JP4543450B2 - 滑り軸受構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受ブッシュを具備した軸受構造、特に締め代をもって摺動自在に嵌合される部位における滑り軸受構造に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
軸受ブッシュを介して回転軸を支持部材の孔に回転自在に装着する場合に、回転軸が支持部材に対して全くがたつかず且つその回転において所望の減衰を生じさせるために支持部材に対して回転摺動抵抗をもつようにするには、回転軸を軸受ブッシュを介して支持部材の孔に締め代をもって嵌合される。
【0003】
締め代量は、回転軸の外径寸法と支持部材の孔径寸法とに依存するのであるが、これら回転軸及び支持部材は、通常、寸法公差なしで又は厳格な微小寸法公差の下で形成することは費用がかかり過ぎて実用的でないので、比較的範囲の大きい寸法公差をもって形成され、したがって、その締め代量は、その寸法公差の範囲で変化する。
【0004】
締め代量がこのように寸法公差の範囲で変化すると、回転軸が所望範囲の摺動抵抗をもって回転することができず、例えば、締め代量が大きいと、必要なときに回転軸を回転させることが困難となり、締め代量が小さいと、必要な摺動抵抗を得ることが困難となる。
【0005】
締め代量に依存する回転摺動抵抗は、回転軸と軸受ブッシュとの相互に摺動自在に接触する面の摩擦係数に関係し、この面の摩擦係数が大きいと、締め代量の変化に応じて大きく回転摺動抵抗が変化して、一定範囲の寸法公差で所望の範囲内の摺動抵抗をもつように回転軸を支持部材に支持させることが困難となる。
【0006】
軸受ブッシュを介して回転軸を支持部材に回転自在に支持する構造の滑り軸受構造では、回転軸と軸受ブッシュとの間の回転摺動抵抗は、主に回転軸に摺動自在に接触する軸受ブッシュの面の摩擦係数に依存し、この面の摩擦係数が大きいと、締め代量の変化に応じて大きく回転摺動抵抗が変化することになるために、軸受ブッシュは摩擦係数の小さい材料で形成される。
【0007】
しかしながら、長期間に亘って締め代量に基づく締め付け力を受けてもクリープ等が生じ難い摩擦係数の小さい材料は限られており、しかも、摩擦係数は締め代量に影響される場合もあり、軸受ブッシュを摩擦係数の小さい材料で形成しても、一定範囲の寸法公差で所望の範囲内での摺動抵抗をもつようにすることには限界がある。
【0008】
また、軸受ブッシュと摺動自在に接触する回転軸は、通常、金属製であるために、軸受ブッシュをいかに摩擦係数の小さい材料で形成しても、金属面との関連で締め代量の変化に応じて大きく回転摺動抵抗が変化する場合もある。
【0009】
なお、以上の問題は、軸受ブッシュを介して直動軸を支持部材の孔に直動自在に装着する場合に、直動軸が支持部材に対して全くがたつかず且つその直動において支持部材に対して所望の範囲の摺動抵抗をもつようにする際にも同様に生じ得るのである。
【0010】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、締め代をもって筒状の外側部材と内側軸部材とが軸受ブッシュを介して嵌合される部位における滑り軸受構造であって、一定範囲の寸法公差でも所望の範囲内の摺動抵抗にできる滑り軸受構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様の滑り軸受構造は、筒状の外側部材と、この外側部材内に配された内側軸部材と、外側部材と内側軸部材との間に介在されている軸受ブッシュとを具備しており、ここで、内側軸部材は、軸受ブッシュを介して外側部材の内周面に締め代をもって嵌合されており、軸受ブッシュの一方の周面と、軸受ブッシュの一方の周面に対して相対的に直動又は回動自在であって滑り移動自在に接触する外側部材の内周面又は内側軸部材の外周面との夫々の滑り面は合成樹脂で形成されており、これら両滑り面を形成する合成樹脂は夫々、締め代に基づく加圧下での両滑り面間の摩擦トルクが所定の範囲内に収まる組合せであることを特徴とする。
【0012】
第一の態様の滑り軸受構造によれば、軸受ブッシュの一方の周面と当該軸受ブッシュの一方の周面に対して相対的に滑り移動自在に接触する外側部材の内周面又は内側軸部材の外周面との夫々が、締め代に基づく加圧下での両滑り面での摩擦トルクが所定の範囲内に収まるような合成樹脂から形成されて、両滑り面間では合成樹脂同士の摺接となるため、摩擦係数を小さくでき、而して、一定範囲の寸法公差でも所望の範囲内の摩擦トルクに収めることができる。
【0013】
本発明の第二の態様の滑り軸受構造では、上記の第一の態様の滑り軸受構造において、軸受ブッシュは、その他方の周面で、内側軸部材の外周面又は外側部材の内周面に固定的に装着されており、軸受ブッシュの一方の周面は、外側部材の内周面又は内側軸部材の外周面に対して直動又は回動自在に接触している。
【0014】
好ましい例では、軸受ブッシュは、その他方の周面で、筒状の外側部材の内周面に固定的に装着されており、内側軸部材の外周面が合成樹脂からなっている。
【0015】
本発明の第三の態様の滑り軸受構造では、上記の第一又は第二の態様の滑り軸受構造において、軸受ブッシュの内周面又は外周面に対して直動又は回動自在に接触する内側軸部材の外周面又は外側部材の内周面には、合成樹脂の塗装被膜が形成されている。
【0016】
本発明の第四の態様の滑り軸受構造では、上記の第一から第三のいずれかの態様の滑り軸受構造において、軸受ブッシュは、金属網状体と、該金属網状体の目に一部が充填された合成樹脂組成物からなる滑り層とを具備しており、滑り層が前記一方の周面側となるように円筒状に捲回して形成した巻きブッシュ又は鋼裏金と、該鋼裏金上に形成された多孔質焼結層と、該焼結層の細孔に一部が充填された合成樹脂組成物からなる滑り層とを具備しており、滑り層が前記一方の周面側となるように円筒状に捲回して形成した巻きブッシュからなる。滑り層を形成する合成樹脂組成物としては、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂を主体とする合成樹脂組成物、具体的には付加重合型ポリイミド樹脂を5〜30重量%含有するポリテトラフルオロエチレン樹脂あるいは鉛粉末を30〜50重量%含有するポリテトラフルオロエチレン樹脂である。
【0017】
第四の態様の滑り軸受構造によれば、滑り層を形成する合成樹脂組成物が金属網状体の目又は多孔質焼結層の細孔に充填されて形成されているため、その投錨効果により軸受ブッシュの一方の周面が長期に亘ってしっかりと保持され、而して、所望の範囲内の摩擦トルクを長期に亘って維持できる。
【0018】
軸受ブッシュとしては、以上のような巻きブッシュからなるのが装着の容易性の観点からも好ましいのであるが、本発明は、このような巻きブッシュに限定されず、筒状に一体形成されたものでもよい。
【0019】
また、本発明では、外側部材が中空金属パイプからなり、内側軸部材が中実金属軸若しくは中空金属パイプからなる場合には、中空金属パイプの内周面又は中実金属軸若しくは中空金属パイプの外周面に、合成樹脂を静電塗装、電着塗装、焼付け塗装等により塗装被膜を形成し、この塗装被膜の表面を、軸受ブッシュの一方の周面に対して相対的に滑り移動自在に接触する外側部材の内周面又は内側軸部材の外周面とするとよい。
【0020】
本発明の第五の態様の滑り軸受構造では、上記の第一から第四の態様のいずれかの滑り軸受構造において、外側部材の内周面又は内側軸部材の外周面と軸受ブッシュの一方の周面とのうちの少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂から選択された合成樹脂からなる。
【0021】
好ましい例では、外側部材の内周面又は内側軸部材の外周面と軸受ブッシュの一方の周面とのうちの少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主体とする合成樹脂組成物の低摩擦材からなり、また、軸受ブッシュの一方の周面がポリテトラフルオロエチレン樹脂を主体とする合成樹脂組成物の低摩擦材で形成されている場合には、相手材となる外側部材の内周面又は内側軸部材の外周面は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂から選択された合成樹脂の塗装被膜からなる。
【0022】
本発明の第六の態様の滑り軸受構造では、上記のいずれかの態様の滑り軸受構造において、締め代量が、零よりも大きく0.25mm以下である。
【0023】
本発明の第七の態様の滑り軸受構造では、上記のいずれかの態様の滑り軸受構造において、軸受ブッシュは、その一方の周面で内側軸部材の外周面に滑り移動自在に接触しており、その他方の周面で外側部材の内周面に固定的に装着されている。
【0024】
本発明の第八の態様の滑り軸受構造では、上記の第七の態様の滑り軸受構造において、軸受ブッシュは、鍔部を有した鍔付きブッシュであって、鍔部は、外側部材の一端面に配されている。
【0025】
第七及び第八の態様の滑り軸受構造のように、軸受ブッシュを外側部材の内周面に固定的に装着し、軸受ブッシュを鍔部を有した鍔付きブッシュで構成することにより、組み付け性、製造性が極めてよくなり、しかも、外側部材に対する内側軸部材の相対的摺動において軸受ブッシュが移動することがなく、軸受ブッシュをしっかりと外側部材の内周面に保持できる。
【0026】
本発明の第九の態様の滑り軸受構造では、上記のいずれかの態様の滑り軸受構造において、締め代量が0.25mm以下である場合の加圧下で、外径13mmの内側軸部材を用いて当該内側軸部材を軸受ブッシュに対して回転させた場合において、両滑り面間の摩擦トルクが3.50Nm以下相当となるような合成樹脂の組み合わせで両滑り面が形成されている。
【0027】
本発明の滑り軸受構造は、外側部材に対して内側軸部材をその軸心線の周りで制動しつつ相対的に回動自在とするような、例えば各種両開き又は片開きドアのヒンジ機構部に適用でき、また、外側部材に対して内側軸部材をその軸心線に沿う方向に制動しつつ相対的に直動自在とするような、例えばコイルばねが並置されて車輪からの振動を吸収するようにしたマウンテンバイク等のハンドル軸部にも適用できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい例を参照して説明する。
なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0029】
図1から図3において、本例の滑り軸受構造1は、中空金属パイプからなる円筒状の外側部材2と、外側部材2内に挿着された円筒状の内側軸部材3と、外側部材2と内側軸部材3との間に介在されて、外側部材2の内周面4と内側軸部材3の外周面5とのいずれか一方、本例では、外側部材2の内周面4に固定的に装着されていると共に、そのいずれか他方の面、本例では、内側軸部材3の外周面5に軸心線X回りの方向であるA方向に滑り移動自在に接触する一方の周面である内周面6を有した軸受ブッシュ7とを具備している。
【0030】
軸受ブッシュ7を介して外側部材2の内周面4に締め代をもって嵌合された内側軸部材3は、中空金属パイプ12と、該中空金属パイプ12の外周面13に合成樹脂を静電塗装、電着塗装、燒付け塗装等により形成された合成樹脂の塗装被膜14とを具備しており、塗装被膜14の露出面が内側軸部材3の滑り面としての外周面5となっている。そして、塗装被膜14の厚さは、10〜30μm程度の薄膜とされる。塗装被膜14を形成する合成樹脂としては、締め代に基づく加圧下での軸受ブッシュ7の滑り面としての内周面6との間での摩擦トルクが所定の範囲内に収まるように、具体的には、締め代量が0.25mm以下である場合の加圧下で、外径13mmの内側軸部材3を用いて当該内側軸部材3を軸心線X回りで軸受ブッシュ7に対して回転させた場合において、内側軸部材3の外周面5と軸受ブッシュ7の内周面6との間の摩擦トルクが3.5Nm以下相当となるように、内周面6を構成する滑り層31の形成材料との関連で、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂から選択される。
【0031】
軸受ブッシュ7は、本例では、鍔部21と鍔部21に一体形成された円筒部22とを有しており、軸受ブッシュ7は、その鍔部21が外側部材2の一端面23に配されて、その他方の周面である円筒部22の外周面24が外側部材2の内周面4に密接されて、外側部材2に固定的に装着されており、その円筒部22の内周面6で内側軸部材3の外周面5にA方向に滑り回転自在に接触している。
【0032】
軸受ブッシュ7は、金属細線を織ったり編んだりして形成された網又はエキスパンドメタル等の金属網状体32と、該金属網状体32の目に一部が充填され、締め代に基づく加圧下で外周面5との摩擦トルクが所定の範囲内に収まるように、具体的には、締め代量が0.25mm以下である場合の加圧下で、外径13mmの内側軸部材3を用いて当該内側軸部材3を軸心線X回りで軸受ブッシュ7に対して回転させた場合において、内側軸部材3の外周面5と軸受ブッシュ7の内周面6との間の摩擦トルクが3.5Nm以下相当となるように、外周面5を構成する塗装被膜14の形成材料との関連で選ばれた合成樹脂組成物、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂を主体とする合成樹脂組成物、具体的には付加重合型ポリイミド樹脂を5〜30重量%含有するポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる滑り層31とを具備しており、滑り層31が外周面5に滑り移動自在に接触する内周面6側となるように円筒状に捲回して形成した巻きブッシュであり、滑り層31の露出面が軸受ブッシュ7の内周面6となっている。鍔部21は、巻きブッシュにプレス成形を施して形成される。
【0033】
なお、軸受ブッシュ7としては、鋼裏金と、該鋼裏金上に形成された多孔質焼結層と、該焼結層の細孔に一部が充填された合成樹脂組成物、具体的には鉛粉末を30〜50重量%含有するポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる滑り層とを具備し、滑り層が外周面5に滑り移動自在に接触する内周面6側となるように円筒状に捲回して形成した巻きブッシュからなっていてもよい。
【0034】
本例の滑り軸受構造1は、軸受ブッシュ7の円筒部22が外側部材2内に装着された状態で、円筒部22の内周面6で規定される円孔に、当該円孔の径に対して例えば0.15mm(締め代量)だけ大きい外径をもった内側軸部材3が圧入されて、組み立てられる。
【0035】
本例の滑り軸受構造1では、内側軸部材3の外周面5と、当該外周面5に滑り移動自在に接触する軸受ブッシュ7の内周面6との夫々が、締め代に基づく加圧下での両周面5及び6間の摩擦トルクが所定の範囲内に収まる組合せの合成樹脂から形成されているために、両周面5及び6間での摩擦係数を極めて小さくでき、而して、一定範囲の寸法公差でも所望の範囲内の摺動抵抗にできるようになる。
【0036】
また滑り軸受構造1によれば、内周面6を形成する滑り層31が金属網状体32上に形成されているために、当該内周面6が長期に亘ってしっかりと保持されて、而して、所望の範囲内の摺動抵抗を長期に亘って維持できる。
【0037】
ところで、前記では、外周面13に合成樹脂の塗装被膜14が形成された中空金属パイプ12から内側軸部材3を構成したが、これに代えて、図4に示すように、外周面に合成樹脂の塗装被膜42が形成された中実の円柱部材43から内側軸部材3を構成してもよい。
【0038】
加えて前記では、滑り軸受構造1を、外側部材2に対して内側軸部材3が軸心線X回りの方向であるA方向に相対的に滑り回転自在となるとして説明したが、これに代えて、外側部材2に対して内側軸部材3が軸心線Xに沿う方向に相対的に滑り直動自在となるものとしてもよく、前者の場合には、ドアーのヒンジ機構部等に適用でき、後者の場合には、マウンテンバイク等のハンドル軸部等に適用できる。
【0039】
【実施例】
本発明例として、鋼製パイプ12の外周面13に、エポキシ樹脂を塗装して約厚み20μmの塗装被膜を形成して外径13mmの内側軸部材3を形成すると共に、この内側軸部材3に対して、締め代が0.01mm、0.05mm、0.10mm、0.15mm及び0.25mmの夫々となる鋼製パイプからなる外側部材2とこの外側部材2内に嵌合固着された鍔付軸受ブッシュ7との組合わせを準備した。軸受ブッシュ7としては、厚み0.5mmの金属網状体32の一方の面に、付加重合型ポリイミド樹脂を15重量%含有するポリテトラフルオロエチレン樹脂を充填塗布し、加熱焼成させて当該金属網状体32の一方の面に滑り層31を形成し、この金属網状体32と滑り層31とからなるブッシュ素材を、滑り層31が内周面側となるように円筒状に捲回して形成した巻きブッシュ7を用いた。鍔部21は、巻きブッシュ7にプレス成形を施して形成した。外側部材2としては、上記の各締め代を得るために内径の異なる鋼製パイプを用いた。次に、鍔付軸受ブッシュ7内に、上記の内側軸部材3を圧入して、滑り軸受構造1を作製した。このように作製した滑り軸受構造1で、外側部材2及び鍔付軸受ブッシュ7を固定して、内側軸部材3の回転トルク(摩擦トルク)を測定すると、締め代が0.01mm、0.05mm、0.10mm、0.15mm及び0.25mmの夫々の場合、1.372Nm、1.862Nm、2.352Nm、2.842Nm及び3.430Nmであった。
【0040】
一方、比較例として、塗装被膜を有しない外径13mmの鋼製パイプを内側軸部材として準備すると共に、上記の同様の外側部材とこれに嵌合固着された鍔付軸受ブッシュとの組合わせを準備し、上記と同様にして、内側軸部材の回転トルクを測定すると、締め代が0.01mm、0.05mm、0.10mm、0.15mm及び0.25mmの夫々の場合、1.568Nm、2.774Nm、4.214Nm、5.448Nm及び6.566Nmであった。
【0041】
以上により、締め代が小さい場合には、本発明例と比較例との間には回転トルクに関してそれ程相違が生じないが、締め代が大きくなるに連れて、本発明例の場合にはそれ程回転トルクが増大しないが、比較例の場合には回転トルクが大きく増大することになる。すなわち、本発明例の場合には、締め代が0.01mmから0.25mmまで変化しても、回転トルクは、2.058Nmしか変化しないにもかかわらず、比較例の場合には、4.998Nmも変化することになる。
【0042】
このように本発明では、一定範囲の締め代の変化でも、すなわち一定範囲の寸法公差でも、回転トルクの変化を小さく、すなわち摺動抵抗を設計値通りに一定に維持できるのである。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、締め代をもって外側部材と内側軸部材とが軸受ブッシュを介して嵌合される部位における滑り軸受構造において、一定範囲の寸法公差でも所望の範囲内の摺動抵抗にできる滑り軸受構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい一実施の形態の例の断面図である。
【図2】図1に示す例の一部拡大断面図である。
【図3】図1に示す例の軸受ブッシュの斜視図である。
【図4】本発明の好ましい一実施の形態の他の例の断面図である。
【符号の説明】
1 滑り軸受構造
2 外側部材
3 内側軸部材
4 内周面
5 外周面
6 内周面
7 軸受ブッシュ
Claims (9)
- 筒状の外側部材と、この外側部材内に配された円筒状の内側軸部材と、該外側部材と該内側軸部材との間に介在されている軸受ブッシュとを具備しており、該内側軸部材は、該軸受ブッシュを介して該外側部材の内周面に締め代をもって嵌合されており、前記軸受ブッシュの一方の周面と、前記軸受ブッシュの当該一方の周面に対して相対的に直動自在であって滑り移動自在に接触する前記外側部材の前記内周面又は前記内側軸部材の外周面とは夫々合成樹脂で形成されており、前記外側部材の前記内周面又は前記内側軸部材の前記外周面が相対的に直動自在であって滑り移動自在に接触して当該外側部材の当該内周面又は当該内側軸部材の当該外周面に対して一方の滑り面となる前記軸受ブッシュの前記一方の周面と、当該軸受ブッシュの当該一方の周面に対して相対的に直動自在であって滑り移動自在に接触して前記一方の滑り面となる前記軸受ブッシュの前記一方の周面に対して他方の滑り面となる前記外側部材の前記内周面又は前記内側軸部材の前記外周面とを形成する前記合成樹脂は夫々、締め代に基づく加圧下での前記一方及び他方の滑り面間の摩擦トルクが所定の範囲内に収まる組合せであることを特徴とする滑り軸受構造。
- 前記軸受ブッシュは、その他方の周面で、前記内側軸部材の前記外周面又は前記外側部材の前記内周面に固定的に装着されており、前記軸受ブッシュの前記一方の周面は、前記外側部材の前記内周面又は前記内側軸部材の前記外周面に対して直動自在に接触している請求項1に記載の滑り軸受構造。
- 前記軸受ブッシュの前記一方の周面に対して直動自在に接触する前記内側軸部材の前記外周面又は前記外側部材の前記内周面には、合成樹脂の塗装被膜が形成されている請求項1又は2に記載の滑り軸受構造。
- 前記軸受ブッシュは、金属網状体と、該金属網状体の目に一部が充填された合成樹脂組成物からなる滑り層とを具備しており、該滑り層が前記一方の周面側となるように円筒状に捲回して形成した巻きブッシュ又は鋼裏金と、該鋼裏金上に形成された多孔質焼結層と、該焼結層の細孔に一部が充填された合成樹脂組成物からなる滑り層とを具備しており、該滑り層が前記一方の周面側となるように円筒状に捲回して形成した巻きブッシュからなる請求項1から3のいずれか一項に記載の滑り軸受構造。
- 前記外側部材の前記内周面又は前記内側軸部材の前記外周面と前記軸受ブッシュの前記一方の周面とのうちの少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂から選択された合成樹脂からなる請求項1から4のいずれか一項に記載の滑り軸受構造。
- 締め代量が、零よりも大きく0.25mm以下である請求項1から5のいずれか一項に記載の滑り軸受構造。
- 前記軸受ブッシュは、その一方の周面で前記内側軸部材の前記外周面に滑り移動自在に接触しており、その他方の周面で前記外側部材の前記内周面に固定的に装着されている請求項1から6のいずれか一項に記載の滑り軸受構造。
- 前記軸受ブッシュは、鍔部を有した鍔付きブッシュであって、該鍔部は前記外側部材の一端面に配されている請求項7に記載の滑り軸受構造。
- 締め代量が0.25mm以下である場合の加圧下で、外径13mmの前記内側軸部材を用いて当該内側軸部材を前記軸受ブッシュに対して回転させた場合において、前記一方及び他方の滑り面間の摩擦トルクが3.50Nm以下相当となるような前記合成樹脂の組合わせから、前記軸受ブッシュの前記一方の周面と前記外側部材の前記内周面又は前記内側軸部材の前記外周面とが形成されている請求項1から8のいずれか一項に記載の滑り軸受構造。
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