JP4542435B2 - 金属板材の熱間プレス成形方法およびその装置 - Google Patents
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しかし、近年におけるプレス製品、特に自動車部品には軽量化等の観点から高強度化が求められており、これにより成形性の低下、特にスプリングバック等の発生による形状凍結性の低下を招来し、複雑な形状をしたプレス製品を製造することが困難となっている。
(A)冷間プレスにおいては、伸びが生じた部分の変形抵抗は加工硬化により向上するが、熱間プレスでは金属板材を高温に加熱するため、金属板材の変形抵抗が低く、一旦成形に伴う伸びを生じると当該部分の断面積が小さくなるため、伸びにより板厚が減少する部分の変形抵抗はますます低くなり、当該部分に破断が生じること。
(B)しかし、成形に伴う伸びにより板厚が減少する部分Aの温度を下げて、当該部分Aの変形抵抗を強制的に上げることができれば、当該部分Aよりも変形抵抗の低い他の部分Bが伸びるので、当該部分Aにおける負荷が軽減し、当該部分Aにおける破断を防ぐことができること。詳細には、当該部分Aにこれ以上伸びが生じない程度に変形抵抗を高めれば、当該部分Aにおいては伸びが生じず破断が発生することもなく、また、そこまで変形抵抗を高めなくても、成形に伴う伸びおよびこれによる強度の低下こそ生じるが、強度の上昇した分、破断が発生しにくいこと。
(D)したがって、伸びにより板厚が減少する部分Aに対しては適当な値の変形抵抗を与え、当該部分Aよりも相対的に変形抵抗の低い他の部分Bを伸ばしてやり、これにより伸びが生じて板厚が薄くなる当該部分Bに対しては新たに変形抵抗を与え、当該部分Bよりも相対的に変形抵抗の低い他の部分Cを伸ばしていくという操作を繰り返すことにより、被成形材たる金属板材の局所的な減肉や破断を生ずることなく、次々と変形抵抗の低い部分を伸ばしていくことができ、ひいては熱間プレスによるドロー成形や曲率の厳しいフォーム成形が可能となること。
(F)すなわち、伸びを生じさせたくない部分Dの変形抵抗をあらかじめ高めておき、当該部分Dよりも相対的に変形抵抗の低い他の部分Eを伸ばしてやり、これにより伸びが生じて板厚が薄くなる部分Eに対しては新たに変形抵抗を高めてやり、当該部分Eよりも相対的に変形抵抗の低い他の部分Fを伸ばしていくという操作を繰り返すことにより、被成形材たる金属板材の局所的な減肉や破断を生ずることなく、次々と変形抵抗の低い部分を伸ばしていくことができ、ひいては熱間プレスによるドロー成形、曲率の厳しいフォーム成形等の成形加工が可能となること。
(H)また、前記冷媒吐出を、冷媒の吐出量、吐出流速、吐出圧力、吐出時間、吐出タイミングから選択される1又は2以上のパラメータを制御し、かつ、各冷媒吐出口毎にまたは複数の冷媒吐出口からの冷媒吐出をグループ化してグループ毎に独立に制御すれば、冷媒吐出による冷却の熱伝達係数を自在に可変することが可能であり、これによって被成形材各部の伸びや板厚を自在に制御することが可能であること。
図1は、金属板材が鋼板である場合、鋼板の冷却開始温度と冷却速度を制御することにより鋼板の組織を制御できることを示す炭素鋼のCCT曲線の一例である。例えば、冷却開始温度T1から鋼板を冷却する場合、冷却カーブ1に従って冷却するとノーズ(変態の境界線)の外側を通るため、鋼材中のほとんどがマルテンサイトになり高強度の組織が得られる。一方、冷却カーブ2に従って冷却するとノーズの内側を通るためにフェライトとセメンタイトを析出するため、冷却後に得られる鋼材中のマルテンサイトの割合が減少し、比較的低強度の組織が得られる。また、冷却開始温度をT1より低いT2として、冷却カーブ2と同じ冷却速度である冷却カーブ3に従って冷却すると、冷却カーブ2の場合よりも少ない割合でフェライトとセメンタイトを析出するため、冷却後に得られる鋼材中のマルテンサイトの割合が冷却カーブ2の場合よりは多く冷却カーブ1の場合よりは少なくなって中程度の強度の組織が得られる。
このため、前記金型からの冷媒吐出によって、成形中と成形後のいずれか一方又は両方における金属板材の冷却速度を成形品部位毎に異ならせれば、成形品部位毎の強度が異なるプレス成形品を得ることができるのである。
(2)加熱した金属板材を金型を用いて成形する熱間プレス成形方法において、成形に伴う伸びにより板厚が薄くなる部分と成形に伴う伸びが不要な部分のいずれか一方又は両方を、金型表面に設けた複数の冷媒吐出口からの冷媒吐出、または、金型表面に設けた複数の冷媒吐出口からの冷媒吐出と冷媒回収口からの冷媒回収により当該部分の変形抵抗を上げ、当該部分よりも変形抵抗の低い部分を延伸加工し、これにより新たに板厚が薄くなる部分については前記操作を繰り返すことにより、次々と変形抵抗の低い他の部分を延伸加工してドロー成形やフォーム成形を行うことを特徴とする熱間プレス成形方法。
(5)前記冷媒吐出を、パンチ押し込み量と同期させて制御することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の熱間プレス成形方法。
(6)パンチ押し込み量が同一となる位置関係にある複数の冷媒吐出口における冷媒吐出を同一に制御することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の熱間プレス成形方法。
(8)前記鋼板が、マルテンサイト変態またはベイナイト変態をする鋼板であることを特徴とする前記(7)に記載の熱間プレス成形方法。
(9)前記冷媒が、水、多価アルコール類、多価アルコール類水溶液、ポリグリコール、引火点120℃以上の鉱物油、合成エステル、シリコンオイル、フッ素オイル、滴点120℃以上のグリース、鉱物油若しくは合成エステルに界面活性剤を配合した水エマルションの1種又は2種以上、または空気、窒素、二酸化炭素、不活性ガスの1種又は2種以上の混合気体であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の熱間プレス成形方法。
(11)前記冷媒供給管の開閉弁、流量調整弁および圧力調整弁をダイセットに設置したことを特徴とする前記(10)に記載の熱間プレス成形装置。
(13)前記金型が、表面に複数の冷媒回収口を備え、内部に各冷媒回収口と連通する冷媒回収管を配した金型であることを特徴とする前記(10)〜(12)のいずれか1項に記載の熱間プレス成形装置。
(14)前記金型が、表面に面積率が1〜90%、直径又は外接円の直径が10μm〜5mm、高さが5μm〜1mmの突起部を複数有することを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれか1項に記載の熱間プレス成形装置。
すなわち、従来においては、図2に示す構成のプレス成形装置を用いて深絞り成形等を行うと、図3(a)に示すように、成形の進捗に従って被成形材たる金属板材1に局所的な減肉(ネッキング)が生じて、最終的には当該減肉が生じた部分において破断を生じるが、本発明は、図3(b)に示すように、例えば、成形によって伸びが生じて板厚が薄くなる部分、すなわち破断しやすい部分について、金型表面に設けた複数の冷媒吐出口12からの冷媒吐出による冷却により当該部分の変形抵抗を上げ、当該部分よりも変形抵抗の低い部分を伸ばし、これにより新たに板厚が薄くなる部分については前記操作を繰り返すことにより、次々と変形抵抗の低い部分を伸ばしていき、深絞り成形を代表とするドロー成形を可能とする画期的なものである。なお、図3(b)は本発明の原理を模式的に示す概略説明図であり、本図においては黒丸で示した位置にある冷媒吐出口12から冷媒を吐出していることを模式的に示している。
本発明に係る熱間プレス成形装置を構成する金型は、図2に示すように、ダイス3、パッド5、ダイスホルダー9およびダイベース7を備えた上型と、パンチ4、板押さえ6、パンチホルダー10およびダイベース8を備えた下型とから構成される。なお、ダイスホルダー9はパッドホルダーを、パンチホルダー10は板押さえホルダーをそれぞれ兼ねており、以降は、これら一式をダイセット11と称する。なお、図2(b)は、装置の構成を明確にするためにダイスホルダーとパンチホルダーを省略して記載した図である。
本発明に係る冷媒吐出機能を有する金型は、図4に示すように被成形材たる金属板材1に冷媒を吐出するための複数の冷媒吐出口12を表面に備え、内部には前記冷媒吐出口12と連通し、かつ、開閉弁14、流量調整弁15および圧力調整弁16の少なくとも1つを備えた冷媒供給管13を配している。
なお、図4はパンチ4の縦壁部に冷媒吐出口12を設けた例であるが、頂部に設けてもよいし、縦壁部と頂部の両方に設けてもよい。これは、板押さえ6に冷媒吐出口12を設ける場合についても同様である。一方、上型であるダイス3やパッド5に冷媒吐出口12を設ける場合には、底部に設けてもよいし、縦壁部と底部の両方に設けてもよい。
また、冷媒供給管13は冷媒吐出口12と連通していれば冷媒吐出機能を果たすため、冷媒吐出口12や冷媒供給管13を金型に穿孔する代わりに、金型内部から外表面に貫通する気孔を有する多孔質金属に冷媒供給管13を接続してもよい。なお、この場合には、肉厚方向に貫通する直径100μm〜1mm、ピッチ100μm〜10mmの孔を複数有する多孔質金属を使用することが望ましい。例えば、図4に示す構成のパンチ4において、中子20をダイス鋼とし、パンチ4を多孔質金属とすれば、微細でピッチの小さな冷媒吐出口12および冷媒供給管13を形成することができる。なお、このような多孔質金属は、粉末を成形後に焼結するか、金属を溶融させた後、温度制御により凝固組織の方向を一定にする一方向凝固によって製造することができる。
一般に冷媒による冷却能力については熱伝達係数αを用いて表すことができ、当該熱伝達係数α、冷媒の吐出量Q、吐出流速U、吐出圧力Pおよび吐出時間Tとの関係は以下の式により表すことができる。なお、f、g、hは、それぞれ関数を表し、例えば、熱伝達係数αは冷媒の吐出量Qの関数として成立することを示す。
熱伝達係数α =f(冷媒の吐出量Q) ・・・ (1)
冷媒の吐出量Q =g(吐出流速U、吐出時間T) ・・・ (2)
吐出流速U =h(吐出圧力P) ・・・ (3)
なお、前記弁は応答性を良好に保つために冷媒吐出口12に近い金型内部に内蔵してもよいが、弁の調整を行うたびに金型を分解する手間を要するため、ダイセット11に設置することが望ましい。
また、本発明に係る冷媒吐出機能を有する金型からの冷媒吐出により、プレス開始後においては金属板材各部の冷却速度を自在に可変することができるので、プレス成形品各部の強度を目的に合わせて任意に設定することができる。具体的には、強度が必要な部位に対しては、冷却速度を上昇させることによりマルテンサイト変態またはベイナイト変態による高強度化を図ることができる一方、穴加工(ピアス)や切断加工(トリム)等の後加工が必要な部位、すなわち強度が不要な部位に対しては、プレス開始後における冷却速度を弱めることにより、焼入れ硬度を低下させることができる。また、成形中と成形後のいずれか一方又は両方における金属板材の冷却速度を成形品部位毎に異ならせれば、成形品部位毎の強度が異なるプレス成形品を得ることもできる。
さらには、柱状のプレス製品を成形する場合には、パンチ押し込み量が同一となる位置関係にある複数の冷媒吐出口からの冷媒吐出をグループ化してグループ毎に制御すれば、成形性を向上させることが可能である。また、グループ化することによって、制御の効率化も図ることができる。
なお、冷媒回収口17および冷媒回収管18は、前記した冷媒吐出口12や冷媒供給管13の形成方法と同様の方法により形成することができる。また、冷媒回収口17はパンチ4の頂部に設けてもよいし、縦壁部と頂部の両方に設けてもよい。これは、板押さえ6に冷媒回収口17を設ける場合についても同様である。一方、上型であるダイス3やパッド5に冷媒回収口17を設ける場合には、底部に設けてもよいし、縦壁部と底部の両方に設けてもよいが、縦壁部に設けた方が被成形材に吐出した冷媒を効率よく回収することができる。
なお、図5および6に例示した突起部19は、金型の成形面に所定の間隔で設けた円柱状の形状であるが、水平断面の形状は、円状、多角形状、星型形状のいずれかであることが望ましく、垂直断面の形状は、長方形又は台形であることが望ましく、半球状でもよい。
なお、前記突起部19は、成形面の表面にそのまま形成してもよいが、成形条件によっては、突起部の形状が成形品に転写されて成形品の表面性状を害することがあるので、突起部周囲の金型部分を除去して窪みを形成するか、図7に示すように突起部形成位置における金型部分に突起部の高さと一致する深さの窪みを形成し、当該窪みに突起部19を形成することが望ましい。
突起部の水平断面形状が円状である場合には突起部19の直径、多角形状又は星型形状である場合には突起部の外接円の直径が10μm〜5mmであることが望ましい。突起部の直径又は外接円の直径が10μm未満では突起部の摩耗が大きく、長期間にわたり効果を発揮することができず、5mmを超える場合は均一に冷却することができない。
突起部19の高さは、5μm〜1mmであることが望ましい。突起部の高さが5μm未満では被成形材との隙間が小さすぎるため、金型と被成形材の間に冷媒を循環させることが困難であり、1mmを越す場合は隙間が過大となり、冷媒の熱伝導による冷却速度が低下する。
化学エッチングは、可視光硬化型感光性樹脂を金型表面に塗布、乾燥した後、可視光を遮断するマスクで被覆して可視光を照射し、照射部を硬化させ、硬化部以外の樹脂を有機溶剤により除去する方法である。例えば、塩化ナトリウム水溶液等のエッチング液に金型表面を1〜30分程度浸漬し、エッチングすればよい。突起部の直径又はピッチは可視光を遮断するマスクの形状によって適宜選択することが可能であり、突起部の高さはエッチング時間によって適宜調整することができる。
放電加工は、目的とする突起部形状を反転させた凹部を表面パターンとして有する銅電極を金型に対向して設置し、電流ピーク値、パルス幅を変え、直流パルス電流を流す加工方法である。好ましい電流値は2〜100A、パルス幅は2〜1000μsecであり、金型材質、及び所望の突起部形状に応じて、適宜調整すればよい。
めっき法の場合、半球状突起部の直径を10μm以上とするため、めっきの厚みを10μm以上とすることが好ましく、上限は剥離を防止するため80μm以下とすることが望ましい。めっき層は、アルカリ脱脂し、めっき液中で金型を陽極として電解処理する電解エッチングを行った後、所定の浴温、電流密度で形成することができる。なお、クロムめっきの場合はクロムめっき液中で、電流密度1〜200A/dm2程度、浴温30〜60℃程度、NiWめっきの場合は、NiWめっき液中、電流密度1〜100A/dm2程度、浴温30〜80℃程度の条件にすれば、10〜80μmの厚みのめっき層を設けることができる。なお、半球状凸形状を有するめっき層を形成するには、例えば、電流密度を段階的に増加させた後、一定電流密度でめっきすればよい。
当該制御装置23としては、特に限定されるものではなく、前記冷媒供給管13に備えた開閉弁14、流量調整弁15および圧力調整弁16の開閉を制御できるものであれば、機械的、電子的手段を問わず、あるいはこれらを複合させた手段であってもよい。例えば、これらの弁機構にリレースイッチを採用し、当該リレースイッチの開閉(オン・オフ)を計算機(コンピュータ)により制御することにより、前記冷媒供給管13と連通する冷媒吐出口12からの冷媒吐出、結果的には当該冷媒吐出口12における熱伝達係数αを調整することができる。
また、柱状のプレス製品を成形する場合には、パンチ押し込み量が同一となる位置関係にある複数の冷媒吐出口12における冷媒吐出を同一にすることにより成形性が向上するので、この場合には、パンチ押し込み量が同一となる位置関係にある複数の冷媒吐出口12と連通する冷媒供給管13の開閉弁等の制御を同一にすることが望ましい。
本発明で用いる被成形材は金属板材1であり、Alめっき鋼板、Znめっき鋼板、高強度鋼板、普通鋼等のいずれの鋼板にも適用することができる。
また、マルテンサイト変態またはベイナイト変態をする鋼板であれば、冷媒吐出による焼入れにより高強度化を図ることができるので、マルテンサイト変態またはベイナイト変態をする鋼板が望ましい。なお、冷媒吐出時に必ずしも変態する必要はなく、成形後に変態してもかまわない。
被成形材を加熱する方法としては、特に限定されるものではなく、被成形材をA1変態点以上に加熱できる方法であれば、電気炉、ガス炉での加熱や火炎加熱、通電加熱、高周波加熱、誘導加熱等のいずれの方法でもよい。
なお、冷媒は、液体でも気体でもよい。冷媒として気体を用いる場合、熱伝達係数が低いので、比較的加工の厳しくない場合や、マルテンサイト変態、ベイナイト変態させない場合に限られる。また、表面の酸化を避けるために活性の低い窒素、CO2、不活性ガスを用いることが望ましい。さらに、冷媒が気体である場合は、成形品や熱間プレス成形装置に付着して残ることがないので、不必要な汚れやさびなどを生じさせることが少ないという効果がある。
本実施例は、図2に記載した熱間プレス成形装置を用いて、図8(b)に示す円筒絞り成形品を成形した例を示すものであり、被成形材には加熱炉の中で900℃(保定時間5分)に加熱した図8(a)に示す板厚1.6mm、半径140mmの0.2%C鋼板(初期破断強度500MPa相当)を用いた。なお、成形品は頂部、縦壁部およびフランジ部とから構成され、縦壁部の高さは20mmである。
また、金型は、ダイス3と板押さえ4に冷媒吐出機能を持たせたものを使用し、ダイス3については縦壁部と底部、板押さえ4については頂部に、それぞれ孔径2mm、ピッチ5mmで均等に配置した冷媒吐出口12を形成している。冷媒吐出能力については、熱伝達係数αが1000と3000kcal/m2hr℃のいずれかになるように弁を調整して流量を調節した。
また、金型成形面には、面積率が50%、高さが1mm、直径が2mm、水平断面形状が円状で垂直断面形状が長方形の突起部19を形成している。また、パンチ4は直径70mmを使用し、成形速度は10mm/secとした。
表1比較例1の冷媒吐出制御タイミングは図9(a)に、以下同様に、表1比較例2は図9(b)に、表1発明例1は図9(c)に、表1発明例2は図9(d)に、表2比較例3および発明例3は図10(a)に、表2発明例4は図10(b)に、表2発明例5は図10(c)に、表2発明例6は図10(d)に、同様に表3発明例7は図11(a)に、表3発明8は図11(b)に、表3発明例9は図11(c)に、表3発明例10は図11(d)に、それぞれ示す。これらの図において、それぞれ、黒丸は熱伝達係数3000kcal/m2hr℃狙いで弁を調節したこと、ハッチングした丸は熱伝達係数1000kcal/m2hr℃狙いで弁を調節したことを示している。加工中に冷却を施さなかった比較例1および2では破断が生じ、成形不良が生じた。また、加工中に冷却を施した比較例3においても成形不良が生じたが、冷媒吐出と同期すべきパンチ押し込み量を変更して、冷媒吐出制御タイミングを調整した発明例3においては成形性の改善が図られている。また、発明例1〜10に示された加工中に適宜冷却を施したものは成形性、強度とも問題はなく、所定の条件のものを得ることができた。
4 パンチ 5 パッド
6 板押さえ 7 ダイベース(上型)
8 ダイベース(下型) 9 ダイスホルダー
10 パンチホルダー 11 ダイセット
12 冷媒吐出口 13 冷媒供給管
14 開閉弁 15 流量調整弁
16 圧力調整弁 17 冷媒回収口
18 冷媒回収管 19 突起部
20 中子 21 シール
22 金型全体冷却部 23 制御装置
Claims (14)
- 加熱した金属板材を金型を用いて成形する熱間プレス成形方法において、
金属板材の少なくとも一部分をプレス成形加工中に、金型表面に設けた複数の冷媒吐出口からの冷媒吐出、または、金型表面に設けた複数の冷媒吐出口からの冷媒吐出と冷媒回収口からの冷媒回収により当該部分の変形抵抗を上げ、当該部分よりも変形抵抗の低い部分を延伸加工し、これにより板厚が薄くなる部分については前記操作を繰り返すことにより、次々と変形抵抗の低い他の部分を延伸加工してドロー成形やフォーム成形を行うことを特徴とする熱間プレス成形方法。 - 加熱した金属板材を金型を用いて成形する熱間プレス成形方法において、
成形に伴う伸びにより板厚が薄くなる部分と成形に伴う伸びが不要な部分のいずれか一方又は両方を、金型表面に設けた複数の冷媒吐出口からの冷媒吐出、または、金型表面に設けた複数の冷媒吐出口からの冷媒吐出と冷媒回収口からの冷媒回収により当該部分の変形抵抗を上げ、当該部分よりも変形抵抗の低い部分を延伸加工し、これにより新たに板厚が薄くなる部分については前記操作を繰り返すことにより、次々と変形抵抗の低い他の部分を延伸加工してドロー成形やフォーム成形を行うことを特徴とする熱間プレス成形方法。 - 成形中と成形後のいずれか一方又は両方における金属板材の冷却速度を所定の冷却手段によって成形品部位毎に異ならせることにより、成形品部位毎の強度が異なるプレス成形品を得ることを特徴とする請求項1または2に記載の熱間プレス成形方法。
- 前記冷媒吐出について、各冷媒吐出口毎にまたは複数の冷媒吐出口からの冷媒吐出をグループ化してグループ毎に冷媒の吐出量、吐出流速、吐出圧力、吐出時間、吐出タイミングから選択される1又は2以上のパラメータを用いて制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱間プレス成形方法。
- 前記冷媒吐出を、パンチ押し込み量と同期させて制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱間プレス成形方法。
- パンチ押し込み量が同一となる位置関係にある複数の冷媒吐出口における冷媒吐出を同一に制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱間プレス成形方法。
- 前記金属板材が、鋼板であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱間プレス成形方法。
- 前記鋼板が、マルテンサイト変態またはベイナイト変態をする鋼板であることを特徴とする請求項7に記載の熱間プレス成形方法。
- 前記冷媒が、水、多価アルコール類、多価アルコール類水溶液、ポリグリコール、引火点120℃以上の鉱物油、合成エステル、シリコンオイル、フッ素オイル、滴点120℃以上のグリース、鉱物油若しくは合成エステルに界面活性剤を配合した水エマルションの1種又は2種以上、または空気、窒素、二酸化炭素、不活性ガスの1種又は2種以上の混合気体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱間プレス成形方法。
- 加熱した金属板材を金型を用いて成形する熱間プレス成形装置において、
表面に複数の冷媒吐出口を備え、内部に各冷媒吐出口と連通し、かつ、開閉弁、流量調整弁および圧力調整弁の少なくとも1つを備えた冷媒供給管を配した金型と、
前記冷媒供給管に備えた開閉弁、流量調整弁および圧力調整弁の少なくとも1つを制御することにより各冷媒吐出口からの冷媒吐出を制御する制御手段を備え、
当該制御手段が各冷媒吐出口からの冷媒吐出を制御することによって、プレス成形加工中における金属板材の少なくとも一部分の変形抵抗を上げ、当該部分よりも変形抵抗の低い部分を延伸加工し、これにより板厚が薄くなる部分については前記制御手段が前記操作を繰り返すことにより、次々と変形抵抗の低い他の部分を延伸加工してドロー成形やフォーム成形を行うことを特徴とする熱間プレス成形装置。 - 前記冷媒供給管の開閉弁、流量調整弁および圧力調整弁をダイセットに設置したことを特徴とする請求項10に記載の熱間プレス成形装置。
- 前記冷媒供給管に備えた開閉弁、流量調整弁および圧力調整弁の少なくとも1つを制御することにより各冷媒吐出口からの冷媒吐出を制御する制御手段が、パンチ押し込み量と同期させて各弁を制御する装置であることを特徴とする請求項10または11に記載の熱間プレス成形装置。
- 前記金型が、表面に複数の冷媒回収口を備え、内部に各冷媒回収口と連通する冷媒回収管を配した金型であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の熱間プレス成形装置。
- 前記金型が、表面に面積率が1〜90%、直径又は外接円の直径が10μm〜5mm、高さが5μm〜1mmの突起部を複数有することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の熱間プレス成形装置。
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