JP4545334B2 - ロックイン撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャージフィードバック型CMOSセンサを用いたロックイン撮像装置にする。
【0002】
【従来の技術】
対象物に当たった光の反射光からその対象物を認識することができるが、反射光が背景光に比べて弱いと、反射光は背景光に埋もれてしまい、対象物の認識は困難となる。例えば、夜間走行中の車から歩行者をはっきりと視認することはできない。これは、太陽光のない夜間は、照明源が基本的に車のヘッドライトだけであり、走行中の車のヘッドライトによる歩行者からの反射光よりも対向車のライトが強いためである。このように、対向車のヘッドライトは、夜間の歩行者のような微弱光対象物を光検出する上では、妨害的に作用するバックグランド雑音に他ならない。
【0003】
従来より、このようなバックグランド雑音を除去するための装置としてロックイン検出器が知られている。ロックイン検出器は、点滅光源を用いて対象物を一定の周波数で点滅照明し、点灯時の光センサの出力を正値、消灯時の光センサの出力を負値にして、光センサの出力を積分することで、バックグランドノイズ(点滅周波数と異なる周波数成分)を除去し、微弱光信号を抽出するものである。
このようなロックイン検出器は、従来、フォトダイオードや光電管等の光センサには使われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロックイン検出機能を2次元センサに高密度、高精度に集積化することは困難であり、そのためロックイン検出機能を有する2次元センサを提供することは従来は不可能であった。
【0005】
本発明は、同一出願人による同時係属中の特願平11−328227号特許出願に記載したチャージフィードバック型CMOSセンサを2次元センサに構成し、これにロックイン検出機能を集積化することで、夜間のヘッドライトに埋もれた歩行者の認識や、ノイズに埋もれやすい微弱光対象物の光検出、撮像等を可能にしたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るロックイン撮像装置は、
各々が、受光した光量に応じて電荷を発生する受光素子と、容量値C d を有し前記受光素子で発生した電荷を蓄積する受光容量部と、前記受光容量部に蓄積される電荷を外部との間で入出力するための入出力用スイッチ素子とを有し、2次元配列された複数の受光部と、
アンプと初期化用スイッチ素子と容量値C f1 の積分容量部(ただし、C f1 =C d )とが入力端子と出力端子との間に並列的に設けられ、前記初期化用スイッチ素子が閉じているときに前記積分容量部を放電して初期化し、前記初期化用スイッチ素子が開いているときに前記入力端子に入力した電荷を前記積分容量部に蓄積して、その蓄積された電荷の量に応じた積分信号を前記出力端子より出力する積分回路と、
前記複数の受光部と前記積分回路の前記入力端子との間に設けられ、前記受光容量部に蓄積された電荷を前記積分容量部に移動させるための第1のスイッチ素子と、
前記積分回路の前記出力端子と前記複数の受光部との間に設けられ、前記積分回路から出力される積分信号の値に応じた電荷を前記受光容量部に蓄積させるための第2のスイッチ素子とを
備えるチャージフイードバック型センサと、
予め設定された複数のロックインアンプ周期の内の1つを選択して設定するためのロックインアンプ周期設定手段と、
前記ロックインアンプ周期設定手段で設定されたロックインアンプ周期に対応するフレームのうち奇数フレームに同期して点滅するパルス光源と、
前記ロックインアンプ周期に対応する周波数をフレームレートとして、1フレーム内で前記複数の受光部が順次受光するように制御する制御回路とを備え、
前記奇数フレーム及びこれに続く偶数フレームのそれぞれにおいて前記複数の受光部の各々の入出力用スイッチ素子が順次所定期間だけ閉状態となり、
前記奇数フレームの前記所定期間前に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、前記奇数フレームの前記所定期間中に前記第1のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、その後に前記第2のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、
前記偶数フレームの前記所定期間前に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、前記偶数フレームの前記所定期間中に前記第1のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、その後に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、
前記複数の受光部の各々において、前記奇数フレームで発生する電荷を逆極性にして次の偶数フレームで発生する電荷に加算した電荷を前記積分回路に入力させることを特徴とするものである。
【0007】
このようなロックイン撮像装置によれば、同装置に使用している受光部がチャージフィードバック機能を有し、パルス光源が点灯している状態で受光した奇数フレームにおける受光量を、例えば、正電荷として、また偶数フレームにおける受光量を負電荷として蓄積する。このため、パルス光源からの光で照射された撮像対象物は、観測したい部分のみをS/Nよく画像化することができる。
【0009】
上記構成によれば、或る一定期間に、受光部の受光素子が受光した光の光量に応じて発生した電荷は受光容量部に蓄積されていく。この一定期間が経過した時点で第1のスイッチ素子が閉じると、それまで受光容量部に蓄積されていた電荷は、積分回路の積分容量部に移動する。その結果、受光素子の一方の端子の電位は、ΔVだけ変化してリセットレベルとなり、積分回路から出力される積分信号は、積分容量部に蓄積された電荷に応じたレベルとなる。第1のスイッチ素子が開いた後に第2のスイッチ素子が閉じると、積分回路から出力される積分信号の値に応じた電圧が受光容量部に設定される。積分容量部の容量値は受光容量部の容量値と等しいので、この結果、受光素子の一方の端子の電位は、リセットレベルからΔVだけ変化する。
【0010】
その後の一定期間に、受光素子が受光した光の光量に応じて発生した電荷は受光容量部に蓄積されていく。この一定期間が経過した時点で受光容量部に蓄積されている電荷は、以前に第2のスイッチ素子が閉じたときに積分信号の値に応じて設定された電圧に比例した電荷と、この一定期間に受光素子が光を受光して発生した電荷とが重畳されたものである。ただし、重畳される電荷の符号は互いに異なる。したがって、この一定期間が経過した時点で第1のスイッチ素子が閉じると、積分回路から出力される積分信号は、受光素子が受光した光の光量の増減に応じたものである。
【0011】
本発明に係るロックイン撮像装置は、
各々が、受光した光量に応じて電荷を発生する受光素子と、容量値C d を有し前記受光素子で発生した電荷を蓄積する受光容量部と、前記受光容量部に蓄積される電荷を外部との間で入出力するための入出力用スイッチ素子とを有し、2次元配列された複数の受光部と、
アンプと初期化用スイッチ素子と積分容量部とが入力端子と出力端子との間に並列的に設けられ、前記積分容量部の容量値を容量値C d およびこれより小さい値の何れかに切り替える容量値切替手段を有し、前記初期化用スイッチ素子が閉じているときに前記積分容量部を放電して初期化し、前記初期化用スイッチ素子が開いているときに前記入力端子に入力した電荷を前記積分容量部に蓄積して、その蓄積された電荷の量に応じた積分信号を前記出力端子より出力する積分回路と、
前記複数の受光部と前記積分回路の前記入力端子との間に設けられ、前記受光容量部に蓄積された電荷を前記積分容量部に移動させるための第1のスイッチ素子と、
前記積分回路の前記出力端子と前記複数の受光部との間に設けられ、前記積分回路から出力される積分信号の値に応じた電荷を前記受光容量部に蓄積させるための第2のスイッチ素子と、
予め設定された複数のロックインアンプ周期の内の1つを選択して設定するためのロックインアンプ周期設定手段と、
前記ロックインアンプ周期設定手段で設定されたロックインアンプ周期に対応するフレームのうち奇数フレームに同期して点滅するパルス光源とを
備えるチャージフイードバック型センサと、
前記ロックインアンプ周期に対応する周波数をフレームレートとして、1フレーム内で前記複数の受光部が順次受光するように制御する制御回路とを備え、
奇数フレーム及びこれに続く偶数フレームのそれぞれにおいて前記複数の受光部の各々の入出力用スイッチ素子が順次所定期間だけ閉状態となり、
前記奇数フレームの前記所定期間に前記積分容量部が容量値C d に設定され、前記偶数フレームの前記所定期間に前記積分容量部が容量値C d より小さい値に設定され、
前記奇数フレームの前記所定期間前に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、前記奇数フレームの前記所定期間中に前記第1のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、その後に前記第2のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、
前記偶数フレームの前前記所定期間前に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、前記偶数フレームの前記所定期間中に前記第1のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、その後に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、
前記複数の受光部の各々において、前記奇数フレームで発生する電荷を逆極性にして次の偶数フレームで発生する電荷に加算した電荷を前記積分回路に入力させることを特徴とするものである。
【0012】
上記構成では、或る一定期間に、受光部の受光素子が受光した光の光量に応じて発生した電荷は受光容量部に蓄積されていく。この一定期間が経過した時点で第1のスイッチ素子が閉じると、それまで受光容量部に蓄積されていた電荷は、積分回路の積分容量部に移動する。その結果、受光素子の一方の端子の電位は、ΔVだけ変化してリセットレベルとなり、積分回路から出力される積分信号は、積分容量部に蓄積された電荷に応じたレベルとなる。第1のスイッチ素子が開いた後に第2のスイッチ素子が閉じると、積分回路から出力される積分信号の値に応じた電圧が受光容量部に設定される。このとき、容量値切替手段により、積分容量部の容量値は受光容量部の容量値と等しくされており、この結果、受光素子の一方の端子の電位は、リセットレベルからΔVだけ変化する。
【0013】
その後の一定期間に、受光素子が受光した光の光量に応じて発生した電荷は受光容量部に蓄積されていく。この一定期間が経過した時点で受光容量部に蓄積されている電荷は、以前に第2のスイッチ素子が閉じたときに積分信号の値に応じて設定された電圧に比例した電荷と、この一定期間に受光素子が光を受光して発生した電荷とが重畳されたものである。ただし、重畳される電荷の符号は互いに異なる。このとき、容量値切替手段により、積分容量部の容量値は受光容量部の容量値より小さい値とされている。したがって、この一定期間が経過した時点で第1のスイッチ素子が閉じると、積分回路から出力される積分信号は、受光素子が受光した光の光量の増減に応じたものであり、しかも、光量変化を高感度に検出するものである。
【0014】
また、複数の受光部に対して、積分回路、第1のスイッチ素子および第2のスイッチ素子を1組備え、複数の受光部が順次に積分回路に接続される。
【0015】
上記のような受光部は、1画素当たりに必要な回路規模が従来技術のものと比べて格段に小さい。特に、受光容量部として受光素子の接合容量を利用する場合には、更に回路規模が小さい。したがって、この受光部は、1画素当たりに占める回路部占有面積が小さく、各画素の開口率が高く、光応答特性が優れたものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態にかかわるロックイン撮像装置1の構成を示したブロック図である。ロックイン撮像装置1は、ロックインカメラ2と、パルス光源3と、ロックインカメラ2及びパルス光源3を制御するための制御回路4により構成されている。ロックインカメラ2は、後述する2次元配列されたチャージフィードバック型光センサを有し、チャージフィードバック型光センサの出力を表示部5に表示することで画像出力が得られる。ロックインカメラ2にはロックインアンプ周期設定部2Aが設けられており、予め用意された複数のロックインアンプ周期のうちの1つを選択することができるようになっている。
【0018】
制御回路4は、ロックインカメラ2とパルス光源3を制御するために各種のタイミング信号を発生する。制御回路4は、ロックインアンプ周期設定部2Aで設定されたロックインアンプ周期でパルス光源3の点滅制御を行うと同時に、チャージフィードバック型光センサには各種のタイミング信号を送出する。
【0019】
図2は、本発明に係わるロックイン撮像装置1で使用するチャージフィードバック型光センサ1Aの回路図である。このチャージフィードバック型光センサ1Aは、N個の受光部801〜80N、積分回路10、第1のスイッチ素子SW01および第2のスイッチ素子SW02を備える。
【0020】
N個の受光部801〜80Nそれぞれは、フォトダイオード(受光素子)PD、受光容量部Cdおよびスイッチ素子SW0を有する。フォトダイオードPDのアノード端子は接地されている。フォトダイオードPDのカソード端子は、受光容量部Cdを介して接地され、また、スイッチ素子SW0を介して、スイッチ素子SW01およびスイッチ素子SW02と接続されている。N個の受光部801〜80Nそれぞれの受光容量部Cdの容量値は互いに等しい。なお、受光容量部Cdは、フォトダイオードPDの接合容量であってもよいし、これとは別に設けたものであってもよい。
【0021】
積分回路10は、入力端子と出力端子との間に互いに並列にアンプA1、積分容量部Cf1およびスイッチ素子SW11が接続されている。アンプA1は、その反転入力端子がスイッチ素子SW01と接続され、非反転入力端子が基準電圧値Vinp1とされている。積分容量部Cf1およびスイッチ素子SW11は、アンプA1の反転入力端子と出力端子との間に設けられている。積分容量部Cf1の容量値は、N個の受光部801〜80Nそれぞれの受光容量部Cdの容量値と等しい。積分回路10は、スイッチ素子SW11が閉じているときには、積分容量部Cf1を放電して初期化する。一方、積分回路10は、スイッチ素子SW11が開いているときには、入力端子に入力した電荷を積分容量部Cf1に蓄積して、その蓄積された電荷に応じた電圧信号(これを積分信号と呼ぶ。)を出力端子から出力する。
【0022】
スイッチ素子SW01は、N個の受光部801〜80Nそれぞれのスイッチ素子SW0と積分回路10の入力端子との間に設けられている。スイッチ素子SW02は、積分回路10の出力端子とN個の受光部801〜80Nそれぞれのスイッチ素子SW0との間に設けられている。なお、N個の受光部801〜80Nそれぞれのスイッチ素子SW0、スイッチ素子SW01およびSW02、積分回路10のスイッチ素子SW11の開閉動作を制御する制御信号は、このチャージフィードバック型光センサ1Aの動作を制御する制御回路4から所定のタイミングで出力される。
【0023】
次に、第1例に係るチャージフィードバック型光センサ1Aの動作について説明する。図3は、N個の受光部801〜80Nそれぞれのスイッチ素子SW0の開閉タイミングを示すタイミングチャートである。この図に示すように、各フレーム期間内に、N個の受光部801〜80Nそれぞれのスイッチ素子SW0は順次に閉じる。各受光部80nのフォトダイオードPDおよび受光容量部Cdは、自己のスイッチ素子SW0が閉じている期間には、スイッチ素子SW01を介して積分回路10の入力端子と接続され、スイッチ素子SW02を介して積分回路10の出力端子と接続される。また、各受光部80nは、自己のスイッチ素子SW0が開いている期間には、自己のフォトダイオードPDが光を受光して発生させた電荷を、自己の受光容量部Cdに蓄積する。
【0024】
図4は、特に第n番目の受光部80nについてチャージフィードバック型光センサ1Aの動作タイミングを示すタイミングチャートである。同図(a)は、各スイッチ素子の開閉タイミングを示す。同図(b)は、パルス光源3の点灯状態を示す。同図(c)は、第1フレーム以降所定フレーム数に亘り受光部80nが受光した光量に対応した各信号レベルを示す。
【0025】
時刻t0に受光部80nのスイッチ素子SW0は開く。これと同時にパルス光源3がオンとされ、短パルスに応答したパルス発光が行われる。このように、パルス光源3は、奇数フレームと偶数フレームの間の一定期間に点灯し(短パルス)、偶数フレーム期間中は消灯する。時刻t0では、受光部80nの受光容量部Cdに蓄積されている電荷は無く、受光部80nのフォトダイオードPDのカソード端子の電位はリセットレベルである。時刻t0以降、スイッチ素子SW0が閉じる時刻t2まで、受光部80nでは、自己のフォトダイオードPDが光を受光して発生した電荷は、自己の受光容量部Cdに蓄積されていく。時刻t0と時刻t2との間の時刻t1に、積分回路10のスイッチ素子SW11が一旦閉じた後に開くことで、積分回路10は、積分容量部Cf1の電荷が放電されて初期化され、出力される積分信号はリセットレベルとなる。
【0026】
第1フレームにおける時刻t2から時刻t4までの期間、受光部80nのスイッチ素子SW0は閉じる。この期間中に、先ず時刻t2にスイッチ素子SW01が一旦閉じた後に開き、続いて時刻t3にスイッチ素子SW02が一旦閉じた後に開く。スイッチ素子SW01が閉じている期間には、それまで受光部80nの受光容量部Cdに蓄積されていた電荷は、積分回路10の積分容量部Cf1に移動する。その結果、受光部80nのフォトダイオードPDのカソード端子の電位は、ΔVだけ変化してリセットレベルとなり、また、積分回路10から出力される積分信号は、積分容量部Cf1に蓄積された電荷に応じたレベルとなる。その後のスイッチ素子SW02が閉じている期間には、受光部80nの受光容量部Cdに、積分回路10から出力される積分信号の値に応じた電荷が蓄積される。積分容量部Cf1の容量値は受光部80nの受光容量部Cdの容量値と等しいので、この結果、受光部80nのフォトダイオードPDのカソード端子の電位は、リセットレベルからΔVだけ変化する。
【0027】
第2フレームの開始時刻t4に受光部80nのスイッチ素子SW0は開く。パルス光源3は、第1フレームにおける受光部801のスイッチ素子SW0の閉成前であって、第1フレームの直前フレームにおける最終受光素子80Nのスイッチ素子SW0の閉成後に点灯するが、第2フレーム中には点灯しない。時刻t4では、受光部80nのフォトダイオードPDのカソード端子の電位はΔVである。時刻t4以降、スイッチ素子SW0が閉じる時刻t6まで、受光部80nでは、自己のフォトダイオードPDが光を受光して発生した電荷は、自己の受光容量部Cdに蓄積されていく。時刻t4と時刻t6との間の時刻t5に、積分回路10のスイッチ素子SW11が一旦閉じた後に開くことで、積分回路10は、積分容量部Cf1の電荷が放電されて初期化され、出力される積分信号はリセットレベルとなる。
【0028】
時刻t0〜t2までの時間と時刻t4〜t6までの時間とが等しく、第1フレームと第2フレームで受光部80nが受光する光の光量が同じであれば、時刻t6において受光部80nの受光容量部Cdに蓄積されている電荷はリセットレベルとなり、第1フレームと第2フレームで受光部80nが受光する光の光量が異なれば、時刻t6において受光部80nの受光容量部Cdに蓄積されている電荷は、時刻t3に積分回路10から出力される積分信号の値に応じて蓄積された電荷と、時刻t4から時刻t6までの期間にフォトダイオードPDが光を受光して発生した電荷との差分となる。一般に、第2フレームでフォトダイオードPDが発生する電荷は、パルス光源3からの光を受光していない分、第1フレームで発生する電荷に比べると少なくなる。そのため、図4に示したように、時刻t6では、受光部80nのフォトダイオードPDのカソード端子の電位はリセットレベルよりも高いレベルとなる。
【0029】
第2フレームにおける時刻t6から時刻t8までの期間、受光部80nのスイッチ素子SW0は閉じる。この期間中の時刻t6にスイッチ素子SW01が一旦閉じた後に開く。スイッチ素子SW01が閉じる時刻t6においては、受光部80nのフォトダイオードPDのカソード端子の電位はリセットレベルより高いので、積分回路10から出力される積分信号はリセットレベルより小さくなる。すなわち、第1フレームと第2フレームとで受光部80nが受光する光の光量が異なれば、第2フレームの時刻t6以降において、積分回路10から出力される積分信号は、リセットレベルとは異なるレベルとなる。
【0030】
このように、第1フレームでは、パルス光源3を点灯した上で撮像し、第2フレームでは、パルス光源3を消灯した状態で撮像する。そして、第1フレームで撮像した画像に対応する電荷の極性を反転して受光容量部Cdにチャージフィードバックし、第2フレームで撮像した画像に対応する電荷と足し合わせる。このような第1フレームと第2フレームで行った光検出処理を所定回数繰り返し、奇数フレームを正極性、偶数フレームを負極性として積分する。この結果、先に示した車のヘッドライトに埋もれた歩行者の例では、歩行者の背景光となる対向車のヘッドライトの影響を除去することができ、歩行者のみを強調した画像を得ることができる。積分信号が読み出された後、時刻T7で積分回路10のスイッチ素子SW11を一旦閉じた後に開き、積分回路10をリセットする。
【0031】
上述した実施の形態では、偶数フレームの終了時に画像出力を得るようにしたが、奇数フレーム終了時の画像出力を同時に得るようにしてもよい。奇数フレームレート終了時の画像出力は、1つ前のフレームまでの差分結果と、その後の奇数フレームの画像出力が重なり合って出力されるため、ほぼ生画像に近い画像となるので、偶数フレームの終了時に得られる補正画像と生画像を並列表示したり、あるいは一方のみを選択表示することが可能となる。
【0032】
上記のチャージフィードバック型光センサ1Aは、1画素当たりに必要な素子がフォトダイオードPD、受光容量部Cdおよびスイッチ素子SW0のみであり、従来技術のものと比べて回路規模が格段に小さい。特に、受光容量部CdとしてフォトダイオードPDの接合容量を利用する場合には、更に回路規模が小さい。
したがって、このチャージフィードバック型光センサ1Aは、1画素当たりに占める回路部占有面積が小さく、各画素の開口率が高く、光応答特性が優れたものとなる。
【0033】
次に、本発明に係るロックイン撮像装置に使用するチャージフィードバック型光センサの第2の例について説明する。図5は、第2例に係るチャージフィードバック型光センサ1Bの回路図である。第2例に係るチャージフィードバック型光センサ1Bは、第1例のものと比較すると、積分回路10の回路構成が異なっている。
【0034】
すなわち、このチャージフィードバック型光センサ1Bの積分回路10は、入力端子と出力端子との間に互いに並列に、アンプA1、積分容量部Cf1、スイッチ素子SW11、ならびに、互いに直列的に接続されたスイッチ素子SW12(容量値切替手段)および積分容量部Cf2が接続されている。アンプA1は、その反転入力端子がスイッチ素子SW01と接続され、非反転入力端子が基準電圧値Vinp1とされている。積分容量部Cf1、スイッチ素子SW11、ならびに、互いに直列的に接続されたスイッチ素子SW12および積分容量部Cf2は、アンプA1の反転入力端子と出力端子との間に設けられている。積分容量部Cf1および積分容量部Cf2それぞれの容量値の和は、N個の受光部801〜80Nそれぞれの受光容量部Cdの容量値と等しい。
【0035】
なお、N個の受光部801〜80Nそれぞれのスイッチ素子SW0、スイッチ素子SW01およびSW02、積分回路10のスイッチ素子SW11およびSW12の開閉動作を制御する制御信号は、このチャージフィードバック型光センサ1Bの動作を制御する制御回路4から所定のタイミングで出力される。
【0036】
次に、本例に係るチャージフィードバック型光センサ1Bの動作について説明する。N個の受光部801〜80Nそれぞれのスイッチ素子SW0の開閉タイミングは、図3を用いて説明したものと同様である。
【0037】
図6は、特に第n番目の受光部80nについてチャージフィードバック型光センサ1Bの動作タイミングを示すタイミングチャートである。同図(a)は、各スイッチ素子の開閉タイミングを示す。同図(b)は、パルス光源3の点灯状態を示す。同図(c)は、第1フレーム以降所定フレーム数に亘り受光部80nが受光した光量に対応した各信号レベルを示す。このチャージフィードバック型光センサ1Bの動作は、第1例に係るチャージフィードバック型光センサ1Aの動作と略同様である。本例では、積分回路10のスイッチ素子SW12は、第1フレームでは閉じていて、第2フレームでは開いている。
【0038】
積分回路10のスイッチ素子SW12が閉じている第1フレーム(時刻t4を経過するまで)では、積分回路10において電荷を蓄積するものは、互いに並列的に設けられた積分容量部Cf1および積分容量部Cf2の双方である。また、積分容量部Cf1および積分容量部Cf2それぞれの容量値の和は、受光部80nの受光容量部Cdの容量値と等しい。したがって、この第1フレームでは、チャージフィードバック型光センサ1Bの動作は、図4を用いて説明したものと同様である。
【0039】
一方、積分回路10のスイッチ素子SW12が開いている第2フレーム(時刻t8を経過するまで)では、積分回路10において電荷を蓄積するものは、積分容量部Cf1のみであって、その容量値が小さくなる。したがって、第1例の場合と同様の受光量変化があるとすると、本例に係るチャージフィードバック型光センサ1Bでは、時刻t6以降に積分回路10から出力される積分信号は、第1例のチャージフィードバック型光センサ1Aの場合と比較して((Cf1+Cf2)/Cf1)倍だけ大きくなり、感度が高くなる。
【0040】
以上のように、本例に係るチャージフィードバック型光センサ1Bは、第1例に係るチャージフィードバック型光センサ1Aが奏する効果と同様の効果を奏する他、第1フレームよりも第2フレームにおいて積分回路10の積分容量部の容量値を小さくすることにより、光像における画素毎の光量の増減を高感度に検出することができ、これにより動体を高感度に抽出することができる。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、ロックイン検出の周波数を上昇させたい場合は、所望のフォトダイオードPD列のみを読み出すランダムアクセスを実行すればよい。図7に示すように、受光部801のみのフォトダイオードPDについてロックイン検出を行い、それ以外のフォトダイオードPDについては、リセット用のタイミングにおいて全てのフォトダイオードアレイを読み出してフォトダイオードPDのチャージリセットを行う。例えば、チャージフィードバック型光センサが128画素の場合、解像度より高速化が重要な場合には、m個に1つの割合でロックイン検出を行うことで、約m倍の高速化を達成することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明に係るロックイン撮像装置によれば、2次元のチャージフィードバック型光センサにロックイン検出機能を集積化することで、夜間のヘッドライトに埋もれた歩行者の認識や、ノイズに埋もれやすい微弱光対象物の光検出、撮像等を精度よくすることが可能になる。
【0043】
また、同様のロックイン撮像装置からのパルス光を受光してもその影響を排除し、感度良く撮像対象物を撮像することが可能となる。
【0044】
本発明に係わるロックイン撮像装置に使用するチャージフィードバック型光センサは、1画素当たりの回路規模が従来技術のものと比べて格段に小さい。特に、受光容量部として受光素子の接合容量を利用する場合には、更に回路規模が小さい。したがって、このチャージフィードバック型光センサは、1画素当たりに占める回路部占有面積が小さく、各画素の開口率が高く、光応答特性が優れる。
【0045】
また、積分回路の積分容量部の容量値を切替可能とする場合には、光像における画素毎の光量の増減を高感度に検出することができ、これにより撮像対象物のみを高感度に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるロックイン撮像装置のブロック図である。
【図2】本発明に係わるロックイン撮像装置に使用するチャージフィードバック型光センサの第1例を示した回路図である。
【図3】第1例及び第2例に係わるチャージフィードバック型光センサの動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】第1例に係わるチャージフィードバック型光センサの動作を説明するタイミングチャートである。
【図5】本発明に係わるロックイン撮像装置に使用するチャージフィードバック型光センサの第2例を示した回路図である。
【図6】第2例に係わるチャージフィードバック型光センサの動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】チャージフィードバック型光センサの変形動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…ロックイン撮像装置
1A、1B…チャージフィードバック型光センサ
10…積分回路
80…受光部
Claims (3)
- 各々が、受光した光量に応じて電荷を発生する受光素子と、容量値C d を有し前記受光素子で発生した電荷を蓄積する受光容量部と、前記受光容量部に蓄積される電荷を外部との間で入出力するための入出力用スイッチ素子とを有し、2次元配列された複数の受光部と、
アンプと初期化用スイッチ素子と容量値C f1 の積分容量部(ただし、C f1 =C d )とが入力端子と出力端子との間に並列的に設けられ、前記初期化用スイッチ素子が閉じているときに前記積分容量部を放電して初期化し、前記初期化用スイッチ素子が開いているときに前記入力端子に入力した電荷を前記積分容量部に蓄積して、その蓄積された電荷の量に応じた積分信号を前記出力端子より出力する積分回路と、
前記複数の受光部と前記積分回路の前記入力端子との間に設けられ、前記受光容量部に蓄積された電荷を前記積分容量部に移動させるための第1のスイッチ素子と、
前記積分回路の前記出力端子と前記複数の受光部との間に設けられ、前記積分回路から出力される積分信号の値に応じた電荷を前記受光容量部に蓄積させるための第2のスイッチ素子とを
備えるチャージフイードバック型センサと、
予め設定された複数のロックインアンプ周期の内の1つを選択して設定するためのロックインアンプ周期設定手段と、
前記ロックインアンプ周期設定手段で設定されたロックインアンプ周期に対応するフレームのうち奇数フレームに同期して点滅するパルス光源と、
前記ロックインアンプ周期に対応する周波数をフレームレートとして、1フレーム内で前記複数の受光部が順次受光するように制御する制御回路とを備え、
前記奇数フレーム及びこれに続く偶数フレームのそれぞれにおいて前記複数の受光部の各々の入出力用スイッチ素子が順次所定期間だけ閉状態となり、
前記奇数フレームの前記所定期間前に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、前記奇数フレームの前記所定期間中に前記第1のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、その後に前記第2のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、
前記偶数フレームの前記所定期間前に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、前記偶数フレームの前記所定期間中に前記第1のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、その後に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、
前記複数の受光部の各々において、前記奇数フレームで発生する電荷を逆極性にして次の偶数フレームで発生する電荷に加算した電荷を前記積分回路に入力させることを特徴とするロックイン撮像装置。 - 各々が、受光した光量に応じて電荷を発生する受光素子と、容量値C d を有し前記受光素子で発生した電荷を蓄積する受光容量部と、前記受光容量部に蓄積される電荷を外部との間で入出力するための入出力用スイッチ素子とを有し、2次元配列された複数の受光部と、
アンプと初期化用スイッチ素子と積分容量部とが入力端子と出力端子との間に並列的に設けられ、前記積分容量部の容量値を容量値C d およびこれより小さい値の何れかに切り替える容量値切替手段を有し、前記初期化用スイッチ素子が閉じているときに前記積分容量部を放電して初期化し、前記初期化用スイッチ素子が開いているときに前記入力端子に入力した電荷を前記積分容量部に蓄積して、その蓄積された電荷の量に応じた積分信号を前記出力端子より出力する積分回路と、
前記複数の受光部と前記積分回路の前記入力端子との間に設けられ、前記受光容量部に蓄積された電荷を前記積分容量部に移動させるための第1のスイッチ素子と、
前記積分回路の前記出力端子と前記複数の受光部との間に設けられ、前記積分回路から出力される積分信号の値に応じた電荷を前記受光容量部に蓄積させるための第2のスイッチ素子とを
備えるチャージフイードバック型センサと、
予め設定された複数のロックインアンプ周期の内の1つを選択して設定するためのロックインアンプ周期設定手段と、
前記ロックインアンプ周期設定手段で設定されたロックインアンプ周期に対応するフレームのうち奇数フレームに同期して点滅するパルス光源と、
前記ロックインアンプ周期に対応する周波数をフレームレートとして、1フレーム内で前記複数の受光部が順次受光するように制御する制御回路とを備え、
奇数フレーム及びこれに続く偶数フレームのそれぞれにおいて前記複数の受光部の各々の入出力用スイッチ素子が順次所定期間だけ閉状態となり、
前記奇数フレームの前記所定期間に前記積分容量部が容量値C d に設定され、前記偶数フレームの前記所定期間に前記積分容量部が容量値C d より小さい値に設定され、
前記奇数フレームの前記所定期間前に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、前記奇数フレームの前記所定期間中に前記第1のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、その後に前記第2のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、
前記偶数フレームの前前記所定期間前に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、前記偶数フレームの前記所定期間中に前記第1のスイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、その後に前記初期化用スイッチ素子が一旦閉状態となった後に開状態となり、
前記複数の受光部の各々において、前記奇数フレームで発生する電荷を逆極性にして次の偶数フレームで発生する電荷に加算した電荷を前記積分回路に入力させることを特徴とするロックイン撮像装置。 - 複数の前記受光部に対して、前記積分回路、前記第1のスイッチ素子および前記第2のスイッチ素子を1組備え、複数の前記受光部が順次に前記積分回路に接続されることを特徴とする請求項1または2記載のロックイン撮像装置。
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