以下、本発明に係る液晶装置の一例である液晶表示装置及び液晶表示装置を備えた電子機器の一実施形態について図面を参照して、説明する。液晶表示装置は、垂直配向用の配向膜が設けられるカラーフィルタ基板、このカラーフィルタ基板を用いたMVA(Multi‐domain Vertical Alignment)方式の液晶表示装置を例に説明する。なお、以下の説明に用いる図面は、各部材及び各層を認識可能な大きさとするために、各部材及び各層の縮尺を適宜変更している。
(第1の実施形態)
最初に、液晶表示装置の構成について説明する。図1は、本発明に係る液晶表示装置の分解斜視図であり、図2は、図1におけるA−Aと表記した線に従った液晶表示装置の断面の断面図である。図1において、液晶表示装置21は、液晶パネル22に半導体チップとしての液晶駆動用IC23a及び23bを実装し、配線接続要素としてのFPC(Flexible Printed Circuit)24を液晶パネル22に接続し、さらに液晶パネル22の裏面側に照明装置26をバックライトとして設けることによって形成される。
液晶パネル22は、第1基板27aと第2基板27bとをシール材28を介して貼り合わせることによって形成される。シール材28は、例えば、スクリーン印刷等によってエポキシ系樹脂を第1基板27a又は第2基板27bの内側表面に環状に付着させることによって形成される。また、シール材28の内部には、導電性材料によって球状又は円筒状に形成された導通材29(図2参照)が分散状態で含まれる。
図2において、第1基板27aは透明なガラスや、透明なプラスチック等によって形成された板状の基材31aを有する。この基材31aの内側表面(図2の上側表面)には反射膜32が形成され、その上に絶縁膜33が積層され、その上に第一電極34aが矢印D方向から見てストライプ状(図1参照)に形成され、さらにその上に配向膜36aが形成される。また、基材31aの外側表面(図2の下側表面)には偏光板37aが貼着等によって装着される。
図1では第一電極34aの配列を分かり易く示すために、それらのストライプ間隔を実際よりも大幅に広く描いており、よって、第一電極34aの本数が少なく描かれているが、実際には、第一電極34aは図1に書かれた本数より多数本が基材31a上に形成される。第1基板27aが、電極基板又は対向基板に相当する。
図2において、第2基板27bは透明なガラスや、透明なプラスチック等によって形成された板状の基材31bを有する。この基材31bの内側表面(図2の下側表面)にはカラーフィルタ38が形成され、その上に第二電極34bが上記第一電極34aと直交する方向へ矢印D方向から見てストライプ状(図1参照)に形成され、さらにその上に配向膜36bが形成される。また、基材31bの外側表面(図2の上側表面)には偏光板37bが貼着等によって装着される。
図1では、第二電極34bの配列を分かりやすく示すために、第一電極34aの場合と同様に、それらのストライプ間隔を実際よりも大幅に広く描いており、よって、第二電極34bの本数が少なく描かれているが、実際には、第二電極34bは図1に書かれた本数より多数本が基材31b上に形成される。第2基板27bが、対向基板又は電極基板に相当する。
図2において、第1基板27a、第2基板27b及びシール材28によって囲まれる間隙、いわゆるセルギャップ内には液晶Lが封入されている。第1基板27a又は第2基板27bの内側表面には微小で球形のスペーサ39が多数分散され、これらのスペーサ39がセルギャップ内に存在することによりそのセルギャップの厚さが均一に維持される。
第一電極34aと第二電極34bとは互いに直交関係に配置され、それらの交差点は図2の矢印D方向から見てドット・マトリクス状に配列する。そして、そのドット・マトリクス状の各交差点が1つの画素ピクセルを構成する。カラーフィルタ38は、1つの画素ピクセルに1つの色要素53(図3参照)が重なるように色要素領域(図3参照)が形成されている。例えば三原色のカラーフィルタは、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の各色を矢印D方向から見て所定のパターン、例えば、ストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列等のパターンで配列させることによって形成されている。上記の1つの画素ピクセルはそれらR,G,又はBの色要素53の1つずつに対応している。そしてR,G,B3色の各1画素ピクセルから成る3画素ピクセルが1つのユニットになって画像を構成する最小単位(以降、「絵素」と表記する。)が構成される。
ドット・マトリクス状に配列される複数の画素ピクセル、従って絵素、を選択的に発光させることにより、液晶パネル22の第2基板27bの外側に文字、数字等といった像が表示される。このようにして像が表示される領域が有効画素領域であり、図1及び図2において矢印Vによって示される平面的な矩形領域が有効表示領域となっている。
図2において、反射膜32はAPC合金、Al(アルミニウム)等といった光反射性材料によって形成され、第一電極34aと第二電極34bとの交差点である各画素ピクセルに対応する位置に開口41が形成されている。結果的に、開口41は図2の矢印D方向から見て、画素ピクセルと同じドット・マトリクス状に配列されている。
第一電極34a及び第二電極34bは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの導電性材料からなり、適度な電気抵抗と透明性とを有するように成膜されている。膜厚はおよそ0.1μmである。また、配向膜36a及び36bは、ポリイミド系樹脂を一様な厚さの膜状に付着させることによって形成される。MVA方式の液晶表示装置においては、これらの配向膜36a及び36bによって、第一電極34aと第二電極34b間に電圧が印加されていない状態では、液晶Lの液晶分子La(図11参照)は、配向膜36a又は配向膜36bに略垂直に配向する。即ち、第1基板27a及び第2基板27bの表面に対して略垂直に配向する。
図1において、第1基板27aは第2基板27bよりも広い面積に形成されており、これらの基板をシール材28によって貼り合わせたとき、第1基板27aは第2基板27bの外側へ張り出す基板張出し部27cを有する。そして、この基板張出し部27cには、第一電極34aから延び出る引出し配線34c、シール材28の内部に存在する導通材29(図2参照)を介して第2基板27b上の第二電極34bと導通する引出し配線34d、液晶駆動用IC23aの入力用バンプ、すなわち入力用端子に接続される金属配線34e、そして液晶駆動用IC23bの入力用バンプに接続される金属配線34f等といった各種の配線が適切なパターンで形成される。
本実施形態では、第一電極34aから延びる引出し配線34c及び第二電極34bに導通する引出し配線34dはそれらの電極と同じ材料であるITO、すなわち導電性酸化物によって形成される。また、液晶駆動用IC23a及び23bの入力側の配線である金属配線34e及び34fは電気抵抗値の低い金属材料、例えばAPC合金によって形成される。APC合金は、主としてAgを含み、付随してPd及びCuを含む合金、例えば、Ag98%、Pd1%、Cu1%から成る合金である。
液晶駆動用IC23a及び液晶駆動用IC23bは、ACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)42によって基板張出し部27cの表面に接着されて実装されている。すなわち、本実施形態では基板上に半導体チップが直接に実装される構造の、いわゆるCOG(Chip On Glass)方式の液晶パネルとして形成されている。このCOG方式の実装構造においては、ACF42の内部に含まれる導電粒子によって、液晶駆動用IC23a及び23bの入力側バンプと金属配線34e及び34fとが導電接続され、液晶駆動用IC23a及び23bの出力側バンプと引出し配線34c及び34dとが導電接続される。
図1において、FPC24は、可撓性の樹脂フィルム43と、チップ部品44を含んで構成された回路46と、金属配線端子47aとを有する。回路46は樹脂フィルム43の表面に半田付けその他の導電接続手法によって直接に搭載される。また、金属配線端子47aはAPC合金、Cr、Cuその他の導電材料によって形成される。FPC24のうち金属配線端子47aが形成された部分は、第1基板27aのうち金属配線34e及び金属配線34fが形成された部分にACF42によって接続される。そして、ACF42の内部に含まれる導電粒子の働きにより、基板側の金属配線34e及び34fとFPC24側の金属配線端子47aとが導通する。
FPC24の反対側の辺端部には外部接続端子47bが形成され、この外部接続端子47bが図示しない外部回路に接続される。そして、この外部回路から伝送される信号に基づいて液晶駆動用IC23a及び23bが駆動され、第一電極34a及び第二電極34bの一方に走査信号が供給され、他方にデータ信号が供給される。これにより、有効表示領域V内に配列されたドット・マトリクス状の画素ピクセルが個々のピクセルごとに電圧制御され、その結果、液晶Lの配向が個々の画素ピクセルごとに制御される。
図1において、いわゆるバックライトとして機能する照明装置26は、図2に示すように、アクリル樹脂等によって構成された導光体12と、その導光体12の光出射面12bに設けられた拡散シート19と、導光体12の光出射面12bの反対面に設けられた反射シート14と、発光源としてのLED(Light Emitting Diode)16とを有する。
LED16はLED基板17に支持され、そのLED基板17は、例えば導光体12と一体に形成された支持部(図示せず)に装着される。LED基板17が支持部の所定位置に装着されることにより、LED16が導光体12の側辺端面である光取込み面12aに対向する位置に置かれる。なお、符号18は液晶パネル22に加わる衝撃を緩衝するための緩衝材を示している。
LED16が発光すると、その光は光取込み面12aから取り込まれて導光体12の内部へ導かれ、反射シート14や導光体12の壁面で反射しながら伝播する間に光出射面12bから拡散シート19を通して外部へ平面光として出射する。
本実施形態の液晶表示装置21は以上のように構成されているので、太陽光、室内光等といった外部光が十分に明るい場合には、図2において、第2基板27b側から外部光が液晶パネル22の内部へ取り込まれ、その光が液晶Lを通過した後に反射膜32で反射して再び液晶Lへ供給される。液晶Lはこれを挟持する第一電極34a及び第二電極34b間に印加する電圧によって画素ピクセルごとに配向制御されており、これによって、液晶Lへ供給された光は画素ピクセルごとに透過率が制御される。1絵素を構成するR,G,Bの各画素ピクセルの明るさによって、液晶パネル22の外部から視認される絵素の色が形成され、当該絵素の組み合わせで、液晶パネル22の外部に文字、数字等といった像が表示される。これにより、反射型の表示が行われる。
他方、外部光の光量が十分に得られない場合には、LED16が発光して導光体12の光出射面12bから平面光が出射され、その光が反射膜32に形成された開口41を通して液晶Lへ供給される。このとき、反射型の表示と同様にして、供給された光が配向制御される液晶Lによって画素ピクセルごとにそれぞれの透過率で透過し、これにより、外部へ像が表示される。これにより、透過型の表示が行われる。
次に、第2基板27bに形成されているカラーフィルタ38などのカラーフィルタの構成について説明する。図3(a)はカラーフィルタの一実施形態の平面構造を模式的に示している。また、図3(b)は、複数の第2基板が形成されたマザー基板の平面構造を模式的に示している。
カラーフィルタ50は、ガラス、プラスチック等の方形状の基板の表面に複数の色要素領域52(図4、図8(e)参照)をドットパターン状、本実施形態ではドット・マトリクス状に形成し、当該色要素領域52に色要素53を形成し、さらにその上に保護膜を積層することによって形成されている。なお、図3(a)は保護膜を取り除いた状態のカラーフィルタ50を平面的に示している。
上記カラーフィルタ50が形成された方形状のカラーフィルタ基板10は、例えば、図3(b)に示すような大面積のマザー基板1から切り出される。より詳細には、まず、マザー基板1内に設定された複数のカラーフィルタ形成領域11のそれぞれの表面にカラーフィルタ50の1個分のパターンを形成し、さらにそれらのカラーフィルタ形成領域11の周りに切断用の溝を形成する。さらに、それらの溝に沿ってマザー基板1を切断することにより、カラーフィルタ50が形成された方形状のカラーフィルタ基板10が形成される。
次に、色要素の配列について説明する。色要素53は、透光性のない樹脂材料によって格子状のパターンに形成された隔壁56によって区画されてドット・マトリクス状に並んだ複数の例えば方形状の色要素領域52を色材で埋めることによって形成される。図4は、色要素の配列例を示す平面図である。図4(a)は、4色フィルタの配列例を、図4(b),(c)は、6色フィルタの配列例を示している。この配列としては、例えば、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等が知られている。ストライプ配列は、マトリクスの縦列が全て同色の色要素53になる配列である。モザイク配列は、横方向の各行ごとに色要素53一つ分だけ色をずらした配列で、3色フィルタの場合、縦横の直線上に並んだ任意の3つの色要素53が3色となる配列である。そして、デルタ配列は、色要素53の配置を段違いにし、3色フィルタの場合、任意の隣接する3つの色要素53が異なる色となる配色である。
図4(a)に示した4色フィルタにおいて、色要素53は、それぞれが、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)、W(無色透明)のうちのいずれか1色の色材によって形成されている。隣あって形成されたR(赤色)、G(緑色)、B(青色)、W(無色透明)の色要素53R,53G,53B,53Wを各1個づつ含む色要素53の組で、画像を構成する最小単位である絵素のフィルタ(以降、「絵素フィルタ」と表記する。)を形成している。1絵素フィルタ内の色要素53R,53G,53B,53Wのいずれか1つ又はそれらの組み合わせに光を選択的に通過させることにより、フルカラー表示を行う。このとき、透光性のない樹脂材料によって形成された隔壁56はブラックマトリクスとして作用する。図4(a)に示した4色フィルタにおいては、それらの絵素フィルタ54がストライプ配列で配列されている。
図4(b)に示した6色フィルタにおいて、色要素53は、それぞれが、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)、C(シアン又は青緑色)、M(マゼンダ又は紫赤色)、Y(イエロー又は黄色)のうちのいずれか1色の色材によって形成されている。隣あって形成されたR(赤色)、G(緑色)、B(青色)、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)の色要素53R,53G,53B,53C,53M,53Yを各1個づつ含む色要素53の組で、一つの絵素に対応する絵素フィルタ57を形成している。光の三原色であるR(赤色)、G(緑色)、B(青色)が横(図4に示したX方向)一列に配置されており、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の補色であるC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)がそれぞれ補色の関係にある色と隣接するように配置されている。1絵素フィルタ内の色要素53R,53G,53B,53C,53M,53Yのいずれか1つ又はそれらの組み合わせに光を選択的に通過させることにより、フルカラー表示を行う。図4(b)に示した6色フィルタにおいては、それらの絵素フィルタ57がストライプ配列されている。図4(c)に示した6色フィルタにおいては、それらの絵素フィルタ57が、モザイク配列で配列されている。
図4(b)又は(c)に示した6色フィルタにおいて、光の三原色であるR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の補色であるC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)の色要素53C,53M,53Yの面積は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色要素53R,53G,53Bの面積より小さくなっている。これは、色要素によって同じ光源であっても出力光の明るさが異なることを、色要素53の面積で補正するためである。1個の色要素53の大きさは、例えば、30μm×100μm、又は30μm×60μmと30μm×20μmである。また、色要素53の間の間隔、いわゆるエレメント間ピッチは、例えば、45μmである。
次に、上記カラーフィルタ50などのカラーフィルタの形成に用いられる液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状材料に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えないなどの利点を有する。本実施形態では、液状材料選択の自由度の高さ、及び液滴の制御性の良さの点から上記ピエゾ方式を用いる。
次に、本発明に係るデバイスを液滴吐出法によって製造する際に用いられるデバイス製造装置の液滴吐出ヘッドについて説明する。このデバイス製造装置は、液滴吐出ヘッドから基板に対して液滴を吐出(滴下)することによりデバイスを製造する液滴吐出装置(インクジェット装置)である。図5は、液滴吐出ヘッドの外観の概要を示す図である。図5(a)は、液滴吐出ヘッドの外観の概要を示す斜視図であり、図5(b)は、ノズルの配列を示す図である。図5(a)に示すように、液滴吐出ヘッド62は、例えば、複数の吐出ノズル67が配列されてなるノズル列68を有する。吐出ノズル67の数は例えば180であり、吐出ノズル67の孔径は例えば28μmであり、吐出ノズル67のピッチは例えば141μmである(図5(b)参照)。図5(a)に示す基準方向Sは、基板上の任意の位置に液滴を着弾させるために液滴吐出ヘッド62が基板に対して相対移動する際の主走査方向を示し、配列方向Tはノズル列68における吐出ノズル67の配列方向を示している。
図6(a)は、液滴吐出ヘッドの構造を示す斜視図であり、図6(b)は、液滴吐出ヘッドの吐出ノズル部の詳細構造を示す断面図である。図6(a)及び(b)に示すように、それぞれの液滴吐出ヘッド62は、振動板73と、ノズルプレート74とを、備えている。振動板73と、ノズルプレート74との間には、液状材料タンク(図示省略)から孔77を介して供給される材料液が常に充填される液たまり75が位置している。また、振動板73と、ノズルプレート74との間には、複数のヘッド隔壁71が位置している。そして、振動板73と、ノズルプレート74と、1対のヘッド隔壁71とによって囲まれた空間がキャビティ70である。キャビティ70は吐出ノズル67に対応して設けられているため、キャビティ70の数と吐出ノズル67の数とは同じである。キャビティ70には、1対のヘッド隔壁71間に位置する供給口76を介して、液たまり75から材料液が供給される。
振動板73上には、それぞれのキャビティ70に対応して、振動子72が位置する。振動子72は、ピエゾ素子72cと、ピエゾ素子72cを挟む1対の電極72a、72bとから成る。この1対の電極72a、72bに駆動電圧を与えることで、対応する吐出ノズル67から液状材料が液滴となって吐出される。吐出ノズル67から吐出される液状材料の一部がノズルプレート74に付着することを抑制するために、ノズルプレート74の外面は、液状材料に対して撥液性を有する撥液処理層2Pが形成されている。
制御装置(図示省略)は、ピエゾ素子72cへの印加電圧の制御、すなわち駆動信号を制御することにより、複数の吐出ノズル67のそれぞれに対して、液状材料の吐出制御を行う。より詳細には、吐出ノズル67から吐出される液滴の体積や、単位時間あたりに吐出する液滴の数、基板上に着弾した液滴同士の距離などを変化させることができる。例えば、ノズル列68に並ぶ複数の吐出ノズル67の中から、液滴を吐出させる吐出ノズル67を選択的に使用することにより、配列方向Tの方向では、ノズル列68の長さの範囲であって吐出ノズル67のピッチ間隔で、複数の液滴を同時に吐出することができる。基準方向Sの方向では、基板上に着弾した液滴同士の距離を、当該液滴を吐出する吐出ノズル67ごとに個別に変化させることができる。なお、吐出ノズル67のそれぞれから吐出される液滴の体積は、1pl〜300pl(ピコリットル)の間で可変である。
<カラーフィルタ基板の製造方法>
次に、カラーフィルタ基板の製造工程について図7および図8を参照して説明する。図7はカラーフィルタ基板の製造工程を示すフローチャートであり、図8(a)〜(g)はカラーフィルタ基板の製造過程を示す模式断面図である。
図7に示したように、本実施形態のカラーフィルタ基板10の製造方法は、ガラス基板81(マザー基板1:図3参照)の表面が撥液性を有するように表面処理する撥液化処理工程(ステップS1)と、隔壁56を形成する領域に対応するガラス基板81の撥液化処理された表面が親液性を有するように表面処理する親液化処理工程(ステップS2)とを備えている。また、ガラス基板81上に複数の色要素領域52を区画するように隔壁部を形成する工程(ステップS3)と、複数の色要素領域52に異なる色要素形成材料を含む機能液を吐出して複数種の色要素53を形成する色要素形成工程(ステップS6)を備えている。
図7のステップS1は、撥液化処理工程である。ステップS1では、図8(a)に示すように、ガラス基板81の表面に薄膜86を形成して撥液性を付与する。薄膜86の形成方法としては、撥液性を有する材料としてFAS(フッ化アルキルシラン)またはHMDS(ヘキサメチルジシラン)を用いて、ほぼ単分子膜からなる薄膜86を形成する。より詳細には、ガラス基板81の表面に自己組織化膜を形成する方法等を採用できる。
自己組織膜形成法では、ガラス基板81の表面に、有機分子膜などからなる自己組織化膜を形成する。有機分子膜は、ガラス基板81に結合可能な官能基と、その反対側に表面性を改質する(表面エネルギーを制御する)撥液基としての官能基と、これらの官能基を結ぶ炭素の直鎖あるいは一部分岐した炭素鎖とを備えており、ガラス基板81に結合して自己組織化して分子膜、例えば単分子膜を形成する。
ここで、自己組織化膜とは、ガラス基板81の下地層等の構成原子と反応可能な結合性官能基とそれ以外の直鎖分子とからなり、直鎖分子の相互作用により極めて高い配向性を有する化合物を、配向させて形成された膜である。この自己組織化膜は、単分子を配向させて形成されているので、極めて膜厚を薄くすることができ、しかも、分子レベルで均一な膜となる。すなわち、膜の表面に同じ分子が位置するため、膜の表面に均一でしかも優れた撥液性を付与することができる。
上記の高い配向性を有する化合物として、例えばフルオロアルキルシランを用いることにより、膜の表面にフルオロアルキル基が位置するように各化合物が配向されて自己組織化膜が形成され、膜の表面に均一な撥液性が付与される。自己組織化膜を形成する化合物としては、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン(以下、「FAS」と表記する。)を例示できる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、FASを用いることにより、ガラス基板81との密着性と良好な撥液性とを得ることができる。
FASは、一般的に構造式RnSiX(4−n)で表される。ここでnは1以上3以下の整数を表し、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子などの加水分解基である。またRはフルオロアルキル基であり、(CF3)(CF2)x(CH2)yの(ここでxは0以上10以下の整数を、yは0以上4以下の整数を表す)構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでもよく、異なっていてもよい。Xで表される加水分解基は加水分解によりシラノールを形成して、ガラス基板81の下地のヒドロキシル基と反応してシロキサン結合でガラス基板81と結合する。一方、Rは表面に(CF2)等のフルオロ基を有するため、ガラス基板81の下地表面を濡れ難い(表面エネルギーが低い)表面に改質する。
有機分子膜などからなる自己組織化膜は、上記の原料化合物とガラス基板81とを同一の密閉容器中に入れておき、室温で2〜3日程度の間放置することによりガラス基板81上に形成される。また、密閉容器全体を100℃に保持することにより、3時間程度でガラス基板81上に形成される。これらは気相からの形成法であるが、液相からも自己組織化膜を形成できる。例えば、原料化合物を含む溶液中にガラス基板81を浸積し、洗浄、乾燥することでガラス基板81上に自己組織化膜が形成される。なお、自己組織化膜を形成する前に、ガラス基板81表面に紫外光を照射したり、溶媒により洗浄したりして、ガラス基板81表面の前処理を施すことが望ましい。
図7のステップS2は、親液化処理工程である。ステップS2では、図8(b)に示すように、撥液化処理された表面86aにレーザ光を照射して親液性を付与する。レーザ光が照射された部位では、シロキサン結合が切れて水酸基と結合した状態となり、親液性が付与される。この場合、レーザ照射する範囲は、図8(c)に示すように、隔壁56を形成する領域86bである。
なお、照射するレーザ光としては、発熱を生じさせる波長帯域を有するものが望ましく、例えば、赤外域(0.7〜10μm)に波長帯域を有するものが好適である。このようなレーザ光源として、例えば、Nd:YAGレーザ(1.064μm)、CO2レーザ(10.6μm)などを用いることができる。そして、これらのレーザ光源と少なくともX,Y方向に移動可能なテーブルとを備えたレーザ照射装置により、テーブルにガラス基板81を載置して領域86bを描画するようにレーザ光を照射して親液化処理を行う。
また、FASなどからなる薄膜86を親液化処理する方法としては、親液化する領域86b以外をマスクで覆い、UV(紫外光)を照射する方法も採用することができる。
図7のステップS3は、隔壁部形成工程である。ステップS3では、図8(d)に示すように、上述した液滴吐出ヘッド62(図5及び図6参照)を用い、隔壁56を形成する。上述したように液滴吐出ヘッド62は、液状体を液滴としてノズルから吐出可能であり、液状体として隔壁部形成材料を含む機能液56aを吐出して隔壁56を形成する。
より具体的には、隔壁56を形成する領域86bに順次液滴吐出ヘッド62が対向するように位置決めし、機能液56aを液滴として吐出し着弾させて濡れ広げる。そして、これを乾燥させる工程を繰り返すことにより堆積させ隔壁56を形成する。この場合、隔壁56の高さは、例えば、およそ1.5μmである。なお、機能液56aとしては、隔壁形成材料としてフェノール系樹脂等を含んだ溶液を用いることができる。
次に、ステップS4では、形成した隔壁56を焼成処理する。次に、ステップS5では、図8(e)に示すように、隔壁56が形成されたガラス基板81に残存する薄膜86を除去する工程を行う。薄膜86は、FASなどからなる単分子膜であり、およそ300℃にガラス基板81を加熱することにより昇華させて除去することが可能である。また、除去後のガラス基板81の表面81aを親液化処理することも可能である。なお、加熱以外の薄膜86の除去方法としては、UV照射やO2プラズマ処理等を採用することができる。ガラス基板81全体を加熱することで、ステップS4とステップS5とを同時に実行することもできる。
図7のステップS6は、色要素形成工程である。ステップS6では、図8(f)に示すように、隔壁56によって形成された複数の色要素領域52のそれぞれに色要素形成材料を含む機能液53aを液滴吐出ヘッド62から液滴として吐出し乾燥することによって、色要素53を形成する。この場合、乾燥後の色要素53の膜厚が隔壁56の高さ(およそ1.5μm)とほぼ同じになるように機能液53aの吐出回数を各色要素領域ごとに調整して吐出する。勿論、異なる色の各色要素53が形成される各色要素領域52に対して異なる色要素材料を含む機能液53a吐出する。例えば、上述した6色フィルタ(図4(b),(c)参照)であれば、異なる色の各色要素53R,53G,53B,53C,53M,53Yが形成される各色要素領域52に対応して異なる色要素材料を含む6種の機能液53aを液滴吐出ヘッド62に順次充填して吐出する。あるいは、複数の液滴吐出ヘッド62を用意し、それぞれに異なる色要素材料を含む機能液53aを充填して吐出してもよい。
次に、ステップS7では、色要素領域52に向けて吐出され、色要素領域52内に配置された機能液53aを、乾燥若しくは低温(例えば60℃)での焼成によるプレベーク(仮焼成)を行うことによって、仮固化若しくは仮硬化する。
次に、ステップS8では、色要素の全色について機能液53aの吐出及び仮焼成が終了したか否かを判定する。色要素の全色について機能液53aの吐出及び仮焼成が終了していない場合(ステップS8でNO)には、ステップS6に戻り、機能液53aの色要素領域52に向けての吐出(ステップS6)、及び色要素領域52内に配置された機能液53aの仮焼成(ステップS7)を繰り返して実行する。全色について機能液53aの吐出及び仮焼成が終了していた場合(ステップS8でYES)には、ステップS9に進む。なお、1色の色要素毎に個別に、機能液53aの色要素領域52に向けての吐出(ステップS6)、及び色要素領域52内に配置された機能液53aの仮焼成(ステップS7)を実行してもよいし、最初に全色について機能液53aの色要素領域52に向けての吐出(ステップS6)を実行し、次に色要素53の仮焼成(ステップS7)を全色について一度に実行してもよい。
次に、ステップS9では、上記のようにして構成されたカラーフィルタ基板10を検査し、不良の有無を判定する。この検査は、例えば、肉眼若しくは顕微鏡等で、上記隔壁56及び色要素53を観察する。この場合、カラーフィルタ基板10を撮影し、その撮影画像に基づいて自動的に検査を行ってもよい。ここで、色要素53の欠陥とは、色要素53が欠如している場合(いわゆるドット抜け)、色要素53が形成されているが、色要素領域52内に配置された機能液53aの量(体積)が多すぎたり少なすぎたりして不適切である場合、色要素53が形成されているが、塵埃等の異物が混入していたり付着していたりする場合などである。
この検査によって、色要素53に欠陥が見つかった場合(ステップS9でNO)には、そのカラーフィルタ基板10を別工程の基体再生工程に移行させ、カラーフィルタ基板の製造工程を終了する。
上記検査において表示素材に欠陥が発見されなかった場合(ステップS9でYES)には、ステップS10に進む。ステップS10では、仮焼成された色要素53をベーク(焼成)処理して、色要素53を完全に固化若しくは硬化させる。例えば、200℃程度の温度で焼成処理を行い、カラーフィルタ基板10の各色要素53R,53G,53B,53C,53M,53Yを完全に固化若しくは硬化させる。この焼成処理の温度は機能液53aの組成等によって適宜に決定できる。また、特に高温に加熱することなく、単に通常とは異なる雰囲気(窒素ガス中や乾燥空気中等)などで乾燥若しくはエージングさせるだけでもよい。最後に、図8(g)に示すように、色要素53の上に透明な保護層87を形成し、カラーフィルタ基板の製造工程を終了する。
次に、液晶表示装置の製造工程について説明する。図1及び図2を参照して説明した液晶表示装置21は、例えば、図9に示す製造工程を実行することによって製造される。図9は、液晶表示装置の製造工程を示すフローチャートである。図9に示した製造工程において、ステップS21からステップS26の一連の工程が第1基板27aを形成する工程であり、ステップS31からステップS34の一連の工程が第2基板27bを形成する工程である。第1基板形成工程と第2基板形成工程は、通常、それぞれが独自に行われる。
まず、第1基板形成工程について説明する。図9のステップS21では、透光性ガラス、透光性プラスチック等によって形成された大面積のマザー原料基材の表面に液晶パネル22の複数個分の反射膜32(図2参照)をフォトリソグラフィー法等を用いて形成し、さらにその上に絶縁膜33(図2参照)を周知の成膜法を用いて形成する。
次に、ステップS22では、フォトリソグラフィー法や上述した液滴吐出法等を用いて第一電極34a(図1,2参照)及び引出し配線34c,34d,金属配線34e,34f(図1,2参照)を形成する。
次に、ステップS23では、フォトリソグラフィー法や上述した液滴吐出法等を用いて配向規制手段として作用する突起82a(図11参照)を形成する。
次に、ステップS24では、塗布、印刷等によって、第一電極34a及び突起82aの上に配向膜36aを形成する。配向膜36aによって、電極に電圧が印加されていない状態において、液晶Lの液晶分子Laは、配向膜36aの面に垂直に配向する。即ち、液晶表示装置21の表示面に対して垂直な方向に配向する(図11参照)。
次に、ステップS25では、例えばスクリーン印刷等によってシール材28を環状に形成する。次に、ステップS26では、環状に形成されたシール材28に囲まれた領域に球状のスペーサ39を分散する。以上により、液晶パネル22の第1基板27a上のパネルパターンを複数個分有する大面積のマザー第1基板が形成される。
以上の第1基板形成工程とは別に、第2基板形成工程を実施する。図10(a)〜(c)は、第2基板の形成過程を示す模式断面図である。図9のステップS31では、透光性ガラス、透光性プラスチック等によって形成された大面積のマザー原料基材(マザー基板1:図3参照)を用意し、その表面に液晶パネル22の複数個分のカラーフィルタ38を
形成する。このカラーフィルタの形成工程は図7及び図8を参照して説明したカラーフィルタ基板10の製造工程と同様である。
ステップS31を実行して、図8(f)に示したようにマザー基板1すなわちマザー原料基材の上にカラーフィルタ50すなわちカラーフィルタ38が形成される。次に、ステップS32では、フォトリソグラフィー法などによって、図10(a)に示したような第二電極34bが形成される。
次に、ステップS33では、フォトリソグラフィー法や上述した液滴吐出法等を用いて、配向規制手段として作用する図10(b)に示したような突起82b(図11参照)を形成する。
次に、ステップS34では、図10(c)に示したように、第二電極34b及び突起82bの上に塗布、印刷等によって配向膜36bを形成する。配向膜36aによって、電極に電圧が印加されていない状態において、液晶Lは、配向膜36aの面に垂直に配向する。即ち、液晶表示装置21の表示面に対して垂直な方向に配向する。以上により、液晶パネル22の第2基板27b上のパネルパターンを複数個分有する大面積のマザー第2基板が形成される。
大面積のマザー第1基板及びマザー第2基板が形成された後、ステップS41では、マザー第1基板に環状に形成されたシール材28に囲まれた領域に適量の液晶Lを注入する。
次に、ステップS42では、マザー第1基板とマザー第2基板とをシール材28を間に挟んでアライメント、すなわち位置合わせした上で互いに貼り合わせる。これにより、液晶パネル複数個分のパネル部分を含むパネル構造体が形成される。ステップS41とステップS42とは、略真空中で実行されることで、マザー第1基板とマザー第2基板との間でシール材28に囲まれた空間には、空気などが侵入することなく、液晶Lのみが充填される。
次に、ステップS43では、完成したパネル構造体の所定位置にスクライブ溝、すなわち切断用溝を形成し、さらにそのスクライブ溝を基準にしてパネル構造体をブレイク、すなわち分割する。これにより、複数個の液晶パネル22が個々に切り出される。次に、ステップS44では、個々の液晶パネル22を洗浄し、ステップS45では、個々の液晶パネル22に対して図1に示すように、液晶駆動用IC23a,23bを実装し、照明装置26をバックライトとして装着し、さらにFPC24を接続することにより、目標とする液晶表示装置21が完成する。
次に、突起82a及び突起82bによる液晶Lの配向方向規制について説明する。図11は、駆動電圧が印加されていない時の液晶の配向方向を示す液晶パネルの断面図である。上述したように、第1基板27aは、基材31a上に、第一電極34a、突起82a、配向膜36aが形成されている。なお、反射膜32及び絶縁膜33は、液晶の配向には影響しないため、図11では図示省略した。第2基板27bは、基材31b上に、隔壁56と色要素53が形成されており、隔壁56と色要素53との上に第二電極34b、突起82b、配向膜36bが形成されている。第1基板27aと第2基板27bとは、配向膜36aと配向膜36bとが隙間を隔てて対向するように貼り合わされており、配向膜36aと配向膜36bとの間の隙間に液晶Lが充填されている。
図11に示すように、第一電極34aと第二電極34bとの間に駆動電圧が印加されていない状態の液晶パネル22において、液晶Lの液晶分子Laは、配向膜36a又は配向膜36bに垂直に配向する。即ち、突起82aや突起82b以外の、配向膜36a又は配向膜36bが平坦な部分では、基材31a及び基材31bの面に垂直に配向する。以下、基材31a及び基材31bの面に垂直な方向を「パネル面垂直方向」と表記し、「パネル面垂直方向」に直角な基材31a及び基材31bの面に平行な方向を「パネル面方向」と表記する。液晶分子Laは、突起82aや突起82bの部分では、それぞれの突起の面に対して垂直に配向する。突起82aや突起82bの側面などに垂直に配向した液晶分子Laは、パネル面垂直方向に対して傾いて配向している。液晶分子Laがパネル面垂直方向に配向することで、液晶層は光を透過させない。
第一電極34aと第二電極34bとの間に所定の駆動電圧が印加されると、液晶分子Laは、電界の方向に対して略垂直となるように倒れる。液晶分子Laが、略パネル面方向に配向することで、液晶層を光が透過する。印加された電圧が低く電界の強さが弱い場合は、パネル面垂直方向とパネル面方向の間の電界の強さに応じた角度に配向する。この配向角度を調整することで、透過光量を調整し、画素の明るさを調整する。絵素を構成する各画素の明るさを調整することで、絵素の色を形成する。
第一電極34aと第二電極34bとの間に所定の駆動電圧が印加されると、突起82aや突起82bの側面などに垂直に配向することでパネル面垂直方向に対して傾いて配向している液晶分子Laは、最初に傾いていた方向に倒れる。傾いて配向していた液晶分子Laに隣接する他の液晶分子Laも影響を受けて同じ方向に倒れる。図11の領域E1の範囲の液晶分子Laは同じ方向に倒れ、領域E2の範囲の液晶分子Laは、領域E1の範囲の液晶分子Laが倒れた方向とは異なる方向で、同一方向に倒れる。したがって、駆動電圧が印加されたときに、突起82a又は突起82bを境にして駆動電圧が印加されたときに液晶分子Laが倒れる方向が異なる領域が形成される。すなわち、突起82a又は突起82bによって複数に分割され配向方向制御された色要素領域52では、異なる視角依存性を有することになるため、液晶パネル22の視角特性はより広視野角となる。突起82aまたは突起82bが、配向規制手段に相当する。
次に、突起82a及び突起82bの延在方向について説明する。図12は、4色フィルタの1絵素における突起の延在方向を示す平面図である。上述した図11は、図12にB−Bで示した断面の断面図である。
図12に示すように、一つの絵素は、対応する色要素53が光の三原色の赤色、緑色、青色である色要素53R(赤色)、色要素53G(緑色)、及び色要素53B(青色)である画素と、対応する色要素53が無色透明である色要素53Wである画素とで構成されている。対応する色要素53が色要素53Rである画素に形成された突起82aには、延在方向が異なる突起821aと突起822aの2種類がある。突起821aと突起822aとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。ここで、図12に示したように、1絵素を構成する4種類の色要素53である色要素53R、色要素53G、色要素53B、色要素53Wの並び方向をX方向と表記する。突起821aは、X方向に対してθ1度傾いた方向に延在しており、突起822aは、X方向に対して−θ1度傾いた方向に延在している。同様に、対応する色要素53が色要素53Rである画素に形成された突起82bには、延在方向が異なる突起821bと突起822bの2種類がある。突起821bは、X方向に対してθ1度傾いた方向に延在しており、突起822bは、X方向に対して−θ1度傾いた方向に延在している。突起821bと突起822bとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。突起82a又は突起82bが延在するX方向に対してθ1度傾いた方向又はX方向に対して−θ1度傾いた方向が、第一の延在方向又は第二の延在方向に相当する。
対応する色要素53が1絵素を構成する他の色要素53であるところの色要素53G、色要素53B、色要素53Wである画素に形成された突起82aも、それぞれの色要素53毎に、延在方向が異なる突起823aと突起824a、突起825aと突起826a、突起82Vaと突起82Wa、の2種類がある。色要素53が色要素53G、色要素53B、色要素53Wである画素に形成された突起82bも、それぞれの色要素53毎に、延在方向が異なる突起823bと突起824b、突起825bと突起826b、突起82Vbと突起82Wb、の2種類がある。突起823a、突起824a、突起825a、突起826a、突起82Va、突起82Waは、X方向に対してそれぞれθ2度、−θ2度、θ3度、−θ3度、θ4度、−θ4度、傾いた方向に延在しており、それぞれ長さの異なるものが複数ある。突起823b、突起824b、突起825b、突起826b、突起82Vb、突起82Wbは、X方向に対してそれぞれθ2度、−θ2度、θ3度、−θ3度、θ4度、−θ4度、傾いた方向に延在しており、それぞれ長さの異なるものが複数ある。1絵素を構成する各色要素53R、色要素53G、色要素53B、色要素53Wを有する画素において、突起82aと突起82bとの延在方向は、色要素53の色に対応してそれぞれ異なっている。突起82a又は突起82bが延在するX方向に対してθ2度、θ3度、又はθ4度傾いた方向又はX方向に対して−θ2度、−θ3度、又は−θ4度傾いた方向が、第一の延在方向又は第二の延在方向に相当する。
次に、6色フィルタの突起82a及び突起82bの延在方向の一例について説明する。図13は、6色フィルタの1絵素における突起の延在方向を示す平面図である。図13にC−Cで示した断面における断面形状は、上述した図11に示した断面図の形状と実質的に同等である。
図13に示すように、一つの絵素は、対応する色要素53が光の三原色である色要素53R、色要素53G、及び色要素53Bである画素と、対応する色要素53が光の三原色の補色である色要素53C、色要素53M、及び色要素53Yである画素とで構成されている。対応する色要素53が色要素53Rである画素に形成された突起82aには、延在方向が異なる突起821aと突起822aの2種類がある。突起821aと突起822aとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。ここで、図12に示した4色フィルタと同様に、1絵素を構成する6種類の色要素53の中の3色である色要素53R、色要素53G、色要素53B、又は色要素53C、色要素53M、色要素53Yの並び方向をX方向と表記する。突起821aは、X方向に対してθ1度傾いた方向に延在しており、突起822aは、X方向に対して−θ1度傾いた方向に延在している。同様に、対応する色要素53が色要素53Rである画素に形成された突起82bには、延在方向が異なる突起821bと突起822bの2種類がある。突起821bは、X方向に対してθ1度傾いた方向に延在しており、突起822bは、X方向に対して−θ1度傾いた方向に延在している。突起821bと突起822bとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。
対応する色要素53が1絵素を構成する他の色要素53であるところの色要素53G、色要素53B、色要素53C、色要素53M、色要素53Yである画素に形成された突起82aも、それぞれの色要素53毎に、延在方向が異なる突起823aと突起824a、突起825aと突起826a、突起827aと突起828a、突起829aと突起820a、突起82Jaと突起82Ka、の2種類がある。色要素53が色要素53G、色要素53B、色要素53C、色要素53M、色要素53Yである画素に形成された突起82bも、それぞれの色要素53毎に、延在方向が異なる突起823bと突起824b、突起825bと突起826b、突起827bと突起828b、突起829bと突起820b、突起82Jbと突起82Kb、の2種類がある。
突起823a、突起824a、突起825a、突起826a、突起827a、突起828a、突起829a、突起820a、突起82Ja、突起82Kaは、X方向に対してそれぞれθ2度、−θ2度、θ3度、−θ3度、θ5度、−θ5度、θ6度、−θ6度、θ7度、−θ7度傾いた方向に延在しており、それぞれ長さの異なるものが複数ある。突起823b、突起824b、突起825b、突起826b、突起827b、突起828b、突起829b、突起820b、突起82Jb、突起82Kbは、X方向に対してそれぞれθ2度、−θ2度、θ3度、−θ3度、θ5度、−θ5度、θ6度、−θ6度、θ7度、−θ7度傾いた方向に延在しており、それぞれ長さの異なるものが複数ある。1絵素を構成する色要素53R、色要素53G、色要素53B、色要素53C、色要素53M、色要素53Yを有する画素において、突起82aと突起82bとの延在方向は、色要素53の色に対応してそれぞれ異なっている。突起82a又は突起82bが延在するX方向に対してθ1度、θ2度、θ3度、θ5度、θ6度、又はθ7度傾いた方向又はX方向に対して−θ1度、−θ2度、−θ3度、−θ5度、−θ6度、又は−θ7度傾いた方向が、第一の延在方向又は第二の延在方向に相当する。
次に、6色フィルタの突起82a及び突起82bの延在方向の他の一例について説明する。図14は、6色フィルタの1絵素における突起の延在方向を示す平面図である。図14にD−Dで示した断面における断面形状は、上述した図11に示した断面図の形状と実質的に同等である。
図14に示すように、一つの絵素は、対応する色要素53が光の三原色である色要素53R、色要素53G、及び色要素53Bである画素と、対応する色要素53が光の三原色の補色である色要素53C、色要素53M、及び色要素53Yである画素とで構成されている。対応する色要素53が色要素53R又は色要素53Cである画素に形成された突起82aには、延在方向が異なる突起821aと突起822aの2種類がある。ここで、図12に示した4色フィルタと同様に、1絵素を構成する6種類の色要素53の中の3色である色要素53R、色要素53G、色要素53B、又は色要素53C、色要素53M、色要素53Yの並び方向をX方向と表記する。突起821aは、X方向に対してθ1度傾いた方向に延在しており、突起822aは、X方向に対して−θ1度傾いた方向に延在している。突起821aと突起822aとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。同様に、対応する色要素53が色要素53R又は色要素53Cである画素に形成された突起82bには、延在方向が異なる突起821bと突起822bの2種類がある。突起821bは、X方向に対してθ1度傾いた方向に延在しており、突起822bは、X方向に対して−θ1度傾いた方向に延在している。突起821bと突起822bとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。
対応する色要素53が色要素53G又は色要素53Mである画素に形成された突起82aには、延在方向が異なる突起823aと突起824aの2種類がある。突起823aは、X方向に対してθ2度傾いた方向に延在しており、突起824aは、X方向に対して−θ2度傾いた方向に延在している。突起823aと突起824aとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。同様に、対応する色要素53が色要素53G又は色要素53Mである画素に形成された突起82bには、延在方向が異なる突起823bと突起824bの2種類がある。突起823bは、X方向に対してθ2度傾いた方向に延在しており、突起824bは、X方向に対して−θ2度傾いた方向に延在している。突起823bと突起824bとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。
対応する色要素53が色要素53B又は色要素53Yである画素に形成された突起82aには、延在方向が異なる突起825aと突起826aの2種類がある。突起825aは、X方向に対してθ3度傾いた方向に延在しており、突起826aは、X方向に対して−θ3度傾いた方向に延在している。突起825aと突起826aとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。同様に、対応する色要素53が色要素53B又は色要素53Yである画素に形成された突起82bには、延在方向が異なる突起825bと突起826bの2種類がある。突起825bは、X方向に対してθ3度傾いた方向に延在しており、突起826bは、X方向に対して−θ3度傾いた方向に延在している。突起825bと突起826bとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。突起82a又は突起82bが延在するX方向に対してθ1度、θ2度、又はθ3度傾いた方向又はX方向に対して−θ1度、−θ2度、又は−θ3度傾いた方向が、第一の延在方向又は第二の延在方向に相当する。
対応する色要素53が三原色である色要素53R、色要素53G、色要素53Bである画素において、突起82aと突起82bとの延在方向は、色要素53の色に対応してそれぞれ異なっている。対応する色要素53が三原色の補色である色要素53C、色要素53M、色要素53Yである画素において、突起82aと突起82bとの延在方向は、色要素53の色に対応してそれぞれ異なっている。
次に、6色フィルタの突起82a及び突起82bの延在方向の別の一例について説明する。図15は、6色フィルタの1絵素における突起の延在方向を示す平面図である。図15にE−Eで示した断面における断面形状は、上述した図11に示した断面図の形状と実質的に同等である。
図15に示すように、一つの絵素は、対応する色要素53が光の三原色である色要素53R、色要素53G、及び色要素53Bである画素と、対応する色要素53が光の三原色の補色である色要素53C、色要素53M、及び色要素53Yである画素とで構成されている。対応する色要素53が光の三原色である色要素53R、色要素53G、又は色要素53Bである画素に形成された突起82aには、延在方向が異なる突起821aと突起822aの2種類がある。ここで、図12に示した4色フィルタと同様に、1絵素を構成する6種類の色要素53の中の3色である色要素53R、色要素53G、色要素53B、又は色要素53C、色要素53M、色要素53Yの並び方向をX方向と表記する。突起821aは、X方向に対してθ1度傾いた方向に延在しており、突起822aは、X方向に対して−θ1度傾いた方向に延在している。突起821aと突起822aとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。同様に、対応する色要素53が色要素53R、色要素53G、又は色要素53Bである画素に形成された突起82bには、延在方向が異なる突起821bと突起822bの2種類がある。突起821bは、X方向に対してθ1度傾いた方向に延在しており、突起822bは、X方向に対して−θ1度傾いた方向に延在している。突起821bと突起822bとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。
対応する色要素53が光の三原色の補色である色要素53C、色要素53M、又は色要素53Yである画素に形成された突起82aには、延在方向が異なる突起827aと突起828aの2種類がある。突起827aは、X方向に対してθ5度傾いた方向に延在しており、突起828aは、X方向に対して−θ5度傾いた方向に延在している。突起827aと突起828aとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。同様に、対応する色要素53が色要素53C、色要素53M、又は色要素53Yである画素に形成された突起82bには、延在方向が異なる突起827bと突起828bの2種類がある。突起827bは、X方向に対してθ5度傾いた方向に延在しており、突起828bは、X方向に対して−θ5度傾いた方向に延在している。突起827bと突起828bとは、それぞれ長さの異なるものが複数ある。突起82a又は突起82bが延在するX方向に対してθ1度又はθ5度傾いた方向又はX方向に対して−θ1度又は−θ5度傾いた方向が、第一の延在方向又は第二の延在方向に相当する。
対応する色要素53が色要素53Rである画素と、対応する色要素53が色要素53Rと互いに補色の関係である色要素53Cである画素とにおいて、突起82aと突起82bとの延在方向は、それぞれ異なっている。対応する色要素53が色要素53Gである画素と、対応する色要素53が色要素53Gと互いに補色の関係である色要素53Mである画素とにおいて、突起82aと突起82bとの延在方向は、それぞれ異なっている。対応する色要素53が色要素53Bである画素と、対応する色要素53が色要素53Bと互いに補色の関係である色要素53Yである画素とにおいて、突起82aと突起82bとの延在方向は、それぞれ異なっている。
次に、配向規制手段の他の形状の一例である溝状の配向規制手段について説明する。図16は、液晶層と接する面に凹部が形成された液晶パネルの、駆動電圧が印加されていない時の液晶の配向方向を示す断面図である。図16(a)は、第1基板と第2基板との液晶層と接する面に凹部が形成された液晶パネルの、駆動電圧が印加されていない時の液晶の配向方向を示す断面図であり、図16(b)は、第2基板の液晶層と接する面に突起が形成され、第1基板との液晶層と接する面に凹部が形成された液晶パネルの、駆動電圧が印加されていない時の液晶の配向方向を示す断面図である。
図16(a)に示した液晶パネル100の第1基板127aは、上述した第1基板27aと同様に、基材31a上に、第一電極104a、配向膜106aが形成されている。第一電極104aにはスリットが形成されており、当該スリットの部分に形成された配向膜106aは凹んで凹部83aが形成されている。なお、反射膜32及び絶縁膜33は、液晶の配向には影響しないため、図16では図示省略した。第2基板127bは、基材31b上に、隔壁56と色要素53が形成されており、隔壁56と色要素53との上に第二電極104b、配向膜106bが形成されている。第二電極104bにはスリットが形成されており、当該スリットの部分に形成された配向膜106bは凹んで凹部83bが形成されている。第1基板127aと第2基板127bとは、配向膜106aと配向膜106bとが隙間を隔てて対向するように貼り合わされており、配向膜106aと配向膜106bとの間の隙間に液晶Lが充填されている。
第一電極104aと第二電極104bとの間に駆動電圧が印加されていない状態の液晶パネル100において、上述したように、液晶Lの液晶分子Laは、配向膜106a又は配向膜106bに垂直に配向する。凹部83aや凹部83bの部分では、それぞれの凹部の面に対して垂直に配向する。凹部83aや凹部83bの側面などに垂直に配向した液晶分子Laは、パネル面垂直方向に対して傾いて配向している。液晶分子Laがパネル面垂直方向に配向することで、液晶層は光を透過させない。
第一電極104aと第二電極104bとの間に所定の駆動電圧が印加されると、液晶分子Laは、電界の方向に対して略垂直となるように倒れる。液晶分子Laが、略パネル面方向に配向することで、液晶層を光が透過する。印加された電圧が低く電界の強さが弱い場合は、パネル面垂直方向とパネル面方向の間の電界の強さに応じた角度に配向する。この配向角度を調整することで、透過光量を調整し、画素の明るさを調整する。絵素を構成する各画素の明るさを調整することで、絵素の色を形成する。
第一電極104aと第二電極104bとの間に所定の駆動電圧が印加されると、凹部83aや凹部83bの側面などに垂直に配向することでパネル面垂直方向に対して傾いて配向している液晶分子Laは、最初に傾いていた方向に倒れる。傾いて配向していた液晶分子Laに隣接する他の液晶分子Laも影響を受けて同じ方向に倒れる。図16(a)の領域E3の範囲の液晶分子Laは同じ方向に倒れ、領域E4の範囲の液晶分子Laは、領域E3の範囲の液晶分子Laが倒れた方向とは異なる方向で、同一方向に倒れる。したがって、駆動電圧が印加されたときに、凹部83a又は凹部83bを境にして駆動電圧が印加されたときに液晶分子Laが倒れる方向が異なる領域が形成される。すなわち、凹部83a又は凹部83bによって複数に分割され配向方向制御された色要素領域52では、異なる視角依存性を有することになるため、液晶パネル100の視角特性はより広視野角となる。凹部83a又は凹部83bが、配向規制手段に相当する。
パネル面方向の凹部83aと凹部83bとの延在方向及び形成されている位置は、図12乃至15を参照して説明した突起82a及び突起82bの延在方向及び形成されている位置と同様である。
図16(b)に示した液晶パネル110の第1基板128aは、上述した第1基板127aと同様に、基材31a上に、第一電極105a、配向膜106aが形成されている。第一電極105aにはスリットが形成されており、当該スリットの部分に形成された配向膜106aは凹んで凹部84aが形成されている。液晶パネル110の第2基板は、上述した第2基板27bであって、基材31b上に、隔壁56と色要素53が形成されており、隔壁56と色要素53との上に第二電極34b、突起82b、配向膜36bが形成されている。第1基板128aと第2基板27bとは、配向膜106aと配向膜36bとが隙間を隔てて対向するように貼り合わされており、配向膜106aと配向膜36bとの間の隙間に液晶Lが充填されている。凹部84aと突起82bとはパネル面方向に延在しており、その延在方向は略同一である。凹部84aと突起82bとは、パネル面垂直方向において、略重なりあっている。
上述したように、第一電極105aと第二電極34bとの間に駆動電圧が印加されていない状態の液晶パネル110において、液晶Lの液晶分子Laは、配向膜106a又は配向膜36bに垂直に配向する。凹部84aや突起82bの部分では、それぞれの凹部又は突起の面に対して垂直に配向する。凹部84aや突起82bの側面などに垂直に配向した液晶分子Laは、パネル面垂直方向に対して傾いて配向している。図16(b)に示したように、凹部84aと突起82bとは、パネル面垂直方向において、略重なりあって対向しているため、液晶分子Laが凹部84aの影響で傾けられる方向と、突起82bの影響で傾けられる方向とは、同一になる。
第一電極105aと第二電極34bとの間に所定の駆動電圧が印加されると、液晶分子Laは、電界の方向に対して略垂直となるように倒れる。液晶分子Laが、略パネル面方向に配向することで、液晶層を光が透過する。印加された電圧が低く電界の強さが弱い場合は、パネル面垂直方向とパネル面方向の間の電界の強さに応じた角度に配向する。この配向角度を調整することで、透過光量を調整し、画素の明るさを調整する。絵素を構成する各画素の明るさを調整することで、絵素の色を形成する。
第一電極105aと第二電極34bとの間に所定の駆動電圧が印加されると、凹部84aや突起82bの側面などに垂直に配向することでパネル面垂直方向に対して傾いて配向している液晶分子Laは、最初に傾いていた方向に倒れる。傾いて配向していた液晶分子Laに隣接する他の液晶分子Laも影響を受けて同じ方向に倒れる。図16(b)の領域E5の範囲の液晶分子Laは同じ方向に倒れ、領域E6の範囲の液晶分子Laは、領域E5の範囲の液晶分子Laが倒れた方向とは異なる方向で、同一方向に倒れる。したがって、駆動電圧が印加されたときに、凹部84aと突起82bを境にして駆動電圧が印加されたときに液晶分子Laが倒れる方向が異なる領域が形成される。すなわち、凹部84aと突起82bによって複数に分割され配向方向制御された色要素領域52では、異なる視角依存性を有することになるため、液晶パネル110の視角特性はより広視野角となる。なお、凹部84a及び突起82bを境にして駆動電圧が印加されたときに液晶分子Laが反対側に倒れるため、隣合う凹部84a及び突起82bの中間位置に、液晶分子Laが倒れる方向が反対側になる分岐点ができる。図16(b)では、隔壁56の中央付近に分岐点ができる。凹部84a又は突起82bが、配向規制手段に相当する。
液晶パネル110における突起82bのパネル面方向の延在方向及び形成されている位置は、図12乃至15を参照して説明した突起82bの延在方向及び形成されている位置と同様である。凹部84aのパネル面方向の延在方向及び形成されている位置も、図12乃至15を参照して説明した突起82bの延在方向及び形成されている位置と略重なる延在方向及び位置である。
以下、第一の実施形態の効果を記載する。
(1)図12又は図13に示した絵素において、絵素を構成するそれぞれの色の色要素53に対応する位置に形成された配向規制手段である突起82a、突起82b、凹部83a、凹部83b、又は凹部84aの延在方向がそれぞれ異なる。即ち、絵素を構成する各色の画素において、各色毎に配向規制手段である突起82a、突起82b、凹部83a、凹部83b、又は凹部84aの延在方向を個別に設定することで、突起82a、突起82b、凹部83a、凹部83b、又は凹部84aによって規制される液晶の配向方向を各色に応じた適切な方向に設定してある。このように、各色毎に配向規制手段である突起82a、突起82b、凹部83a、凹部83b、又は凹部84aの延在方向を個別に設定することで、配向規制手段によって液晶の配向方向を規制して視野角を広げるとともに、広がった視野角の中で、適切な色バランスを実現することができる。
(2)図12、図13、又は図14に示した絵素においては、対応する色要素53が三原色である色要素53R、色要素53G、色要素53Bである画素において、突起82a、突起82b、凹部83a、凹部83b、又は凹部84aの延在方向は、色要素53の色に対応してそれぞれ異なっている。即ち、絵素を構成する光の三原色の画素において、各色毎に配向規制手段である突起82a、突起82b、凹部83a、凹部83b、又は凹部84aの延在方向を個別に設定することで、突起82a、突起82b、凹部83a、凹部83b、又は凹部84aによって規制される液晶の配向方向を各色に応じた適切な方向に設定してある。このように、三原色の各色毎に延在方向を個別に設定することで、配向規制手段によって光の三原色の各色の色要素を有する画素の液晶の配向方向を規制して視野角を広げるとともに、広がった視野角の中で、光の三原色がガマット上に形成する三角形の内側の色について、適切な色バランスを実現することができる。
(3)図13又は図14に示した絵素においては、対応する色要素53が三原色の補色である色要素53C、色要素53M、色要素53Yである画素において、突起82a、突起82bなどの延在方向は、色要素53の色に対応してそれぞれ異なっている。即ち、絵素を構成する光の三原色の補色の画素において、各色毎に配向規制手段である突起82a、突起82bなどの延在方向を個別に設定することで、突起82a、突起82bなどによって規制される液晶の配向方向を各色に応じた適切な方向に設定してある。このように、三原色の補色の各色毎に配向方向を個別に設定することで、配向規制手段によって光の三原色の補色の各色の色要素を有する画素の液晶の配向方向を規制して視野角を広げるとともに、広がった視野角の中で、光の三原色の補色がガマット上に形成する三角形の内側の色について、適切な色バランスを実現することができる。
(4)図13又は図15に示した絵素においては、対応する色要素53が色要素53Rである画素と、対応する色要素53が色要素53Rと互いに補色の関係である色要素53Cである画素とにおいて、突起82a、突起82bなどの延在方向は、それぞれ異なっている。対応する色要素53が色要素53Gである画素と、対応する色要素53が色要素53Gと互いに補色の関係である色要素53Mである画素とにおいて、突起82a、突起82bなどの延在方向は、それぞれ異なっている。対応する色要素53が色要素53Bである画素と、対応する色要素53が色要素53Bと互いに補色の関係である色要素53Yである画素とにおいて、突起82a、突起82bなどの延在方向は、それぞれ異なっている。即ち、絵素を構成する互いに補色の関係にある各色の画素における突起82a、突起82bなどの延在方向を、当該突起又は凹部によって配向方向を規制された液晶の配向方向が各色間のバランスがとれるような適切な方向となるように設定してある。このように、互いに補色の関係にある各色の画素における突起82a、突起82bなどの延在方向を個別に設定することで、互いに補色関係にある色について配向規制手段によって液晶の配向方向を規制して視野角を広げるとともに、広がった視野角の中で、適切な色バランスを実現することができる。
(5)図13又は図14に示した絵素においては、有効面積が同一である色要素53の各色間で、各色の色要素に対応する位置に形成された突起82a、突起82bなどの延在方向がそれぞれ異なっている。即ち、同じ有効面積である各色の画素における突起82a、突起82bなどの延在方向を、当該突起によって配向方向を規制される液晶の配向方向が各色間のバランスがとれるような適切な方向となるように各色毎に個別に調整して設定してある。これにより、有効面積が同一である各色要素53毎に配向規制手段である突起82a、突起82bなどの延在方向を個別に設定することで、配向規制手段によって有効面積が同一である色要素を有する画素の液晶の配向方向を規制して視野角を広げるとともに、広がった視野角の中で、有効面積が同一である色要素の色がガマット上に形成する多角形の内側の色について、適切な色バランスを実現することができる。
(6)図13又は図15に示した絵素においては、有効面積が異なる色要素53間で各色の色要素に対応する位置に形成された突起82a、突起82bなどの延在方向が互いに異なっている。即ち、絵素を構成する互いに有効面積が異なる各色の画素における突起82a、突起82bなどの延在方向を、当該突起によって配向方向を規制された液晶の配向方向が各色間のバランスがとれるような適切な方向となるように設定してある。これにより、配向規制手段によって有効面積が異なる色要素53を有する画素において、色要素53の有効面積毎に配向規制手段である突起82a、突起82bなどの延在方向を個別に設定することで、液晶の配向方向を規制して視野角を広げるとともに、有効面積を変えることで適切な色バランスが得られる各色について、広がった視野角の中で、適切な色バランスを実現することができる。
(第二の実施形態)
次に、本発明に係る電子機器について説明する。本実施形態の電子機器は、第一の実施形態で説明した液晶表示装置を備えた電子機器である。本実施形態の電子機器の具体例について説明する。
図17は、電子機器の一例である大型液晶テレビを示す外観斜視図である。図17に示すように、電子機器の一例である大型液晶テレビ200は、表示部201を備えている。表示部201は、第一の実施形態で説明した液晶表示装置21を表示手段として搭載している。
以下、第二の実施形態の効果を記載する。
(1)大型液晶テレビ200は、配向規制手段によって液晶の配向方向を規制して視野角を広げるとともに、各色毎に配向方向を個別に設定することで、広がった視野角の中で、適切な色バランスを実現することができる液晶装置を備えることから、色バランスが良好で視野角が広い大型液晶テレビ200を実現することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、前記実施形態に限らない。本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
(変形例1)前記実施形態においては、上下基板にストライプ状の電極を有する液晶パネルについて説明したが、表示装置がストライプ状の電極を有する液晶パネルであることは必須ではない。薄膜トランジスタ(TFD:Thin Film Transistor)を用いて画素を制御するTFTパネルや、薄膜ダイオード(TFD:Thin Film Diode)を用いて画素を制御するTFDパネルであってもよい。TFTパネルやTFDパネルにおいては、TFTやTFDが形成された素子基板が電極基板に相当し、素子基板に対向する基板が対向基板に相当する。
(変形例2)前記実施形態においては、MVA(Multi‐domain Vertical Alignment)方式の液晶表示装置を例に説明したが、液晶表示装置はIPS(In‐Plane SWITCHING)方式の液晶表示装置であってもよい。この場合、隣合う電極間の隙間が、配向規制手段となる。
(変形例3)前記実施形態においては、凹部83a,83b,84aは、第一電極104a、第二電極104b、第一電極105aなどの画素電極にスリットを設けることで形成していたが、凹部を画素電極にスリットを設けることで形成することは必須ではない。突起を形成する場合と同様の材料を一部を除く全面に積層し、一部積層しない部分で凹部を形成してもよい。
(変形例4)前記実施形態においては、4色フィルタにおいて全ての色要素の画素において配向規制手段の延在方向が異なる例について説明したが、全ての色要素において配向規制手段の延在方向が異なることは必須ではない。少なくとも3色の色要素間において配向規制手段の延在方向が異なる構成であってもよい。
(変形例5)前記実施形態においては、6色フィルタにおいて全ての色の色要素53の画素において配向規制手段の延在方向が異なる例について説明したが、全ての色の色要素53の画素において配向規制手段の延在方向が異なることは必須ではない。任意の3色の画素間において配向規制手段の延在方向が異なる構成であってもよい。
(変形例6)前記実施形態においては、色要素53が三原色である画素間において配向規制手段の延在方向が異なると共に、色要素53が三原色の補色である画素間において配向規制手段の延在方向が異なる例について説明したが、色要素53が三原色である画素間と色要素53が三原色の補色である画素間で共に配向規制手段の延在方向が異なることは必須ではない。色要素53が三原色である画素間、又は色要素53が三原色の補色である画素間のいずれか一方において配向規制手段の延在方向が異なる構成であってもよい。
(変形例7)前記実施形態においては、第1基板27aと第2基板27bの両方、又は第1基板127aと第2基板127bの両方に配向規制手段である突起82a、突起82b、凹部83a、凹部83b、又は凹部84aを設けていたが、第1基板と第2基板の両方に配向規制手段を設けることは必須ではない。第1基板と第2基板のいずれか一方にのみ配向規制手段を設ける構成であってもよい。
(変形例8)前記実施形態においては、4色フィルタと6色フィルタの例について説明したが、多色フィルタは4色又は6色に限らない。色要素の色数は4以上のどのような数であってもよい。
(変形例9)前記実施形態においては、4色フィルタとしてR(赤色)、G(緑色)、B(青色)、W(無色透明)の4色の色要素53を有するカラーフィルタについて説明したが、4色フィルタの色はR(赤色)、G(緑色)、B(青色)、W(無色透明)の4色に限らない。例えば、シアン(青緑)、マゼンダ(紫赤)、イエロー(黄色)の3色に緑色を加えた4色補色フィルタであってもよいし、他の4色の色要素を有する4色フィルタであってもよい。
(変形例10)前記実施形態においては、6色フィルタとしてR(赤色)、G(緑色)、B(青色)、シアン(青緑)、マゼンダ(紫赤)、イエロー(黄色)の6色の色要素53を有するカラーフィルタについて説明したが、6色フィルタの色はR(赤色)、G(緑色)、B(青色)、シアン(青緑)、マゼンダ(紫赤)、イエロー(黄色)の6色に限らない。他の6色の色要素を有する6色フィルタであってもよい。
(変形例11)前記実施形態においては、一つの色要素53の範囲内に延在方向が異なる突起82又は凹部83又は凹部84が形成された例について説明したが、一つの色要素53の範囲内に含まれる配向規制部材の延在方向が2種類であることは必須ではない。一つの色要素53の範囲内に含まれる配向規制部材の延在方向は、1種類であってもよいし、3種類以上であってもよい。
(変形例12)前記実施形態においては、カラーフィルタは第2基板上に形成されていたが、カラーフィルタを第2基板上に形成することは必須ではない。カラーフィルタを第1基板上に形成する構成であってもよい。例えばTFTパネルでは、TFTが形成された素子基板にカラーフィルタを形成してもよいし、液晶層を挟んで素子基板に対向する対向基板にカラーフィルタを形成してもよい。
(変形例13)前記実施形態においては、隔壁56を設けることで色要素領域52を構成し、色要素領域52に色素材料を充填することで色要素53を形成していたが、隔壁56を設けることは必須ではない。色要素53どうしが互いに直接接触する構成であってもよい。
(変形例14)前記実施形態においては、隔壁56や色要素53を形成するために液滴吐出法を用いたが、液滴吐出法によって隔壁56や色要素53を形成することは必須ではない。フォトリソグラフィー法や印刷法等、他の形成方法によって隔壁56や色要素53を形成してもよい。
(変形例15)前記実施形態においては、液晶装置として、装置の表示面に画像を表示する液晶表示装置について説明したが、本発明は、装置の表示面に画像を表示する液晶表示装置以外にも、例えば、液晶プロジェクタなどの液晶を利用する他の装置にも適用することができる。
(変形例16)前記実施形態の6色フィルタにおいては、光の三原色であるR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の補色であるC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)の色要素53C,53M,53Yの面積は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の色要素53R,53G,53Bの面積より小さくなっていたが、色要素53C,53M,53Yの面積が色要素53R,53G,53Bの面積より小さいことは必須ではない。色要素53C,53M,53Yの面積が色要素53R,53G,53Bの面積より大きい構成であっても良いし、色要素53C,53M,53Yの面積が色要素53R,53G,53Bの面積と同じ構成であってもよい。
(変形例17)前記実施形態においては、色要素53の形状、即ち画素の形状は方形であり、画素が組合された絵素の形状も方形であったが、画素や絵素の形状は方形に限らない。例えば、画素が三角形であって、三角形の画素が組合されて三角形や台形や六角形の絵素を形成する構成であってもよいし、画素が六角形であって、六角形の画素が組合されて絵素を形成する構成であってもよい。また、異なる形状の画素を組合わせて、絵素を形成する構成であってもよい。
(変形例18)前記実施形態においては、絵素フィルタ54,57は、当該絵素が有する色の色要素53を一色あたり1個づつ有していたが、1絵素を構成する色要素が一色あたり1個であることは必須ではない。1個の絵素フィルタの中に同一色の色要素を複数備え、絵素フィルタ内に分散して配置する構成であってもよい。