JP4541490B2 - 拡張型心筋症用吸着体 - Google Patents

拡張型心筋症用吸着体 Download PDF

Info

Publication number
JP4541490B2
JP4541490B2 JP2000106915A JP2000106915A JP4541490B2 JP 4541490 B2 JP4541490 B2 JP 4541490B2 JP 2000106915 A JP2000106915 A JP 2000106915A JP 2000106915 A JP2000106915 A JP 2000106915A JP 4541490 B2 JP4541490 B2 JP 4541490B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody against
adrenoceptor
adsorbent
ala
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000106915A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001286554A (ja
Inventor
英司 荻野
重雄 古吉
文康 平井
岳弘 西本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2000106915A priority Critical patent/JP4541490B2/ja
Priority to CN01807502.9A priority patent/CN1420793A/zh
Priority to EP01919824A priority patent/EP1270030A4/en
Priority to PCT/JP2001/003026 priority patent/WO2001076662A1/ja
Priority to US10/221,042 priority patent/US7309488B2/en
Publication of JP2001286554A publication Critical patent/JP2001286554A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4541490B2 publication Critical patent/JP4541490B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M1/00Suction or pumping devices for medical purposes; Devices for carrying-off, for treatment of, or for carrying-over, body-liquids; Drainage systems
    • A61M1/36Other treatment of blood in a by-pass of the natural circulatory system, e.g. temperature adaptation, irradiation ; Extra-corporeal blood circuits
    • A61M1/3679Other treatment of blood in a by-pass of the natural circulatory system, e.g. temperature adaptation, irradiation ; Extra-corporeal blood circuits by absorption

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • External Artificial Organs (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、体液(例えば血液、血漿など)に存在するβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を選択的に吸着除去することにより、拡張型心筋症(DCM)をはじめとするβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体が増悪因子として作用する疾患の治療を促進させる吸着材、この吸着材を用いた吸着装置、ならびにβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
拡張型心筋症は心室の筋肉の収縮が極めて悪くなり、心臓が拡張してしまう疾患で肥大型心筋症に較べると極めて予後が悪い。我が国では診断されてから5年生存している人は約50%とされている。拡張型心筋症の治療は、心臓移植が根治療法として望まれるが待機数に対して提供数が不足しており、心不全に対する対症療法が主体となっている。また、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、β遮断薬の投与により心機能や予後が改善する症例が報告されているが、まだ、有効な治療薬、治療法が望まれていることに変化はない。
【0003】
一方、松井らはβ1アドレノセプターの2番目ループにCysを付加したペプチド(His Trp Trp Arg Ala Glu Ser Asp Glu Ala Arg Arg Cys Tyr Asn Asp Pro Lys Cys Cys Asp Phe Val Thr Asn Arg Cys)又はM2ムスカリンレセプターの2番目ループにCysを付加したペプチド(Val Arg Thr Val Glu Asp Gly Glu Cys Tyr Ile Gln Phe Phe Ser Asn Ala Ala Val Thr Phe Gly Thr Ala Ile Cys)をウサギに投与すると投与ペプチドに対する抗体が出現し、9ヶ月後に死亡したウサギの心臓には拡張型心筋症の所見が見られることを報告しており(Matsui S, Fu ML. Myocardial injury due to G-protein coupled receptor-autoimmunity. Jpn Heart J. 1998;39(3):261-74)、これら抗体が拡張型心筋症の病因として作用していることが示唆されている。また、Wallukat Gらはβ1アドレノセプターの2番目ループのペプチド(His Trp Trp Arg Ala Glu Ser Asp Glu Ala Arg Arg Cys Tyr Asn Asp Pro Lys Cys Cys Asp Phe Val Thr Asn Arg)をCNBr活性化Sepharose 4Bに固定化した吸着材によってβ1アドレノセプターに対する抗体を精製している(Wallukat G, Wollenberger A, Morwinski R, Pitschner HF. Anti-beta 1-adrenoceptor autoantibodies with chronotropic activity from the serum of patients with dilated cardiomyopathy: mapping of epitopes in the first and second extracellular loops. J Mol Cell Cardiol 1995 Jan;27(1):397-406)。しかし、彼らは血清を直接吸着材に接触させるのではなく、先ず、血清に40%飽和硫酸アンモニウム水溶液を加えて免疫グロブリン分画を沈殿(硫安沈殿)させ、その沈殿物を再溶解して透析し、その後に前出の吸着材で分離精製している。このことは彼らが合成した吸着材に血清等を前処理(硫安沈殿、透析)なしに接触させても充分な選択吸着が見られないことを示唆している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題を鑑み、体液(例えば血液、血漿など)に存在するβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を体液の前処理(硫安沈殿、透析)なしで効率よく選択的に吸着できるβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材を提供し、更に、この吸着材を用いた吸着装置、ならびにβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着方法を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成せんとして、各種化合物を水不溶性担体に結合させ、患者血液と接触させることにより、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に対して高い吸着活性を有するが、アルブミンなどの蛋白質には同時に吸着しない吸着材の開発に着目し、鋭意研究を進めてきた。その結果、水不溶性担体にβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合活性を有する化合物を固定した吸着材が著しく優れたβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体吸着能を持つという事実を見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に吸着能力を有する化合物を水不溶性担体に固定化したβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体吸着材を提供する。
【0007】
好適な実施態様においては、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合能力を有する化合物は、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着するにあたり、
Trp Gly Arg Trp Glu Tyr Gly Ser Phe Phe
Cys Glu Leu (配列1)
又は
Glu Tyr Gly Ser Phe Phe (配列2)
又は
Ser Phe Phe Cys Glu Leu (配列3)
又は
Arg Ala Glu Ser Asp Glu Ala Arg Arg Cys
Tyr Asn Asp Pro Lys Cys Cys Asp Phe Val
Thr Asn Arg (配列4)
又は
Val Lys Ala Phe His Arg Glu Leu Val Pro
Asp (配列5)
又は
Ala Arg Arg Cys Tyr Asn Asp (配列6)
又は
Pro Lys Cys Cys Asp Phe (配列7)
又は
Val Arg Thr Val Glu Asp Gly Glu Cys Tyr
Ile Gln Phe Phe Ser Asn Ala Ala Val Thr
Phe Gly Thr Ala Ile (配列8)
より選ばれた1種以上のペプチド、又は配列1〜配列8より選ばれた1種以上のペプチドの一部分、又は配列1〜配列8より選ばれた1種以上のペプチドと1種以上のペプチドの一部分からなるペプチドである。
【0008】
好適な実施態様においては、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合能力を有する化合物は、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着するにあたり、
X Trp Gly Arg Trp Glu Tyr Gly Ser Phe
Phe Cys Glu Leu Y (配列9)
又は
X Glu Tyr Gly Ser Phe Phe Y (配列10)
又は
X Ser Phe Phe Cys Glu Leu Y (配列11)
又は
X His Trp Trp Arg Ala Glu Ser Asp Glu
Ala Arg Arg Cys Tyr Asn Asp Pro Lys Cys
Cys Asp Phe Val Thr Asn Arg Y (配列12)
又は
X Val Lys Ala Phe His Arg Glu Leu Val
Pro Asp Y (配列13)
又は
X Ala Arg Arg Cys Tyr Asn Asp Y (配列14)
又は
X Pro Lys Cys Cys Asp Phe Y (配列15)
又は
X Val Arg Thr Val Glu Asp Gly Glu Cys
Tyr Ile Gln Phe Phe Ser Asn Ala Ala Val
Thr Phe Gly Thr Ala Ile Y (配列16)
より選ばれた1種以上のペプチドである。但し、XはN末端アミノ酸部位が(Cys)m又は(Lys)n(m,nは0以上10以下の整数)でありアミノ酸残基数が0以上20残基以下のペプチドを表し、Y はC末端アミノ酸部位が(Cys)p又は(Lys)q(p,qは0以上10以下の整数) でありアミノ酸残基数が0以上20残基以下のペプチドを表し、XとYの合計アミノ酸残基数が1以上40残基以下である。
【0009】
好適な実施態様においては、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合能力を有する化合物は、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着するにあたり、配列1〜配列8より選ばれた2種以上のペプチドを10残基以下のペプチドで結合して直鎖ペプチドとし、N末端アミノ酸部位が(Cys)m又は(Lys)n(n,mは0以上10以下の整数)でありアミノ酸残基数が0以上20残基以下のペプチドを前記直鎖ペプチドN末端側に、C末端アミノ酸部位が(Cys)p又は(Lys)q(p,qは0以上10以下の整数) でありアミノ酸残基数が0以上20残基以下のペプチドを前記直鎖ペプチドC末端側に結合したペプチドである。
【0010】
好適な実施態様においては、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合能力を有する化合物が水不溶性担体1mL当たりに0.00001μmol以上、100μmol以下固定されている。
【0011】
好適な実施態様においては、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着するにあたり、水不溶性担体が多孔質である。
【0012】
好適な実施態様においては、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着するにあたり、水不溶性多孔質担体の排除限界分子量が15万以上1000万以下である。
【0013】
好適な実施態様においては、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着するにあたり、水不溶性担体が親水性である。
【0014】
好適な実施態様においては、本発明の吸着材は、血液、血漿、または他の体液中に存在するβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着するために用いられる。
【0015】
好適な実施態様においては、本発明の吸着材は、血液、血漿、または他の体液中に存在するβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を構成成分として含む免疫複合体を吸着するために用いられる。
【0016】
本発明のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体吸着装置は、上記のいずれかに記載の吸着材が、液体の入口、出口を有する容器内に含まれ、そして該吸着材の容器外への流出防止手段が備えられている。
【0017】
本発明のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体吸着方法は、上記のいずれかに記載の吸着材とβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を含有する液体とを接触させる工程を包含する。
【0018】
好適な実施態様においては、上記β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を含有する液体は、血液、血漿または他の体液である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明に用いられるβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合能力を有する化合物とは、実質的にβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着する能力を有する化合物を言い、特定の化合物に限定するものではないが、好ましくは、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体中の抗原認識部分(すなわちFab)に特異的に結合する物質であるのが好ましい。例示すると、
Figure 0004541490
Figure 0004541490
等が代表例として挙げられる。但し、XはN末端アミノ酸部位が(Cys)m又は(Lys)n(m,nは0以上10以下の整数)でありアミノ酸残基数が0以上20残基以下のペプチドを表し、Y はC末端アミノ酸部位が(Cys)p又は(Lys)q(p,qは0以上10以下の整数) でありアミノ酸残基数が0以上20残基以下のペプチドを表し、XとYの合計アミノ酸残基数が1以上40残基以下である。
【0020】
本発明に用いる水不溶性担体としては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどの多糖類からなる有機担体、さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機-有機、有機-無機などの複合担体などが挙げられるが、中でも親水性担体は非特異吸着が比較的少なく、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着選択性が良好であるため好ましい。ここでいう親水性担体とは、担体を構成する化合物を平板状にしたときの水との接触角が60度以下の担体を示す。この様な担体としてはセルロース、キトサン、デキストラン等の多糖類、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエチレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、ガラスなどからなる担体が代表例として挙げられる。
【0021】
市販品としては多孔質セルロースゲルであるGCL2000m、エポキシ基で活性化されたポリメタクリルアミドであるオイパーギットC250L等を例示することができる。ただし、本発明においてはこれらの担体、活性化担体のみに限定されるものではないことは言うまでもない。上述の担体はそれぞれ単独で用いてもよいし、任意の2種類以上を混合してもよい。又、本発明に用いる水不溶性担体としては、本吸着材の使用目的および方法からみて、表面積が大きことが望ましく、適当な大きさの細孔を多数有する、すなわち、多孔質であることが好ましい。
【0022】
本発明で用いられる多孔質担体の排除限界分子量は15万以上1000万以下であるが、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体は、その分子量が14万以上100万以下の分子であり、多孔質性の担体で抗体分子をより効率良く吸着する為には排除限界分子量が抗体分子の直径よりも大きいことが好ましい。しかし、大きすぎる場合には担体の強度が低下し、且つ表面積が減少するため、排除限界分子量が25万以上500万以下であるものを使用するのがより好ましい。
【0023】
次に、担体の多孔構造については、吸着材の単位体積あたりの吸着能から考えて、表面多孔性よりも全多孔性が好ましく、空孔容積が20%以上であり、比表面積が3m2/g以上であることが好ましい。
【0024】
担体の形態としては、ビーズ状、線維状、膜状(中空糸も含む)など何れも可能であり、任意の形態を選ぶことができるが、体外循環時の体液の流通面より、ビーズ状が特に好ましく用いられる。ビーズ状の平均粒径は10〜2500μmのものが使いやすいが、25μmから800μmの範囲が好ましく用いられる。
【0025】
さらに担体表面には、リガンドの固定化反応に用いうる官能基が存在しているとリガンドの固定化に好都合である。これらの官能基の代表例としては、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、チオール基、シラノール基、アミド基、エポキシ基、サクシニルイミド基、酸無水物基などが挙げられる。
【0026】
次に本発明に用いる担体としては硬質担体、軟質担体のいずれも用いることができるが、体外循環治療用の吸着材として使用するためには、カラムに充填し、通液する際などに目詰まりを生じないことが重要である。そのために充分な機械的強度が要求される。従って、本発明に用いる担体は硬質担体であることがより好ましい。本明細書中では、硬質担体とは、例えば粒状ゲルの場合、以下の条件でゲルをガラスを円筒状カラム(内径9mm、カラム長150mm)に均一に充填し、水性流体を流した際の圧力損失△Pと流量の関係が0.3kg/cm2まで直線関係にあるものをいう。
【0027】
例えば、両端に孔径15μmのフィルターを装着したガラス製円筒状カラム(内径9mm、カラム長150mm)にアガロースゲル(Bio-Rad社製のBiogel-A5m、粒径50〜100メッシュ)、ビニル系ポリマーゲル(東洋曹達工業(株)製のトヨパールHW-65、粒径50〜100μm)およびセルロースゲル(チッソ(株)製のセルロファインGC-700m、粒径45〜105μm)をそれぞれ均一に充填し、ペリスタティックポンプにより水を流し、流量と圧力損失△Pとの関係を求めた(図1)。縦軸に流速(cm/分)を横軸に圧力損失(kg/cm2)をプロットした。この図において、○はトヨパールHW-65、△はセルロファインGC-700m、●はBiogel-A5mを示す。この結果、トヨパールHW-65およびセルロファインGC-700mが圧力増加にほぼ比例して流量が増加するのに対し、Biogel-A5m用は圧密化を引き起こし、圧力を増加させても流量が増加しないことがわかる。
【0028】
上記担体への免疫グロブリン結合蛋白またはペプチドの固定化においては、蛋白質またはペプチドの立体障害を小さくすることにより吸着効率を向上させ、さらに非特異的吸着を抑えるために、親水性スペーサーを介して固定化することが、より好ましい。親水性スペーサーとしては、例えば、両末端をカルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基などで置換したポリアルキレンオキサイドの誘導体を用いるのが好ましい。
【0029】
上記の担体へ導入されるβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合活性を有する化合物、およびスペーサーとして用いられる有機化合物の固定化方法は特に限定されるものではないが、一般に蛋白質やペプチドを担体に固定化する場合に採用されるエポキシ反応、ニック塩基反応、カルボジイミド試薬などを用いた縮合反応、活性エステル反応、グルタルアルデヒド試薬などを用いた担体架橋反応などによる固定化方法が挙げられるが、体外循環治療および血液浄化に用いられ得る吸着材であることを考慮して、吸着材の滅菌時または治療時に蛋白類が担体より容易に脱離しない固定化方法を適用することがより好ましい。例えば、(1)担体が有するカルボキシル基をN-ヒドロキシコハク酸イミドと反応させることによってスクシンイミドオキシカルボニル基に置換して、蛋白質またはペプチドをアミノ基の部分で反応させる方法(活性エステル法)、(2)担体が有するアミノ基またはカルボキシル基に、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合試薬存在下で、蛋白質またはペプチドのカルボキシル基またはアミノ基を縮合反応させる方法(縮合法)、(3)蛋白質またはペプチドをグルタルアルデヒドなどの2個以上の官能基を有する化合物を用いて架橋する方法(担体架橋法)などが挙げられる。蛋白類の脱離溶出を極力抑えるためには共有結合法により結合することが好ましい。
【0030】
β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合能力を有する化合物を固定化した担体を、血液、血漿、血清などの体液と接触させて、体液中のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着する方法には種々の方法がある。代表的な方法としては、(1)体液を取り出してバックなどに貯留し、これを吸着材に混合してβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着した後、吸着材を濾別してβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の除去された体液を得る方法、(2)体液の入口と出口を有し、出口に体液は通過するが吸着剤は通過しないフィルターを装着した容器に吸着材を充填し、これに体液を流す方法等がある。いずれの方法を用いてもよいが、後者の方法は操作も簡単であり、また体外循環回路に組み込むことにより患者の体液から効率よくオンラインでβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を除去することが可能であり、本発明の吸着材はこの方法に適している。
【0031】
次に、β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着する吸着材を用いた本発明のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着装置を、その概略断面図に基づき説明する。
【0032】
図2中に示す容器7は、液体の流入口(または流出口)1、液体の流出口(または流入口)2、本発明のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体吸着材3、液体および液体に含まれる成分は通過できるがβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体吸着材は通過できない吸着材流出防止手段4および5、ならびにカラム6を有する。この容器の形状および材質に特に限定はないが、好ましいくは、例えば、容量20〜400ml程度、直径2〜10cm程度の筒状容器が用いられる。
【0033】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、本明細書においては、各種アミノ酸残基を次の略号で記載する。Ala;L-アラニン残基、Asp;L-アスパラギン酸残基、Asn;L-アスパラギン残基、Cys;L-システイン残基、Gln;L-グルタミン残基、Glu;L-グルタミン酸残基、Gly;L-グリシン残基、Ile;L-イソロイシン残基、Leu;L-ロイシン残基、Lys;L-リジン残基、Phe;L-フェニルアラニン残基、Thr;L-スレオニン残基、Trp;L-トリプトファン残基、Tyr;L-タイロシン残基、Val;L-バリン残基。また本明細書においては、ペプチドのアミノ酸配列を、そのアミノ末端(以下N末端という)が左側に位置し、カルボキシル末端(以下C末端という)が右側に位置するように、常法に従って記述する。
【0034】
【実施例】
[実施例1]
1-1.ペプチド(配列4)の合成
Arg Ala Glu Ser Asp Glu Ala Arg Arg Cys
Tyr Asn Asp Pro Lys Cys Cys Asp Phe Val
Thr Asn Arg (配列4)
の合成を、ペプチドシンセサイザーModel 4170型(ファルマシアLKB社製)を用いて固相合成法により合成した。Fmocで保護されたアミノ酸として通常使用されるFmoc-L-Ala、Fmoc-L-Arg、Fmoc-L-Asn(Trt)、Fmoc-L-Asp(OtBu)、Fmoc-L-Cys(Trt)、Fmoc-L-Gln(Trt)、Fmoc-L-Glu(OtBu)、Fmoc-L-Gly、Fmoc-L-His、Fmoc-L-Ile、Fmoc-L-Leu、Fmoc-L-Lys(Boc)、Fmoc-L-Met、Fmoc-L-Phe、Fmoc-L-Pro、Fmoc-L-Ser、Fmoc-L-Thr(tBu)、Fmoc-L-Trp、Fmoc-L-Tyr(tBu)、Fmoc-L-Valの中から配列に必要なFmocアミノ酸を選択し、基質に対して5当量用いた。(ここで、Trt、OtBu、Boc、およびtBuは、それぞれトリチル基、第3ブチルエステル、第3ブチルオキシカルボニル基、およびo-第3ブチル基を表す。)
合成反応終了後、グラスフィルター上でtert-アミルアルコール、酢酸、およびジエチルエーテルを用いて順次洗浄、真空乾燥した。得られた支持体1gに、トリフルオロ酢酸(以下TFAと略)20ml、1,2-エタンジチオール260μl、およびアニソール780μlを加えて室温で1.5時間撹拌後、グラスフイルター上で濾別し、濾液を減圧濃縮した。次いで無水ジエチルエーテルにて再沈殿し、粗精製ペプチドを回収した。粗精製ペプチドを0.1%TFAに溶解して、逆相カラム(μBondasphere C18; 日本ミリポア.ウォーターズ社製)を用いてHPLCにて精製した。
【0035】
1-2.吸着材の合成(GCL2000m-配列4)
1-2-1.GCL2000mのエポキシ活性化
セルロース系多孔質硬質ゲルであるGCL-2000m(チッソ(株)製、球状タンパク質の排除限界分子量300万)90mlに水を加え全量を180mlとしたのち、2M水酸化ナトリウム60mlを加え40℃とした。これにエピクロルヒドリン21mlを加え、40℃で撹拌下1時間反応させた。反応終了後、充分に水洗し、エポキシ活性化セルロースゲルを得た。
1-2-2.ペプチド(配列4)の固定化
1-1.で合成したペプチド(配列4) 0.5mgを0.05M ホウ酸緩衝液(pH10.0) 0.5mLに溶解し、0.01N 水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に再調整、全量を1.0mLとした(ペプチド溶液)。上記エポキシ活性化GCL2000m 0.4mLにペプチド溶液を加えて37℃で16時間振盪した後、充分量のPBS(150mM 塩化ナトリウムを含む 10mM リン酸緩衝液)で洗浄し、GCL2000m-配列4を得た。
【0036】
固定化反応直前と直後の反応溶液のペプチド濃度をHPLCにより測定し、その反応率を算出することにより固定化量を求めた。その結果、GCL2000m-配列4 1mL当たり0.8mg(0.8mg/mL)のペプチドが固定化されていた。
【0037】
1-3.吸着材の評価
1-2.で合成したGCL2000m-配列4 50μLにβ1アドレノセプターに対する抗体が陽性である(β1AR-Ab(+)と略)DCM患者血清Aを300μL加えて37℃にて2時間振盪し、上清のβ1アドレノセプター抗体価をELISA法により測定した。β1アドレノセプターの2番目ループ(β1AR2nd)であるペプチド(合成法については比較例1の(1)-1.参照)溶液(50μg/mL)をELISAプレートに50μL添加し、4℃で一晩静置した。プレート洗浄後、スキムミルク(ディフコ社製)溶液を100μL添加し、室温で1時間静置した。プレート洗浄後、検体(前述の上清を10倍希釈したもの)を50μL添加し、4℃で一晩静置した。プレート洗浄後、ビオチン標識抗ヒトIgG抗体(サザン バイオテクノロジー社製)溶液を50μL添加し、室温で1時間静置した。プレート洗浄後、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼポリマー(シグマ社製)溶液を50μL添加し、室温で1時間静置した。プレート洗浄後基質溶液を100μL添加し、室温で30分静置した。405nmにおける吸光度を測定した。前述の検体の代わりにDCM患者血清Aを用いた吸光度(吸着能0%相当)と健常人血清(β1AR-Ab(-))を用いた吸光度(吸着能100%相当)からGCL2000m-配列4の吸着能を算出した(結果は表1.参照)。
【0038】
[比較例1]
(1)-1.ペプチド(β1AR2nd)
Wallukatらが用いた吸着材と性能を比較するため、β1アドレノセプターの2番目ループ(β1AR2nd)であるペプチド、
His Trp Trp Arg Ala Glu Ser Asp Glu Ala
Arg Arg Cys Tyr Asn Asp Pro Lys Cys Cys
Asp Phe Val Thr Asn Arg
を実施例1記載(1-1.)と全く同様に合成した。
【0039】
(1)-2.吸着材の合成(Sepharose 4B-β1AR2nd)
CNBr活性化セファロース4B(ファルマシアLKB社製、球状タンパク質の排除限界分子量>2000万)を1mM HCl水溶液少量で15分間膨潤させ、1mM HCl水溶液で洗浄し、更にカップリングバッファー(pH8.3 0.5M 塩化ナトリウム 0.1M NaHCO3)で洗浄した。2-1.で合成したペプチド(β1AR2nd) 0.5mgをカップリングバッファー1mLに溶解し、前処理したCNBr活性化セファロース4B 0.4mLと混合し、4℃で16時間反応した。カップリングバッファーで洗浄後、ブロックバッファー(pH8.3 0.2M グリシン 0.5M 塩化ナトリウム 0.1M NaHCO3)を添加し室温で2時間反応した。2種の後処理バッファー(pH4.0 0.5M 塩化ナトリウム 0.1M 酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液、pH8.0 0.5M 塩化ナトリウム 0.1M トリス-塩酸緩衝液)で交互に3回づつ洗浄しSepharose4B-β1AR2ndを得た。
【0040】
1-2-2.と同様に固定化量を求めたところ、1mg/mLのSepharose4B-β1AR2ndを得た。(Wallukat G, Wollenberger A, Morwinski R, Pitschner HF. Anti-beta 1-adrenoceptor autoantibodies with chronotropic activity from the serum of patients with dilated cardiomyopathy: mapping of epitopes in the first and second extracellular loops. J Mol Cell Cardiol 1995 Jan;27(1):397-406)
(1)-3.吸着材の評価
実施例1(1-3.)のGCL2000m-配列4 をSepharose 4B-β1AR2ndに代えた他は実施例1(1-3.)と全く同様にDCM患者血清Aを用いた吸着実験、ELISAを行い、吸光度を測定し、吸着能を算出した(結果は表1.参照)。
【0041】
[実施例2]
2-1.ペプチド(配列12a)
His Trp Trp Arg Ala Glu Ser Asp Glu Ala
Arg Arg Cys Tyr Asn Asp Pro Lys Cys Cys
Asp Phe Val Thr Asn Arg Gly Ala Cys (配列12a)
を実施例1記載(1-1.)と全く同様に合成した。
【0042】
2-2.吸着材の合成(Kac-配列12a)
セルロース系多孔質硬質ゲルで球状タンパク質の排除限界分子量500万の当社試作品Kac 90mlに水を加え全量を180mlとしたのち、2M水酸化ナトリウム60mlを加え40℃とした。これにエピクロルヒドリン21mlを加え、40℃で撹拌下1時間反応させた。反応終了後、充分に水洗し、エポキシ活性化セルロースゲルを得た。
【0043】
2-1.で合成したペプチド(配列12a) 2mgを0.05M ホウ酸緩衝液(pH10.0) 0.5mLに溶解し、0.01N 水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に再調整、全量を1.0mLとした(ペプチド溶液)。上記エポキシ活性化Kac 0.4mLにペプチド溶液を加えて37℃で16時間振盪した後、充分量のPBS(150mM 塩化ナトリウムを含む 10mM リン酸緩衝液)で洗浄し、Kac-配列12aを得た。
【0044】
1-2-2.と同様に固定化量を求めたところ、3.2mg/mLのKac-配列12aを得た。
【0045】
2-3.吸着材の評価
実施例1(1-3.)のGCL2000m-配列4をKac-配列12aに代え、DCM患者血清AをDCM患者血清B(β1AR-Ab(+))に代えた他は実施例1(1-3.)と全く同様に吸着実験、ELISAを行い、吸光度を測定し、吸着能を算出した(結果は表1.参照)。
【0046】
[実施例3]
3-1.ペプチド(配列16a)
Val Arg Thr Val Glu Asp Gly Glu Cys Tyr
Ile Gln Phe Phe Ser Asn Ala Ala Val Thr
Phe Gly Thr Ala Ile Pro Ala Lys Lys (配列16a)
を実施例1記載(1-1.)と全く同様に合成した。
【0047】
また、ELISAのペプチド溶液調製用に
Val Arg Thr Val Glu Asp Gly Glu Cys Tyr
Ile Gln Phe Phe Ser Asn Ala Ala Val Thr
Phe Gly Thr Ala Ile (M2R)
を実施例1記載(1-1.)と全く同様に合成した。
【0048】
3-2.吸着材の合成(Eu-配列16a)
エポキシ活性化メタクリルアミドポリマーであるオイパーギットC250L(排除限界分子量100万、Rohm Pharma社製)を0.05M ホウ酸緩衝液(pH10.0)にて15分間膨潤させ、0.05M ホウ酸緩衝液(pH10.0)で洗浄した。3-1.で合成したペプチド(配列16a) 10mgを0.05M ホウ酸緩衝液(pH10.0) 0.5mLに溶解し、0.01N 水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に再調整、全量を1.0mLとし(ペプチド溶液)、前処理したオイパーギットC250L 0.4mLと混合して37℃で16時間振盪した後、充分量のPBS(150mM 塩化ナトリウムを含む 10mM リン酸緩衝液)で洗浄し、Eu-配列16aを得た。
【0049】
1-2-2.と同様に固定化量を求めたところ、15mg/mLのEu-配列16aを得た。
【0050】
3-3.吸着材の評価
実施例1(1-3.)のGCL2000m-配列4をEu-配列16aに代え、DCM患者血清AをM2ムスカリンレセプター抗体陽性(M2R-Ab(+)と略)であるDCM患者血清Cに代え、ELISAプレートに最初に添加するペプチド溶液において溶解するペプチドをβ1AR2ndからM2Rに代えた他は実施例1(1-3.)と全く同様に吸着実験、ELISAを行い、吸光度を測定し、吸着能を算出した(結果は表1.参照)。
【0051】
[実施例4]
Figure 0004541490
を実施例1記載(1-1.)と全く同様に合成した。
【0052】
4-2.吸着材の合成(Kac-配列12b,16b)
4-1.で合成したペプチド(配列12bを2.5mgと配列16bを3mg)を0.05M ホウ酸緩衝液(pH10.0) 0.5mLに溶解し、0.01N 水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に再調整、全量を1.0mLとした(ペプチド溶液)。実施例2(2-2.)で合成したエポキシ活性化Kac 0.4mLにペプチド溶液を加えて37℃で16時間振盪した後、充分量のPBS(150mM 塩化ナトリウムを含む 10mM リン酸緩衝液)で洗浄し、Kac-配列12b,16bを得た。
【0053】
4-3.吸着材の評価
実施例1(1-3.)のGCL2000m-配列4をKac-配列12b,16bに代え、DCM患者血清AをDCM患者血清D(β1AR-Ab(+))に代えた他は実施例1(1-3.)と全く同様に吸着実験、ELISAを行い、吸光度を測定し、吸着能を算出した(結果は表1.参照)。
【0054】
[実施例5]
5-1.ペプチド(配列3S7a)
Ser Phe Phe Cys Glu Leu Ala Asp Gly Tyr
Pro Lys Cys Cys Asp Phe Ala Cys (配列3S7a)
を実施例1記載(1-1.)と全く同様に合成した。
【0055】
5-2.吸着材の合成(Kac-配列)
5-1.で合成したペプチド(配列3S7a) 3mgを0.05M ホウ酸緩衝液(pH10.0) 0.5mLに溶解し、0.01N 水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に再調整、全量を1.0mLとした(ペプチド溶液)。実施例2(2-2.)で合成したエポキシ活性化Kac 0.4mLにペプチド溶液を加えて37℃で16時間振盪した後、充分量のPBS(150mM 塩化ナトリウムを含む 10mM リン酸緩衝液)で洗浄し、Kac-配列3S7aを得た。
【0056】
1-2-2.と同様に固定化量を求めたところ、3.4mg/mLのKac-配列3S7aを得た。
【0057】
5-3.吸着材の評価
実施例1(1-3.)のGCL2000m-配列4をKac-配列3S7aに代え、DCM患者血清AをDCM患者血清D(β1AR-Ab(+))に代えた他は実施例1(1-3.)と全く同様に吸着実験、ELISAを行い、吸光度を測定し、吸着能を算出した(結果は表1.参照)。
【0058】
[実施例6]
実施例5(5-2.)で合成した吸着材Kac-配列3S7a 1mL(または対照試験としてKac 1mL)に健常人血清(β1AR-Ab(-),M2R-Ab(-))6mLを加えて37℃にて2時間振盪し、上清のアルブミン濃度、IgG濃度、IgM濃度を測定した(シオノギ バイオメディカル ラボラトリーズに検査依頼した。)。対照試験の各濃度を吸着率0%とした時の吸着材Kac-配列3S7aを用いたときの吸着率を算出し、表2.に示した。
Figure 0004541490
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、上記実施例から明らかなとおり、体液中に存在するβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を選択的に吸着する能力を有する新規な吸着材が提供される。また、該吸着材を充填してなる体液処理装置を用いることによって、血液、血漿、血清などの非処理液中のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を選択的に除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、3種類のゲルを用いて流速と圧力損失との関係を調べた結果を示すグラフである
【図2】図2は、本発明のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着装置一例の概略断面図である。
【符号の説明】
1:体液の流入口
2:体液の流出口
3:β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材
4、5:体液および体液に含まれる成分は通過できるが前記β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材は通過できないフィルター
6:カラム
7:吸着器

Claims (8)

  1. β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合能力を有する化合物を水不溶性担体に固定したことを特徴とするβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材であって、前記化合物が
    Arg Ala Glu Ser Asp Glu Ala Arg Arg Cys Tyr Asn Asp Pro Lys Cys Cys Asp Phe Val Thr Asn Arg (配列4)、
    His Trp Trp Arg Ala Glu Ser Asp Glu Ala Arg Arg Cys Tyr Asn Asp Pro Lys Cys Cys Asp Phe Val Thr Asn Arg Gly Ala Cys(配列12a)
    Val Arg Thr Val Glu Asp Gly Glu Cys Tyr Ile Gln Phe Phe Ser Asn Ala Ala Val Thr Phe Gly Thr Ala Ile Pro Ala Lys Lys(配列16a)、または
    His Trp Trp Arg Ala Glu Ser Asp Glu Ala Arg Arg Cys Tyr Asn Asp Pro Lys Cys Cys Asp Phe Val Thr Asn Arg Ala Cys (配列12b)およびVal Arg Thr Val Glu Asp Gly Glu Cys Tyr Ile Gln Phe Phe Ser Asn Ala Ala Val Thr Phe Gly Thr Ala Ile Cys (配列16b)
    らなるペプチドであること
    を特徴とする体外循環治療および血液浄化に用いる吸着材。
  2. β1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体に結合能力を有する化合物が水不溶性担体1mL当たりに0.00001μmol以上、100μmol以下固定されていることを特徴とする請求項1に記載のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材。
  3. 前記水不溶性担体が多孔質であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材。
  4. 前記水不溶性多孔質担体の排除限界分子量が15万以上1000万以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材。
  5. 前記水不溶性担体が親水性であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材。
  6. 血液、血漿または他の体液中に存在するβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を吸着するために用いられる請求項1〜のいずれかに記載のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材。
  7. 血液、血漿または他の体液中に存在するβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体を構成成分として含む免疫複合体を吸着するために用いられる請求項1〜のいずれかに記載のβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着材。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の吸着材が、液体の入口、出口を有する容器内に含まれ、そして該吸着材の容器外への流出防止手段が備えられているβ1アドレノセプターに対する抗体及び/又はM2ムスカリンレセプターに対する抗体の吸着装置。
JP2000106915A 2000-04-07 2000-04-07 拡張型心筋症用吸着体 Expired - Fee Related JP4541490B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000106915A JP4541490B2 (ja) 2000-04-07 2000-04-07 拡張型心筋症用吸着体
CN01807502.9A CN1420793A (zh) 2000-04-07 2001-04-09 扩张性心肌病用吸收剂
EP01919824A EP1270030A4 (en) 2000-04-07 2001-04-09 ADSORBENTS FOR DILATED MYOCARDIOPATHY
PCT/JP2001/003026 WO2001076662A1 (fr) 2000-04-07 2001-04-09 Adsorbants pour myocardiopathie dilatee
US10/221,042 US7309488B2 (en) 2000-04-07 2001-04-09 Adsorbents for dilated cardiomyopathy

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000106915A JP4541490B2 (ja) 2000-04-07 2000-04-07 拡張型心筋症用吸着体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001286554A JP2001286554A (ja) 2001-10-16
JP4541490B2 true JP4541490B2 (ja) 2010-09-08

Family

ID=18620004

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000106915A Expired - Fee Related JP4541490B2 (ja) 2000-04-07 2000-04-07 拡張型心筋症用吸着体

Country Status (5)

Country Link
US (1) US7309488B2 (ja)
EP (1) EP1270030A4 (ja)
JP (1) JP4541490B2 (ja)
CN (1) CN1420793A (ja)
WO (1) WO2001076662A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4541490B2 (ja) * 2000-04-07 2010-09-08 株式会社カネカ 拡張型心筋症用吸着体
DE10327066A1 (de) * 2002-11-29 2004-09-16 Max-Delbrück-Centrum für Molekulare Medizin Bestimmung agonistischer Autoantikörper
WO2004051280A2 (de) * 2002-11-29 2004-06-17 Max-Delbrück-Centrum für Molekulare Medizin Bestimmung agonistischer autoantikörper
US8034785B2 (en) 2004-10-28 2011-10-11 Kaneka Corporation Adsorbent adsorbing antibody against β1 adrenoreceptor
US8187605B2 (en) * 2005-03-31 2012-05-29 Julius-Maximillians-Universität Würzburg Means for the inhibition of anti-β1-adrenergic receptor antibodies
JPWO2008099855A1 (ja) * 2007-02-14 2010-05-27 旭化成クラレメディカル株式会社 自己抗体吸着材
EP2197900B9 (en) * 2007-08-24 2013-01-09 Julius-Maximilians-Universität Würzburg Mutant double cyclized receptor peptides inhibiting beta 1-adrenoceptor antibodies
RU2502743C1 (ru) * 2012-08-03 2013-12-27 Федеральное государственное бюджетное учреждение "Российский кардиологический научно-производственный комплекс" Министерства здравоохранения и социального развития РФ (ФГБУ "РКНПК" Минздравсоцразвития России) Синтетический антиген, обладающий способностью связывать аутоантитела к мускариновому м2-рецептору
CN104407149B (zh) * 2014-09-09 2017-10-27 武汉华纪元生物技术开发有限公司 抗心肌抗体四联诊断试剂盒的制备方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997017980A1 (en) * 1995-11-15 1997-05-22 Baxter International Inc. Treatment of cardiomyopathy by removal of autoantibodies

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4229537A (en) * 1978-02-09 1980-10-21 New York University Preparation of trichloro-s-triazine activated supports for coupling ligands
JPS63159753A (ja) 1986-12-23 1988-07-02 Sekisui Chem Co Ltd 蛋白溶液中のイオン性物質の測定法
WO1995031727A1 (en) * 1994-05-13 1995-11-23 Therasorb Medizinische Systeme Gmbh Sterile and pyrogen-free columns coupled to protein for binding and removal of substances from blood
JP4114979B2 (ja) 1997-04-14 2008-07-09 敏一 中村 拡張型心筋症治療剤
ES2272325T3 (es) * 1999-09-21 2007-05-01 Fresenius Medical Care Affina Gmbh Peptidos contra autoanticuerpos causantes de cmd.
JP4541490B2 (ja) * 2000-04-07 2010-09-08 株式会社カネカ 拡張型心筋症用吸着体
EP1507557A4 (en) * 2002-04-23 2006-06-14 Meir Strahilevitz METHODS AND DEVICES FOR TARGETING A SITE IN A MAMMAL AND DETERMINING CHEMICAL SPECIES FROM A MAMMAL

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997017980A1 (en) * 1995-11-15 1997-05-22 Baxter International Inc. Treatment of cardiomyopathy by removal of autoantibodies

Also Published As

Publication number Publication date
EP1270030A4 (en) 2005-04-27
CN1420793A (zh) 2003-05-28
EP1270030A1 (en) 2003-01-02
US20040120946A1 (en) 2004-06-24
WO2001076662A1 (fr) 2001-10-18
JP2001286554A (ja) 2001-10-16
US7309488B2 (en) 2007-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW514537B (en) Adsorbent for removing hepatitis c virus and adsorption apparatus
JP4685294B2 (ja) 新規ペプチド、生産方法、新規吸着体、吸着器および吸着方法
JP3908278B2 (ja) 免疫グロブリンおよびその複合体の吸着材、吸着方法、および吸着装置
JP4541490B2 (ja) 拡張型心筋症用吸着体
US6994970B1 (en) Peptides for combating the autoantibodies that are responsible for dilatative cardiomyopathy (DCM)
CN113226353A (zh) 治疗与抗中性粒细胞胞质抗体相关的疾病的体外装置和方法
JPS6353971B2 (ja)
JP2928589B2 (ja) 変性ldlの吸着体およびそれを用いる変性ldlの除去装置
JP3955379B2 (ja) C型肝炎ウイルス除去用吸着材、吸着装置及び吸着方法
US8034785B2 (en) Adsorbent adsorbing antibody against β1 adrenoreceptor
JP4773354B2 (ja) インスリン結合たんぱく質と結合能力のあるペプチドおよび吸着材
JP3574471B2 (ja) 抗表皮細胞間抗体結合性ペプチドおよび吸着剤
JP2795747B2 (ja) ペプチドおよびこれを担体上に固定化してなる吸着剤
JPH0534024B2 (ja)
JPS6353827B2 (ja)
JP2006063024A (ja) 糖化最終生成物に親和性を有するペプチド、およびそれを用いた吸着体
JPH0611336B2 (ja) 体液浄化材および体液浄化装置
JPH0544960B2 (ja)
JPWO2008099855A1 (ja) 自己抗体吸着材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090907

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20090907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100316

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100514

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100601

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100624

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4541490

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130702

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130702

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees