JP4545959B2 - ワークの支持台装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークを支持する棚部を上下複数段備える台車の各棚部から引き出されたワークを載置する支持台装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上下複数段の棚部を備える台車からワークを引き出して、所定の作業ステーションにワークを供給する方法として、特開平3−238429号公報により、台車を昇降する昇降装置と、台車に対し水平方向に移動自在な可動台とを用い、先ず、台車内の棚部の下方スペースに側方から可動台を進入させ、次に、台車を若干下降させて棚部に支持されているワークを可動台に載置し、この状態で可動台を台車の側方に引き出して、可動台上のワークを移載装置で作業ステーションに移載し、次に、台車を次の段の棚部が可動台の進退軌跡の若干上方に位置するように昇降装置で昇降させ、上記と同様の手順で次の段の棚部からワークを引き出すようにしたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例のものでは、重量のある台車を昇降させるため、昇降装置が大形化すると共に、台車の上下方向の位置決め精度を確保する上で昇降用駆動源としてサーボモータを用いる必要があり、設備費が高くなる不具合がある。
【0004】
ところで、移載装置としてロボットを用い、このロボットにより台車からのワークの引き出しを行うことが考えられる。この場合、台車を昇降させなくても台車の各棚部からワークを引き出すことができるが、引き出されたワークを支持する装置が必要になる。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、台車の各棚部から引き出されたワークを各棚部と同レベルの位置で支持し得るようにした安価な支持台装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、ワークを支持する棚部を上下複数段備える台車の各棚部から引き出されたワークを載置する支持台装置であって、ワークを支持するワーク受けを搭載した台枠を昇降自在に設け、台枠に、台枠の外方に出没自在な第1と第2の1対の係合部材を並設すると共に、台枠の外方に、突出状態の第1係合部材の昇降軌跡に張り出す第1ストッパ部と、突出状態の第2係合部材の昇降軌跡に張り出す第2ストッパ部とを千鳥状に上下複数備える位置決め部材を立設し、ワーク受けが台車の各棚部と同レベルになる位置に台枠が昇降されたとき、第1係合部材が各第1ストッパ部の上縁または下縁に係合可能で、且つ、第2係合部材が各第2ストッパ部の下縁または上縁に係合可能となるようにしている。
【0007】
本発明によれば、ワーク受けが台車の何れかの棚部と同レベルになる位置で突出状態の第1係合部材が何れかの第1ストッパ部の上縁に係合している状態から、第1係合部材を没入させると共に第2係合部材を突出させて台枠を下降させると、ワーク受けが上記棚部の下の段の棚部と同レベルになったところで、第2係合部材が上記第1ストッパ部の下の第2ストッパ部の上縁に当接して台枠の下降が停止される。次に、第1係合部材を突出させると共に第2係合部材を没入させて台枠を下降させると、ワーク受けが更に下の段の棚部と同レベルになったところで、第1係合部材が上記第2ストッパ部の下の第1ストッパ部の上縁に当接して台枠の下降が停止される。このように両係合部材を交互に突出させることにより、ワーク受けが台車の各棚部と同レベルになったところで停止しつつ台車を下降させることができる。また、同様に、ワーク受けが台車の各棚部と同レベルになったところで停止しつつ台枠を上昇させることもできる。
【0008】
従って、台枠の昇降用駆動源としてシリンダを用いても、ワーク受けが台車の各棚部と同レベルになるように正確に位置決めして、各棚部からワーク受け上にワークをスムーズに引き出すことができる。そのため、昇降用駆動源として高価なサーボモータを用いずに済み、また、台枠は台車に比し遙かに軽量であるため、支持台装置を小形簡素化でき、設備費の削減を図れる。
【0009】
ところで、台車の全ての棚部にワークが収納されているとは限らず、作業能率を向上するには、ワークが収納されていない棚部に対し台枠を素通りさせることが望ましい。ここで、ワーク受けに台車内のワークの有無を検出するワークセンサを設けておけば、台枠を昇降させる際、次の段の棚部にワークが収納されているか否かをワークセンサによって検出でき、ワークが収納されていないときは、第1と第2の両係合部材のうち突出状態の係合部材を没入させて、台枠を次の段の棚部に対応する位置で停止させずに昇降させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、自動車のルーフWをアウタパネルWOに各種インナ部材WIを結合して組立てるルーフ組立装置を示している。この組立装置は、インナセットステーションST1と、溶接ステーションST2と、アウタ投入ステーションST3と、シーリングステーションST4とを備えており、インナセットステーションST1と溶接ステーションST2との間に往復動自在なセット治具1上にインナセットステーションST1において各種インナ部材WIをセットすると共に、アウタ投入ステーションST3に投入されたアウタパネルWOを第1ハンドリングロボット2によりシーリングステーションST4に搬送して、アウタパネルWOに複数のシーリングロボット3でシーリング剤を塗布し、次に、溶接ステーションST2に往動されたセット治具1上に第1ハンドリングロボット2によりアウタパネルWOをインナ部材WIに重ねた状態でセットして、複数の溶接ロボット4によりアウタパネルWOにインナ部材WIを溶接結合し、このようにして組立てられたルーフWを第2ハンドリングロボット5により溶接ステーションST2から払い出す。
【0011】
アウタパネルWOは台車6によってアウタ投入ステーションST3に投入される。台車6は、図2、図4に示す如く、上下複数段の棚部6aを備えており、各棚部6aに数枚のアウタパネルWOを積層状態で収納し得るようにしている。各棚部6aは、アウタパネルWOをその前後両端部で横方向に引き出し自在に支持するように構成されている。
【0012】
また、アウタ投入ステーションST3の横方向一側には、台車6から引き出されたアウタパネルWOを支持する支持台装置7が設けられている。支持台装置7は、図2乃至図4に示す如く、前後1対の支柱枠70,70間に昇降自在に支持させた台枠71を備えており、台枠71上にアウタパネルWOの前端部を支持するワーク受け72と、アウタパネルWOの後端部を支持するワーク受け73とを設け、各ワーク受け72,73にアウタパネルWOの前後の各端縁に当接するガイド72a,73aと、アウタパネルWOの引き出し方向の側縁に当接してアウタパネルWOの引き出し位置を規制するストッパ72b,73bとを取付けて、両ワーク受け72,73によりアウタパネルWOを位置決めして支持し得るようにしている。また、各ワーク受け72,73をシリンダ72c,73cによりガイドレール72d,73dに沿って横方向に進退自在とし、台枠71の昇降時は台車6の棚部6aに各ワーク受け72,73が干渉しないように各ワーク受け72,73を横方向外方に退去させる。更に、長さの異なる複数機種のアウタパネルWOに対処し得るよう、ワーク受け73を、台枠71に対しロッドレスシリンダ73eによりガイドレール73fに沿って前後方向に位置調整されるスライダ73g上に設けている。尚、台車6は機種に応じた専用品になっている。
【0013】
台枠71は、各支持枠70に立設したロッドレスシリンダ71aにより各支持枠70に固定のガイドレール71bに沿って昇降される。そして、台枠71の下面に前後方向に長手の同期シャフト71cを軸支し、同期シャフト71cの両端に前後の支柱枠70,70に取付けたラック71d,71dに噛合するピニオン71e,71eを固定し、台枠71の前後両端が同期して昇降されるようにしている。
【0014】
ここで、台枠71は、ワーク受け72,73が台車6の各棚部6aと同レベルになる位置で停止させる必要がある。そこで、台枠71の前後の各端部下面に、台枠71の外方に各別のシリンダ74aで出没される第1と第2の1対の係合部材741 ,742 を並設すると共に、各支柱枠70に、突出状態の第1係合部材741 の昇降軌跡に張り出す第1ストッパ部75aと、突出状態の第2係合部材742 の昇降軌跡に張り出す第2ストッパ部75bとを千鳥状に上下複数備える位置決め部材75を設け、ワーク受け72,73が台車6の各棚部6aと同レベルになったとき、第1係合部材741 が各第1ストッパ部75aの上縁または下縁に係合可能で、且つ、第2係合部材742 が各第2ストッパ部75bの下縁または上縁に係合可能となるようにしている。図4に示すものでは、位置決め部材75に、上から数えてn番目の第1ストッパ部75aの下方に上方から数えてn番目の第2ストッパ部75bが位置するように、第1ストッパ部75aと第2ストッパ部75bとを5個ずつ千鳥状に設けている。そして、台枠71を上昇端位置から第2係合部材742 を突出させて下降させたとき、ワーク受け72,73が台車6の上から1段目の棚部6aと同レベルになったところで第2係合部材742 が第2ストッパ部75bの上から1番目のものの上縁に係合して台枠71の下降が停止され、次に、第2係合部材742 を没入させると共に第1係合部材741 を突出させて台枠71を下降させることにより、ワーク受け72,73が台車6の上から2段目の棚部6aと同レベルになったところで第1係合部材741 が第1ストッパ部材75aの上から2番目のものの上縁に係合して台枠71の下降が停止される。このように第1係合部材741 と第2係合部材742 とを交互に突出させることにより、ワーク受け72,73が台車6の各棚部6aと同レベルになったところで停止しつつ台枠71を下降させることができる。尚、棚部6aの上下方向ピッチが異なる台車6もあり、そこで、支柱枠70に上下方向に長手のインデックス軸76を軸支して、インデックス軸76の周囲に複数の位置決め部材75を取付け、台車6の種類に応じた位置決め部材75を係合部材741 ,742 に対向する作動位置に選択自在としている。
【0015】
また、前側のワーク受け72の台車6寄りの部分にワーク受け72の上面より下方に位置させて光学式のワークセンサ77を設け、台枠71の下降時に台車6の次の棚部6aにアウタパネルWOが収納されているか否かをワークセンサ77で検出し、アウタパネルWOが収納されていないときは、両係合部材741 ,742 のうち突出状態の係合部材を没入させて、台枠71を次の棚部6aで停止させずに下降させるようにした。
【0016】
上記の如く台枠71をワーク受け72,73が台車6の棚部6aと同レベルになる位置で停止させると、次に、この棚部6aに収納されている積層状態のアウタパネルWOを第1ハンドリングロボット2により台車6から引き出してワーク受け72,73上に載置し、その後第1ハンドリングロボット2によりアウタパネルWOを上側のものから1枚ずつ取上げ、シーリングステーションST4を経由して作業ステーションたる溶接ステーションST2に移載する。
【0017】
第1ハンドリングロボット2の動作端たる手首2aの先端にはアウタパネルWOを保持可能なハンド治具20が搭載されている。ハンド治具20は、図5乃至図7に示す如く、アウタパネルWOの長手方向に長手の治具本体21に取付けた複数の吸着パッド22と、治具本体21の両側部に夫々揺動自在に枢着した複数の落下防止アーム23とを備えており、これら吸着パッド22でアウタパネルWOを吸着保持し、アウタパネルWOを取り上げた状態で落下防止アーム23を横方向内方に揺動させて、アウタパネルWOがハンド治具20から落下することを防止できるようにしている。治具本体21の各側部の複数の落下防止アーム23は、治具本体21に軸支した同期シャフト23aに夫々リンク23bを介して連結されており、同期シャフト23aを駆動する単一のシリンダ23cにより複数の落下防止アーム23が同期して揺動される。尚、吸着パッド22は複数機種のアウタパネルWOに対応できるように配置されている。
【0018】
また、ハンド治具20には、治具本体21の一端部外方に突出するアーム部24が設けられている。アーム部24は、側面視略L字状の1対のアーム片24a,24aと、両アーム片24a,24aの先端間に横設したクロスバー24bとで構成されている。そして、アーム部24を治具本体21の一端部に両アーム片24a,24aの基端間に横設したシャフト24cを介して揺動自在に軸支し、シリンダ24dによりアーム部24を図5に実線で示す突出位置から仮想線で示す収納位置に揺動し得るようにしている。尚、アーム部24をスライドさせて治具本体21の外方に出没させるようにしても良い。また、各アーム片24aの先端には爪部24eが形成されている。
【0019】
台車6の棚部6aからのアウタパネルWOの引き出しに際しては、先ず、ハンド治具20を、治具本体21の一端部が台車6側、即ち横方向内方を向く姿勢にして、支持台装置7の台枠71のワーク受け72,73間に位置させ、アーム部24を突出位置に揺動させた状態でハンド治具20を第1ハンドリングロボット2の動作により横方向内方に移動して、図8(A)に示す如く、今回の引き出し作業対象となるn段目の棚部6aに支持されている積層状態のアウタパネルの最下側のアウタパネルWOと、この棚部の下のn+1段目の棚部6aに支持されている積層状態のアウタパネル最上側のアウタパネルWOとの間のワーク間スペースにアーム部24を進入させる。次に、ハンド治具20を上動させて、図8(B)に示す如く、n段目の棚部6aに支持されている積層状態のアウタパネルWOの片側、即ち、支持台装置7側の側部をアーム部24により持ち上げる。次に、ハンド治具20を横方向外方に移動させる。これによれば、積層状態のアウタパネルの最下側のアウタパネルWOの片側の段付き側縁部にアーム部24の先端の爪部24eが係合し、図8(C)に示す如く、n段目の棚部6aから積層状態のアウタパネルWOが引き出される。この引き出しは積層状態のアウタパネルWOの片側を持ち上げたまま行う。そのため、アウタパネルWOの引き出しに要する力が軽減されて、第1ハンドリングロボット2に無理はかからず、また、棚部6aに対しワーク受け72,73が上方にずれていてもアウタパネルWOを確実に引き出すことができる。そして、アウタパネルWOの片側の側縁がワーク受け72,73上のストッパ72b,73bに当接する位置まで積層状態のアウタパネルWOを引き出したところで、ハンド治具20を下動させ、図8(D)に示す如く、積層状態のアウタパネルWOをワーク受け72,73に載置する。ここで、アウタパネルWOはその引き出し作業中にワーク受け72,73上のガイド72a,73aにより前後方向に位置決めされ、ワーク受け72,73上のストッパ72b,73bによる横方向の位置決めと相俟って、ワーク受け72,73上に積層状態のアウタパネルWOが前後左右に位置決めして載置されることになる。
その後、ワーク受け72,73上の積層状態のアウタパネルWOを上側のものから1枚ずつハンド治具30で保持し、シーリングステーションST4を経由して溶接ステーションST2に移載するが、この移載作業に際してはアーム部24を没入位置に揺動させ、アーム部24がセット治具1上のクランプ部材等の他の機器に干渉しないようにする。そして、ワーク受け72,73上の全てのアウタパネルWOの移載作業が完了したところで、ワーク受け72,73がn+1段目の棚部6aと同レベルになる位置に台枠71を下降させ、n+1段目の棚部6aからのアウタパネルWOの引き出し作業を上記と同様の手順で行う。
【0020】
以上、本発明に係る支持台装置7を具備するルーフ組立装置について説明したが、ルーフ用アウタパネル以外のワークを収納する台車の各棚部から引き出したワークを載置する支持台装置にも同様に本発明を適用できる。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、台車の各棚部から引き出されたワークを各棚部と同レベルの位置で支持できるようにした安価な支持台装置が得られ、設備費の削減を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る支持台装置を具備するルーフ組立装置の全体平面図。
【図2】支持台装置の拡大平面図。
【図3】図2の矢印III方向から見た支持台装置の正面図。
【図4】図3のIV−IV線裁断側面図。
【図5】ハンド治具の平面図。
【図6】図5の矢印VI方向から見たハンド治具の側面図。
【図7】図5の矢印VII方向から見たハンド治具の側面図。
【図8】(A)台車からのワーク引き出し作業の第1工程を示す要部の側面図、(B)ワーク引き出し作業の第2工程を示す要部の側面図、(C)ワーク引き出し作業の第3工程を示す要部の側面図、(D)ワーク引き出し作業の第4工程を示す要部の側面図。
【符号の説明】
WO…アウタパネル(ワーク)
6…台車
6a…棚部
7…支持台装置
71…台枠
72,73…ワーク受け
741 …第1係合部材
742 …第2係合部材
75…位置決め部材
75a…第1ストッパ部
75b…第2ストッパ部
77…ワークセンサ
Claims (2)
- ワークを支持する棚部を上下複数段備える台車の各棚部から引き出されたワークを載置する支持台装置であって、
ワークを支持するワーク受けを搭載した台枠を昇降自在に設け、
台枠に、台枠の外方に出没自在な第1と第2の1対の係合部材を並設すると共に、
台枠の外方に、突出状態の第1係合部材の昇降軌跡に張り出す第1ストッパ部と、突出状態の第2係合部材の昇降軌跡に張り出す第2ストッパ部とを千鳥状に上下複数備える位置決め部材を立設し、
ワーク受けが台車の各棚部と同レベルになる位置に台枠が昇降されたとき、第1係合部材が各第1ストッパ部の上縁または下縁に係合可能で、且つ、第2係合部材が各第2ストッパ部の下縁または上縁に係合可能となるようにした、
ことを特徴とするワークの支持台装置。 - ワーク受けに台車内のワークの有無を検出するワークセンサを設けることを特徴とする請求項1に記載のワークの支持台装置。
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- 2001-01-26 JP JP2001018504A patent/JP4545959B2/ja not_active Expired - Fee Related
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