JP4542639B2 - アルコキシシランとポリシロキサンの併産方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコーン工業における重要な中間体の1つであるアルコキシシランとポリシロキサンとを併産する方法に関し、さらに詳しくは、好ましくない副生物を生成することなく、目的とするアルコキシシランとポリシロキサンとを高収率で同時に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコーン工業における重要な中間体の1つである一般式:
(R1O)bHcSiR3 4−(b+c)
(式中、R1はアルキル基を表し、R3はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、bは1または2を表し、cは0、1または2を表し、b+cは1、2または3を表わす。)で表されるアルコキシシランは、種々の方法で製造されていた。
例えば、特開平1−132590号公報では、一般式:
(R1O)aSiR2 4−a
(式中、R1はアルキル基を表し、R2はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、aは1、2、3または4を表す)で示されるアルコキシシランと、ポリオルガノシロキサンとを、チタン化合物触媒の存在下で反応させることにより製造されていた。
また、特開平7−102066号公報では、上記方法で用いた原料と同一の原料をジルコニウムアルコキシドまたはキレート触媒の存在下に反応させることにより製造されていた。
しかし、これらの方法は、ハロゲンフリーなプロセスであるため、塩化水素やクロルシランを副生しないという長所があり、しかもSi−H結合を有するシランやジメチルアルコキシシランなどの低沸点のアルコキシシランが得られるものの、いずれも下記のような問題点をもっていた。すなわち、
(1)チタン化合物やジルコニウム化合物を触媒としているため、触媒の活性が低く、副反応生成物が多く、目的物の収率が低下する上、精製が煩雑である。
(2)高沸点のアルコキシシランを目的生成物とした場合には、原料のアルコキシシランの沸点と近いために精製が困難であるばかりか収率が著しく低下してしまう。
(3)さらに何が副生しているかが明確でない。
そのため、これまで、かかる従来技術の欠点を解決するために種々の方法が検討されてきたが、それらの方法は、いずれもコスト、収率、精製等の面で充分に満足のいくものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解決し、好ましくない副生物を生成することなく、シリコーン工業における重要な中間体の1つであるアルコキシシランとポリシロキサンとを高収率で同時に製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に鑑み、種々のアルコキシシラン、ポリシロキサンおよび触媒を検討した結果、特定のアルコキシシランとポリシロキサンとを塩基触媒の存在下に反応させると、副生成物が少なく、煩雑な精製工程を要することなしに、一方の目的の反応生成物であるアルコキシシランを高純度かつ高収率で製造することができ、しかも、もう一方の有用な目的の反応生成物であるポリシロキサンを同時に製造することができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものである。
【0005】
すなわち、本発明によれば、一般式:
(R1O)aSiR2 4−a
(式中、R1は炭素数1ないし12のアルキル基を表し、R2は炭素数1ないし20の1価の置換または未置換炭化水素基を表し、aは1〜4の整数を表す)で示される化合物であって、かつ一方の反応生成物であるアルコキシシラン(C)の沸点より高い沸点を有するアルコキシシラン(A)と、一般式:
{(R3 b(O1/2)4−bSi}m
(式中、R3は炭素数1ないし12の1価の置換または未置換炭化水素基を表し、bは1以上4未満の数を表し、2以上である場合は、R 3 は同じでも異なっていてもよく、mは2以上の数を表す)で示されるポリシロキサン(B)とを、塩基触媒の存在下に反応させることにより、一般式:
(R1O)cSiR 3 4−c
(式中、R 1 とR 3 は上記R 1 とR 3 と同一の基を表し、cは1〜3の整数を表す)で示されるアルコキシシラン(C)と、一般式:
{(R1O)d(O1/2)eSiR 2 4−(d+e)}n
(式中、R 1 とR 2 は上記R 1 とR 2 と同一の基を表し、dは0以上で4より小さい数を表し、eは0より大きく4より小さい数を表し、かつd+eは0より大きく4より小さい数を表し、nは1より大きい数を表す)で示されるポリシロキサン(D)とを同時に製造する方法が提供される。
【0006】
さらに、本発明によれば、アルコキシシラン(A)が、一般式:
(R6O)fSiR7 4−f
(式中、R6はメチル基またはエチル基を表し、R7は炭素数1ないし12の1価の置換または未置換炭化水素基を表し、fは1〜3の整数を表す)で示される化合物、或いは一般式:
(R6O)3SiR7
(式中、R6はメチル基またはエチル基を表し、R7は炭素数1ないし12の1価の置換または未置換炭化水素基を表す)で示される化合物、或いは一般式:
(R6O)3Si R8
(式中、R6はメチル基またはエチル基を表し、R8は炭素数6以上の1価の未置換炭化水素基を表す)で示されるトリアルコキシシランであることを特徴とする上記の方法、または、アルコキシシラン(A)が、一方の反応生成物であるアルコキシシラン(C)の沸点より50℃以上高い沸点を有することを特徴とする上記のいずれかに記載の方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、ポリシロキサン(B)が、分子中にフルオロアルキル基を有するもの、例えば1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンであることを特徴とする上記の方法が提供される。
【0008】
さらに、本発明によれば、アルコキシシラン(A)のモル数(X)とポリシロキサン(B)のモル数(Y)とが、[(a×X)/{(4−b)×m×Y}]の比が1.5より小さい比率になるようにすることを特徴とする上記のいずれかに記載の方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明の原料の1つとして用いられるアルコキシシラン(A)は、次の一般式(1):
(R1O)aSiR2 4−a (1)
(式中、R1は炭素数1ないし12のアルキル基を表し、R2は炭素数1ないし20の1価の置換または未置換炭化水素基を表し、aは1〜4の整数を表す。
)で示される化合物である。
式(1)中、R1Oで表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられるが、その中でもメトキシ基やエトキシ基は、反応性が高いので好ましい。また、アルコキシ基の結合数aは、1〜4の整数のものならば何れのものでもよいが、これらのうち結合数が3あるいは4のものは、反応性が高いので好ましい。
また、R2で表される炭素数1乃至20の1価の置換または未置換炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、ベンジル基、スチリル基、スチリルメチル基などのアリール基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、3−イソシアネートプロピル基、カルバメートプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2−(3,4−シクロエポキシヘキシル)エチル基、3−グリシドキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基などの有機反応基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などの置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、本発明では、得られた反応生成物のアルコキシシラン(C)を蒸留等のような簡単な手段により分離し、さらに反応を進行させるようにするため、上記アルコキシシラン(A)としては、その沸点が反応生成物のアルコキシシラン(C)の沸点より高いものを選択することが必須である。
そして、これらの要件を満たす好ましいアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらの化合物のうち、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びフェニルトリエトキシシランは、特に好ましい。
【0011】
本発明のもう1つの原料として用いられるポリシロキサン(B)は、次の一般式(2):
{(R3 b(O1/2)4−bSi}m (2)
(式中、R3は炭素数1ないし12の1価の置換または未置換炭化水素基を表し、bは1以上4未満の数を表し、mは2以上の数を表す)で示される化合物であり、その構造としては、直鎖状、分岐状、或いは環状のいずれのものでもよく、さらには、これらの混合物であってもよい。
式(2)中、R3で表される炭素数1ないし12の1価の置換または未置換炭化水素基としては、前記R2で示したものと同様なものをあげることができるが、特に、メチル基、ビニル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのフルオロアルキル基が好ましい。
このようなポリシロキサンの具体的な例としては、α,ω−ビス(トリメチルシリル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(トリメチルシリル)ポリメチルビニルシロキサン、α,ω−ビス(トリメチルシリル)ポリメチルフェニルシロキサン、α,ω−ビス(トリメチルシリル)ポリジメチルシロキサン−ポリジフェニルシロキサンコポリマー、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタビニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンなどが挙げられる。その中でも、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンは、特に好ましい。
【0012】
本発明に用いられる触媒は、通常、塩基触媒と呼ばれているものであり、これに該当するものとしては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、アルカリ金属シラノレート、アミンなどが挙げられる。
具体的な例としては、水酸化セシウム、水酸化ルビジウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムシラノレート、カリウムシラノレート、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、KNH2、(n−C4H9)4POHなどがある。
これらの塩基触媒は、そのままの形で使用してもよく、またアルコールやケトン、炭化水素等の適当な溶媒に溶解して用いてもよい。また、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネートなどのテトラアルキルチタネート、及びそれらの部分縮合物、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトネート)、ジブトキシチタン(オクチレングリコレート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)などのチタンキレート化合物、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムジブトキシドビスアセチルアセトナート、ジルコニウムモノブトキシドトリスアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシドモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムジブトキシドビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムモノブトキシドトリスエチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラエチルアセトアセテートなどのジルコニウムアルコキシドまたはキレート、その他有機錫化合物などの有機金属触媒などと併用することもできる。
また、塩基触媒の使用量は、所望とする反応速度に応じて適宜決めることができるが、代表的な塩基触媒である水酸化カリウムの場合を例に挙げると、原料化合物を基準として、約0.01〜5重量%、好ましくは、約0.1〜1重量%である。
【0013】
本発明の反応では、原料化合物として用いられるアルコキシシラン(A)とポリシロキサン(B)とのモル比に特に制限がないが、その比率を制御することすることにより、一方の生成物であるポリシロキサンの分子量を任意に制御することができる。
そのため、アルコキシシラン(A)のモル数(X)とポリシロキサン(B)のモル数(Y)とを、[(a×X)/{(4−b)×m×Y}]の比が1.5より小さくなるようにすると、得られたポリシロキサン(D)の分子量を高く制御することができ、その結果シリコーン工業における中間体としての利用価値が拡大するので、好ましい。
【0014】
本発明の反応では、反応温度は、一方の反応生成物であるアルコキシシラン(C)が容易に留出できる温度範囲内から適宜選択することができ、通常は、約60〜300℃、好ましくは100〜200℃である。
また、反応圧力としては、上記目的のために、低圧または高圧を用いることもできるが、一般に常圧下に実施するのが好ましい。
【0015】
本発明における各原料の添加方法としては、アルコキシシラン(A)、ポリシロキサン(B)および塩基触媒を混合した後、これらを加熱して反応させてもよく、またはアルコキシシラン(A)、塩基触媒を混合してあらかじめ加熱しておき、これにアルコキシシラン(A)の残部とポリシロキサン(B)の混合物を滴下して反応させてもよく、あるいは、アルコキシシラン(A)の全部と塩基触媒を混合してあらかじめ加熱しておき、これにポリシロキサン(B)を滴下して反応させてもよい。いずれの場合でも、一方の反応生成物であるアルコキシシラン(C)を迅速に留出させることが特に好ましい。
【0016】
さらに、本発明の方法においては、必ずしも溶媒の存在を必須としないが、反応を円滑に促進するため、溶媒の存在下に反応を行うこともできる。その際、溶媒としては、不活性で、かつ、一方の反応生成物であるアルコキシシランの沸点より高い沸点を有する溶媒、例えば、トルエン、キシレン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、n−メチルピロリドン、エチルベンジルエーテル、テレビン油等が好適に使用される。
【0017】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術思想を利用する実施態様はすべて本発明の範囲に含まれるものである。
【0018】
実施例1
温度計、機械的撹拌機、窒素ガス流入管を接続した滴下ロート、精留管(ラシヒリング充填、長さ30cm)、および蒸留ヘッドを備えた容量300mlの4つ口フラスコに、ヘキシルトリメトキシシラン6.87gおよび水酸化カリウムの10%メタノール溶液10gを加えた。フラスコ内容物を撹拌しながら125℃に加熱し、アルコールを除去した。これにヘキシルトリメトキシシラン61.8gおよび1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン78.0g(0.167mol)の混合物を約1時間かけて滴下した。ただし、その際、使用したヘキシルトリメトキシシランの合計量は68.67g(0.333mol)であり、しかも(1)式のaは3、(2)式でのbは2、mは3であったため、[(a×X)/{(4−b)×m×Y}]は、1.0であった。
次に、滴下後、フラスコ内容物を135℃で3時間撹拌を続けた。滴下開始から加熱撹拌終了までの間に115℃〜125℃の沸点範囲の留分が66.88g得られた。
この留分をガスクロマトグラフィー、マススペクトル、および1H−NMRにより分析したところ、純度99.1%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシランであることが確認された。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に59.7%であった。
また、残分30.87gをIR、1H−NMR、およびGPCにより分析したところ、主成分は、平均分子量約10,000の[C6H13SiO2/3]n(nは約73)であった。
【0019】
実施例2
ヘキシルトリメトキシシランの加熱前の添加量および滴下物への混合量をそれぞれ9.62gおよび86.5gとした以外は、実施例1と同様に行った。ただし、その際、使用したヘキシルトリメトキシシランの合計量は96.12g(0.466mol)であり、(1)式のaは3、(2)式でのbは2、mは3であったため、[(a×X)/{(4−b)×m×Y}]は、1.4であった。
その結果、115℃〜125℃の沸点範囲の留分として純度98.3%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン71.05gが得られた。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に69.1%であった。
また、残分76.8gの主成分は、平均分子量約5,200の[C6H13SiO2/3]n(nは約38)であった。
【0020】
実施例3
ヘキシルトリメトキシシランの替わりにオクチルトリエトキシシランを用い、この加熱前の添加量および滴下物への混合量をそれぞれ12.9gおよび116.1gとし、触媒として水酸化カリウムの10%エタノール溶液10gを用いた以外は、実施例1と同様に行った。ただし、その際、使用したオクチルトリメトキシシランの合計量は129.0g(0.467mol)であり、(1)式のaは3、(2)式でのbは2、mは3であったため、[(a×X)/{(4−b)×m×Y}]は、1.4であった。
その結果、135℃〜165℃の沸点範囲の留分として純度99.3%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン88.65gが得られた。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に76.4%であった。
また、残分92.1gの主成分は、平均分子量約5,000の[C8H17SiO2/3]n(nは約30)であった。
【0021】
実施例4
ヘキシルトリメトキシシランの替わりにヘキシルトリエトキシシランを用い、この加熱前の添加量および滴下物への混合量をそれぞれ10.3gおよび92.2gとした以外は、実施例3と同様に行った。ただし、その際、使用したヘキシルトリエトキシシランの合計量は102.5g(0.413mol)であり(1)式のaは3、(2)式でのbは2、mは3であったため、[(a×X)/{(4−b)×m×Y}]は、1.24であった。
その結果、135℃〜165℃の沸点範囲の留分として純度99.3%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン78.14gが得られた。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に67.4%であった。
また、残分83.9gの主成分は、平均分子量約7,400の[C6H13SiO2/3]n(nは約54)であった。
【0022】
実施例5
ヘキシルトリメトキシシランの替わりにデシルトリエトキシシランを用い、この加熱前の添加量および滴下物への混合量をそれぞれ12.6gおよび113.1gとした以外は、実施例3と同様に行った。ただし、その際、使用したデシルトリエトキシシランの合計量は125.7g(0.413mol)であり(1)式のaは3、(2)式でのbは2、mは3であり、[(a×X)/{(4−b)×m×Y}]は1.24である。
その結果、135℃〜165℃の沸点範囲の留分として純度94.5%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン74.19gが得られた。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に60.8%であった。
また、残分121.5gの主成分は、平均分子量約9,800の[C10H21SiO2/3]n(nは約51)であった。
【0023】
実施例6
温度計、機械的撹拌機、窒素ガス流入管を接続した滴下ロート、精留管(ラシヒリング充填、長さ30cm)、および蒸留ヘッドを備えた容量300mlの4つ口フラスコに、ヘキシルトリメトキシシラン8.59gおよびナトリウムメチラートの72%メタノール溶液1.44gを加えた。フラスコ内容物を撹拌しながら85℃に加熱し、アルコールを除去した。これにヘキシルトリメトキシシラン77.3gおよびオクタメチルシクロテトラシロキサン37.0g(0.125mol)の混合物を約1時間かけて滴下した。ただし、その際、使用したヘキシルトリメトキシシランの合計量は85.89g(0.416mol)であり(1)式のaは3、(2)式でのbは2、mは4であり、[(a×X)/{(4−b)×m×Y}]は1.25である。
次に、滴下後、フラスコ内容物を120℃で3時間撹拌を続けた。滴下開始から加熱撹拌終了までの間に80℃〜85℃の沸点範囲の留分が39.2g得られた。
この留分をガスクロマトグラフィー、マススペクトル、および1H−NMRにより分析したところ、純度98.0%のジメチルジメトキシシランであることが確認された。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に64.0%であった。
また、残分75.3gをIR、1H−NMR、およびGPCにより分析したところ、主成分は、平均分子量約7,100の[C6H13SiO2/3]n(nは約52)であった。
【0024】
実施例7
オクタメチルシクロテトラシロキサンの替わりに1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン43.0gを用いた以外は、実施例6と同様に行った。
その結果、滴下開始から加熱撹拌終了までの間に95℃〜110℃の沸点範囲の留分として純度94.5%のメチルビニルジメトキシシラン42.61gが得られた。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に60.9%であった。
また、残分77.9gの主成分は、平均分子量約7,000の[C6H13SiO2/3]n(nは約51)であった。
【0025】
実施例8
温度計、機械的撹拌機、窒素ガス流入管を接続した滴下ロート、精留管(ラシヒリング充填、長さ30cm)、および蒸留ヘッドを備えた容量300mlの4つ口フラスコに、ドデシルトリメトキシシラン12.1gおよび水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液10gを加えた。フラスコ内容物を撹拌しながら120℃に加熱し、アルコールを除去した。これにヘキシルトリメトキシシラン108.7gおよび1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン68.0gの混合物を約1時間かけて滴下した。
次に、滴下後、フラスコ内容物を260℃で3時間撹拌を続けた。滴下開始から加熱撹拌終了までの間に190℃〜210℃の沸点範囲の留分が62.9g得られた。
この留分をガスクロマトグラフィー、マススペクトル、および1H−NMRにより分析したところ、純度98.5%のメチルフェニルジメトキシシランであることが確認された。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に68.0%であった。
また、残分114.2gをIR、1H−NMR、およびGPCにより分析したところ、主成分は、平均分子量約11,500の[C12H25SiO2/3]n(nは約52)であった。
【0026】
実施例9
オクタメチルシクロテトラシロキサンの替わりに(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}20Si(CH3)3 38.4gを用いた以外は、実施例6と同様に行った。
その結果、50℃〜90℃の沸点範囲の留分としてジメチルジメトキシシラン90.3%とトリメチルメトキシシラン7.8%の混合物40.2gが得られた。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に66.4%であった。
また、残分77.3gの主成分は、平均分子量約7,000の[C6H13SiO2/3]n(nは約51)であった。
【0027】
比較例1
触媒としてテトラブトキシジルコニウム2.8gを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、留分として純度79.6%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン35.2gが得られた。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に27.7%であった。また、残分70.2gには原料ヘキシルトリメトキシシランが約30%含まれていた。
【0028】
比較例2
触媒としてテトラブトキシチタン1.4gを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、留分として純度65.2%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン20.4gが得られた。その収率は、原料ポリシロキサンのSiを基準に13.2%であった。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、特定のアルコキシシランとポリシロキサンとを塩基触媒の存在下に反応させることにより、塩化水素やクロルシランなどの好ましくない副生成物が少なく、かつ煩雑な精製工程を要することなしに、一方の目的の反応生成物であるアルコキシシランを高純度かつ高収率で製造することができ、しかも、もう一方の有用な目的の反応生成物であるポリシロキサンを同時に製造することができるという優れた効果を得ることができる。
Claims (8)
- 一般式
(R1O)aSiR2 4−a
(式中、R1は炭素数1ないし12のアルキル基を表し、R2は炭素数1ないし20の1価の置換または未置換炭化水素基を表し、aは1〜4の整数を表す)で示される化合物であって、かつ一方の反応生成物であるアルコキシシラン(C)の沸点より高い沸点を有するアルコキシシラン(A)と、一般式
{(R3 b(O1/2)4−bSi}m
(式中、R3は炭素数1ないし12の1価の置換または未置換炭化水素基を表し、bは1以上4未満の数を表し、2以上である場合は、R 3 は同じでも異なっていてもよく、mは2以上の数を表す)で示されるポリシロキサン(B)とを、塩基触媒の存在下に反応させることにより、一般式
(R1O)cSiR 3 4−c
(式中、R 1 とR 3 は上記R 1 とR 3 と同一の基を表し、cは1〜3の整数を表す)で示されるアルコキシシラン(C)と、一般式
{(R1O)d(O1/2)eSiR 2 4−(d+e)}n
(式中、R 1 とR 2 は上記R 1 とR 2 と同一の基を表し、dは0以上で4より小さい数を表し、eは0より大きく4より小さい数を表し、かつd+eは0より大きく4より小さい数を表し、nは1より大きい数を表す)で示されるポリシロキサン(D)とを同時に製造する方法。 - アルコキシシラン(A)は、一方の反応生成物であるアルコキシシラン(C)の沸点より50℃以上高い沸点を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
- アルコキシシラン(A)は、一般式
(R6O)fSiR7 4−f
(式中、R6はメチル基またはエチル基を表し、R7は炭素数1ないし12の1価の置換または未置換炭化水素基を表し、fは1〜3の整数を表す)で示される化合物であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の方法。 - アルコキシシラン(A)は、一般式
(R6O)3SiR7
(式中、R6はメチル基またはエチル基を表し、R7は炭素数1ないし12の1価の置換または未置換炭化水素基を表す)で示される化合物であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の方法。 - アルコキシシラン(A)は、一般式
(R6O)3SiR8
(式中、R6はメチル基またはエチル基を表し、R8は炭素数6以上の1価の未置換炭化水素基を表す)で示されるトリアルコキシシランであることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の方法。 - ポリシロキサン(B)は、分子中にフルオロアルキル基を有するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
- ポリシロキサン(B)は、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
- アルコキシシラン(A)のモル数(X)とポリシロキサン(B)のモル数(Y)とは、[(a×X)/{(4−b)×m×Y}]の比が1.5より小さい比率になるようにすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
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