JP4546039B2 - 半導体ウェハ研磨用組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【従来の技術とその課題】
本発明は、半導体ウェハ研磨用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
CMP(Chemical Mechanical Polishing)は、半導体ウェハの平坦化を行う技術であり、半導体の高性能化および高集積化を達成する上で、必要不可欠なものになっている。
【0003】
CMP工程では、図4に示すように、研磨定盤1に貼付されたパッド2に、ウェハ3の被研磨面がパッド2に接するようにウェハ3を載せ、ウェハ3に加圧ヘッド4を押し付けてウェハ3に一定の荷重をかけかつ研磨用組成物5をパッド2表面に供給しながら、パッド2と加圧ヘッド4とを回転させることによって、ウェハ3の研磨が行われる。
【0004】
研磨用組成物は、研磨剤を含む水性スラリーであり、ウェハの被研磨面に形成される膜の材質などに応じて、種々の研磨剤の中から適当なものが選択される。その中でも、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどのシリカ系研磨粒子を含む水性スラリーである研磨用組成物(たとえば、特許文献1参照)が汎用されている。シリカ系研磨粒子とともに、ウェハの研磨速度を向上させるために、ピペラジン、水溶性アルキルアミン、第4級アンモニウム塩などの研磨促進剤を含む研磨用組成物も知られている(たとえば、特許文献2、特許文献3および特許文献4参照)。しかしながら、シリカ系研磨粒子を含む研磨用組成物を用いてウェハを研磨すると、パッド表面にシリカ被膜が形成されるグレージングという現象が起こり、パッド表面がガラス化される。その結果、パッドそのものの研磨能力が著しく低下し、パッドの耐用性が損なわれ、パッド寿命が短くなる。
【0005】
従来の研磨用組成物において、高濃度の研磨促進剤もしくは無機系のアルカリ剤を加えて組成物のpHを11より高く調整することによって、パッドの耐用性を向上できることは知られている。ところが、pH11を超える高アルカリ領域では、シリカ系研磨粒子の分散安定性が低下し、研磨粒子が凝集およびケイ酸イオンとなって溶解し、研磨速度およびウェハ表面状態に悪影響を及ぼす問題が起こる。加えて、研磨促進剤として有用なピペラジンは、水に対して高い溶解度を有するけれども、シリカ系研磨粒子の存在する系では濃度が高くなるほど溶解性が不安定になり、気温および気圧の変化などによって析出を起こすので、高濃度の添加はできない。
【0006】
さらに、シリカ系研磨粒子とピペラジンとを含み、シリカ系研磨粒子とピペラジンとの重量比(ピペラジン/シリカ系研磨粒子)が0.1〜0.8の範囲にある研磨用組成物が知られている(たとえば、特許文献5)。この研磨用組成物を用いてウェハの研磨を行うと、高い研磨速度が達成され、しかも研磨後のウェハの表面は平坦化度および清浄度が高い。しかしながら、この研磨用組成物においても、シリカ系研磨粒子を含む研磨用組成物に共通する、パッドの耐用性が損なわれるという欠点は、解決されるには至っていない。
【0007】
【特許文献1】
特開昭52−47369号公報
【特許文献2】
特開昭62−30333号公報
【特許文献3】
米国特許第4169337号明細書
【特許文献4】
特開昭58−225177号公報
【特許文献5】
特開平5−154760号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ウェハの研磨速度、研磨後のウェハの平坦化度および研磨剤の分散安定性を損なうことなく、グレージングの発生を防止し、パッドの耐用性を向上させることができる半導体ウェハ研磨用組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シリカ系研磨粒子と研磨促進剤とアルコールとを含み、残部が水である組成物であって、前記研磨促進剤がピペラジンであり、 研磨粒子の含有量が組成物全量の0.1〜1.0重量%でありかつ研磨粒子と研磨促進剤との重量比(研磨促進剤/研磨粒子)が0.83〜8.3であることを特徴とする半導体ウェハ研磨用組成物である。
【0010】
本発明に従えば、シリカ系研磨粒子と研磨促進剤とアルコールとを含む研磨用組成物において、シリカ系研磨粒子を0.1〜1.0重量%という比較的低い濃度で含有させ、かつシリカ系研磨粒子と研磨促進剤との重量比が0.83〜8.3という特定範囲になるように研磨促進剤を含有させることによって、ウェハの研磨作業に悪影響をおよぼすような程度まで研磨速度を低下させることなく、また研磨後のウェハ表面の平坦化度を損なうことなく、研磨後のウェハ表面に表面荒れが発生することなく、さらにシリカ系研磨粒子の分散安定性が低下し、該研磨粒子が凝集および溶解を起こすことなく、グレージングの発生が防止され、パッドの耐用性を向上させることができる半導体ウェハ研磨用組成物が提供される。
【0011】
本発明に従えば、シリカ系研磨粒子を非常に低い濃度で含有させることによって、ウェハの耐用性をさらに向上させながら、研磨速度の低下をさらに少なくすることができる。
【0012】
また本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、前述の研磨促進剤が、ピペラジンであることを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、研磨促進剤としてピペラジンを使用することによって、グレージングが一層防止され、パッドの耐用性向上が顕著であるとともに、研磨速度の低下を一層少なくすることができる。
【0014】
また本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、pH調整剤としてさらに有機酸および錯化剤を含むことを特徴とする。
【0015】
また本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、前述の有機酸が炭素数2〜6のモノカルボン酸、炭素数2〜6のジカルボン酸、炭素数3〜6のトリカルボン酸、芳香族カルボン酸およびアスコルビン酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0016】
また本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、前述の錯化剤がエチレンジアミン4酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ニトリロ3酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N'−4酢酸および1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N',N'−4酢酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、本発明の研磨用組成物に有機酸および錯化剤から選ばれる1種または2種以上、好ましくは特定のものから選ばれる1種または2種以上をさらに配合することによって、研磨速度、パッドの耐用性などを低下させることなく、研磨剤の分散安定性、研磨後のウェハ表面で表面荒れが起こるのを一層防止し、研磨後のウェハの平坦化度をさらに向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、シリカ系研磨粒子と研磨促進剤とアルコールとを含み、残部が水である組成物である。
【0019】
本発明の研磨用組成物は、シリカ系研磨粒子の含有量が通常0.1〜1.0重量%であり、シリカ系研磨粒子の含有量が0.1重量%未満では、充分な研磨速度を得ることができない。一方、1.0重量%を超えると、グレージングが発生しやすく、パッドの耐用性を損なうおそれがある。
【0020】
また本発明の研磨用組成物は、シリカ系研磨粒子と研磨促進剤との重量比(研磨促進剤/シリカ系研磨粒子)が通常0.83〜8.3であることを特徴とする。重量比が0.83未満では、グレージング防止効果が不十分になり、パッドの耐用性を向上させることができない。一方8.3を超えると、ウェハの研磨速度が低下するとともに、研磨後のウェハ表面における表面荒れが顕著になるおそれがある。
【0021】
本発明の研磨用組成物のpHは特に制限されないけれども、研磨速度、パッドの耐用性、研磨後のウェハの表面状態(平坦化度、表面荒れの発生の有無など)、研磨粒子の分散安定性などを考慮すると、10.0〜11.0の範囲が好ましい。
【0022】
本発明の研磨用組成物は、各成分の含有量を研磨に用いるのに適した範囲に調整された場合でもよく、各成分を高濃度で含有するように調製し、それを1〜30倍程度に希釈し、各成分の含有量を研磨に用いるのに適した範囲に調整してもよい。
【0023】
本発明の研磨用組成物において、シリカ系研磨粒子としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどが挙げられる。これらの中でも、コロイダルシリカが好ましい。シリカ系研磨粒子は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。シリカ系研磨粒子の粒子径は特に制限されず、研磨対象であるウェハの種類などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は10〜300nm程度、好ましくは50〜100nm程度である。
【0024】
研磨促進剤としてはピペラジンが挙げられる。ピペラジンには、置換基を有するピペラジンを包含される。置換基を有するピペラジンとしては、たとえば、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、無水ピペラジン、ピペラジン6水和物などの、水酸基、アミノ基などを有することのある炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が窒素原子に置換したピペラジンなどが挙げられる。これらの中でも、無水ピペラジンが好ましい。研磨促進剤は、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる
【0025】
研磨促進剤の含有量は、前述のとおり、シリカ系研磨粒子と研磨促進剤との重量比(研磨促進剤/シリカ系研磨粒子)が0.83〜8.3になる量である。
【0026】
本発明の研磨用組成物は、有機酸および錯化剤から選ばれる1種または2種以上を含んでいてもよい。これらは、本発明の研磨用組成物において、たとえば、pH調整剤、pH緩衝剤として作用する。
【0027】
有機酸としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリン酸、乳酸などの炭素数2〜6のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸などの炭素数2〜6のジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸などの炭素数3〜6のトリカルボン酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。有機酸には、前記カルボン酸類およびアスコルビン酸の塩も包含される。有機酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0028】
錯化剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、ニトリロ3酢酸(NTA)、トリエチレンテトラミン6酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N'−4酢酸(EGTA)、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N',N'−4酢酸(CDTA)などが挙げられる。これらの中でも、研磨後のウェハが研磨の際などに生じる金属イオンによって汚染されることを防止するという観点から、EDTA、DTPA、TTHAなどが好ましく、TTHAが特に好ましい。錯化剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0029】
有機酸および錯化剤の含有量は特に制限されず、研磨剤の種類、粒子径、含有量、研磨促進剤の種類、含有量、研磨対象であるウェハの種類などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができる。しかしながら、通常は、研磨用組成物のpHが10〜11の範囲になる量が使用される。研磨用組成物のpHを10〜11の範囲に調整するための有機酸および錯化剤の含有量は、通常は研磨用組成物全量の0.005〜0.5重量%である。
【0030】
本発明の研磨用組成物は、アルコールを含む。アルコールは、ピペラジンの溶解助剤として作用する。すなわちアルコールを加えることによって、研磨促進剤としてのピペラジンなどの溶解安定性をさらに向上させることができる。アルコールとしては公知のものを使用できるけれども、その中でも、炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールが好ましい。炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖状の脂肪族飽和アルコールなどが挙げられる。これらのアルコールは、アルキル部分に水酸基などの置換基を有していてもよい。これらの中でも、メタノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数1〜3のものが特に好ましい。アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0031】
アルコールの含有量は、アルコールそのものの種類、他の成分の種類および含有量、研磨対象である半導体の種類などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、たとえばシリカ系研磨粒子の分散安定性など、他の特性に悪影響を及ぼすことなく、研磨促進剤の溶解安定性を向上させることを考慮すると、通常は研磨用組成物全量の0.01〜0.5重量%である。
【0032】
本発明の研磨組成物は、研磨剤と研磨促進剤とアルコールの適量ならびに有機酸および錯化剤の適量さらに必要に応じて他の添加剤の適量を用い、かつ水を用いて全量を100重量%とし、これらの成分を一般的な混合手段に従って混合することによって製造することができる。ここで使用する水は特に制限されないけれども、用途を考慮すると、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水などが好ましい。
【0033】
本発明の半導体ウェハ研磨用組成物の好ましい形態では、コロイダルシリカ、研磨促進剤、アルコールならびに有機酸および錯化剤から選ばれる0.1〜1.0重量%でありかつコロイダルシリカと研磨促進剤の重量比(研磨促進剤/シリカ)が0.83〜8.3である。
【0034】
本発明の研磨用組成物を用いてウェハの研磨を行うに際しては、従来の研磨用組成物に代えて本発明の研磨用組成物を用いる以外は、従来のウェハ研磨と同様に行うことができる。
【0035】
本発明の研磨用組成物は、ウェハのCMP加工全般において研磨用組成物として使用できる。具体的には、ウェハに形成された薄膜、たとえば、W、Cu、Ti、Taなどの金属膜、TiN、TaN、Si34などのセラミックス膜、SiO2、p−TEOSなどの酸化膜、HSQ膜、メチル化HSQ膜、SiLK膜、ポーラス膜などの低誘電膜などの薄膜が形成されたウェハの研磨に好適に使用できる。
【0036】
また本発明の研磨用組成物は、半導体ウェハのCMP加工に限定されず、それ以外の用途で金属、セラミックスなどを研磨する際にも、好適に使用できる。
【0037】
[実施例]
以下に実施例、比較例および試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
【0038】
実施例1〜3および比較例1〜3
表1に示す割合(重量%)で、コロイダルシリカ(平均粒子径70nm)、ピペラジン、クエン酸、EDTA、メタノールおよび水を用い、これらの成分を混合し、本発明および比較例の研磨用組成物を調製した。
【0039】
【表1】
Figure 0004546039
【0040】
比較例4
市販の研磨用組成物(商品名:Nalco2350、Nalco社製)を比較のために用いた。この研磨組成物は、水で20倍に希釈してコロイダルシリカ 約2.5重量%として研磨に用いた。
【0041】
試験例1(パッドの耐用性評価)
研磨装置(Strasbagh6CA)を用い、研磨パッド(Suba800、ロデール・ニッタ社製)に実施例3ならびに比較例1および2の研磨用組成物を100ml/分の割合で供給し、かつ直径4インチ×3枚のシリコンウェハに約29.4×103Pa(300gf/cm2)の圧力をかけながら、研磨定盤を115rpmおよび加圧ヘッドを100rpmでそれぞれ回転させ、40分間研磨を行った。
【0042】
研磨終了後、ウェハ重量を測定し、1分間平均除去量を算出して研磨速度(μm/分)とした。上記の研磨を繰り返し行い、シリコンウェハは1回ごとに未研磨のものに取替え、パッドは同一のものを用いた。結果を図1に示す。
【0043】
図1において、○は実施例3の組成物、●は比較例1の組成物および△は比較例2の組成物の結果をそれぞれ示す。図1から明らかなように実施例3の方が比較例1より同等もしくはそれ以上の研磨レートを維持し、パッドのグレージングに対し効果があることを示した。
【0044】
試験例2(研磨速度評価)
研磨装置(Strasbagh6CA)を用い、研磨パッド(Suba600、ロデール・ニッタ(株)製)に実施例1〜3および比較例1、3および4の研磨用組成物を5リットル/分の割合で供給しかつ4インチ×3枚のシリコンウェハに約29.4×103Pa(300gf/cm2)の圧力をかけながら、研磨定盤を115rpmおよび加圧ヘッドを100rpmでそれぞれ回転させ、30分間研磨を行った。
【0045】
研磨終了後、ウェハ重量を測定し、1分間平均除去量を算出して研磨速度(μm/分)とした。上記の研磨を繰り返し行い、シリコンウェハは1回ごとに未研磨のものに取替え、パッドは同一のものを用いた。
【0046】
比較例1の組成物の研磨速度を1とし、これに対する相対値として各組成物の研磨速度を求めた。結果を図2に示す。
【0047】
図2において、(a)は比較例3、(b)は実施例1、(c)は実施例2、(d)は実施例3、(e)比較例1および(f)は比較例4の組成物の研磨速度(相対値)をそれぞれ示す。図2から、本発明組成物による研磨速度は、比較用組成物(比較例1)とほぼ同等であり、従来の組成物(比較例3)より著しく高いことが明らかである。
【0048】
試験例4(研磨剤の分散安定性)
実施例1〜3および比較例1の研磨用組成物について、研磨剤の分散安定性を比較するために、ゼータ電位測定計(商品名:DT−1200、ディスバージョン・テクノロジー(Dispersion Technology)社製、測定原理:超音波(コロイド振動電流)法)を用いて、それぞれの研磨剤のゼータ電位を測定した。ゼータ電位の絶対値が大きいほど、分散性が良好であることになる。結果を図3に示す。図3から、本発明の研磨用組成物においては、研磨剤であるコロイダルシリカが、比較例の研磨用組成物と同等またはそれ以上の安定性を持って分散していることが明らかである。
【0049】
図1〜3の結果を総合すると、本発明の構成を採用することによって、ウェハの研磨速度および研磨剤の分散安定性を損なうことなく、特に研磨剤の分散安定性についてはさらに向上させながら、パッドの耐用性を向上させることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、シリカ系研磨粒子と研磨促進剤とアルコールとを含む研磨用組成物において、シリカ系研磨粒子を0.1〜1.0重量%という比較的低い濃度で含有させ、かつシリカ系研磨粒子と研磨促進剤との重量比が0.83〜8.3という特定範囲になるように研磨促進剤を含有させることによって、ウェハの研磨作業に悪影響をおよぼすような程度まで研磨速度を低下させることなく、また研磨後のウェハ表面の平坦化度を損なうことなく、研磨後のウェハ表面に表面荒れが発生することなく、さらにシリカ系研磨粒子の分散安定性が低下し、該研磨粒子が凝集、沈降を起こすことなく、グレージングの発生が防止され、パッドの耐用性を向上させることができる半導体ウェハ研磨用組成物が提供される。
【0051】
本発明によれば、研磨促進剤としてピペラジンを使用することによって、グレージングが一層防止され、パッドの耐用性向上が顕著であるとともに、研磨速度の低下を一層少なくすることができる。
【0052】
本発明によれば、本発明の研磨用組成物に有機酸および錯化剤から選ばれる1種または2種以上、好ましくはそれぞれ特定のものから選ばれる1種または2種以上をさらに配合することによって、研磨速度、パッドの耐用性などを低下させることなく、研磨剤の分散安定性、研磨後のウェハ表面で表面荒れが起こるのを一層防止し、研磨後のウェハの平坦化度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明および比較例の研磨用組成物を用いて研磨を行う際の研磨パッドの耐用性を示すグラフである。
【図2】本発明および比較例の研磨用組成物を用いて研磨を行う際の研磨速度を示すグラフである。
【図3】本発明および比較例の研磨用組成物における、研磨剤のゼータ電位を示すグラフである。
【図4】CMP工程を簡略的に示す図面である。

Claims (4)

  1. シリカ系研磨粒子と研磨促進剤とアルコールとを含み、残部が水である組成物であって、
    前記研磨促進剤がピペラジンであり、研磨粒子の含有量が組成物全量の0.1〜1.0重量%でありかつ研磨粒子と研磨促進剤との重量比(研磨促進剤/研磨粒子)が0.83〜8.3であることを特徴とする半導体ウェハ研磨用組成物。
  2. さらにpH調整剤として有機酸および錯化剤から選ばれる1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体ウェハ研磨用組成物。
  3. 有機酸が炭素数2〜6のモノカルボン酸、炭素数2〜6のジカルボン酸、炭素数3〜6のトリカルボン酸、芳香族カルボン酸およびアスコルビン酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項2に記載の半導体ウェハ研磨用組成物。
  4. 錯化剤がエチレンジアミン4酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ニトリロ3酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N'−4酢酸および1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N',N'−4酢酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項2に記載の半導体ウェハ研磨用組成物。
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