JP4539654B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置に関し、特に、印刷材収容体の種類および装着の有無を検出する技術に関する。
印刷材を収容した印刷材収容体(例えば、インクカートリッジ)を装着して、印刷を実行する印刷装置(例えば、インクジェットプリンタ)は、印刷材収容体の装着の有無を印刷装置が自動的に判定できることが好ましい。また、例えば、複数種類の印刷材収容体を装着して、装着された印刷材収容体に応じた印刷が可能な印刷装置においては、装着された印刷材収容体の種類を、印刷装置が自動的に判定できることが好ましい。例えば、印刷材収容体にその収容体の種類(たとえば、収容されているインクの色の違い)を表す種類識別マークを備え、印刷装置において種類識別マークを検出して、印刷材収容体の種類を判定する技術が知られている。
しかしながら、上記技術では、印刷材収容体と印刷装置との接点を介して、印刷材の種類を判別する回路が、導電性のインクの付着等によって、印刷装置の他の回路と短絡するおそれがあった。特に、印刷装置の他の回路が高電圧を出力する回路(例えば、印刷収容体の残量を検出するセンサを駆動する回路)である場合には、このような短絡は、印刷材収容体や印刷装置の不具合を引き起こすおそれがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、印刷収容体の種類や装着の有無等を検出する検出回路を有する印刷装置において、検出回路と、印刷装置の他の回路との短絡による印刷収容体および印刷装置の不具合を防止または抑制することを目的とする。
印刷材を収容すると共に検出端子を有する印刷材収容体を1個以上装着可能な印刷装置を提供する。本発明の第1の態様に係る印刷装置は、前記印刷材収容体が装着された際に前記検出端子と接触する接触検出端子と、前記接触検出端子と前記印刷材収容体の検出端子との接触の有無を所定の電圧を用いて検出する接触検出回路と、前記所定の電圧より高い電圧を出力する高電圧出力端子と、前記接触検出端子と前記高電圧出力端子との短絡を検出する短絡検出手段と、前記高電圧出力端子から出力される電圧を制御する回路であって、前記短絡が検出された場合には、前記高電圧出力端子から出力される電圧を低下または遮断する高電圧回路とを備えることを特徴とする。
本発明の第1の態様に係る印刷装置によれば、接触検出端子と高電圧出力端子との短絡を検出する検出手段を備え、短絡が検出された場合には、高電圧出力端子から出力される電圧を低下または遮断する。この結果、短絡発生時に接触検出端子および高電圧出力端子を介して、接触検出回路に高電圧が印加される不都合を防止または抑制することができる。したがって、短絡による印刷装置の不具合を防止または抑制することができる。
本発明の第2の態様は、印刷材を収容すると共に検出端子を有する印刷材収容体を1個以上装着可能であって、前記印刷材収容体が装着された際に前記検出端子と接触する接触検出端子と、高電圧を出力する高電圧出力端子とを有する印刷装置の制御方法を提供する。本発明の第2の態様に係る印刷装置の制御方法は、前記高電圧出力端子と前記接触検出端子との短絡を監視し、前記短絡を監視している間に、前記高電圧出力端子から電圧を出力し、前記短絡が発生した場合には、前記高電圧出力端子から出力される電圧を低下または遮断することを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る印刷装置の制御方法によれば、接触検出端子と高電圧出力端子との短絡を監視している間に高電圧出力端子から電圧を出力し、短絡が発生した場合には、高電圧出力端子に印加される電圧を低下させるので、短絡発生時に接触検出端子および高電圧出力端子を介して、接触検出回路に高電圧が印加される不都合を防止または抑制することができる。
本発明の第2の態様に係る印刷装置の制御方法は、本発明の第1の態様に係る印刷装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。
図1は、本発明の実施例としての印刷装置20の概略構成図である。
図2は、印刷ヘッドユニット60と、これに装着されるインクカートリッジ70を示す斜視図である。
図3は、実施例における端子板100および回路板110の端子の配列について説明する概略図である。
図4は、カートリッジ処理専用回路61の電気的構成の概略を示す説明図である。
図5は、カートリッジ判定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図6は、インク残量検出処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図7は、インク残量検出処理実行中における信号EN、センサ印加電圧の時系列的な変化を示す説明図である。
以下、本発明にかかる画像処理装置について、図面を参照しつつ、実施例に基づいて説明する。
A.実施例:
・印刷装置およびカートリッジ70の構成:
図1は、本発明の実施例としての印刷装置20の概略構成図である。紙送りモータ22によって印刷用紙Pを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ30をプラテン26の軸方向(主走査方向)に往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司るコンピュータである制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転をプラテン26に伝達するギヤトレイン23を備える。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
図2は、印刷ヘッドユニット60と、これに装着される本実施例に係るインクカートリッジ70を示す斜視図である。印刷ヘッドユニット60は、複数(例えば、本実施例では8つ)のインクカートリッジ70を装着可能なカートリッジ装着部62と、印刷ヘッド68と、インクカートリッジ70に関連する処理を実行する専用回路であるカートリッジ処理専用回路61(図2では、図示省略)とを備えている。
カートリッジ装着部62は、ガイド65と、装着可能なインクカートリッジ数分のインク導入部66および端子板100を備えている。ガイド65は、各インクカートリッジ70が所定の挿入方向Rに挿入され、他の方向からは挿入できないようにする機能を有する。
インク導入部66は、インクカートリッジ70がカートリッジ装着部62に装着された際に、上述したインクカートリッジ70のインク供給口74に挿入され、インクを印刷ヘッド68に導入する。端子板100には、後述するインクカートリッジ70の回路板110に配置された端子に対応する各種の端子が配置されている。
続いて、インクカートリッジ70について説明する。図2に示すように、インクカートリッジ70は、印刷材としてのインクが一種類収容される収容体である。インクカートリッジ70は、内部にインクを収容する筐体71と、印刷装置20にインクを供給するためのインク供給口74と、インク残量の検出に用いられるセンサ72と、後述する各種の端子が配置された回路板110とを備えている。インク供給口74は、筐体71の下部に設置され、センサ72は、筐体71の側部に設置されている。センサ72は、本実施例では、圧電素子を用いるものとした。
回路板110は、筐体71の外側表面に設置されている。これによって、後述する各種の端子が筐体71の表面に配置される。回路板110は、上述した外側表面の挿入方向側(本実施例では、下側)約1/2の領域内に配置されている。もちろん、挿入方向側、約1/3内、約1/4内の領域内に配置することとしても良い。回路板110は、上述したカートリッジ装着部62の端子板100に備えられた端子と対応する各種の端子が配置されている。
回路板110は、インクカートリッジ70がカートリッジ装着部62に装着された際に、上述したカートリッジ装着部62の端子板100に対向する位置に配置されている。これによって、インクカートリッジ70がカートリッジ装着部62に装着された際に、インクカートリッジ70の回路板110上の端子と、カートリッジ装着部62の端子板100の対応する端子とが、互いに接触する構成になっている。本明細書において、一の端子に対応する端子とは、インクカートリッジ70がカートリッジ装着部62に装着された際に、一の端子と接触する端子(ただし、正常な状態で接触する端子をいい、装着ずれやインク付着等により誤接触する端子は含まない。)をいう。
図3は、本実施例における端子板100および回路板110の端子の配列について説明する概略図である。図3(a)は、図2における矢印Y2方向から見たカートリッジ装着部62の端子板100の端子配列を示している。図3(b)は、図2における矢印Y1方向から見たインクカートリッジ70の回路板110の端子配列を示している。
先ず、カートリッジ装着部62の端子板100に備えられた端子について説明する。端子板100には、後述するカートリッジ検出回路M10用の3つ端子101〜103と、後述するセンサ駆動回路M20用の2つの端子104、105が備えられている。3つ端子101〜103は、図3(a)において二点破線で示すように一の列を形成するように配置されている。3つ端子101〜103のうち、端子101と端子103は後述するインクカートリッジ70の端子116〜118との接触の有無を検出するための端子(以下、接触検出端子101,103という。)であり、端子102は接地端子である。
2つの端子104、105は、図3(a)において破線で示すように、3つの端子101〜103とは異なる列を形成するように配置されている。2つの端子104、105のうち、端子104は、後述するセンサ駆動回路M20の制御によりセンサ72に対して駆動電圧を出力する端子(以下、センサ用端子という。)であり、端子105は接地端子である。
つぎに、インクカートリッジ70の回路板110に備えられた端子について説明する。回路板110には、図3(b−1)〜(b−3)に示すように110a〜110cの3つの種類があり、インクカートリッジ70には、インクの種類やインクの量によって予め決められた種類の回路板110が配置される。本実施例では、インクカートリッジ70に収容されたインク量に応じて、インク量が多いLサイズのカートリッジ(以下、TypeAのカートリッジともいう。)には、図3(b−1)に示す回路板110aが配置される。インク量が標準的なMサイズのカートリッジ(以下、TypeBのカートリッジともいう。)には、図3(b−2)に示す回路板110bが配置され、インク量が少ないSサイズのカートリッジ(以下、TypeCのカートリッジともいう。)には、図3(b−3)に示す回路板110cが配置される。
回路板110aは、上述した端子板100の3つの端子101〜103に対応する一枚の略長方形状の端子116と、上述した端子板100の2つの端子104、105にそれぞれ対応する端子114、115を備えている。略長方形上の端子116は、3つの端子101〜103を導通する端子であるといえる。
回路板110bは、回路板110aの端子116に代えて、上述した端子板100の3つの端子101〜103のうち、端子103と102にのみ対応する略長方形状の端子117を備えている。回路板110cは、回路板110aの端子116に代えて、上述した上述した端子板の3つの端子101〜103のうち、端子101と102にのみ対応する略長方形状の端子118を備えている。回路板110b、110c共に、その他の構成は、回路板110aと同様である。
回路板110a〜110cの端子116〜118は、上述した接触検出端子101、103との接触を検出される端子(以下、検出端子という。)である。そして、回路板110a〜110cの端子114は、センサ72の一方の電極に接続され、上述したセンサ用端子104と接触する端子(以下、センサ端子という。)であり、端子115は、センサ72の他方の電極に接続され、上述した接地端子115と接触する端子である。
図4は、カートリッジ処理専用回路61の電気的構成の概略を示す説明図である。図4には、説明の便宜のため、上述した回路板110aが配置されたインクカートリッジ70の電気的構成も合わせて示した。また、図4には、説明の便宜のため、1つのインクカートリッジ70に対応する構成のみを示した。図4を参照して、カートリッジ処理専用回路61の電気的構成について詳しく説明する。
カートリッジ処理専用回路61は、3.3Vの低電圧を用いて駆動される2つのカートリッジ検出回路M10(それぞれM10a、M10bという。)と、センサ用端子104から出力される比較的高い電圧(本実施例では、電圧最大45V)を制御するセンサ駆動回路M20と、これらの回路を制御するカートリッジ処理制御部M100とを備える。
カートリッジ検出回路M10aは、上述した接触検出端子101と、インクカートリッジ70の検出端子116(図3(b−1)参照)または検出端子118(図3(b−3)参照)との接触の有無を検出する接触検出回路としての機能と、接触検出端子101と、高電圧を出力することができるセンサ用端子104との短絡を検出する短絡検出手段としての機能とを備える。
具体的に説明すると、カートリッジ検出回路M10aでは、直列に接続された2つの抵抗R3、R4の一端に基準電圧V_ref1を印加し、他端を接地することによって、図4に示すポイントP1とポイントP2の電位をそれぞれV_ref1、Vref2に保持している。ここで、V_ref1を短絡検出電圧と呼び、V_ref2をカートリッジ検出電圧と呼ぶことにする。本実施例では、短絡検出電圧V_ref1を6.5V、カートリッジ検出電圧V_ref2を2.5Vに設定している。これらの値は、回路によって設定されるもので、これに限られるものではない。
図4に示すように、短絡検出電圧V_ref1(6.5V)は、第1のオペアンプOP1の負入力ピンに入力され、カートリッジ検出電圧V_ref2(2.5V)は、第2のオペアンプOP2の負入力ピンに入力される。そして、接触検出端子101の電位は、第1のオペアンプOP1と第2のオペアンプOP2の正入力ピンに入力される。これら2つのオペアンプは、負入力ピンに入力された電位より正入力ピンに入力された電位が高い場合にハイ信号を出力し、逆に負入力ピンに入力された電位より正入力ピンに入力された電位が低い場合にロー信号を出力するコンパレータとして機能する。
ここで、接触検出端子101は、図4に示すように、トランジスタTR1を介して、3.3Vの電源であるVDD3.3と接続されている。これによって、接触検出端子101に何も接触していない場合(以下、解放時という。)は、接触検出端子101の電位は、約3Vに設定される。ここで、回路板110aまたは110cを配置されたインクカートリッジ70が装着されて、接触検出端子101が検出端子116または検出端子118と接触すると(以下、接触時という。)、接触検出端子101は接地端子102と導通し、接触検出端子101の電位は約0Vに落ちる。
したがって、接触検出端子101の解放時には、第2のオペアンプOP2からハイ信号がカートリッジ検出信号CO1として出力される。また、接触検出端子101の接触時には、第2のオペアンプOP2からロー信号がカートリッジ検出信号CO1として出力される。
一方で、接触検出端子101が、隣接するセンサ用端子104と短絡してしまうと、接触検出端子101には、センサ駆動用の電圧(最大45V)が印加される場合がある。図4に示すように、短絡により、接触検出端子101に短絡検出電圧V_ref1(6.5V)以上の電圧が印加されると、第1のオペアンプOP1からハイ信号がAND回路AAに出力される。
図4に示すようには、AND回路AAの他方の入力ピンには、カートリッジ処理制御部M100からの短絡検出許可信号ENが入力されるように構成されている。この結果、インクカートリッジ検出回路M10aは、ハイ信号を短絡検出許可信号ENとして入力されている期間のみ、第1のオペアンプOP1からのハイ信号を、短絡検出信号AB1として出力する。すなわち、カートリッジ検出回路M10aの短絡検出部としての機能は、カートリッジ処理制御部M100の短絡検出許可信号ENによって、その実行を制御される。AND回路AAからの短絡検出信号AB1は、カートリッジ処理制御部M100に出力されると共に、トランジスタTR1のベース端子に、抵抗R1を介して出力される。この結果、短絡検出時(短絡検出信号AB1がハイの時)には、接触検出端子101を介して、電源VDD3.3に高い電圧が印加されることを、トランジスタTR1によって防止することができる。
もう1つのカートリッジ検出回路M10bは、もう一つの接触検出端子103と、インクカートリッジ70の検出端子116(図3(b−1)参照)または検出端子117(図3(b−2)参照)との接触の有無を検出する接触検出回路としての機能と、接触検出端子103と高電圧を出力することができるセンサ用端子104との短絡を検出する短絡検出手段としての機能とを備える回路である。カートリッジ検出回路M10bは、カートリッジ検出回路M10aと同じ構成を有するので、詳しい構成の図示および説明は省略する。以下、カートリッジ検出回路M10bにより出力されるカートリッジ検出信号をCO2、短絡検出信号をAB2と呼ぶこととする。
センサ駆動回路M20は、カートリッジ処理制御部M100の指示に従って、センサ用端子104から出力される電圧を制御して、センサ72にインク残量を検出させる回路である。センサ駆動回路M20は、ロジック回路により構成されているが詳細は省略する。
カートリッジ処理制御部M100は、カートリッジ処理専用回路61全体を制御すると共に、印刷装置20全体を制御する制御回路40と信号(データや指示信号等)のやり取りを担当する。具体的には、カートリッジ処理制御部M100は、制御回路40の指示に従い、センサ駆動回路M20にインク残量を検出させ、検出結果をデータとして、制御回路40に出力する。また、カートリッジ処理制御部M100は、受信したカートリッジ検出信号CO1、CO2を、制御回路40に出力する。さらには、カートリッジ処理制御部M100は、制御回路40の指示に従ってカートリッジ検出回路M10a、M10bにハイ信号を短絡検出許可信号ENとして出力して、カートリッジ検出回路M10a、M10bに上述した短絡の検出を実行させる。そして、カートリッジ検出回路M10a、M10bから短絡検出信号AB1、AB2を受信した場合には、カートリッジ処理制御部M100は、センサ駆動回路M20に指示して、センサ用端子104から出力される電圧を遮断または低下させる。カートリッジ処理制御部M100は、ロジック回路により構成されても良いし、汎用のプロセッサにより構成されても良い。
以上、カートリッジ処理専用回路61について、1つのインクカートリッジ70と対応する構成を説明した。本実施例では、8つのインクカートリッジ70が装着されるので、上述した2つのカートリッジ検出回路M10a、M10bは、各カートリッジごとに2つずつ計16個備えられている。また、センサ駆動回路M20は1つだけであるが、切り換えスイッチによって、8つのインクカートリッジの各センサ72に接続可能に構成されている(図示は省略)。カートリッジ処理制御部M100は、1つで8つのインクカートリッジに関する処理を担当する。
制御回路40は、中央演算装置(CPU)、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)を備える周知のコンピュータである。制御回路40は、印刷装置20全体を制御する種々の機能(詳細な説明は省略する。)と共に、カートリッジ処理専用回路61から受信したカートリッジ検出信号CO1、CO2を用いて、インクカートリッジ70の種類および装着の有無を判定するカートリッジ判定部M50を備えている。
・印刷装置の動作:
以下、本実施例の印刷装置20の具体的動作について説明する。
・カートリッジ判定処理:
図5は、制御回路40が実行するカートリッジ判定処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。制御回路40は、カートリッジ処理専用回路61からカートリッジ検出信号CO1およびCO2を、カートリッジ装着部62の8つの装着位置ごとに、常に受信しており、これら信号を用いて装着位置ごとにカートリッジ判定処理を実行する。
制御回路40は、着目する装着位置(以下、着目装着位置という。)についてカートリッジ判定処理を開始すると、着目装着位置におけるカートリッジ検出信号CO1がロー信号であるか(接触検出端子101に上述した検出端子116または118が接触しているか)否かを判別する(ステップS102)。続いて、制御回路40は、着目装着位置におけるカートリッジ検出信号CO2がロー信号であるか(接触検出端子101に上述した検出端子116または117が接触しているか)否かを判別する(ステップS104またはS106)。この結果、カートリッジ検出信号CO1とカートリッジ検出信号CO2とが共にロー信号である場合(ステップS102:YES、かつ、ステップS104:YES)には、制御回路40は、着目装着位置に装着されているインクカートリッジ70は上述したTypeAのカートリッジ(Lサイズ)であると判断する。
同様に、制御回路40は、カートリッジ検出信号CO1がロー信号であり、カートリッジ検出信号CO2がハイ信号である場合(ステップS102:YES、かつ、ステップS104:NO)には、上述したTypeBのカートリッジ(Mサイズ)であり、カートリッジ検出信号CO1がハイ信号であり、カートリッジ検出信号CO2がロー信号である場合(ステップS102:NO、かつ、ステップS106:YES)には、上述したTypeCのカートリッジ(Sサイズ)であると判断する。
そして、カートリッジ検出信号CO1とカートリッジ検出信号CO2とが共にハイ信号である場合(ステップS102:NO、かつ、ステップS104:NO)には、制御回路40は、着目装着位置には、インクカートリッジ70が装着されていないと判断する。このようにして、制御回路40は、8つの装着位置のそれぞれについて、インクカートリッジ70の種類および装着の有無を判定することができる。これによって、装着されているインクカートリッジのサイズが判定できると、制御回路40は、例えば、サイズに応じてインクカートリッジの残量を検出する時期やサイクルを適切に設定することができる。
・インク残量検出処理:
図6は、カートリッジ処理専用回路61のカートリッジ処理制御部M100(以下、制御部M100と略す。)が実行するインク残量検出処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。制御部M100は、制御回路40からインク残量を検出する指示、および、検出すべきカートリッジの装着位置の指示を受けると、先ず、全てのカートリッジ検出回路M10a、M10bに対して、上述した短絡検出許可信号ENをハイ信号にする(ステップS202)。この結果、全てのカートリッジ検出回路M10a、M10bは、短絡検出部としての機能を発揮し、上述した接触検出端子101、103に短絡検出電圧V_ref1(6.5V)以上の電圧が印加されると、ハイ信号を短絡検出信号AB1、AB2として出力可能な状態となる。言い換えれば、短絡検出許可信号ENをハイ信号にした状態は、接触検出端子101、103とセンサ用端子104との短絡を監視している状態である。
次に、制御部M100は、センサ駆動回路M20に指示して、センサ用端子104からセンサ72に対する駆動電圧を出力させインク残量を検出させる(ステップS204)。具体的に説明すると、センサ駆動回路M20は、制御部M100の指示信号を受けると、センサ用端子104からセンサ駆動電圧を出力し、インクカートリッジ70におけるセンサ72としての圧電素子に電圧を印加して充電し、逆圧電効果により圧電素子を歪ませる。その後、センサ駆動回路M20は、印加した電圧を低下させて、圧電素子に充電した電荷を放電させ、圧電素子を振動させる。センサ駆動回路M20は、圧電素子の振動の圧電効果により発生する電圧を、センサ用端子104およびセンサ端子114を介して検出し、その振動周波数を測定することで、インク残量を検出する。すなわち、この振動周波数は、圧電素子と共に振動する周囲の構造体(筐体71やインク)の固有振動数を表し、インクカートリッジに残存するインク量に応じて変化するため、振動周波数を測定することによってインク残量を検出することができる。センサ駆動回路M20は、検出結果を制御部M100に出力する。
制御部M100は、センサ駆動回路M20から、検出結果を受信すると、上述したステップS202においてハイ信号にした短絡検出許可信号ENをロー信号に戻して(ステップS206)、本処理を終了する。本処理では、インク残量を検出している間は、短絡検出許可信号ENをハイ信号にして短絡検出可能な状態としている。言い換えれば、短絡の発生をカートリッジ検出回路M10a、M10bによって監視しながら、インク残量を検出している。
・短絡検出時の処理:
ここで、インク残量の検出(ステップS204)を実行中に、制御部M100が、ハイ信号を短絡検出信号AB1またはAB2として受信した場合(以下、短絡検出時という。)の処理について説明する。図6には、短絡検出時の割り込み処理ルーチンのフローチャートを合わせて示した。接触検出端子101とセンサ用端子104とに短絡が生じていると、センサ用端子104から出力される電圧が接触検出端子101に印加される。すると、短絡検出許可信号ENがハイ信号にされているので、インク残量の検出処理においてセンサ用端子104からの出力電圧が短絡検出電圧V_ref1(6.5V)を超えた瞬間に、ハイ信号が短絡検出信号AB1として、カートリッジ検出回路M10aから出力される。制御部M100は、この短絡検出信号AB1を受信すると、インク残量の検出を中断して、短絡検出時の割り込み処理を実行する。接触検出端子101とセンサ用端子104とに短絡が生じている場合も同様である。
ここで、接触検出端子101または103とセンサ用端子104(図3(a)参照)とが短絡する態様としては、例えば、導電性のインク液滴または結露により発生した水滴が付着してブリッジされる、あるいは、クリップ等の異物が接触してブリッジされることが考えられる。また、インクカートリッジ70側の対応する端子116〜117と端子114(図3(b)参照)とが、同様に、上述した原因によってブリッジされ、これが、カートリッジ装着部62に装着されることによって、印刷装置20側の接触検出端子101または103とセンサ用端子104とが短絡することが考えられる。
短絡時の割り込み処理を開始すると、処理制御部M100は、短絡検出時には、直ちに、センサ駆動回路M20に指示して、センサ用端子104から出力される電圧を遮断する(ステップS208)。
続いて、制御部M100は、制御回路40に対して、上述した短絡の発生を通知し(ステップS210)、インク残量検出を最後まで実行せずに、短絡検出許可信号ENをロー信号に戻して(ステップS206)、本処理を終了する。短絡発生の通知を受信した、制御回路40は、例えば、ユーザーに対して短絡の発生を通知する等の対応処理をとることができる。
図7は、インク残量検出処理実行中における短絡検出許可信号EN、および、センサ72に印加されている電圧(以下、センサ印加電圧という。)の時系列的な変化を示す説明図である。図7(a)は、短絡検出許可信号ENの時系列的な変化を示している。図7(b)は、接触検出端子101、103とセンサ用端子104との短絡が生じておらず、インク残量検出処理が正しく実行された場合(以下、正常時という。)におけるセンサ印加電圧を示している。図7(c)は、接触検出端子101、103とセンサ用端子104との短絡が生じている場合(以下、短絡時)におけるセンサ印加電圧を示している。
図7(a)に示すように、インク残量検出処理実行中は、短絡検出許可信号ENがハイ信号にされている。図7(b)に示すように、正常時においては、センサ72には、Vsの電圧が印加された後に、印加された電圧が低下され、その後に圧電効果による振動電圧が発生していることがわかる。なお、本実施例では、Vsは36Vに設定されている。
一方、図7(c)に示すように、短絡時においては、センサ印加電圧は、短絡検出電圧V_ref1(6.5V)を超えた瞬間に低下する。これは、センサ印加電圧が短絡検出電圧V_ref1(6.5V)を超えた瞬間に、ハイ信号が短絡検出信号AB1またはAB2として、カートリッジ検出回路M10aまたはM10bから制御部M100に出力され、これを受信した制御部M100がセンサ用端子104からの出力電圧を直ちに遮断したからである。
以上説明したように構成された本実施例に係る印刷装置20によれば、カートリッジ検出回路M10a、M10bが、短絡検出部としての機能を備え、接触検出端子101,103とセンサ用端子104とが短絡していることを検出することができる。そして、短絡が検出された場合には、センサ駆動回路M20によってセンサ72に印加される電圧は、直ちに遮断される。この結果、センサ用端子104から出力される高い電圧が、カートリッジ検出回路M10a、M10bに印加される不都合を防止または抑制することができる。従って、カートリッジ検出回路M10aが、上述した短絡により損傷を受けることを避けられる。
さらに、カートリッジ検出回路M10a、M10bは、制御部M100か出力される短絡検出許可信号ENとしてハイ信号を受信している期間のみに、短絡の検出を実行する。すなわち、制御部M100の指示に従って、必要な時のみ短絡の検出を行う。この結果、短絡の誤検出を防ぎ、本当にカートリッジ検出回路M10a、M10bに高電圧が印加されるおそれがある場合のみ、短絡検出を行うことができる。短絡の誤検出が生じる具体例としては、インクカートリッジ70を装着時/取り外し時において、電位の揺らぎが発生し、一時的に接触検出端子101または103の電位が、短絡検出電圧V_ref1を超えてしまう場合が考えられる。
また、制御部M100は、センサ駆動回路M20を駆動してインク残量の検出を実行する間に、短絡検出許可信号ENをハイ信号にして、短絡検出を実行する。従って、センサ用端子104から電圧を出力する間は、少なくとも短絡検出が実行される。この結果、短絡が生じている時に、センサ用端子104から高電圧が出力されることによって、カートリッジ検出回路M10a、M10bに誤って高電圧が印加される不都合を確実に防止または抑制することができる。
さらに、カートリッジ装着部62の端子板100は、2種類の接触検出端子101と103を備える。一方、カートリッジ70に装着される回路板110には、2種類の接触検出端子101と103との接触の有無の組み合わせにより3種類の検出端子116〜118を有する回路板110a、110b、110cがそれぞれ用意されている。そして、印刷装置20において、2種類の接触検出端子101、103と検出端子116〜118との接触の有無をそれぞれ検出し、その検出結果を用いてインクカートリッジ70の種類および装着の有無を判定している。この結果、印刷装置20において、自動的にインクカートリッジ70の種類および装着の有無を判断して、適切な処理を実行することができる。
B.変形例:
また、本実施例において、接触検出端子101、103とセンサ用端子104との短絡を問題にしているが、これに限られるものではない。例えば、EEPROM等の記憶装置を、インクカートリッジ70に備える場合には、記憶装置の読み出し/書き込みのための電圧をインクカートリッジ70に出力する端子と、接触検出端子101、103との短絡について本実施例を適用しても良い。
上記実施例では、カートリッジ判定処理において、インクカートリッジのサイズを判定しているが、他の要素を判定しても良い。例えば、8色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー、ライトブラック)のインクカートリッジを1本ずつ用いる高画質印刷モードと、4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のインクを2本ずつ用いる低画質印刷モードを切り換え可能な印刷装置においては、インクの色の種類を判定することとしても良い。こうすれば、各印刷モードを実行する際に、適切なインクカートリッジ70が装着されているか否かを印刷装置が自動的に判定することが可能である。
上記実施例において、印刷装置20は、2つの接触検出端子101、103を備え、2種類のカートリッジ検出信号CO1、CO2を用いて、インクカートリッジの種類3つと、インクカートリッジの装着の有無を判定可能であるが、3以上の接触検出端子を備え、3種類以上のカートリッジ検出信号を用いても良い。こうすれば、さらに多くのインクカートリッジの種類を判定可能である。
また、上記実施例では、インクカートリッジ70、および、これを装着する印刷装置20に、本発明を適用しているが、インクカートリッジに限らず、他の印刷記録材、例えば、トナーが収容された収容体と、これを装着する印刷装置についても同様に適用可能である。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。

Claims (9)

  1. 印刷材を収容しており、印刷装置に装着可能な印刷材収容体と、
    前記印刷装置に前記印刷材収容体が装着されているかどうかの検出に用いられ、前記印刷材収容体に備えられた検出端子と、
    前記印刷材収容体が前記印刷装置に装着されたときに、前記検出端子と接触する端子 と、
    前記印刷材収容体が前記印刷装置に装着されたとき、前記検出端子と接触し、前記検出端子を介して、前記検出端子と接触する端子と導通する接触検出端子と、
    前記接触検出端子に接続され、所定の電圧を用いて、前記接触検出端子と前記検出端子との接触の有無検出する接触検出回路と、
    前記所定の電圧より高い電圧を出力する高電圧出力端子と、
    前記接触検出端子と前記高電圧出力端子との短絡を検出する短絡検出手段と、
    前記短絡が検出されたときに前記高電圧出力端子から出力される電圧を低下または遮断する制御回路を備える印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置において、
    前記短絡の検出は、前記制御回路によって前記高電圧出力端子から電圧が出力されている期間に実行される印刷装置。
  3. 請求項1に記載の印刷装置は、さらに、
    前記短絡検出手段に対して、前記短絡の検出を許可する検出許可信号を出力する制御手段を備え、
    前記短絡の検出は、前記検出許可信号が出力されている期間に実行される印刷装置。
  4. 請求項3に記載の印刷装置において、
    前記検出許可信号は、前記制御回路によって前記高電圧出力端子から電圧が出力されている期間に出力されている印刷装置。
  5. 請求項1に記載の印刷装置において、
    前記印刷材収容体は、さらに、
    前記印刷材の状態を検出するセンサと、
    前記センサと電気的に接続されたセンサ端子とを有し、
    前記高電圧出力端子は、前記印刷材収容体が装着された際に前記センサ端子と接触するセンサ用端子である、印刷装置。
  6. 請求項5に記載の印刷装置において、
    前記センサは、圧電素子を用いて前記印刷材の残量を検出するセンサである印刷装置。
  7. 請求項1に記載の印刷装置において、
    前記接触検出端子は複数個備えられ、
    前記接触検出回路は、前記複数の接触検出端子に対する前記印刷材収容体の検出端子の接触の有無をそれぞれ検出し、
    前記印刷装置は、さらに、
    それぞれ検出された前記複数の接触検出端子に対する前記印刷材収容体の検出端子の接触の有無を用いて、前記印刷材収容体の種類を判定する収容体判定手段を備える印刷装置。
  8. 請求項7に記載の印刷装置において、
    前記収容体判定手段は、前記複数の接触検出端子の全てに前記印刷材収容体の検出端子との接触が無い場合には、前記印刷材収容体は、前記装着部に装着されていないと判定する印刷装置。
  9. 印刷材を収容しており、印刷装置に装着可能な印刷材収容体と、
    前記印刷装置に前記印刷材収容体が装着されているかどうかの検出に用いられ、前記印刷材収容体に備えられた検出端子と、
    前記印刷材収容体が前記印刷装置に装着されたときに、前記検出端子と接触する端子 と、
    前記印刷材収容体が前記印刷装置に装着されたときに、前記検出端子と接触し、前記検出端子を介して、前記検出端子と接触する端子と導通する接触検出端子と、
    高電圧を出力する高電圧出力端子と、を備える前記印刷装置の制御方法であって、
    前記高電圧より低い所定の電圧を用いて、前記接触検出端子と前記検出端子との接触の有無を検出し、
    前記接触検出端子と前記高電圧出力端子との短絡を検出し、
    前記短絡が検出されたときに前記高電圧出力端子から出力される電圧を、制御回路により低下または遮断する、印刷装置の制御方法。
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