JP4544766B2 - 伝動構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プーリを有する回転軸を軸支する支持ケースに、ベルト張り用のプーリを有するタイトアームを簡単な構造で精度よく支持することができる伝動構造を提供するもので、特にコンバイン用の脱穀機に適した伝導構造を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばコンバイン等に搭載される脱穀機においては、エンジンからベルト伝動される入力プーリを備えた伝動ギヤケースを、脱穀機枠の側面に取付ブラケットを介して取付ており、この伝動ギヤケースから2番樋の2番プーリをベルト伝動するとともに、ギヤ噛合により駆動される伝動軸の回転を、ベルト伝導により扱胴を駆動するように構成している。
【0003】
また、エンジン側のベルトをクラッチレバーによって動力入り切りさせるテンションクラッチプーリのタイトアームを支持する支持軸と前記2番プーリをベルト張りするタイトプーリのタイトアームを支持する支持軸とは、前記脱穀機枠の側面にいずれも個別の取付部材によってそれぞれ支持している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の脱穀機は、入力プーリを取付けた軸を支持する支持ケースと、2番ラセンを駆動するベルトのテンションクラッチプーリと、更にエンジンと伝動ギヤケースとの間のベルトのタイトプーリを、それぞれ脱穀機枠に対して個別の取付部材によって取付けた伝動支持構造としている。
【0005】
従って、多くの部品点数を要するとともに、脱穀機枠側から十分な剛性を持つように補強された構成にしなければならない等、構造が複雑でコスト高になるとともに、これらの組付けを精度高く組付けることが困難で、非能率である等の課題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記従来の装置の持つ欠点を解消するための本発明に係る伝動構造は次のように構成されている。
【0008】
すなわち、本発明に係る伝動構造は、入力プーリと出力プーリを有する回転軸を支持ケースによって回転可能に軸支する一方前記支持ケースの端部に位置する回転軸の軸支部の外周に、前記入力プーリに巻き掛けたベルトを緊張させるためのテンションクラッチプーリを備えたタイトアームの取付孔および前記出力プーリに巻き掛けたベルトを緊張させるためのタイトプーリを備えたタイトアームの取付孔を嵌挿すると共に、両タイトアームの抜け止めを行なう止め輪を係合させ、かつ、前記支持ケースの軸支部を合せ型の支持ケースで構成したことを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の伝動構造につき説明する。
【0013】
1は、コンバインやハーベスタ等の収穫機の機台1K(図3)に搭載される脱穀機であり、この脱穀機1は箱型状枠体の脱穀機枠1a内に扱胴軸2によって扱胴2aを回転可能に支持した扱室2bと、この扱室2bの下方で図示しない揺動選別体を選別風路に揺動可能に支持している。
【0014】
そしてこの揺動選別体の下方に1番物を機外に排出移送する1番樋20と、2番物を揺動選別体に移送還元する2番樋21を配設し、この1番樋20は図3に示すように前記脱穀機枠1aの側壁に沿って上下方向に強固に立設した揚穀筒22を連設し、移送される穀粒(1番物)を図示しない穀粒タンク内に排出するように構成している。
【0015】
そして、この脱穀機1は、本発明に係る伝動構造を構成する支持ケース(伝動ギヤケース)3(図2、4、6)の入力プーリ30に、脱穀機1の前部に設置しているエンジン4(図3)の出力プーリ40からベルト41を巻き掛け、前記2番樋21の2番螺旋軸プーリ21aを伝動するように構成している。
【0016】
そして、扱胴軸2の端部に固定されている扱胴プーリ23を同時に動力を分配して伝動するように構成し、その動力の入り切りを後述するベルト張り用のプーリ5a(図3、4に示すテンションクラッチプーリ)をクラッチレバー5Lの入り切り操作で作動することによって行なうようにしている。
【0017】
即ち、支持ケース3は、図2、6に示すように回転軸(入力軸)31を脱穀機枠1aに対して直交する横方向に軸支しているとともに、伝動プーリ32aを有する伝動回転軸32を前記脱穀機枠1aに沿わせて前方に向けて軸支し、支持ケース3内で両軸31、32にそれぞれ設けたギヤ31a,32bを噛合させている。
【0018】
そして、上記回転軸31の軸端に前記入力プーリ30と、その外側にやや小径の出力プーリ33の2つのプーリを軸着し、この出力プーリ33は前記2番螺旋軸プーリ21aにベルト34を巻き掛けるとともに、このベルト34の下側に後述するベルト張り用のプーリ(タイトプーリ)6aを設けている。
【0019】
そして、上記支持ケース3は図2、4、5で示すように上下に2分割した対称形状の合せ型(割り型)の分割ケース3a,3aに形成している。この構造は鋳造工程を簡単で廉価に行なうようにしたものであり、これらの分割ケース3a,3aには図6に示すように、それぞれ固定孔3bと左右の取付孔3c,3cを開孔し、各孔に固定ネジ3dと取付ネジ3eをそれぞれ挿通して(図5)結着固定することにより、合せ型の支持ケース3を構成している。
【0020】
更に、左右の取付孔3c,3cを、それぞれ揚穀筒22側から突設した取付ブラケット22a(図4)上に、脱穀機枠1a側から突設した取付ブラケット1c(図2)を重ね、両者を共締めすることによって簡潔な構成により揚穀筒22に安定よく支持している。
【0021】
また、図6に示すように、各分割ケース3a,3aの端部に位置する軸支部35の外周には、タイトアーム5の端部の取付孔に貫通する大径の円周面のタイトアーム取付部3gと、同様にタイトアーム6の端部の取付孔を貫通する小径の外周面のタイトアーム取付部3hとを、外径を異ならせて階段状に形成している。
【0022】
そして、このタイトアーム取付部3hには、嵌挿されたタイトアーム6の軸方向への移動をガタつきなく阻止しながら抜け止めを行なうC型リング等の止め輪6pを係脱可能に係合させる止め溝3mを共に形成することによって複数のタイトアーム5,6を、支持ケース3の端部の軸支部35に円滑に回動自在に支持できるように精度よく加工できるように形成している。
【0023】
前記のような2本のタイトアーム5、6の支持構造により、先ずタイトアーム5を大径のタイトアーム取付部3gに嵌挿する。次いで別のタイトアーム6を小径のタイトアーム取付部3hに嵌挿し、そして止め輪6pを係合させると、両タイトアーム5、6は同一軸芯に,隣設した状態で回動可能に支持されることになる。
【0024】
タイトアーム5は、タイトアーム取付部3g上でタイトアーム6との間の小間隙分だけ軸方向に自由になってその回動を円滑に行なうことができる。また、タイトアーム6はタイトアーム取付部3h上で段部と止め輪6p間で挟持状に規制状態で支持され、ガタつきのない回動を可能にして両タイトアーム5、6の位置決めと抜け止めを確実に行なうことができる。
【0025】
また、両タイトアーム5、6は、揚穀筒22に強固に支持されるとともに、回転軸31や伝動軸32等を軸支する支持ケース3の軸支部35に、タイトアーム取付部3g,3hを段付き状に軸支している。
【0026】
従って、この伝動構造の支持ケース3は、タイトアーム取付部3g,3hの取付と支持する部材に兼用することができる。そのために、両タイトアーム5、6を安定よく軸支することができる。
【0027】
その上、別の取付部材を必要としないので、部品点数も少なくなり伝動構造の構成を簡潔で廉価なものにすることができ、脱穀機1の軽量化を図ることができる等の利点がある。
【0028】
また、上記のような支持ケース3に軸支されるタイトアーム5,6は、図3に示すように支持ケース3の下方でアーム長さを異ならせ、方向を異ならせた経路を有する両側のベルト41,34間に位置させ、これらの両ベルト41,34を簡単な構成によりベルト張りを行ない、伝動を良好に行なうことができる。
【0029】
即ち、タイトアーム5はアーム長さを長くした先端部にテンションクラッチプーリ5aを軸支し、ベルト41の緩み側の中途部を接離可能に転接するようにしているとともに、クラッチレバー5Lのベルト張り用のスプリング50の設置代を十分にとることができるように、タイトアーム5の形状は半月状に形成している。
【0030】
また、タイトアーム5は上記スプリング50を係止させてクラッチレバー5Lの操作リンク51と連結させることにより、図3、4の実線で示すクラッチ入り状態から、クラッチレバー5Lの矢印方向への切り操作によって、同図の点線状態にスプリング50を緩めてクラック切り作動させるようにしている。
【0031】
またこのとき、テンションクラッチプーリ5aは切り方向に自重を利用して確実に退動させることができるようにしている。
【0032】
そしてタイトプーリ6aは、図2、3、4で示すようにタイトアーム5の半分程度の長さに短くしたタイトアーム6の先端部に、前記テンションクラッチプーリ5aの移動する範囲を越える長さの支軸6bによって、ベルト34の張り側を巻き掛け角を大きくするように軸支している。
【0033】
また、タイトアーム6と揚穀筒22の上方に取付ブラケット22bを突設し、この取付ブラケット22bに調節ネジ51を設け、これの下端にベルト張り用のスプリング52を支持し、このスプリング52の下端を前記タイトアーム6に連結して前記スプリング52の張り長さを調節可能にしている。
【0034】
この構成によれば、スプリング52と調節ネジ51は、揚穀筒22を強固な取付部材としてコンパクトに設置することができ、更にタイトプーリ6aをベルト34の張り方向に適正に張圧してベルト伝動を良好に行なうことができる。
【0035】
また、前述したように支持ケース3のタイトアーム取付部3hに止め輪6pによってガタつきなく支持されているので、タイトプーリ6aを常時張圧しても、その振動や揺れ等を抑制することができる等の特徴がある。
【0036】
次に図3、4を参照して前記クラッチレバー5Lの支持構造等について説明する。
【0037】
クラッチレバー5Lは図3に示すように、エンジン4の前方側で機台1Kから立上げ、後方側に向けてL形に屈曲させたレバーフレーム7を取付部材として、このレバーフレーム7の後部に突設したレバー軸70に回動可能に軸支し、このレバー5Lの位置を図示しないレバーガイドによって切り換えて位置決めして係止するようになっている。
【0038】
そして図示例においては、上記レバーフレーム7の後部を揚穀筒22に着脱可能に設けた杆状の連結部材71と連結して補強支持するとともに、レバーフレーム7と連結部材71と揚穀筒22と、更に機台1Kとによって閉成した方形状の枠体を形成する剛体枠構造にしている。
【0039】
なお、上記連結部材71に前記取付ブラケット1cを連結すると支持ケース3をより安定状態で支持することができる。 従って、この構成によれば揚穀筒22と連結したレバーフレーム7は、杆状の枠体で十分な剛性を有しながら簡潔な構成で、振動等による揺れ等を抑制することができ、クラッチレバー5Lを安定よく支持することができる。
【0040】
また、クラッチレバー5Lの入り切り操作を行なうとき、テンションクラッチプーリ5aのベルト張り力やスプリング50の引張り力がレバーフレーム7に繰返し荷重として加えられるが、これらの力を連結部材71(図3、4)が分担して支持するので、支持ケース3とクラッチレバー5Lとの芯間の変動や狂いを長期間にわたって的確に防止でき、その結果、クラッチ操作を良好に行なうことができるとともに、ベルト張り力を一定に維持することができ、ベルト伝動を良好に行なうことができる等の特徴がある。
【0041】
また、レバーフレーム7を揚穀筒22と連結部材71を介して連結することにより枠体を構成する部材を小分化できるので、枠体の加工や組付け等の作業を簡単にすることができる等の利点がある。
【0042】
しかし、本発明は、前記構成に限定するものではなく、レバーフレーム7と連結部材71とは一体的な枠体に形成してもよいものである。
【0043】
次に、図1、図2を参照して、前記伝動回転軸32を介して扱胴2aを回転駆動するベルト伝動構造について説明する。
【0044】
即ち、伝動プーリ32a(図2)とその側方に位置する扱胴プーリ23との間にベルト8を巻き掛けるとともに、このベルト8の内側と外側にそれぞれ脱穀機枠1aに軸支したタイトプーリ80,81,82を設けてベルトラインを形成し、図1に示すように伝動プーリ32aと扱胴プーリ23との巻き掛け角を適正に維持することにより、支持ケース3から扱胴2aへの伝動を的確に行なうことができるようにしている。
【0045】
以上のように構成した脱穀機1は、クラッチレバー5Lを図3の反矢印方向のクラッチ操作で実線位置にすると、テンションクラッチプーリ5aをベルト41に押接して、エンジン4から支持ケース3に軸支されている回転軸31に入力する。そして出力プーリ33と入力プーリ30を同時に駆動し、更に伝動回転軸32と伝動プーリ32aと、ベルト8を介して扱胴2aを円滑に駆動して脱穀作業を行なうことができる。
【0046】
この際、脱穀機1は、その脱穀機枠1aに立設した揚穀筒22に、プーリ30を有する回転軸31を軸支した支持ケース3を取付けた構成とし、脱穀機枠1aに強固に立設している揚穀筒22を、支持ケース3の取付部材として兼用しているので、この支持ケース3を安定よく支持することができるとともに、支持構造を簡単な構成とすることができる。
【0047】
また、支持ケース3は、揚穀筒22にあらかじめ部品組みした状態で脱穀機枠1aに組付けることもできるので、支持ケース3及び、この支持ケース3に取付けられるテンションクラッチプーリ5a、並びにタイトプーリ6a等の組立性も向上させることができる。
【0048】
そしてテンションクラッチプーリ5aをクラッチ作動させるクラッチレバー5Lを、揚穀筒22と連結したレバーフレーム7からなる剛体枠構造に支持させているので、テンションクラッチプーリ5aのクラッチ操作やタイトプーリ6aによるベルト張り等を円滑に行なうことができる等の特徴がある。
【0049】
【発明の効果】
本発明の伝動構造によれば、プーリ30を有する回転軸31を回転可能に軸支する支持ケース3に、ベルト張り用のプーリ5a,6aを有する複数のタイトアーム5,6を同一軸芯に隣設させた状態で軸支させている。
【0050】
従って、回転軸31(入力軸)を軸支する支持ケース3を、複数のタイトアーム5、6を省スペースで安定よく支持する支持部材として使用できる。
【0051】
また複数のタイトアーム5、6は隣設させているので、タイトアーム取付部の加工を精度よく簡単に行なうことができるから、これらのタイトアーム5、6を有する伝動構造を簡潔で廉価な構成にすることができる。
【0052】
また、プーリ30を有する回転軸31を回転可能に軸支する支持ケース3を、合せ型の分割ケース3a,3aを合せることにより形成するとともに、上記支持ケース3の軸支部35の外周に、ベルト張り用のプーリ5a,6aを有するタイトアーム5,6と、このタイトアーム5、6の抜け止めを行なわせる止め輪6pとを嵌挿させるように構成している。
【0053】
従って、分割ケース3a,3aを組み合せた状態でタイトアーム5、6と止め輪6pを嵌めることで、分割ケース3a,3aの開きを防止して支持ケース3を簡単に形成することができる。
【0054】
また、この支持ケース3をタイトアーム5、6を支持する支持部材に兼用することができて、ベルトの巻掛けを良好に行なうことができる伝動構造を提供することができる。
【0055】
さらに支持ケース3の軸支部35の外周に、外径を異ならせて複数のタイトアーム5,6を嵌挿させるタイトアーム取付部3g,3hを階段状に形成しているので複数のタイトアーム5、6の取付けを簡単にすることができるとともに、複数のタイトアーム5、6の誤組付けを生ずることがない。
【0056】
また、複数のタイトアーム5,6を長さを異ならせてタイトアーム取付部3g,3hに取付けるようにしたことにより、各タイトアーム5、6に支持されるプーリ5a、6aの干渉を防止することができる。また、支持ケース3を脱穀部1に装着するとともに、この支持ケース3内で他の伝動ケースと、ギヤ31a,32bを介して伝動可能に構成したことにより、支持ケース3を揚穀筒22に安定よく取付けることができるとともに、他方への伝動も行なって脱穀部の伝動構造を簡潔で廉価な構成にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を備えた脱穀機の要部を示す正面図である。
【図2】図1の要部の要部構成を示す平面図である。
【図3】図1の脱穀機の側面図である。
【図4】図3の脱穀機の要部を示す拡大図である。
【図5】支持ケースの伝導支持構造を示す正面図である。
【図6】支持ケースの詳細を示す平断面図である。
【符号の説明】
1 脱穀機 1K 機台 1a 脱穀機枠
2 扱胴軸 2a 扱胴
3 支持ケース 3a 分割ケース 3f 軸支部
3g,3h タイトアーム取付部 4 エンジン
5 タイトアーム 5a プーリ(テンションクラッチプーリ)
5L クラッチレバー 6 タイトアーム
6a プーリ(タイトプーリ) 6p 止め輪 7 レバーフレーム
22 揚穀筒 22a,22b 取付ブラケット(取付部材)
30 プーリ(入力プーリ) 31 回転軸

Claims (1)

  1. 入力プーリと出力プーリを有する回転軸を支持ケースによって回転可能に軸支する一方前記支持ケースの端部に位置する回転軸の軸支部の外周に、前記入力プーリに巻き掛けたベルトを緊張させるためのテンションクラッチプーリを備えたタイトアームの取付孔および前記出力プーリに巻き掛けたベルトを緊張させるためのタイトプーリを備えたタイトアームの取付孔を嵌挿すると共に、両タイトアームの抜け止めを行なう止め輪を係合させ、かつ、前記支持ケースの軸支部を合せ型の支持ケースで構成したことを特徴とする伝動構造。
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