JP4544846B2 - 透明導電膜分析方法および透明導電膜品質管理方法ならびに太陽電池 - Google Patents
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Description
また、透明導電膜が形成されたガラス基板のヘイズ率を測定することによって品質管理がなされている。
すなわち、本発明にかかる透明導電膜分析方法によれば、光を表面に凹凸が形成された透明導電膜に照射し、反射した光を少なくとも2つの波長に分光し、これらの波長の光強度を演算することによって前記透明導電膜の膜厚を算出する透明導電膜分析方法において、前記透明導電膜は、太陽電池に用いられ、前記透明導電膜に照射する光は、白色光とされ、反射した光は、カラーカメラを用いて赤、緑および青の三色に分光され、前記膜厚は、膜厚と前記反射した光の赤、緑および青の各光強度との関係を予め得ておき、これら赤、緑および青の各光強度から決定された最大値、中央値、最小値のうち前記最大値と前記中央値との比を含む演算式から得られることを特徴とする。
このように、反射光が得られれば、光の干渉が得られなくても、透明導電膜の膜厚を算出することができる。
このように、反射光が得られれば、別途ヘイズメータを用意しなくても、透明導電膜のヘイズ率を算出することができる。
このように、簡便な構成により、本発明の透明導電膜分析方法を実施することができる。
また、本発明による透明導電膜品質管理方法によって品質管理された太陽電池は、全数検査が可能となるため、歩留まりが向上し、製品保証が確実となる。
このように、簡便な光学系によって膜厚またはヘイズ率を算出することができるので、製造ラインに容易に組み込むことができ、透明導電膜の全数検査が可能となる。
図1に、太陽電池パネルに用いられる透明導電膜分析装置10の構成を示す。
この透明導電膜分析装置10には、約1m角の透明ガラス基板に、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛、酸化錫等の透明導電膜(TCO:Transparent
Conductive Oxide)が製膜された透明導電膜付きガラス基板11が搬送される。この透明導電膜付きガラス基板11は、透明導電膜が上面となるように搬送される。なお、透明導電膜とガラス基板との間に、ガラス基板からのアルカリ成分の拡散防止のため、下地膜としてSiO2膜を製膜しても良い。
透明導電膜分析装置10は、搬送コンベア1a、カラーラインセンサカメラ(分光手段)2a、ライン照明器(光照射手段)3a、調光器4a、光電スイッチ5a、ロータリーエンコーダ6a、画像処理装置(演算手段)7a、表示装置8aを主として具備している。
図2には、カラーラインセンサカメラ2a及びライン照明器3aの位置関係が示されている。
ライン照明器3aは、光源が蛍光灯とされており、白色光を照射する。このライン照明器3aは、シート状の照射光L1を照射するようになっており、透明導電膜付きガラス基板11の表面上に、このガラス基板11の進行方向に直交するライン状(所定幅を有する線状)の光を照射する。照射された照射光L1は、透明導電膜付きガラス基板11によって反射され、反射光L2としてカラーラインセンサカメラ2aに入射する。
ライン照明器3aからのライン状の照射領域を透明導電膜付きガラス基板の搬送に伴い走査することによって、透明導電膜付きガラス基板11全体のパネル画像PSが生成される。
調光器4aは、照射光L1の強度が、所定強度となるように調節する。
画像処理装置7aには、表示装置8aおよび印字装置9aが接続されており、画像処理結果が出力されるようになっている。
その後、下流側に位置するプラズマCVD装置によってアモルファスシリコン薄膜を製膜することにより光電変換層が形成され、裏面電極等が取り付けられて太陽電池が製造される。
[膜厚測定]
透明導電膜付きガラス基板11から反射した反射光は、カラーラインセンサカメラ2aに撮像されることによって、光の三原色であるR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に分光される。そして、撮像領域の各画素ごとに、R,G,Bのそれぞれの輝度(強度)が画像処理装置7aに取り込まれる。
そして、画像処理装置7aにおいて、R,G,Bの各輝度を50mm角の範囲で平均化した後に、以下の演算を行う。50mm角で平均化したのは、後に図6のデータを示して説明するように、最も誤差が少ない結果が得られるからである。
画像処理装置7aでは、R,G,Bのそれぞれの輝度を下式により演算することによって透明導電膜の膜厚を算出する。
膜厚(μm)=
(R,G,Bの輝度のうち2番目に大きな値/R,G,Bの輝度の最大値)×a+b
ここで、aおよびbは定数であり、透明導電膜の組成、膜厚、プロセス、下地膜の種類等によって変化し、予め膜厚とR,G,Bの輝度との関係を調べておくことによって決定される。
また、上記演算式についても、透明導電膜の組成等によって異なり、予め膜厚とR,G,Bの輝度との関係を調べておくことによって決定される。具体的には、R,G,Bの各輝度から最大値、中央値、最小値を決定し、これらを適宜組み合わせて実際の膜厚に最も適合する演算式を得る。
図3は、各サンプルに対するR,G,Bのそれぞれの輝度をプロットしたものである。
サンプルごとに、R,G,Bの輝度が逆転することが示されている。このようなR,G,Bの輝度を、次のような式で演算した結果を図4に示す。
膜厚(μm)=R,G,Bの輝度のうち2番目に大きな値/R,G,Bの輝度の最大値
すなわち、上式の場合、上述の演算式において、a=1,b=0とされている。
図4は、横軸がサンプル数、縦軸が膜厚(μm)となっている。上記演算式に基づいてプロットしたものと、実際に膜厚を測定したものとが併せて示されている。
この図から、R,G,Bの輝度から演算される結果と、膜厚とが非常に強い相関を有しており、R,G,Bの輝度のうち2つの輝度を用いれば膜厚が算出できることがわかる。
ヘイズ率測定の場合も、膜厚測定の場合と同様に、撮像領域の各画素ごとに、R,G,Bのそれぞれの輝度(強度)を画像処理装置7aに取り込み、R,G,Bの各輝度を50mm角の範囲で平均化した後に、以下の演算を行う。
ヘイズ率測定の演算も、透明導電膜の種類等によって異なり、予め膜厚とR,G,Bの各輝度との関係を調べておくことによって決定される。
発明者の知見によれば、各R,G,Bの輝度の線形結合による演算式を用いれば、ヘイズメータによって実測されたヘイズ率に最も適合することがわかっている。
ヘイズ率は、R,G,Bの各輝度を用いて、次式によって算出した。
ヘイズ率=−0.086×B+0.13×Y−21×100/G−0.23×G+10×100/B+10×100/R+1.2×(R,G,Bの輝度のうち2番目に大きな値/R,G,Bの輝度の最大値)+25
ここで、Y=0.30×R+0.59×G+0.11×B
図5は、上式による計算値を横軸、ヘイズメータで測定した測定値を縦軸としてプロットしたものである。なお、ヘイズメータによるヘイズ率の測定は、JIS K7361−1997に基づいて行われた。
この図からわかるように、プロットされた各点は、y=xの直線にほぼ近いものとなっている。したがって、R,G,Bの輝度に基づいて算出したヘイズ率は、ヘイズメータによって計測されたヘイズ率に非常に強い相関を有しており、R,G,Bの輝度の線形結合による演算式を用いればヘイズ率が算出できることがわかる。
図6(a)は、5mm角で平均したもの、(b)は10mm角で平均したもの、(c)は50mm角で平均したものである。
図6(a)の重相関係数は0.9006、(b)の重相関係数は0.9098、(c)の重相関係数は0.9338となっている。これらから、50mm角で平均した(c)が重相関係数が最も大きくなっており、50mm角で平均化すれば、最も計測値に近いヘイズ率が算出されることがわかる。
白色光を透明導電膜に照射し、反射した光をR,G,Bの3波長に分光し、これらの波長の輝度を演算することによって透明導電膜の膜厚を算出することとしたので、反射光さえ得られれば、光の干渉が得られなくても、表面に凹凸を有する透明導電膜であっても膜厚を算出することができる。
3a ライン照明器(光照射手段)
10 透明導電膜分析装置
11 透明導電膜付きガラス基板
Claims (5)
- 光を表面に凹凸が形成された透明導電膜に照射し、反射した光を少なくとも2つの波長に分光し、これらの波長の光強度を演算することによって前記透明導電膜の膜厚を算出する透明導電膜分析方法において、
前記透明導電膜は、太陽電池に用いられ、
前記透明導電膜に照射する光は、白色光とされ、反射した光は、カラーカメラを用いて赤、緑および青の三色に分光され、
前記膜厚は、膜厚と前記反射した光の赤、緑および青の各光強度との関係を予め得ておき、これら赤、緑および青の各光強度から決定された最大値、中央値、最小値のうち前記最大値と前記中央値との比を含む演算式から得られることを特徴とする透明導電膜分析方法。 - 光を表面に凹凸が形成された透明導電膜に照射し、反射した光を少なくとも2つの波長に分光し、これらの波長の光強度を演算することによって前記透明導電膜のヘイズ率を算出する透明導電膜分析方法において、
前記透明導電膜は、太陽電池に用いられ、
前記透明導電膜に照射する光は、白色光とされ、反射した光は、カラーカメラを用いて赤、緑および青の三色に分光され、
前記ヘイズ率は、ヘイズメータによって実測されたヘイズ率に適合するように、前記反射した光の赤、緑および青の各光強度の線形結合とされ、かつ、前記各光強度から決定された最大値、中央値、最小値のうち前記最大値と前記中央値との比を含む演算式から得られることを特徴とする透明導電膜分析方法。 - 請求項1又は2に記載の透明導電膜分析方法を用いて、透明導電膜の品質を管理することを特徴とする透明導電膜品質管理方法。
- 請求項3記載の透明導電膜品質管理方法によって品質管理された透明導電膜付きガラス基板を備えていることを特徴とする太陽電池。
- 表面に凹凸が形成された透明導電膜に光を照射する光照射手段と、
前記透明導電膜で反射した光を少なくとも2つの波長に分光する分光手段と、
これら分光された光の強度を演算して前記透明導電膜の膜厚および/またはヘイズ率を算出する演算手段と、
を備え、
前記透明導電膜は、太陽電池に用いられ、
前記透明導電膜に照射する光は、白色光とされ、反射した光は、カラーカメラを用いて赤、緑および青の三色に分光され、
前記膜厚は、膜厚と前記反射した光の赤、緑および青の各光強度との関係を予め得ておき、これら赤、緑および青の各光強度から決定された最大値、中央値、最小値のうち前記最大値と前記中央値との比を含む演算式から得られ、
前記ヘイズ率は、ヘイズメータによって実測されたヘイズ率に適合するように、前記反射した光の赤、緑および青の各光強度の線形結合とされ、かつ、前記各光強度から決定された最大値、中央値、最小値のうち前記最大値と前記中央値との比を含む演算式から得られることを特徴とする透明導電膜分析装置。
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