JP4543477B2 - 光半導体封止用エポキシ樹脂組成物および光半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、光学的均一性、離型性および耐半田性にすぐれる光半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびその硬化物にて封止された光半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体封止用エポキシ樹脂に用いる内部離型剤としては、カルナバワックス等の天然の化合物、ステアリン酸、ポリオレフィン、脂肪酸エステル、界面活性剤のような合成化合物などがその目的に応じて使い分けされている。とりわけ光半導体に用いるエポキシ樹脂組成物については、樹脂組成物の濁りや着色が極力少ないことが望まれており、それに合致した内部離型剤を選択しようとすると、その種類や添加量に制約を受けることがしばしばである。従来、半導体の離型剤として広く用いられていたカルナバワックスや、その他多くの天然の化合物は、不純物を含有していることから有色の場合が多く、光半導体封止用エポキシ樹脂組成物の内部離型剤としては不適切なことが多い。
【0003】
反面、合成により得られた単一の化合物を用いた場合、樹脂成分との相溶性が非常に問題となる。離型剤成分が効果を十分に発揮するには、樹脂硬化物の表面にこれが析出し、金型との界面において作用することが重要である。硬化時の樹脂との相溶性の低い化合物を添加すれば、樹脂硬化物と金型の界面に離型剤が析出し易くなるが、硬化物の表面に析出しなかった成分は、樹脂硬化物中に粒状で存在し、これが外観上、白濁となって、硬化物の透明性を低下させる。
【0004】
これを防ぐためには、離型剤成分が樹脂中では均一に分散し、硬化物の表面にも析出するような樹脂組成物とすることが必要である。従来の光半導体向けエポキシ樹脂組成物では、離型性に関与する成分を樹脂組成物に均一に分散するために、界面活性剤を添加している。このような界面活性剤としては、脂肪酸エステル類、高級アルコール類などが用いられているが、これらを用いて離型剤を均一に分散し、かつ適切な離型性を維持しようとするには、多量の界面活性剤および過剰な離型剤を添加せねばならず、そのことによる硬化物物性の低下が大きな問題となる。
【0005】
また、界面活性剤に離型性効果を有した化合物も発案されており、特許第2781279号では、樹脂への親和性を持つポリエーテル基と、離型性効果を発現する高級脂肪酸部からなる界面活性剤を添加することで、透明性と離型性の両立を狙っている。しかし、この界面活性剤は離型性に関与する成分と相溶性に関与する部分との比率を調整するのが非常に難しく、分子設計レベルでの検討が必要な上、通常の離型剤に比べてその離型性が低いために、十分な離型性を得るためにはおのずと添加量を増やさねばならず、樹脂の耐半田性が劣化することが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性、光学的均一性、離型性および耐半田性にすぐれる光半導体封止用エポキシ樹脂組成物およびその硬化物にて封止された光半導体装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意検討の結果、特定の飽和脂肪酸を離型剤に用いることにより、樹脂硬化物の硬化性や物理特性を低下させることなく、かつ離型性及び透明性にも優れた光半導体装置用エポキシ樹脂組成物が得られること見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、及び離型剤からなる光半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、離型剤が主鎖の炭素数が22を越える一価の飽和脂肪酸(A)を必須とし、且つ、主鎖の炭素数が16を越え22以下の一価の飽和脂肪酸(B)及び主鎖の炭素数が16以下の一価の飽和脂肪酸(C)からなる群より少なくとも一つ選ばれることを特徴とする光半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
【0009】
エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、及び離型剤からなる光半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、離型剤が主鎖の炭素数が22を越える一価の飽和脂肪酸(A)、主鎖の炭素数が16を越え22以下の一価の飽和脂肪酸(B)、及び主鎖の炭素数が16以下の一価の飽和脂肪酸(C)からなる群より少なくとも1種ずつ選ばれることを特徴とする光半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
【0010】
及び前記いずれかの光半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いて封止された光半導体装置である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、一般的に光半導体封止用樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂であればその種類に何ら制約を受けることはない。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールノボラック樹脂などのエポキシ化フェノール樹脂、トリグリシジルイソシアネート樹脂、水添ビスフェノールA型樹脂などの脂環式エポキシ樹脂、および脂肪族エポキシ樹脂などがあげられる。
【0012】
本発明に用いる硬化剤は、光半導体封止用エポキシ樹脂に、通常用いられるものであれば、その種類に何ら制約を受けることはなく、具体的には無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸などの酸無水物硬化剤、
フェノールノボラック、クレゾールノボラック、フェノールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、などのフェノール系硬化剤があげられる。これらの硬化剤は、各々単独であるいは複数を併用しても構わない
【0013】
本発明において、離型剤に用いる一価の飽和脂肪酸は、その主鎖骨格の炭素数により構成する群が分けられる。ここで、主鎖骨格とは、飽和脂肪酸のカルボキシル基すなわちCOOH以外の部位を構成する、飽和アルキル基のことをさす。
【0014】
本発明に用いる主鎖の炭素数が22を越える一価の飽和脂肪酸(A)としては、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などがあげられる。これら一価の飽和脂肪酸(A)は、単独でエポキシ樹脂組成物の離型剤として十分使用できるだけの離型性を発現する化合物であり、その反面、単独の添加では硬化物の白濁や表面への過剰な浮き出しが生じることがある。
【0015】
本発明に用いる主鎖の炭素数が16を越え22以下の一価の飽和脂肪酸(B)としては、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸などがあげられる。これら一価の飽和脂肪酸(B)は、樹脂の種類によっては単独でも離型性を発揮することができ、一価の飽和脂肪酸(A)に比べると樹脂への相溶性が良い。しかし、これら一価の飽和脂肪酸(B)も単独で使用する場合は、硬化物に濁りを生じずに十分な離型性を得ることは難しい。
【0016】
また、本発明に用いる主鎖の炭素数が16以下の一価の飽和脂肪酸(C)としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などがあげられる。これらC群の化合物は、十分な離型性を発揮することはできないが、樹脂に対する相溶性に優れており、一価の飽和脂肪酸(A)及び(B)をエポキシ樹脂へ相溶させる効果を及ぼす。
【0017】
これら一価の飽和脂肪酸(A)〜(C)の配合比としては、一価の脂肪酸(A)と、(B)及び(C)のうち少なくとも1種で構成され、特に(A)〜(C)のすべての群より離型剤が構成されるように調整されることが望ましい。一価の飽和脂肪酸(A)、(B)及び(C)のうち、一価の飽和脂肪酸(A)が含まれなければ、樹脂組成物に十分な離型性を与えることができず、離型剤としての効果が発揮されない。一価の飽和脂肪酸(B)及び(C)が含まれなければ、樹脂組成物への相溶性が乏しくなり、白濁を生じてしまう。また、一価の飽和脂肪酸(A)と、一価の飽和脂肪酸(B)及び(C)の配合比率がかけ離れていると、個々成分の特性の違いから、離型剤全体としての均一性に問題が生じてしまい、成分がお互いに十分に効果作用を発揮できなくなる恐れがある。この混合比は、お互いに十分な作用を及ぼすためには、特定の成分が極端に少なくなる事は好ましくなく、一価の飽和脂肪酸(A)〜(C)からなる群より選ばれる離型剤の各群の合計量が、それぞれ離型剤全体にたいし10重量%以上が構成されるように調整されることが望ましい。こうして各群の成分が平衡し作用して、本発明で用いられる離型剤は、光半導体封止用透明エポキシ樹脂組成物に最適な、離型性と透明性を両立する事ができる。
【0018】
本発明の離型剤の、代表的な添加量としては、エポキシ樹脂、及び硬化剤からなる樹脂成分100重量部に対し、0.5〜10重量部が好ましいが、最適な添加量は前記樹脂成分と離型剤の相溶性により異なるため、本特許発明の樹脂組成物が良好な特性を得るためには、この範囲に限定されるものではない。
【0019】
本発明の光半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤やカップリング剤、また特性に影響しない範囲で他の離型剤等、当業者にて公知の添加剤、副資材を組み合わせることは何らさしつかえない。
【0020】
本発明の樹脂組成物の代表的な製法としては、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、離型剤を粉砕し、混合したのち、加熱ロール等により混練して、冷却後に再度粉砕して樹脂組成物が得られるが、成形するのに、タブレット状など必要に応じた形態に加工して用いる。
【0021】
このようにして得られた光半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いての封止は、一般的な方法でできるが、例えば、トランスファー成形法等により、光半導体素子を封止して、エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された光半導体装置を得ることができる。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されない。
【0023】
実施例1
主鎖炭素数27のモンタン酸を主としてなる脂肪酸(クラリアントジャパン製リコワックスS)50重量部と、主鎖炭素数11のラウリン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−312)50重量部とを、150℃で加熱混合し、冷却した後にこれを粉砕し、目的の脂肪酸組成物(1)を得た。この組成物のうち、一価の飽和脂肪酸(A)(以下A群)、一価の飽和脂肪酸(B)(以下B群)、及び一価の飽和脂肪酸(C)(以下C群)に属する成分の比率は、50:0:50(重量%)であった。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製エピコート1001、エポキシ当量450)78重量部、 テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化製リカシッドTH)22重量部、上記で得られた脂肪酸組成物(1)2重量部、2−メチル−4−イミダゾール(四国化成製2MZ−P)0.5重量部、トリフェニルホスフェート(住友化学製スミライザーTPP)2重量部、2,6−ジーt−ブチル−p−クレゾール(住友化学製スミライザーBHT−P)0.5重量部を、ドライブレンドした後、加熱ロ−ルにて60℃で溶融混練し、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物を得た後に、タブレット打錠し評価した。
【0024】
実施例2
主鎖炭素数27のモンタン酸を主としてなる脂肪酸(クラリアントジャパン製品 リコワックスS)30重量部、B群を含む、主鎖炭素数21のベヘニン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製品 NAA−222S)70重量部を、150℃で加熱混合し、冷却した後にこれを粉砕し、目的の脂肪酸組成物(2)を得た。この組成物のうち、A群、B群、C群に属する成分の比率は、30:70:0(重量%)であった。
実施例1において用いた脂肪酸組成物(1)を上記で得た脂肪酸組成物(2)に代えた以外は、全て実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製し、評価した。
【0025】
実施例3
主鎖炭素数27のモンタン酸を主としてなる組成物(クラリアントジャパン製リコワックスS)25重量部、B群を含む、主鎖炭素数21のベヘニン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−222S)25重量部、B群及びC群を含む、主鎖炭素数17のステアリン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−175S)25重量部、C群を含む主鎖炭素数11のラウリン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−312)25重量部を、150℃で加熱混合し、冷却した後にこれを粉砕し、目的の脂肪酸組成物(3)を得た。この組成物のうち、A群、B群、C群に属する成分の比率は、25:36:39(重量%)であった。
実施例1において用いた脂肪酸組成物(1)を上記で得た脂肪酸組成物(3)に代えた以外は、全て実施例1と同様にして、樹脂組成物を作製し、評価した。
【0026】
実施例4
主鎖炭素数27のモンタン酸を主としてなる脂肪酸(クラリアントジャパン製リコワックスS)20重量部、B群を含む成分として、主鎖炭素数21のベヘニン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−222S)40重量部、B群及びC群を含む主鎖炭素数11のパルチミン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−171)40重量部を、粉砕後に混合し、目的の脂肪酸組成物(4)を得た。この組成物のうち、A群、B群、C群に属する成分の比率は、20:48:32(重量%)であった。
実施例1において用いた脂肪酸組成物(1)を上記で得た脂肪酸組成物(4)に代えた以外は、全て実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、評価した。
【0027】
実施例5
主鎖炭素数27のモンタン酸を主としてなる組成物(クラリアントジャパン製リコワックスS)30重量部、B群及びC群を含む成分として、主鎖炭素数17のステアリン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−175S)15重量部、C群を含む成分として主鎖炭素数13のミスチリン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−142)を55重量部を、粉砕後に混合し、目的の脂肪酸組成物(5)を得た。この組成物のうち、A群、B群、C群に属する成分の比率は、30:8:62(重量%)であった。
実施例1において用いた脂肪酸組成物(1)を上記で得た脂肪酸組成物(5)に代えた以外は、全て実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、評価した。
【0028】
比較例1
実施例1において用いた脂肪酸組成物(1)を、主鎖炭素数27のモンタン酸を主としてなる脂肪酸(クラリアントジャパン製リコワックスS)100重量部に代えた以外は、全て実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、評価した。
【0029】
比較例2
実施例1において用いた脂肪酸組成物(1)を、特許第2781279号公報に示される界面活性剤(表1に記載)のポリエーテル鎖とアルキル鎖からなる化合物(ポリエーテル繰り返し数13.5、アルキル鎖炭素数36)100重量部に代えた以外は、全て実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、評価した。
【0030】
比較例3
主鎖炭素数27のモンタン酸を主としてなる脂肪酸(クラリアントジャパン製リコワックスS)20重量部、界面活性剤として、ステアリン酸エステル組成物(理研ビタミン製リケマールS−100)80重量部を、粉砕後に混合し、目的の脂肪酸組成物(6)を得た。この組成物のうち、A群、B群、C群に属する成分の比率は、20:0:0(重量%)であった。
実施例1において用いた脂肪酸組成物(1)を、上記で得た脂肪酸組成物(6)に代えた以外は全て実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、評価した。
【0031】
比較例4
B群およびC群の成分を含む、主鎖炭素数17のステアリン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−175S)40重量部と、C群の成分を含む、主鎖炭素数13のミスチリン酸を主としてなる脂肪酸(日本油脂製NAA−142)60重量部とを、150℃で加熱混合し、冷却した後にこれを粉砕し、目的の脂肪酸組成物(7)を得た。この組成物のうち、A群、B群、C群に属する成分の比率は、0:21:79(重量%)であった。
実施例1において用いた脂肪酸組成物(1)を、上記で得た脂肪酸組成物(7)に代えた以外は全て実施例1と同様にして樹脂組成物を作製し、評価した。
【0032】
評価方法は、次のように行い、結果を表1に示す。
[光学特性の評価]
上記で得た樹脂組成物タブレットを、金型温度150℃、タブレット余熱70℃、型締め圧14.7MPa(150kg/cm2)、射出圧力6.86MPa、成形時間3分でトランスファ−成形し、外形25×10×1mmの成形品を得た。この成形品を目視で確認し、明らかに曇りがかって見えるものを光学特性不良(×印)、透明性が得られるものを光学特性良(○印)として、硬化物の光学特性を評価した。
【0033】
[離型性・耐半田性の評価]
上記樹脂組成物タブレットを、メラミン樹脂クリーニング材によりクリーニング済みの光半導体用12pSOPタイプパッケージ(4×5mm、厚み1.2mm、チップサイズ1.5mm×2.0mm、リードフレーム42アロイ製)を用いて、金型温度175℃、射出圧力6.86MPa、硬化時間1分の条件でトランスファー成形し、10ショット目の離型性を評価した。すなわち型開き後イジェクターピンが動作した際にカル、ランナー、キャビティーの各部がひっかかることなく一様に離型すれば○、一部でもひっかかったり折れたりした場合×とした。
耐半田性評価は同じパッケージを用いて耐半田性評価サンプルを成形、150℃2時間後硬化させた。得られたパッケージを、85℃、相対湿度60%の環境下で、168時間吸湿処理し、その後240℃のIRリフロー処理を行った。処理したパッケージを顕微鏡及び超音波探傷装置でクラック、チップと樹脂との剥離の有無を確認。クラック、剥離が発生したものを不良(×印)と判定した。
【0034】
[樹脂組成物の硬化性の評価]
上記樹脂組成物タブレット打錠前のパウダーを用いて、175℃熱板上でこの樹脂組成物がゲル化を始めるまでの時間(ゲルタイム)を観測し、樹脂組成物の硬化性を評価した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1記載の評価結果からも明らかなように、本発明による離型剤を用いた樹脂組成物は、その透明性、離型性、および耐半田性において良好な特性を得ることができる。それに対し、比較例1では、脂肪酸としてA群に含まれる成分のみを添加したため、離型性には優れるが透明性は極端に低くかった。比較例2の、離型性を有する界面活性剤では、透明性、離型性は得られるものの、その物理強度への悪影響が、耐半田性試験での不良となった。比較例3では、A群に含まれる、離型性に優れる脂肪酸類と、界面活性剤の組み合わせによる、従来の技術を再現しているが、透明性には優れているが、離型性は十分とはいえず、また速硬化の阻害、耐半田性の低下などが生じた。比較例4では、A群の成分を含まず、B群とC群の成分のみで構成された脂肪酸組成物を用いているが、離型性が十分に得られなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の光半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、透明性、光学的均一性、離型性および耐半田性にすぐれ、光半導体の封止に用いるエポキシ樹脂組成物として優れた性能を発揮することができる。
Claims (4)
- エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、及び離型剤からなる光半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、離型剤が主鎖の炭素数が22を越える一価の飽和脂肪酸(A)を必須とし、且つ、主鎖の炭素数が16を越え22以下の一価の飽和脂肪酸(B)及び主鎖の炭素数が16以下の一価の飽和脂肪酸(C)からなる群より少なくとも一つ選ばれることを特徴とする光半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、及び離型剤からなる光半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、離型剤が主鎖の炭素数が22を越える一価の飽和脂肪酸(A)、主鎖の炭素数が16を越え22以下の一価の飽和脂肪酸(B)、及び主鎖の炭素数が16以下の一価の飽和脂肪酸(C)からなる群より少なくとも1種ずつ選ばれることを特徴とする光半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項2において、一価の飽和脂肪酸(A)〜(C)からなる群から少なくとも1種ずつ選ばれる離型剤の各群の合計量が、全離型剤中に各々10重量%以上含まれることを特徴とする請求項2記載の光半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の光半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いて封止された光半導体装置。
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