JP4538814B2 - 流体噴射弁の流量調整装置 - Google Patents
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Description
一方、特許文献1には、流体噴射弁の流量調整装置が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の流量調整装置では、圧入部材に当接してコネクタ部に圧入部材を圧入する圧入ピンの送り量に基づいて圧入量を間接的に制御しているため、その圧入量を正確に制御することができない。
また、請求項1から8に記載の発明では、流体噴射弁の開弁状態及び閉弁状態における弁部材の位置を検出し、検出した位置から弁部材の実リフト量を算出する。このようにして弁部材の位置の実測値から求めた実リフト量に応じて、コネクタ部に圧入部材を圧入することができるため、弁部材のリフト量を正確に調整することができる。
また請求項3に記載の発明では、流体噴射弁のリフト量調整工程において、保持部を低速で相対駆動してコネクタ部に圧入部材を精密圧入する。そのため、保持部を高速で相対駆動して圧入部材を精密圧入する場合と比較して、流体噴射弁のリフト量を微妙に調整することができる。
また請求項3に記載の発明では、流体噴射弁の流量を調整する工程(以下、「流量調整工程」という。)において、保持部を低速で相対駆動しながら、検出流量が目標流量になるまでコネクタ部に圧入部材を圧入する。そのため、流体噴射弁の流量を微妙に調整することができる。
請求項5から8に記載の発明では、圧入ピンの中空部に弁部材を露出させ、この弁部材の露出部分の位置を測定する。このように流体噴射弁の外部に弁部材を露出させることにより、弁部材の位置を流体噴射弁の外部で容易に検出することができる。
請求項7に記載の発明では、流量調整工程において、流体の供給流路を構成する中空部から測定ピンを引き抜いた後に、流体噴射弁に流体を供給する。中空部から測定ピンを引き抜くことにより供給流路の流路抵抗が低くなるため、流体噴射弁に流体を速やかに供給することができる。
図1に示す流量調整装置1は、燃料噴射弁2のリフト量及び流量を調整する装置である。
1.燃料噴射弁について
まず、燃料噴射弁2を図2に基づいて説明する。
燃料噴射弁2は、ガソリンエンジン用の燃料噴射弁である。コネクタ部202は磁性部材と非磁性部材とからなる円筒状に形成されている。コネクタ部202には燃料流路203が形成されており、この燃料流路203に、弁ボディ204、弁部材206、可動コア208、固定コア210、アジャスティングパイプ212、スプリング214等が収容されている。そして燃料流路203の燃料入口側に、燃料フィルタ215が設置されている。
スプリング214は、アジャスティングパイプ212に一端を係止され、他端を可動コア208に係止されている。スプリング214は、弁部材206が弁座204aに着座する方向、つまり燃料噴射弁2が閉弁する方向に可動コア208および弁部材206に荷重を加えている。
コイル224を巻回しているスプール226はコネクタ部202の外周に取付けられている。樹脂ハウジング228はコネクタ部202及びコイル224の外周を覆っている。ターミナル230は樹脂ハウジングに埋設されており、コイル224と電気的に接続されている。
一方、コイル224に通電すると、固定コア210、可動コア208、第1磁性部材202a、磁性部材220、42および第2磁性部材202cからなる磁気回路を磁束が流れ、固定コア210と可動コア208との間に磁気吸引力が発生する。すると、可動コア208とともに弁部材206はスプリング214の荷重に抗して固定コア210側に移動し、当接部206aが弁座204aから離座することにより、燃料噴射弁2は開弁する。これにより、燃料が噴孔218aから噴射される。
次に、流量調整装置1の構成について説明する。
図1に示す流量調整装置1は、保持部10、圧入ピン20、圧入駆動部30、燃料供給部40、ピン駆動部50、位置検出部60、測定ピン70、図示しない制御部を備える。
保持部10は、圧入駆動部30の台座38との間にスプリング12を狭持している。保持部10は燃料噴射弁2を保持する。
圧入ピン20には接触子22が取り付けられている。接触子22は、図示しない電源制御回路に接続されている。圧入ピン20が固定コア210に当接すると、接触子22が燃料噴射弁2のターミナル230に接触する。これにより、流量調整装置1の電源制御回路と燃料噴射弁2のコイル224とが電気的に接続される。
図4に示すように、弁部46は、排出流路44の径方向内側に環状に突出する小径部44aと、測定ピン70の径方向に環状に突出する大径部70aとからなる。排出流路44の小径部の内径は、測定ピン70の大径部70aの外径よりも小さい。したがって、排出流路44の小径部44aと測定ピン70の大径部70aとが軸方向に離間すると、排出流路44は開放され、それらが軸方向に当接すると、排出流路44は遮断される。
図1に示す位置検出部60は、測定ピン70の位置に応じた信号を出力する。位置検出手段のセンサ部としての位置検出部60は例えばリニアエンコーダである。
ピン駆動部50は、測定ピン70を駆動することにより、測定ピン70を上下方向に移動させる。
以下、制御部の各手段としての機能を順に説明する。第一に、制御部は、以下の処理を実行することにより流体供給手段として機能する。すなわち、制御部は、ピン駆動部50と協働して弁部46を開閉したり、流量調整装置1と圧力源100との間に設けられている制御弁104を制御する。このようにして制御部は、燃料噴射弁2への燃料供給を停止したり、燃料噴射弁2に供給される燃料の圧力を制御する。
第三に、制御部は、以下の処理を実行することにより流量検出手段として機能する。すなわち、まず制御部は、流量調整装置1と圧力源100との間に設けられている流量計106の測定値を取得する。そして制御部は、燃料噴射弁2の噴孔218aから流出する燃料の流量(以下、単に「流量」という。)を取得した測定値から検出する。
第四に、制御部は、燃料噴射弁2のリフト量及び流量が所定量になるように、圧入駆動部30と協働し、固定コア210をコネクタ部202に圧入する。このようにして、制御部はリフト量調整手段及び流量調整手段として機能する。尚、制御部のリフト量調整手段及び流量調整手段としての機能の詳細は後述する。
次に、燃料噴射弁2のリフト量及び流量の調整方法について説明する。以下に説明する一連の工程では、圧力源100により一定圧の燃料が流量調整装置1に常時供給されているものとする。
はじめに、図4に示すように、流量調整装置1の保持部10に燃料噴射弁2を取り付ける(図3に示すS100参照)。この燃料噴射弁2には、固定コア210、アジャスティングパイプ212、スプリング214、燃料フィルタ215が取り付けられていない。
次に、図5に示すように、燃料噴射弁2のコネクタ部202に固定コア210を仮圧入する(図3に示すS102参照)。具体的には、保持部10を高速で上昇させ、燃料噴射弁2の固定コア210に圧入ピン20を当接させる。このとき、燃料噴射弁2のターミナル230に接触子22が接触する。そして、保持部10を仮圧入位置まで高速で上昇させる。ここで、仮圧入位置とは、燃料噴射弁2の保持部10への取付具合のばらつきの許容範囲内において圧入後のリフト量が目標リフト量よりも小さくならないように設定された位置のことである。この工程において、制御部は、圧入駆動部30により保持部10を高速回転駆動部32の駆動力で駆動させる。
次に、仮圧入後の実リフト量の測定と同様にして、燃料噴射弁2の精密圧入後の実リフト量L1(図9参照)を測定する(図3に示すS108参照)。このとき、保持部10は、図6(A)に示すように圧入駆動部30の台座38に当接し、その台座38からスプリング12による弾性力以上の力を受けている。
次に、仮圧入後の実リフト量の測定と同様にして、燃料噴射弁2の荷重低減後の実リフト量L2(図9参照)を測定する(図3に示すS112参照)。
次に、荷重低減前及び荷重低減後の実リフト量の差から、リフト撓み量ΔL(L1−L2)を算出する(図3に示すS114参照)。
この工程において制御部は、流量計106からその測定値を取得しながら、流量計106から取得した測定値が補正目標流量Q2になるまで、圧入駆動部30により保持部10を低速回転駆動部34の駆動力で駆動させる。
次に、仮圧入及び精密圧入後の実リフト量の測定と同様にして、燃料噴射弁2の流量調整後の実リフト量L3(図9参照)を測定する(図3に示すS126参照)。このとき測定ピン70が降下し、弁部46が開弁することにより、燃料噴射弁2には低圧燃料が供給されている。
図3のS102〜S106の工程に係る処理を実行する制御部が請求項に記載の「リフト量調整手段」に相当し、図3のS118〜S120の工程に係る処理を実行する制御部が請求項に記載の「流量調整手段」に相当する。以上、燃料噴射弁2のリフト量及び流量の調整方法について説明した。
また、弁部材206の位置の実測値から算出した実リフト量に基づいて、コネクタ部202に固定コア210を圧入する。したがって、単に保持部10の装置本体に対する位置、すなわち送り量のみに基づいてコネクタ部202に固定コア210を圧入する場合と比較して、弁部材206のリフト量を目標リフト量に正確に調整することができる。
また、燃料噴射弁2のリフト量を調整する工程において、保持部10を低速で上昇させることにより、コネクタ部202に固定コア210を精密圧入する。したがって、保持部10を高速で上昇させて固定コア210を精密圧入する場合と比較して、燃料噴射弁2のリフト量を微妙に調整することができる。
また、燃料噴射弁2の流量調整工程において、保持部10を低速で上昇させることにより、コネクタ部202に固定コア210を圧入する。したがって、保持部10を高速で上昇させて固定コア210を圧入する場合と比較して、燃料噴射弁2の流量を微妙に調整することができる。
また、燃料噴射弁2の外部から圧入ピン20を貫通して弁部材206に当接する測定ピン70の位置を燃料噴射弁2の外部で測定することにより、弁部材206の位置を容易に測定することができる。
また、燃料噴射弁2の流量を調整する工程において、燃料噴射弁2に高圧流体を供給する前に、測定ピン70を上昇させる。この結果、測定ピン70は、圧入ピン20の中空部20a外に引き抜かれる。これにより、燃料供給路の流路抵抗が低くなるため、燃料噴射弁2に高圧燃料を速やかに供給することができる。
また、測定ピン70の大径部70aと排出流路44の小径部44aとから弁部材206を構成する。これにより、流量調整装置1の構成が簡素化される。
上記一実施形態では、燃料噴射弁2の流量調整装置1について説明した。しかし本発明は、燃料以外の流体を噴射する流体噴射弁の流量調整装置にも適用可能である。
また上記一実施形態では、保持部10が圧入ピン20に対して上下方向に相対移動するものとして説明した。しかし、保持部10を圧入ピン20に対して上下方向以外の方向に相対移動させることも可能である。
また上記一実施形態では、燃料噴射弁2のリフト量及び流量を調整する一連の工程において、流量調整装置1は一定圧の燃料を圧力源100から常時供給されるものとして説明した。しかし、燃料噴射弁2のリフト量調整工程において、燃料噴射弁2への燃料供給を停止することも可能である。
また、保持部10を駆動することにより、圧入ピン20に対し保持部10を相対移動させたが、圧入ピン20を駆動してもよい。
また、固定コア210をコネクタ部202に圧入したが、圧入部材は固定コア210とは別の部材でもよい。
また、圧入ピン20の中空部20aを燃料の供給路の一部としたが、圧入ピン20以外の部材で燃料の供給路を形成してもよい。
また、排出流路44に弁部46を設けたが、流量調整装置1は弁部46を備えなくてもよい。例えば、流量調整装置1と油タンク102との間に電磁弁を配置し、この電磁弁の開閉を制御してもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
Claims (8)
- 噴孔を開閉する弁部材と、前記弁部材を往復移動可能に収容するコネクタ部と、前記弁部材とともに往復移動する可動コアと、前記コネクタ部の前記可動コアを挟んで前記噴孔と反対側に圧入され、前記可動コアのリフト時に前記可動コアと当接して前記弁部材のリフト量を規定する圧入部材と、前記可動コアを往復駆動する電磁駆動部とを有する流体噴射弁の流量調整装置であって、
前記流体噴射弁を保持する保持部と、
前記流体噴射弁に流体を供給する流体供給手段と、
前記保持部に対し相対移動して前記圧入部材に当接することにより、前記コネクタ部に前記圧入部材を圧入する圧入ピンと、
前記保持部を前記圧入ピンに対して相対駆動する圧入駆動部と、
前記弁部材の位置を検出する位置検出手段と、
前記噴孔から流出する流体の流量を検出する流量検出手段と、
前記圧入駆動部により前記保持部を相対駆動させ、前記電磁駆動部により前記弁部材が前記噴孔を開放する開弁状態と前記弁部材が前記噴孔を閉塞する閉弁状態とに前記流体噴射弁を遷移させ、前記位置検出手段により前記開弁状態及び前記閉弁状態における前記弁部材の位置を検出させ、検出した前記弁部材の位置から前記弁部材の実リフト量を算出することにより、前記実リフト量に基づいて前記弁部材のリフト量が目標リフト量になるように前記コネクタ部に前記圧入部材を圧入するリフト量調整手段と、
前記リフト量調整手段により前記圧入部材が圧入された前記流体噴射弁に対し、前記流体供給手段により流体を供給させ、前記電磁駆動部により前記流体噴射弁を前記開弁状態に遷移させ、前記圧入駆動部により前記保持部を相対駆動させながら、前記開弁状態に遷移した前記流体噴射弁の前記噴孔から流出する流体の流量を前記流量検出手段に検出させることにより、前記流量検出手段に検出させた検出流量が目標流量になるまで前記コネクタ部に前記圧入部材を圧入する流量調整手段と、
を備える流量調整装置。 - 前記リフト量調整手段は、前記弁部材のリフト量が前記目標リフト量より大きくなる仮圧入位置まで前記圧入駆動部により前記保持部を相対駆動させることにより、前記コネクタ部に前記圧入部材を仮圧入し、仮圧入後の前記実リフト量を算出し、前記目標リフト量と仮圧入後の前記実リフト量との差に応じた距離、前記圧入駆動部により前記保持部を相対駆動させることにより、前記弁部材のリフト量が前記目標リフト量になるように前記コネクタ部に前記圧入部材を精密圧入する、
請求項1に記載の流量調整装置。 - 前記リフト量調整手段は、前記圧入駆動部により前記保持部を高速で相対駆動させることにより前記コネクタ部に前記圧入部材を仮圧入し、前記圧入駆動部により前記保持部を低速で相対駆動させることにより前記コネクタ部に前記圧入部材を精密圧入し、
前記流量調整手段は、前記圧入駆動部により前記保持部を低速で相対駆動させることにより、前記検出流量が前記目標流量になるまで前記コネクタ部に前記圧入部材を圧入する、
請求項2に記載の流量調整装置。 - 前記リフト量調整手段は、前記流体供給手段により、前記流量調整手段が前記流体噴射弁に供給する流体よりも低圧の流体を前記流体噴射弁に供給させ、前記低圧流体が供給された前記流体噴射弁の前記コネクタ部に前記圧入部材を圧入する、請求項1から3のいずれか一項に記載の流量調整装置。
- 前記圧入ピンは、前記弁部材を露出させる中空部を有し、
前記位置検出手段は、前記弁部材の前記中空部に露出する部分の位置を検出する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の流量調整装置。 - 前記位置検出手段は、前記流体噴射弁の外部から前記圧入ピンの前記中空部を貫通し前記弁部材に当接する測定ピンと、前記弁部材とともに往復移動する前記測定ピンの位置に相関する信号を出力するセンサ部とを有する、請求項5に記載の流量調整装置。
- 前記測定ピンを前記保持部に対し相対駆動するピン駆動部をさらに備え、
前記中空部は、前記流体供給手段により供給される流体の流路を構成し、
前記流量調整手段は、前記ピン駆動部により前記測定ピンを駆動させて前記測定ピンを前記中空部外に引き抜いた後に、前記流体供給手段により前記流体噴射弁に流体を供給させる、
請求項6に記載の流量調整装置。 - 前記流体供給手段は、前記流体噴射弁に接続される供給流路と、前記供給流路から分岐する排出流路と、前記排出流路に設けられ前記排出流路を開放又は遮断するバルブとを有し、
前記測定ピンは、前記排出流路の少なくとも一部を貫通し、径方向外側に突出し前記排出流路を軸方向に往復移動する大径部を有し、
前記バルブは、前記測定ピンの前記大径部と前記排出流路の径方向内側に突出する小径部とからなり、前記弁部材に前記測定ピンを当接させた状態において前記大径部から軸方向に離間して前記排出流路を開放し、前記中空部から前記弁部材を抜いた状態において前記大径部と軸方向に当接して前記排出流路を遮断する、
請求項6又は7に記載の流量調整装置。
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