JP4540862B2 - 人工皮革用捲縮繊維 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた外観を有する人工皮革及びその製造方法、ならびにこの人工皮革に用いられる捲縮繊維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人工皮革は、主として繊維基材と高分子弾性体から構成されている。そのもっとも代表的な製造方法として、複数のポリマーからなる多成分系繊維を絡合させて不織布、すなわち繊維基材を作製し、この不織布に高分子弾性体を充填し、そして繊維を構成している複数のポリマーのうちのひとつのポリマーを抽出除去して基材を構成する繊維を極細繊維束化させた後、該基材表面を毛羽立ててスエード調とするか、あるいは高分子弾性体を含有させた該基材表面に樹脂層を積層して銀面層付きの人工皮革とする方法が知られている。
【0003】
また、極細繊維の製造方法としては、相溶性を有していない複数のポリマーからなり、繊維横断面において、少なくともひとつのポリマーが海成分となり、他のポリマーが島成分となっている海島構造多成分系繊維から海成分ポリマーを除去する方法、あるいは相溶性を有していない複数のポリマーからなり、繊維横断面において複数のポリマーがそれぞれ複数の層に分かれてこれら層が積層されたような形状を有する多層積層構造多成分系繊維からいずれかのポリマーを除去する方法または積層構造の積層部分を剥離させる方法等が公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法で製造された人工皮革では、人工皮革の面感、すなわちスエード調人工皮革においては均一な立毛状態、銀面付人工皮革においては均一な平滑な表面状態の点で必ずしも満足できるものではない。本発明は、不織布内の繊維の絡合を高め、面感に優れた人工皮革を提供すること、及びこのような人工皮革が得られることとなる捲縮繊維を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、不織布内の繊維の絡合状態が構成する繊維の捲縮状態により影響されることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、捲縮の形が山谷構造の山と谷の間に、さらに小さな山谷構造が存在する不均一な山谷構造であることを特徴とする人工皮革用繊維である。好ましくは捲縮数が5〜20個/cmの捲縮繊維である。ここでいう捲縮数とは、フリーテンションの状態で、繊維が山もしくは谷の様に折れ曲がった構造を示し、大きさが0.2〜3.0mm程度のものをさす。そしてより好ましくは、山谷構造の山と谷の間のさらに小さな山谷構造の捲縮までかずに数えると40個/cm以上となるような不均一な捲縮の上記繊維である。またより好ましくは、複数ポリマーからなる上記繊維である。
【0006】
さらに、本発明は、紡糸後、延伸された繊維を直列に繋いだ複数台の押込み捲縮機に順次通して捲縮を付与することを特徴とする人工皮革用捲縮繊維の製造方法である。また、上記の捲縮繊維を用いて不織布を作製し、この不織布に高分子弾性体を充填させた後、不織布表面を起毛するか、あるいは不織布表面に樹脂層を積層することを特徴とする人工皮革の製造方法であり、好ましくは、捲縮繊維が複数のポリマーからなり、高分子弾性体を含有させる前又は後で、繊維から少なくとも一つのポリマーを除去する上記人工皮革の製造方法である。そして、これらの方法により製造された人工皮革である。
【0007】
本発明の捲縮繊維の好適な製造方法は、紡糸され延伸された合成繊維を押し込み捲縮機にて、まず1段目の捲縮処理を行い、繊維にほぼ均一な山谷構造のカーブを与え、さらにこの捲縮繊維を次の押し込み捲縮機に入れて2段目の捲縮、さらに好ましくは3段目の捲縮というように、多段の捲縮を与えることで該繊維の捲縮の形が不均一な山谷構造となる。本発明で言う不均一な捲縮とは、隣り合う山と谷との間隔が実質的に均一でないことを意味している。このことにより、この繊維をウェッブとし、ニードルパンチングにより3次元的に繊維同士を絡合させて絡合不織布を製造する際に、ニードルへの引掛りや絡合後の繊維同士の摩擦力が上昇し、高い絡合性を持つものになる。
【0008】
本発明の捲縮繊維は高い絡合性を有することで、このような繊維から得られる絡合不織布を用いて人工皮革を製造すると、得られる人工皮革の表面が引き締まり、優れた面感を有するものになる。本発明において、前記したように、繊維に付与された大きい捲縮の捲縮数としては5〜20個/cmが好ましく、より好ましくは7〜13個/cmの範囲内である。捲縮数が5個/cm未満であると、ランダムに繊維同士を絡合させる際にニードルへの引掛りや絡合後の繊維同士の摩擦力が不充分になり易く、不織布内の剥離強度が低いものになる傾向がある。さらに絡合性が低いために、人工皮革の表面が引き締まらず、面感がやや損なわれたものになる傾向がある。逆に捲縮数が20個/cmより多いときには、解繊工程において毛玉状の繊維塊が発生する傾向があり、人工皮革表面の面感がやや損なわれることとなる。
【0009】
本発明において、繊維に捲縮を付与する際の条件としては、捲縮機の入口部ローラーの圧及び出口部の圧は、1.6kg/cm3〜3.6kg/cm3の範囲であることが望ましく、該範囲よりも低いと繊維に充分な捲縮を付与することができなくなり、高すぎると繊維が割れたり、水分が過剰に搾取され、帯電しやすい乾燥綿になり、工程通過性が低下する。さらに捲縮ムラを抑えるために、捲縮機の入口部ローラーの圧と出口部の圧の差が0.0kg/cm3〜0.4kg/cm3の範囲であることが望ましい。ここで言う入口部ローラー圧と出口部挟板圧およびローラーと挟板との圧差は、1段目の捲縮機のみならず2段目以降の捲縮機においても、上記範囲が好ましい。より好ましくは、2段目の捲縮機の入口部ローラー圧及び出口部挟板圧を1段目の捲縮機のそれよりもそれぞれ低くし、そして3段目の捲縮機の入口部ローラー圧及び出口部挟板圧を2段目の捲縮機のそれよりもそれぞれ低くする場合であり、より好適にはそれぞれ0.05から1.0kg/cm3低くする場合であり、もっとも好ましくは約0.2kg/cm3程度低くする場合であり、これにより繊維割れが発生し難いというメリットが得られる。
【0010】
本発明の繊維を構成するポリマーとしては、溶融流動性を有する熱可塑性ポリマーが挙げられ、その具体例として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等で代表されるポリエステル類、更にこれらのポリマーを構成するジカルボン酸とジオールの一部を他のモノマーで置き換えた共重合ポリエステル類、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610等のラクタムの開環重合又はジカルボン酸とジアミンの縮合重合で得たポリアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィンの重合で得たポリオレフィン又はオレフィン共重合体、ポリビニルアルコール又はビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
【0011】
また前記したように人工皮革を製造する上で、繊維として海島構造多成分系繊維を用い、人工皮革の製造工程中で海成分ポリマーを除去し島成分ポリマーを残すことにより繊維を極細繊維に変換する方法、或いは繊維として多層積層構造多成分系繊維を用い、人工皮革の製造工程中で少なくとも一成分を除去することにより或いは積層部分を剥離させて繊維を極細化する方法を用いることが、工程通過性を安定させる点で好ましく、本発明においても、このような海島構造多成分系繊維或いは多層積層構造多成分系繊維が好ましい。このような、海島構造多成分系繊維に用いられる島成分ポリマーとして、或いは多層積層構造多成分系繊維に用いられるポリマーとしては前記したようなポリマーが挙げられ、海島構造多成分系繊維の海成分ポリマーとしては、島成分ポリマーとは相溶性を有しておらず、島成分ポリマーより溶融粘度が低く、更に島成分ポリマーより融点が低いポリマーが好ましく、その代表例として、ポリスチレン、スチレン系重合体、ポリエチレン等が挙げられる。なお多層積層構造多成分系繊維の場合には、上記したようなポリマーの中から、相溶性を有していない2種のポリマーを組み合わせるのが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートとナイロン−6の組み合わせが好適例として挙げられる。
【0012】
このような海島構造多成分系繊維は、混合紡糸方法或いは複合紡糸方法により製造され、また多層積層構造多成分系繊維は複合紡糸方法により製造される。なお混合紡糸の方法としては、チップの段階で複数のポリマーを混合して紡糸する方法の他に、複数のポリマーを別々に溶融し、それらの溶融されたポリマー流を紡糸頭部で合流し、さらにこの合流したポリマー流を整流回路、フィルターおよび口金ノズルを通して島成分ポリマーを分散させる方法があり、200島以上程度に分散させることが可能である。
また複合紡糸の方法としては、溶融特性の異なる複数の熱可塑性ポリマーを紡糸頭部で合流させ、層状の接合流を形成して、該接合流を層状の積層状態を損なわないよう複数回の分割、並び替えを繰り返して多層積層構造多成分系繊維とする方法、或いは紡糸口金部で、一方のポリマーを他方のポリマーを包むように合流して、その状態で紡糸して海島構造多成分系繊維とする方法等がある。
【0013】
本発明において、紡糸された繊維に捲縮を与えるに先立って延伸することにより繊維の強度を高める。延伸された繊維は繊度が2〜8デシテクッスが繊維の性能を維持させる点でさらに人工皮革としての面感を得る上で好ましい。繊維が海島構造多成分系繊維である場合には、島成分の太さとして1×10-3〜2×10-2デシテックス、繊維断面における海島構造多成分系繊維を構成している島成分の本数として200〜4000本、海成分ポリマーと島成分ポリマーの重量比としては30:70〜65:35、好ましくは40:60〜55:45の範囲が海島構造を安定させる点で好ましい。また多層積層構造多成分系繊維の場合には一層の太さとして8×10-3〜0.2デシテックス、繊維断面における多層積層構造多成分系繊維を構成している層の数として8〜300層の範囲が積層構造を安定させる点で、さらに得られる人工皮革の風合いの点や製造のし易さの点で好ましい。
【0014】
本発明に用いられる捲縮機として、通常の合成繊維に機械捲縮を付与するために広く用いられている押し込み捲縮機が挙げられ、その際の捲縮付与方法としては、捲縮機に入れられる繊維トウのトータル太さとしては160万〜250万デシテックスが採用され、捲縮付与速度としては60〜70m/分が人工皮革に好適な捲縮を付与させる点で好ましい。捲縮を付与される繊維には、当然のことながら、表面に繊維油剤等が付与されていてもよく、また繊維は湿潤状態のままであってもよい。
このように多段の捲縮機により捲縮が付与された繊維をカットしてステープル繊維とする。カット長としては25〜70mm、特に40〜60mmが工程通過性及び絡合を安定させる点で好ましい。
【0015】
このようにして得られたステープル繊維は、1段目の捲縮が付与された上に、更に2段目以降の捲縮が付与されているため、従来の捲縮繊維のように捲縮形状が均一なものと異なり、捲縮の形が不均一な山谷構造となっている。不均一な構造であっても、特に、山谷構造の山と谷の間にさらに小さな山谷構造が存在するような捲縮繊維が絡合を安定させる点で好ましい。
【0016】
次にこのようにして得られた捲縮繊維を用いて人工皮革を製造する方法について説明する。
まず前記捲縮を付与されたステープル繊維を解繊機に通して該繊維からニ次元的な繊維の集合体、具体的にはウェッブを作製し、該集合体を所定の目付けとなるように積層し、そしてニードルパンチング、又は流体噴射処理により絡合させることで三次元的な繊維の集合体である不織布を得る。不織布の目付けとしては500〜1000g/m2が好ましい。
さらに工程処理中の不織布の形態を安定させるため、必要に応じてポリビニルアルコールで代表される水溶性の糊剤を不織布に付着させたり、あるいは不織布を熱プレスして、不織布の繊維を構成している複数のポリマーの中から融点の低いポリマーを溶融させて繊維間を固定させる方法を用いるのが好ましい。
【0017】
このようにして得られた不織布に高分子弾性体を充填させる。具体的には、高分子弾性体の溶液または分散液を該不織布に含浸させ、高分子弾性体の溶媒または分散媒を除去することにより不織布内に高分子弾性体を充填させる。含浸に用いる高分子弾性体としては、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ゴム質系などが挙げられ、特に風合い等の柔軟性の点からポリウレタンを用いるのが好ましい。必要に応じて、高分子弾性体には、顔料、染料、各種安定剤などが添加されていてもよい。含浸させる高分子弾性体溶液を凝固させる方法については、柔軟性等の点から溶液を含浸し湿式凝固させる方法が好ましい。繊維基材に充填させる高分子弾性体の量としては、繊維基材(繊維基材を構成する繊維が極細化する繊維である場合には、極細化した後の繊維基材重量)に対して20〜60重量%が天然皮革に近い風合いを得る点で好ましい。
【0018】
そして、繊維基材に高分子弾性体を充填させた後に、繊維基材を構成する繊維が海島構造多成分系繊維である場合には、海成分ポリマーを抽出または分解により繊維から除去して繊維を極細繊維束とする。また繊維が多層積層型多成分系繊維である場合には、化学的処理または物理的処理を行うことにより積層面で構成ポリマーを剥離させて極細繊維束とする。なお、この極細繊維束化は、前記高分子弾性体を充填させる前に行ってもよいが、極細繊維と充填した高分子弾性体との間に空隙を形成し易く、柔軟な人工皮革が得られやすいことから、高分子弾性体を充填した後に極細化を行うのが好ましい。
【0019】
続いて得られた基材の表面の繊維を起毛処理、あるいは基材の表面に樹脂層を積層する。起毛方法としては、繊維基材に埋もれている極細繊維束を掘り起こし、そして立毛層の接着している極細繊維束を単繊維に分割する方法であれば特に限定されるものではなく、公知の方法、例えば針布で起毛したり、サンドペーパーを用いてバフィングする方法でも良いが、製品の外観を傷つけずに整毛を行うサンドペーパーによるバフィングの方法が好ましい。次いで必要に応じて染色を行い、柔軟化処理、ブラシ等による表面毛羽の整毛等を施し製品とする。このような方法により、スエード調の人工皮革が得られる。
【0020】
また樹脂層を積層する場合の処理としては、必要に応じて、前記高分子弾性体が充填された繊維基材の表面に、高分子弾性体の溶液を塗布し、湿式凝固させて、高分子弾性体からなる多孔質被覆層を形成する。この多孔質被覆層の上に、或いは繊維基材の上に直接、樹脂液を塗布し、乾式凝固させて仕上層を形成させ、必要により、表面を鏡面仕上げまたはエンボス仕上げすることにより、銀面層を形成する。そして必要により、着色を行い、表面が被覆層により覆われた繊維質基体とする。このようにして得られた、表面が被覆層により覆われた繊維質基体は、銀面層付き人工皮革として用いることができる。銀面層を構成する高分子弾性体としては、繊維基材に含浸された樹脂と同様のものが用いられる。
【0021】
次に本発明の繊維の山谷構造の一例として、模式図を図1に示した。図中、1は、該繊維中の山谷構造の山と谷の間に存在する更に小さな山谷構造である。
【0022】
本発明の繊維から得られる人工皮革は、人工皮革の表面が引き締まり、優れた面感及びタッチ感を有するという特徴を有する。
【0023】
【実施例】
次に本発明の実施態様を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り重量に関するものである。なお本発明で規定する捲縮数については以下の方法により測定した数である。
[捲縮数]表面が滑らかで光沢のある紙片に区分線を作り(ただし、空間距離は25mmとする。なお繊維が短くて25mmで試験できない場合は20mmとする。)、これに捲縮が損なわれていない部分から採取した試料を1本ずつ、空間距離にして25±5%の緩みををもたせて、両端を接着剤ではり付け固着させる。この資料を1本ずつ、捲縮試験機のつかみに取り付け、紙片を切断した後、試料に荷重(0.045g/デシテックス)をかけたときの、つかみ間の距離(空間距離)(mm)を読み、その捲縮数を数え、25mm間当りの捲縮数を読み取り顕微鏡で求め、20本の平均値を、JIS Z 8401によって小数点以下1桁にする。
【0024】
比較例1
島成分にナイロン、海成分にポリエチレンの組合せで紡糸温度285℃、吐出量356g/minの条件で混合紡糸し、巻取り速度285m/minで巻き取って平均太さが11.0デシテックス、島数が約200個の海島構造繊維を得た。この繊維を温浴中で2.4倍延伸した。次に、この繊維を4.58デシテックスのトウにして、入口圧力3.0kg/cm2、出口圧力3.2kg/cm2、捲縮処理速度68m/分の速度で1段捲縮を行い、そして、得られた捲縮繊維を51mm長にカットしてステープル繊維を得た。この繊維を用いてクロスラップウェーバーで目付781g/m2のウェブを作製し、1バーブ、突き刺し深度8mmで300本/cm2のニードルパンチを行って、更に熱プレス処理して、不織布表面に存在する繊維のポリエチレンを融解させ、繊維同士を固定させ、見掛け密度0.260g/cm3の絡合不織布を得た。該不織布にポリウレタンのジメチルホルムアミド溶液を含浸させ、湿式凝固させた。不織布に充填されているポリウレタンの量は300g/m2である。その後海成分のポリエチレンを熱トルエンにより抽出除去し、更に熱水中で水洗して熱トルエンを完全に除去した後、乾燥し(この段階のものを人工皮革基体と称す)、そして、表面をサンドペーパーにてバフィングを行って立毛表面を有する処理したスエード調の人工皮革を得た。
【0025】
実施例1
上記比較例1において、捲縮処理を3段で行う以外は同一の方法により人工皮革を作製した。なお、1段目の捲縮処理条件は上記比較例1と同一、2段目の捲縮処理条件は、入口圧力2.2kg/cm2、出口圧力2.4kg/cm2、捲縮処理速度68m/分の速度で、3段目の捲縮処理条件は、入口圧力2.0kg/cm2、出口圧力2.2kg/cm2、捲縮処理速度68m/分の速度である。このようにして得られた繊維の捲縮状態を以下の表1に示す。この捲縮繊維において小さい捲縮の数まで数えると40個/cm以上存在していた。またこのような捲縮繊維から比較例1と同様にして得られたスエード調人工皮革の状態を下記表2に示す。
また上記の製造方法において、表面をバフィングする代りに、表面にポリウレタン溶液を樹脂分で15g/m2となるようにグラビアロールで塗布し、更に塗布面に天然皮革様のエンボス模様を付与して銀面付き人工皮革とした結果、比較例1のものを同様にして銀面付き人工皮革としたものと比べて、面の平滑性に優れたものであった。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
以上の実施例の結果から明らかなように、多段捲縮繊維を用いて得た人工皮革は、面感の優れたものであることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の捲縮繊維の一例を拡大して模式的に記載した図である。
【符号の説明】
1:捲縮繊維の大きな山谷構造の山と谷の間に存在するさらに小さな山谷構造
Claims (6)
- 捲縮の形が山谷構造の山と谷の間に、さらに小さな山谷構造が存在する不均一な山谷構造であることを特徴とする人工皮革用捲縮繊維。
- 複数ポリマーからなる請求項1記載の繊維。
- 紡糸したのちに延伸された繊維を直列に繋いだ複数台の押込み捲縮機に順次通して捲縮を付与することを特徴とする請求項1記載の人工皮革用捲縮繊維の製造方法。
- 請求項1記載の繊維を用いて不織布を作製し、この不織布に高分子弾性体を充填させた後、不織布表面を起毛するか、あるいは不織布表面に樹脂層を積層することを特徴とする人工皮革の製造方法。
- 繊維が複数のポリマーからなり、高分子弾性体を充填させる前又は後で、繊維から少なくとも一つのポリマーを除去する請求項4に記載の製造方法。
- 請求項4又は請求項5記載の方法により製造された人工皮革。
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