JP2004025247A - 高強度化部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高強度のプレス成形部品を、高精度且つ低コストで製造可能な高強度化部品の製造方法を提供する。
【解決手段】低炭素鋼からなる鋼板を、300℃以上に加熱後、金型でプレス成形すると共に、当該プレス成形中に鋼板の冷却を行うことで、上記成形後の鋼板の少なくとも一部分を高強度化した高強度化部品を製造する方法である。上記高強度化する部位について、付与歪量を0.1以上、プレス成形定常時の歪付与速度を毎秒0.1以上、プレス成形時の鋼板表面での冷却速度を毎秒20℃以上に設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】低炭素鋼からなる鋼板を、300℃以上に加熱後、金型でプレス成形すると共に、当該プレス成形中に鋼板の冷却を行うことで、上記成形後の鋼板の少なくとも一部分を高強度化した高強度化部品を製造する方法である。上記高強度化する部位について、付与歪量を0.1以上、プレス成形定常時の歪付与速度を毎秒0.1以上、プレス成形時の鋼板表面での冷却速度を毎秒20℃以上に設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形による歪導入、及び鋼板の冷却によって、所定の形状に成形すると共に鋼に強化処理を施す製造方法であり、少なくとも一部分に高い強度が必要とされる部品、例えば、自動車の構造部品等を製造するための高強度化部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の衝突安全性対策や、環境および省エネ対策から、自動車ボディーに対し強度向上と軽量化とを同時に確保したいという要求がある。これに応じて、従来、高強度鋼板を用いて高強度化と軽量化を目指してきた。
しかし、自動車部品は、主にプレス成形にて製造されており、素材鋼板の高強度化により成形性が阻害されることで、成形後の部品形状精度が低下したり、生産コストが上昇するといった問題があった。
【0003】
これを解決する手段として、例えば特開平10−96031号公報には、部品の成形後に焼入処理を行うプレスクエンチ法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、部品を目的の形状に成形した後に、加熱・冷却の熱処理を行う方法では、板状素材での加熱と異なり、所定形状を持った部品の加熱処理となることから、加熱装置が大型化したり、また加熱ムラによる不具合が起こりやすく、強度の安定した部品の製造が難しいという問題があった。
【0005】
また、金型拘束状態で油(冷却媒体)にドブ漬けして冷却するため、装置外周への油の飛散等に対する対策を施す必要があり、コスト高の要因となっている。また、特開昭52−35756号公報にはブレーキディスクの製造方法ではあるが、予め素材を焼入れ温度に加熱し、その素材を上下の金型間に挿入し、この素材を焼入温度の状態で縁切り、絞り、孔穿け等の成形打ち抜き工程を完了させ、同時にこの上下金型間の加圧状態を継続して、成形された素材に連続して焼入れを行うようにしたことを特徴とする方法も開示されている。
【0006】
この方法では、プレス機に冷却水通路を備える構成を採用することで、成形完了後、上下型の加圧状態を維持して、冷却水の低温冷却作用で焼入れを完了できるため、上記のような油へのドブ漬けによる冷却を必要とせず、加熱むらの問題が少なく、また装置外周への油の飛散などに対する対策を施す必要はない。しかしながら、特開昭52−35756号公報の方法を、自動車の構造部品等の製造に多用されている、比較的炭素含有量が低く且つ焼きが入り難い低炭素鋼からなる鋼板に適用しても、焼入れ性の確保が困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、高強度のプレス成形部品を、高精度且つ低コストで製造可能な高強度化部品の製造方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、成形前に加熱を行い、プレス成形によって鋼板各部位に付与される塑性歪と冷却処理との効果でプレス部品の高強度化を行うことで、高強度のプレス成形部品を、高精度、低コストで製造する方法である。
すなわち、本発明の高強度化部品の製造方法は、低炭素鋼からなる鋼板を、300℃以上に加熱後、金型でプレス成形すると共に、当該プレス成形中に鋼板の冷却を行うことで、上記成形後の鋼板の少なくとも一部分を高強度化した高強度化部品を製造する方法であって、
上記高強度化する部位について、付与歪量を0.1以上、プレス成形定常時の歪付与速度を毎秒0.1以上、プレス成形時の鋼板表面での冷却速度を毎秒20℃以上に設定したことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、上記付与歪は、塑性変形による歪であり、相当塑性ひずみで表したものである。
なお、塑性ひずみを(ε1″、ε2″、ε3″)とすると、
相当塑性ひずみはεeqは、
εeq =√(2/3)・√(ε1″2 +ε2″2 +ε3″2 )
で表される。
【0010】
また、上記歪付与速度とは、歪付与の速度である。
発明者らは、高強度部品の製造に関わる問題点、主にプレス成形前に加熱処理を行い、プレス成形後に冷却して高強度化する際の形状変形、寸法精度の劣化原因について詳細に調査・研究を行った。
前述のように、上記問題はプレス機に冷却水水路を備える構成を採用し、成形完了後、上下型の加圧状態を維持して冷却水の低温冷却作用で冷却を行えば緩和できる。
【0011】
しかし、従来の知見において、一般に、金型接触での冷却速度は、通常の油等の冷材使用の焼入処理と比較して大輻に遅く、十分な焼入強度を得ることは困難であるとされてきた。実際、発明者らの実験でも、水冷金型を用いた場合における鋼板の冷却速度は、高々毎秒40℃程度であり、この冷却速度では、自動車用構造材等に使用される低炭素鋼(C:0.2%程度)に対し、成形後の通常の冷却処理では十分な焼入強度を確保することはできない。
【0012】
しかしながら、発明者らは熱間・温間プレスについて詳細に研究を行った結果、プレス成形中に鋼板を冷却する、すなわち、プレス成形による歪の導入と冷却とを同時期に行い、このときの、冷却速度、付与歪量および歪付与速度を制御することで、プレス成形性を損なわずに、プレス部品における特定部位の強度を向上できることを見いだした。
【0013】
この発明は上記知見に立脚するものである。
ここで、本発明におけるプレス開始時の鋼板温度は、300℃以上、好ましくは600℃以上である。300℃以上としている理由は、300℃未満の温度であると本発明のプレス成形時に鋼強化の効果が無くなるか小さいためである。プレス成形前の鋼板温度の上限については特に限定はないが、金型の耐久性や加熱設備の問題から、1000℃以下とすることが好ましい。
【0014】
また、プレス成形時の鋼板の冷却において、プレス開始時からプレス終了時迄の定常時の冷却速度を毎秒20℃以上としているのは、毎秒20℃未満であると鋼強化効果が得られないか小さいためである(図6参照)。ここでの冷却速度は、鋼板全体でなく、高強度化する部分での表面冷却速度である。上限は特に規定しないが、毎秒100℃を越えると、歪を付与せずとも焼入強化ができるので、本発明が効果的である範囲は、毎秒100℃以下である。
【0015】
また、プレス時に鋼板に付与される歪付与量、および、歪付与速度であるが、本発明による鋼強化は、プレス時に導入される歪付与量が0.1未満であると通常の焼入効果と比較して際だった効果が無くなるため、その下限を0.1とする(図4参照)。上限については、鋼強化の効果を得るという観点からは特に規定はされないが、成形可能な範囲とする必要がある。
【0016】
歪付与速度については、本発明の効果を得るためには、毎秒0.1以上必要であったので、毎秒0.1以上と規定している(図5参照)。発明の効果を得るという点からは特に上限は規定されないが、通常、プレス機の有する能力等で実質的に制限される。
なお、歪付与完了時に鋼板温度が400℃を越える場合は、鋼硬化の効果を十分に得るため、そのまま型中で400℃以下となるまで冷却することが好ましい。
【0017】
また、本発明に用いる鋼板は、自動車の構造部品等の用途に要求されるプレス成形性を確保するため、低炭素鋼からなる鋼板としている。
その対象とする鋼板は、次のものが好ましい。すなわち、少なくとも、C:0.01〜0.5質量%、Mn:0.2〜2.0質量%を必須成分として含有する低炭素鋼板である。
【0018】
上記好ましい成分限定の理由について説明する。
Cは、焼入れ後の鋼の強度を決定する重要な元素である。その含有量が0.01質量%未満では本発明による焼入では効果が十分に発揮されないため、Cの好ましい下限量を0.01質量%としている。一方、含有量が増えるとプレス成形性を阻害する。この観点から好ましい上限値を0.5質量%としている。より良好な加工性と焼入強度を両立させるためには、0.05質量%以上、0.3質量%以下がより好ましい。
【0019】
Mnは、鋼の焼入性を向上させる効果があるが、多量の添加は加工性を劣化させる。この観点から、好ましい添加範囲を、0.2質量%〜2.0質量%としている。
また、対象とする鋼板を構成する低炭素鋼は、上記必須成分の他に下記成分を1種以上含有してもよい。
Si :0.02〜5.0質量%
Al :0.02〜5.0質量%
Cr :0.02〜2.0重量%
Ca :0.0005〜0.01質量%
REM:0.0005〜0.05質量%
Nb :0.002〜0.2質量%
Ti :0.002〜0.2質量%
Mo :0.002〜1.0質量%
V :0.002〜1.0質量%
B :0.0002〜0.005質量%
Siは、マルテンサイトを生成させ焼入の効果を確保するために有用な元素であると同時に固溶強化作用と脱酸作用を有する。この効果を得るためには0.02質量%以上含有することが好ましいが、5.0質量%を越えて含有させても上記効果は飽和するばかりか、鋼を脆化させるため、添加する場合、その上限を5.0質量%とすることが好ましい。
【0020】
Alは、Siと同じくマルテンサイトを生成させ焼入の効果を確保するために有用な元素であると同時に固溶強化作用と脱酸作用を有する。この効果を得るためには0.02質量%以上含有することが好ましいが、5.0質量%を越えて含有させても上記効果は飽和するばかりか、鋼を脆化させるため、また、添加コストが高くなるために、添加する場合、その上限を5.0質量%とすることが好ましい。
Crは、マルテンサイトを生成し焼入に効果があるとともに強化元素でもある。この効果を得るためには0.02質量%以上含有させることが好ましいが、2.0質量%を越えて添加しても上記効果は飽和し、変態抑制等の悪影響を生ずるため、添加上限量は2.0質量%以下とする。
【0021】
Ca、REMはそれぞれ硫化物系介在物を無害化する効果があり、成形性をより向上させる。この効果を得るために、Caの場合及びREMの場合とも、0.0005質量%以上添加することが好ましい。しかし、Caの場合0.01質量%を越えて、またREMの場合0.05質量%を越えて含有させても、上記効果が飽和するばかりか、さらには介在物の増加による成形性劣化を引き起こすので、添加する場合には、Caの場合は上限を0.01質量%、REMの場合は上限を0.05質量%とすることが好ましい。
【0022】
Nb、Ti、V、Moは、鋼を強化する効果があり、この観点から添加することが好ましい。この効果を得るために、それぞれ0.002質量%以上添加することが好ましいが、過度に含有させても上記効果が飽和しコスト上昇になるので、それぞれ上限を、Nb、Tiについて0.2質量%、V、Moについてはそれぞれ1.0質量%とすることが好ましい。
【0023】
Bは、焼入性を著しく向上させる効果があり、特に、Cが低い場合にはその効果が大きい。但し、多量に含有させても、その効果が飽和するばかりでなく、鋼を脆化させる。この観点から、含有させる場合の好ましい範囲を0.0002質量%〜0.005質量%とする。
なお、不可避的不純物としてP、S、N等があり、これらは、加工性や靭性を阻害するためにできるだけ低減することが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1が、本実施形態でのプレス焼入れの処理工程を示す概要図である。
本実施形態は、低炭素鋼からなる鋼板1を、プレス成形にて製品形状にすると共に成形中に冷却することで、所定の強度を有する部品を製造するものである。
【0025】
なおここで素材板厚、すなわち鋼板1の板厚は、3.5mmを越えると板厚中心まで焼きが入らない場合があるので、素材板厚は3.5mm以下とすることが好ましい。また、本願のような自動車の構造部品等を製造するための鋼板の板厚は、概ね0.5mm以上である。
まず、加熱工程で、図1(a)のように、低炭素鋼からなる鋼板1を加熱炉2で焼入温度以上に加熱する。加熱方法は、雰囲気加熱や誘導加熱等、方式は問わない。加熱温度としては、プレス成形開始までの温度低下を見込み、当該プレス成形直前の鋼板温度が300℃以上、好ましくは600℃以上となるように設定する。
【0026】
次にプレス工程に移行し、図1(b)のように、鋼板1をプレス機3の下型5と上型(ポンチとも言う)4の間に配置し、鋼板1をブランクホルダー7でおさえる。
続いて、上型4を下降して鋼板1をプレスして成形すると共に、そのプレス成形中に、つまり鋼板を塑性変形させている最中に当該鋼板を冷却して焼入れを行う。
【0027】
ここで、型4、5内における鋼板接触面近傍には、冷却媒体である水を流通させる流路6が形成されいる。そして、プレス成形中に該流路6に水を通すことで、プレス成形中に、当該金型4、5つまり鋼板1の冷却を行う。流路パターンは、例えば、図2に示すようになっていて、金型4、5の接触面を冷却可能となっている。なお、この流路パターンは一例である。
【0028】
ここで、上記冷却媒体である水の温度、及び流路6中での水の流速を制御することで、少なくとも高強度化を図りたい部分での鋼板表面での冷却速度が毎秒20℃以上となるように設定する。なお、設定する水の温度や流速は、鋼板1のプレス成形前の加熱温度や板厚などの諸条件での実験データなどに基づき決定すればよい。
【0029】
さらに、上記高強度化を図りたい部分での付与歪量が0.1以上となるように成形後の形状や絞りなどを設定すると共に、プレス成形における定常時の上記歪付与速度が毎秒0.1以上となるように、上型の降下速度などプレス成形の速度を制御する。
次に、上記高強度化部品の製造方法の作用・効果などについて説明する。
【0030】
プレス成形中に冷却を行うことで、製品の寸法精度を所定の良好な範囲に抑えつつ成形することができる。
また、鋼板1の冷却処理を、従来例のような油などへのドブ漬け方法を採用せず、金型4、5内に水(冷却媒体)を通して当該金型4、5を冷却することで行うので、冷却媒体が周囲に飛び散ることなどが防止される。
【0031】
高強度化する部分についての付与歪量や冷却速度などを上述のように制御することで、良好な寸法精度を確保した上で、高強度化したい部分の高強度焼化を図ることができる。
【0032】
【実施例】
「実施例1」
C:0.2質量%、Mn:0.85質量%、B:0.002質量%、N:0.002質量%、Si:0.02質量%、P:0.005質量%、S:0.002質量%、Al:0.025質量%、Ti:0.01質量%を含む低炭素鋼板を素材として、900℃に加熱した後に、循環水を金型内部に通して冷却している図1に示したのと同様の実験金型にてプレス成形を行い、そのプレス成形における付与歪量、歪付与速度、冷却速度を変化させて各種条件で行った。なお、成形完了後も鋼板温度が400℃以上ある場合には、鋼板温度が400℃以下となるまで、そのまま型中で冷却した。
【0033】
成形部品の形状を図3に示す。この成形部品の中央の縦壁部Aからサンプルを取り、プレス成形後の硬度を測定した。なおここで、高強度化させようとする部位は、縦壁部及びポンチ底肩部である。プレス成形中における温度測定は、サンプル採取部位において鋼板に熱伝対を付け測温している。
また、上記縦壁部Aでは、平面歪状態のため、付与歪量を、成形前後の板厚から算出した。
【0034】
歪付与速度は、プレス成形定常時の歪を付与する平均速度とし、上述の付与歪量をプレス時間で除したものである。ここで、上記プレス時間は、上型のポンチ肩が材料に接触してから、プレス完了(下死点まで降下)迄の実測時間である。そして、上記高強度化する縦壁部Aへの付与歪量を、種々変化させて、上記縦壁部Aの付与歪量と縦壁部Aのビッカース硬度との関係を求めてみたところ、図4に示す結果を得た。
【0035】
ここで、付与歪量は、ダイ肩の半径を変えたり、プレス成形時のしわ押え力を変更することにより変更した。
その他の実験条件は、次の通りである。
冷却速度 :約毎秒25℃
歪付与速度:毎秒0.35
この図4から分かるように、付与歪量が0.1より小さいと高強度化に殆ど寄与しない。一方、付与歪量が0.1以上の場合には、プレス成形後の硬度が、素材の硬度よりも20%以上高い値となっており、高強度化されていることが分かる。
【0036】
「第2実施例」
次に、上記と同じ素材を使用して、上記高強度化する縦壁部Aでの冷却速度及び歪付与量を一定に設定し、歪付与速度を変えて実験したところ、図5に示すような結果を得た。なお、横軸は対数目盛である。
【0037】
ここで、実験条件は、次の通りである。
冷却速度:約毎秒25℃
付与歪量:約0.12
この図5から分かるように、付与歪量が0.1よりも大きくても、歪付与速度が毎秒0.1未満の速度である。元の素材の硬度と大差が無く、硬度化の効果が無いことが分かる。一方、歪付与速度が毎秒0.1以上の場合には、プレス成形後の硬度が、素材硬度に比べて20%以上高い値となって高強度化していることが分かる。
【0038】
「第3実施例」
次に、付与歪量を0.12程度に設定し、冷却速度と歪付与速度とを変化させて求めたところ、図6に示す結果を得た。ここで、図6中、○は、プレス成形後の硬度が、素材硬度よりも20%以上強化された場合であり、×は、プレス成形後の硬度が、素材硬度とほぼ同等か、強化されても20%未満の場合である。
ここで、冷却は、上述のように金型冷却による水冷を採用した。
この図6から分かるように、歪付与速度を毎秒0.1以上とし、かつ、冷却速度を毎秒20℃以上に設定することで、強化する部分を高強度化した部品をプレス成形で得ることができることが分かる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明を採用すると、高強度で形状精度のよいプレス成形部品を効率良く製造可能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る処理工程を説明する概要図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る流路パターンの一例を示す図である。
【図3】実施例におけるプレス成形後の部品形状を示す図である。
【図4】付与歪量とビッカース硬度との関係を示す図である。
【図5】歪付与速度とビッカース硬度との関係を示す図である。
【図6】冷却速度と歪付与速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 加熱炉
3 プレス機
4 上型(ポンチともいう)
5 下型
6 流路
7 ブランクホルダー
A 縦壁部中央のサンプル採取部
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス成形による歪導入、及び鋼板の冷却によって、所定の形状に成形すると共に鋼に強化処理を施す製造方法であり、少なくとも一部分に高い強度が必要とされる部品、例えば、自動車の構造部品等を製造するための高強度化部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の衝突安全性対策や、環境および省エネ対策から、自動車ボディーに対し強度向上と軽量化とを同時に確保したいという要求がある。これに応じて、従来、高強度鋼板を用いて高強度化と軽量化を目指してきた。
しかし、自動車部品は、主にプレス成形にて製造されており、素材鋼板の高強度化により成形性が阻害されることで、成形後の部品形状精度が低下したり、生産コストが上昇するといった問題があった。
【0003】
これを解決する手段として、例えば特開平10−96031号公報には、部品の成形後に焼入処理を行うプレスクエンチ法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、部品を目的の形状に成形した後に、加熱・冷却の熱処理を行う方法では、板状素材での加熱と異なり、所定形状を持った部品の加熱処理となることから、加熱装置が大型化したり、また加熱ムラによる不具合が起こりやすく、強度の安定した部品の製造が難しいという問題があった。
【0005】
また、金型拘束状態で油(冷却媒体)にドブ漬けして冷却するため、装置外周への油の飛散等に対する対策を施す必要があり、コスト高の要因となっている。また、特開昭52−35756号公報にはブレーキディスクの製造方法ではあるが、予め素材を焼入れ温度に加熱し、その素材を上下の金型間に挿入し、この素材を焼入温度の状態で縁切り、絞り、孔穿け等の成形打ち抜き工程を完了させ、同時にこの上下金型間の加圧状態を継続して、成形された素材に連続して焼入れを行うようにしたことを特徴とする方法も開示されている。
【0006】
この方法では、プレス機に冷却水通路を備える構成を採用することで、成形完了後、上下型の加圧状態を維持して、冷却水の低温冷却作用で焼入れを完了できるため、上記のような油へのドブ漬けによる冷却を必要とせず、加熱むらの問題が少なく、また装置外周への油の飛散などに対する対策を施す必要はない。しかしながら、特開昭52−35756号公報の方法を、自動車の構造部品等の製造に多用されている、比較的炭素含有量が低く且つ焼きが入り難い低炭素鋼からなる鋼板に適用しても、焼入れ性の確保が困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、高強度のプレス成形部品を、高精度且つ低コストで製造可能な高強度化部品の製造方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、成形前に加熱を行い、プレス成形によって鋼板各部位に付与される塑性歪と冷却処理との効果でプレス部品の高強度化を行うことで、高強度のプレス成形部品を、高精度、低コストで製造する方法である。
すなわち、本発明の高強度化部品の製造方法は、低炭素鋼からなる鋼板を、300℃以上に加熱後、金型でプレス成形すると共に、当該プレス成形中に鋼板の冷却を行うことで、上記成形後の鋼板の少なくとも一部分を高強度化した高強度化部品を製造する方法であって、
上記高強度化する部位について、付与歪量を0.1以上、プレス成形定常時の歪付与速度を毎秒0.1以上、プレス成形時の鋼板表面での冷却速度を毎秒20℃以上に設定したことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、上記付与歪は、塑性変形による歪であり、相当塑性ひずみで表したものである。
なお、塑性ひずみを(ε1″、ε2″、ε3″)とすると、
相当塑性ひずみはεeqは、
εeq =√(2/3)・√(ε1″2 +ε2″2 +ε3″2 )
で表される。
【0010】
また、上記歪付与速度とは、歪付与の速度である。
発明者らは、高強度部品の製造に関わる問題点、主にプレス成形前に加熱処理を行い、プレス成形後に冷却して高強度化する際の形状変形、寸法精度の劣化原因について詳細に調査・研究を行った。
前述のように、上記問題はプレス機に冷却水水路を備える構成を採用し、成形完了後、上下型の加圧状態を維持して冷却水の低温冷却作用で冷却を行えば緩和できる。
【0011】
しかし、従来の知見において、一般に、金型接触での冷却速度は、通常の油等の冷材使用の焼入処理と比較して大輻に遅く、十分な焼入強度を得ることは困難であるとされてきた。実際、発明者らの実験でも、水冷金型を用いた場合における鋼板の冷却速度は、高々毎秒40℃程度であり、この冷却速度では、自動車用構造材等に使用される低炭素鋼(C:0.2%程度)に対し、成形後の通常の冷却処理では十分な焼入強度を確保することはできない。
【0012】
しかしながら、発明者らは熱間・温間プレスについて詳細に研究を行った結果、プレス成形中に鋼板を冷却する、すなわち、プレス成形による歪の導入と冷却とを同時期に行い、このときの、冷却速度、付与歪量および歪付与速度を制御することで、プレス成形性を損なわずに、プレス部品における特定部位の強度を向上できることを見いだした。
【0013】
この発明は上記知見に立脚するものである。
ここで、本発明におけるプレス開始時の鋼板温度は、300℃以上、好ましくは600℃以上である。300℃以上としている理由は、300℃未満の温度であると本発明のプレス成形時に鋼強化の効果が無くなるか小さいためである。プレス成形前の鋼板温度の上限については特に限定はないが、金型の耐久性や加熱設備の問題から、1000℃以下とすることが好ましい。
【0014】
また、プレス成形時の鋼板の冷却において、プレス開始時からプレス終了時迄の定常時の冷却速度を毎秒20℃以上としているのは、毎秒20℃未満であると鋼強化効果が得られないか小さいためである(図6参照)。ここでの冷却速度は、鋼板全体でなく、高強度化する部分での表面冷却速度である。上限は特に規定しないが、毎秒100℃を越えると、歪を付与せずとも焼入強化ができるので、本発明が効果的である範囲は、毎秒100℃以下である。
【0015】
また、プレス時に鋼板に付与される歪付与量、および、歪付与速度であるが、本発明による鋼強化は、プレス時に導入される歪付与量が0.1未満であると通常の焼入効果と比較して際だった効果が無くなるため、その下限を0.1とする(図4参照)。上限については、鋼強化の効果を得るという観点からは特に規定はされないが、成形可能な範囲とする必要がある。
【0016】
歪付与速度については、本発明の効果を得るためには、毎秒0.1以上必要であったので、毎秒0.1以上と規定している(図5参照)。発明の効果を得るという点からは特に上限は規定されないが、通常、プレス機の有する能力等で実質的に制限される。
なお、歪付与完了時に鋼板温度が400℃を越える場合は、鋼硬化の効果を十分に得るため、そのまま型中で400℃以下となるまで冷却することが好ましい。
【0017】
また、本発明に用いる鋼板は、自動車の構造部品等の用途に要求されるプレス成形性を確保するため、低炭素鋼からなる鋼板としている。
その対象とする鋼板は、次のものが好ましい。すなわち、少なくとも、C:0.01〜0.5質量%、Mn:0.2〜2.0質量%を必須成分として含有する低炭素鋼板である。
【0018】
上記好ましい成分限定の理由について説明する。
Cは、焼入れ後の鋼の強度を決定する重要な元素である。その含有量が0.01質量%未満では本発明による焼入では効果が十分に発揮されないため、Cの好ましい下限量を0.01質量%としている。一方、含有量が増えるとプレス成形性を阻害する。この観点から好ましい上限値を0.5質量%としている。より良好な加工性と焼入強度を両立させるためには、0.05質量%以上、0.3質量%以下がより好ましい。
【0019】
Mnは、鋼の焼入性を向上させる効果があるが、多量の添加は加工性を劣化させる。この観点から、好ましい添加範囲を、0.2質量%〜2.0質量%としている。
また、対象とする鋼板を構成する低炭素鋼は、上記必須成分の他に下記成分を1種以上含有してもよい。
Si :0.02〜5.0質量%
Al :0.02〜5.0質量%
Cr :0.02〜2.0重量%
Ca :0.0005〜0.01質量%
REM:0.0005〜0.05質量%
Nb :0.002〜0.2質量%
Ti :0.002〜0.2質量%
Mo :0.002〜1.0質量%
V :0.002〜1.0質量%
B :0.0002〜0.005質量%
Siは、マルテンサイトを生成させ焼入の効果を確保するために有用な元素であると同時に固溶強化作用と脱酸作用を有する。この効果を得るためには0.02質量%以上含有することが好ましいが、5.0質量%を越えて含有させても上記効果は飽和するばかりか、鋼を脆化させるため、添加する場合、その上限を5.0質量%とすることが好ましい。
【0020】
Alは、Siと同じくマルテンサイトを生成させ焼入の効果を確保するために有用な元素であると同時に固溶強化作用と脱酸作用を有する。この効果を得るためには0.02質量%以上含有することが好ましいが、5.0質量%を越えて含有させても上記効果は飽和するばかりか、鋼を脆化させるため、また、添加コストが高くなるために、添加する場合、その上限を5.0質量%とすることが好ましい。
Crは、マルテンサイトを生成し焼入に効果があるとともに強化元素でもある。この効果を得るためには0.02質量%以上含有させることが好ましいが、2.0質量%を越えて添加しても上記効果は飽和し、変態抑制等の悪影響を生ずるため、添加上限量は2.0質量%以下とする。
【0021】
Ca、REMはそれぞれ硫化物系介在物を無害化する効果があり、成形性をより向上させる。この効果を得るために、Caの場合及びREMの場合とも、0.0005質量%以上添加することが好ましい。しかし、Caの場合0.01質量%を越えて、またREMの場合0.05質量%を越えて含有させても、上記効果が飽和するばかりか、さらには介在物の増加による成形性劣化を引き起こすので、添加する場合には、Caの場合は上限を0.01質量%、REMの場合は上限を0.05質量%とすることが好ましい。
【0022】
Nb、Ti、V、Moは、鋼を強化する効果があり、この観点から添加することが好ましい。この効果を得るために、それぞれ0.002質量%以上添加することが好ましいが、過度に含有させても上記効果が飽和しコスト上昇になるので、それぞれ上限を、Nb、Tiについて0.2質量%、V、Moについてはそれぞれ1.0質量%とすることが好ましい。
【0023】
Bは、焼入性を著しく向上させる効果があり、特に、Cが低い場合にはその効果が大きい。但し、多量に含有させても、その効果が飽和するばかりでなく、鋼を脆化させる。この観点から、含有させる場合の好ましい範囲を0.0002質量%〜0.005質量%とする。
なお、不可避的不純物としてP、S、N等があり、これらは、加工性や靭性を阻害するためにできるだけ低減することが望ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1が、本実施形態でのプレス焼入れの処理工程を示す概要図である。
本実施形態は、低炭素鋼からなる鋼板1を、プレス成形にて製品形状にすると共に成形中に冷却することで、所定の強度を有する部品を製造するものである。
【0025】
なおここで素材板厚、すなわち鋼板1の板厚は、3.5mmを越えると板厚中心まで焼きが入らない場合があるので、素材板厚は3.5mm以下とすることが好ましい。また、本願のような自動車の構造部品等を製造するための鋼板の板厚は、概ね0.5mm以上である。
まず、加熱工程で、図1(a)のように、低炭素鋼からなる鋼板1を加熱炉2で焼入温度以上に加熱する。加熱方法は、雰囲気加熱や誘導加熱等、方式は問わない。加熱温度としては、プレス成形開始までの温度低下を見込み、当該プレス成形直前の鋼板温度が300℃以上、好ましくは600℃以上となるように設定する。
【0026】
次にプレス工程に移行し、図1(b)のように、鋼板1をプレス機3の下型5と上型(ポンチとも言う)4の間に配置し、鋼板1をブランクホルダー7でおさえる。
続いて、上型4を下降して鋼板1をプレスして成形すると共に、そのプレス成形中に、つまり鋼板を塑性変形させている最中に当該鋼板を冷却して焼入れを行う。
【0027】
ここで、型4、5内における鋼板接触面近傍には、冷却媒体である水を流通させる流路6が形成されいる。そして、プレス成形中に該流路6に水を通すことで、プレス成形中に、当該金型4、5つまり鋼板1の冷却を行う。流路パターンは、例えば、図2に示すようになっていて、金型4、5の接触面を冷却可能となっている。なお、この流路パターンは一例である。
【0028】
ここで、上記冷却媒体である水の温度、及び流路6中での水の流速を制御することで、少なくとも高強度化を図りたい部分での鋼板表面での冷却速度が毎秒20℃以上となるように設定する。なお、設定する水の温度や流速は、鋼板1のプレス成形前の加熱温度や板厚などの諸条件での実験データなどに基づき決定すればよい。
【0029】
さらに、上記高強度化を図りたい部分での付与歪量が0.1以上となるように成形後の形状や絞りなどを設定すると共に、プレス成形における定常時の上記歪付与速度が毎秒0.1以上となるように、上型の降下速度などプレス成形の速度を制御する。
次に、上記高強度化部品の製造方法の作用・効果などについて説明する。
【0030】
プレス成形中に冷却を行うことで、製品の寸法精度を所定の良好な範囲に抑えつつ成形することができる。
また、鋼板1の冷却処理を、従来例のような油などへのドブ漬け方法を採用せず、金型4、5内に水(冷却媒体)を通して当該金型4、5を冷却することで行うので、冷却媒体が周囲に飛び散ることなどが防止される。
【0031】
高強度化する部分についての付与歪量や冷却速度などを上述のように制御することで、良好な寸法精度を確保した上で、高強度化したい部分の高強度焼化を図ることができる。
【0032】
【実施例】
「実施例1」
C:0.2質量%、Mn:0.85質量%、B:0.002質量%、N:0.002質量%、Si:0.02質量%、P:0.005質量%、S:0.002質量%、Al:0.025質量%、Ti:0.01質量%を含む低炭素鋼板を素材として、900℃に加熱した後に、循環水を金型内部に通して冷却している図1に示したのと同様の実験金型にてプレス成形を行い、そのプレス成形における付与歪量、歪付与速度、冷却速度を変化させて各種条件で行った。なお、成形完了後も鋼板温度が400℃以上ある場合には、鋼板温度が400℃以下となるまで、そのまま型中で冷却した。
【0033】
成形部品の形状を図3に示す。この成形部品の中央の縦壁部Aからサンプルを取り、プレス成形後の硬度を測定した。なおここで、高強度化させようとする部位は、縦壁部及びポンチ底肩部である。プレス成形中における温度測定は、サンプル採取部位において鋼板に熱伝対を付け測温している。
また、上記縦壁部Aでは、平面歪状態のため、付与歪量を、成形前後の板厚から算出した。
【0034】
歪付与速度は、プレス成形定常時の歪を付与する平均速度とし、上述の付与歪量をプレス時間で除したものである。ここで、上記プレス時間は、上型のポンチ肩が材料に接触してから、プレス完了(下死点まで降下)迄の実測時間である。そして、上記高強度化する縦壁部Aへの付与歪量を、種々変化させて、上記縦壁部Aの付与歪量と縦壁部Aのビッカース硬度との関係を求めてみたところ、図4に示す結果を得た。
【0035】
ここで、付与歪量は、ダイ肩の半径を変えたり、プレス成形時のしわ押え力を変更することにより変更した。
その他の実験条件は、次の通りである。
冷却速度 :約毎秒25℃
歪付与速度:毎秒0.35
この図4から分かるように、付与歪量が0.1より小さいと高強度化に殆ど寄与しない。一方、付与歪量が0.1以上の場合には、プレス成形後の硬度が、素材の硬度よりも20%以上高い値となっており、高強度化されていることが分かる。
【0036】
「第2実施例」
次に、上記と同じ素材を使用して、上記高強度化する縦壁部Aでの冷却速度及び歪付与量を一定に設定し、歪付与速度を変えて実験したところ、図5に示すような結果を得た。なお、横軸は対数目盛である。
【0037】
ここで、実験条件は、次の通りである。
冷却速度:約毎秒25℃
付与歪量:約0.12
この図5から分かるように、付与歪量が0.1よりも大きくても、歪付与速度が毎秒0.1未満の速度である。元の素材の硬度と大差が無く、硬度化の効果が無いことが分かる。一方、歪付与速度が毎秒0.1以上の場合には、プレス成形後の硬度が、素材硬度に比べて20%以上高い値となって高強度化していることが分かる。
【0038】
「第3実施例」
次に、付与歪量を0.12程度に設定し、冷却速度と歪付与速度とを変化させて求めたところ、図6に示す結果を得た。ここで、図6中、○は、プレス成形後の硬度が、素材硬度よりも20%以上強化された場合であり、×は、プレス成形後の硬度が、素材硬度とほぼ同等か、強化されても20%未満の場合である。
ここで、冷却は、上述のように金型冷却による水冷を採用した。
この図6から分かるように、歪付与速度を毎秒0.1以上とし、かつ、冷却速度を毎秒20℃以上に設定することで、強化する部分を高強度化した部品をプレス成形で得ることができることが分かる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明を採用すると、高強度で形状精度のよいプレス成形部品を効率良く製造可能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る処理工程を説明する概要図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係る流路パターンの一例を示す図である。
【図3】実施例におけるプレス成形後の部品形状を示す図である。
【図4】付与歪量とビッカース硬度との関係を示す図である。
【図5】歪付与速度とビッカース硬度との関係を示す図である。
【図6】冷却速度と歪付与速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 加熱炉
3 プレス機
4 上型(ポンチともいう)
5 下型
6 流路
7 ブランクホルダー
A 縦壁部中央のサンプル採取部
Claims (1)
- 低炭素鋼からなる鋼板を、300℃以上に加熱後、金型でプレス成形すると共に、当該プレス成形中に鋼板の冷却を行うことで、上記成形後の鋼板の少なくとも一部分を高強度化した高強度化部品を製造する方法であって、
上記高強度化する部位について、付与歪量を0.1以上、プレス成形定常時の歪付与速度を毎秒0.1以上、プレス成形時の鋼板表面での冷却速度を毎秒20℃以上に設定したことを特徴とする高強度化部品の製造方法。
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