JP4539120B2 - エッチング方法、基板、電子部品、電子部品の製造方法および電子機器 - Google Patents

エッチング方法、基板、電子部品、電子部品の製造方法および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、エッチング方法、基板、電子部品、電子部品の製造方法および電子機器に関するものである。
従来、基材の加工には、基材上に、所定パターンのレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとして用いて、基材をエッチングすることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、Si基板をエッチングする方法として、まず、Si基板の表面にSiO膜を形成し、このSiO膜をレジスト層を用いてエッチングし、さらに、このエッチングされたSiO膜をマスクとして用いて、Si基板をエッチングことが開示されている。
ところが、レジスト層の形成は、例えば、基材(SiO膜)上へのレジスト材料の供給、乾燥、ベーク処理、露光、現像、洗浄、乾燥等の多段階の工程を要する。
このような工程は、極めて煩雑であり、従来、基材の加工(エッチング)には、時間と手間とを要している。
特開平11−176799号公報(図6)
本発明の目的は、基材のエッチングを容易かつ安価に行い得るエッチング方法、このエッチング方法により加工された基板、このエッチング法を適用した電子部品の製造方法、信頼性の高い電子部品および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のエッチング方法は、基材をアルカリエッチング液によりエッチングするエッチング方法であって、
基材上に、ジアルキルシリコーンを主成分とするポリオルガノシロキサンで構成される平均厚さ10〜1000nmのポリオルガノシロキサン膜をプラズマ重合法により形成する第1の工程と、
前記ポリオルガノシロキサン膜の所定パターンの領域に、SiO化処理を施して、ポリオルガノシロキサンをSiOに変化させてなるSiO 領域を形成する第2の工程と、
前記アルカリエッチング液によるエッチングレートが、ポリオルガノシロキサンよりもSiO の方が大きいことを利用して、前記ポリオルガノシロキサン膜の前記SiO 領域を除去した後、引き続いて、前記基材の前記SiO 領域に対応する領域をエッチングする第3の工程とを有することを特徴とする。
これにより、基材のエッチングを容易かつ安価に行うことができる。
また、プラズマ重合法によれば、均質かつ均一な膜厚のポリオルガノシロキサン膜を容易に形成することができる。
発明のエッチング方法では、前記第2の工程において、前記SiO化処理は、紫外線照射およびプラズマ照射の少なくとも一方により行われることが好ましい。
かかる方法によれば、ポリオルガノシロキサンが有する有機基とSiとの結合をより確実に切断して、酸素原子を導入すること、すなわち、SiO化をより確実に行うことができる。
本発明のエッチング方法では、前記第3の工程において、前記アルカリエッチング液によるポリオルガノシロキサンのエッチングレートをR[nm/min]とし、前記アルカリエッチング液によるSiOのエッチングレートをR[nm/min]としたとき、エッチングレート比( /R )が1.2〜100なる関係を満足することが好ましい。
これにより、基材をより寸法精度よく加工することができる。
本発明のエッチング方法では、前記第3の工程において、前記アルカリエッチング液のpHは、9以上であり、前記アルカリエッチング液の温度は、0〜100℃であることが好ましい。
これにより、SiOの効率のよい除去が可能となる
本発明の基板は、本発明のエッチング方法によりエッチングされたことを特徴とする。
これにより、容易かつ安価に加工された基板が得られる。
本発明の電子部品は、本発明の基板を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子部品が得られる。
本発明の電子部品の製造方法は、本発明のエッチング方法により基板をエッチングした後、該基板上に残存する前記ポリオルガノシロキサン膜を取り除くことなく、電子部品の製造に用いることを特徴とする。
これにより、電子部品の製造を容易かつ安価に行うことができる。
本発明の電子部品の製造方法では、前記基板上に残存する前記ポリオルガノシロキサン膜をSiO化した後、前記電子部品の製造に用いることが好ましい。
これにより、このSiOの各種特性を利用すること、例えばSiOを介して、基板と電子部品を構成する他部材との接合を行うこと等ができる
発明の電子機器は、本発明の電子部品を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
以下、本発明のエッチング方法、基板、電子部品、電子部品の製造方法および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<インクジェット式記録ヘッド>
まず、本発明の電位部品をインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態について説明する。
図1は、本発明の電位部品をインクジェット式記録ヘッドに適用した場合の実施形態を示す分解斜視図であり、図2は、図1に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図、図3は、図1に示すインクジェット式記録ヘッドを備えるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。なお、図1は、通常使用される状態とは、上下逆に示されている。
図1に示すインクジェット式記録ヘッド1(以下、単に「ヘッド1」と言う。)は、図3に示すようなインクジェットプリンタ(本発明の電子機器)9に搭載されている。
図3に示すインクジェットプリンタ9は、装置本体92を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ921と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口922と、上部面に操作パネル97とが設けられている。
操作パネル97は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
また、装置本体92の内部には、主に、往復動するヘッドユニット93を備える印刷装置(印刷手段)94と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置94に送り込む給紙装置(給紙手段)95と、印刷装置94および給紙装置95を制御する制御部(制御手段)96とを有している。
制御部96の制御により、給紙装置95は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、ヘッドユニット93の下部近傍を通過する。このとき、ヘッドユニット93が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すなわち、ヘッドユニット93の往復動と記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方式の印刷が行なわれる。
印刷装置94は、ヘッドユニット93と、ヘッドユニット93の駆動源となるキャリッジモータ941と、キャリッジモータ941の回転を受けて、ヘッドユニット93を往復動させる往復動機構942とを備えている。
ヘッドユニット93は、その下部に、多数のノズル孔111を備えるヘッド1と、ヘッド1にインクを供給するインクカートリッジ931と、ヘッド1およびインクカートリッジ931を搭載したキャリッジ932とを有している。
なお、インクカートリッジ931として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。
往復動機構942は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸943と、キャリッジガイド軸943と平行に延在するタイミングベルト944とを有している。
キャリッジ932は、キャリッジガイド軸943に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト944の一部に固定されている。
キャリッジモータ941の作動により、プーリを介してタイミングベルト944を正逆走行させると、キャリッジガイド軸943に案内されて、ヘッドユニット93が往復動する。そして、この往復動の際に、ヘッド1から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙装置95は、その駆動源となる給紙モータ951と、給紙モータ951の作動により回転する給紙ローラ952とを有している。
給紙ローラ952は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ952aと駆動ローラ952bとで構成され、駆動ローラ952bは給紙モータ951に連結されている。これにより、給紙ローラ952は、トレイ921に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置94に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ921に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
制御部96は、例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等のホストコンピュータから入力された印刷データに基づいて、印刷装置94や給紙装置95等を制御することにより印刷を行うものである。
制御部96は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等を記憶するメモリ、圧電素子(振動源)14を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する圧電素子駆動回路、印刷装置94(キャリッジモータ941)を駆動する駆動回路、給紙装置95(給紙モータ951)を駆動する駆動回路、および、ホストコンピュータからの印刷データを入手する通信回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPUとを備えている。
また、CPUには、例えば、インクカートリッジ931のインク残量、ヘッドユニット93の位置等を検出可能な各種センサ等が、それぞれ電気的に接続されている。
制御部96は、通信回路を介して、印刷データを入手してメモリに格納する。CPUは、この印刷データを処理して、この処理データおよび各種センサからの入力データに基づいて、各駆動回路に駆動信号を出力する。この駆動信号により圧電素子14、印刷装置94および給紙装置95は、それぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
以下、ヘッド1について、図1および図2を参照しつつ詳述する。
ヘッド1は、ノズル板11と、インク室基板12と、振動板13と、振動板13に接合された圧電素子(振動源)14とを備え、これらが基体16に収納されている。なお、このヘッド1は、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成する。
ノズル板11は、例えば、SiO、SiN、石英ガラスのようなシリコン系材料、Al、Fe、Ni、Cuまたはこれらを含む合金のような金属系材料、アルミナ、酸化鉄のような酸化物系材料、カーボンブラック、グラファイトのような炭素系材料等で構成されている。
このノズル板11には、インク滴を吐出するための多数のノズル孔111が形成されている。これらのノズル孔111間のピッチは、印刷精度に応じて適宜設定される。
ノズル板11には、インク室基板12が固着(固定)されている。
このインク室基板12は、ノズル板11、側壁(隔壁)122および後述する振動板13により、複数のインク室(キャビティ、圧力室)121と、インクカートリッジ931から供給されるインクを一時的に貯留するリザーバ室123と、リザーバ室123から各インク室121に、それぞれインクを供給する供給口124とが区画形成されている。
各インク室121には、それぞれ短冊状(直方体状)に形成され、各ノズル孔111に対応して配設されている。各インク室121は、後述する振動板13の振動により容積可変であり、この容積変化により、インクを吐出するよう構成されている。
インク室基板12を得るための母材としては、例えば、シリコン単結晶基板、各種ガラス基板、各種プラスチック基板等を用いることができる。これらの基板は、いずれも汎用的な基板であるので、これらの基板を用いることにより、ヘッド1の製造コストを低減することができる。
また、これらの中でも、母材としては、面方位(110)のシリコン単結晶基板を用いるのが好ましい。このシリコン単結晶基板は、異方性エッチングに適しているのでインク室基板12を、容易かつ確実に形成することができる。
インク室基板12の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000μm程度とするのが好ましく、100〜500μm程度とするのがより好ましい。
また、インク室121の容積も、特に限定されないが、0.1〜100nL程度とするのが好ましく、0.1〜10nL程度とするのがより好ましい。
一方、インク室基板12のノズル板11と反対側には、振動板13が接合され、さらに振動板13のインク室基板12と反対側には、複数の圧電素子14が設けられている。
また、振動板13の所定位置には、振動板13の厚さ方向に貫通して連通孔131が形成されている。この連通孔131を介して、前述したインクカートリッジ931からリザーバ室123に、インクが供給可能となっている。
各圧電素子14は、それぞれ、下部電極142と上部電極141との間に圧電体層143を介挿してなり、各インク室121のほぼ中央部に対応して配設されている。各圧電素子14は、圧電素子駆動回路に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)するよう構成されている。
各圧電素子14は、それぞれ、振動源として機能し、振動板13は、圧電素子14の振動により振動し、インク室121の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
基体16は、例えば各種樹脂材料、各種金属材料等で構成されており、この基体16にインク室基板12が固定、支持されている。
このようなヘッド1は、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力されていない状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に電圧が印加されていない状態では、圧電体層143に変形が生じない。このため、振動板13にも変形が生じず、インク室121には容積変化が生じない。したがって、ノズル孔111からインク滴は吐出されない。
一方、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力された状態、すなわち、圧電素子14の下部電極142と上部電極141との間に一定電圧が印加された状態では、圧電体層143に変形が生じる。これにより、振動板13が大きくたわみ、インク室121の容積変化が生じる。このとき、インク室121内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル孔111からインク滴が吐出される。
1回のインクの吐出が終了すると、圧電素子駆動回路は、下部電極142と上部電極141との間への電圧の印加を停止する。これにより、圧電素子14は、ほぼ元の形状に戻り、インク室121の容積が増大する。なお、このとき、インクには、後述するインクカートリッジ931からノズル孔111へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用している。このため、空気がノズル孔111からインク室121へ入り込むことが防止され、インクの吐出量に見合った量のインクがインクカートリッジ931(リザーバ室123)からインク室121へ供給される。
このようにして、ヘッド1において、印刷させたい位置の圧電素子14に、圧電素子駆動回路を介して吐出信号を順次入力することにより、任意の(所望の)文字や図形等を印刷することができる。
このようなヘッド1は、例えば、次のようにして製造することができる。以下、ヘッド1の製造方法(本発明の電子部品の製造方法)の一例について説明する。
図4および図5は、それぞれ、図1および図2に示すインクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図(縦断面図)である。
なお、以下では、インク室基板12となる母材20として、アルカリウェットエッチング可能な基板(例えば、シリコン単結晶基板等)を用いるものとする。
[1] まず、図4(a)に示すように、インク室基板12となる母材20と、振動板13とを貼り合わせ(接合して)、これらを一体化させる。
この接合には、例えば、母材20と振動板13とを圧着させた状態で熱処理する方法が好適に用いられる。かかる方法によれば、容易かつ確実に、母材20と振動板13とを一体化させることができる。
この熱処理条件は、特に限定されないが、100〜600℃×1〜24時間程度とするのが好ましく、300〜600℃×6〜12時間程度とするのがより好ましい。
なお、接合には、その他の各種接着方法、各種融着方法等を用いてもよい。
[2] 次に、図4(b)に示すように、振動板13上に、複数の圧電素子14を形成する。
圧電素子14は、下部電極142を形成するための導電性材料層と、圧電体層143を形成するための圧電材料層と、上部電極141を形成するための導電性材料層とを順次積層し、その後、圧電素子14の形状となるようにエッチングすることにより形成することができる。
前記各材料層は、それぞれ、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法等により形成することができる。
また、前記材料層のエッチングには、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[3] 次に、インク室基板12となる母材20の圧電素子14に対応した位置に、それぞれインク室121となる凹部を、また、所定位置にリザーバ室123および供給口124となる凹部を形成する。この母材20の加工(エッチング)に、本発明のエッチング方法が適用される。
[3−1] まず、図4(c)に示すように、母材20の振動板13と反対側の面に、主としてポリオルガノシロキサンで構成されるポリオルガノシロキサン膜21を形成する(第1の工程)。
このポリオルガノシロキサン膜21を形成する方法としては、例えば、プラズマ重合法、蒸着法、シランカップリング剤による処理、ポリオルガノシロキサンを含有する液状材料による処理等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ポリオルガノシロキサン膜21の形成方法としては、プラズマ重合法を用いるのが好適である。このプラズマ重合法は、母材20の振動板13と反対側の面に、オルガノシロキサン(ポリオルガノシロキサンの前駆体)をガス状でキャリアガスとともに供給し、プラズマ重合によりポリオルガノシロキサン膜21を形成する方法である。
プラズマ重合法によれば、均質かつ均一な膜厚のポリオルガノシロキサン膜21を容易に形成することができる。
ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、ジメチルシリコーン、ジエチルシリコーンのようなジアルキルシリコーン、シクロアルキルシリコーン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの中でも、ポリオルガノシロキサンとしては、ジアルキルシリコーン(特に、ジメチルシリコーン)を主成分とするものが好適である。ジアルキルシリコーンを主成分とするポリオルガノシロキサン膜21は、前述したプラズマ重合法による形成が容易である。また、ポリオルガノシロキサン膜21をジアルキルシリコーンを主成分として構成することにより、次工程[3−2]において、より容易かつ確実にSiO化させることができる。
なお、ジメチルシリコーンを主成分とするポリオルガノシロキサン膜21を、プラズマ重合法を用いて形成する場合、その原料(前駆体)としては、例えば、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
キャリアガス(添加ガス)としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素等が挙げられる。
また、プラズマ重合法によりポリオルガノシロキサン膜21を形成する場合、その形成条件(成膜条件)は、例えば、次のようにすることができる。
高周波の出力は、100〜1000W程度であるのが好ましい。
成膜時のチャンバ内の圧力は、1×10−4〜1Torr程度であるのが好ましい。
原料ガス流量は、1〜100sccm程度であるのが好ましい。一方、キャリアガス流量は、10〜500sccm程度であるのが好ましい。
処理時間は、1〜10分程度であるのが好ましく、4〜7分程度であるのがより好ましい。
このような条件を適宜設定することにより、所望の平均厚さのポリオルガノシロキサン膜21を形成することができる。
このポリオルガノシロキサン膜21の平均厚さは、10〜1000nm程度であるのが好ましく、50〜500nm程度であるのがより好ましい。ポリオルガノシロキサン膜21が薄過ぎると、後の工程[3−3]において、アルカリエッチング液の種類等によっては、ポリオルガノシロキサン膜21が十分にマスクとして機能できず、母材20の寸法精度(加工精度)が低下するおそれがある。一方、ポリオルガノシロキサン膜21が厚過ぎると、母材20のエッチングに要する時間が必要以上に長くなり好ましくない。
[3−2] 次に、図4(d)に示すように、得られたポリオルガノシロキサン膜21の所定パターンの領域(本実施形態では、インク室121、リザーバ室123および供給口124に対応するパターンの領域)に対してSiO化処理を施す。これにより、前記領域に存在するポリオルガノシロキサンをSiOに変化させる(第2の工程)。
このSiO化処理としては、例えば、紫外線照射、プラズマ照射、電子ビーム照射、加熱等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、SiO化処理としては、紫外線照射およびプラズマ照射の少なくとも一方を用いるのが好ましい。かかる方法によれば、ポリオルガノシロキサンが有する有機基とSiとの結合をより確実に切断して、酸素原子を導入すること、すなわち、SiO化をより確実に行うことができる。
A:SiO化処理として紫外線照射を用いる場合
紫外線の波長は、400nm以下であればよく、特に限定されないが、100〜350nm程度であるのが好ましい。
紫外線の強度は、1000〜3000mJ/cm程度であるのが好ましく、1400〜2600mJ/cm程度であるのがより好ましい。
なお、紫外線照射を行う雰囲気は、大気中または減圧状態のいずれであってもよいが、大気中とするのが好ましい。これにより、有機基とSiとが切断されるのとほぼ同時に、大気中に存在する酸素分子から酸素原子が効率よく導入されるため、ポリオルガノシロキサンをより迅速にSiOに変化させることができる。
また、紫外線の照射時間は、1〜10分程度であるのが好ましく、3〜7分程度であるのがより好ましい。
B:SiO化処理としてプラズマ照射を用いる場合
プラズマを発生させるガス種としては、例えば、酸素ガス、窒素ガス、不活性ガス(アルゴンガス、ヘリウムガス等)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
高周波の出力は、100〜700W程度であるのが好ましく、300〜500W程度であるのがより好ましい。
ガスの流量は、10〜500sccm程度であるのが好ましく、100〜300sccm程度であるのがより好ましい。
なお、プラズマ照射を行う雰囲気は、大気中または減圧状態のいずれであってもよいが、大気中とするのが好ましい。これにより、有機基とSiとが切断されるのとほぼ同時に、大気中に存在する酸素分子から酸素原子が効率よく導入されるため、ポリオルガノシロキサンをより迅速にSiOに変化させることができる。
特に、プラズマ照射には、プラズマを発生するガス種として、酸素ガスを含むガスを用いる酸素プラズマ照射を用いるのが好適である。酸素プラズマ照射によれば、酸素プラズマが有機基とSiとを切断するとともに、Siとの結合に利用されるため、ポリオルガノシロキサンをより確実にSiOに変化させることができる。
[3−3] 次に、図5(e)に示すように、アルカリエッチング液によるポリオルガノシロキサンとSiOとのエッチングレートの差を利用して、母材(基材)20をエッチングする(第3の工程)。
ポリオルガノシロキサンは、比較的高い耐アルカリ性を有する化合物であるが、SiOは、ポリオルガノシロキサンよりアルカリに対して耐性が低い。このため、ポリオルガノシリキサン膜21が形成された母材20をアルカリエッチング溶液で処理することにより、SiOに変化した所定の領域が先行して除去され、次いで、かかる領域に対応する(かかる領域直下の)母材20がエッチングされる。
これにより、母材20を、その厚さ方向に振動板13が露出する程度にまでエッチング(除去)し、インク室121、リザーバ室123および供給口124に対応する凹部を形成する。なお、このとき、エッチングされずに残った部分が、側壁122となり、また、露出した振動板13は、振動板としての機能を発揮し得る状態となる。
用いるアルカリエッチング液は、ポリオルガノシロキサンに対するエッチングレートをR[nm/min]とし、SiOに対するエッチングレートをR[nm/min]としたとき、エッチングレート比(R/R)が1.2〜100なる関係を満足するのが好ましく、3〜50なる関係を満足するのがより好ましい。これにより、母材20をより寸法精度よく加工することができる。
このエッチングエッチングレート比(R/R)は、例えば、アルカリエッチング液のpH、温度、ポリオルガノシロキサンの種類等を適宜設定することにより、所望のものに調整することができる。
具体的には、アルカリエッチング液のpHは、9以上であるのが好ましく、9.5〜11.5程度であるのがより好ましい。また、アルカリエッチング液の温度は、0〜100℃程度であるのが好ましく、15〜75℃程度であるのがより好ましい。
なお、アルカリエッチング液のpHや温度が低過ぎると、母材20の効率のよい除去が困難となるおそれがあり、一方、アルカリエッチング液のpHや温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が期待できない。
このようなアルカリエッチング液としては、例えば、NaOH、KOHのようなアルカリ金属水酸化物の水溶液、Mg(OH)のようなアルカリ土類金属水酸化物の水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの水溶液、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系有機溶媒等が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる。
これらの中でも、アルカリエッチング液としては、特に、アルカリ金属水酸化物の水溶液が好適である。かかるアルカリエッチング液を用いることにより、ポリオルガノシロキサン膜21を実質的に除去することなく、SiOおよび母材20を効率よく除去することができる。
この場合、特に、母材20として、面方位が(110)のシリコン基板を用いる場合には、容易に異方性エッチングすることができるので、インク室基板12の形成が容易となる。
[4] 次に、図5(f)に示すように、複数のノズル孔111が形成されたノズル板11を、各ノズル孔111が各インク室121となる凹部に対応するように位置合わせして接合する。
これにより、複数のインク室121、リザーバ室123および複数の供給口124が画成される。
この接合には、例えば、接着剤による接着等の各種接着方法、各種融着方法等を用いることができる。
なお、本工程[4]に先立って、前記工程[3−3]の後において残存するポリオルガノシロキサン膜21は、除去しても除去しなくてもよい。
例えば、ノズル板11が酸化物系材料で構成される場合には、次のようにして、ポリオルガノシロキサン膜21を除去することなく、インク室基板12(母材20)に接合することができる。
すなわち、前記工程[3−3]の後において残存するポリオルガノシロキサン膜21のほぼ全体を、前記工程[3−2]と同様にしてSiO化させてSiO膜を形成する。そして、このSiO膜を介して、インク室基板12とノズル板11とを密着させ、この状態で、SiO膜を例えば高周波誘導加熱等により、選択的に加熱する。これにより、SiO膜を構成するSiOと、ノズル板11を構成する酸化物系材料との間に拡散が生じ、インク室基板12とノズル板11とを強固に接合することができる。
このように、ポリオルガノシロキサン膜21を除去することなく、ヘッド1を製造することにより、廃棄物の量が増大するのを防止することもでき、環境にも優しい。
また、電子部品を製造する(本実施形態では、ポリオルガノシロキサン膜21をSiO化させる)のに先立って、ポリオルガノシロキサン膜21には、水洗処理および酸処理のうちの少なくとも一方を行うようにするのが好ましい。
これにより、ポリオルガノシロキサン膜21中またはその表面に残存するアルカリエッチング液を除去または中和することができる。その結果、得られる電子部品の信頼性(本実施形態では、インク室基板12とノズル板11との接合信頼性)をより向上することができる。
ここで、酸処理としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸またはこれらの混合液による処理が挙げられる。
なお、水洗処理および酸処理は、例えば、交互に繰り返し行うようにしてもよい。
[5] 次に、インク室基板12を、例えば接着剤による接着等により基体16に取り付ける(固定する)。
以上のような工程を経て、ヘッド1が製造される。
以上のように、本発明によれば、基材のエッチングに際して、レジスト層を用いる必要がないので、製造工程数の大幅な削減を図ること、すなわち、製造コストおよび時間の削減を図ることができる。
以上、本発明のエッチング方法、基板、電子部品、電子部品の製造方法および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明のエッチング方法は、インクジェット式記録ヘッドの製造に適用することができる他、例えば、マイクロレンズ用凹部付き基板の製造等に適用することができる。
インクジェット式記録ヘッドの実施形態を示す分解斜視図である。 インクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を示す断面図である。 インクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。 インクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図である。 インクジェット記録式ヘッドの製造方法を説明するための図である。
符号の説明
1……インクジェット式記録ヘッド 11……ノズル板 111……ノズル孔 12……インク室基板 121……インク室 122……側壁 123……リザーバ室 124……供給口 13……振動板 131……連通孔 14……圧電素子 141……上部電極 142……下部電極 143……圧電体層 16……基体 20……母材 21……ポリオルガノシロキサン膜 9……インクジェットプリンタ 92……装置本体 921……トレイ 922……排紙口 93……ヘッドユニット 931……インクカートリッジ 932……キャリッジ 94……印刷装置 941……キャリッジモータ 942……往復動機構 943……キャリッジガイド軸 944……タイミングベルト 95……給紙装置 951……給紙モータ 952……給紙ローラ 952a……従動ローラ 952b……駆動ローラ 96……制御部 97……操作パネル P……記録用紙

Claims (9)

  1. 基材をアルカリエッチング液によりエッチングするエッチング方法であって、
    基材上に、ジアルキルシリコーンを主成分とするポリオルガノシロキサンで構成される平均厚さ10〜1000nmのポリオルガノシロキサン膜をプラズマ重合法により形成する第1の工程と、
    前記ポリオルガノシロキサン膜の所定パターンの領域に、SiO化処理を施して、ポリオルガノシロキサンをSiOに変化させてなるSiO 領域を形成する第2の工程と、
    前記アルカリエッチング液によるエッチングレートが、ポリオルガノシロキサンよりもSiO の方が大きいことを利用して、前記ポリオルガノシロキサン膜の前記SiO 領域を除去した後、引き続いて、前記基材の前記SiO 領域に対応する領域をエッチングする第3の工程とを有することを特徴とするエッチング方法。
  2. 前記第2の工程において、前記SiO化処理は、紫外線照射およびプラズマ照射の少なくとも一方により行われる請求項に記載のエッチング方法。
  3. 前記第3の工程において、前記アルカリエッチング液によるポリオルガノシロキサンのエッチングレートをR[nm/min]とし、前記アルカリエッチング液によるSiOのエッチングレートをR[nm/min]としたとき、エッチングレート比( /R )が1.2〜100なる関係を満足する請求項1または2に記載のエッチング方法。
  4. 前記第3の工程において、前記アルカリエッチング液のpHは、9以上であり、前記アルカリエッチング液の温度は、0〜100℃である請求項1ないしのいずれかに記載のエッチング方法。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載のエッチング方法によりエッチングされたことを特徴とする基板。
  6. 請求項に記載の基板を備えることを特徴とする電子部品。
  7. 請求項1ないしのいずれかに記載のエッチング方法により基板をエッチングした後、該基板上に残存する前記ポリオルガノシロキサン膜を取り除くことなく、電子部品の製造に用いることを特徴とする電子部品の製造方法。
  8. 前記基板上に残存する前記ポリオルガノシロキサン膜をSiO化した後、前記電子部品の製造に用いる請求項に記載の電子部品の製造方法。
  9. 請求項に記載の電子部品を備えることを特徴とする電子機器。
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