JP2011020137A - 金属管の熱間成形装置およびその方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱された金属管を型締めする金型と、成形面には媒体供給口が形成され、内部には媒体供給口と連通する媒体供給管が形成され、型締めされた金属管の端部を閉塞しながら軸押しする軸押装置と、軸押装置の媒体供給管に接続され、金属管の内部に金属管の温度によって気化膨張して金型の成形面に沿うように金属管を膨出させる媒体を送り込む媒体送込手段を備える金属管の熱間成形装置、および加熱された金属管を金型で型締めする工程と、型締めされた金属管の端部を閉塞しながら軸押しする軸押工程をこの順に行う金属管の熱間成形方法であって、軸押工程で、金属管の内部に金属管の温度によって気化膨張する媒体を送り込んで金型の成形面に沿うように金属管を膨出させる金属管の熱間成形方法。
【選択図】図5
Description
熱間プレス成形は、高温に加熱された被成形材をプレス成形するため、材料強度の低下した被成形材は、金型の成形面に沿って素直に変形し、複雑な形状であっても優れた寸法精度で成形することができる。また、成形後は金型抜熱効果により急冷されるためスプリングバッグが発生せず、形状凍結性にも優れる。
しかし、被成形材と接触するのは接触面積の小さな突起部だとしても、当該突起部についても抜熱能を有する金型の一部であって、その効果は程度の問題に過ぎない。また、上記課題を根本的に解決するものでもない。
なお、被成形材の温度低下に影響を与えるプレス成形の加工度・加工時間については、所望するプレス製品の形状やプレス素材の強度によって幅が生じる。したがって、プレス製品の形状等によって決定される加工度・加工時間が被成形材の温度低下ならびに成形性・形状凍結性の低下に影響を与えない範囲であれば、特許文献1〜5に記載の解決策は上記課題を根本的に解決するものではないとしても有益である。一方、プレス製品の形状等に応じて決定される加工度・加工時間が被成形材の温度低下ならびに成形性・形状凍結性の低下に影響を与えるような場合には、前記解決策を講じたとしても成形性・形状凍結性には限界が生じるという趣旨である。
具体的には、被成形材が金属板材の場合には、一般的に金型を用いて金属板材を型締めする工程でもって成形が完了するが、被成形材が金属管の場合には、さらに軸押装置を用いて型締めされた金属管の端部を軸方向に軸押しする工程を行うのが一般的であるところ、上型と下型を用いて金属板材を成形する場合には、主に上下方向を考慮した金型設計、クリアランスの設定、潤滑剤の選択等を行うことによって、成形に伴う減肉、破断、座屈等の抑制、ひいては成形性の向上に努めることができるが、管材である金属管を成形する場合には軸押し工程があるので、上下方向のみならず左右方向(金属管の軸方向)についても接触抜熱を考慮した金型・軸押装置の設計等をしなければならない。
ハイドロフォーム成形技術は、従来、複数の部品を溶接して組み合わせていた部分を一体成形することができ、部品点数の削減や溶接工程の省略につながるため、いまや車体の高強度化と軽量化に欠かせない重要な技術となっている。
例えば、水圧や軸押しのタイミングを誤ると金属管が破裂したり座屈したりする場合がある。さらに、材料や潤滑が変わると適切な条件が変化してしまう。また、ハイドロフォームには、膨出量を多くし過ぎると成形に伴ってしわや割れが発生する問題がある。同様に、膨出量を多くし過ぎると膨出部の肉厚が薄くなって強度不足や破断が生じる問題もある。
あるいは、金型の中で被成形材がどのように変形するかをシミュレーションする有限要素法(FEM)を用いた数値解析技術が開発され、比較的精度の高いシミュレーションが可能となっているが、適切な加工条件を見つけるためには、数値解析に必要なデータを大量に蓄積しなければならない。
また、複数の金型・軸押装置を用いる多段プレスを採用することによって、金型等の設計を容易化することも可能ではあるが、金型等との接触による抜熱問題を根本的に解決できるわけではない。
さらに、金型等の成形面または内部に断熱材や加熱手段を内蔵することによって、上記問題を根本的に解決することが理論的には可能であるが、装置コストの上昇を招来するとともに成形後における急冷効果を捨てることになる。
あるいは、金属管を成形する技術としては、水圧を用いるハイドロフォーム成形技術が確立されるとともに種々の改善が試みられてはいるが、依然として複雑高度な制御が求められ、装置構成も複雑である。
ただし、車体の高強度化や軽量化に欠かせない技術となっているハイドロフォーム成形技術をもってしても、閉断面・大R・単純形状であれば980MPaクラスを達成できるが、これ以上の強度を確保することは現在のところ困難である。
なおかつ、ハイドロフォーム成形技術において前記クラス以上の強度を確保するためには、水圧を用いた成形プロセスの後に別のプロセスである熱処理プロセスを新たに追加しなければならない。水圧を用いるハイドロフォーム成形技術においては、その成形プロセスの中に熱処理プロセスを組み入れることができないためである。ましてや成形後に金型を型締めしたまま熱処理プロセスを実施することなど想定できない。成形後にいちいち金型から水を抜かなければならず生産性が著しく阻害されるからである。
すなわち、本発明の解決すべきもう一つの課題は、成形性と形状凍結性に優れるとともに、生産性を損なうことなく成形品の高強度化を図ることができる、従来技術には存在しない新たな熱間成形装置およびその方法を提供することである。
すなわち、熱間プレス成形技術における塑性変形は、主に被成形材たる金属板材が上型と下型に挟持された状態で行われるのであり、この方式では成形中における金型との接触による金属板材の抜熱は避けられない。
したがって、上記課題を解決するためには、曲げる、伸ばす、引っ張る、絞る等の塑性変形を上記手法とは全く別の手法によって与えなければならない。
本発明者が想到した画期的な手法は、この軸押工程の際に、端部を閉塞された金属管の内部、すなわち中空部の中に、金属管の温度によって気化膨張する媒体を送り込んで、この媒体が閉塞された金属管の内部で気化膨張するときに発生する力(気化膨張力)を用いて、金属管を中空部から主に径方向に膨出させるとともに、当該径方向に膨出させた金属管の外表面を前記気化膨張力の作用で金型の成形面に押し付けることによって、金属管に塑性変形を加えるというものである。
すなわち、この画期的な手法においては、あらかじめ被成形材を高温に加熱しておくことによって優れた成形性を獲得するという熱間プレス成形技術の基本的な技術的思想を承継しているわけである。
ただし、この画期的な手法においては、金属管はあらかじめ高温に加熱されているので、媒体の気化膨張力によって膨出した金属管は、金型の成形面において金型抜熱による急冷を受け、これによりスプリングバッグが発生しないという顕著な効果を得られるのであって、この点が金型抜熱による急冷効果を有さないハイドロフォームと大きく異なる。
また、この画期的な手法では、あらかじめ高温に加熱することによって材料強度を低下させた金属管を成形するのであって、この点においても金属管の材料強度を操作しないハイドロフォームとは大きく異なる。
すなわち、この画期的な手法においては、あらかじめ被成形材を高温に加熱しておくことによって優れた成形性と形状凍結性を獲得するという熱間プレス成形技術の基本的な技術的思想を承継しているわけである。
すなわち、熱間プレス成形技術においては、その成形途中において不可避的に金型との接触による抜熱が生じ、これが被成形材の温度低下ひいては成形性・形状凍結性の低下を招来するところ、この画期的な手法においては、当該問題を根本的に解消することができる。
この媒体の気化膨張力によって金属管を膨出させるとともに、膨出させた金属管を金型の成形面に押し付けることによって金属管に塑性変形を加えるというのが、従来技術には存在しない本発明特有の技術的特徴であって、また、膨出している金属管が金型の成形面に到達する前に金型との接触による抜熱を受けないというのが、従来技術には存在しない本発明特有の技術的効果である。
これは、この画期的な手法においては、金属管はあらかじめ高温に加熱され、しかも成形途中において金型との接触による抜熱が生じないため、媒体の気化膨張力によって膨出した金属管を金型の成形面に沿わせることによって形状制御が完了した段階においても、塑性変形を受けた金属管は未だ高温状態を保っているからである。このため、塑性変形を受けた金属管に向かって冷媒を吐出することで、容易に金属管の焼入れ処理を行うことができる。
また、金型の成形面に複数の冷媒吐出口を形成し、内部には各冷媒吐出口と連通する冷媒供給管を形成して、当該冷媒供給管から冷媒を供給して金属管の外面に吐出することで、容易に金属管の外面の焼入れ処理を行うことができる。
すなわち、この画期的な手法においては、このような冷媒吐出機能を有する軸押装置や金型を採用することによって、金属管を型締めしたまま焼入れ処理を行うことができるのであって、この点においても、水圧を用いた成形プロセスの後に別のプロセスである熱処理プロセスを新たに追加しなければならないハイドロフォームよりも生産性の観点から極めて有利である。水圧を用いるハイドロフォーム成形技術においては、その成形プロセスの中に熱処理プロセスを組み入れることができないためである。
さらに、本発明者は、熱間プレス成形技術の基本的な技術的思想を承継した上で、成形性と形状凍結性に優れるとともに、生産性を損なうことなく成形品の高強度化を図ることができる、従来技術には存在しない新たな熱間成形装置およびその方法に想到した。これらの要旨とするところは以下の通りである。
しかしながら、本発明は、熱間プレス成形技術のように金型を押圧することによって、すなわち、金型と被成形材を接触させることによって被成形材に塑性変形を加えるものではない。
本発明においては、軸押装置で閉塞された金属管の内部に、金属管の温度によって気化膨張する媒体を送り込んで、この媒体の気化膨張力によって金属管を主に中空部から径方向に膨出させるとともに、当該径方向に膨出させた金属管の外表面を前記気化膨張力の作用で金型の成形面に押し付けることによって金属管の塑性変形を行う。
本発明において金属管を膨張させるのも金型の成形面に押し付けるのも、これらは前記媒体の気化膨張力によるものであって、膨出している金属管が金型の成形面に到達する前に、金型との接触による抜熱を受けない。
すなわち、熱間プレス成形技術においては、その成形途中において不可避的に金型との接触による抜熱が生じ、これが被成形材の温度低下ひいては成形性・形状凍結性の低下を招来するところ、本発明においては当該問題を根本的に解決することができる。
これは、金属管の内部に送り込んだ媒体の気化膨張力を用いて金属管を塑性変形させるという従来技術には存在しない本発明特有の技術的特徴から生じる本発明特有の効果であって、当業者の予見を遥かに超える特別顕著な効果の一つである。
しかして、本発明においては、加熱された金属管を金型で型締めする型締工程と、型締めされた金属管の端部を軸押装置の成形面で閉塞しながら軸方向に軸押しする軸押工程をこの順に行い、当該軸押工程において前記媒体の気化膨張力を用いた金属管の塑性変形を行うところ、本発明においては、金属管が金型と軸押装置によって上下左右から取り囲まれた状態で塑性変形が完了するのであって、このとき金属管は未だ高温の状態を保っている。
このため、本発明においては、金型と軸押装置のいずれか一方または双方に冷媒吐出機構を持たせることにより、金型と軸押装置に型締めされたままの高温の金属管に対して冷媒を吐出することができ、これにより塑性変形を受けた金属管の焼入れ処理を容易に行うことができる。
すなわち、本発明によれば、成形性と形状凍結性に優れるとともに、生産性を損なうことなく成形品の高強度化を容易に行うことができる。
なお、金属管の成形技術として実績のあるハイドロフォーム成形技術をもってしても、980MPaクラス以上の強度を確保することは難しく、これを実現するためには、水圧を用いた成形プロセスの後に新たに熱処理プロセスを追加しなければならず、これが生産性を著しく阻害するところ、本発明によれば、金属管を型締めしたまま極めて容易に成形プロセスから熱処理プロセスに移行できるのであって、これについても当業者の予見を遥かに超える特別顕著な効果の一つである。
本発明においては、図1〜2に示すように加熱された金属管1を金型2で型締めする型締工程と、図3に示すように型締めされた金属管1の端部を軸押装置3の成形面で閉塞しながら軸方向に軸押しする軸押工程をこの順で行う。
ここで、図1は加熱された金属管1を金型2にセットする状態を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は正面図であって(a)のA−A断面図、(c)は側面図である。
また、図2は加熱された金属管1を金型2で型締めした状態を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)は正面図であって(a)のB−B断面図、(c)は側面図である。
また、本発明に係る第2の形態で説明するが、マルテンサイト変態またはベイナイト変態をする鋼管であれば、冷媒吐出による焼入れにより高強度化を図ることができるので、マルテンサイト変態またはベイナイト変態をする鋼管が望ましい。なお、冷媒吐出時に必ずしも変態する必要はなく、成形後に変態してもかまわない。
また、金属管1の断面形状としては、図1〜2に示すような円形のみならず、楕円形、角形等のいずれの金属管にも適用することができるのは言うまでもない。また、長手方向に沿って断面形状が変化する金属管にも適用することができる。あるいは、テーラードチューブについても適用することができる。すなわち、本発明の本質的特徴は、金属管の成形方法・膨出方法にあるのであって、金属管の形状等にあるのではない。
また、金属管全体を一様に加熱する態様であっても、金属管の一部を加熱する態様であってもよい。ここで、金属管の加熱温度としては、600〜1000℃とするのが望ましい。
これは、本発明の最大の技術的特徴が、金属管1の内部に送り込んだ媒体の気化膨張力によって金属管1を膨出させるとともに、膨出させた金属管1を金型2の成形面に押し付けることによって金属管に塑性変形を加えるところにあるところ、図1〜2に例示する金型あるいは型締工程は、本発明の技術的特徴を簡潔に示すために模式化された一例だからである。
したがって、図1〜2の例によらず、型締工程においては、金属管1に金型2を押圧することによって、あるいは接触させることによって金属管1に塑性変形を加えても構わない。型締工程における加工度が大きければ大きいほど、また、加工時間が長ければ長いほど、金型との接触による金属管の抜熱が大きくなり、次工程の軸押工程における塑性変形に影響を与えるということである。すなわち、媒体の気化膨張力による金属管の変形方法そのものが本発明が企図する射程範囲であって、そこに金型押圧による塑性変形が加わることは本発明範囲の広狭に影響を与えるものではない。
ただし、図3に例示した軸押工程は、本発明の技術的特徴を簡潔に示すために模式化された一例であって、軸押工程においては、金属管に軸押装置3を押圧することによって金属管1に塑性変形を加えても構わない。軸押工程における加工度が大きければ大きいほど、また、加工時間が長ければ長いほど、軸押装置3との接触による金属管1の抜熱が大きくなり、金属管の温度が低下することから、その分、媒体の気化膨張力による金属管の膨出力、前記気化膨張力の作用による金型成形面への押し付け力に影響を与えるということである。すなわち、媒体の気化膨張力による金属管の変形方法そのものが本発明が企図する射程範囲であって、そこに軸押装置の押圧による塑性変形が加わることは本発明範囲の広狭に影響を与えるものではない。
媒体供給口4およびこれに連通する媒体供給管5は、ドリルによる機械的な穿孔や放電加工による穿孔によって形成することができる。この場合の軸押装置3の材質としては、熱間強度の観点から熱間加工用のダイス鋼を用いるのが望ましい。なお、金型2の材質としても熱間加工用のダイス鋼を用いるのが望ましい。
また、媒体供給管は媒体供給口と連通していれば媒体送出機能を果たすため、媒体供給口4や媒体供給管5を軸押装置に穿孔する代わりに、軸押装置3の内部から外表面に貫通する気孔を有する多孔質金属に媒体供給管5を接続してもよい。この場合には、肉厚方向に貫通する直径100μm〜1mm、ピッチ100μm〜10mmの孔を複数有する多孔質金属を使用することが望ましい。なお、このような多孔質金属は、粉末を成形後に焼結するか、金属を溶融させた後、温度制御により凝固組織の方向を一定にする一方向凝固によって製造することができる。
媒体送込手段6は、媒体供給管5を通して金属管1の内部に媒体を送り込めるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、コンプレッサー、エアーシリンダー、プッシャー、高水圧発生装置(インテンシファイヤー)等を用いることができる。
より具体的には、媒体の送り込みについては軸押装置3の内部に形成した媒体供給管5から行うのが望ましいところ、金属管の内部で気化膨張した媒体は、当該媒体供給管5を通して逆流する可能性が最も高いので、逆流防止手段7は媒体供給管5に接続するのが望ましい。
逆流防止手段7は、前記気化膨張した媒体が金属管の内部から媒体供給管5を通して逆流するのを防止するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、逆止弁、チェック弁、開閉弁等を用いることができる。また、これらの2以上を組み合せたものであってもよい。
この場合においても、すでに軸押装置の内部には媒体供給管が形成されているので、これをガス抜きの通路として利用するのが望ましく、このため、ガス抜き手段8は、媒体供給管5に接続するのが望ましい。
ガス抜き手段8は、気化膨張した媒体を媒体供給管5を通して金属管の内部から徐々に排出できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、圧力調整弁、開閉弁等を用いることができる。また、これらを組み合せたものであってもよい。
本発明において金属管を膨張させるのも金型の成形面に押し付けるのも、これらは前記媒体の気化膨張力によるものであって、膨出している金属管が金型の成形面に到達する前に、金型との接触による抜熱を受けない。
すなわち、本発明がその技術的思想を承継する熱間プレス成形技術においては、その成形途中において不可避的に金型との接触による抜熱が生じ、これが被成形材の温度低下ひいては成形性・形状凍結性の低下を招来するところ、本発明においては当該問題を根本的に解決することができる。
これは、金属管の内部に送り込んだ媒体の気化膨張力を用いて金属管を塑性変形させるという従来技術には存在しない本発明特有の技術的特徴から生じる本発明特有の技術的効果であって、当業者の予見を遥かに超える特別顕著な効果の一つである。
前記のとおり本発明に係る第1の形態においては、その成形途中における金型2との接触による抜熱問題を解決できることから、金属管1の塑性変形が完了した後であっても、金属管1は未だ高温の状態を維持している。
しかして、本発明においては、加熱された金属管を金型2で型締めする型締工程と、型締めされた金属管の端部を軸押装置3の成形面で閉塞しながら軸方向に軸押しする軸押工程をこの順に行い、当該軸押工程において前記媒体の気化膨張力を用いた金属管の塑性変形を行うところ、本発明においては、金属管1が金型2と軸押装置3によって上下左右から取り囲まれた状態で塑性変形が完了し、このとき金属管1は未だ高温の状態を保っているわけである。
このため、本発明においては、軸押装置3と金型2のいずれか一方または双方に冷媒吐出機構を持たせることにより、金型2と軸押装置3とに型締めされたままの高温の金属管1に対して所定の冷媒を吐出することができ、これにより生産性を損なうことなく、塑性変形を受けた金属管1の焼入れ処理を容易に行うことができる。
なお、軸押工程の直後に所定の冷媒吐出機構を用いて金属管に冷媒吐出を行う熱処理工程を行うと、金属管の内部で急激な圧力変動が生じ、これにより金属管に割れやひびが生じる可能性があるので、前記ガス抜き手段8を用いて、金属管1の内部から気化膨張した媒体を媒体供給管5を通して排出するガス抜き工程を熱処理工程の前に行うことが望ましい。
ここで、冷媒吐出口10としては、複数の冷媒吐出口から吐出した冷媒が金属管1の内面全体を冷却できるように、各々の冷媒吐出口10の冷媒吐出方向が異なるように形成するのが望ましい。換言すると、各々の冷媒吐出口の向きが互いに異なるように形成するのが望ましい。これにより生産性を損なうことなく、型締めしたまま金属管1の内面全体の高強度化を短時間で達成することができる。
なお、冷媒吐出口10、冷媒供給管11は、媒体供給口4、媒体供給管5と同様の方法によって軸押装置3に形成することができる。
ここで、冷媒吐出口10としては、上型に形成しても下型に形成してもよいが、双方の金型の成形面に形成することが望ましい。また、金属管1の長手方向全体をカバーできるように長手方向に沿って複数の冷媒吐出口10を形成することが望ましい。さらには、金属管の外表面全体をカバーできるように金属管の外表面を覆うように、すなわち金属管の周方向にも複数の冷媒吐出口を形成することが望ましい。これにより生産性を損なうことなく、型締めしたまま金属管1の外面全体の高強度化を短時間で達成することができる。
なお、冷媒吐出口10、冷媒供給管11は、媒体供給口4、媒体供給管5と同様の方法によって金型2に形成することができる。
また、冷媒は、液体でも気体でもよい。冷媒として気体を用いる場合は、熱伝達係数が低いので、比較的加工の厳しくない場合や、マルテンサイト変態、ベイナイト変態させない場合に限られる。また、表面の酸化を避けるために活性の低い窒素、CO2、不活性ガスを用いることが望ましい。さらに、冷媒が気体である場合は、成形品や金型に付着して残ることがないので、不必要な汚れやさびなどを生じさせることが少ないという効果がある。
3 軸押装置 4 媒体供給口
5 媒体供給管 6 媒体送込手段
7 逆流防止手段 8 ガス抜き手段
10 冷媒吐出口 11 冷媒供給管
20 膨出用空洞部
Claims (12)
- 加熱された金属管を型締めする金型と、
成形面には媒体供給口が形成され、内部には前記媒体供給口と連通する媒体供給管が形成され、型締めされた金属管の端部を成形面で閉塞しながら軸方向に軸押しする軸押装置と、
前記軸押装置の媒体供給管に接続され、前記軸押装置の成形面で端部を閉塞された金属管の内部に、金属管の温度によって気化膨張して金型の成形面に沿うように金属管を膨出させる媒体を送り込む媒体送込手段を備えることを特徴とする金属管の熱間成形装置。
- 前記軸押装置の媒体供給管に接続され、前記気化膨張した媒体が金属管の内部から媒体供給管を通して逆流するのを防止する逆流防止手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の金属管の熱間成形装置。
- 前記軸押装置の媒体供給管に接続され、前記気化膨張した媒体を金属管の内部から媒体供給管を通して排出するガス抜き手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の金属管の熱間成形装置。
- 前記軸押装置の成形面には複数の冷媒吐出口が形成され、内部には各冷媒吐出口と連通する冷媒供給管が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱間成形装置。
- 前記金型の成形面には複数の冷媒吐出口が形成され、内部には各冷媒吐出口と連通する冷媒供給管が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱間成形装置。
- 加熱された金属管を金型で型締めする型締工程と、
型締めされた金属管の端部を軸押装置の成形面で閉塞しながら軸方向に軸押しする軸押工程をこの順に行う金属管の熱間成形方法であって、
軸押工程で、端部を閉塞された金属管の内部に、金属管の温度によって気化膨張する媒体を送り込んで、金型の成形面に沿うように金属管を膨出させることを特徴とする金属管の熱間成形方法。
- 前記軸押装置の成形面には媒体供給口が形成され、内部には前記媒体供給口と連通する媒体供給管が形成されており、
軸押工程で、当該媒体供給管から金属管の温度によって気化膨張する媒体を供給して金属管の内部に送り込むことを特徴とする請求項6に記載の金属管の熱間成形方法。
- 加熱された金属管を金型で型締めする型締工程と、
型締めされた金属管の端部を軸押装置の成形面で閉塞しながら軸方向に軸押しする軸押工程をこの順に行う金属管の熱間成形方法であって、
軸押工程で、端部を閉塞された金属管の内部に、金属管の温度によって気化膨張する媒体を送り込んで、金型の成形面に沿うように金属管を膨出させ、
次いで、前記気化膨張した媒体を金属管の内部から排出するガス抜き工程を行い、
次いで、金属管に冷媒吐出を行う熱処理工程を行うことを特徴とする金属管の熱間成形方法。
- 前記軸押装置の成形面には媒体供給口が形成され、内部には前記媒体供給口と連通する媒体供給管が形成されており、
軸押工程で、当該媒体供給管から金属管の温度によって気化膨張する媒体を供給して金属管の内部に送り込むことを特徴とする請求項8に記載の金属管の熱間成形方法。
- ガス抜き工程で、前記気化膨張した媒体を前記媒体供給管を通して排出することを特徴とする請求項9に記載の金属管の熱間プレス成形方法。
- 前記軸押装置の成形面には複数の冷媒吐出口が形成され、内部には各冷媒吐出口と連通する冷媒供給管が形成されており、
熱処理工程で、当該冷媒供給管から冷媒を供給して金属管の内面に吐出することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の金属管の熱間成形方法。
- 前記金型の成形面には複数の冷媒吐出口が形成され、内部には各冷媒吐出口と連通する冷媒供給管が形成されており、
熱処理工程で、当該冷媒供給管から冷媒を供給して金属管の外面に吐出することを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の金属管の熱間成形方法。
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