JP4538880B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機をはじめとした遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機の一例であるパチンコ機において、パチンコホール側での管理のために設けられ、ホールコンピュータと電気的に接続(以下接続という)可能とされた、遊技球の払い出し個数等の情報を出力する外部出力端子を有するものが知られている。図11に示すように、外部出力端子99は、通路内の遊技球を一定数ずつ送り出す払い出し装置96をフィードバックなしに制御する払い出し基板98と接続されている。
【0003】
払い出し基板98は又、払い出し装置96が送り出した遊技球を検出する払い出し検出スイッチHSWとも接続されており、払い出し検出スイッチHSWからの検出信号を所定回数受け取る毎に、外部出力端子99へ所定コードの信号を発する。接続されたホールコンピュータは、当該所定コードの信号を、当該所定個数払い出した旨の払い出し個数情報として解釈し、他のコードによる信号で伝達される大当たり状態についての情報等と組み合わせ加工及び出力し、管理の用に供する。
【0004】
尚、入賞球は集合のうえ、払い出し基板98と接続された入賞球検出スイッチSSWによって1個ずつ検出されるようになっており、入賞球検出スイッチSSWの検出信号を受けた払い出し基板98は、次の入賞球検出がある前に所定数の賞品球を払い出すよう払い出し装置96を制御する。又、他の入賞口より1入賞あたり多数個の遊技球を払い出す入賞口が存在する場合には、当該入賞口の奥に、パチンコ機の主制御を行う主基板97と接続された検出スイッチLSWを更に設置するとともに、主基板97に当該検出スイッチLSWの検出信号のカウンタCCを内蔵する。そしてカウンタCCが存在すると、入賞球の検出に同期するように払い出しコマンドを払い出し基板98に送付し、払い出し基板98は、入賞球検出スイッチSSWの検出信号に基づく払い出し装置96に対する制御の際、払い出しコマンドを受領すれば、多数個の遊技球をその都度払い出す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の遊技機にあっては、球詰まり等のトラブルが発生した場合に、払い出し個数情報の出力が遅延し、遊技者にとって価値のある大当たり状態であるか否か等他の情報との整合がとれなくなり、ホールコンピュータにおいて大当たり状態時の払い出し個数が実際より少なく出力される等、管理の正確性を阻害することがあった。
【0006】
そこで、本発明の発明の課題は、球詰まり等のトラブルが発生したとしても、トラブル直前における正確な払い出し個数を出力し、管理の正確性の維持に供することができる遊技機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち、請求項1に記載の発明は、遊技球を送り出す払い出し手段と、前記払い出し手段の動作を制御する払い出し基板と、各種入賞信号の受領毎にそれぞれ所定値分増加される一方、実際に払い出した遊技球の検出により発せられる確認信号の受領毎に1減少されて算出される払い出しの要請球数を演算するとともに、入賞信号の受領に伴い増加する前記要請球数の増加分を払い出し個数情報として前記払い出し基板へ送信する主基板とを有しており、さらに、前記主基板に外部出力端子を備え、前記主基板は、前記払い出し個数情報を前記払い出し基板への送信と同時に前記外部出力端子にも出力することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、図面に基づいて説明する。図1は遊技機の一例であるパチンコ機の正面説明図、図2はパチンコ機の一部内部構成図であって、パチンコ機1は、上半部手前にガラス枠2を有しているとともに、その背面側に遊技盤3を保持している。遊技盤3の前面には、円形の遊技領域4が形成されており、遊技領域4内には、障害釘5,5・・及び図柄表示装置6、並びに普通入賞口7,7・・、図柄始動口8、大入賞口9等の各種入賞口が配設されている。大入賞口9は、1入賞あたり15個の賞品球を提供すること、即ち払い出し単位として15が予め定められており、その他の入賞口7,8・・は、1入賞あたりの払い出し単位が5として定められている。
【0009】
又、大入賞口9のすぐ奥には、入賞球検出スイッチSW1が、主基板17と電気的に接続(以下単に接続という)のうえ設置され、同様に図柄始動口8のすぐ奥には入賞球検出スイッチSW2が設けられ、各普通入賞口7,・・,7にはそれぞれ入賞球検出スイッチSW3,・・,SW7が設けられている。各入賞球検出スイッチSW1〜SW7は、図示しない孔の周囲にコイルを捲回していて、遊技球の孔通過により、誘導電圧、即ち入賞信号を発生するようになっている。
【0010】
更に、ガラス枠2の下方には、上皿11及び下皿12が、突出した状態で上下に並設されており、下皿12の右側には、上皿11からの遊技球を遊技領域4へ打ち込む操作に使用するハンドル13が突設されている。
【0011】
一方、遊技盤3に固定された表示用ユニットを省略して図3に示すパチンコ機1の背面側には、適宜各種サブ基板を介してパチンコ機1を制御する主基板17と、サブ基板の一つである払い出し基板18とが、接続のうえ並設されている。主基板17,払い出し基板18は、演算手段として要請球数Pを記憶すべく、それぞれ書き換え可能な不揮発性記憶手段であるEEPROM31,32を備えている。
【0012】
又、主基板17は、EEPROM31中の要請球数Pを利用して遊技球の払い出し個数を出力可能な外部出力端子19を備えている。外部出力端子19には、ホールコンピュータ(図示せず)から伸びた電線のコネクタが嵌入されており、互いの接続が確保されている。
【0013】
更に、背面側上部には、パチンコホールの遊技球循環装置からの遊技球を蓄える遊技球タンク14が設けられており、遊技球タンク14の下部からは、遊技球直径強の幅を有する通路15,15を並設した遊技球通路16が、上皿11の裏側まで延設されている。尚、パチンコ機1は、遊技球通路16下端縁の下方を基点とする溢れ球通路(図示せず)を内包しており、上皿11から逆行してきた遊技球を下皿12へ導くようになっている。
【0014】
そして、遊技球通路16の途中には、払い出し手段としての払い出し装置20が設置されている。図4から図7に示す払い出し装置20は、ハウジング21の前後両側に対称的に、各通路15毎の払い出し機構を備えてなる。
【0015】
各払い出し機構は、各6個の球切り爪22及び停止爪23が周設され、且つ回動可能に軸支された回転体24と、接続された払い出し基板18から供給される電圧が印加(通電)されている時間のみ磁場変化を生じてプランジャ25を上昇させるソレノイド26と、プランジャ25の下端に掛けられて揺動可能に軸支される停止部材28等からなる。
【0016】
プランジャ25は、ソレノイド26が非通電状態であると、自重により下降し、停止部材28の先端を下げる。下降した停止部材28の先端は、回転体24内側の停止爪23に係止することにより、回転体24及び球切り爪22が支持する通路15内の遊技球列を固定する(図6(a),図7(a))。一方、ソレノイド26が通電されていると、プランジャ25が上昇し、停止部材28が上方に揺動されて、先端が停止爪23から離脱する。この離脱により、回転体24は固定状態を解かれ、支えていた遊技球列の重力により回転し、遊技球を球切り爪22で1個ずつ区切るようにして送る(図7(b)(c))。
【0017】
又、球切り爪22,22・・と停止爪23,23・・とは、対応するよう同数設けられており、ソレノイド26に瞬間的に通電してプランジャ25を上下動させ、離脱箇所に隣接する停止爪23に係止するようにして、1個の遊技球を送り出すことができる(図6(b)(c))。本実施形態において、1個の遊技球を送り出すのに最適な時間は30ms(ミリ秒)である。
【0018】
更に、背面側の通路15の、回転体24よりすぐ下流の部分には、孔29に遊技球が通過すると誘導電圧である確認信号を発生する払い出し球検出スイッチCSW1が、主基板17と払い出し基板18とに接続された状態で設置されている(図2、図6、図7)。
【0019】
尚、正面側の払い出し機構は、接続された払い出し基板18のみで制御される貸し出し用のものである。又、各回転体24には、回転体24の逆回転防止と停止爪23の停止部材28に対する位置合わせとをすべく、遊技球1個強の重さを持ち、外方へ揺動可能なハンマー状の回転規制部材36が接触している。又、カバー37上、回転体24のすぐ外側には、内側の電場変化により回転体24が区切っている遊技球をカバー37越しに検出するキルスイッチ38(図5にのみ示す)が取り付けられている。
【0020】
上記パチンコ機1の払い出し動作につき説明する。主基板17は、2ms(ミリ秒)毎に割込みを発生するとともに、毎割込み内において主プログラム(一部を図10に示す)を繰り返して、パチンコ機1を制御している。一方、払い出し基板18は、主基板17の半分である1ms毎の割込みに基づき、払い出しプログラムを繰り返して動作する。尚、不正情報の流入防止のため、主基板17を含む通信は片方向でなされる。
【0021】
遊技者がハンドル13を捻って遊技領域4に打ち込んだ遊技球が、普通入賞口7,7・・或いは図柄始動口8に入賞すると、入賞口7,8毎の入賞球検出スイッチSW2〜SW7が誘導電圧である入賞信号を生じる。主プログラムの要請球数Pの加算サブルーチン(図10のステップ62〜63で数回呼び出される)は、図8(a)に示すように、払い出し単位数が5の普通入賞口7又は図柄始動口8から入賞信号を受領すると(ステップ40)、賞品球に関する払い出しの要請球数Pを1入賞信号あたり5増加して、主基板17のEEPROM31に記憶する(ステップ41)。尚、要請球数Pの初期値は0である。
【0022】
同様にして主基板17は、大入賞口9の入賞球検出スイッチSW1からの入賞信号の受領に基づき(ステップ42)、払い出し単位数の15だけ、賞品球に関する要請球数Pを増加し、記憶する(ステップ43)。尚、入賞信号を受領しなければ、要請球数Pを増加しない。又、主基板17は、図柄始動口8の入賞球検出スイッチSW2から入賞信号を受領すると、大当たり判定を行うとともに、図柄表示装置6において大当たり判定に基づく図柄の変動表示後の停止表示を行い、停止表示図柄が所定の大当たり図柄であると、各種演出を伴った大入賞口9の断続的開成を行う。大入賞口9は、開成しない限り入賞することができず、入賞毎に15という多数の払い出し個数が予め定められているため、大当たり図柄が表示されると遊技者にとって有利な大当たり状態となる。
【0023】
又、主基板17は、1回の主プログラム実行中、加算サブルーチンを初めて実行する前に(図10のステップ62)、要請球数Pを一旦増加分用バッファP’に複写しておき(ステップ61)、全ての当該サブルーチンを実行し終わった後(ステップ63)、この時点での要請球数Pから、増加分用バッファP’の値を引いて、本割込みでの要請球数Pの増加分を算出する(ステップ64)。
【0024】
そして、同一割込み内での主プログラム後部の通信処理時、入賞信号の受領に基づき算出した要請球数Pの増加分の情報を含む信号を、払い出し基板18へ送る(ステップ65)。払い出し基板18は、当該信号を受領すると、払い出しプログラムによって、自らのEEPROM32内に確保された、賞品球に関する要請球数P用の記憶領域の値(初期値0)を増し、主基板17のEEPROM31内の要請球数Pと値を一致させる。尚、要請球数Pの増加がない場合は、増加分は0であり、信号送信によりEEPROM32内の要請球数Pが増加することはない。
【0025】
更に主基板17は、入賞信号の受領に基づき算出した同じ要請球数P増加分の情報を含む信号を、払い出し基板18への送信と同時に、入賞信号の受領と同一割込み内で外部出力端子19に出力する(ステップ66)。ここで主基板17は、大当たり状態であると、増加分に更に128を加えた値を外部出力端子19に出力する。当該信号を受領したホールコンピュータは、受領信号が128以上であれば大当たり状態として認識し、128を引いた値を実際に遊技者に払い出す個数の情報、即ち払い出し個数情報として解釈する。一方、128以下であれば、そのままの値を払い出し個数情報として認識する。換言すれば、主基板17は、入賞信号の受領に基づき、払い出し個数情報と、大当たり状態についての情報とを有する信号を、払い出し基板18への払い出し個数情報の送信と同時に、外部出力端子19に出力する。尚、2msである1割込み中に要請球数Pが100以上増加することはタイミング上あり得ないので、大当たり状態の情報を含めても、払い出し個数が実際より少なく認識されることはない。
【0026】
払い出し基板18は、図9(a)に示す払い出しプログラム中の払い出し動作切り替えサブルーチンにおいて、EEPROM32内の賞品球に関する要請球数Pの存在を判断し(ステップ52)、0で存在しなければ、本サブルーチンから脱する。
【0027】
一方、要請球数Pが存在すれば、更に10以上か否かを判断する(ステップ53)。要請球数Pが10以上であると、現時点での要請球数Pから5を減じた値を、EEPROM32内に在る払い出し動作の切り替え用バッファB(初期値0)に保存するとともに(ステップ54)、ソレノイド26への通電時間を制限する動作タイマDを1000に設定する(ステップ55)。ここで、動作タイマDは、払い出しプログラムによって1msごとに呼び出される払い出し動作実行サブルーチン(図9(b))で1減少されるので(ステップ72)、ソレノイド26に対する通電時間を1秒に設定したことになる。
【0028】
又、払い出し基板18は、要請球数Pが10未満であれば、ステップ56に移り、払い出しの単位動作を行う時間についてのウェイトタイマWに200を代入するとともに、動作タイマDを30に設定する(ステップ57)。ウェイトタイマWは、本サブルーチンの最初において存在するか判断され(ステップ50)、存在すると、1減ぜられたうえ(ステップ59)、本サブルーチンによる動作タイマDの設定処理等のスキップを引き起こすので、動作タイマDを30に設定した場合の払い出し単位動作について、通電開始時点の間隔が少なくとも200ms確保される。
【0029】
加えて、ウェイトタイマWが0で、EEPROM32の要請球数Pが1以上だと、初めて動作タイマD等が設定されるが、当該設定前で要請球数Pが1以上かの判断(ステップ52)前に払い出しフラグFをクリアするとともに(ステップ51)、当該設定完了後にセットし(ステップ58)、正面側払い出し機構についての通電状態即ち払い出し動作実行状態を払い出しフラグFで表しておく。尚、各タイマD,W及びフラグFの初期値は0である。
【0030】
尚、図9(a)の払い出し動作切り替えサブルーチンの始めにおいてキルスイッチ38が遊技球の検出信号の有無を判断し、検出信号が存在せず通路15に遊技球が導入されていないことが認識されると、本サブルーチンを抜け出し(図示せず)、送り出す遊技球が無くて払い出しが不能な状態における動作タイマD等の設定を回避する。
【0031】
払い出し基板18は、図9(b)に示す払い出し動作実行サブルーチンにおいて、要請球数Pが1以上の場合に設定される動作タイマDが存在すると(ステップ71)、ソレノイドへの電圧出力を決定するポート用バッファLをセットする(ステップ73)。払い出し基板18は、払い出しプログラムの後半において、ポート用バッファLがセットされていると、払い出し装置20の正面側の払い出し機構のソレノイド28に対し通電する。尚、誤動作防止のため、払い出し動作実行サブルーチン実行毎に、初めにポート用バッファLのリセットを行う(ステップ70)が、動作タイマDが存在する限りポート用バッファLはステップ73で再セットされるので、払い出し基板18は通電を続ける。又、動作タイマDを存在する限り1減じ、1ms毎に更新する(ステップ72)。
【0032】
ソレノイド26への通電によって、プランジャ25の上昇及び停止部材28の上方への揺動が生じ、図6(a)又は図7(a)のような回転体24による遊技球の支持は解除され、図6(b)乃至図6(c)、又は図7(b)のような、列状の遊技球の重力による回転体24の回転に伴う、遊技球の球切り爪22による送り出しが行われる。
【0033】
要請球数Pが10以上で、ステップ55で動作タイマDに1000が設定された場合、ソレノイド28への通電開始から1秒が経過すると、プランジャ25が重力により下がり、停止部材28が回転体24を固定する。1秒間では、およそ15〜25個の遊技球がまとめて送り出される(図7(c))。尚、この場合にはウェイトタイマWの設定がないため、次の通電時間の設定が1秒であれば、通電ストップによるプランジャ25の下降は瞬間的となり、連続的に払い出し動作する。
【0034】
一方、要請球数Pが10未満で、ステップ57で動作タイマDに30が設定された場合、ソレノイド28への通電開始から30msが経過すると、動作タイマDが消化され、ポート用バッファLのセット処理(ステップ73)が回避されるので(ステップ71)、払い出し基板18によるソレノイド26への通電は30msという短時間でストップし、プランジャ25は下がる。
【0035】
30msの通電においては、通電開始時支持していた停止爪23と隣接した停止爪23との間に停止部材28が下げられ、下がった停止部材28は、次の停止爪23に係止して回転体24を固定する(図6(d))。ここで、停止爪23は球切り爪22と同数、対応するように設けられているので、1回の通電あたり1個の遊技球が送り出される。又、30ms後も、動作タイマD等の設定を避けるためのウェイトタイマWは170残っているため、通電ストップから次の通電まで少なくとも170msの間隔が空く。換言すれば、要請球数Pが10未満と少なくなると、遊技球を1個ずつ確実に払い出す動作に切り替える。
【0036】
そして、回転体24から送り出された遊技球は、正面側の払い出し機構の払い出し球検出スイッチCSW1の孔29を通過し(図6(c))、払い出し球検出スイッチCSW1は、遊技球の通過毎に、1個の払い出しの証である確認信号を発し、発生した確認信号主基板17と払い出し基板18とに達する。図8(b)に示す主基板17の主プログラムの要請球数Pの減算サブルーチンは、回転体24よりすぐ下流の払い出し球検出スイッチCSW1からの確認信号の受領を入賞信号と同様に判断し(ステップ44)、確認信号受領毎に要請球数Pを1減らし(ステップ49)、EEPROM31に記憶する。尚、払い出し基板18も同様に、払い出し球検出スイッチCSW1からの確認信号受領毎に要請球数Pを1減少する。
【0037】
又、払い出し基板18は、減算サブルーチンの要請球数P減算(ステップ49)直前において、要請球数Pより5だけ少ない切り替え用バッファBを先に1減算し、0となった場合には強制的に動作タイマDを0にする(ステップ46〜48)。即ち、要請球数Pが6個未満となると、ポート用バッファLを介して通電を一旦停止し、停止部材28を下降させて回転体24の停止爪23に係止させ、遊技球の送り出しを強制停止する。この強制停止の実行により、1個ずつの払い出し動作に確実に移行し、過剰な払い出しを防止する。
【0038】
尚、プランジャ25の各1秒通電又は各30ms通電に基づく各払い出し動作を跨いで遊技球が検出されたとしても、要請球数Pは減算されるので払い出し動作に支障はない。又、切り替え用バッファBをチェックするステップ47の直前においては、払い出し動作の実行設定時(ステップ54,55又はステップ56,57)にセットされる(ステップ58)はずの払い出しフラグFを見て、払い出し動作の実行状態と、払い出し動作の結果として起こるべき要請球数P減少との整合を図っている(ステップ45)。不整合の場合は、ステップ49に移って要請球数P自体の減算のみ行い、動作タイマDの強制クリアは回避する。
【0039】
このような動作を繰り返し、入賞球検出スイッチSW1〜SW7及び払い出し球検出スイッチCSW1と接続された主基板17及び払い出し基板18は要請球数Pを算出し、又、払い出し装置20は、払い出しプログラムによる制御に従って、要請球数Pに基づき遊技球を払い出す。
【0040】
以上のパチンコ機1は、大入賞口9奥の遊技球検出スイッチSW1が発した入賞信号の受領毎に15だけ、又大入賞口9以外の入賞口7,8・・奥の遊技球検出スイッチSW2〜SW7が発した入賞信号の受領毎に5だけ増加される一方、実際に払い出した遊技球を検出する払い出し球検出スイッチCSW1により発せられる確認信号の受領毎に1減少されて算出される払い出しの要請球数Pを演算する主基板17及び払い出し基板18と、主基板17及び払い出し基板18の制御によって要請球数P分の遊技球を送り出す払い出し装置20とを有しており、主基板17及び払い出し基板18は、入賞信号を受領すると要請球数Pとその増加分用バッファP’とを減算して算出した払い出し個数情報を出力する外部出力端子19を備えているため、実際の払い出しにつながる要請球数の増加があった直後(同一割込み内)には、当該増加分に等しい払い出し個数情報を外部出力端子に出力することができ、よって球詰まり等のトラブルが発生しても、払い出し個数情報の出力を完了しておくことができ、従って大当たり状態に関する情報との不整合を防止して、実際に即した正確な払い出し管理を行うことができる。
【0041】
又、EEPROM31,32が2つ設けられているので、一方が故障等のトラブルに見舞われても、他方の記憶によって、賞品球の払い出しと、外部出力端子に出力した払い出し個数情報と要請球数との整合性とを保証することができる。更に、要請球数Pの記憶手段としてEEPROM31,32が採用されているので、停電等のトラブルがあっても要請球数Pを維持することができ、トラブル後の復旧が可能であって、同様に払い出しと整合性とを担保することができる。又更に、キルスイッチ38によって、遊技球が検出されない場合に払い出し機構の動作を停止する一方、要請球数Pは更新及び保持されるので、同様に遊技球が導入されないまま払い出し動作を生ずることによる払い出し不足を防止することができる。
【0042】
尚、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、次に一部示すように様々に変更可能である。外部出力端子は、主基板に設けられる必要はなく、同じ演算手段である払い出し基板に設けても良い。外部出力端子への出力は、大当たり状態の情報を含まなくても良いし、大当たりに関する確率変動状態であるか否かの情報等その他の情報を更に含んでも良い。
【0043】
主基板は、払い出し個数情報として、要請球数の増加分の情報を出力する必要はなく、要請球数自体を出力して、ホールコンピュータや払い出し基板が、自ら記憶しておいた直前の要請球数を用い、新たな払い出し個数を算出するようにしても良い。即ち、払い出し個数情報としては、一定の演算を行うと実際払い出す個数が算出可能な情報も含まれる。更に主基板は、払い出し個数情報を入賞信号の受領と同時に外部出力端子に出力する必要はなく、若干(10秒程度までが実用的な正確性に照らした許容範囲である)遅延させることもできる。
【0044】
又、払い出し個数情報を払い出し基板に同時に送信する必要はなく、同様に一方或いは双方を遅延させることもできるし、外部出力端子と異なる情報を送信しても良い。尚、双方を遅延させた場合等には、払い出し基板への要請球数伝達と外部出力端子への出力が、入賞信号から若干離れるとともに互いに同時となるので、外部出力端子への出力が、払い出し基板への要請球数伝達又は払い出し基板への払い出し制御に基づいて行われているように見なすことも可能であるが、この場合も、結局は入賞信号の受領に基づいて外部出力端子への出力が行われており、本発明に含まれるものである。
【0045】
更に、要請球数は、入賞信号又は球貸し信号並びに確認信号の発生数に基づいて最終的に算出されれば良く、例えば払い出し球検出スイッチが検出数の記憶部を備え、一定時間或いは一定数毎に検出数を主基板に通知する場合に、主基板はその検出数を要請球数から減じることができる。この場合、記憶部も演算手段の一部となる。又、要請球数を主基板と払い出し基板との協働により算出し、双方に記憶しておく必要も無く、遊技球の検出スイッチを接続した払い出し基板側のみで算出及び記憶をすることができる。同様に、要請球数を主基板側のみで演算することができる。後者の場合、主基板が直接払い出し制御するようにして、払い出し基板を省いても良い。又、要請球数の記憶個所は、3箇所以上にすることもできる。更に、入賞毎に払い出し単位数だけ信号を発し、その信号数分要請球数を加算することもできる。この場合、払い出し単位数の信号が組で入賞信号となる。加えて、払い出し装置に制御機構を設け、要請球数を当該制御機構に送付し、要請球数に従った払い出し制御をすることもできる。この場合、制御機構も演算手段に含まれる。
【0046】
又更に、本発明は、遊技者に遊技球を貸し出すための球貸し装置に適用することもできる。ホールコンピュータにより貸し出し球数を管理することは広く行われており、遊技機が貸し出し球に関する要請球数の増加をもって実際の貸し出しにおける払い出し球数と見なし、外部出力端子を介してホールコンピュータに素早く報知することも、貸し出し球数の実際との同一性担保において有効である。尚、貸し出しにおける払い出し個数情報を出力する外部出力端子を、入賞に対する賞品球の払い出し個数情報を出力する外部出力端子と別個に設けても良いし、同一の外部主力端子において分別可能に各払い出し個数情報を含有させて出力するようにしても良い。
【0047】
加えて、払い出しのための通電時間は上記に限定されず、様々に設定できる。又、払い出し動作の切り替えをする要請球数は、10以外のどの値をも採用することができるし、賞品球側と貸し出し側で異なる値とすることもできるし、切り替える所定値を複数設け、対応するように通電時間を3種以上設けて、きめ細かく調整するようにできる。更に、通電を一旦停止する要請球数は、5少ないバッファが0となった場合に限られず、要請球数自体が6未満となった場合に行ったり、通電時間の切り替えと同時に行なったりする等、様々に変更できる。加えて、全ての入賞口にそれぞれ検出スイッチを備える必要はなく、少なくとも払い出し単位数毎の入賞口からの通路を集合させ、その集合通路を通過する遊技球を同一スイッチで検出しても、本発明を適用できる。
【0048】
一方、回転体の通電毎の回転及び停止は、停止爪と、ソレノイドのプランジャの停止部材との係脱により行われる必要はなく、ステッピングモータにより行われても良い。更に、払い出し機構の形状、大きさ、ハウジング及びカバーに対する設置態様などは何ら実施形態に限定されず、球切り爪の数を少なくし、又は間隔を広げて2個以上の遊技球を受け入れるようにしたり、停止部材を軸支せずプランジャに固定したり、ハウジングやカバーに爪を突設し、ソレノイド等を係止したりすることができる。又、ハウジングやカバー自体も同様に形状や取り付け態様などを変更することができる。更に、払い出し機構の数を変更することや、球貸しと賞品球の提供を同じ払い出し機構で行うこと等もできる。
【0049】
又、タイマや変数、フラグの、初期値・設定値や増減・記憶方法、制御における使用・組み合わせ方法は、適宜省略したり変更したりすることができる。サブルーチンの構成や主プログラム及び払い出しプログラムの構成・実行方式も適宜変更可能である。更に、確認信号等の信号の形式や、払い出し動作の実行形態等も、電圧の印加に限られず、磁場変化等様々に変更することができる。加えて、ホールコンピュータと外部出力端子との接続は、電線やコネクタによるものに限定されない。又、接続の形態も、ホールコンピュータと各パチンコ機との直接接続に限られず、パチンコ機を島毎に互いに接続し、島毎の接続部とホールコンピュータとを接続する等、様々に変更することができる。そして本発明は、払い出し単位数やその種類数、或いは入賞口の個数が異なったり、大当たり状態の生起方法や実現態様が相違(更に高確率で次回大当たり状態を生起できる等)したりする等の別種のパチンコ機、又は他の遊技機に適用することが可能である。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、要請球数を演算する主基板が、入賞信号の受領に伴い要請球数が増加すると、当該要請球数の増加分を払い出し個数情報として払い出し基板へ送信するとともに、同時に外部出力端子にも出力するので、いずれのタイミングでトラブルが発生したとしても、払い出し個数情報の遅延を防止して、実際に即した正確な払い出し個数管理を実行することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ機の正面説明図である。
【図2】パチンコ機の一部内部構成説明図である。
【図3】表示ユニットを省略したパチンコ機の背面説明図である。
【図4】払い出し装置の一部を切り欠いた斜視説明図である。
【図5】払い出し装置の一部分解斜視説明図である。
【図6】(a)〜(d)とも、遊技球払い出し装置の断面説明図であって、30msの通電による1個ずつの払い出し動作の説明図である。
【図7】(a)〜(c)とも、遊技球払い出し装置の断面説明図であって、1秒の通電による払い出し動作の説明図である。
【図8】(a)主基板における要請球数加算の処理を示す高レベルのフローチャートである。
(b)主基板における要請球数減算の処理を示す高レベルのフローチャートである。
【図9】(a)主基板の払い出し動作変更の処理を行うサブルーチンを示す高レベルのフローチャートである。
(b)払い出し基板の払い出し動作実行の処理を行うサブルーチンを示す高レベルのフローチャートである。
【図10】主プログラムの一部を示す高レベルのフローチャートである。
【図11】従来のパチンコ機の一部内部構成説明図である。
【符号の説明】
1・・パチンコ機、7・・普通入賞口、8・・図柄始動口、9・・大入賞口、15・・通路、16・・遊技球通路、17・・主基板、18・・払い出し基板、20・・払い出し装置、22・・球切り爪、23・・停止爪、24・・回転体、25・・プランジャ、26・・ソレノイド、28・・停止部材、31,32・・EEPROM、B・・切り替え用バッファ、D・・動作タイマ、P・・要請球数、P’・・増加分用バッファ、W・・ウェイトタイマ、SW1〜SW7・・入賞球検出スイッチ、CSW1・・払い出し球検出スイッチ。
Claims (1)
- 遊技球を送り出す払い出し手段と、
前記払い出し手段の動作を制御する払い出し基板と、
各種入賞信号の受領毎にそれぞれ所定値分増加される一方、実際に払い出した遊技球の検出により発せられる確認信号の受領毎に1減少されて算出される払い出しの要請球数を演算するとともに、入賞信号の受領に伴い増加する前記要請球数の増加分を払い出し個数情報として前記払い出し基板へ送信する主基板と
を有しており、
さらに、前記主基板に外部出力端子を備え、前記主基板は、前記払い出し個数情報を前記払い出し基板への送信と同時に前記外部出力端子にも出力することを特徴とする遊技機。
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