JP4540159B2 - 板状部材の締結方法及びその締結装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数枚の板状部材を重ね合わせた状態で一体に締結する板状部材の締結方法およびその締結方法に使用する締結装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、板状部材を2枚重ね合わせた状態でこれらを一体に締結する方法として、特開平5−161930号公報や特開平11−179452号公報に記載のようなバーリング加工を用いる方法が知られている。
【0003】
通常、このような締結方法は、先の公報に記載のように、例えば、図6において、開口された孔を有する2枚の金属製の板状部材、即ち、締結用の第1の板状部材100と被締結用の第2の板状部材101とを重ね合わせ、図示外のプレス機等の押圧手段で第1の板状部材100の加工孔100Aをパンチ102で突き、これにより加工孔100Aの周縁部を折り曲げ、この折り曲げた部分を第2の板状部材101の締結孔101Aの内周に抱き付かせ、第1の板状部材100と第2の板状部材101とを一体に固定して締結させるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この締結方法にあっては、確実な締結状態を確保するために第1の板状部材100の加工に供する部分(以下、折り曲げ部とよぶ)の量をできるだけ多く確保するのが好ましい。即ち、これは、折り曲げ部の量が多いほどパンチ102の外径Xと第2の板状部材101の締結孔101Aの内径Yとの差Δ(以下、隙間Δとよぶ)、つまり隙間Δ=Y−Xを大きく(厚く)確保することができるからである。
【0005】
ところが、例えば実装部品の設置スペースなどの関係で、折り曲げ部となる領域がどうしても狭く制限される場合がある。この場合、パンチ102の外径も自ずと小さいものを使用する。一方、第1の板状部材100の加工孔100Aについては、内径の最小値に限界があり、ある程度の大きさは必要である。このため、パンチ102外周部分と加工孔100A内周部分との間の領域、つまり折り曲げ部δ(図6参照)を大きく確保するのが難しい。
【0006】
その結果、以下のような不都合を生じている。
▲1▼折り曲げ部の量δが少ないと、加工時に第1の板状部材100の折り曲げられた折り曲げ部が薄くなってちぎれ易く、加工が難しかったり、加工できない虞れがあること。特に、スペースが制限された領域下では、例えば折り曲げ部を大きく確保すると、逆に、隙間Δが小さくなり、しごき率(第1の板状部材100に対するストレート部の肉厚の薄さの程度)が大きくなるので、同様な不都合を生じること。
▲2▼また、複数枚の第2の板状部材101を第1の板状部材100と締結加工するときには、隙間Δが小さいと、第2の板状部材101どうしを剥離させる引抜力や横方向のせん断力などと対抗する締結強度が得られないこと。
▲3▼さらに、例えば第2の締結部材101に厚手のものを用いたり、2枚以上の第2の板状部材101どうしを第1の板状部材100と締結するときには、折り曲げ部の量が不足するので、第2の板状部材101の締結孔101A全てをカバーして加工することができず、途中までしか締結できない虞れがある、といった問題も生じている。
【0007】
そこで、この請求項1又は9に係る発明は、上記した事情に鑑み、例えば、折り曲げ部が薄くなってちぎれたり、加工が困難になることがないばかりか、特に、制限された狭い領域内で締結加工する場合でも、大きな締結強度を確保でき、特に2枚以上の第2の板状部材でも確実に締結できるようにすることを目的とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、加工の際にスムースな締結作業を行うことができるようにすることを目的とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、加工の際に第1の板状部材の折り曲げ部のちぎれの発生が防止できるとともに、スムースな締結作業を行うことができるようにすることを目的とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、がたつきのない状態で最も内側の第2の板状部材を第1の板状部材と締結させることができるようにすることを目的とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、締結強度が増大してさらに確実な締結状態が保持でき、さらに信頼度の高い締結方法が提供できるようにすることを目的とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、締結させるだけでなく、クッション性も付与されることが可能となることを目的とする。
【0013】
請求項8又は10に係る発明は、一層強固な締結力により、長期間に亙り高い締結状態を保持でき、より信頼度の高いものを実現できるようにする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そのため、請求項1に係る締結方法は、締結用の第1の板状部材と被締結用の第2の板状部材とを重ね合わせ、その第2の板状部材の締結孔に対応する部分をパンチで突いて前記第1の板状部材の一部を折り曲げ、その折り曲げ部を前記締結孔の孔縁に抱き付かせ、前記第1の板状部材に前記第2の板状部材を締結する板状部材の締結方法において、前記パンチ先端のストレート部で前記折り曲げ部の内径を均一にする一方、そのストレート部より大径で、同ストレート部の基部に形成した拡大部で、前記第1の板状部材に食い込み、この食い込んだ部分も折り曲げてなる、ものである。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の板状部材と前記第2の板状部材とを重ね合わせたとき、前記第1の板状部材の、前記第2の板状部材の締結孔に対応する部分に、バーリング加工用の加工孔をあけてなるものである。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1、又は2に記載の発明において、前記第1の板状部材に前記第2の板状部材を複数重ね合わせて締結してなるものである。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の発明において、複数重ね合わせた前記第2の板状部材の各締結孔の孔径のうち、最も内側に重ね合わせた前記第2の板状部材の締結孔の孔径を最も大きく形成してなるものである。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の発明において、最も内側に重ね合わせた前記第2の板状部材の締結孔の前記第1の板状部材側に、面取りを設け又は曲面加工を付けてなるものである。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、複数重ね合わせた前記第2の板状部材の各締結孔の開口に、面取りを設け又は曲面加工を付けてなるものである。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、内側に設ける第2板状部材を弾性材料で形成するものである。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記折り曲げ部を前記締結孔の孔縁に抱き付かせて後、その締結孔の孔縁から突出する前記折り曲げ部の先端を外側に折り返してなるものである。
【0022】
請求項9に記載の板状部材の締結装置は、締結用の第1の板状部材と被締結用の第2の板状部材とを重ね合わせ、その第2の板状部材の締結孔に対応する部分をパンチで突いて前記第1の板状部材の一部を折り曲げ、その折り曲げ部を前記締結孔の孔縁に抱き付かせ、前記第1の板状部材に前記第2の板状部材を締結する板状部材の締結装置において、前記パンチに、前記折り曲げ部の内径を均一とするストレート部と、そのストレート部より大径で、同ストレート部の基部に形成して前記第1の板状部材に食い込んでこの部分を折り曲げる拡大部とを設けてなるものである。
【0023】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記折り曲げ部を前記締結孔の孔縁に抱き付かせて後、その締結孔の孔縁から突出する前記折り曲げ部の先端を外側に折り返すイジェクタを、前記パンチと対向して設けてなるものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態について添付図面に基づき説明する。
図1は、この発明に係る板状部材の締結装置を示すものであり、この締結装置は、上側に配置した上型Aと、この直下に配置した下型Bと、図示外の押圧手段とから構成されており、これら上、下型の間には、一体に締結すべき第1の板状部材1と第2の板状部材2、3とが、それぞれに形成された孔1A、2A、3Aの中心軸が一致する状態で積層されている。
【0025】
第1の板状部材1には、金属板、例えば通常の一般材に比べて絞り特性の良好な絞り材として、SECE材(電気亜鉛メッキ鋼板、絞りタイプ)又はSPCE材(冷間圧延鋼板)などを使用しており、第2の板状部材2、3の締結孔2A、3Aよりも小さな真円形状の加工孔1Aが開口されている。この例の第1の板状部材1は、一般に、板厚以上に内径が大きくないとパンチが折れたりし易いため、余裕を0.2mmもたせて、板厚が1.6mm、加工孔の内径が1.8mmとなっている。
【0026】
第1の板状部材1に接する上側の第2の板状部材2(この発明での最も内側の第2の板状部材に相当する)には、下側の第2の板状部材3(この発明での最も外側の第2の板状部材に相当する)の締結孔3Aよりも大きく開口(内径D2)された締結孔2Aが形成されている。そして、この上側の第2の板状部材2には、締結孔2Aの上下にそれぞれ開口された開口部分における縁部には、断面略円弧状の曲面加工(以下、R加工とよぶ)(或いは面取り加工でもよい)がそれぞれ施されている。
【0027】
なお、この例のように、少なくとも2枚以上の第2の板状部材2、3を締結させるときには、最も内側の第2の板状部材の締結孔2Aの上下開口部分のうち、少なくとも上開口部分における縁部2Cのみにその加工が施されていればよく、下開口部分における縁部については、特にこの加工を施さなくてもよい。
【0028】
下側の第2の板状部材3には、この締結孔3Aの上下に開口された開口部分における縁部のうち、下開口部分の縁部3Cを除いた上開口部分の縁部3Dに、R加工(或いは面取り加工でもよい)が施されている。なお、この例では、これらの第2の板状部材2、3に通常のSECC材(電気亜鉛メッキ鋼板、一般タイプ)を使用している。
【0029】
上型Aは、締結加工時に不動状態に固定された第1ガイド部材4と、このガイド部材4に設けたガイド孔4Aに沿って前後に進退するパンチ5とを備えている。
【0030】
パンチ5は、上側の第2の板状部材2の締結孔2Aの内径(D2)よりも小さくて、第1の板状部材1の加工孔1Aの内径(D1)よりも大きな外径(D5)でストレート状の外周を有するストレート部5Aと、このストレート部5Aの外径(D5)よりも大きくて、上側の第2の板状部材2の締結孔2Aの内径(D2)よりも小さな外径(D5´)の拡大部5Bとを有している。
【0031】
特に、この拡大部5Bには、周縁部分が直角をなしストレート部5Aから一段突出したステップ状の段付き部分を備えており、第1の板状部材1の加工孔1Aの周辺部分のうち、特にストレート部5Aで折り曲げられた部分のさらに外側部分に食い込んでここを折り曲げるようになっている。これにより、締結加工に供する部分、つまり折り曲げ部の容積量がより多く確保できるから、上側の第2の板状部材2の締結孔2Aからさらに深く奥部へ折り曲げられた折り曲げ部が、下側の第2の板状部材3の締結孔3Aの内周面まで押し被さるようにして、抱き付いて充填されるようになっている。
【0032】
一方、下型Bは、不動状態で設けた第2ガイド部材6と、上型Aのパンチ5に対向・対峙して設けられ第2ガイド部材6に設けたガイド孔6Aに沿い前後に進退するイジェクタ7とを備えている。
【0033】
イジェクタ7は、押圧手段による上方への前進動作で下側の第2の板状部材3から突出した折り曲げ部1B(図3参照)をその下側の第2の板状部材3の外表面3Bに折返すようになっている。
【0034】
なお、押圧手段は、パンチ5及びイジェクタ7を第1の板状部材1及び第2の板状部材2、3に向けて強い力で押出させるためのものであり、この例では、それぞれプレス機が使用されている。
【0035】
次に、先の例の締結装置を用いたこの発明に係る板状部材の締結方法について説明する。
初めに、第1の板状部材1に加工孔1Aを貫通して開口するとともに、第2の板状部材2、3に締結孔2A、3Aを開口する。なお、これらの孔の内径は、図1に示すように、それぞれ大きい方から順に、上側の第2の板状部材2の締結孔2A(内径D2)、下側の第2の板状部材3の締結孔3A(内径D3)、第1の板状部材1の加工孔1A(内径D1)となっており、D1<D3<D2の大小関係に形成されている。
【0036】
次に、図1に示すように、第1の板状部材1と第2の板状部材2、3の各孔の中心軸Cとが一致するように位置合わせして積層する。なお、各締結孔2A、3Aの開口部分における縁部(ただし、下側の第2の板状部材3の下開口部分における縁部を除く)がR加工もしくは面取り加工してあるので、これらの各孔の中心軸Cとパンチ5のストレート部5Aの中心軸Cとについては、中心軸ができるだけ一致する方が好ましいが、多少ずれていても良い。これは、各孔の開口部分における縁部がR加工もしくは面取り加工してあることにより、パンチ5のストレート部5Aの外表面に当接するその第2の板状部材2、3の加工された縁部表面は、ストレート部5Aの下降動作により、孔の半径方向に沿ってそのずれを吸収する方向に適宜移動し、中心軸が自然に一致するからである。但し、このように自己補正させるためには、上下の型A、Bでの挟着力をある程度緩和させておくことが必要である。
【0037】
位置あわせして積層されたこれらの第1の板状部材1と第2の板状部材2、3とを、ガイド固定手段である第1ガイド部材4と第2ガイド部材6とで上下両側から挟持して固定する。
【0038】
これにより、第2の板状部材2、3の締結孔2A、3Aよりも小径で、第1の板状部材1の加工孔1Aよりも大径のストレート部5Aと、このストレート部5Aよりも大径でステップ状の段付き拡大部5Bとを有するパンチ5が、第1の板状部材1の加工孔1A直上に臨んだ状態で配置される。
【0039】
次に、パンチ5をプレス機でガイド孔4Aに沿って下降させ、ストレート部5Aを加工孔1Aに進入させて押込む。これにより、第1の板状部材1の加工孔1Aの周辺部が折り曲げられて締結孔2Aの内壁面に抱き付き始める。すなわち、第1の板状部材1の加工孔1A周辺部のうちストレート部5Aに押し当てられた部分が、上側の第2の板状部材2の上開口部分の縁部に当接するときに、その曲げ応力が最大になり、さらなるパンチ5の下降によってストレート部5Aが押込まれた加工孔1A周辺部分に塑性変形を起こさせる。そして、第1の板状部材1の塑性変形された部分、つまり折り曲げ部が、パンチ5のストレート部5Aの外周面と第2の板状部材2、3の締結孔2A、3Aの内壁面でしごかれ、下方へと押し出されて行く。
【0040】
これにより、図2に示すように、上側の第2の板状部材2の締結孔2A下開口部分の縁部2Eと、下側の第2の板状部材3の締結孔3A上開口部分の縁部3D付近の空間部分には、この形状に倣い変形された折り曲げ部が抱き付かれて充填されていく。なお、ここまででは、折り曲げ部が下側の第2の板状部材3の下開口部分までは達していない。つまり、下側の第2の板状部材3の締結孔3Aを貫通して外部へ突出できるまでの容量が折り曲げ部には不足しているから、下側の第2の板状部材3まで一体に締結加工することはできない。つまり、このままでは、締結孔3Aの途中で締結加工作業が止まってしまう。
【0041】
ここで、さらにプレス機によるパンチ5の下降動作によって、図3に示すように、拡大部5Bが第1の板状部材1の加工孔1Aの周辺部に食い込んでいき、その食い込まれた部分も折曲げられて下方へ移動する。
【0042】
すなわち、パンチ5の拡大部5Bが、さらにプレス機で第1の板状部材1の加工孔1A周縁部に押込まれていくことにより、図3に示すように、拡大部5Bが食い込んだ部分の容積量だけ、元の折り曲げ部が下方へ余計に押出されていく。これにより、締結孔3Aに押出されてきた元の折り曲げ部が、第2の板状部材2、3の締結孔2A、3Aの内周面に密着状態となって抱き付くとともに、さらに下方へ押下されて締結孔3Aよりも下方へ向けて移動する。そして、下側の第2の板状部材3の締結孔3Aを通り抜けて下方外部に向けて移動した元の折り曲げ部の先端は、下方から側方に進路を変えて下側の第2の板状部材3の下面側に回り込んで行く。
【0043】
その後、図4に示すように、パンチ5が上昇して後退するとともに、プレス機によりイジェクタ7が第2ガイド部材6のガイド孔6Aにガイドされながら上昇して前進し、下側の第2の板状部材3から下方に突出した折り曲げ部をイジェクタ7の上部が押圧するので、その突出した折り曲げ部は下側の第2の板状部材3の外表面へ折返される。これにより、図5に示すように、第1の板状部材1と第2の板状部材2、3とが強い締結力で一体に締結される。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明したように、この発明によれば、パンチ先端部のストレート部の基部に設けた拡大部により、ストレート部ばかりか、この拡大部でも第1の板状部材の加工孔の周辺部にさらに食い込むようになっており、従来の締結方法に比べてこの食い込んだ拡大部の分だけより多くの量の折り曲げ部を第2の板状部材の締結孔の内周面に抱き付かせることができるので、例えば折り曲げ部が薄くなってちぎれたり、加工が難しくなったりすることがなく、第1の板状部材と第2の板状部材とを強固に、かつ、確実に一体に締結することができるようになり、強固な締結強度が得られる。特に、2枚以上の第2の板状部材を第1の板状部材と確実に一体に締結させることができるようになる。
【0045】
さらに、請求項2に係る発明によれば、第1の板状部材と第2の板状部材とを重ね合わせたとき、第1の板状部材の、第2の板状部材の締結孔に対応する部分に、バーリング加工用の加工孔をあけており、パンチのストレート部がこの孔に沿って案内されながら突き抜けていくので、スムースな締結加工が実現できるようになる。
【0046】
さらに、請求項4に係る発明によれば、複数重ね合わせた第2の板状部材の各締結孔の孔径のうち、最も内側に重ね合わせた第2の板状部材の締結孔の孔径を最も大きく形成しており、パンチによる第1の板状部材の塑性加工時に急激な負荷応力が作用することがなく、しかも折り曲げ量もより多くなるので、第1の板状部材において折り曲げられた部分と折り曲げられなかった部分との境界部でちぎれ現象が生じる虞れがなく、スムースに安定した状態でパンチを押込むことができるようになり、さらに信頼度の高い締結方法が実現できる。
【0047】
さらに、請求項5に係る発明によれば、最も内側に重ね合わせた第2の板状部材の締結孔の第1の板状部材側に、面取りを設け又は曲面加工を付けており、この最も内側の第2の板状部材とパンチとの中心軸が一致していない状態で締結する場合であっても、最も内側の第2の板状部材の開口部分の面取り若しくは曲面加工された縁部が、パンチの先端部の外周面に沿って、最も内側の第2の板状部材の締結孔の中心軸がパンチの中心軸からのずれを吸収する方向に、つまり、半径方向に移動する。その結果、その締結孔の中心軸とパンチの中心軸とが一致するようになるので、第1の板状部材と最も内側の第2の板状部材を緩みやがたつきのない状態で締結させることができ、締結状態がより一層安定するようになる。
【0048】
さらに、請求項6に係る発明によれば、複数重ね合わせた第2の板状部材の各締結孔の開口に、面取りを設け又は曲面加工を付けており、これらの第2の板状部材に面取り若しくは曲面加工されたためにその部分にも第1の板状部材の折り曲げ部が進入して抱き付くから、その分、締結強度が増大してさらに確実な締結状態が保持でき、さらに信頼度の高い締結方法が提供できる。
【0049】
さらに、請求項7に係る発明によれば、内側に設ける第2板状部材を弾性材料で形成しており、つまりスぺーサとなる部分には、例えば、ゴム材料などで形成したものをスぺーサに使用すれば、クッション性も付与することが可能となる。
【0050】
しかも、請求項8又は10に係る発明によれば、折り曲げ部を締結孔の孔縁に抱き付かせて後、その締結孔の孔縁から突出する折り曲げ部の先端を外側に折り返しており、最も外側の第2板状部材の締結孔から突出する折り曲げ部が外面に折返えされてその外面に係止することにより、一層強固な締結力を生じるので、長期間に亙り高い締結状態を保持でき、より信頼度の高い締結方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る板状部材の締結方法を示す工程図である。
【図2】同工程図である。
【図3】同工程図である。
【図4】同工程図である。
【図5】その締結方法で締結された第1の板状部材と第2の板状部材との締結状態を示す断面図である。
【図6】第2の板状部材の締結孔の内径寸法とパンチの外径寸法の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 第1の板状部材
1A 加工孔
2 第2の板状部材(最も内側の第2の板状部材)
2A 締結孔
2C (上)開口縁部
2E (下)開口縁部
3 第2の板状部材(最も外側の第2の板状部材)
3A 締結孔
3B 外面
3C (上)開口縁部
3E (下)開口縁部
4 第1ガイド部材
4A ガイド孔
5 パンチ
5A ストレート部
5B 拡大部
6 第2ガイド部材
6A ガイド孔
7 イジェクタ
A 上型
B 下型
Claims (10)
- 締結用の第1の板状部材と被締結用の第2の板状部材とを重ね合わせ、その第2の板状部材の締結孔に対応する部分をパンチで突いて前記第1の板状部材の一部を折り曲げ、その折り曲げ部を前記締結孔の孔縁に抱き付かせ、前記第1の板状部材に前記第2の板状部材を締結する板状部材の締結方法において、
前記パンチ先端のストレート部で前記折り曲げ部の内径を均一にする一方、そのストレート部より大径で、同ストレート部の基部に形成した拡大部で、前記第1の板状部材に食い込み、この食い込んだ部分も折り曲げてなる、板状部材の締結方法。 - 前記第1の板状部材と前記第2の板状部材とを重ね合わせたとき、前記第1の板状部材の、前記第2の板状部材の締結孔に対応する部分に、バーリング加工用の加工孔をあけてなる、請求項1に記載の板状部材の締結方法。
- 前記第1の板状部材に前記第2の板状部材を複数重ね合わせて締結してなる、請求項1、又は2に記載の板状部材の締結方法。
- 複数重ね合わせた前記第2の板状部材の各締結孔の孔径のうち、最も内側に重ね合わせた前記第2の板状部材の締結孔の孔径を最も大きく形成してなる、請求項3に記載の板状部材の締結方法。
- 最も内側に重ね合わせた前記第2の板状部材の締結孔の前記第1の板状部材側に、面取りを設け又は曲面加工を付けてなる、請求項3に記載の板状部材の締結方法。
- 複数重ね合わせた前記第2の板状部材の各締結孔の開口に、面取りを設け又は曲面加工を付けてなる、請求項3に記載の板状部材の締結方法。
- 内側に設ける第2板状部材を弾性材料で形成してなる、請求項3に記載の板状部材の締結方法。
- 前記折り曲げ部を前記締結孔の孔縁に抱き付かせて後、その締結孔の孔縁から突出する前記折り曲げ部の先端を外側に折り返してなる、請求項1に記載の板状部材の締結方法。
- 締結用の第1の板状部材と被締結用の第2の板状部材とを重ね合わせ、その第2の板状部材の締結孔に対応する部分をパンチで突いて前記第1の板状部材の一部を折り曲げ、その折り曲げ部を前記締結孔の孔縁に抱き付かせ、前記第1の板状部材に前記第2の板状部材を締結する板状部材の締結装置において、
前記パンチに、前記折り曲げ部の内径を均一とするストレート部と、そのストレート部より大径で、同ストレート部の基部に形成して前記第1の板状部材に食い込んで折り曲げる拡大部とを設けてなる、板状部材の締結装置。 - 前記折り曲げ部を前記締結孔の孔縁に抱き付かせて後、その締結孔の孔縁から突出する前記折り曲げ部の先端を外側に折り返すイジェクタを、前記パンチと対向して設けてなる、請求項9に記載の板状部材の締結装置。
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