JP4544658B2 - 半導体ウエハ保護用粘着シート及び半導体ウエハの研削方法 - Google Patents
半導体ウエハ保護用粘着シート及び半導体ウエハの研削方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種半導体の製造工程のうち半導体ウエハの裏面を研削するバックグラインド工程において用いる放射線硬化型の半導体ウエハ保護用粘着シート、及び前記粘着シートを用いる半導体ウエハの研削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種半導体を製造する際、半導体ウエハの表(おもて)面にパターンを形成した後、所定の厚さになるまでウエハ裏面をバックグラインダー等で研削するバックグラインド工程を経るのが一般的である。その際、ウエハの保護等の目的で、ウエハ表面に半導体ウエハ保護シート(テープ)なる粘着シートを貼り合わせた上で研削することが一般的に行われている。そして、最近では、直径8インチ又は12インチといったウエハの大型化や、ICカード用途などのウエハの薄型化が進んでおり、これに伴って、保護シートの軽剥離化のため放射線硬化型保護シートを用いる場合が多くなってきている。しかし、放射線硬化型保護シートは軽剥離化が可能な反面、放射線照射後にウエハが反りやすいという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、放射線照射後のウエハの反りを抑制できる放射線硬化型の半導体ウエハ保護用粘着シート、及び放射線を照射してもウエハの反りを極めて低いレベルに抑制できる半導体ウエハの研削方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、半導体ウエハ保護用粘着シート(以下、「保護シート」又は「ウエハ固定用粘着シート」と称する場合がある)を構成する粘着層の放射線照射(硬化)後の収縮力を特定の値以下に設定すると、放射線照射を行っても半導体ウエハの反りが著しく小さいことを見いだし、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、基材フィルムと放射線により硬化する粘着剤層とで構成された放射線硬化型の半導体ウエハ保護用粘着シートであって、粘着剤層が複数の層で構成されていると共に、各層の放射線硬化後の収縮率が基材フィルム側からウエハ当接側に向かって順次高くなるように形成されており、粘着剤層全体の放射線硬化後の収縮力が2MPa以下であり、且つ6インチ径、厚さ600μmの半導体ウエハに貼り合わせてウエハ裏面を厚さ100μmまで研削した時、研削直後と紫外線照射後のウエハの反り量差が0.3mm以下であることを特徴とする半導体ウエハ保護用粘着シートを提供する。
【0006】
また、本発明は、ウエハの表面に上記の半導体ウエハ保護用粘着シートを貼付してウエハの裏面を研削する半導体ウエハの研削方法を提供する。
【0007】
なお、本明細書において、収縮力とは片持ち梁によって測定した粘着剤層単独の放射線硬化後の収縮力(放射線の照射による硬化により収縮したときに発生する力)であり、以下の方法により測定したものである。
図1に示すように、燐青銅板A(長さ200mm、幅20mm、厚み200μm、JIS C 5210)に試料となる粘着剤層Bを貼り合わせ、長さ方向の片側を固定し、水平におく。その後、粘着剤層B側より紫外線を60秒間照射し(紫外線照射機:NEL UM−110、日東精機株式会社製)、常温に戻ってから、元の位置からの鉛直方向の変位δを測定し、下式により収縮力σを計算した(1Kg/mm2=9.8MPa)。
【0008】
ρ=(L2/8δ)+δ/2≒(L2/8δ)
σ=(E1h1 3/12h2)×2/ρ(h1+h2)
×{1+(h1/(h1+h2)2/3)}
ρ:片持ち梁の曲率半径(mm)
σ:内部応力(収縮力)(Kg/mm2)
E1:燐青銅板のヤング率(Kg/mm2)
h1:燐青銅板の厚み(mm)
h2:粘着剤層の厚み(mm)
L/2:支点/測定点間距離(mm)
δ:試験片の変位量(mm)。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム;2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、低密度ポリエチレン(PE)フィルム、各種軟質ポリオレフィンフィルムなどのポリオレフィン系フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム;などのプラスチックフィルム、及びこれらのフィルムを含む多層フィルムなどが挙げられる。なかでも、ウエハの反り抑制に効果のあるPETフィルム、PETフィルムを含む多層フィルム、OPPフィルムなどが好ましい。基材フィルムの厚みは、例えば20〜300μm程度である。
【0010】
粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の適宜な粘着剤を用いることができる。なかでも、半導体ウエハへの接着性、剥離後のウエハの超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性などの点から、アクリル系ポリマーを主成分とするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0011】
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステルなどの炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステルなど)、及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステルなど)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマーなどが挙げられる。
【0012】
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性などの改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマーなどが挙げられる。これらのモノマー成分は1種又は2種以上使用できる。
【0013】
さらに、前記アクリル系ポリマーにおいて、架橋処理等を目的として、多官能性モノマーなども、必要に応じて共重合用モノマー成分として用いうる。このようなモノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
【0014】
アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。粘着剤層はウエハの汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万〜300万程度である。ポリマーの数平均分子量を高めるため、内部架橋方式又は外部架橋方式などの適宜な方法により架橋された架橋型ポリマーを用いることもできる。
【0015】
粘着剤層には放射線反応成分が配合される。このような成分には、公知乃至慣用の放射線反応性(放射線硬化性)オリゴマー及びモノマーが含まれる。
【0016】
放射線反応性オリゴマーとして、例えば、ウレタンオリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマー、ポリブタジエン系オリゴマーなどが例示できる。これらの成分は1種または2種以上混合して使用できる。
【0017】
前記の放射線反応性オリゴマー等を含む混合物を紫外線等により硬化させる場合に使用される光重合開始剤として、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α、α′−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどが挙げられる。
【0018】
粘着剤層の接着力は、使用目的等に応じて適宜設定できるが、一般には、半導体ウエハに対する密着維持性やウエハからの剥離性などの点から、ウエハミラー面に対する接着力(常温、180°ピール値、剥離速度300mm/分)が、例えば100g/20mm以上、放射線照射後のウエハミラー面に対する接着力が、例えば40g/20mm以下であるのが好ましい。
【0019】
粘着剤層の厚さは適宜に決定してよいが、一般には1〜300μm、好ましくは3〜200μm、さらに好ましくは5〜100μm程度である。
【0020】
本発明の重要な特徴は、粘着剤層の放射線硬化後の収縮力が30MPa以下(好ましくは25MPa以下)である点にある。なお、前記収縮力の下限は、特に限定されないが、例えば0.01MPa程度である。
【0021】
半導体ウエハの表面に半導体ウエハ保護用粘着シートを貼付し、ウエハの裏面を研削した後、例えば紫外線などの放射線を照射すると、粘着シートの粘着剤層が硬化し粘着力が低下するため、該粘着シートをウエハから容易に剥がすことができる。その一方、前記放射線照射時には、粘着剤層に体積収縮を起こし収縮力が発生し、その結果としてウエハに反りが生じる。本発明の粘着シートでは、この粘着剤層の放射線硬化後の収縮力を30MPa以下に設定するため、放射線を照射して粘着剤層を硬化させても、ウエハの反りは極めて小さい。
【0022】
粘着剤層の放射線硬化後の収縮力を30MPa以下にする方法としては、例えば、(i)粘着剤層に、低収縮性でありながら粘着力が低下するオリゴマー、例えば1分子中に不飽和結合(炭素−炭素二重結合など)を1〜5個有する低官能の放射線反応性オリゴマーを該粘着剤層において骨格となる主ポリマー(粘着剤の主成分となるポリマー;例えば、前記アクリル系ポリマー)100重量部に対して、例えば30〜300重量部、好ましくは40〜200重量部程度配合する方法、(ii)粘着剤層に配合する放射線反応性オリゴマーの量を少なくする方法、より具体的には、粘着剤層に、量が少なくても十分に粘着力が低下するオリゴマー、例えば1分子中に不飽和結合(炭素−炭素二重結合など)を6以上(例えば6〜12程度)有する多官能の放射線反応性オリゴマーを、該粘着剤層において骨格となる主ポリマー100重量部に対して、例えば10〜40重量部、好ましくは15〜35重量部程度配合する方法、(iii)粘着剤層に、前記1分子中に不飽和結合を1〜5個有する放射線反応性オリゴマー(低官能オリゴマー)と前記1分子中に不飽和結合を6以上有する放射線反応性オリゴマー(多官能オリゴマー)とを、該粘着剤層において骨格となる主ポリマー100重量部に対して、例えば総計20〜300重量部、好ましくは30〜200重量部程度配合する方法、(iv)粘着剤層に、前記1分子中に不飽和結合を1〜5個有する放射線反応性オリゴマー(低官能オリゴマー)を、該粘着剤層において骨格となる主ポリマー100重量部に対して、例えば10〜300重量部、好ましくは20〜200重量部程度配合するとともに、前記1分子中に不飽和結合を6以上有する放射線反応性オリゴマー(多官能オリゴマー)を、該粘着剤層において骨格となる主ポリマー100重量部に対して、例えば1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部程度配合する方法、(v)粘着剤層を複数の層で構成するとともに、粘着剤層のウエハ側には比較的収縮力の大きい層を形成して十分な粘着力低下を可能とし、粘着剤層の基材側には収縮力の小さい層を形成する、例えば、各層の放射線硬化後の収縮率を基材フィルム側からウエハ当接側に向かって順次高くなるように形成し、粘着剤層全体の収縮力を30MPa以下にする方法などが挙げられる。
【0023】
なお、前記(ii)の方法においては、放射線照射前の粘着力を一定のレベルに保持するため、粘着剤層において骨格となる主ポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)として弾性率の低いポリマー、より具体的には、引張り貯蔵弾性率が0.5MPa以下のポリマーを選択するのが好ましい。
【0024】
放射線反応性オリゴマー中の不飽和結合の数は、例えば、該オリゴマー(例えば、ウレタンオリゴマー)を合成するに際し、反応成分として用いる単量体中の反応性官能基の数(例えば、イソシアネート化合物中のイソシアネート基の数)や単量体比(例えば、イソシアネート化合物とヒドロキシル基含有不飽和化合物との比)などを適宜選択することにより調整できる。
【0025】
本発明の半導体ウエハ保護用粘着シートは、慣用の方法、例えば、粘着剤、放射線反応性オリゴマー、光重合開始剤、及び必要に応じて、放射線反応性モノマー、慣用の添加剤、架橋剤等を含むコーティング液を前記基材フィルム上にコーティングすることにより製造できる。また、適当なセパレータ(剥離紙など)上に前記コーティング液を塗布して粘着剤層を形成し、これを前記基材フィルム上に転写(移着)することにより製造することもできる。
【0026】
本発明の半導体ウエハ保護用粘着シートは、各種半導体の製造工程のうち半導体ウエハの裏面を研削するバックグラインド工程において半導体ウエハの保護のために用いることができる。本発明の粘着シートは、特に研削時に反りが発生しやすい大型ウエハ(例えば、直径8インチ又は12インチのウエハ)や薄型ウエハ(例えば、ICカード用などのウエハ)、とりわけ、研削により、ウエハの厚み(μm)をウエハの直径(インチ)で割った値が27(μm/インチ)以下である半導体ウエハを得る際の保護シートとして好適である。
半導体ウエハには、シリコンウエハのほか、ガリウム−ヒ素ウエハなどの汎用の半導体ウエハが含まれる。
【0027】
半導体ウエハ保護用粘着シートの半導体ウエハ表面への貼着は、慣用の方法、例えば、自動貼付装置などにより行うことができる。また、このようにして表面に保護シートが貼付された半導体ウエハの裏面の研削(研磨)は、バックグラインダーなどの慣用の研削装置により行うことができる。ウエハ裏面の研削後、紫外線などの放射線を照射することにより、粘着シートの粘着剤層が硬化し粘着力が低下するため、粘着シートを容易に剥離できる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、粘着剤層の放射線照射後の収縮力が特定の値以下に設定されているため、放射線照射後のウエハの反りを顕著に抑制できる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、ウエハ裏面のグラインドの条件、UV照射条件等は下記の通りである。
グラインド装置:ディスコ社製 DFD−840
ウエハ:6インチ径(600μmから100μmにバックグラインド)
ウエハの貼り合わせ装置:DR−8500II(日東精機(株)製)
紫外線(UV)照射装置:NEL UM−110(日東精機(株)製)
UV照射時間:10秒
また、グラインド後及びUV照射後のウエハの反り量は、図2に示すように、研削後のウエハを保護シートを貼ったままの状態で平坦な場所に置き、端部の浮いている距離(mm)を測定することにより求めた。粘着剤層のUV照射後(硬化後)の収縮力は、前記の方法により求めた。
【0030】
実施例1
アクリル酸エチル50重量部、アクリル酸ブチル50重量部及びアクリル酸5重量部からなる配合組成物をトルエン中で共重合させて、数平均分子量300000のアクリル系共重合物を含む重合組成物を得た。この重合組成物に、前記アクリル系共重合物100重量部に対して、1分子中に不飽和結合を6つ含むウレタンオリゴマー[紫光UV−1700B、日本合成(株)製]30重量部、ポリイソシアネート化合物5重量部、光開始剤(イルガキュア184)5重量部を混合して粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を基材フィルムとしてのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム(厚み110μm)に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作成した。このようにして得られたシートにシリコンウエハを貼り合わせ、上記の条件でウエハ裏面をグラインドし、UV照射を行った。研削直後及びUV照射後のウエハの反り量を測定した。結果を表1に示す。
【0031】
実施例2
アクリル酸エチル50重量部、アクリル酸ブチル50重量部及びアクリル酸5重量部からなる配合組成物をトルエン中で共重合させて、数平均分子量300000のアクリル系共重合物を含む重合組成物を得た。この重合組成物に、前記アクリル系共重合物100重量部に対して、1分子中に不飽和結合を6つ含むウレタンオリゴマー[紫光UV−1700B、日本合成(株)製]20重量部、1分子中に不飽和結合を2つ含むウレタンオリゴマー[UA−122P、新中村化学(株)製]50重量部、ポリイソシアネート化合物5重量部、光開始剤(イルガキュア184)5重量部を混合して粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を基材フィルムとしてのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム(厚み110μm)に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作成した。このようにして得られたシートにシリコンウエハを貼り合わせ、上記の条件でウエハ裏面をグラインドし、UV照射を行った。研削直後及びUV照射後のウエハの反り量を測定した。結果を表1に示す。
【0032】
実施例3
基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み50μm)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作成した。このシートにシリコンウエハを貼り合わせ、上記の条件でウエハ裏面をグラインドし、UV照射を行った。研削直後及びUV照射後のウエハの反り量を測定した。結果を表1に示す。
【0033】
比較例1
アクリル酸エチル50重量部、アクリル酸ブチル50重量部及びアクリル酸5重量部からなる配合組成物をトルエン中で共重合させて、数平均分子量300000のアクリル系共重合物を含む重合組成物を得た。この重合組成物に、前記アクリル系共重合物100重量部に対して、1分子中に不飽和結合を6つ含むウレタンオリゴマー[紫光UV−1700B、日本合成(株)製]80重量部、ポリイソシアネート化合物5重量部、光開始剤(イルガキュア184)5重量部を混合して粘着剤組成物を調製した。この粘着剤組成物を基材フィルムとしてのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム(厚み110μm)に、乾燥後の厚みが30μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作成した。このようにして得られたシートにシリコンウエハを貼り合わせ、上記の条件でウエハ裏面をグラインドし、UV照射を行った。研削直後及びUV照射後のウエハの反り量を測定した。結果を表1に示す。
【0034】
比較例2
基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み50μm)を用いた以外は、比較例1と同様の操作を行い、ウエハ固定用粘着シート(保護シート)を作成した。このシートにシリコンウエハを貼り合わせ、上記の条件でウエハ裏面をグラインドし、UV照射を行った。研削直後及びUV照射後のウエハの反り量を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
表1より明らかなように、実施例のウエハ固定用粘着シートを用いてバックグラインドし放射線照射を行う場合には、比較例のウエハ固定用粘着シートに比べて、放射線照射後のウエハの反り量は極めて小さい。
【図面の簡単な説明】
【図1】粘着剤層の放射線硬化後の収縮力の測定方法を示す図である。
【図2】ウエハの反り量の測定方法を示す図である。
【符号の説明】
A 燐青銅板
B 粘着剤層
1 ウエハ
2 保護シート
Claims (7)
- 基材フィルムと放射線により硬化する粘着剤層とで構成された放射線硬化型の半導体ウエハ保護用粘着シートであって、粘着剤層が複数の層で構成されていると共に、各層の放射線硬化後の収縮率が基材フィルム側からウエハ当接側に向かって順次高くなるように形成されており、粘着剤層全体の放射線硬化後の収縮力が2MPa以下であり、且つ6インチ径、厚さ600μmの半導体ウエハに貼り合わせてウエハ裏面を厚さ100μmまで研削した時、研削直後と紫外線照射後のウエハの反り量差が0.3mm以下であることを特徴とする半導体ウエハ保護用粘着シート。
- 粘着剤層に、1分子中に不飽和結合を1〜5個有する放射線反応性オリゴマーが、該粘着剤層において骨格となる主ポリマー100重量部に対して30〜300重量部配合された請求項1記載の半導体ウエハ保護用粘着シート。
- 粘着剤層に、1分子中に不飽和結合を6以上有する放射線反応性オリゴマーが、該粘着剤層において骨格となる主ポリマー100重量部に対して10〜40重量部配合された請求項1記載の半導体ウエハ保護用粘着シート。
- 粘着剤層に、1分子中に不飽和結合を1〜5個有する放射線反応性オリゴマーと1分子中に不飽和結合を6以上有する放射線反応性オリゴマーとが、該粘着剤層において骨格となる主ポリマー100重量部に対して総計20〜300重量部配合された請求項1記載の半導体ウエハ保護用粘着シート。
- 粘着剤層に、1分子中に不飽和結合を1〜5個有する放射線反応性オリゴマーが、該粘着剤層において骨格となる主ポリマー100重量部に対して10〜300重量部配合され、且つ1分子中に不飽和結合を6以上有する放射線反応性オリゴマーが、該粘着剤層において骨格となる主ポリマー100重量部に対して1〜100重量部配合された請求項1記載の半導体ウエハ保護用粘着シート。
- ウエハの表面に請求項1〜5の何れかの項に記載の半導体ウエハ保護用粘着シートを貼付してウエハの裏面を研削する半導体ウエハの研削方法。
- 研削により、ウエハの厚み(μm)をウエハの直径(インチ)で割った値が27(μm/インチ)以下である半導体ウエハを得る請求項6記載の半導体ウエハの研削方法。
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