直接阻害することなく、しかし凝固カスケードの他の段階、例えばファクターVIIa活性を阻害することによって凝固を阻害する薬剤を開発することが最も望ましい。
【0006】
多くの臨床適用おいて、血管内血塊の予防または若干の抗凝固剤治療に対して大きな要望がある。例えば、全股関節置換術を受けた患者のほぼ50%が深静脈血栓症(DVT)を発症する。ヘパリンおよびその誘導体のような現在利用可能な薬剤は、多くの特定の臨床適用において充分でない。現在認可されている治療法としては、固定用量の低分子量ヘパリン(LMWH)および可変用量ヘパリンが挙げられる。これらの薬剤治療法式を用いてさえも、患者の10%〜20%がDVTを発症し、5%〜10%が出血性合併症を発症する。
【0007】
より良好な抗凝固剤が必要とされる別の臨床状況は、経管的冠動脈形成術を受ける被験者および心筋梗塞の危険がある被験者またはクレッシェンド狭心症を患う被験者に関係する。ヘパリンおよびアスピリンの投与からなる従来から認められている現在の治療法は、処置の24時間以内に6%〜8%の突然の血管閉塞率を伴う。ヘパリンを使用したために還流治療を必要とする出血性合併症率も約7%である。さらに、遅れた閉塞は重大であるが、処置終了後のヘパリン投与はほとんど価値がなく、有害な場合もある。
【0008】
広く使用されている血塊形成阻害剤、例えばヘパリン、およびLMWHおよびヘパリンスルフェートのような関連する硫酸化ポリサッカライドは、血塊形成過程の天然調節剤である抗トロンビンIIIがトロンビンおよびファクターXaに結合するのを促進させることにより、それらの抗血塊形成効果を発揮する。ヘパリンの阻害活性は主としてトロンビンに向けられ、これはファクターXaよりも約100倍速く不活性化される。ヒルジンおよびヒルログ(hirulog)は、現在の臨床トライアルにおける二つの追加のトロンビン特異的抗凝固剤である。しかしながら、トロンビンを阻害するこれらの抗凝固剤も出血性合併症を伴う。ヒヒおよびイヌにおける前臨床的研究は、凝固カスケードの早期段階で関係する標的酵素、例えばファクターXaまたはファクターVIIaが、直接のトロンビン阻害剤で観察される出血性副作用を生じることなく、血塊形成を防止することが示されている(L. A. Harker ら, Thromb. Hemostas. 74 (1995) 464-472)。ファクターXaを特異的に阻害することにより血塊形成を阻害するある種のペプチドおよびペプチド類似体は、例えば WO-A-95/29189 に開示されている。
【0009】
モノクローナル抗体(WO-A-92/06711)またはクロロメチルケトン不活性化ファクターVIIaのようなタンパク質(WO-A-96/12800 および WO-A-97/47651)を用いてファクターVIIa/組織ファクター触媒的複合体を特異的に阻害することは、急性動脈外傷または細菌性敗血症に関連する血栓性合併症に起因する血栓形成を制御する極めて有効な手段である。ファクターVIIa/組織ファクター活性の阻害が、バルーン血管形成術に続く再発狭窄症を防止することを示唆する実験的証拠もある(L. A. Harker ら, Haemostasis 26 (1996) S1:76-82)。出血の研究がヒヒにおいて行われ、ファクターVIIa/組織ファクター複合体の阻害が、トロンビン、血小板およびファクターXa阻害剤を含む試験した抗凝固剤アプローチの治療的有効性および出血の危険性に関して、最も広い安全性ウィンドウを有することを示している(L. A. Harker ら, Thromb. Hemostas. 74 (1995) 464-472)。
【0010】
好ましい特性プロフィールを有するファクターVIIaの特異的阻害剤は、医療の実施において実質的な実用的価値を有するであろう。特にファクターVIIa阻害剤は、ヘパリンおよび関連する硫酸化ポリサッカライドのような現存する薬剤の選択が無効であるかまたは限界的にしか有効でない状況では効果的であろう。ある種のファクターVIIa阻害剤は、例えば WO-A-89/09612 に既に記載されている。EP-A-987274 には、ファクターVIIaを阻害するトリペプチドを含有する化合物が開示されている。しかしながら、これらの化合物の特性プロフィールは依然として理想的でないので、効果的でありかつ望ましくない副作用を引き起こさない他の低分子量のファクターVIIa−特異的血塊形成阻害剤に対する要求がある。本発明は、式Iの新規なファクターVIIa活性阻害化合物を提供することにより、この要求を満足させる。
【0011】
従って本発明の主題は、下記式Iの化合物
【化5】
Figure 0004546683
(式中、
rは、0、1、2または3であり;
sは、0、1、2、3または4であり;
tは、0、1または2であり;
【0012】
1は、水素、R11−CO−およびR12−SO2−からなる系から選択され;
11は、水素、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−、Het−(C1〜C4)−アルキル−、(C1〜C8)−アルキルオキシ−、(C6〜C14)−アリールオキシ−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシ−、アミノ、(C1〜C8)−アルキルアミノ−、(C6〜C14)−アリールアミノ−および (C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルアミノ−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
12は、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−、Het−(C1〜C4)−アルキル−、ジ((C1〜C8)−アルキル)アミノ−およびジ((C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル)アミノ−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
【0013】
2は、水素、R21(R22)CH−、R23−Het−(CH2)k−、R23(R24)N−(CH2)m−D−(CH2)n−またはR25(R26)N−CO−(CH2)p−D−(CH2)q−であり、ここで、Dは、2価の残基−C(R31)(R32)−、2価の(C6〜C14)−アリーレン残基、または5〜10個の環原子(その1、2、3または4個は、窒素、酸素および硫黄からなる系から選択される同一または異なる環ヘテロ原子である)を含む芳香族基Hetから誘導される2価の残基であり、数k、m、n、pおよびqは、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、0、1、2、3、4または5であり、ただし、Dが−C(R31)(R32)−である場合、m+nの合計は0であることができず、p+qの合計は0であることができず;
21およびR22は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、水素、(C1〜C12)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−およびHet−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、またはR40、(C1〜C8)−アルキルアミノ−、ジ−((C1〜C8)−アルキル)−アミノ−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルアミノ−、(C6〜C14)−アリールアミノ−、アミノカルボニル−およびアミノカルボニル−(C1〜C8)−アルキル−からなる系からの1個またはそれ以上の同一または異なる置換基で置換されており;
【0014】
またはR21およびR22は、これらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の3員〜8員の炭素環式環を形成し、この環は1個または2個の環系[これらの環系は、5〜10個の環原子(その1、2または3個は、窒素、酸素および硫黄からなる系から選択される同一または異なるヘテロ原子である)を含むヘテロ芳香族環、および/または (C6〜C10)炭素環式芳香族環である]に縮合していてもよく、ここで、形成された基R21(R22)CH−は非置換であるか、またはR40、(C1〜C8)−アルキルアミノ−、ジ−((C1〜C8)−アルキル)−アミノ−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルアミノ−、(C6〜C14)−アリールアミノ−、アミノカルボニル−およびアミノカルボニル−(C1〜C8)−アルキル−からなる系からの1個またはそれ以上の同一または異なる置換基で置換されており;
【0015】
23は、水素、R27−SO2−またはR28−CO−であり;
24は、水素、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリールおよび (C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され;
25およびR26は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、水素、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−およびHet−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
27は、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−、Het−(C1〜C4)−アルキル−、アミノ、(C1〜C8)−アルキルアミノ−、ジ−((C1〜C8)−アルキル)アミノ−、(C6〜C14)−アリールアミノ−および(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルアミノ−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
【0016】
28は、R27、(C1〜C8)−アルキルオキシ−、(C6〜C14)−アリールオキシ−および (C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシ−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
31およびR32は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、水素、(C1〜C12)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−およびHet−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
40は、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1〜C8)−アルキルオキシ−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C8)−アルキルオキシ−、(C6〜C14)−アリールオキシ−、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C8)−アルキル、(C1〜C8)−アルキルスルホニル−、トリフルオロメチル、アセチルアミノ−、アミノ、アミジノ、グアニジノ、オキソ、ニトロおよびシアノからなる系から選択され、ここで、基R40は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく;
【0017】
91、R92およびR93は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、水素、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、HetおよびHet−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され;
94は、(C1〜C4)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、アミノ、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(C1〜C4)−アルキルオキシ−からなる系から選択され、ここで、基R94は互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、
95は、アミジノ、グアニジノ、((C1〜C4)−アルキル)オキシカルボニルアミジノ−、((C1〜C4)−アルキル)オキシカルボニルグアニジノ−およびヒドロキシアミジノからなる系から選択され;
96は、水素、R98−(C1〜C8)−アルキル−、R98−(C6〜C14)−アリール−、R98−(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、R98−Het−およびR98−Het−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され;
【0018】
97は、R99−(C1〜C8)−アルキル−、R99−(C6〜C14)−アリール−、R99−(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、R99−Het−およびR99−Het−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され;
98およびR99は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルオキシカルボニル−、(C6〜C14)−アリールオキシカルボニル−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシカルボニル−、アミノカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルアミノカルボニル−、テトラゾリル、−P(O)(OH)2、−S(O)2OHおよび−S(O)2NH2からなる系から選択され;
Hetは、3〜10個の環原子(その1、2、3または4個は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される同一または異なるヘテロ原子である)を含む飽和、部分飽和または芳香族の単環式または二環式のヘテロ環式環系である)であって、その全ての立体異性体形態およびこれらの任意の割合の混合物、およびその生理的に許容される塩である。
【0019】
式Iの化合物に数回存在しうる全ての残基、例えば残基R40、R94またはHetは、それぞれ互いに独立しており、上記の意味を有し、それぞれの場合に同一でも異なっていてもよい。
【0020】
本明細書において使用されるように、アルキルという用語は、線状すなわち直鎖状であっても、分岐状であってもよく、そして非環式または環式の残基であってもよく、または非環式または環式のサブ単位の任意の組み合わせを含んでいてもよい炭化水素残基を意味すると、最も広い意味に理解すべきである。さらに、アルキルという用語は、本明細書において用いられるように、飽和基ならびに不飽和基を明白に包含し、後者の基は1個またはそれ以上、例えば1、2または3個の二重結合および/または三重結合を含有し、ただし、二重結合は、環式アルキル基内に芳香族系を生じさせるような様式では位置しない。これら全ての記述は、アルキル基が置換基を有するか、または別の残基、例えばアルキルオキシ残基、アルキルオキシカルボニル残基またはアリールアルキル残基に置換基として存在する場合にも適用される。1〜20個の炭素原子を有するアルキル残基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびエイコシル、これら全ての残基のn−異性体、イソプロピル、イソブチル、1−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、イソヘキシル、2,3,4−トリメチルヘキシル、イソデシル、sec−ブチル、tert−ブチルまたはtert−ペンチルである。
【0021】
不飽和アルキル残基は、例えばアルケニル残基、例えばビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(=アリル)、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、5−ヘキセニルまたは1,3−ペンタジエニル、またはアルキニル残基、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル(=プロパルギル)または2−ブチニルである。アルキル残基は、これらが置換されている場合は不飽和であってもよい。
【0022】
環式アルキル残基の例は、3、4、5、6、7または8個の環炭素原子を含むシクロアルキル残基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルであり、これらもまた置換および/または非置換であってもよい。不飽和環式アルキル基および不飽和シクロアルキル基、例えばシクロペンテニルまたはシクロヘキセニルのような基は、どの炭素原子を介して結合していてもよい。アルキルという用語は、本明細書において使用されるように、シクロアルキル−置換アルキル基、例えばシクロプロピルメチル−、シクロブチルメチル−、シクロペンチルメチル−、シクロヘキシルメチル−、シクロヘプチルメチル−、シクロオクチルメチル−、1−シクロプロピルエチル−、1−シクロブチルエチル−、1−シクロペンチルエチル−、1−シクロヘキシルエチル−、1−シクロヘプチルエチル−、1−シクロオクチルエチル−、2−シクロプロピルエチル−、2−シクロブチルエチル−、2−シクロペンチルエチル−、2−シクロヘキシルエチル−、2−シクロヘプチルエチル−、2−シクロオクチルエチル−、3−シクロプロピルプロピル−、3−シクロブチルプロピル−、3−シクロペンチルプロピル−、3−シクロヘキシルプロピル−、3−シクロヘプチルプロピル−、3−シクロオクチルプロピル−などであり、これらの基において、シクロアルキルサブ基ならびに非環式サブ基もまた¨置換および/または非置換であってもよい。
【0023】
もちろん、環式アルキル基は少なくとも3個の炭素原子を含む必要があり、不飽和アルキル基は少なくとも2個の炭素原子を含む必要がある。従って、(C1〜C8)−アルキルのような基は、数ある中で、飽和の非環式(C1〜C8)−アルキル、(C3〜C8)−シクロアルキル、炭素原子の総数が4〜8の範囲であってよいシクロアルキル−アルキル基、例えば(C3〜C7)−シクロアルキル−(C1〜C5)−アルキル、および不飽和(C2〜C8)−アルキル、例えば(C2〜C8)−アルケニルまたは(C2〜C8)−アルキニルを含むものと理解すべきである。同様に(C1〜C4)−アルキルのような基は、数ある中で、飽和の非環式(C1〜C4)−アルキル、(C3〜C4)−シクロアルキル、シクロプロピル−メチル−、および不飽和(C2〜C4)−アルキル、例えば(C2〜C4)−アルケニルまたは(C2〜C4)−アルキニルを含むものと理解すべきである。
【0024】
別に述べない限り、アルキルという用語は、好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する線状または分岐状であってよい非環式の飽和炭化水素残基、2〜6個の炭素原子を有する線状または分岐状であってよい非環式の不飽和炭化水素残基、例えば(C2〜C6)−アルケニルおよび(C2〜C6)−アルキニル、および3〜8個の環炭素原子、特に3〜6個の環炭素原子を有する環式アルキル基を含む。不飽和の非環式アルキル残基の個々の基は、(C1〜C4)−アルキル残基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルによって形成される。
【0025】
アルキル基に関する上記の記述は、1価の残基に適用されるだけでなく、2価の残基、例えばアルカンジイル基、アルキレン基またはポリメチレン基にも同様に適用され、その例はメチレン、1,2−エチレン(=エタン−1,2−ジイル)、1,1−エチレン(=1−メチル−メチレン)、1−イソブチル−メチレン、1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、2−ブテン−1,4−ジイル、1,2−シクロプロピレン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレンまたは 1,4−シクロヘキシレンである。
【0026】
別に述べない限り、また式Iの化合物の定義において示されるアルキル基に結合した特定の置換基とは無関係に、アルキル基は、一般的に、非置換であってもよく、または1個またはそれ以上、例えば1、2、3または4個の同一または異なる置換基で置換されていてもよい。置換アルキル残基に存在する全ての種類の置換基は、その置換が不安定な分子を生じさせない限り、任意の所望の位置に存在することができる。置換アルキル残基の例は、1個またはそれ以上、例えば1、2、3、4または5個の水素原子がハロゲン原子、特に弗素原子で置換されたアルキル残基である。
【0027】
置換シクロアルキル基の例は、置換基として1個またはそれ以上、例えば1、2、3または4個の同一または異なる非環式アルキル基、例えば非環式(C1〜C4)−アルキル基、例えばメチル基を有するシクロアルキル基である。置換シクロアルキル基の例は、4−メチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシルまたは2,3−ジメチルシクロペンチルである。
【0028】
アリールという用語は、共役pi電子系を有する少なくとも1個の炭素環式環が存在する単環式または多環式の炭化水素残基を指す。(C6〜C14)−アリール残基には6〜14個の環炭素原子が存在する。(C6〜C14)−アリール残基の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、フルオレニルまたはアントラセニルである。(C6〜C10)−アリール残基の例は、フェニルまたはナフチルである。別に述べない限り、また式Iの化合物の定義において示されるアリール基に結合した特定の置換基とは無関係に、例えばフェニル、ナフチルおよびフルオレニルを包含するアリール残基は、一般的に、非置換であってもよく、または1個またはそれ以上、例えば1、2、3または4個の同一または異なる置換基で置換されていてもよい。アリール残基は任意の所望の位置を介して結合していてよく、置換アリール残基における置換基は任意の所望の位置に存在することができる。
【0029】
モノ置換フェニル残基において、この置換基は2−位、3−位または4−位に存在することができ、3−位および4−位が好ましい。フェニル基が2個の置換基を有する場合、これらは2,3−位、2,4−位、2,5−位、2,6−位、3,4−位および3,5−位に存在することができる。3個の置換基を有するフェニル残基において、これらの置換基は2,3,4−位、2,3,5−位、2,3,6−位、2,4,5−位、2,4,6−位および3,4,5−位に存在することができる。ナフチル残基は1−ナフチルおよび2−ナフチルであってよい。置換ナフチル残基において、置換基は任意の位置に、例えばモノ置換1−ナフチル残基では2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−位に、そして置換2−ナフチル残基では1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−位に存在することができる。ビフェニリル残基は2−ビフェニリル、3−ビフェニリルまたは4−ビフェニリルであってよい。フルオレニル残基は1−、2−、3−、4−または9−フルオレニルであってよい。9−位を介して結合したモノ置換フルオレニル残基において、この置換基は1−、2−、3−または4−位に存在することができる。

【0030】
別に述べない限り、置換アリール基に存在できる置換基は、例えば(C1〜C8)−アルキル、特に(C1〜C4)−アルキル、例えばメチル、エチルまたは tert−ブチル、ヒドロキシ、(C1〜C8)−アルキルオキシ、特に(C1〜C4)−アルキルオキシ、例えばメトキシ、エトキシまたは tert−ブトキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、F、Cl、Br、I、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシメチル、ホルミル、アセチル、アミノ、モノ−またはジ−(C1〜C4)−アルキルアミノ、((C1〜C4)−アルキル)カルボニルアミノ、例えばアセチルアミノ、ヒドロキシカルボニル、((C1〜C4)−アルキルオキシ)カルボニル、カルバモイル、場合により置換されたフェニル、場合によりフェニル基において置換されたベンジル、場合により置換されたフェノキシまたは場合によりフェニル基において置換されたベンジルオキシである。式Iの化合物の特定の位置に存在しうる置換アリール基は、他のアリール基とは独立して、前記の列挙した置換基の、および/またはその基の定義中の、任意の所望のサブ基から選択される置換基で置換されていてもよい。例えば、置換アリール基は、(C1〜C4)−アルキル、ヒドロキシ、(C1〜C4)−アルキルオキシ、F、Cl、Br、I、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、フェニル、ベンジル、フェノキシおよびベンジルオキシからなる群からの1個またはそれ以上の同一または異なる置換基で置換されていてもよい。好ましくは、式Iの化合物には2個以下のニトロ基が存在する。
【0031】
アリール基に関する上記の記述は、アリール基から誘導される2価の残基、すなわちアリーレン基、例えばフェニレン(これは非置換または置換1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンであってよい)、またはナフタレンジイル(これは非置換または置換1,2−ナフタレンジイル、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、1,8−ナフタレンジイル、2,3−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイルまたは2,7−ナフタレンジイルであってよい)にも同様に適用される。上記の記述は、アリールアルキル−基におけるアリールサブ基にも同様に適用される。アリールアルキル−基(これらも非置換であってもよく、またはアリールサブ基ならびにアルキルサブ基において置換されていてもよい)の例は、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、1−メチル−3−フェニル−プロピル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、1−(1−ナフチル)エチル、1−(2−ナフチル)エチル、2−(1−ナフチル)エチル、2−(2−ナフチル)エチルまたは9−フルオレニルメチルである。これら全ての説明は、基R21およびR22およびこれらの基が結合している炭素原子によって形成される環に縮合(または融合)していてもよい芳香族環にも同様に適用される。
【0032】
基Hetは、親の単環式または二環式のヘテロ環式環系に3、4、5、6、7、8、9または10個の環原子を有する基を含む。単環式基Hetにおいて、ヘテロ環式環は好ましくは3−員、4−員、5−員、6−員または7−員の環、特に好ましくは5−員または6−員の環である。二環式基Hetにおいて、二つの融合した環が存在し、その一方は5−員環または6−員ヘテロ環式環であり、その他方は5−員または6−員のヘテロ環式環または炭素環式環であり、すなわち二環式環Hetは好ましくは8、9または10個の環原子、特に好ましくは9または10個の環原子を有する。
【0033】
Hetは、得られる系が安定である限り、環系中に二重結合を含まないヘテロ環式系、ならびに環中に1個またはそれ以上、例えば1、2、3、4または5個の二重結合を含むモノ−不飽和またはポリ−不飽和のヘテロ環式環系を包含する。不飽和環は非芳香族であっても芳香族でであってもよく、すなわち基Hetにおける環中の二重結合は、共役pi電子系が生じるような様式で配列していることができる。不飽和環は非芳香族であっても芳香族であってもよく、すなわち基Hetにおける二重結合は、共役pi電子系が生じるような様式で配置していることができる。基Het中の芳香族環は5−員または6−員の環であってよく、すなわち基Het中の芳香族基は5〜10個の環原子を含んでいる。従って基Het中の芳香族環は、5−員または6−員の単環式ヘテロ環、および2個の5−員環、1個の5−員環と1個の6−員環、または2個の6−員環からなる二環式ヘテロ環を含む。基Het中の二環式芳香族基において、一方または両方の環はヘテロ原子を含むことができる。芳香族基Hetはまた、慣用語でヘテロアリールと呼ばれることもあり、これについては、Hetに関する上記および下記の全ての定義および説明が同様に適用される。これら全ての説明は、基R21およびR22およびこれらの基が結合している炭素原子によって形成される環に縮合(または融合)していてもよいヘテロ芳香族環にも同様に適用される。
【0034】
別に述べない限り、基Hetおよび他のヘテロ環式基には、好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる系列からの1、2、3または4個の同一または異なる環ヘテロ原子が存在する。特に好ましくは、これらの基には、窒素、酸素および硫黄からなる群からの1または2個の同一または異なるヘテロ原子が存在する。環ヘテロ原子は、生成するヘテロ環系が当該技術において公知であり、そして医薬化合物におけるサブ基として安定かつ好適である限り、任意の所望の数で存在することができ、また互いに対して任意の所望の位置に存在することができる。基Hetを誘導できるヘテロ環の親構造の例は、アジリジン、オキシラン、アゼチジン、ピロール、フラン、チオフェン、ジオキソール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラン、チオピラン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、アゼピン、1,2,−ジアゼピン、1,3−ジアゼピン、1,4−ジアゼピン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、1,3−ベンゾジオキソール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、クロマン、イソクロマン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ピリドイミダゾール、ピリドピリジン、ピリドピリミジン、プリン、プテリジンなど、ならびに列記したヘテロ環から炭素環式環の融合(または縮合)により生じる環系から、例えばこれらのヘテロ環のベンゾ−融合、シクロペンタ−融合、シクロヘキサ−融合またはシクロヘプタ−融合誘導体から生じる環系である。
【0035】
前記で列記したヘテロ環の名称の多くが不飽和または芳香族環の化学名であるという事実は、基Hetがそれぞれの不飽和環系からだけ誘導できることを意味するものではない。ここで挙げた名称は、これらの環系を環の大きさおよびヘテロ原子の数およびそれらの相対的位置に関して説明するためにだけ役立つ。上記で説明したように、基Hetは飽和または部分不飽和または芳香族であってよく、従って上記で列記したヘテロ環それ自体からだけでなく、適切ならばそれらの全ての部分水素化または完全水素化類似体から、そしてまたより高度不飽和のそれらの類似体からも誘導することができる。基Hetを誘導できる前記で列記した部分水素化または完全水素化類似体の例としては、次のものを挙げることができる:ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、2−イミダゾリン、イミダゾリジン、4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール、1,3−オキサゾリジン、4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール、1,3−チアゾリジン、パーヒドロ−1,4−ジオキサン、ピペラジン、パーヒドロ−1,4−オキサジン(=モルホリン)、パーヒドロ−1,4−チアジン(=チオモルホリン)、パーヒドロアゼピン、インドリン、イソインドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンなど。
【0036】
残基Hetは任意の環炭素原子を介して結合していてもよく、窒素ヘテロ環の場合は任意の環窒素原子を介して結合していてもよい。従って例えば、ピロリル残基は1−ピロリル、2−ピロリルまたは3−ピロリルであってよく、ピロリジニル残基は1−ピロリジニル(=ピロリジノ)、2−ピロリジニルまたは3−ピロリジニルであってよく、ピリジル残基は2−ピリジル、3−ピリジルまたは4−ピリジルであってよく、ピペリジニル残基は1−ピペリジニル(=ピペリジノ)、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルまたは4−ピペリジニルであってよい。フリルは2−フリルまたは3−フリルであってよく、チエニルは2−チエニルまたは3−チエニルであってよく、イミダゾリルは1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリルまたは5−イミダゾリルであってよく、1,3−オキサゾリルは1,3−オキサゾール−2−イル、1,3−オキサゾール−4−イルまたは1,3−オキサゾール−5−イルであってよく、1,3−チアゾリルは1,3−チアゾール−2−イル、1,3−チアゾール−4−イルまたは1,3−チアゾール−5−イルであってよく、ピリミジニルは2−ピリミジニル、4−ピリミジニル(=6−ピリミジニル)または5−ピリミジニルであってよく、ピペラジニルは1−ピペラジニル(=4−ピペラジニル=ピペラジノ)または2−ピペラジニルであってよい。インドリルは1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリルまたは7−インドリルであってよい。同様にベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリルおよびベンゾチアゾリル残基は、2−位を介して、および4−位、5−位、6−位および7−位のいずれを介して結合していてもよく、またベンズイミダゾリルは1−位を介して結合していてもよい。キノリルは2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリルまたは8−キノリルであってよく、イソキノリルは1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリルまたは8−イソキノリルであってよい。キノリルおよびイソキノリルについて示した位置のいずれかを介した結合に加えて、1,2,3,4−テトラヒドロキノリルおよび1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリルは、それぞれ1−位および2−位の窒素原子を介して結合していてもよい。
【0037】
別に述べない限り、また式Iの化合物の定義で示した基Hetまたは他のヘテロ環式基に結合した特定の置換基とは無関係に、基Hetは非置換であってもよく、または環炭素原子において1個またはそれ以上、例えば1、2、3、4または5個の同一または異なる置換基、例えば(C1〜C8)−アルキル、特に(C1〜C4)−アルキル、(C1〜C8)−アルキルオキシ、特に(C1〜C4)−アルキルオキシ、(C1〜C4)−アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、((C1〜C4)−アルキル)カルボニルアミノ、例えばアセチルアミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、オキソ、ヒドロキシ−(C1〜C4)−アルキル、例えばヒドロキシメチルまたは 1−ヒドロキシエチルまたは 2−ヒドロキシエチル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、メチルスルホニル、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、(C1〜C4)−アルキルオキシカルボニル、場合により置換されたフェニル、場合により置換されたフェノキシ、場合によりフェニル基において置換されたベンジル、場合によりフェニル基において置換されたベンジルオキシなどで置換されていてもよい。これらの置換基は、安定な分子が生成する限り、任意の所望の位置に存在することができる。もちろん、オキソ基は芳香族環に存在することはできない。基Hetにおける各好適な環窒素原子は、互いに独立して、非置換であってもよく、すなわち水素原子を有していてもよく、置換されていてもよく、すなわち置換基、例えば(C1〜C8)−アルキル、例えばメチルまたはエチルのような(C1〜C4)−アルキル、場合により置換されたフェニル、場合によりフェニル基において置換されたフェニル−(C1〜C4)−アルキル、例えばベンジル、例えば2−ヒドロキシエチルのようなヒドロキシ−(C2〜C4)−アルキル、アセチルまたは別のアシル基、メチルスルホニルまたは別のスルホニル基、アミノカルボニル、(C1〜C4)−アルキルオキシカルボニルなどで置換されていてもよい。窒素ヘテロ環はまた、N−オキシドまたは4級塩として存在することもできる。硫黄環原子はスルホキシドまたはスルホンに酸化されていてもよい。従って、例えばテトラヒドロチエニル残基はS,S−ジオキソテトラヒドロチエニル残基として存在でき、またはチオモルホリニル残基、例えば4−チオモルホルニルは1−オキソ−4−チオモルホルニルまたは1,1−ジオキソ−4−チオモルホルニルとして存在できる。式Iの化合物の特定位置に存在できる置換された基Hetは、他の基Hetとは独立して、前記で列挙した置換基の、および/またはその基の定義中の、任意の所望のサブ基から選択される置換基で置換されていてもよい。
【0038】
残基Hetに関する説明は、2価のヘテロ芳香族残基を包含する2価の残基Hetにも同様に適用され、これらの残基は任意の2個の環炭素原子を介して、窒素ヘテロ環の場合は任意の炭素原子および任意の好適な環窒素原子を介して、または任意の2個の窒素原子を介して結合していてもよい。例えば、ピリジンジイル残基は2,3−ピリジンジイル、2,4−ピリジンジイル、2,5−ピリジンジイル、2,6−ピリジンジイル、3,4−ピリジンジイルまたは3,5−ピリジンジイルであってよく、ピペリジンジイル残基は、数ある中で、1,2−ピペリジンジイル、1,3−ピペリジンジイル、1,4−ピペリジンジイル、2,3−ピペリジンジイル、2,4−ピペリジンジイルまたは3,5−ピペリジンジイルであってよく、ピペラジンジイル残基は、数ある中で、1,3−ピペラジンジイル、1,4−ピペラジンジイル、2,3−ピペラジンジイル、2,5−ピペラジンジイルなどであってよい。上記の記述は、基Het−アルキル−におけるHetサブ基にも同様に適用される。このような基Het−アルキル−(これらは非置換であってもよく、またはHetサブ基ならびにアルキルサブ基において置換されていてもよい)の例は、(2−ピリジル)メチル、(3−ピリジル)メチル、(4−ピリジル)メチル、2−(2−ピリジル)エチル、2−(3−ピリジル)エチルまたは2−(4−ピリジル)エチルである。
【0039】
ハロゲンは弗素、塩素、臭素または沃素、好ましくは弗素、塩素または臭素、特に好ましくは塩素または臭素である。
【0040】
式Iの化合物に存在する光学活性炭素原子は、互いに独立して、R立体配置またはS立体配置を有することができる。式Iの化合物は、純粋なエナンチオマーまたは純粋なジアステレオマーの形態、またはエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物の形態、例えばラセミ体の形態で存在することができる。本発明は、純粋なエナンチオマーおよびエナンチオマーの混合物、ならびに純粋なジアステレオマーおよびジアステレオマーの混合物に関する。本発明は、式Iの化合物の2種または3種以上の立体異性体の混合物を含み、またこれら混合物における全ての割合の立体異性体を含む。式Iの化合物がE異性体またはZ異性体(またはシス異性体またはトランス異性体)として存在できる場合、本発明は、純粋なE異性体および純粋なZ異性体、および全ての割合のE/Z混合物の両方に関する。本発明はまた、式Iの化合物の全ての互変異性体形態を含む。
【0041】
E/Z異性体を包含するジアステレオマーは、例えばクロマトグラフィーにより個々の異性体に分離することができる。ラセミ体は、慣用方法で、例えばキラル相上でのクロマトグラフィーにより、または分割、例えば光学活性な酸または塩基を用いて得られるジアステレオマー塩の結晶化により二つのエナンチオマーに分離することができる。立体化学的に一様な式Iの化合物は、立体化学的に一様な出発材料の採用により、または立体選択的反応の使用により得ることもできる。
【0042】
R立体配置またはS立体配置を有する構造単位を式Iの化合物に導入する選択、または式Iの化合物にアミノ酸単位が存在する場合にD−アミノ酸またはL−アミノ酸と呼ばれる構造単位を導入する選択は、例えば式Iの化合物の望ましい特性に依存する。例えばD−アミノ酸構造単位を導入すると、インビトロまたはインビボでの増大した安定性を与えることができる。D−アミノ酸構造単位を導入して、化合物の薬理活性の望ましい上昇または低下を達成することもできる。場合によっては、化合物を短時間だけ活性にしておくことが望ましいことがある。このような場合、化合物にL−アミノ酸を導入すると、個体の内因性ペプチダーゼが化合物をインビボで消化するのを可能にし、これにより個体が活性化合物にさらされるのを制限することができる。同様の効果は、本発明の化合物において、別の構造単位の立体配置をS立体配置からR立体配置に、またはその逆に変換することによっても観察することができる。医療上の要求を考慮して、当業者は本発明の必要な化合物の望ましい特性、例えば好ましい立体化学を決定することができる。
【0043】
式Iの化合物の生理的に許容される塩は、生理的に容認される無毒性塩、特に製薬上利用可能な塩である。酸性基、例えばカルボキシ基COOHを含む式Iの化合物のこのような塩は、例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩、そしてまた生理的に許容される四級アンモニウムイオン、例えばテトラメチルアンモニウムまたはテトラエチルアンモニウムとの塩、およびアンモニアおよび生理的に許容される有機アミン、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミンまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの酸付加塩である。式Iの化合物に含まれる塩基性基、例えばアミノ基、アミジノ基またはグアニジノ基は、例えば、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸または燐酸、または有機カルボン酸およびスルホン酸、例えばギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、メタンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸との酸付加塩を形成する。塩基性基および酸性基、例えばアミジノ基およびカルボキシ基を同時に含む式Iの化合物は、両性イオン(ベタイン)として存在することもでき、これらも同様に本発明に包含される。
【0044】
式Iの化合物の塩は当業者に公知の慣用方法で、例えば式Iの化合物を無機または有機の酸または塩基と溶剤または分散剤中で化合させることにより、または他の塩から陽イオン交換または陰イオン交換により得ることができる。本発明はまた、低い生理的許容性のために医薬における使用に直接適しないが、例えば式Iの化合物をさらに化学的に改変するための中間体として、または生理的に許容される塩を製造するための出発材料として適する式Iの化合物の全ての塩を包含する。
【0045】
本発明はさらに、式Iの化合物の全ての溶媒和物、例えば水和物またはアルコールとの付加物を包含する。本発明はまた、式Iの化合物の誘導体および改変物、例えばプロドラッグ、保護された形態および他の生理的に許容される誘導体、例えばエステルおよびアミド、ならびに式Iの化合物の活性代謝物を包含する。このようなエステルおよびアミドは、例えば(C1〜C4)−アルキルエステル、非置換アミドまたは(C1〜C4)−アルキルアミドである。本発明は特に、生理的条件下で式Iの化合物に変換しうる式Iの化合物のプロドラッグおよび保護形態に関する。式Iの化合物のための好適なプロドラッグ、すなわち所望の様式で改善された、例えば溶解性、生物利用性または作用の持続時間に関する特性を有する式Iの化合物の化学的に改変された誘導体は、当業者に公知である。プロドラッグに関するより詳細な情報は、例えば Design of Prodrugs, H. Bundgaard (編), Elsevier, 1985; Fleisher ら, Advanced Drug Delivery Reviews 19 (1996) 115-130; または H. Bundgaard, Drugs of the Future 16 (1991) 443 のような標準的な文献(これらは全て参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。式Iの化合物のための好適なプロドラッグは、とりわけカルボン酸基のエステルプロドラッグおよびアミドプロドラッグ、そしてまたアシル化可能な窒素含有基、例えばアミノ基、アミジノ基およびグアニジノ基のアシルプロドラッグおよびカルバメートプロドラッグである。アシルプロドラッグおよびカルバメートプロドラッグにおいて、これらの基中の窒素原子上の1個またはそれ以上、例えば1または2個の水素原子がアシル基またはカルバメート基で置換されている。アシルプロドラッグおよびカルバメートプロドラッグのための好適なアシル基またはカルバメート基は、例えば基Rp1−CO−およびRp2O−CO−であり、ここで、Rp1は水素、(C1〜C18)−アルキル、(C3〜C18)−シクロアルキル、(C3〜C8)−シクロアルキル−(C1〜C4)−アルキル−、(C6〜C14)−アリール−、Het、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−またはHet−(C1〜C4)−アルキル−であり、Rp2は水素を除いてRp1について示した意味を有する。
【0046】
別の観点から、式Iの化合物を誘導体またはプロドラッグに変換するという概念は、式Iの化合物に存在する官能基、例えばアミノ基、アミジノ基、グアニジノ基、カルボキシ基などを保護または遮蔽することと考えることもできる。既に述べたように、本発明は全てのこのような保護された形態にも関する。これらについては、以下に例として多少とも詳細に説明する。
【0047】
例えば、本発明の化合物は、任意のアミノ基において、このアミノ基が置換基として例えばアセチル、シクロペンチルカルボニル、アリルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、ベンゾイルまたは他のこのような基(これらの基には場合により上記のようなさらなる置換基が存在していてもよい)を有するように、化学的に改変または保護されていることができる。アミノ基という用語は、本明細書において、1級または2級アミノ基を包含する全てのアシル化可能なアミノ基を指すために広い意味で用いられる。このようなアミノ基は、例えば式Iの化合物のN−末端に、またはアルキル基またはアリール基の置換基として、またはアミノ酸構造単位の側鎖、例えば基R96、R97またはR2の置換基として存在することができる。N−末端という用語は、ペプチドを表す従来法で記載して、式Iの化合物に存在する最初のアミノ酸単位のα−アミノ基、すなわち基R1(R91)Nを指す。具体的には、本発明の化合物のN−末端は、これにアミノ−保護基を結合させることにより保護することができる。
【0048】
本明細書において、保護基(またはブロッキング基)という用語は、アミノ基に存在する水素原子を置換できる従来の化学基、およびアミノ基とアミノ保護剤との反応により導入される従来の化学基を指すために広く用いられ、例えば本発明の化合物のN−末端に存在するα−アミノ基を包含する。アミノ−保護基は、そうしなければ反応性であるアミノ基を、例えば式Iの最終化合物に対するエキソペプチダーゼ活性のために生じることがあるだけでなく、合成手順中または化合物の貯蔵中に生じることがある望ましくない反応に対して保護する。既に述べたように、アミノ基の改変は、例えば化合物の溶解性または生物活性の増大を含む追加の利点を与えることもできる。種々のアミノ−保護基が当技術において公知であり、例えばアシル基、例えばホルミル、アセチル、ピコロイル、tert−ブチルアセチル、tert−ブチルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはベンゾイル基、ならびにそれ自体をアミノ−保護基で改変できるアミノアシル残基が挙げられる。他のアミノ−保護基は、例えば Gross および Meienhofer (編者), The Peptides, 3巻, Academic Press, 1981 または Greene および Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis 第2編, 309-405頁, John Wiley & Sons, 1991 に記載されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。式Iの化合物のN−末端アミノ基のこのような改変生成物は、N−末端誘導体と呼ばれる。
【0049】
式Iの化合物におけるアミノ基上の保護基に関する上記の説明は、アミジノ基およびグアニジノ基上の保護基にも同様に適用される。アミノ基におけるように、例えば残基R95を表すことができるこれら後者の基において、水素原子を、式Iの化合物の特性プロフィールを所望の様式で改善するために、例えばホルミル、((C1〜C4)−アルキル)カルボニル、((C1〜C4)−アルキル)オキシカルボニル、(C6〜C14)−アリールカルボニル、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシカルボニルのような基で置換することができる。
【0050】
同様に本発明の化合物を、カルボキシ−保護基の導入により任意のカルボキシ基において化学的に改変することができる。保護基(またはブロッキング基)という用語は、本明細書において、カルボキシ基(COOH)の水素原子またはヒドロキシ基またはオキソ基または全カルボキシ基を置換できる従来の化学基を指すために広い意味で用いられる。保護された形態または改変された形態で有利に存在できるカルボキシ基は、例えばアルキル基またはアリール基の置換基、またはアミノ酸構造単位の側鎖、例えば基R96、R97およびR2の置換基として存在することができる。カルボキシ基は、例えばカルボキシ基またはエステルのようなその誘導体の従来の還元により保護または改変することができ、この還元はアルコール基CH2OHまたはアルデヒド基CHOに導き、これが基COOHを置換する。基COOHをエステル基に変換することにより、例えば経口用エステルの形成により、カルボキシ基を保護することもできる。経口用エステルは当技術で周知であり、例えばアルキルオキシメチルエステル、例えば(C1〜C4)−アルキルオキシメチルエステル、例えばメトキシメチル、エトキシメチル、イソプロポキシメチルエステルなど;1−(C1〜C4)−アルキルオキシエチルエステル、例えば 1−メトキシエチル、1−エトキシエチル、1−プロポキシエチル、1−イソプロポキシエチルエステルなど;2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イルメチルエステル、例えば5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イルメチル、5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イルメチルエステルなど;(C1〜C4)−アルキルチオメチルエステル、例えばメチルチオメチル、エチルチオメチル、イソプロピルチオメチルエステルなど;アシルオキシメチルエステル、例えばピパロイルオキシメチル、アセトキシメチルエステルなど;1−エトキシカルボニルメチルエステル;1−アシルオキシ−1−置換メチルエステル、例えば1−アセトキシエチル;3−フタリジルまたは5,6−ジメチル−3−フタリジルエステル;1−((C1〜C4)−アルキルオキシカルボニルオキシ)エチルエステル、例えば1−(エトキシカルボニルオキシ)エチルエステル;および1−((C1〜C4)−アルキルアミノカルボニルオキシ)エチルエステル、例えば1−(メチルアミノカルボニルオキシ)エチルエステルが挙げられる。カルボキシ基は、全カルボキシ基を2−チアゾリル、テトラゾリル、シクロヘキシルまたは別の基のような置換基で置換することによっても改変することができる。上記のようなカルボキシ−保護基は当技術において周知であり(例えば Greene および Wuts, 上記, 224-276頁参照、これは参照により本明細書に組み入れられる)、アミノ−保護基に関して上記で説明したような望ましくない反応に対してカルボキシ基を保護する。
【0051】
式Iの化合物に存在する−N(R92)−C(R96)(R97)−CO−単位はα−アミノ酸の残基を表し、この残基は個々のα−アミノ酸から、ペプチド化学に普通であるように、形式的にはN−末端アミノ基から水素原子を、C−末端カルボキシ基からヒドロキシ基を除去することにより得られる。従って基R96および/またはR97はα−アミノ酸の中心炭素原子に結合した基に相当すると考えることができ、すなわちα−モノ置換α−アミノ酸の場合、基R96は中心炭素原子に結合した水素原子に相当し、基R97はアミノ酸の側鎖に相当する。以下に概説するように、−N(R92)−C(R96)(R97)−CO−単位は、構造単位として式HN(R92)−C(R96)(R97)−COOHの個々のアミノ酸を採用することにより、式Iの化合物に合成的に導入することができる。−N(R92)−C(R96)(R97)−CO−単位を誘導できる親アミノ酸は、天然または合成アミノ酸であってよく、その例はAad、Asn、Asp、Gln、Glu、hGlnまたはGlnである。このようなアミノ酸における官能基は、保護された形態で存在することができるか、または誘導体化することができる。同様に、式Iの化合物に存在する−N(R91)−CH(−(CH2)−(置換フェニル))−CO−単位はα−アミノ酸の残基を表す。
【0052】
冒頭に記載したように定義される式Iの化合物のほかに、本発明の第二の主題はまた、全ての残基、基および数が、残基R98およびR99を除いて冒頭に記載したように定義され、残基R98およびR99が、本発明のこの第二の実施形態においては、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、水素、ヒドロキシカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルオキシカルボニル−、(C6〜C14)−アリールオキシカルボニル−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシカルボニル−、アミノカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルアミノカルボニル−、テトラゾリル、−P(O)(OH)2、−S(O)2OHおよび−S(O)2NH2からなる系から選択される式Iの化合物であって、その全ての立体異性体形態およびこれらの任意の割合の混合物、およびその生理的に許容される塩であるが、ただし、本発明のこの第二の実施形態においては、次の化合物、アセチル−(4−アミジノフェニルアラニル)−シクロヘキシルグリシル−(4−メチルピリジニウムメチル)アミド、アセチル−(4−アミジノフェニルアラニル)−シクロヘキシルグリシル−(2−(3−メチルピリジニウム)エチル)アミド、アセチル−(4−アミジノフェニルアラニル)−シクロヘキシルグリシル−(2−(4−メチルピリジニウム)エチル)アミド、アセチル−(4−アミジノフェニルアラニル)−シクロヘキシルグリシル−(4−アミジノベンジル)アミド、アセチル−(4−アミジノフェニルアラニル)−シクロヘキシルグリシル−(3−アミジノベンジル)アミドおよびアセチル−(4−アミジノフェニルアラニル)−シクロヘキシルグリシル−(1−(4−メチルピリジニウム)エチル)アミドは除外される。本発明のこの第二の実施形態については、上記および下記の説明、例えばアルキル基、アリール基またはヘテロ環式基に関する説明、またはこれらの化合物の塩または立体異性体形態に関する説明、ならびに好ましい指示的意味に関する説明が同様に適用される。本発明のこの第二の実施形態において、同一でも異なっていてもよいR98およびR99のもう一つの好ましい指示的意味は、水素である。本発明のこの第二の実施形態において、−N(R92)−C(R96)(R97)−CO−単位を誘導できる親アミノ酸の例としては、Aad、Ala、Asn、Asp、Gln、Glu、hAla、hGln、hGlu、His、hIle、hLeu、hPhe、hTrp、hTyr、Ile、Leu、Nle、Nva、Phe、Phg、Thi、Trp、Tyr、Val、tert−ブチルグリシン(Tbg)、ネオペンチルグリシン(Npg)、シクロヘキシルグリシン(Chg)、シクロヘキシルアラニン(Cha)、2−チエニルアラニン(Thia)、2,2−ジフェニルアミノ酢酸または2−(p−クロロフェニル)アミノ酢酸(Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], 15/1 および 15/2巻, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 1974 参照)を挙げることができ、これらのアミノ酸における官能基は保護された形態で存在できるか、または誘導体化することができる。
【0053】
式Iの化合物の構成要素は下記の好ましい指示的意味を有し、これらの構成要素は、他の要素の指示的意味とは独立して、下記の好ましい指示的意味を有することができる。
【0054】
数r、すなわち式Iに示すフェニル基と、アミノ基R1(R91)Nを有する炭素原子とを結合するポリメチレン鎖におけるCH2基の数は、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1、特に好ましくは1である。従って好ましくは、基−(CH2)r−は、直接結合または1個の基−CH2−または−CH2−CH2−、より好ましくは直接結合または−CH2−、特に好ましく基−CH2−である。
【0055】
数s、すなわち式Iに示すフェニル基上に存在する置換基R94の数は、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1、特に好ましくは0である。フェニル基上に存在する全ての置換基R94がハロゲン原子、特に弗素原子である場合、sのもう一つの好ましい意味は4である。置換基R94または基R95−(CH2)t−のいずれも結合していないフェニル基の位置は、水素原子を有する。例えばsが0である場合、フェニル基は、式Iの化合物に少なくとも存在する基R95−(CH2)t−および4個の水素原子を有する。基R95−(CH2)t−はフェニル環の任意の所望の位置に、すなわち2−位、3−位または4−位に存在することができる。好ましくは、基R95−(CH2)t−は3−位または4−位に存在し、より好ましくは4−位(基(CH2)rに対し)に存在する。置換基R94は、基R95−(CH2)t−で占められていないフェニル基の任意の所望の位置に存在することができる。従って、基R95−(CH2)t−が4−位に存在し、sが1である場合、単一の置換基R94は2−位または3−位に存在することができ、3−位が好ましい。基R95−(CH2)t−が3−位(基(CH2)rに対し)に存在し、sが1である場合、単一の置換基R94は2−位、4−位、5−位または6−位に存在することができ、4−位が好ましい。基R95−(CH2)t−が4−位に存在し、sが2である場合、2個の置換基R94は2,3−位、2,5−位、2,6−位または3,5−位に存在することができ、3,5−位が好ましい。
【0056】
数t、すなわち式Iに示すフェニル基と基R95とを結合するポリメチレン鎖中のCH2基の数は、好ましくは0または1、より好ましくは0である。従って好ましくは、基−(CH2)t−は直接結合または基−CH2−である。より好ましくは、基−(CH2)t−は直接結合であり、すなわち基R95はフェニル基に直接結合している。
【0057】
1は、好ましくはR11−CO−またはR12−SO2−、より好ましくはR11−CO−である。
【0058】
基R11は、好ましくは(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、(C1〜C8)−アルキルオキシ−または(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシ−であり、これら全ての基は非置換であってもよく、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されていてもよい。より好ましくは、基R11は(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリールまたは(C1〜C8)−アルキルオキシ−、特に好ましくは(C6〜C14)−アリールまたは(C1〜C8)−アルキルオキシ−であり、これら全ての基は非置換であってもよく、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されていてもよい。R11を表すか、またはR11を表す基中に存在する(C1〜C8)−アルキル基は、好ましくは(C2〜C8)−アルキル基、より好ましくは(C2〜C6)−アルキル基、例えばアリル基またはシクロプロピル−メチル−基である。R11を表すか、またはR11を表す基中に存在する(C6〜C14)−アリール基は、好ましくは(C6〜C10)−アリール基、より好ましくはフェニル基である。従って特に好ましい基の中で、R11を表す基は例えば(C2〜C6)−アルキルオキシ−およびフェニルであり、これらは非置換であってもよく、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されていてもよい。
【0059】
アルキル基に関して上記で一般的に説明したように、R11を表すアルキル基またはR11を表基中に存在するアルキル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、そして非環式であっても環式であってもよい。好ましくは、R11を表すアルキル基またはR11を表す基中に存在するアルキル基は、不飽和の非環式アルキル基であってもよく、またはシクロアルキル基またはシクロアルキル−アルキル基のような環式基を含む飽和アルキル基であってもよい。より好ましくは、このようなアルキル基は、不飽和の非環式アルキル基、例えば1個または2個の二重結合および/または三重結合、好ましくは1個または2個の二重結合または1個の三重結合、特に好ましくは1個の二重結合を有するアルキル基、またはシクロアルキル−アルキル基である。特に好ましくは、このようなアルキル基は不飽和の非環式アルキル基である。R11を表すか、またはR11を表す例えばアルキルオキシ−基中に存在するこのような好ましいアルキル基の例は、エテニル(=ビニル)CH2=CH−、1−プロペニルCH3−CH=CH−、2−プロペニル(=アリル)CH2=CH−CH2−、E−およびZ−2−ブテニルCH3−CH=CH−CH2−、3−メチル−2−ブテニル(CH3)2C=CH−CH2−、1,3−ペンタジエニルCH3−CH=CH−CH=CH−、シクロプロピル、シクロプロピル−メチル−、2−シクロプロピル−エチル−、シクロペンチル、シクロペンチル−メチル−、シクロヘキシルまたはシクロヘキシル−メチル−である。従って本発明の好ましい実施形態において、R11は、1個または2個の二重結合、特に1個の二重結合を有する不飽和(C2〜C8)−アルキルオキシ−、特に不飽和(C2〜C6)−アルキルオキシ−、とりわけ不飽和(C3〜C6)−アルキルオキシ−であるか、または飽和(C3〜C6)−シクロアルキル−(C1〜C2)−アルキルオキシ−、特に飽和(C3〜C6)−シクロアルキル−メチルオキシ−、とりわけシクロプロピル−メチルオキシ−であるか、またはフェニルであり、ここで、アルキルオキシ−、シクロアルキル−アルキルオキシ−およびフェニル基は非置換であってもよく、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されていてもよい。本発明のより好ましい実施形態においてR11は、1個の二重結合を有する不飽和(C2〜C6)−アルキルオキシ−、特に不飽和(C3〜C6)−アルキルオキシ−、とりわけアリルオキシ−、またはシクロプロピル−メチルオキシ−であり、ここで、アルキルオキシ−、アリルオキシ−およびシクロプロピル−メチルオキシ−基は非置換であってもよく、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40
で置換されていてもよい。本発明の特に好ましい実施形態においてR11は、1個の二重結合を有する不飽和(C2〜C6)−アルキルオキシ−、特に不飽和(C3〜C6)−アルキルオキシ−、とりわけアリルオキシ−であり、ここで、アルキルオキシ−およびアリルオキシ−基は非置換であってもよく、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されていてもよい。
【0060】
基R11が1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されている場合、これは好ましくは1、2または3個の同一または異なる置換基R40で、特に好ましくは1または2個の置換基R40で置換されている。基R11上に存在する置換基R40は、好ましくは、ハロゲン、(C1〜C4)−アルキルおよびトリフルオロメチルからなる系列から選択される同一または異なる基であり、ここで、ハロゲンは弗素、塩素または臭素、特に臭素または塩素である。置換基R40は基R11の任意の所望の位置に存在することができる。
【0061】
12は、好ましくは(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、特に好ましくは(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C10)−アリールであり、これら全ての基は非置換であってもよく、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されていてもよい。基R12が1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されている場合、これは好ましくは1、2または3個の同一または異なる置換基R40で、特に好ましくは1または2個の置換基R40で置換されている。基R12上に存在する置換基R40は、好ましくは、ハロゲン、(C1〜C4)−アルキル、アセチルアミノ、ニトロおよびトリフルオロメチルからなる系列から選択される同一または異なる基であり、ここで、ハロゲンは弗素、塩素または臭素、特に臭素または塩素である。置換基R40は基R12の任意の所望の位置に存在することができる。
【0062】
2は、好ましくはR21(R22)CH−、R23−Het−(CH2)k−、R23(R24)N−(CH2)m−D−(CH2)n−またはR25(R26)N−CO−(CH2)p−D−(CH2)q−、特に好ましくはR21(R22)CH−、R23−Het−(CH2)k−またはR23(R24)N−(CH2)m−D−(CH2)n−である。
【0063】
基R23−Het−(CH2)k−に存在する基Hetは、好ましくは、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される1または2個、特に1個の同一または異なるヘテロ原子、好ましくは窒素原子を含有する5員または6員の単環式または9員または10員の二環式の飽和または芳香族のヘテロ環式基である。より好ましくは、このような基は5員または6員の単環式の飽和または芳香族のヘテロ環式基である。基R23−Het−(CH2)k−中の基Hetは、炭素原子または好適な窒素原子を介して基−(CH2)k−に結合することができる。これは好ましくは炭素原子を介して結合している。基R23−Het−(CH2)k−中の基Hetは、非置換であってもよく、すなわち基R23だけを有し、他の置換基を有しなくてもよく、または置換されていてもよく、すなわち基R23に加えて、ヘテロ環式基に関して一般的に上記したような他の置換基を有してもよい。基Hetが基R23に加えて他の置換基を有する場合、これは好ましくは(C1〜C4)−アルキル、(C1〜C4)−アルキルオキシ、ハロゲン、アミノ、(C1〜C4)−アルキルアミノ−、ジ−((C1〜C4)−アルキル)−アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシおよびオキソからなる系列から選択される1、2または3個の同一または異なる置換基を有する。
【0064】
基R23−Het−(CH2)k−に存在する基R23は、基Hetにおける任意の所望の好適な位置に結合していてもよい。基R23−Het−(CH2)k−中の基R23がR27−SO2−またはR28−CO−である場合、基Hetは、好ましくは部分不飽和基または飽和基、特に飽和基であり、環窒素原子を含み、これは基(CH2)kに結合しておらず、この環窒素原子には基R23が結合している。基R23−Het−(CH2)k−中のR23がR27−SO2−またはR28−CO−である場合、基R23−Het−(CH2)k−中の基Hetは、特に好ましくは、環ヘテロ原子として1個の窒素原子を含む飽和の5員環または6員環、すなわちピロリジンまたはピペリジン基であり、この環はピロリジン基の場合は3−位を介して、またはピペリジン基の場合は3−位または4−位、特に4−位を介して、基(CH2)kに結合しており、そしてこの環の窒素原子は基R23を有する。基R23−Het−(CH2)k−中の基Hetが芳香族ヘテロ環式基である場合、基R23−Het−(CH2)k−中のR23は、好ましくは水素である。
【0065】
Dは、好ましくは、2価の残基−C(R31)(R32)−、2価の(C6〜C10)−アリーレン残基、または5〜10個の環原子(その1または2個は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される同一または異なる環ヘテロ原子である)を含む芳香族の単環式または二環式基Hetから誘導される2価の残基である。Dは、より好ましくは、2価の残基−C(R31)(R32)−、2価のフェニレン残基、特に1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレン、または5または6個の環原子(その1または2個は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される同一または異なる環ヘテロ原子である)を含む芳香族単環式基Hetから誘導される2価の残基である。Dは、特に好ましくは、2価の残基−C(R31)(R32)−または2価のフェニレン残基である。Dを表す芳香族基Hetには、好ましくは1または2個の窒素原子が環ヘテロ原子として存在する。Dを表すアリーレン基および基Hetは、このような基に関して上記で一般的に記載したように置換されていてもよい。
【0066】
数k、m、n、pおよびqは、好ましくは、互いに独立して、0、1、2または3、より好ましくは0、1または2、特に好ましくは0または1であり、ただしDが−C(R31)(R32)−である場合、m+nの合計は0であることができず、そしてp+qの合計は0であることができない。数kは、特に好ましくは0である。Dが−C(R31)(R32)−であり、R31およびR32の両方が水素である式Iの化合物において、m+nの合計は好ましくは2である。
【0067】
基R21またはR22を表す(C1〜C12)−アルキル基は、好ましくは、非環式(C1〜C8)−アルキル基、(C3〜C8)−シクロアルキル基または(C3〜C8)−シクロアルキル−(C1〜C4)−アルキル基であり、ここで、(C1〜C4)−アルキル基は非環式である。R21およびR22は、好ましくは、互いに独立して、水素、非環式(C1〜C8)−アルキル、(C3〜C8)−シクロアルキル、(C3〜C8)−シクロアルキル−(C1〜C4)−アルキル−、(C6〜C10)−アリール、(C6〜C10)−アリール)−(C1〜C4)−アルキル−、HetまたはHet−(C1〜C4)−アルキル−であり、ここで、これら全ての基は上記のように非置換であるかまたは置換されており、そして(C1〜C4)−アルキル基は非環式であり、またはR21およびR22は、これらが結合している炭素原子と一緒になって上記のような環を形成する。より好ましくは、基R21およびR22の一方は水素または(C1〜C4)−アルキル基であり、基R21およびR22の他方は水素、非環式(C1〜C8)−アルキル、(C3〜C8)−シクロアルキル、(C3〜C8)−シクロアルキル−(C1〜C4)−アルキル−、(C6〜C10)−アリール、(C6〜C10)−アリール)−(C1〜C4)−アルキル−、HetまたはHet−(C1〜C4)−アルキル−であり、ここで、これら全ての基は上記のように非置換であるかまたは置換されており、そして(C1〜C4)−アルキル基は非環式であり、またはR21およびR22は、これらが結合している炭素原子と一緒になって上記のような環を形成する。特に好ましくは、基R21およびR22の一方は水素または(C1〜C4)−アルキル基であり、基R21およびR22の他方は水素、非環式(C1〜C4)−アルキル、(C3〜C7)−シクロアルキル、(C6〜C10)−アリールまたはHetであり、ここで、これら全ての基は上記のように非置換であるかまたは置換されており、またはR21およびR22は、これらが結合している炭素原子と一緒になって上記のような環を形成する。
【0068】
21およびR22中に存在する基Hetは、好ましくは、5〜10個の環原子を含む単環式または二環式の飽和または芳香族のヘテロ環式基、好ましくは5または6個の環原子を含む単環式の飽和または芳香族のヘテロ環式基であり、上記環原子の1または2個、好ましくは1個は窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択されるヘテロ原子である。1個またはそれ以上の置換基で置換された基R21またはR22は、好ましくは、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1〜C4)−アルキルオキシ−、(C1〜C4)−アルキル、(C1〜C4)−アルキルスルホニル−、トリフルオロメチル、アセチルアミノ−、アミノ、アミジノ、グアニジノ、オキソ、シアノ、(C1〜C4)−アルキルアミノ−、ジ−((C1〜C4)−アルキル)−アミノ−およびアミノカルボニル−(C1〜C4)−アルキル−である。
【0069】
21およびR22によりこれらが結合している炭素原子と一緒になって形成できる飽和または不飽和の炭素環式環は、3、4、5、6、7または8個の環原子を含有することができる。好ましくは、このような環は、飽和または不飽和のシクロペンタン環またはシクロヘキサン環である。R21およびR22によりこれらが結合している炭素原子と一緒になって形成される環における1または2個の結合には、同一または異なる芳香族環が縮合(または融合)していてもよく、これらの芳香族環は、好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、5員または6員の単環式ヘテロ環式環、および9員または10員の二環式ヘテロ環式環からなる系列から選択され、ここで、ヘテロ環式環は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される、好ましくは1または2個の同一または異なるヘテロ原子を含有する。より好ましくは、R21およびR22によりこれらが結合している炭素原子と一緒になって形成される環における炭素−炭素結合に縮合した芳香族環は、ベンゼン、および窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される、1または2個の同一または異なるヘテロ原子、好ましくは1個のヘテロ原子を含有する5員または6員の単環式ヘテロ環式環からなる系列から選択される。特に好ましくは、R21およびR22によりこれらが結合している炭素原子と一緒になって形成される環における結合に縮合できる芳香族環は、ベンゼン環である。
【0070】
生成した基R21(R22)CH−(この基においてR21およびR22が、これらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成し、そしてこの基は場合により縮合した芳香族環を含有する)は非置換であってもよく、またはR21およびR22によりこれらが結合している炭素原子と一緒になって形成される環および/または場合により縮合した芳香族環における任意の所望の位置で置換されていてもよい。生成した環式基R21(R22)CH−が置換されている場合、これは好ましくは、1個またはそれ以上、例えば1、2または3個の同一または異なる上記のような置換基で置換されている。好ましくは、生成した環式基R21(R22)CH−に存在する置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1〜C4)−アルキルオキシ−、(C1〜C4)−アルキル、(C1〜C4)−アルキルスルホニル−、トリフルオロメチル、アセチルアミノ−、アミノ、アミジノ、グアニジノ、オキソ、ニトロ、シアノ、(C1〜C4)−アルキルアミノ−、ジ−((C1〜C4)−アルキル−アミノ−、アミノカルボニル−およびアミノカルボニル−(C1〜C4)−アルキル−からなる群から、特にアセチルアミノ−、アミノ、(C1〜C4)−アルキルアミノ−およびジ−((C1〜C4)−アルキル−アミノ−からなる群から選択される。
【0071】
24は、好ましくは水素、(C1〜C8)−アルキルまたは(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、より好ましくは水素、(C1〜C4)−アルキルまたはフェニル−(C1〜C4)−アルキル−、特に水素または(C1〜C4)−アルキルであり、ここで、アルキル基は好ましくは非環式である。特に好ましくは、R24は水素である。
【0072】
25およびR26は、好ましくは、互いに独立して、水素、(C1〜C8)−アルキルまたは(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、より好ましくは水素、(C1〜C4)−アルキルまたはフェニル−(C1〜C4)−アルキル−、特に好ましくは水素または(C1〜C4)−アルキルであり、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上、例えば1、2または3個の同一または異なる置換基R40で置換されており、そしてアルキル基は好ましくは非環式である。特に好ましくは、二つの基R25およびR26の一方は水素であり、他方は水素であるかまたは水素とは異なる。さらに、二つの基R25およびR26は好ましくは水素である。
【0073】
27は、好ましくは、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−またはジ−((C1〜C8)−アルキル)アミノ−、より好ましくは(C1〜C4)−アルキル、(C6〜C10)−アリール、Het−またはジ−((C1〜C8)−アルキル)アミノ−、特に好ましくは(C1〜C4)−アルキルまたは(C6〜C10)−アリール、とりわけ好ましくは(C6〜C10)−アリールであり、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており、そしてアルキル基は好ましくは非環式である。R27を表す基Hetは、好ましくは、5または6個の環原子(その1または2個は窒素、酸素または硫黄からなる系列から、好ましくは窒素および硫黄からなる系列から選択されるヘテロ原子である)を含有する単環式または二環式の芳香族のヘテロ環式基、好ましくは単環式基である。置換基R40で置換された基R27は、好ましくは、1、2または3個、特に1または2個の同一または異なる置換基R40で置換されている。基R27に存在する置換基R40は、好ましくは、ハロゲン、特に臭素、塩素および弗素、(C1〜C4)−アルキルオキシ−、(C1〜C4)−アルキル、トリフルオロメチル、アセチルアミノ−、ニトロおよびシアノからなる系列から選択される。
【0074】
28は、好ましくは(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−、(C1〜C4)−アルキルオキシ−または(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシ−、より好ましくは(C1〜C4)−アルキル、(C6〜C10)−アリール、Het−、(C1〜C4)−アルキルオキシ−または(C6〜C10)−アリール−(C1〜C8)−アルキルオキシ−、特に好ましくは(C1〜C4)−アルキル、(C6〜C10)−アリール、(C1〜C4)−アルキルオキシ−または(C6〜C10)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシ−、とりわけ好ましくは(C1〜C4)−アルキル、(C1〜C4)−アルキルオキシ−またはフェニル−(C1〜C4)−アルキルオキシ−であり、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており、そしてアルキル基は好ましくは非環式である。R28を表す基Hetは、好ましくは、5〜10個の環原子を含有する単環式または二環式の芳香族ヘテロ環式基、好ましくは、5または6個の環原子を含有する単環式基であり、環原子の1または2個は窒素、酸素または硫黄からなる系列から選択されるヘテロ原子である。置換基R40で置換された基R28は、好ましくは1、2または3個、特に1または2個の同一または異なる置換基R40で置換されている。基R28に存在する置換基R40は、好ましくは、ハロゲン、特に臭素、塩素および弗素、(C1〜C4)−アルキルオキシ−、(C1〜C4)−アルキル、トリフルオロメチル、アセチルアミノ−、ニトロおよびシアノからなる系列から選択される。
【0075】
基R31またはR32を表す(C1〜C12)−アルキル基は、好ましくは、非環式(C1〜C8)−アルキル基、(C3〜C8)−シクロアルキル基または(C3〜C8)−シクロアルキル−(C1〜C4)−アルキル−基であり、ここで、(C1〜C4)−アルキル基は非環式である。R31およびR32は、好ましくは、互いに独立して、水素、非環式(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、(C3〜C8)−シクロアルキル−(C1〜C4)−アルキル−およびHet−(C1〜C4)−アルキル−であり、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上、例えば1、2または3個の同一または異なる置換基R40で置換されており、そして(C1〜C4)−アルキル基は非環式である。好ましくは、二つの基R31およびR32の一方は水素であり、他方は水素であるかまたは水素とは異なる。基R31または基R32に存在する非環式(C1〜C8)−アルキルは、好ましくは非環式(C1〜C4)−アルキル基であり、基R31または基R32に存在する(C6〜C14)−アリールは、好ましくは(C6〜C10)−アリール基、より好ましくはフェニル基であり、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されている。基R31またはR32に存在する基Hetは、好ましくは、窒素、酸素または硫黄からなる系列からの1または2個の同一または異なる環ヘテロ原子、特に1または2個の窒素原子を環ヘテロ原子として含む単環式または二環式の飽和または芳香族のヘテロ環式基である。基R31またはR32に存在する置換基R40は、好ましくは、ハロゲン、特に臭素、塩素および弗素、(C1〜C4)−アルキルオキシ−、(C1〜C4)−アルキルおよびトリフルオロメチルからなる系列から選択される。
【0076】
91、R92およびR93は、好ましくは互いに独立して、水素または(C1〜C4)−アルキル、より好ましくは互いに独立して、水素またはメチル、特に好ましくは水素である。
【0077】
94は、好ましくは、(C1〜C4)−アルキルおよびハロゲンからなる系列から選択され、ここで、R94は互いに独立しており、同一でも異なっていてもよい。より好ましくは、置換基R94は同一または異なるハロゲン原子である。基R94を表すハロゲン原子は、好ましくは塩素および/または弗素である。
【0078】
95は、好ましくはアミジノまたはその誘導体、例えば((C1〜C4)−アルキル)オキシカルボニルアミジノ、ヒドロキシアミジノ−、またはアミジノ基の上記のような保護形態または誘導体化形態である。より好ましくは、R95はアミジノ、((C1〜C4)−アルキル)オキシカルボニルアミジノまたはヒドロキシアミジノ−である。特に好ましくは、R95はアミジノ、すなわち、アミノ−イミノ−メチル−基またはカルバミミドイル基とも呼ばれる基H2N−C(=NH)−である。
【0079】
96は、好ましくは水素またはR98−(C1〜C8)−アルキル−、より好ましくは水素またはR98−(C1〜C4)−アルキルである。特に好ましくはR96は水素である。R98は、好ましくはヒドロキシカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルオキシカルボニル−またはアミノカルボニル−、より好ましくはヒドロキシカルボニル−、(C1〜C4)−アルキルオキシカルボニル−またはアミノカルボニル−である。
【0080】
97は、好ましくはR99−(C1〜C8)−アルキル−またはR99−(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−である。より好ましくは、R97はR99−(C1〜C8)−アルキル−である。アルキル基に関して上記で一般的に説明したように、基R97に存在する(C1〜C8)−アルキルは飽和または不飽和であってよく、そして非環式または環式であってよい。好ましくは、このようなアルキル基は飽和非環式アルキル基または飽和環式アルキル基(=シクロアルキル基)またはシクロアルキル−アルキル−型の飽和基、より好ましくは飽和非環式アルキル基または飽和シクロアルキル基、特に好ましくは飽和非環式アルキル基である。基R97に存在する(C1〜C8)−アルキルが飽和非環式アルキル基である場合、基R97は好ましくは基R99−(C1〜C4)−アルキルであり、ここで、(C1〜C4)−アルキルは飽和非環式アルキルであり、より好ましくは基R99−CH2−、R99−CH2−CH2−、R99−CH2−CH2−CH2−またはR99−CH2−CH2−CH2−CH2−の一つ、特に好ましくは基R99−CH2−CH2−である。基R97に存在する(C1〜C8)−アルキルが飽和環式アルキル基である場合、基R97は好ましくは基R99−(C3〜C7)−シクロアルキル−、より好ましくは基R99−(C3〜C6)−シクロアルキル−であり、ここで、シクロアルキル基は飽和であり、特に好ましくは基R99−シクロプロピル−、R99−シクロペンチル−またはR99−シクロヘキシル−である。R99−(C3〜C7)−シクロアルキル−のような基、例えばR99−シクロプロピル−、R99−シクロペンチル−またはR99−シクロヘキシル−において、基R99はシクロアルキル基の任意の所望の位置に、シクロプロピル基の場合は例えば2−位に、シクロペンチル基の場合は例えば2−位または3−位に、シクロヘキシル基の場合は例えば2−位、3−位または4−位に存在することができ、最後の場合は4−位が好ましい。特に好ましい基R97はR99−CH2−CH2−および2−(R99)−シクロプロピルであり、とりわけ好ましくはR99−CH2−CH2−である。
【0081】
99は、好ましくはヒドロキシカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルオキシカルボニル−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルアミノカルボニル−、またはヒドロキシカルボニル基の別の誘導体または保護形態、例えば上記のようなエステルまたはアミドである。より好ましくは、R99はヒドロキシカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルオキシカルボニル、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシカルボニル−、アミノカルボニル−または(C1〜C8)−アルキルアミノカルボニル−、特に好ましくはヒドロキシカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルオキシカルボニル−、アミノカルボニル−または(C1〜C8)−アルキルアミノカルボニルである。さらに、R99は、好ましくはヒドロキシカルボニル−、(C1〜C8)−アルキルオキシカルボニル−である。基R99に存在する(C1〜C8)−アルキルオキシ−基は好ましくは(C1〜C4)−アルキルオキシ−基である。基R99に存在するアルキル基は好ましくは飽和非環式基である。
【0082】
好ましい式Iの化合物は、1個またはそれ以上の残基が好ましい指示的意味を有するか、またはそれらの個々の定義において、および個々の残基に関する一般的説明において列挙した指示的意味のうちの1個またはそれ以上の特定の指示的意味を有する化合物であり、このような好ましい意味および特定の指示的意味の全ての組み合わせは本発明の主題である。また、全ての好ましい式Iの化合物は、これらの全ての立体異性体形態およびこれらの任意の割合の混合物、およびこれらの生理的に許容される塩の形態において、本発明の主題である。さらにまた、全ての好ましい式Iの化合物は、上記のようなこれらのプロドラッグおよび他の誘導体の形態、例えばこれらのエステル、例えば(C1〜C4)−アルキルエステルおよび他のエステル、およびこれらのアミド、例えば非置換アミド、(C1〜C4)−アルキルアミドおよび他のアミドの形態において、本発明の主題である。
【0083】
例えば、好ましい式Iの化合物は、
1がR11−CO−であり;
91が水素であり;
rが0または1であり;
sが0、1または2であり;
tが0であり;
94が塩素および弗素からなる系列から選択され;
95がアミジノまたは((C1〜C4)−アルキル)オキシカルボニルアミジノ−であり、基R95が式Iにおけるフェニル環の4−位で結合している化合物であって;その全ての立体異性体形態およびこれらの任意の割合の混合物、およびその生理的に許容される塩である。この種の化合物は、場合によりアミジノ基において((C1〜C4)−アルキル)オキシカルボニル−基で置換されており、場合によりフェニル基において塩素および/または弗素で置換されており、そしてN−末端アミノ基において基R11−CO−で置換されている4−アミジノフェニルグリシンまたは4−アミジノフェニルアラニンから誘導された構造単位を含有する。これらの化合物の特に好ましい群において、sは0であり、アミジノ基は置換されておらず、すなわちこの種の特に好ましい化合物は4−アミジノフェニルグリシンまたは4−アミジノフェニルアラニンから誘導され、とりわけ好ましい化合物は4−アミジノフェニルアラニンから誘導され、これらはN−末端アミノ基において基R11−CO−で置換されている。
【0084】
好ましい式Iの化合物はまた、
92およびR96が水素であり;
97がR99−CH2−CH2−であり;
99がヒドロキシカルボニル−または((C1〜C8)−アルキル)オキシカルボニル−である化合物であって;その全ての立体異性体形態およびこれらの任意の割合の混合物、およびその生理的に許容される塩である。この種の化合物は、グルタミン酸残基またはその誘導体(側鎖のカルボン酸基が(C1〜C8)−アルキルエステルに変換されている)である構造単位を含有する。
【0085】
特に好ましい式Iの化合物は、
rが1であり;
sが0であり;
tが0であり;
1がアリルオキシカルボニル−であり;
95が式Iにおけるフェニルに環の4−位で結合したアミジノ基であり;
91、R92、R93およびR96が水素であり;
97がR99−CH2−CH2−であり;
99がヒドロキシカルボニル−または((C1〜C4)−アルキル)オキシカルボニル−である化合物であって;その全ての立体異性体形態およびこれらの任意の割合の混合物、およびその生理的に許容される塩である。
【0086】
さらに、好ましい式Iの化合物は、キラル中心が実質的に一様な立体配置で存在する化合物である。特に好ましくは、基R1(R91)N−および−(CH2)r−が結合しているキラル炭素原子はS立体配置を有し、すなわち構造単位R1(R91)N−CH(−(CH2)r−(置換フェニル))−CO−は、ましくはL−アミノ酸誘導体から誘導される。R96が水素である場合、特に好ましくは、基R96およびR97が結合しているキラル炭素原子はS立体配置を有し、すなわち構造単位−(R92)N−CH(R97)−CO−は、好ましくはL−アミノ酸誘導体から誘導される。
【0087】
本発明はまた、式Iの化合物を得ることのできる製造方法に関する。式Iの化合物は一般的に、式Iからレトロ合成的に誘導できる2個またはそれ以上のフラグメント(または構成単位)の結合によって製造することができる。式Iの化合物の製造において、望ましくない反応または副反応を引き起こすことのある官能基を合成段階において前駆体の形態で導入し、これを後に望ましい官能基に変換すること、または合成の問題に適合させた保護基方策で官能基を一時的にブロックすることが、一般的に有利な場合があるか、または合成の途中で必要な場合がある。このような方策は当業者に周知である(例えば Greene および Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis 第2編, John Wiley & Sons, 1991 参照)。保護基の例としては、ニトロ基を挙げることができ、これは後に還元により、例えば接触水素化によりアミノ基に変換でき、またはシアノ基を挙げることができ、これは後にアミジノ基に変換でき、または還元によりアミノメチル基に変換できる。官能基上に存在できる保護基(またはブロッキング基)としては、アリル、tert−ブチル、ベンジル、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Z)および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)が、ヒドロキシ、カルボン酸、アミノ、グアニジノおよびアミジノ基のための保護基として挙げられる。
【0088】
特に、式Iの化合物の製造において、1回またはそれ以上のアミドカップリング(または縮合)を行うにより、すなわち一つの構成単位のカルボン酸基(または同様の基、例えばスルホン酸基)と、別の構成単位のアミノ基(または同様の基)との間でアミド結合を形成することにより、構成単位を結合させる。例えば、式Iの化合物は、本来公知の手段で、式IIに示すカルボン酸誘導体基CO−Y1と式IIIに示す窒素原子との間でアミド結合を形成し、そして式IIIに示すカルボン酸誘導体CO−Y2と式IVに示す窒素原子との間でもう一つのアミド結合を形成することにより、式II、IIIおよびIVの構成単位を連結させることによって製造することができる。
【0089】
【化6】
Figure 0004546683
【0090】
式II、IIIおよびIVの化合物において、基R1、R2、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、およびr、sおよびtは上記で定義したとおりであるが、これらの化合物中の官能基は、後に式Iの化合物に存在する基に変換される前駆体基の形態で存在することもでき、または官能基は保護された形態で存在することもできる。同一でも異なっていてもよいY1およびY2は、ヒドロキシまたは他の親核置換可能な脱離基、すなわち式IIおよびIIIの化合物中のCOY1およびCOY2はカルボン酸基COOH、または例えば酸クロリド、エステル例えば(C1〜C4)−アルキルエステルまたは活性化エステル、または混合無水物などのようなカルボン酸の誘導体である。
【0091】
式II、IIIおよびIVの出発化合物、および特定の構造単位を導入するために式Iの化合物の合成に用いられる他の化合物は、市販されているか、または市販の化合物から以下に記載するかまたは当業者が容易に入手できる文献に記載された手順により、またはこれらの手順と同様にして、容易に製造することができる。
【0092】
式Iの化合物を製造するために、最初に式IIおよびIIIの化合物を縮合させることができ、次いで得られた中間体生成物を式IVの化合物と縮合させて式Iの化合物を得るか、または最初に式IIIおよびIVの化合物を縮合させることができ、次いで得られた中間体生成物を式IIの化合物と縮合させて式Iの化合物を得る。このような合成の途中における任意のこのような段階の後に、保護段階および脱保護段階、および所望の最終基への前駆体基の変換を行うことができ、さらなる改変を行うことができる。例えば、水素とは異なるR1のような基を既に式IIの化合物に存在させておくことができ、この化合物を式IIIの化合物とのカップリング反応、または式IIIおよびIVの化合物から得られる中間体とのカップリング反応に使用する。しかしながら、一方のカップリング反応または両方のカップリング反応を行った後にだけ基R1を導入することもできる。このように、式Iの化合物を製造するための合成方策は広範囲に変更することができ、どの合成手順が好ましいかは個々の場合に依存する。
【0093】
式Iの化合物の合成に使用できるアミド結合を形成するための種々の一般的方法は、例えばペプチド化学から当業者に公知である。カップリング段階は、遊離カルボン酸、すなわち式IIまたはIIIの化合物、またはその段階で反応する基COY1およびCOY2がCOOH基である中間体カップリング生成物を用い、そのカルボン酸基を好ましくはその場で、慣用のカップリング試薬を用いて、例えば、カルボジイミド、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、またはカルボニルジアゾール、例えばカルボニルジイミダゾール、またはウロニウム塩、例えばO−((シアノ−(エトキシカルボニル)−メチレン)アミノ)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TOTU)または O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、またはクロロギ酸エステル、例えばクロロギ酸エチルまたはクロロギ酸イソブチル、またはトシルクロリド、またはプロピルホスホン酸無水物、またはその他を用いて活性化し、次いで活性化カルボン酸誘導体をアミノ化合物と反応させることにより行うことができる。アミノ化合物を、カルボン酸および例えば塩化チオニルまたはカルボン酸エステルまたはチオエステル、例えばメチルエステル、エチルエステル、フェニルエステル、ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、メチルチオエステル、フェニルチオエステルまたは2−ピリジルチオエステルから別の段階またはその場で製造できるカルボン酸ハライド例えばカルボン酸クロリドと反応させることにより、すなわち式IIまたはIIIの化合物と、またはY1またはY2がCl、メトキシ、エトキシ、場合により置換されたフェニルオキシ、メチルチオ、フェニルチオまたは2−ピリジルチオである中間体カップリング生成物と反応させることにより、アミド結合を形成することもできる。
【0094】
活性化反応およびカップリング反応は、通常、不活性溶剤(または希釈剤)の存在下に、例えば非プロトン溶剤、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチル燐酸トリアミド(HMPT)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジオキサンまたはその他の存在下に、またはこのような溶剤の混合物中で行われる。特定の方法に応じて、反応温度は広範囲で変動することができ、そして例えば約−20℃から溶剤または希釈剤の沸騰温度までであってよい。また特定の方法に応じて、好適な量で、1種またはそれ以上の補助剤、例えば塩基、例えば3級アミン、例えばトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン、またはアルカリ金属アルコレート、例えばナトリウムメトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドを、pHを調節するため、または生成した酸を中和するため、または酸付加塩の形態で用いられたアミノ化合物の遊離塩基を遊離させるために添加すること、またはN−ヒドロキシアゾール、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、または触媒、例えば4−ジメチルアミノピリジンを添加することが必要なことがあるか、または有利なことがある。活性化されたカルボン酸誘導体の製造方法およびアミド結合の形成方法、ならびに原料の文献の詳細は、例えば J. March, Advanced Organic Chemistry, 第4版, John Wiley & Sons, 1992; または Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgart のような種々の標準的参考書に記載されている。
【0095】
カップリング反応で得られた生成物にまだ存在していることがある保護基を、次いで標準的手順で除去する。例えば、tert−ブチル保護基、特にCOOH基の保護形態であるtert−ブチルエステル基を脱保護することができ、すなわちエステルの場合はトリフルオロ酢酸で処理することによりカルボン酸基に変換することができる。ベンジル基は水素化により除去できる。フルオレニルメトキシカルボニル基はピペリジンのような2級アミンにより除去できる。既に説明したように、カップリング反応後に、好適な前駆体基から官能基を生成させることもでき、または所望により、カップリング生成物における標準的方法、例えばアシル化反応またはエステル化反応により、さらに反応を行うこともできる。加えて、次いで、式Iの化合物の生理的に許容される塩またはプロドラッグへの変換を、公知の方法により行うことができる。
【0096】
特定の官能基を導入する例として、アミジノ基またはグアニジノ基を導入するための手順を説明することができ、これらの基は例えば基R95を表す。アミジンはシアノ化合物から、酸性の無水条件下で、例えば塩化水素で飽和したメタノールまたはエタノール中でアルコールを添加し、続いてアミノリシスすることにより製造することができる。アミジンを製造するもう一つの方法は、シアノ基に硫化水素を付加させた後、得られたチオアミドをメチル化し、続いてアンモニアと反応させることである。別の方法は、シアノ基にヒドロキシルアミンを付加させることであり、これはヒドロキシアミジンを生成させる。所望によりヒドロキシルアミンのN−O結合を、例えば接触水素化して開裂させ、アミジンを得ることができる。
【0097】
ニトロ前駆体基から得ることのできるアミノ基を、グアニジノ基またはニトログアニジノ基に変換することができ、後者の基においてニトロ基は保護基である。アミノ基をグアニル化またはニトログアニル化するために、次の試薬を使用することができ、これらは当業者に周知であり、全てが文献に記載されている:O−メチルイソ尿素、S−メチルイソチオ尿素、ニトロ−S−メチルイソチオ尿素、ホルムアミジンスルホン酸、3,5−ジメチル−1−ピラゾリルホルムアミジニウムナイトレート、N,N′−ジ−tert−ブチルオキシカルボニル−S−メチルイソチオ尿素またはN−アルキルオキシカルボニル−およびN,N′−ジアルキルオキシカルボニル−S−メチルイソチオ尿素。
【0098】
一般的に、式Iの最終化合物または中間体を含有する反応混合物を仕上げ処理し、次いで所望により生成物を当業者に公知の慣用方法により精製する。例えば、合成した化合物を、周知の方法、例えば結晶化、クロマトグラフィーまたは逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)、または例えば化合物の大きさ、電荷または疎水性に基づく他の分離方法を用いて精製することができる。同様に、アミノ酸配列分析、NMR、IRおよび質量スペクトル分析(MS)のような周知の方法を、本発明の化合物の特性決定のために使用できる。
【0099】
式Iの化合物の合成において行われる上記および下記の反応は、一般的に従来の液相化学の方法により、ならびに固相化学の方法により行うことができ、これら両方法はペプチド合成に慣用される。採用できる種々の方策のうち、式Iの化合物を固相で製造しようとする場合は、ヒドロキシカルボニル基が基R96または基R97に存在する化合物を製造するためには、下記の方策を挙げることができる。出発材料として、式Fmoc−NH−C(R96)(R97)−CO−OPG(式中、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニルであり、PGはカルボン酸保護基であり、R96およびR97は上記で定義したとおりであり、ただし基R96およびR97の一方には遊離ヒドロキシカルボニル基COOHが存在する)が用いられる。COOH基をWang樹脂(S. S. Wang, J. Am. Chem. Soc. 95 (1973) 1328)にカップリングさせることにより該樹脂に結合させる。次いでFmoc保護基を開裂除去し、式IIの化合物をアミノ基にカップリングさせる。続いて、PG保護基を開裂除去し、得られたカルボン酸基を式IVの化合物にカップリングさせる。最後に、この化合物をトリフルオロ酢酸で樹脂から切断する。固相合成方法を用いる場合、存在する官能基を改変でき、または官能基を初期の化合物中に、これが樹脂に結合している間に導入するか、または化合物が樹脂から切断された後に導入して、例えばN−末端アリルオキシカルボニル化された化合物のようなN−末端誘導体、またはカルボキシ基の誘導体を得ることができ、カルボキシを例えばアミド化することができる。本発明の化合物は、液相有機化学の方法により行われる工程と、固相有機化学の方法により行われる工程とを組み合わせることによって合成することもできる。本発明の化合物は、自動合成装置を用いて合成することもできる。
【0100】
本発明の化合物は血液凝固酵素ファクターVIIaの活性を阻害する。特にこれらの化合物はファクターVIIaの特異的阻害剤である。本明細書で用いられるように、ファクターVIIa活性の阻害に関して用いる場合の特異的という用語は、式Iの化合物が、血液凝固および/またはフィブリン溶解経路に関連する他の特定のプロテアーゼ(例えばファクターXa、プラスミンおよびトロンビンを包含する)の活性を実質的に阻害することなしに、ファクターVIIa活性を阻害する(同一濃度の阻害剤を用いて)ことを意味する。式Iの化合物の活性は、例えば下記のアッセイまたは当業者に公知の他のアッセイで決定できる。好ましい本発明の化合物は、下記のアッセイで測定して、ファクターVIIa阻害に関してKi≦10μM、特に好ましくは≦1μMを有し、そして好ましくは、凝固およびフィブリン溶解に関連する他のプロテアーゼの活性を、ファクターVIIaの阻害に対して実質的に阻害しない(同一濃度の阻害剤を用いて)化合物である。本発明の化合物は、ファクターVIIa触媒活性を、プロトロンビン複合体内でまたは可溶性サブユニットとして間接的に、またはファクターVIIaをプロトロンビン複合体中に組み込むのを阻害することにより間接的に阻害する。
【0101】
そのファクターVIIa阻害活性のために、式Iの化合物は、例えば血液凝固(または血塊形成)およびフィブリン溶解に影響を与えるため、および例えば心臓血管障害、血栓塞栓性疾患または再発狭窄症の治療および予防のために適する有用な薬理活性化合物である。式Iの化合物およびその生理的に許容される塩およびそのプロドラッグを、動物、好ましくは哺乳類および特にヒトに、治療または予防のための医薬として投与することができる。これらの化合物をそれ自体で、または相互の混合物として、または経腸または非経口投与を可能にし、活性成分として少なくとも1種の式Iの化合物および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグの有効量を、製薬上許容される担体に加えて含有する医薬調製物の形態で投与することができる。
【0102】
それ故に本発明はまた、医薬(または薬剤)として使用するための式Iの化合物および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグに、ファクターVIIaを阻害するため、または血液凝固またはフィブリン溶解に影響を与えるため、または上記または下記の疾患の治療または予防用の医薬を製造するための、例えば心臓血管障害、血栓塞栓性疾患または再発狭窄症の治療および予防用の医薬を製造するための、式Iの化合物および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグの使用に関する。本発明はまた、ファクターVIIaを阻害するための、または血液凝固またはフィブリン溶解に影響を与えるための、または上記または下記の疾患を治療または予防するための、例えば心臓血管障害、血栓塞栓性疾患または再発狭窄症の治療および予防に使用するための、式Iの化合物および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグの使用に、および上記の治療および予防方法を包含するこのような目的をめざす処置方法に関する。本発明はさらに、、製薬上許容される担体、すなわち1種またはそれ以上の製薬上許容される担体物質(またはベヒクル)および/または添加剤(または賦形剤)に加えて、少なくとも1種の式Iの化合物および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグの有効量を含有する医薬調製物(または医薬組成物)に関する。
【0103】
これらの医薬は経口的に、例えばピル、錠剤、ラッカー塗り錠剤、被覆錠剤、顆粒、硬質および軟質ゼラチンカプセル、溶液、シロップ、エマルジョン、懸濁液またはエアゾール混合物の形態で投与できる。しかしながら投与は、直腸的に例えば坐剤の形態で、または非経口的に例えば静脈内、筋肉内または皮下に注射液または注入液、マイクロカプセル、移植片またはロッドの形態で、または経皮的または局所的に例えば軟膏、溶液またはチンキの形態で、または他の手段で例えばエアゾールまたは鼻スプレーの形態で行うことができる。
【0104】
本発明に係る医薬調製物は、本来公知の当業者によく知られた手段で製造され、式Iの化合物および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグ(いずれも1種以上)に加えて、製薬上許容される不活性な無機および/または有機担体物質が用いられる。ピル、錠剤、被覆錠剤および硬質ゼラチンカプセルを製造するために、例えば乳糖、トウモロコシ澱粉またはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などを用いることが可能である。軟質ゼラチンカプセルおよび坐剤のための担体物質は、例えば脂肪、ワックス、半固体および液体ポリオール、天然油または硬化油などである。溶液、例えば注射液、またはエマルジョンまたはシロップの製造に適する担体物質は、例えば水、塩水、アルコール、グリセロール、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖、植物油などである。マイクロカプセル、移植片またはロッドに適する担体物質は、例えばグリコール酸および乳酸の共重合体である。医薬調製物は、通常、約0.5〜約90重量%の式Iの化合物および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグを含有する。医薬調製物中の式Iの活性成分および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグの量は、通常、約0.5〜約1000mg、好ましくは約1〜約500mgである。
【0105】
式Iの活性成分および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグ、および担体物質に加えて、医薬調製物は添加剤、例えば充填剤、崩壊剤、結合剤、滑剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、保存剤、甘味料、着色剤、矯味矯臭剤、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、デポー効果達成剤、浸透圧変更用塩、被覆剤または酸化防止剤を含有することができる。医薬調製物は、2種またはそれ以上の式Iの化合物および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグを含有することもできる。医薬調製物が2種またはそれ以上の式Iの化合物を含有する場合、個々の化合物を選択して、医薬調製物の特定の全体的な薬理学的プロフィールをめざすことができる。例えば、作用持続時間がより短い極めて効力のある化合物を、効力がより低い長期作用性化合物と組み合わせることができる。式Iの化合物における置換基の選択に関して許容される融通性は、化合物の生物学的および物理化学的性質に関してかなりの制御を可能にし、従ってこのような望ましい化合物の選択を可能にする。さらに、少なくとも1種の式Iの化合物および/またはその生理的に許容される塩および/またはそのプロドラッグに加えて、医薬調製物は1種またはそれ以上の他の治療または予防活性成分を含有することもできる。
【0106】
ファクターVIIaの阻害剤として、式Iの化合物およびその生理的に許容される塩およびそのプロドラッグは、ファクターVIIaの活性が役割を演じるかまたは望ましくない程度を有する状態、またはファクターVIIaの阻害またはその活性の低下によって好ましく影響を与えることのできる状態の治療および予防のため、または医師によってファクターVIIaの阻害またはその活性の低下が望まれる状態の防止、軽減または回復のために、一般的に適している。ファクターVIIaの阻害は血液凝固およびフィブリン溶解に影響を与えるので、式Iの化合物およびその生理的に許容される塩およびそのプロドラッグは、血塊形成の減少のため、または血液凝固系の活性が役割を演じるかまたは望ましくない程度を有する状態、または血塊形成の減少によって好ましく影響を与えることのできる状態の治療および予防のため、または医師によって血液凝固系の活性の低下が望まれる状態の防止、軽減または回復のために、一般的に適している。従って本発明の特別の主題は、有効量の式Iの化合物またはその生理的に許容される塩またはそのプロドラッグを投与することによる、特に個体における望ましくない血塊形成の減少または阻害、ならびにそのための医薬調製物である。
【0107】
式Iの化合物を好ましく使用できる状態としては、例えば心臓血管障害、血栓塞栓性疾患、または例えば感染または外科に関連する合併症が挙げられる。本発明の化合物は、炎症性応答の減少にも使用できる。式Iの化合物を使用できる処置または予防のための特定の障害の例は、冠動脈性疾患、心筋梗塞、狭心症、血管再発狭窄症、例えばPTCAのような血管形成術後の再発狭窄症、成人呼吸窮迫症候群、多臓器不全、卒中および播種性血管内血塊生成障害である。外科に関連する合併症の例は、外科後に生じることのある深静脈および近位静脈血栓症のような血栓症である。その薬理学的活性からみて、本発明の化合物は、ヘパリンのような他の抗凝固剤に取って代わることができる。本発明の化合物の使用は、他の抗凝固剤と比較して、例えばコストの節約をもたらすことができる。
【0108】
式Iの化合物を用いる場合、用量を広い範囲内で変動することができ、医師に慣用であり公知であるように、用量をそれぞれの各場合におけるそれぞれの状態に適合させるべきである。用量は、例えば用いられる特定の化合物、処置すべき疾患の性質および重さ、投与の方式およびスケジュール、または急性または慢性の状態を処置するかどうか、または予防を行うかどうかに依存する。適切な用量は、医療技術において周知の臨床アプローチを用いて確立することができる。一般的に、体重が約75kgの成人において所望の結果を達成するための日量は、約0.01〜約100mg/kg、好ましくは約0.1〜約50mg/kg、特に約0.1〜約10mg/kg(それぞれの場合、体重kg当たりのmg)である。日量は、特に比較的多量を投与する場合、例えば2、3または4回の投与に分割することができる。通常のようにそれぞれの挙動に応じて、上記の日量から上下にずらす必要がある場合がある。
【0109】
式Iの化合物は、個体の外部の抗凝固剤としても有利に使用できる。例えば、有効量の本発明の化合物を、新たに採血した血液サンプルに接触させて血液サンプルの凝固を防止できる。さらに、式Iの化合物およびその塩を診断の目的に、例えばインビトロ診断に、そして生物化学研究の補助剤として使用できる。例えば、ファクターVIIa活性の存在を同定するため、またはファクターVIIaを実質的に純粋な形態で単離するために、式Iの化合物をアッセイに使用できる。本発明の化合物を例えば放射性同位体で標識することができ、次いでファクターVIIaに結合したこの標識化合物を、特定の標識の同定に有用なルーチン方法を用いて検出することができる。従って式Iの化合物またはその塩を、インビボ、インビトロまたはエクスビボにおけるファクターVIIa活性の位置または量を検出するプローブとして使用できる。
【0110】
さらに、式Iの化合物を、他の化合物、特に他の医薬活性成分を製造するための合成中間体として使用でき、これら他の化合物は式Iの化合物から、例えば置換基の導入または官能基の改変により得ることができる。
【0111】
本発明の種々の実施形態の活性に実質的に影響を及ぼさない変更は、本明細書に開示した本発明の範囲内に包含されるものと理解される。従って、以下の実施例は本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0112】
【実施例】
略 語
アリルオキシカルボニル Alloc
L−4−アミジノフェニルアラニル pAph
L−アスパルチル Asp
tert−ブチル tBu
ジクロロメタン DCM
N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド DIC
N,N−ジイソプロピル−N−エチルアミン DIEA
N,N−ジメチルホルムアミド DMF
ジメチルスルホキシド DMSO
N−エチルモルホリン NEM
9−フルオレニルメチルオキシカルボニル Fmoc
L−グルタミル Glu
N−ヒドロキシベンゾトリアゾール HOBt
ペンタフルオロフェニル Pfp
テトラヒドロフラン THF
トリフルオロ酢酸 TFA
O−((シアン(エトキシカルボニル)メチレン)アミノ)− TOTU
1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3− HATU
テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
【0113】
式Iの化合物はペプチド化学の規則により命名される。従って例えば、Alloc-pAph-Glu−(4−アミノベンジル)アミドのような名称は、その化合物においてL−4−アミジノフェニルアラニル単位がペプチド結合を介してL−グルタミル単位に結合していること、およびL−4−アミジノフェニルアラニル単位のα−アミノ基がアリルオキシカルボニル基を有すること、およびグルタミル単位の1−位に、遊離カルボン酸基の代わりにN−(4−アミノベンジル)カルボキサミド基が存在すること、すなわちその化合物が下記の構造式を有することを意味する。
【0114】
【化7】
Figure 0004546683
【0115】
化合物合成の最終段階においてトリフルオロ酢酸または酢酸のような酸を用いた場合、例えばトリフルオロ酢酸を用いてtert−ブチル基を除去した場合、またはこのような酸を含有する溶離剤を用いるクロマトグラフィーにより化合物を精製した場合は、若干の場合に仕上げ処理手順、例えば凍結乾燥方法の詳細に応じて、部分的または完全に、用いた酸の塩の形態で、例えば酢酸塩またはトリフルオロ酢酸塩の形態で化合物を得た。
【0116】
実施例1:Alloc-pAph-Glu−(4−アミノベンジル)アミド
a) (S)−2−アリルオキシカルボニルアミノ−3−(4−シアノフェニル)プロピオン酸
水150ml中の(S)−2−アミノ−3−(4−シアノフェニル)プロピオン酸50g(0.221mol)の懸濁液を、1N NaOHでpH=8に調節した。ジオキサン225ml中のアリルクロロホルメート26.6g(0.221mol)を0〜5℃で徐々に加えた(1N NaOHを加えてpHを8に保持した)。反応が完結した後(薄層クロマトグラフィー(TCL)コントロール)、この混合物をDCMで抽出し、水層をKHSO4でpH=2に酸性化した。沈殿物をDCMに溶解し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残留物をエーテル/石油ベンジンから再結晶して、表題の化合物31g(51%)を得た。MS 275.1(M+1)+
【0117】
b) (S)−2−アリルオキシカルボニルアミノ−3−(4−カルバミミドイルフェニル)プロピオン酸エチルエステル塩酸塩(Alloc-pAph-OC2H5塩酸塩)
乾燥ガス状塩酸を、エタノール200ml中の(S)−2−アリルオキシカルボニルアミノ−3−(4−シアノフェニル)プロピオン酸15g(0.055mol)の溶液に通した。5時間後、この混合物を一夜0℃に保持した。溶剤を蒸発させ、残留物をエタノール中の3Mアンモニア溶液250mlで室温において12時間処理した。溶剤を蒸発させ、残留物をDCMで洗浄し、エーテルで結晶化させて、表題の化合物17.5g(90%)を得た。MS 320.3(M+1)+
【0118】
c) (S)−2−アリルオキシカルボニルアミノ−3−(4−カルバミミドイルフェニル)プロピオン酸塩酸塩(Alloc-pAph-OH塩酸塩)
(S)−2−アリルオキシカルボニルアミノ−3−(4−カルバミミドイルフェニル)プロピオン酸エチルエステル塩酸塩17g(0.048mol)を、半濃度の塩酸400mlで室温において3時間処理した。溶剤を蒸発させ(<30℃)、残留物をエーテルと共に撹拌した。収量15g(95%)。MS 292.2(M+1)+
【0119】
d) Alloc-pAph-Glu(OtBu)-OCH3塩酸塩
DMF 15ml中のAlloc-pAph-OH塩酸塩1.3g(3.97mmol)およびH-Glu(OtBu)-OCH3塩酸塩1.0g(3.97mmol)の溶液に、TOTU 1.63g(4.96mmol)およびNEM 1.14g(9.9mmol)を加えた。室温で5時間後、この溶液を塩水150ml中に注ぎ、DCMで抽出した。有機層を乾燥し(Na2SO4)、蒸発させて、表題の化合物1.7g(81%)を得た。MS 491.2(M+1)+
【0120】
e) Alloc-pAph-Glu(OtBu)-OH
THF 15mlおよび水50ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OCH3塩酸塩1.7g(3.17mmol)を、水酸化リチウムモノ水和物0.16g(3.8mmol)で処理した。3時間後、溶剤を除去し、残留物を凍結乾燥して、表題の化合物1.25g(82%)を得た。MS 477.5(M+1)+
【0121】
f) Alloc-pAph-Glu(OtBu)−(4−アミノベンジル)アミド
DMF 10ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 56mg(0.12mmol)およびp−アミノベンジルアミン13μl(0.12mmol)の溶液に、TOTU 39mg(0.12mmol)およびNEM 15μl(0.12mmol)を3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去して、表題の化合物0.15gを得た。これをさらに精製しないで次の段階に使用した。MS 581.4(M+1)+
【0122】
g) Alloc-pAph-Glu−(4−アミノベンジル)アミド
Alloc-pAph-Glu(OtBu)−4−アミノベンジルアミド150mgを、90%TFA 1mlで処理した。12時間後、酢酸エチル/DCM/メタノールを加え、沈殿物を濾過し、乾燥して、表題の化合物55mgを得た。MS 525.3(M+1)+
【0123】
実施例2:Alloc-pAph-Glu−(3−アミノベンジル)アミド
DMF 5ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 30mg(0.064mmol)および3−アミノベンジルアミン8mg(0.064mmol)の溶液に、TOTU 21mg(0.064mmol)およびNEM 8μl(0.064mmol)を3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、酢酸エチルを加え、沈殿物を濾過し、乾燥して、表題の化合物30mgを得た。MS 525.4(M+1)+
【0124】
実施例3:Alloc-pAph-Glu−(2−(4−アミノフェニル)エチル)アミド
DMF 4ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 30mg(0.064mmol)および2−(4−アミノフェニル)エチルアミン8.5μl(0.064mmol)の溶液に、TOTU 21mg(0.064mmol)およびNEM 8μl(0.064mmol)を3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、酢酸エチルを加え、沈殿物を濾過し、乾燥して、表題の化合物30mgを得た。MS 539.4(M+1)+
【0125】
実施例4:Alloc-pAph-Glu−(2,4−ジヒドロキシベンジル)アミド
DMF 5ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 30mg(0.064mmol)および3,4−ジヒドロキシベンジルアミン14mg(0.064mmol)の溶液に、TOTU 21mg(0.064mmol)およびNEM 16μl(0.128mmol)を3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、酢酸エチルを加え、沈殿物を濾過し、乾燥して、表題の化合物45mgを得た。MS 542.4(M+1)+
【0126】
実施例5:Alloc-pAph-Glu−(2−アミノベンジル)アミド
DMF 1.5ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 59mg(0.124mmol)および2−アミノベンジルアミン1.5mg(0.124mmol)の溶液に、TOTU 41mg(0.124mmol)およびNEM 28mg(0.248mmol)を3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、溶剤を蒸発させ、残留物をHPLCで精製して、表題の化合物1.5mgを得た。MS 525.4(M+1)+
【0127】
実施例6:Alloc-pAph-Glu−((RS)−2−アミノ−9H−フルオレン−9−イル)アミド
DMF 5ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 60mg(0.126mmol)および(RS)−2,9−ジアミノ−9H−フルオレン34mg(0.126mmol)の溶液に、TOTU 42mg(0.126mmol)およびNEM 32μl(0.252mmol)を3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、酢酸エチルを加え、沈殿物を濾過し、乾燥して、表題の化合物50mgを得た。MS 598.7(M+1)+
【0128】
実施例7:Alloc-pAph-Glu−(3−エトキシカルボニルアミノプロピル)アミド a) 3−エトキシカルボニルアミノプロピルアミン
DCM 8ml中の3−tert−ブチルオキシカルボニルアミノプロピルアミン0.5g(2.9mmol)およびNEM 0.37g(2.9mmol)の溶液に、DCM 2ml中のクロロギ酸エチル0.32g(0.29mmol)の溶液を加えた。室温で24時間後、この混合物を水および塩水で洗浄し、乾燥した。溶剤を蒸発させ、残留物をTFA(90%)5mlと共に撹拌した。1時間後、溶剤を蒸発させて、表題の化合物0.6gを得た。MS 147.0(M+1)+
【0129】
b) Alloc-pAph-Glu−(3−エトキシカルボニルアミノプロピル)アミド
DMF 1.5ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 59mg(0.124mmol)および3−エトキシカルボニルアミノプロピルアミン16mg(0.124mmol)の溶液に、TOTU 41mg(0.124mmol)およびDIEA 28mg(0.248mmol)を3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、溶剤を蒸発させ、残留物をHPLCで精製して、表題の化合物1.4mgを得た。MS 549.2(M+1)+
【0130】
実施例8:Alloc-pAph-Glu−((R)−1−(3−アミノフェニル)エチル)アミドおよびAlloc-pAph-Glu−((S)−1−(3−アミノフェニル)エチル)アミド
a) (RS)−3−(1−アミノエチル)フェニルアミン塩酸塩
1−(3−アミノ−フェニル)−エタノン0.69g(5.123mmol)、ヒドロキシルアミン0.43g(6.15mmol)、酢酸エチル0.50g(6.15mmol)およびエタノール15mlの混合物を、80℃で8時間加熱した。溶剤を蒸発させ、残留物を水と酢酸エチルとの間に分配した。有機層を乾燥し、濾過し、溶剤を蒸発させて、オキシム(MS 151.2(M+1)+)0.53gを得た。このオキシム0.53gをメタノール100mlに溶解し、Parr装置中で室温において水素化した。2日後、この混合物をセライトに通して濾過し、溶剤を蒸発させた。残留物を塩化水素で飽和したエーテルと共に撹拌した。溶剤を蒸発させて、表題の化合物0.46gを得た。MS 137.1(M+1)+
【0131】
b) Alloc-pAph-Glu−((R)−1−(3−アミノフェニル)エチル)アミドおよびAlloc-pAph-Glu−((S)−1−(3−アミノフェニル)エチル)アミド
DMF 5ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 59mg(0.124mmol)および(RS)−3−(1−アミノエチル)フェニルアミン18mg(0.125mmol)の溶液に、TOTU 41mg(0.124mmol)およびDIEA 28mg(0.248mmol)を3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、溶剤を蒸発させ、残留物をHPLCで精製して、ジアステレオマーI(MS 539.2(M+1)+)0.7mgおよびジアステレオマーII(MS 539.2(M+1)+)0.9mgを得た。
【0132】
実施例9:Alloc-pAph-Glu−((R)−1−(4−アミノフェニル)ブチル)アミドおよびAlloc-pAph-Glu−((S)−1−(4−アミノフェニル)ブチル)アミド
(RS)−4−(1−アミノブチル)フェニルアミンを、実施例8に記載した手順と同様に、相当するケトンから出発して合成した。DMF 5ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 60mg(0.126mmol)および(RS)−4−(1−アミノブチル)フェニルアミン24mg(0.121mmol)の溶液に、TOTU 42mg(0.126mmol)およびNEM 32μl(0.252mmol)を3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、溶剤を蒸発させ、残留物をHPLCで精製して、ジアステレオマーI(MS 567.3(M+1)+)3mgおよびジアステレオマーII(MS 567.3(M+1)+)3mgを得た。
【0133】
実施例10:Alloc-pAph-Glu−(3−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニルアミノ)プロピル)アミド
a) N−(3−アミノプロピル)−3,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド
1,3−ジアミノプロパン(6g,81.5mmol)を1,4−ジオキサン45mlに溶解し、15〜20℃で1,4−ジオキサン5ml中の3,5−ジクロロベンゼンスルホニルクロリド(2g,8.15mmol)の溶液を撹拌しながら3時間かけて徐々に加えた。撹拌を室温で続けた。30時間後、生成した沈殿物を濾別し、濾液を真空濃縮した。残留物を酢酸エチルと水との間に分配した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空濃縮して、粗製材料2.0gを得た。この材料750mgをHPLCで精製して、表題の化合物675mgをTFA塩(MS 283.0(M+1)+)として得た。この生成物200mgを酢酸エチルに溶解し、希炭酸カリウム溶液5mlで処理した。有機層を分離し、乾燥し、濾過し、真空濃縮して、TFA不含の表題のアミンを得た。
【0134】
b) Alloc-pAph-Glu−(3−(3,5−ジクロロベンゼンスルホニルアミノ)プロピル)アミド
N−(3−アミノプロピル)−3,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド(7mg,23.4μmol)、Alloc-pAph-Glu(OtBu)-OH(10mg,19.5μmol)およびHOBt水和物(9mg,58.5μmol)を、DMFおよびDCMの1:3混合物2mlに溶解した。次いでDIC(6μl,39μmol)を加えた。3時間撹拌し、室温で週末まで放置した後、溶剤を除去し、残留物をHPLCで精製して、カップリング生成物6.5mgを得た。これをTFAおよびDCMの1:1混合物4ml中で2時間撹拌した。一夜放置した後、溶剤を蒸発させ、残留物をDCMに溶解した。溶剤を蒸発させた後、残留物をHPLCで精製し、凍結乾燥して、表題の化合物3.5mgを得た。MS 685.4(M+1)+
【0135】
実施例11:Alloc-pAph-Glu−(3−((ナフタレン−2−スルホニルアミノ)メチル)ベンジル)アミド
a) ナフタレン−2−スルホン酸(3−アミノメチルベンジル)アミド
α,α′−ジアミノ−m−キシレン(24g,176mmol)を1,4−ジオキサン50mlに溶解し、15〜20℃で1,4−ジオキサン50mlに溶解したナフタレン−2−スルホニルクロリド(4g,17.6mmol)を撹拌しながら3時間かけて徐々に加えた。撹拌を室温で続けた。一夜放置した後、生成した沈殿物を濾別し、濾液を真空濃縮した。残留物をDCMと水との間に分配した。有機層を分離し、水および1N HClで洗浄した。有機層と水層との間に生成した油層を分離した。これは放置すると固化した。この固体材料を酢酸エチルで処理し、吸引濾別し、酢酸エチルで洗浄した。残留物を水に溶解し、炭酸カリウム溶液で処理した。この水溶液を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、表題の化合物3.2gを得た。MS 327.3(M+1)+
【0136】
b) Alloc-pAph-Glu−(3−((ナフタレン−2−スルホニルアミノ)メチル)ベンジル)アミド
ナフタレン−2−スルホン酸(3−アミノメチルベンジル)アミド(8mg,23.4μmol)、Alloc-pAph-Glu(OtBu)-OH(10mg,19.5μM)およびHOBt水和物(9mg,58.5μmol)を、DMFおよびDCMの1:3混合物2mlに溶解した。次いでDIC(6μl,39μmol)を加えた。3時間後、反応混合物を濃縮し、実施例10に記載したように処理した。凍結乾燥して、表題の化合物7.6mgを得た。MS 729.4(M+1)+
【0137】
実施例12:Alloc-pAph-Glu−(4−カルバモイルメチルチアゾール−2−イル)アミド
a) Fmoc-Glu(OtBu)−(4−カルバモイルメチルチアゾール−2−イル)アミド
DMF 10ml中のFmoc-Glu(OtBu)-OPfp 1.24g(2.1mmol)の溶液に、DMF 10ml中の2−(2−アミノチアゾール−4−イル)−アセトアミド0.33g(2.1mmol)の溶液を15分間かけて加えた。室温で2日後、溶剤を蒸発させ、残留物をエーテルで洗浄して、表題の化合物0.86gを得た。MS 565.4(M+1)+
【0138】
b) H-Glu(OtBu)−(4−カルバモイルメチルチアゾール−2−イル)アミド
DMF/ピペリジン(1:1)5ml中のFmoc-Glu(OtBu)−(4−カルバモイルメチルチアゾール−2−イル)アミド0.86g(1.52mmol)の溶液を、室温で3時間撹拌した。溶剤を蒸発させ、残留物をセライトに通して濾過して、表題の化合物0.37gを得た。MS 343.4(M+1)+
【0139】
c) Alloc-pAph-Glu−(4−カルバモイルメチルチアゾール−2−イル)アミド
DMF 10ml中のAlloc-pAph-OH 50mg(0.17mmol)およびTOTU 39.1mgの溶液に、H-Glu(OtBu)−(4−カルバモイルメチルチアゾール−2−イル)アミド58.8mg(0.17mmol)およびNEM 21.8μlを加えた。室温で24時間後、溶剤を除去し、残留物をNaHCO3水溶液と酢酸エチルとの間に分配した。有機相を乾燥し、濾過し、蒸発させた。残留物をTFA 0.6mlと共に16時間撹拌した。酢酸エチル50mlおよびリグロイン10mlを加え、沈殿物を濾過して、表題の化合物59mgを得た。MS 560.4(M+1)+
【0140】
実施例13:Alloc-pAph-Glu−(4−アミノ−2−メチルピリミジン−5−イルメチル)アミド
DMF 5ml中のAlloc-pAph-Glu(OtBu)-OH 53mg(0.11mmol)および4−アミノ−5−アミノメチル−2−メチルピリミジン15mg(0.11mmol)の溶液に、TOTU 37mg(0.115mmol)およびNEM 14μlを3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、酢酸エチル、イソプロパノールおよびメタノールを加え、沈殿物を濾過して、表題の化合物46mgを得た。MS 541.3(M+1)+
【0141】
実施例14:Alloc-pAph-Asp−(3−アミノベンジル)アミド
DMF 5ml中のAlloc-pAph-OH 50mg(0.153mmol)およびH-Asp(OtBu)−3−アミノベンジルアミド塩酸塩50.3mg(0.153mmol)の溶液に、TOTU 50mg(0.153mmol)およびNEM 60μlを3℃で加えた。室温で12時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、酢酸エチルを加え、油状沈殿物を分離し、凍結乾燥して、表題の化合物82mgを得た。MS 511.3(M+1)+
【0142】
実施例15:Alloc-pAph-2-Aad−(3−アミノベンジル)アミド
【化8】
Figure 0004546683
【0143】
DMF 5ml中のAlloc-pAph-OH塩酸塩100mg(0.305mmol)およびH-2-Aad(OtBu)−(3−アミノベンジル)アミド塩酸塩139mg(0.305mmol)の溶液に、TOTU 128mg(0.389mmol)およびNEM 150μlを3℃で加えた。室温で16時間後、溶剤を除去し、残留物を90%TFA 1mlで処理した。室温で8時間後、酢酸エチルを加え、沈殿物を濾過し、HPLCで精製し、凍結乾燥して、表題の化合物43mgを得た。MS 539.2(M+1)+
【0144】
実施例16:Alloc-pAph-Glu(OCH3)−(3−アミノベンジル)アミド
Alloc-pAph-OH塩酸塩50mg(0.153mmol)およびH-Glu(OCH3)−(3−アミノベンジル)アミド塩酸塩75mg(0.153mmol)を、実施例15に記載した手順により反応させて、表題の化合物22mgを得た。MS 539.3(M+1)+
上記実施例と同様にして、下記の実施例の化合物を製造した。
【0145】
式Iaの実施例の化合物:
【表1】
Figure 0004546683
【0146】
式Ibの実施例の化合物:
【表2】
Figure 0004546683
【0147】
式Icの実施例の化合物:
【表3】
Figure 0004546683
【0148】
実施例35:((S)−2−アリルオキシカルボニルアミノ−3−(4−カルバミミドイルフェニル)プロピオニル)−Glu−(3−(ピリジン−3−イルスルホニルアミノ)フェニル)アミド(Alloc-pAph-Glu−(3−(ピリジン−3−イルスルホニルアミノ)フェニル)アミド)
MS 652.4(M+1)+
【0149】
実施例36:((R)−2−アリルオキシカルボニルアミノ−3−(4−カルバミミドイルフェニル)プロピオニル)−Glu−(3−(ピリジン−3−イルスルホニルアミノ)フェニル)アミド(Alloc-D-pAph-Glu−(3−(ピリジン−3−イルスルホニルアミノ)フェニル)アミド)
MS 652.4(M+1)+
【0150】
式Idの実施例の化合物:
【表4】
Figure 0004546683
【0151】
【表5】
Figure 0004546683
【0152】
式Ieの実施例の化合物:
【表6】
Figure 0004546683
【0153】
実施例70:
(S)−2−(3−ブロモベンゼンスルホニルアミノ)−3−(4−カルバミミドイルフェニル)プロピオニル)−Glu−(3−アミノベンジル)アミド
MS 659.1(M+1)+
【0154】
実施例71:
(S)−2−(3−クロロベンゾイルアミノ)−3−(4−カルバミミドイルフェニル)プロピオニル)−Glu−(3−アミノベンジル)アミド
MS 579.2(M+1)+
【0155】
薬理学的試験
式Iの化合物がファクターVIIaまたは他の酵素、例えばファクターXa、トロンビン、プラスミンまたはトリプシンを阻害する能力は、酵素活性を50%だけ阻害する式Iの化合物の濃度、すなわちIC50値を決定することにより評価でき、この値を阻害定数Kiに関連させる。精製酵素を色素産生アッセイに用いる。基質加水分解の速度の50%低下を生じさせる阻害剤の濃度を、加水分解の相対速度(阻害されないコントロールと比較して)を式Iの化合物の濃度の対数に対してプロットした後、線形回帰により決定する。阻害定数Kiを計算するために、IC50値を基質との競争に対して、式
Ki=IC50/{1+(基質濃度/Km)}
(式中、Kmは Michaelis-Menten 定数である)を用いて補正する(Chen および Prusoff, Biochem. Pharmacol. 22 (1973), 3099-3108; I. H. Segal, Enzyme Kinetics, 1975, John Wiley & Sons, New York, 100-125; これらは参照により本明細書に組み入れられる)。
【0156】
a) ファクターVIIaアッセイ
ファクターVIIa/組織ファクター活性に対する式Iの化合物の阻害活性(阻害定数Ki(F VIIa)として表される)を、本質的に以前に記載された色素産生アッセイを用いて決定した(J. A. Ostrem ら, Biochemistry 37 (1998) 1053-1059、これは参照により本明細書に組み入れられる)。動的アッセイを、25℃で半面積マイクロタイタープレート(Costar Corp., Cambridge, Massachusetts)において動的プレートリーダー(Molecular Devices Spectramax 250)を用いて行った。典型的なアッセイは、10%DMSO/TBS−PEG緩衝液(50mM Tris, 15mM NaCl, 5mM CaCl2, 0.05%PEG 8000, pH8.15)中の阻害剤希釈物40μlと混合した25μlのヒトファクターVIIaおよびTF(それぞれ最終濃度5nM および10nM)からなっていた。15分のプレインキュベーション期間の後、35μlの色素産生基質S−2288(D−Ile−Pro−Arg−p−ニトロアニリド、Pharmacia Hepar Inc.、最終濃度500μM)を加えてアッセイを開始した。
下記の試験結果(阻害定数Ki(F VIIa))を得た。
【0157】
【表7】
Figure 0004546683
【0158】
下記の試験を、選択された他の凝固酵素および他のセリンプロテアーゼの、式Iの化合物による阻害を研究するため、従ってそれらの特異性を決定するために役立てることができる。
【0159】
b) ファクターXaアッセイ
TBS−PEG緩衝液(50mM Tris-Cl, pH7.8, 200mM NaCl, 0.05% (w/v) PEG-8000, 0.02%(w/v) NaN3)をこのアッセイに使用する。Coster半面積マイクロタイタープレートの適切なウェル中で、TBS−PEG中の25μlのヒトファクターXa(Enzyme Research Laboratories, Inc.; South Bend, Indiana);TBS−PEG中の40μlの10%(v/v)DMSO(阻害されないコントロール)またはTBS−PEG中の10%(v/v)DMSOに希釈した種々の濃度の試験すべき化合物;およびTBS−PEG中の基質S−2765(N(α)−ベンジルオキシカルボニル−D−Arg−Gly−L−Arg−p−ニトロアニリド; Kabi Pharmacia, Inc.; Franklin, Ohio)を混合することにより、IC50を決定する。
【0160】
式Iの化合物プラス酵素を10分間プレインキュベートすることにより、アッセイを行う。次いで基質を加えて100μlの最終容積を得ることにより、アッセイを開始する。色素産生基質加水分解の初期速度を、Bio-tek Instruments 動的プレートリーダー(Ceres UV900HDi)を用いて25℃で時間経過の線形部分(通常、基質添加後1.5分)の間に405nmにおける吸光度の変化により測定する。酵素濃度は0.5nMであり、基質濃度は140μMである。
【0161】
c) トロンビンアッセイ
TBS−PEG緩衝液をこのアッセイに使用する。基質がS−2366(L−PyroGlu−L−Pro−L−Arg−p−ニトロアニリド;Kabi)であり、酵素がヒトトロンビン(Enzyme Research Laboratories, Inc.; South Bend, Indiana)である以外は、ファクターXaアッセイについて上記したようにIC50を決定する。酵素濃度は175μMである。
【0162】
d) プラスミンアッセイ
TBS−PEG緩衝液をこのアッセイに使用する。基質がS−2251(D−Val−L−Leu−L−Lys−p−ニトロアニリド;Kabi)であり、酵素がヒトプラスミン(Kabi)である以外は、ファクターXaアッセイについて上記したようにIC50を決定する。酵素濃度は5nMであり、基質濃度は300μMである。
【0163】
e) トリプシンアッセイ
10mM CaCl2を含有するTBS−PEG緩衝液をこのアッセイに使用する。基質がBAPNA(ベンゾイル−L−Arg−p−ニトロアニリド;Sigma Chemical Co.; St. Louis, Missouri)であり、酵素がウシ膵臓トリプシン(タイプXIII, TPCK 処理; Sigma)である以外は、ファクターXaアッセイで上記したようにIC50を決定する。酵素濃度は50nMであり、基質濃度は300μMである。
【0164】
血栓症のラット動静脈シャントモデル
本発明の化合物の抗血栓症効力を、ラット体外動静脈(AV)シャントを用いて評価することができる。AVシャント回路は、右頚動脈に挿入される長さ20cmのポリエチレン(PE)60のチューブ材料、長さ6.5cmのマーセル加工木綿糸(5cmを血流にさらす)を有する長さ6cmのPE160のチューブ材料および左頚静脈内で回路を完結させる第二の長さのPE60のチューブ(20cm)材料からなる。回路全体を挿入の前に生理食塩液で満たす。
【0165】
試験化合物を、シリンジポンプおよびバッテリーカテーテルを用いて尾静脈内に連続的に注入することにより投与する。化合物を30分間投与し、次いでシャントを開放し、血液を15分の期間流通させる(合計45分間注入)。15分の期間が終了したとき、シャントを鉗子で締め、糸を注意深く除去し、化学天秤で秤量する。血栓形成の%阻害を、食塩水で輸液されるコントロールラットから得られた血栓重量を用いて計算する。

Claims (8)

  1. 下記式
    Figure 0004546683
    [式中、
    rは、であり;
    sは、であり;
    tは、であり;
    1は、水素、R11−CO−およびR12−SO2−からなる系から選択され;
    11は、水素、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−、Het−(C1〜C4)−アルキル−、(C1〜C8)−アルキルオキシ−、(C6〜C14)−アリールオキシ−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシ−、アミノ、(C1〜C8)−アルキルアミノ−、(C6〜C14)−アリールアミノ−および (C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルアミノ−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
    12は、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−、Het−(C1〜C4)−アルキル−、ジ((C1〜C8)−アルキル)アミノ−およびジ((C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル)アミノ−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
    2は、水素、R21(R22)CH−、R23−Het−(CH2)k−、R23(R24)N−(CH2)m−D−(CH2)n−またはR25(R26)N−CO−(CH2)p−D−(CH2)q−であり、ここで、Dは、2価の残基−C(R31)(R32)−、2価の(C6〜C14)−アリーレン残基、または5〜10個の環原子(その1、2、3または4個は、窒素、酸素および硫黄からなる系から選択される同一または異なる環ヘテロ原子である)を含む芳香族基Hetから誘導される2価の残基であり、数k、m、n、pおよびqは、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、0、1、2、3、4または5であり、ただし、Dが−C(R31)(R32)−である場合、m+nの合計は0であることができず、またp+qの合計は0であることができず;
    21およびR22は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、水素、(C1〜C12)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−およびHet−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、またはR40、(C1〜C8)−アルキルアミノ−、ジ−((C1〜C8)−アルキル)−アミノ−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルアミノ−、(C6〜C14)−アリールアミノ−、アミノカルボニル−およびアミノカルボニル−(C1〜C8)−アルキル−からなる系からの1個またはそれ以上の同一または異なる置換基で置換されており;
    またはR21およびR22は、これらが結合している炭素原子と一緒になって飽和または不飽和の3員〜8員の炭素環式環を形成し、この環は1個または2個の環系[これらの環系は、5〜10個の環原子(その1、2または3個は、窒素、酸素および硫黄からなる系から選択される同一または異なるヘテロ原子である)を含むヘテロ芳香族環、および/または(C6〜C10)炭素環式芳香族環である]に縮合していてもよく、ここで、形成された基R21(R22)CH−は非置換であるか、またはR40、(C1〜C8)−アルキルアミノ−、ジ−((C1〜C8)−アルキル)−アミノ−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルアミノ−、(C6〜C14)−アリールアミノ−、アミノカルボニル−およびアミノカルボニル−(C1〜C8)−アルキル−からなる系からの1個またはそれ以上の同一または異なる置換基で置換されており;
    23は、水素、R27−SO2−またはR28−CO−であり;
    24は、水素、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリールおよび (C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され;
    25およびR26は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、水素、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−およびHet−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
    27は、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−、Het−(C1〜C4)−アルキル−、アミノ、(C1〜C8)−アルキルアミノ−、ジ−((C1〜C8)−アルキル)アミノ−、(C6〜C14)−アリールアミノ−および(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルアミノ−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
    28は、R27、(C1〜C8)−アルキルオキシ−、(C6〜C14)−アリールオキシ−および(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキルオキシ−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
    31およびR32は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく、水素、(C1〜C12)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、Het−およびHet−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され、ここで、これら全ての基は非置換であるか、または1個またはそれ以上の同一または異なる置換基R40で置換されており;
    40は、ハロゲン、ヒドロキシ、(C1〜C8)−アルキルオキシ−、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C8)−アルキルオキシ−、(C6〜C14)−アリールオキシ−、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C8)−アルキル、(C1〜C8)−アルキルスルホニル−、トリフルオロメチル、アセチルアミノ−、アミノ、アミジノ、グアニジノ、オキソ、ニトロおよびシアノからなる系から選択され、ここで、基R40は、互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく;
    91 および92 は、水素であり、93、水素、(C1〜C8)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C4)−アルキル−、HetおよびHet−(C1〜C4)−アルキル−からなる系から選択され;
    94は、(C1〜C4)−アルキル、(C6〜C14)−アリール、アミノ、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、(C1〜C4)−アルキルオキシ−からなる系から選択され、ここで、基R94は互いに独立しており、同一でも異なっていてもよく;
    95は、式Iにおけるフェニル環の4位に存在するアミジノであり
    96は、水素であり
    97は、 99 −CH 2 −CH 2 −であり
    99、ヒドロキシカルボニル−および(C1〜C 4 )−アルキルオキシカルボニル−からなる系から選択され;
    Hetは、3〜10個の環原子(その1、2、3または4個は、窒素、酸素および硫黄からなる系列から選択される同一または異なるヘテロ原子である)を含む飽和、部分飽和または芳香族の単環式または二環式のヘテロ環式環系である]
    で表わされ、ここで、R 1 (R 91 )N−基及び−(CH 2 )r−基が結合する炭素原子およびR 96 基およびR 97 基が結合する炭素原子はS配置を有する化合物、 1 (R 91 )N−基及び−(CH 2 )r−基が結合する炭素原子およびR 96 基およびR 97 基が結合する炭素原子はS配置を有するという条件で、その全ての立体異性体形態またはこれらの任意の割合の混合物、またはそれらの生理的に許容される塩。
  2. 11が (C1〜C8)−アルキル、(C6〜C10)−アリールまたは (C1〜C8)−アルキルオキシ−である、請求項1に記載の式Iの化合物、R 1 (R 91 )N−基及び−(CH 2 )r−基が結合する炭素原子およびR 96 基およびR 97 基が結合する炭素原子はS配置を有するという条件で、その全ての立体異性体形態またはこれらの任意の割合の混合物、またはそれらの生理的に許容される塩。
  3. 2がR21(R22)CH−、R23−Het−(CH2)k−またはR23(R24)N−(CH2)m−D−(CH2)n−であり、Dが2価の残基−C(R31)(R32)−、2価のフェニレン残基または芳香族の単環式基Hetから誘導される2価の残基である、請求項1または2に記載の式Iの化合物、 1 (R 91 )N−基及び−(CH 2 )r−基が結合する炭素原子およびR 96 基およびR 97 基が結合する炭素原子はS配置を有するという条件で、その全ての立体異性体形態またはこれらの任意の割合の混合物、またはそれらの生理的に許容される塩。
  4. 1がアルキルオキシカルボニル−であり;
    2がR21(R22)CH−、R23−Het−(CH2)k−またはR23(R24)N−(CH2)m−D−(CH2)n−であり;
    Dが2価の残基−C(R31)(R32)−、2価のフェニレン残基または芳香族の単環式基Hetから誘導される2価の残基であり
    93 が水素である、請求項1〜のいずれか一項に記載の式Iの化合物、 1 (R 91 )N−基及び−(CH 2 )r−基が結合する炭素原子およびR 96 基およびR 97 基が結合する炭素原子はS配置を有するという条件で、その全ての立体異性体形態またはこれらの任意の割合の混合物、またはそれらの生理的に許容される塩。
  5. 式II、IIIおよびIVの化合物
    Figure 0004546683
    (式中、R1、R2、R91、R92、R93、R94、R95、R96、R97、およびr、sおよびtは、請求項1〜のいずれかで定義したとおりであるか、または官能基は前駆体基の形態または保護された形態で存在し、Y1およびY2は、ヒドロキシまたは親核置換可能な脱離基である)をカップリングさせることを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の少なくとも1種の式Iの化合物またはその生理的に許容される塩、および製薬上許容される担体を含む医薬調製物。
  7. ファクターVIIaの阻害剤として使用するための、請求項1〜のいずれか一項に記載の式Iの化合物。
  8. 血塊生成または炎症性応答を阻害または減少させるための、または心臓血管障害、血栓塞栓性疾患または再狭窄症の治療または予防に使用するための、請求項1〜のいずれか一項に記載の式Iの化合物またはその生理的に許容される塩。
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