JP3778628B2 - 移動脱穀機における穀粒貯溜タンクへの駆動力伝達装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動脱穀機における穀粒貯溜タンクへの駆動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンバイン等の移動脱穀機では、脱穀した穀粒を一時的に貯留する穀粒貯溜タンクを装備している。而して、穀粒貯溜タンクには、排穀用縦コンベアと、この縦コンベアに穀粒を供給する供給用横コンベアが設けられている。従って、エンジンからこれら両コンベアに駆動力を伝動しなければならないが、機器のレイアウト上、機体前部にエンジン、中後部一側側に脱穀機、その反対側後部に穀粒貯溜タンクが配置されていることから、両コンベアには脱穀機の一番コンベアや唐箕といった伝動軸を介して駆動力が供給されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成であると、点検等に基づいて穀粒貯溜タンクを作動させたときには、脱穀機も同時に作動することになるから、脱穀機内に残っていた穀粒が新たに穀粒貯溜タンクに供給され、点検の邪魔になることがある。又、脱穀機に必要以上の大きな駆動力を供給しなければならないから、伝動構造が大型化する。 本発明は、このような課題を解決するものであり、穀粒貯溜ンクをエンジンの動力で直接駆動するようにしたものであり、これに伴って種々優れた効果を派生させるようにしたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の課題の下、本発明は、穀粒貯留タンクの後部に縦設されて、車台に設けられるギアボックスに対して水平回転可能な縦コンベア支持筒に収容される排穀用縦コンベアと、穀粒貯留タンクの底部に横設されて、縦コンベアによってベベルギア機構で駆動される供給用横コンベアとを設け、穀粒貯留タンクをギアボックスに対して水平回転させることで、穀粒貯留タンクを車台外へ引き出せるようにした移動脱穀機における穀粒貯留タンクへの駆動力伝達装置において、ギアボックスに突入して縦コンベアをベベルギア機構で駆動する駆動軸をエンジン出力軸と平行に設け、エンジン出力軸の駆動力をプーリ・ベルト機構によって穀粒貯留タンク外の車台に設けられる副軸を介して駆動軸へと伝えるとともに、穀粒貯留タンクを、駆動軸、副軸及びプーリ・ベルト機構は固定したままで車台外へ引き出せるようにしたことを特徴とする移動脱穀機における穀粒貯留タンクへの駆動力伝達装置を提供する。
【0005】
本発明が以上の手段をとることにより、穀粒貯溜タンクの駆動は脱穀機の駆動とは無関係になるのに加えて、エンジン出力軸、副軸及び駆動軸をそれぞれ平行に配置できることから、動力伝達機構をプーリ・ベルト機構といった簡単で安い構造とすることができる。又、エンジンから駆動軸に至るまでには多くのプーリを経ることになるから、プーリ径を変えての回転数調整が容易である。加えて、穀粒貯留タンクの車台外への引出しは、駆動軸、副軸及びプーリ・ベルト機構はそのまま固定した状態で引き出せる
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明が適用されるコンバインの側面図、図2は平面図であるが、コンバインは、クローラ式車台10の前部一側方に穀稈を刈り取って後方に搬送する前処理部12が、その後方に前処理部12から搬送されて来た穀稈を脱穀する脱穀部14が、又、前部他側方に操縦部16が、その後方に穀粒貯溜タンク18がそれぞれ配置されるものである。
【0007】
脱穀部14で脱穀された穀粒は、揚穀筒20で穀粒貯溜タンク(以下、タンク)18に貯溜されるが、タンク18に貯溜された穀粒は、タンク18の底部に横設される供給用横コンベア22でタンク18の後部に縦設される排穀用縦コンベア24の下部に供給される。排穀用縦コンベア(以下、縦コンベア)24に供給された穀粒は、ここで上昇させられ、縦コンベア24の上部に連結される排穀用横コンベア26で機外に排穀される。
【0008】
以上の供給用横コンベア(以下、横コンベア)22と縦コンベア24は一つの駆動系で駆動される。図3はその要部を示す断面図であるが、縦コンベア24の下端に駆動軸28をベベルギア機構30で結合して水平に設けられるエンジン出力軸(以下、出力軸)32と平行に設け、出力軸32の駆動力をプーリ・ベルト機構34、36によって同じく出力軸32と平行に設けられる副軸38を介して駆動軸28に伝達するのである。
【0009】
具体的には、車台10の上にギアボックス40を設置し、この上に縦コンベア24を収容してタンク18に固定される縦コンベア支持筒42を回動自在に接続する。そして、駆動軸28の一端及び縦コンベア24の下端をこのギアボックス40に突入させ、この中に前記したベベルギア機構30を収容する。これにより、駆動軸28に伝達された駆動力は、ベベルギア機構30によって縦コンベア24に伝えられる。
【0010】
更に、横コンベア22の終端を縦コンベア支持筒42に突入させ、横コンベア22と縦コンベア24とを同じくベベルギア機構44で結合しておく。これにより、縦コンベア24が回転すると、横コンベア22も回転することになる。尚、図示は省略するが、縦コンベア24の回転力は、その上部で同じくベベルギア機構で結合された排穀用横コンベア26を駆動することになる。
【0011】
縦コンベア支持筒42の上部には、縦コンベア24を収容する縦コンベア筒46が縦コンベア支持筒42に対して回転自在に挿嵌されている。又、縦コンベア筒46の上部は排穀用横コンベア26を収容する排穀用横コンベア筒48と連結されている。尚、縦コンベア筒46の上部はタンク18に固定されたホルダー50によって回転自在に支持されている。
【0012】
この他、縦コンベア筒46の中途にはギア52が固嵌されており、このギア52は図外のモータ等の動力源によって駆動されるピニオン又はラックで駆動されるようになっている。従って、縦コンベア筒46とこれと一体化された排穀用横コンベア筒48は、縦コンベア支持筒42やホルダー50とは無関係に回転できることになり、これで排穀用横コンベア26による排穀位置が調整できる。
【0013】
タンク18には、ギアボックス40に対して回転自在である縦コンベア支持筒42が下部に固定され、縦コンベア筒46を回転自在に保持するホルダー50が上部に固定されていることは前述したが、これ以外の固定的な支持構造は施されていない。従って、タンク18は、縦コンベア24の軸心を中心に回動できる構成になってギアボックス40で支持されることになる。タンク18を回動させて車台10外に引き出すことにより、その裏面やこれと対向する脱穀部14の点検、整備が容易になる。
【0014】
縦コンベア24や横コンベア22を駆動する駆動軸28は、エンジンの出力軸32と平行に設置され、中間に副軸38を介してプーリ・ベルト機構34、36で連結されていることは前述したが、この場合、出力軸32は、操縦部16の座席16a下方の機体中央側端部に配置されているから、駆動軸28をギアボックス40の機体中央側(脱穀部14側)に突出させ、その端にプーリ36aを固着しておく。
【0015】
こうすると、これらの間を連結する副軸38及びプーリ・ベルト機構34、36をスペース的に余裕がある脱穀部14とタンク18との間に設置することができる。尚、図2では副軸38及びプーリ・ベルト機構34、36の一部を構成するベルト36bが若干タンク18と重合して図示されているが、タンク18は上方が拡大した略漏斗形をしているものであり、下方には空間が形成されて干渉は回避されている。
【0016】
以上により、縦コンベア24の作動は、出力軸32の駆動力をプーリ・ベルト機構34、36によって直接駆動軸28に伝達して行われるものであり、脱穀部14等を経由してのものではない。従って、点検等に際して縦コンベア24を作動させるときには脱穀部14は作動せず、この中に残っていた穀粒等がタンク18に移送されることはないし、脱穀部14の動力を消費することもない。
【0017】
この場合、縦コンベア24や横コンベア22の回転速度(穀粒の移送速度)は、穀稈の品種や倒伏度合い或いは収穫時期等によって変更しなければならないこともあるが、そのときは、プーリ・ベルト機構34、36を構成する各プーリ径を代えて対応する。而して、副軸38を設けることによって都合4個のプーリを用いることになり、その変更の自由度と範囲とが拡大する。
【0018】
ところで、以上において、プーリ・ベルト機構には当然にテンションローラが付設されるものであり、このテンションローラによるベルト張緩でタンク作動のクラッチとすることもある。又、プーリ・ベルト機構に代えてスプロケット・チェン機構やロッド・ベベルギア機構によることもある。更に、副軸を設ける箇所は特には限定されず、且つ、その数は一つに限らず、複数個設けられることもある。
【0019】
【発明の効果】
以上、本発明は、前記したものであるから、脱穀部とは無関係に縦コンベアを作動させることができ、脱穀部の駆動力を消費しないとともに、点検等の作動に際して脱穀部の無用な穀粒等の供給を受けない。又、縦コンベア等はエンジンを駆動源として駆動されるものであるから、非常に広い範囲の回転数で駆動でき、点検等における試験駆動に非常に便利である。
【0020】
更に、多くのプーリを介在させて駆動力を受けるものであるから、定常回転における回転速度の調整も、これらのプーリ径を変えることによって容易に対応できる。この他、タンクを縦コンベアを中心に回動させて引き出す構成をとる場合、プーリ・ベルト機構はそのままにして(ベルト等を外すことなく)タンクを引き出せるから、その操作が迅速で容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一例を示すコンバインの側面図である。
【図2】 本発明の一例を示すコンバインの平面図である。
【図3】 本発明の一例を示す穀粒貯留タンクの駆動系を示す要部断面図である。
【符号の説明】
10 車台
18 穀粒貯溜タンク
22 供給用横コンベア
24 排穀用縦コンベア
28 駆動軸
30 ベベルギア機構
32 エンジン出力軸
34 プーリ・ベルト機構
36 プーリ・ベルト機構
38 副軸
40 ギアボックス
44 ベベルギア機構

Claims (1)

  1. 穀粒貯留タンクの後部に縦設されて、車台に設けられるギアボックスに対して水平回転可能な縦コンベア支持筒に収容される排穀用縦コンベアと、穀粒貯留タンクの底部に横設されて、縦コンベアによってベベルギア機構で駆動される供給用横コンベアとを設け、穀粒貯留タンクをギアボックスに対して水平回転させることで、穀粒貯留タンクを車台外へ引き出せるようにした移動脱穀機における穀粒貯留タンクへの駆動力伝達装置において、ギアボックスに突入して縦コンベアをベベルギア機構で駆動する駆動軸をエンジン出力軸と平行に設け、エンジン出力軸の駆動力をプーリ・ベルト機構によって穀粒貯留タンク外の車台に設けられる副軸を介して駆動軸へと伝えるとともに、穀粒貯留タンクを、駆動軸、副軸及びプーリ・ベルト機構は固定したままで車台外へ引き出せるようにしたことを特徴とする移動脱穀機における穀粒貯留タンクへの駆動力伝達装置。
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