JP4538070B2 - 音響装置 - Google Patents

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    • H04R25/70Adaptation of deaf aid to hearing loss, e.g. initial electronic fitting

Description

本発明はイヤホン又はヘッドホンによって音源信号が供給される受聴者の外耳道の共鳴特性を測定・補正する音響装置に関する。
イヤホンまたはヘッドホン(以下、両者をイヤホンと総称する)で音楽を受聴する際、イヤホンで外耳道が密閉され、鼓膜からの反射波との干渉により共鳴現象が生じ、共鳴周波数の音が強調され、不自然な音が受聴されることがある。そこで、外耳道内の共鳴特性を測定し、音楽を受聴する際は受聴者の外耳道における共鳴特性を補正することが望ましい。
外耳道の形状や音響伝達特性、鼓膜の物性や音響伝達特性には個人差がある。さらに、イヤホンの種類やイヤホンの装着状態によって受聴者の外耳道の共鳴特性は様々である。そのため、正確に外耳道の共鳴特性を測定・補正するためには、受聴者毎、イヤホン毎に応じた外耳道の共鳴特性の測定・補正が必要となる。
特許文献1には、外耳道の共振特性に伴うイヤホンの振動板の振動を抑制するイヤホン用ダンピング制御回路が記載されている。外耳道の音響利得が最大となる3〜4kHzの周波数領域でダンピングファクタが大きくなり、外耳道の共振特性に伴うイヤホンの振動板の有害な振動が効果的に制動される。
特開2004−320098号公報(段落0013)
特許文献1に記載イヤホン用ダンピング装置では、外耳道の音響利得が最大となる3〜4kHzの周波数領域でダンピングファクタが大きくなり、外耳道の共振特性に伴うイヤホンの振動板の有害な振動が効果的に制動される。しかしながら、イヤホン毎の固有振動特性に応じた受聴者の外耳道の共鳴特性の測定・補正を行うことができない。
本発明は、前記のような問題に鑑みなされたもので、測定信号をイヤホン毎の振動板の固有振動に応じて生成することにより、正確に受聴者の外耳道の共鳴特性を測定・補正することができる音響装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る音響装置は、単位パルスを生成する測定信号生成部と、振動板を備え、自由音場において前記単位パルスを音響再生して電気信号から音響信号に変換し、前記単位パルスを音響再生することによって生じる前記振動板の固有振動を電気信号である固有振動信号に変換する電気/音響変換部と、前記固有振動信号を解析することによって前記電気/音響変換部の固有振動特性の特徴的な物理量を取得する応答信号解析部と、前記電気/音響変換部が電気信号から音響信号に変換する第1の状態と、音響信号から電気信号に変換する第2の状態とを切り替える制御をする制御部と、前記第1の状態では前記測定信号生成部を、前記第2の状態では前記応答信号解析部を前記電気/音響変換部に接続するスイッチ部とを備え、前記測定信号生成部は、前記固有振動特性の特徴的な物理量に基づいて、前記振動板の固有振動を制動する制動信号を生成する制動信号生成部と、前記単位パルスと前記制動信号を加算して測定信号を出力する加算部を備え、前記電気/音響変換部は、測定対象に前記測定信号を音響再生して電気信号から音響信号に変換し、前記測定対象からの前記音響再生された測定信号の反射音を収音して音響信号から電気信号である応答信号に変換し、前記応答信号解析部は、前記応答信号から前記測定対象の音響特性の特徴的な物理量を取得する。
本発明の一実施形態に係る音響特性測定方法は、単位パルスを生成するステップと、自由音場において電気/音響変換部によって前記単位パルスを音響再生して電気信号から音響信号に変換し、前記単位パルスを音響再生することによって生じる前記電気/音響変換部の振動板の固有振動を電気信号である固有振動信号に変換するステップと、前記固有振動信号を解析することによって前記電気/音響変換部の固有振動特性の特徴的な物理量を取得するステップと、前記電気/音響変換部が電気信号から音響信号に変換する第1の状態と、音響信号から電気信号に変換する第2の状態とを切り替える制御をするステップと、前記第1の状態では前記測定信号生成部を、前記第2の状態では前記応答信号解析部を前記電気/音響変換部に接続するステップとを備える。
本発明に係る音響装置によれば、測定信号をイヤホン毎の振動板の固有振動に応じて生成することにより、正確に受聴者の外耳道の共鳴特性を測定・補正することができる。
以下、図面を参照して本発明による音響装置の実施の形態を説明する。
第1の実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る外耳道における共鳴特性の測定及び補正の概念を示す図である。
測定対象である受聴者60は、外耳道61の一端に鼓膜62を有する。電気/音響変換部20は、受聴者60の外耳道61のもう一端を密閉する。ここで、イヤホン、ヘッドホン等の電気信号から音響信号に、又は、音響信号から電気信号に変換する機能を有する装置を電気/音響変換部20と総称する。
電気/音響変換部20から出力された音響信号は、受聴者60の外耳道61を通って鼓膜62に達するが、受聴者60の鼓膜62からの反射音との干渉により共鳴現象が生じる。電気/音響変換部20と電気的に接続された音響装置100は、この際の受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量を取得する。音響装置100によって取得された共鳴特性の特徴的な物理量に基づいて、受聴者60に提供される音源信号を所定の特性に補正する(共鳴周波数における利得を下げる)ことが可能になる。左右の外耳道の特性はそれぞれ異なるため、左右それぞれの電気/音響変換部20が音響装置100に接続され、左右それぞれの外耳道の共鳴特性の特徴的な物理量が取得される。
音響装置100は、図示されないパーソナルコンピュータや音楽プレーヤ、光ディスク再生装置等、音声再生機能を有する外部装置に接続されるか、あるいは音声再生機能を有する装置内に内蔵されてもよい。
図2は、第1の実施形態に係る音響装置100の構成例を示すブロック図である。音響装置100は、測定信号生成部110、スイッチ部120、応答信号解析部130及び制御部140を備える。音響装置100は、電気/音響変換部20と電気的に接続されているか、あるいは一体に設けられている。
補正係数生成部30は、受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量に基づいて補正フィルタ40の補正係数を生成して設定する。音声機能を有する装置から出力される音源信号は、補正フィルタ40によって補正される。
図2では、音響装置100の外部に補正係数生成部30、補正フィルタ40が設けられているが、これらは音響装置100と一体に設けられてもよい。あるいは、補正係数生成部30と補正フィルタ40は、音声再生機能を有する装置に内蔵されてもよい。
音響装置100が音声再生機能を有する装置に内蔵される場合は、補正係数生成部30と補正フィルタ40もまた同様に内蔵されてもよい。音響装置100が外部の音声再生機能を有する装置に接続されている場合には、補正係数生成部30と補正フィルタ40は、当該外部の音声再生機能を有する装置に内蔵されてもよいが、音響装置100と共に備えられてもよい。
スイッチ50は、音源信号をそのまま出力するのか(非補正モード)、あるいは補正フィルタ40によって補正された音源信号を出力するのか(補正モード)を切り替え設定する。スイッチ50の切り替えは、例えば音声再生機能を有する装置の制御部(プロセッサ)から送られる制御信号によって制御される。音響装置100が音声再生機能を有する装置に内蔵される場合や、音響装置100が補正フィルタ40と一体に設置される場合には、音響装置100の制御部140から制御信号が送信されてもよい。
電気/音響変換部20は図1に示すように受聴者60の外耳道61の端部を塞ぐイヤホンやヘッドホンであり、電気信号を音響信号に変換して受聴者60の外耳道61内に出力する。また電気/音響変換部20は、受聴者60の外耳道61内に出力され、受聴者60の鼓膜62によって反射された音響信号を電気信号に変換する。
制御部140はメモリを備えているか又は図示しないメモリにアクセス可能であり、当該メモリに記憶されたプログラムを実行することで、音響装置100の全体の動作を制御する。制御部140は、前記電気/音響変換部20が電気信号から音響信号に変換する第1の状態と音響信号から電気信号に変換する第2の状態を切り替える設定をすることができる。
図2では、制御部140は音響装置100内に設けられているが、制御部140は音響装置100の外部に備えられてもよい。例えば、音響装置100が外部の音声再生機能を有する装置に接続されている場合には、音声再生機能を有する装置の制御部(プロセッサ)が制御部140として動作してもよい。音声再生機能を有する装置が有する制御部が所定のプログラムを実行することで、音響装置100の動作が制御される。あるいは、音響装置100内に設けられた制御部140の動作が、音声再生機能を有する装置の制御部によって制御されてもよい。
測定信号生成部110は、単位パルス生成部111、制動信号生成部112及び加算部113を含む。パルス生成部111は、受聴者60の外耳道61の共鳴特性を測定するための単位パルスを生成する。制動信号生成部112は、電気/音響変換部20の振動板に生じる固有振動を制動するための信号を生成する。パルス生成部111及び制動信号生成部112の出力は加算部113によって加算されて測定信号として出力される。
スイッチ部120は、電気/音響変換部20の入出力信号を切り替える。
第1の状態に設定されると、スイッチ部120は測定信号生成部110側に切り替えられる。測定信号生成部110の出力は、スイッチ部120を介して電気/音響変換部20と接続される。測定信号生成部110から出力される測定信号は電気/音響変換部20によって電気信号から音響信号に変換されて、受聴者60の外耳道61に出力される。
受聴者60の外耳道61に入力された音響信号に変換された測定信号は、受聴者60の受聴者60の鼓膜62によって反射される。反射された音響信号に変換された測定信号は、電気/音響変換部20によって音響信号から電気信号である応答信号に変換される。この応答信号を受信するため、スイッチ部120は第2の状態に設定される。
一方、第2の状態に設定されると、スイッチ部120は応答信号解析部130の入力側に切り替えられる。電気/音響変換部20は、音響信号に変換された測定信号の、測定対象である受聴者60の鼓膜62からの反射音を収音して音響信号から電気信号に変換し、応答信号解析部130に出力する。応答信号解析部130は、応答信号から受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量を取得する。すなわち応答信号解析部130は、応答信号を時間領域から周波数領域に変換し、受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量であるピーク周波数及びピーク周波数における振幅等を抽出する。応答信号解析部130が取得した受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量は、補正係数生成部30に出力される。補正係数生成部30は、応答信号解析部130が取得した受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量に基づき、補正フィルタ40の補正係数を生成する。補正フィルタ40は、受聴者60の外耳道61の共鳴周波数における利得を下げることにより音源信号の周波数特性をフラットな状態に補正する。補正フィルタ40の演算は、パラメトリックイコライザやグラフィックイコライザを用いても行うことができる。
スイッチ50が補正フィルタ40の出力側に切り替えられ、補正モードに設定されている場合には、受聴者60の外耳道61の共鳴特性に応じて補正された音源信号が電気/音響変換部20に入力される。すなわち、補正フィルタ40は、共鳴周波数における利得を下げることにより音源信号の周波数特性をフラットな状態に補正する。
以上のように、電気/音響変換部20は、スイッチ部120からの電気信号を音響信号に変換して測定対象に出力するイヤホンとして機能(第1の状態)と、測定対象から入力した音響信号を電気信号に変換してスイッチ部120に出力するマイクとしての機能(第2の状態)も果たす。すなわち、第1の状態ではイヤホン機能を利用して測定信号を受聴者60の外耳道61に向けて音響再生し、第2の状態ではマイク機能を利用して音響信号に変換された測定信号の受聴者60の鼓膜62からの反射音を収音する。
電気/音響変換部20がイヤホンとして機能する場合、電気/音響変換部20が有する振動板の振動によって、電気信号を音響信号に変換する。この際、振動板には固有振動が生じるため、音響信号が受聴者60の外耳道61に出力した後も振動が残存する。受聴者60の外耳道61の共鳴特性を測定する場合に、第1の状態において測定信号を出力した際に生じた固有振動が残存すると、第2の状態において応答信号を受信する際に、当該固有振動が応答信号に対して雑音成分となり、応答信号の解析が困難になる。従ってこの振動板の固有振動を制動する必要がある。
次に、制動信号生成部112が生成する制動信号による固有振動の制動について説明する。
図3は、単位パルス生成部111が測定信号として生成する単位パルスの一例を示す図である。図3では、時間T=0において振幅1のパルスが生じている。単位パルスに対して制動信号生成部112が生成する制動信号を付加しない場合の、応答信号の一例を図4に示す。図4は、電気/音響変換部20を自由音場(又は反射が充分小さい空間、以降反射が充分小さい空間を含め自由音場として説明する)に配置した場合の応答信号の測定結果を示す。電気/音響変換部20は自由音場に配置されているため、信号が観測されないはずである。しかしながら、図4に示すように、振動板の固有振動によって応答信号には固有振動の信号成分が存在している。この固有振動を制動するため、本実施形態においては、制動信号生成部112によって制動信号を生成する。
本実施形態による制動信号生成部112は、固有振動を制動するため、電気/音響変換部20の自由音場における音響特性を利用する。図5は、電気/音響変換部20の自由音場における音響特性の一例を示す図である。
図5に示される音響特性は、電気/音響変換部20を自由音場に配置して予め測定されたものである。この音響特性は、周波数fpにおいてピークを有し、周波数fpが固有振動の周波数である。制動信号生成部112はこの音響特性の逆特性(あるいは概逆特性)を持つ制動信号を生成し、加算部113に出力する。加算部113は、パルス生成部111が生成した単位パルスに制動信号を加え、測定信号としてスイッチ部120に出力する。
図6は、加算部113から出力される、単位パルスに制動信号が付加された測定信号の一例を示す図である。図6に示す例では、T=0における振幅1のパルスに加え、単位パルスに対する制動信号の波形が示されている。この制動信号は、図5に示す音響特性とは逆の特性を示すように生成されている。このような測定信号を電気/音響変換部20に出力することで、図4に示すような固有振動が制動される。
単位パルスに対して制動信号が付加された場合の、応答信号の一例を図7に示す。図7は、電気/音響変換部20を自由音場に配置した場合の応答信号の測定結果を示す。図7に示すように、振動板の固有振動が制動されるため、固有振動による信号は観測されない。
制動信号生成部112が生成する制動信号の一例について説明する。電気/音響変換部20の固有振動に大きな影響を与えるのは、図5に示す音響特性のピーク周波数fpの周波数成分であると考えられる。ピーク周波数fpの逆数Tp=1/fpは、時間の次元を有する。制動信号生成部112は、パルス生成部111が生成する単位パルスに対して時間Tpの1/2だけ遅延して、ピーク周波数の強度から算出される振幅を有するパルスを生成する。測定信号生成部110のサンプリング間隔が粗く、時間Tp/2が表現しきれない場合は、アップサンプリング後にパルス生成部111が生成する単位パルスに対して時間Tpの1/2だけ遅延して、ピーク周波数の強度から算出される振幅を有するパルスを生成し、ローパスフィルタ処理後、ダウンサンプリングを行う。すなわち、時間Tp/2を表現できる程度にサンプリング間隔を細かくし(アップサンプリング)、時間Tpにパルスを立て、デシメーションフィルタ等によって元のサンプリング間隔に戻した波形を得る。このように生成された制動信号が加算部113に出力される。加算部113は、パルス生成部111が生成した単位パルスに制動信号を加え、測定信号としてスイッチ部120に出力する。
次に、第1の実施形態による受聴者60の外耳道61の共鳴特性の測定処理について説明する。図8は、受聴者60の外耳道61の共鳴特性の測定処理を示すフローチャートである。
受聴者60の外耳道61の共鳴特性の測定時は、電気/音響変換部20が受聴者60の外耳道61に装着され(ブロックB110)、測定信号を出力するイヤホンとして電気/音響変換部20を機能させるため、制御部140はスイッチ部120を測定信号生成部110側に切り替え、スイッチ部120を第1の状態に設定する(ブロックB111)。測定信号生成部110の出力は、スイッチ部120を介して電気/音響変換部20と接続される。
測定信号生成部110から出力された測定信号は、電気/音響変換部20によって電気信号から音響信号に変換されて受聴者60の外耳道61に出力される(ブロックB112)。測定信号生成部110から出力される測定信号は、パルス生成部111が生成した単位パルスと制動信号生成部112が生成した制動信号とが加算部113によって加算された電気信号である。
続いて制御部140は、音響信号に変換された測定信号の受聴者60の鼓膜62からの反射音を収音するためのマイクとして電気/音響変換部20を機能させるため、スイッチ部120を応答信号解析部130の入力側に切り替え、スイッチ部120を第2の状態に設定する(ブロックB113)。
音響信号に変換された測定信号の受聴者60の鼓膜62からの反射音は、電気/音響変換部20によって音響信号から電気信号である応答信号に変換される(ブロックB114)。応答信号は、応答信号解析部130に出力される。
次に、制御部140は必要な回数の測定が終了したか否かを判断する(ブロックB115)。例えば、複数回の測定を行うよう設定されていて、その測定が終了していない場合(ブロックB115でNo)、ブロックB111に戻り、必要な回数の測定を繰り返す。イヤホンをマイクとして使用する場合、マイク機能の感度が低さによる応答信号のレベルが低下のため、雑音に埋もれてしまい、所定の測定をできないことがある。このため、第1の状態と第2の状態を複数回切り換えて、応答信号の受信を複数回繰り返し、その平均を取ることにより信号対雑音比を改善するよう予め設定しておくことができる。
測定が終了すると(ブロックB115でYes)、応答信号解析部130は応答信号の複数回の測定結果を平均化する(ブロックB116)。1回の応答信号のみを受信した場合(ブロックB111からB114までの処理を1回しか行っていない場合)、ブロックB116の処理は省略できる。
応答信号解析部130は、受信した応答信号から受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量を取得する(ブロックB117)。以上のようにして、受聴者60の外耳道61の共鳴特性を補正するために必要な情報が取得される。
応答信号解析部130が取得した受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量は、補正係数生成部30に出力される。補正係数生成部30は、応答信号解析部130が取得した受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的物理量に基づき、補正フィルタ40の補正係数を生成して設定する。
受聴者60の外耳道61の共鳴特性の補正時には、音声再生機能を有する装置から出力される音源信号は、補正フィルタ40によって受聴者60の外耳道61の共鳴特性に基づいて補正される。補正フィルタ40は、補正係数生成部30が生成して設定した補正係数に基づいて音源信号の共鳴周波数における利得を下げることにより、周波数特性がフラットな状態に補正する。補正フィルタ40によってフィルタリングが施された音源信号は、スイッチ部120が第1の状態(イヤホン状態)に設定されているため、共鳴特性補正後の音源信号が電気/音響変換部20によって電気信号から音響信号に変換され受聴者60の外耳道61に出力される。
このように、本実施形態によれば、スイッチ部120を介して測定信号を電気/音響変換部20へ供給して外耳道61に出力する。この測定信号には制動信号生成部112が生成した制動信号が加えられているため、電気/音響変換部20の振動板に生じる固有振動の影響を打ち消すことができる。制動信号生成部112は、電気/音響変換部20の固有振動特性の逆特性を示す制動信号を生成する。受聴者60の鼓膜62で反射した音響信号に変換された測定信号の反射音は電気/音響変換部20によって音響信号から電気信号である応答信号に変換される。応答信号は応答信号解析部130に供給され、応答信号解析部130は受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量を取得する。補正係数生成部30は、共鳴特性をキャンセルするような補正フィルタ40の補正係数を生成する。
従って、任意のイヤホンにおける振動板の固有振動の影響を打ち消すことにより、正確に各受聴者の外耳道の共鳴特性を測定することが可能となり、測定結果に基づいてピークを打ち消すようなフィルタを作成し、受聴者の外耳道で共鳴現象が発生したとしても、共鳴特性のピークが打ち消され、不自然な音が受聴されることが防止される。しかも、マイクをイヤホンに取り付けていないので、イヤホンが大型化することや、構造が複雑になってしまうこともない。イヤホン付近にマイクを設置することなく簡単な構成で各受聴者の外耳道の共鳴現象を正確に打ち消すことができる。さらに、個人別にイヤホンと外耳道で生じる共鳴特性を測定し、その特性に合わせた補正フィルタを作成することにより、個人別の外耳道と鼓膜の特性や挿入状態によって異なる外耳道共鳴特性をキャンセルできる。左右両方の特性を取得して、それぞれの特性毎に補正フィルタを作成することにより、左右の耳で異なる外耳道共鳴特性をキャンセルできる。
以下、本発明の他の実施形態を説明する。他の実施形態の説明において第1の実施形態と同一部分は同一参照数字を付してその詳細な説明は省略する。
第2の実施形態
図9は、第2の実施形態に係る音響装置200の構成例を示すブロック図である。音響装置200は、第1の実施形態における音響装置100に相当する。第1の実施形態と同様に、音響装置200は、測定信号生成部210、スイッチ部220、応答信号解析部230及び制御部240を備える。音響装置200は、電気/音響変換部20と電気的に接続されているか、あるいは一体に設けられている。また本実施形態に係る音響装置200は、スイッチ部314を更に備えている。
補正係数生成部30は、受聴者60の外耳道61の共鳴特性に基づいて補正フィルタ40の補正係数を生成して設定する。音声再生機能を有する装置から出力される音源信号は、補正フィルタ40によって補正される。
図9では、音響装置200の外部に補正係数生成部30、補正フィルタ40が設けられているが、これらは音響装置200と一体に設けられてもよい。あるいは、補正係数生成部30と補正フィルタ40は、音声再生機能を有する装置に内蔵されてもよい。
音響装置200が音声再生機能を有する装置に内蔵される場合は、補正係数生成部30と補正フィルタ40もまた同様に内蔵されてもよい。音響装置200が外部の音声再生機能を有する装置に接続されている場合には、補正係数生成部30と補正フィルタ40は、当該外部の音声再生機能を有する装置に内蔵されてもよいが、音響装置200と共に備えられてもよい。
スイッチ50は、音源信号をそのまま出力するのか(非補正モード)、あるいは補正フィルタ40によって補正された音源信号を出力するのか(補正モード)を切り替え設定する。スイッチ50の切り替えは、例えば音声再生機能を有する装置の制御部(プロセッサ)から送られる制御信号によって制御される。音響装置200が音声再生機能を有する装置に内蔵される場合や、音響装置200が補正フィルタ40と一体に設置される場合には、音響装置200の制御部240から制御信号が送信されてもよい。
電気/音響変換部20は第1の実施形態と同様にイヤホンやヘッドホン等を含み、電気信号と音響信号の変換機能を有する。外耳道特性測定モードが設定されている場合、電気/音響変換部20は、電気信号から音響信号に変換して受聴者60の外耳道61内に出力し、受聴者60の鼓膜62で反射された音響信号を電気信号に変換する。また、固有振動測定モードが設定されている場合は、電気/音響変換部20は受聴者60の外耳道61には装着されず、自由音場に置かれる。この場合は、測定信号によって生じる振動板の固有振動が観測される。
制御部240はメモリを備えているか又は図示しないメモリにアクセス可能であり、当該メモリに記憶されたプログラムを実行することで、音響装置200の全体の動作を制御する。本実施形態に係る制御部240は、受聴者60の外耳道61の共鳴特性を測定する外耳道共鳴特性測定モードと、電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性を測定する固有振動測定モードの2つの測定モードを設定することができる。また、電気信号から音響信号に変換する第1の状態と音響信号から電気信号に変換する第2の状態のいずれかに前記電気/音響変換部20を切り替える設定をすることができる。
図9では、制御部240は音響装置200内に設けられているが、制御部240は音響装置200の外部に備えられてもよい。例えば、音響装置200が外部の音声再生機能を有する装置に接続されている場合には、音声再生機能を有する装置の制御部(プロセッサ)が制御部240として動作してもよい。音声再生機能を有する装置が有する制御部が所定のプログラムを実行することで、音響装置200の動作が制御される。あるいは、音響装置200内に設けられた制御部240の動作が、音声再生機能を有する装置の制御部によって制御されてもよい。
測定信号生成部210は、単位パルス生成部211、制動信号生成部214、加算部213及びスイッチ部314を含む。単位パルス生成部211は、受聴者60の外耳道61の共鳴特性を測定するための単位パルスを生成する。制動信号生成部214は、電気/音響変換部20の振動板に生じる固有振動を制動するための制動信号を生成する。
外耳道の共鳴特性の測定時は、スイッチ部314は加算部213の出力に接続される。単位パルス生成部211及び制動信号生成部214の出力は加算部213によって加算されて測定信号として出力される。
一方、固有振動測定モードが設定されている場合は、スイッチ314が単位パルス生成部211の出力に接続される。単位パルス生成部211が生成する単位パルスは、そのままスイッチ部220に出力される。
スイッチ部220は、電気/音響変換部20へ入出力される信号を切り替える。
第1の状態に設定されると、スイッチ部220は測定信号生成部210側に切り替えられる。測定信号生成部210の出力は、スイッチ部220を介して電気/音響変換部20と接続される。測定信号生成部210から出力される測定信号は電気/音響変換部20によって音響信号に変換されて、受聴者60の外耳道61に出力される。
一方、第2の状態に設定されると、スイッチ部220は応答信号解析部230の入力側に切り替えられる。電気/音響変換部20は、スイッチ部220を介して応答信号解析部230と接続される。電気/音響変換部20は、音響信号に変換された測定信号の、測定対象である受聴者60の鼓膜62からの反射音を収音して音響信号から電気信号に変換し、応答信号解析部230に出力する。
応答信号解析部230は、応答信号から受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量を取得する。すなわち応答信号解析部230は、応答信号を時間領域から周波数領域に変換し、受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量であるピーク周波数及びピーク周波数における振幅等を抽出する。
本実施形態では、応答信号解析部230が取得した受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量を測定信号生成部210に出力するのか、それとも補正係数生成部30へ出力するのかを切り替えることができる。
応答信号解析部230の出力が補正係数生成部30に出力される場合の動作は、第1の実施形態の場合と同様である。補正係数生成部30は、応答信号解析部230が取得した受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量に基づき、補正フィルタ40の補正係数を生成する。補正フィルタ40は、共鳴周波数の利得を下げて音源信号の周波数特性をフラットな状態に補正する。補正フィルタ40の演算は、パラメトリックイコライザやグラフィックイコライザを用いても行うことができる。この受聴者60の外耳道61の共鳴特性取得処理は、第1の実施形態と同様に図8のフローチャートで示される。
一方、応答信号解析部230が測定信号生成部210に出力される制動信号を測定する場合は、制動信号生成部214は応答信号解析部230が取得した制動信号特性の特徴的な物理量に基づいて、制動信号を生成する。応答信号解析部230から制動信号生成部214へは、例えば図5に示されるような制動信号特性が出力される。制動信号生成部212はこの制動信号特性の逆特性あるいは概逆特性を持つ制動信号を生成し、加算部213に出力する。加算部213は、単位パルス生成部211が生成した単位パルスに制動信号を加え、測定信号としてスイッチ部314に出力する。従って、図6に示されるような測定信号がパルス生成部211から出力する。
制動信号生成部212は、例えば第1の実施形態と同様に、単位パルス生成部211が生成する単位パルスに対してピーク周波数fpの逆数Tp=1/fpの1/2だけ遅延して、ピーク周波数の強度から算出される振幅を有するパルスを生成する。測定信号生成部210のサンプリング間隔が粗く、時間Tp/2が表現しきれない場合は、アップサンプリング後にパルス生成部211が生成する単位パルスに対して時間Tpの1/2だけ遅延して、ピーク周波数の強度から算出される振幅を有するパルスを生成し、ローパスフィルタ処理後、ダウンサンプリングを行う。すなわち、時間Tp/2を表現できる程度にサンプリング間隔を細かくし(アップサンプリング)、時間Tpにパルスを立て、デシメーションフィルタ等によって元のサンプリング間隔に戻した波形を得る。このように生成された制動信号が加算部213に出力される。加算部213は、パルス生成部211が生成した単位パルスに制動信号を加え、測定信号としてスイッチ部220に出力する。
このように、第2の実施形態によれば、受聴者60の外耳道61の共鳴特性を測定するのか、電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性を測定するのかをスイッチ314によって切り替えることができる。また、測定された電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性に基づいて制動信号を生成することもできる。従って、電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性を予め測定しておく必要がなくなり、任意のイヤホンで正確に受聴者60の外耳道61の共鳴特性を測定することができる。
次に、第2の実施形態による電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性測定処理について説明する。図10は、電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性測定処理を示すフローチャートである。
固有振動特性の測定は、電気/音響変換部20の初回の使用に際して実行されてもよく、あるいは電気/音響変換部20を使用する都度行われてもよい。また、受聴者60の指示に応じて行われてもよい。固有振動の特性の測定をいつ実行するかは、予め設定されていてもよい。
電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の測定時は、制御部240はまず、固有振動特性を測定する必要があるか否かを判断する(ブロックB210)。
既に電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性が取得されている場合等、固有振動特性の測定が必要ない場合には(ブロックB210でNo)制御部240は本処理を終了し、受聴者60の外耳道61の共鳴特性を測定する処理に移行する。
電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の測定を行う場合(ブロックB210でYes)、電気/音響変換部20を自由音場に配置する必要がある(ブロックB211)。制御部240は、例えば音声再生機能を有する装置が有するディスプレイにメッセージを表示するなどして、受聴者60に電気/音響変換部20を耳からはずして反射のない状態にするよう促してもよい。
続いて、制御部240は固有振動測定モードを設定する。スイッチ214は単位パルス生成部211の出力側に切り替えられる。
次に、測定信号を出力するイヤホンとして電気/音響変換部20を機能させるため、制御部240はスイッチ部220を測定信号生成部210側に切り替え、スイッチ部220を第1の状態に設定する(ブロックB212)。測定信号生成部210の出力は、スイッチ部220を介して電気/音響変換部20と接続される。
測定信号生成部210からは単位パルス生成部211が生成した単位パルスが、電気/音響変換部20に出力され音響信号に変換される(ブロックB213)。制御部240は、電気/音響変換部20をマイクとして機能させるため、スイッチ部220を応答信号解析部230の入力側に切り替え、スイッチ部220を第2の状態に設定する(ブロックB214)。
単位パルスによって電気/音響変換部20の振動板に生じた固有振動は、電気/音響変換部20によって電気信号である固有振動信号(応答信号)に変換される(ブロックB215)。応答信号は、応答信号解析部230に出力される。
次に、制御部240は必要な回数の測定が終了したか否かを判断する(ブロックB216)。例えば、複数回の測定を行うよう設定されていて、その測定が終了していない場合(ブロックB216でNo)、ブロックB212に戻り、必要な回数の測定を繰り返す。イヤホンをマイクとして使用する場合、マイク機能の感度が低さによる応答信号のレベルが低下のため、雑音に埋もれてしまい、共鳴特性を測定できないことがある。このため、第1の状態と第2の状態を複数回切り換えて、応答信号の受信を複数回繰り返すよう予め設定しておくことができる。
測定が終了すると(ブロックB216でYes)、応答信号解析部230は応答信号の複数回の測定結果を平均化する(ブロックB217)。1回の応答信号のみを受信した場合は、ブロックB217の処理は省略できる。
応答信号解析部230は、受信した応答信号から電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の特徴的な物理量を取得する(ブロックB218)。応答信号解析部230が取得した電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の特徴的な物理量は、制動信号生成部214に送られる。
以上のようにして、電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の特徴的な物理量が取得される。制動信号生成部214は、取得された電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の特徴的な物理量に基づいて制動信号を生成できるようになる。
受聴者60の外耳道61の共鳴特性の測定時は、スイッチ部314は加算部213の出力側に切り替えられ、図8のフローチャートと同様に処理が行われ、受聴者60受聴者60の外耳道61の共鳴特性が測定される。
受聴者60の外耳道61の共鳴特性の補正時は、音声再生機能を有する装置から出力される音源信号は、補正フィルタ40によって補正される。補正フィルタ40は、補正係数生成部30が生成して設定した補正係数に基づいて音源信号の共鳴周波数の利得を下げ、周波数特性をフラットの状態に補正する。補正フィルタ40によってフィルタリングが施された音源信号は、スイッチ50及を介して電気/音響変換部20に供給される。このときスイッチ部220は第1の状態(イヤホン状態)に設定されており、受聴者60の外耳道61の共鳴特性の補正後の音源信号が電気/音響変換部20によって電気信号から音響信号に変換され受聴者60の外耳道61に出力される。
このように本実施形態によれば、固有振動測定時は、スイッチ部314、スイッチ部220を介して単位パルスを電気/音響変換部20へ出力させる。この単位パルスによって電気/音響変換部20の振動板に生じる固有振動は、電気/音響変換部20によって電気信号である固有振動信号(応答信号)に変換され、応答信号解析部230に出力される。応答信号解析部230はこの応答信号から電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の特徴的な物理量を取得する。取得された電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の特徴的な物理量は制動信号生成部214に出力され、制動信号生成部214は、電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の逆特性を示す制動信号を生成する。本実施形態によれば、電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の特徴的な物理量を取得でき、電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の特徴的な物理量に応じた制動信号が生成可能となる。
受聴者60の外耳道61の共鳴特性測時は、単位パルスに制動信号を加えた測定信号が、スイッチ部220から電気/音響変換部20へ供給される。電気/音響変換部20は測定信号を電気信号から音響信号に変換して受聴者60の外耳道61に出力する。この測定信号には制動信号生成部212が生成した制動信号が加えられているため、電気/音響変換部20の振動板に生じる固有振動の影響を打ち消すことができる。受聴者60の鼓膜62で反射した音響信号に変換された測定信号は電気/音響変換部20によって電気信号である応答信号に変換される。応答信号は応答信号解析部230に供給され、応答信号解析部230は受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量を取得する。補正係数生成部30は、共鳴特性をキャンセルするような補正フィルタ40の補正係数を生成する。
従って、任意のイヤホンにおける振動板の固有振動の影響を打ち消すことにより、正確に各受聴者の外耳道の共鳴特性を測定することが可能となり、測定結果に基づいてピークを打ち消すようなフィルタを作成し、受聴者の外耳道で共鳴現象が発生したとしても、共鳴特性のピークが打ち消され、不自然な音が受聴されることが防止される。しかも、マイクをイヤホンに取り付けていないので、イヤホンが大型化することや、構造が複雑になってしまうこともない。イヤホン付近にマイクを設置することなく簡単な構成で各受聴者の外耳道の共鳴現象を正確に打ち消すことができる。さらに、個人別にイヤホンと外耳道で生じる共鳴特性を測定し、その特性に合わせた補正フィルタを作成することにより、個人別の外耳道と鼓膜の特性や挿入状態によって異なる外耳道共鳴特性をキャンセルできる。左右両方の特性を取得して、それぞれの特性毎に補正フィルタを作成することにより、左右の耳で異なる外耳道共鳴特性をキャンセルできる。
また、上述の説明では、電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の特徴的な物理量取得の処理(図10)と、受聴者60の外耳道61の共鳴特性の特徴的な物理量取得の測定処理(図8)とは互いに独立としたが、これらの処理を一体化し連続して実行してもよい。
図11は、第1の実施形態又は第2の実施形態に係る音響装置100又は200の実装例を示す。音響装置100又は200をオーディオプレーヤ90に内蔵する場合、プレーヤ90本体に限らず、リモコン92、イヤホン94に内蔵してもよい。また、音響装置100又は200を全体としてオーディオプレーヤ90に内蔵する代わりに、補正フィルタ40のみを内蔵してもよい。すなわち、測定信号の生成から受聴者60の外耳道61の共鳴特性の測定、補正係数の生成までを別途のパーソナルコンピュータ等で行い、オーディオプレーヤ90は求められた補正係数が設定された補正フィルタ40を用いて図示せぬフラッシュメモリ、ハードディスク等から読み出された音源信号を補正するだけでもよい。あるいは、プレーヤ90に内蔵する場合は、音源信号をダウンロードする際に補正して、補正後の音源信号をメモリ等に記憶することも可能である。
イヤホンに応じて、イヤホンの装着状態に応じて受聴者60の外耳道61の共鳴特性も変化することが考えられるので、音響装置200による電気/音響変換部20の振動板の固有振動特性の測定及び受聴者60の外耳道61の共鳴特性測定、補正処理は、例えばオーディオプレーヤ90を起動するたびに行うものであっても良いし、ユーザが任意に操作することで行うものであっても良いし、ユーザが設定した期間を超えた後に起動したときに行われるものであっても良い。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
また、本発明は、コンピュータに所定の手段を実行させるため、コンピュータを所定の手段として機能させるため、コンピュータに所定の機能を実現させるため、あるいはプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体としても実施することもできる。
また、上述の説明は個々の実施例それぞれについて行ったが、複数の実施例を適宜組み合わせてもよい。
本発明の一実施形態に係る音響伝達特性の測定の概念を示す図。 第1の実施形態に係る音響装置100の構成例を示すブロック図。 測定信号として生成される単位パルスの一例を示す図。 電気/音響変換部20を自由音場に配置した場合の応答信号の測定結果を示す図。 本発明の一実施形態に係る電気/音響変換部20の音響特性の一例を示す図。 単位パルスに制動信号が付加された測定信号の一例を示す図。 制動信号が付加された測定信号に対する応答信号を示す図。 受聴者60の外耳道61の共鳴特性測定処理を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る音響装置200の構成例を示すブロック図。 電気/音響変換部20の音響特性測定処理を示すフローチャート。 本発明の実施形態に係る音響装置の実装例を示す図。
符号の説明
20…電気/音響変換部、30…補正係数生成部、40…補正フィルタ、50…スイッチ部、60…受聴者、61…外耳道、62…鼓膜、100…音響装置、110…測定信号生成部、111…単位パルス生成部、112…制動信号生成部、113…加算部、140…制御部。

Claims (11)

  1. 単位パルスを生成する測定信号生成部と、
    振動板を備え、自由音場において前記単位パルスを音響再生して電気信号から音響信号に変換し、前記単位パルスを音響再生することによって生じる前記振動板の固有振動を電気信号である固有振動信号に変換する電気/音響変換部と、
    前記固有振動信号を解析することによって前記電気/音響変換部の固有振動特性の特徴的な物理量を取得する応答信号解析部と、
    前記電気/音響変換部が電気信号から音響信号に変換する第1の状態と、音響信号から電気信号に変換する第2の状態とを切り替える制御をする制御部と、
    前記第1の状態では前記測定信号生成部を、前記第2の状態では前記応答信号解析部を前記電気/音響変換部に接続するスイッチ部と、
    を備え
    前記測定信号生成部は、
    前記固有振動特性の特徴的な物理量に基づいて、前記振動板の固有振動を制動する制動信号を生成する制動信号生成部と、
    前記単位パルスと前記制動信号を加算して測定信号を出力する加算部を備え、
    前記電気/音響変換部は、測定対象に前記測定信号を音響再生して電気信号から音響信号に変換し、前記測定対象からの前記音響再生された測定信号の反射音を収音して音響信号から電気信号である応答信号に変換し、
    前記応答信号解析部は、前記応答信号から前記測定対象の音響特性の特徴的な物理量を取得する音響装置。
  2. 前記制動信号生成部は、前記固有振動特性の逆特性又は概逆特性によって示される信号を生成する、請求項1記載の音響装置。
  3. 前記制動信号生成部は、前記固有振動特性のピーク周波数の逆数の1/2によって示される時間だけ前記単位パルスより遅延させ、前記固有振動特性のピーク周波数の強度から算出される振幅をもつパルスを生成する、請求項1記載の音響装置。
  4. 前記制動信号生成部は、再生時のサンプリング周波数をアップサンプリングし、前記ピーク周波数の逆数の1/2によって示される時間だけ前記単位パルスより遅延させ、前記固有振動特性のピーク周波数の強度から算出される振幅をもつパルスをローパスフィルタ処理し、ダウンサンプリングした信号を生成する、請求項1記載の音響装置。
  5. 前記電気/音響変換部はイヤホン又はヘッドホンであり、前記測定対象は受聴者の外耳道であり、前記測定対象の音響特性は前記電気/音響変換部によって密閉された前記外耳道の共鳴特性である、請求項1記載の音響装置。
  6. 前記測定対象に供給される音源信号を所定の特性に補正する補正フィルタと、
    前記測定対象の音響特性の特徴的な物理量に基づき、前記補正フィルタの補正係数を生成する補正係数生成部を更に備える、請求項1記載の音響装置。
  7. 単位パルスを生成する単位パルス生成部と、
    振動板の固有振動を制動する制動信号を生成する制動信号生成部と、
    前記単位パルスと前記制動信号を加算して測定信号を出力する加算部とを備える測定信号生成部と、
    前記振動板を備え、測定対象に前記測定信号を音響再生して電気信号から音響信号に変換し、前記測定対象からの前記音響再生された測定信号の反射音を収音して音響信号から電気信号である応答信号に変換する電気/音響変換部と、
    前記応答信号から前記測定対象の音響特性の特徴的な物理量を取得する応答信号解析部と、
    前記電気/音響変換部が電気信号を音響信号に変換する第1の状態と音響信号を電気信号に変換する第2に状態を切り替える制御をする制御部と、
    前記第1の状態では前記測定信号生成部を、前記第2の状態では前記応答信号解析部を前記電気/音響変換部に接続するスイッチ部と、
    を備える音響装置。
  8. 前記測定対象に供給される音源信号を補正する補正フィルタと、
    前記測定対象の音響特性の特徴的な物理量に基づき、前記補正フィルタの補正係数を生成する補正係数生成部とを更に備える、請求項7記載の音響装置。
  9. 自由音場において電気/音響変換部によって音響再生される単位パルスを生成する測定信号生成部と、
    前記電気/音響変換部による前記単位パルスの音響再生の結果として生じる前記電気/音響変換部の固有振動が電気信号に変換された固有振動信号を解析することによって前記電気/音響変換部の固有振動特性の特徴的な物理量を取得する応答信号解析部と、
    前記電気/音響変換部が電気信号から音響信号に変換する第1の状態と、音響信号から電気信号に変換する第2の状態とを切り替える制御をする制御部と、
    前記第1の状態では前記測定信号生成部を、前記第2の状態では前記応答信号解析部を前記電気/音響変換部に接続するスイッチ部と、
    を備え
    前記測定信号生成部は、
    前記固有振動特性の特徴的な物理量に基づいて、前記振動板の固有振動を制動する制動信号を生成する制動信号生成部と、
    前記単位パルスと前記制動信号を加算して測定信号を出力する加算部を備え、
    前記電気/音響変換部は、測定対象に前記測定信号を音響再生して電気信号から音響信号に変換し、前記測定対象からの前記音響再生された測定信号の反射音を収音して音響信号から電気信号である応答信号に変換し、
    前記応答信号解析部は、前記応答信号から前記測定対象の音響特性の特徴的な物理量を取得する音響装置。
  10. 単位パルスを生成する単位パルス生成部と、
    電気/音響変換部が有する振動板の固有振動を制動する制動信号を生成する制動信号生成部と、
    前記単位パルスと前記制動信号を加算して、前記電気/音響変換部によって音響再生される測定信号として出力する加算部とを備える測定信号生成部と、
    前記電気/音響変換部による前記測定信号の音響再生の結果として前記測定対象から生じる前記測定信号の反射音が集音され電気信号に変換された応答信号から前記測定対象の音響特性の特徴的な物理量を取得する応答信号解析部と、
    前記電気/音響変換部が電気信号を音響信号に変換する第1の状態と音響信号を電気信号に変換する第2に状態を切り替える制御をする制御部と、
    前記第1の状態では前記測定信号生成部を、前記第2の状態では前記応答信号解析部を前記電気/音響変換部に接続するスイッチ部と、
    を備える音響装置。
  11. 単位パルスを生成するステップと、
    振動板の固有振動を制動する制動信号を生成するステップと、
    前記単位パルスと前記制動信号を加算した信号を出力するステップと、
    前記振動板を備える電気/音響変換部によって測定対象に前記測定信号を音響再生して電気信号から音響信号に変換し、前記測定対象からの前記測定信号からの反射音を収音して音響信号から電気信号である応答信号に変換するステップと、
    前記応答信号から前記測定対象の音響特性の特徴的な物理量を取得するステップと、
    前記電気/音響変換部が電気信号から音響信号に変換する第1の状態と音響信号から電気信号に変換する第2の状態を切り替える制御をするステップと、
    前記第1の状態では前記測定信号生成部を、前記第2の状態では前記応答信号生成部を前記電気/音響変換部に接続するステップと、
    を備える音響特性測定方法。
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