JP4537139B2 - サーマルプリンタ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ロイコ染料と可逆顕色剤を用いた発色型可逆感熱記録材料や、その他の感熱記録材料を使用して、サーマルヘッドにより画像記録を行うことのできるサーマルプリンタ装置に関する。
感熱記録材料に対しサーマルヘッドを接触させて画像記録を行うサーマルプリンタ装置については多数の提案がされているが、ある種のタイプのサーマルプリンタ装置、たとえば、ロイコ染料と可逆顕色剤を用いた発色型可逆感熱記録材料(例えば、特許文献1参照)を使用して画像記録を行うサーマルプリンタ装置では、サーマルヘッドにより画像記録を行うとともに、消去ローラを使用して画像を消去できるようにしている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−270931号公報 特願2002−331697号公報
しかしながら、上記のようなサーマルプリンタ装置においては、消去ローラの熱容量が大きく、また、温度センサはローラ表面温度を検出するように配置されるため、温度センサによって目標温度を確認した時点で通電をOFFしても、その温度上昇はしばらく続いてしまい、結果として、ローラ表面の温度は目標を超えてしまうことになる。
本発明は、消去ローラの表面温度が予め設定した正しい温度に制御されるサーマルプリンタ装置を提供することにある。
本発明は、加熱後の冷却速度を変えることにより印字と消去を可能にする可逆性感熱記録用紙を搬送する用紙搬送路と、
前記用紙搬送路上を搬送されてきた用紙に画像を記録するサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドの上流側の搬送路に配置され、用紙を加熱することにより、その加熱後の徐冷によって用紙上の画像を消去させる消去ローラと、
前記消去ローラの温度検出を行う温度センサの検出値に基づいて該消去ローラに対して印加する電力を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記消去ローラに電力供給を開始してからの制御目標温度を、最終的に目標となる目標温度よりも所定の温度だけ低い温度に設定し、前記温度センサの検出値がこの制御目標温度に達すると、所定時間だけ電力供給をオフしてから、再度、上記制御目標温度に対する温度制御を行うことを特徴とする
本発明では、消去ローラとして、例えばアルミパイプからなるパイプ状金属ローラの内部にヒータを配置したものを用いる。このローラの温度制御は、ローラ表面に温度センサを接触させ、同センサの検出値に基づいてヒータに加える電力をON/OFFする。すなわち、センサ検出値が制御目標温度になるまで、ヒータをONし、制御目標温度に達するとOFFする。さらに、その後所定時間だけOFFを維持し、所定時間経過してから、再び、温度制御を行う。
このように制御することで、ローラ温度が制御目標温度に達するとヒータがOFFされていてもしばらくは温度上昇するから、ヒータOFFの所定時間を適当に設定することで次に温度制御を行うときにはローラ温度が最終的な目標温度に近い温度となる。
好ましい実施態様では、前記制御目標温度は、消去ローラに電力供給を開始するときの温度センサの検出値に応じて変えられる。また、さらに好ましくは、これに加えて、前記所定時間は、消去ローラに電力供給を開始するときの温度センサの検出値に応じて変えられる。ローラ温度の上昇率は、その熱容量の関係から、消去ローラに電力供給を開始するときのローラ温度によって変化する。そこで、上記のように制御することで、さらに、目標温度に近い温度制御を行うことができる。
本発明によれば、ローラの温度を所望の目標温度により正確に近づけることができるため、用紙上の画像を確実に消去できる。
図1は、本発明の実施形態であるサーマルプリンタ装置の外観図を示している。
このサーマルプリンタ装置1は、印字ヘッドであるサーマルヘッドと消去ローラとを備えている。このサーマルプリンタ装置1は、前記サーマルヘッドにより図示しないホストコンピュータから受信した画像を、ロイコ染料と可逆顕色剤を用いた発色型可逆加熱記録材料からなる用紙に印刷し、前記消去ローラによって、一度印刷した同加熱記録紙の画像を消去することによりこれを再利用できるようになっている。なお、上記用紙を使用することにより、サーマルヘッドによりエネルギーを各画素毎に印加すると、同ヘッド通過後にはその画素が急激に冷却され、熱容量の大きな消去ローラにより用紙全体を加熱すると、用紙全体が蓄熱しているため、そのローラ通過後は各画素が徐々に冷却される。このような挙動により、サーマルヘッドによる各画素毎の記録と、消去ローラによる用紙全体の消去が行われる。
図1において、サーマルプリンタ装置1は、上記発色型可逆加熱記録材料からなる用紙(以下、用紙という)をセットする用紙トレイ2を上部背面(上部供給側)に備え、また、サーマルプリンタ装置1の下部前面(下部排紙側)に排紙トレイ5を備えている。前記用紙トレイ2と排紙トレイ5との間には、装置本体内に用紙搬送部が配置されており、この用紙搬送部に沿って、後述のサーマルヘッドと消去ローラとが配置されている。また、装置本体の上部にはトップカバー3が開閉可能に設けられ、さらに、このトップカバー3の右側部に操作部4が設けられている。この操作部4は、(1)記録モード、(2)消去・記録モード、(3)消去モードの3つのモードの中からいずれかを選択できる。記録モードは、用紙に対して画像を記録するだけのモード、消去モードは、用紙に記録されている画像を消去するだけのモード、消去・記録モードは、用紙に記録されてい画像を消去した後続けて画像を記録するモードである。各モードにおいての用紙搬送速度Vは、同一ではなく異なっている。すなわち、同速度Vについては、記録モード>消去・記録モード(=消去モード)である。
図2は、用紙搬送部を側面から見た時の構成図である。
用紙トレイ2と排紙トレイ5間に配置される用紙搬送部には、上流側から下流側にかけて順に、給紙ローラ20、用紙搬送路22、消去処理部28、冷却ファン25、記録処理部29、サーマルヘッド昇降位置検出センサ33、サーマルヘッドの昇降用カム32が配置されている。
消去処理部28は、内部にヒーターランプを備え、アルミパイプからなる消去ローラ23と、用紙搬送路22を挟んで同ローラ23に対向配置されるプラテンローラ24を備えている。
また記録処理部29は、サーマルヘッド27と、用紙搬送路22を挟んでこのヘッド27に対向配置されるプラテンローラ26を備えている。
これらの部材のうち、用紙搬送路22の上方に位置するものは、可動部21内に収納され、この可動部21は、給紙側の端部を支点として排紙側の端部が上側に回動可能な構成となっている。この可動部21を上記支点として回動することによって、搬送路上のジャム用紙の取り除きを容易にする。
上記用紙搬送路の上方にはトップカバー3が位置しており、また下方にはサーマルヘッド27を昇降させるための昇降モータ30と、用紙を搬送するためのLF(ラインフィード)モータ31とが配置されている。
冷却ファン25は、消去・記録モードのときに、サーマルヘッドによる記録画像の濃度が低くならないように、消去ローラを通過した用紙の全体を強制空冷するためのものである。
センサ類としては、トップカバー3の開閉を検出するカバー開閉センサS4と、用紙搬送路22上に沿って配置され、サーマルヘッド27と消去ローラ23との間に配置され、用紙が特定位置に搬送された状態を検出する用紙検出センサS1が設けられている。このセンサは、具体的には搬送されてきた用紙の先端を検出する。また、後述のように、用紙の後端も検出する。さらに、図示していないが、装置の周囲温度αを検出する周囲温度検出センサを設けられている。
前記昇降モータ30は昇降用カム32に連結され、消去モードの時に、サーマルヘッド27を収納するサーマルヘッドホルダ(図示せず)を上昇させ、記録モードまたは消去・記録モードの時にはサーマルヘッドホルダを下降させる。サーマルヘッドホルダには楕円形状の昇降用カム32が当接していて、その長径部が上方を向く角度になるように回転させることでサーマルヘッドホルダを押し上げて上昇させ、短径部が上方を向く角度になるように回転させることでサーマルヘッドホルダをスプリング押圧及び自重により下降させる。昇降用カムの回転角度は、直角に配置された2つのサーマルヘッドの昇降位置センサ33により検出される。
用紙検出センサS1は、用紙先端の検出と用紙後端の検出を兼用する。用紙先端を検出する時には、その検出信号を制御回路に送り、制御回路においてサーマルヘッド27の下降を開始させる。また、用紙後端を検出する時には、その信号を制御回路に送り、制御回路において残りの印字ライン数が用紙後端までの印字可能ライン数(センサS1とサーマルヘッド27による記録位置との距離に基づくライン数)よりも大きい場合に、前記残りの印字ライン数を前記印字可能ライン数以下に設定する。
前記サーマルヘッド27には、その内部に図示しない温度センサが設けられ、このセンサ出力が制御回路において監視されている。また、アルミパイプからなる消去ローラ23の温度センサも設けられており、このセンサ出力が制御回路において監視されるようになっている。
図3は、制御部のブロック図である。制御回路50からは、サーマルヘッド27に対して記録のための印字データ等が出力され、昇降モータ30、LFモータ31に対しては、駆動部51、52を介して駆動信号が出力される。LFモータ31に対して駆動信号を出力する駆動部52に対しては、記録モード時の速度V1に対するモータ駆動パルスと消去・記録モード時又は消去モード時の速度V2に対するモータ駆動パルスとが出力される。また、消去ローラ23内に配置されているハロゲンランプからなるヒーターランプ53に対しては、駆動部54を介して駆動信号が出力される。
サーマルヘッド27は、ヘッド部27a、駆動部27b、履歴制御部27cを有し、また、ヘッド部27aの温度を監視するための温度センサS2が設けられている。この温度センサS2の温度検出信号は制御回路50に入力する。同様に、消去ローラ23にはその表面温度を検出するための温度センサS3が設けられており、このセンサ出力が制御回路50に入力する。
また、制御回路50には、操作部4、各種センサSおよびホストコンピュータに接続するためのインターフェイス55が接続されている。ホストコンピュータにはプリンタ装置のドライバがインプリメントされていて、ホストコンピュータにおいて画像データに対する印刷コマンドが発生すると、その画像データがインターフェイス55を介して制御回路50に入力する。
さらに、制御回路50には、テーブルTB1〜TB3がそれぞれ接続されている。テーブルTB1は、用紙の搬送速度に基づいて1ドット(1画素)当たりの印字パルスパターンを設定するテーブルである。搬送速度は、記録モードの時の方が消去・記録モードの時よりも速く設定される。搬送速度が速い時には、あるラインの印字を行う時に、前のラインを印字した時の熱の影響度が大きいため、そのラインに対する印加エネルギはより小さくしなければならない、そこで、一般には、搬送速度Vが速い場合の印字パルスパターンのパルス幅は短く設定される。図4は、1ドットに対する上記印字パルスパターンを示している。図に示す印字パルスパターンのパルス幅はTEである。また、印字パルスパターンは、1〜20の制御区間で構成され、後述のように、各制御区間のデータ(1か0)がDMAにより制御回路からサーマルヘッドの履歴制御部27cに対して送信される。
上記テーブルTB2は、周囲温度αに基づいた上記制御区間T(タイマ値)を示している。制御区間Tの値が大きくなれば、パルス幅TEが広くなるため、1ドットあたりの印加エネルギが大きくなる。
したがって、搬送速度Vおよび周囲温度αによって1ドット当たりに加えられるエネルギの大きさが変わることとなる。この例では、1ドット当たりに加えるエネルギの大きさを決めるパラメータを、搬送速度Vと周囲温度αとしたが、これ以外にもパラメータを設定することも可能である。
制御回路50に接続されるもう1つのテーブルTB3は、ヒータランプ53の温度制御テーブルを示し、駆動開始時の周囲温度αに基づいて目標となる設定温度や強制OFF時間を設定する。これらの各テーブルを用いた詳細な制御動作については後述する。
前記サーマルヘッド27内に設けられている履歴制御部27cは、搬送方向の同一ライン上の各ドットのON/OFF履歴を考慮して今回のドットに対する印字パルスパターンを制御する。図5はこの履歴制御部27cの動作を示している。 図5(A)において、今回印字しようとする印字ライン上のA〜Cのドットを注目すると、Aについては前回のドットA1、および前々回のドットA2が印字されていない。Bについては前回のドットB1および前々回のドットB2がともに印字されている。Cについては、前回のドットC1は印字され、前々回のドットC2は印字されていない。そこで、今回、履歴制御部27cに対して、テーブルTB1で選択された印字パルスパターンが入力されると、Aについては、入力された印字パルスパターンのパルス幅TEをそのまま維持したエネルギが印加され、Bのドットに対しては、前回ドットB1および前々回ドット1B2に対して印加したエネルギに基づく熱エネルギの影響が残っているから、Aに対する70%のエネルギの印加を行い、Cに対しては、前回ドットC1に対して印加したエネルギに基づく熱エネルギが残っているから、85%のエネルギを印加する。
このようにして、履歴制御部27cは、前回、前々回のエネルギON/OFF履歴に基づいて、今回のエネルギ印加量を制御する。こうすると、今回のドットに対して正確なエネルギ印加が可能になる。
次に制御回路50の詳細な動作についてフローチャートを参照しながら説明する。
図6は、記録モードが選択された場合の動作を示すフローチャートである。この記録モードは、記録モード、または消去・記録モードが選択された場合に実行される。
ホストコンピュータから記録すべき画像のデータを受信すると(ST1)、ST2においてサーマルヘッドの「温度低下待ち」を実行する。ST2においてサーマルヘッドの温度が低下すると、ST3において記録位置まで用紙を搬送するとともに、ST4において「サーマルヘッド下降」の制御を行う。
続いて、1ドット内の印字パルスパターンの選択を行う(ST5)。この印字パルスパターンの選択は、その時の用紙搬送速度Vに基づいてテーブルTB1を参照して行う。すなわち、記録モードが選択されている時には速度V1、消去・記録モードが選択されている時には速度V2(V2<V1)であるから、設定されているモードが記録モードか消去・記録モードであるかによってそれぞれの印字パルスパターンが選択される。
続いて、最初のラインの印字データが制御回路50からヘッド部27aに対して転送される(ST6)。
続いて、ステップST7においてタイマ値Tの設定をテーブルTB2を参照して行う。このタイマ値Tは、その時の周囲温度αに基づいて設定される。タイマ値Tは、図4において説明したように、印字パルスパターンの制御区間Tを決めるためのものである。
次に、ST8において、ST5〜ST7において決められた印字パルスパターン(タイマ値も含む)のDMA(ダイレクトメモリアクセス)転送が履歴制御部27cに対して行われる。すなわち、制御区間は1〜20であるために、各制御区間Tに対応するデータ(0又は1)が20回履歴制御部27cに対してDMA転送される。制御回路50は、DMA制御部を内蔵しているために、このST8のDMA転送する時には、制御回路50は(実際はCPU)DMA設定するだけでよく、その設定後はCPUは直ちに開放されるため、その他の処理を行うことができる。このため非常に効率的であり高速化に寄与することができる。
上記ST9においては、サーマルヘッド27のヘット部27aに対し次のラインの印字データを転送する(次のラインの処理のための準備)。続いて、ST10において用紙を1ステップ送り、ST11において後述の「用紙終端処理」を行う。全ラインの印字が終了していなければ(ST12)、再びST7以下の処理を行う。全ラインの印字を終了すると、サーマルヘッド27を上昇させ(ST13)、用紙を排出して(ST14)終了する。
図7は、上記ST2の「温度低下待ち」の制御動作を示している。
ST20において、上限温度フラグをチェックし、リセット状態であればなにもしない。この上限温度フラグは、後述の「温度検知」によってセットされるフラグである。このフラグがセットしていれば、サーマルヘッドの温度を温度センサS2によって読み取り(ST21)、65°C以下になるまで待つ(ST22)。65°C以下になれば、上限温度フラグをクリアして(ST23)リターンする。
図8は、タイマ割り込みによって一定時間ごとに実行される「温度検知」の制御動作を示している。
最初に、サーマルヘッドの温度を温度センサS2によって読み取り(ST30)、68°C以上であるかどうかを判定し(ST31)、68°C未満であれば、上限温度フラグをクリアし(ST32)リターンする。68°C以上であれば、上限温度フラグをセットして(ST33)リターンする。
次に、図6のST4の「サーマルヘッド下降」について説明する。
図9は、「サーマルヘッド下降」の動作の概要を示す図である。
用紙搬送路22上を搬送されてくる用紙60の先端を用紙検出センサS1が検出すると、その検出信号は制御回路50に出力され、その検出タイミングに基づいて制御回路50は昇降モータ30を駆動するタイミングを決定して、サーマルヘッド27の下降を開始させる。図9(A)は用紙60の先端を用紙検出センサS1が検出したときを示す。図9(B)は、用紙60がさらに搬送され、距離L1だけ進んだ状態を示す。このとき、サーマルヘッド27の下降が開始される。用紙60が記録位置Pに達すると、その時同時にサーマルヘッド27のヘッド加熱部が用紙先端に当接する。この後、用紙60の搬送とともにサーマルヘッド27による画像の印字動作が行われていく。上記距離L1は、用紙60の搬送速度に応じて変えられる。搬送速度が早ければ、L1は短くなる。
図10は、「サーマルヘッド下降」の制御動作を示している。
ST40において用紙検出センサS1によって用紙60の先端を検知すると、サーマルヘッド27の下降開始位置までのパルス数(用紙60の搬送ステップ数で表され、距離L1に相当するし)Nを設定する。なお、パルス数Nは、記録モードと消去・記録モードとでは用紙60の搬送速度が異なるためにそれらのモードによって変わってくる。パルス数Nは、搬送速度が早い記録モードの方が大きく設定される。そこで、このST41において、設定されているモードに応じてパルス数Nを設定する。ST42、ST43において、設定されたパルス数Nが0になるまで待ち、N=0となっときにサーマルヘッド27の下降を開始する。N=0の状態が図9(B)に示す状態である。
以上の動作により、記録位置Pにおいて、サーマルヘッド27のヘッド加熱部と用紙60との先端とを正確に一致させることができ、記録位置Pにおいて用紙60を一端停止させる必要がない。また、制御回路50は、用紙60の先端が記録位置Pに達し、且つその時にサーマルヘッド27のヘッド加熱部が用紙先端に当接しているタイミングを知ることができるために、この時からサーマルヘッド27に対して画像データに基づく印字エネルギを印加することで、負荷のない状態でサーマルヘッド27にエネルギを印加することを防ぐことができるとともに、サーマルヘッド27が回転しているプラテンローラに接するのを防ぐこともできる。
次に、図6のST5〜ST9の動作について図11を参照して説明する。
ST5においては、1ドット内の印字パルスパターンがテーブルTB1(図3参照)に基づいて選択され、ST6において最初のラインの印字データがサーマルヘッド27のヘッド部27aに転送される。図11においては、この最初のラインの印字データが「印字データ転送」のAに対応している。なお、用紙の搬送速度は、この例では、50mm/sに設定されており、これにより、2.5ms毎にタイマ割り込みが発生してモータ送りが行われる。
Aで示す最初の印字データがヘッド部27aに転送されてラッチされると、図の(イ)のタイミングで印字通電が開始される。すなわち、ST8において印字パルスパターンのDMA転送が行われる。同時に次のラインの印字データ(Bで示す)が転送される。上記(イ)のタイミングでサーマルヘッド27の履歴制御部27cに対してDMA転送される印字パルスパターンは、上述のように、テーブルTB1およびテーブルTB2を参照してST5およびST7によって設定されている。なお、図に示す例では、印字通電区間をサーマルヘッドの右半分と左半分に分けて行っている。このようにして、印字パルスパターンを(イ)のタイミングでDMA転送させることで、制御回路50のCPUは(イ)のタイミング直後、印字パルスパターン送信に関するソフト的な負担から開放されるから他の動作を行うことが可能になる。このため、高速処理が可能となる。
次に、図6のST11の「用紙終端処理」について、図12、図13を参照して説明する。
図12(A)は、用紙検出センサS1が用紙60の後端を検出した状態を示している。制御回路50に含まれている画像データ記憶メモリMには、サーマルヘッド27により印字する画像データが記憶され、1ページ毎に更新される。また、RAM上には、サーマルヘッド27による残りの印字ライン数Rが記憶されている。この残りの印字ライン数Rがゼロになった時点でサーマルヘッド27の印字が終わる。
図12において、センサS1と記録位置Pとの間隔Qは、用紙後端までの印字可能ライン数を示している。この状態において、図12に示すように、R>Qであるなら、R=Qとなるように、RAM上の残りの印字ライン数をR←Qに書き換える。これにより、後述するように、用紙後端60が記録位置Pを通過した時には画像データ記憶メモリM内に印字すべき画像データが残っていても、サーマルヘッド27が上昇し、それ以降、サーマルヘッド27にエネルギが印加されることがなく、また、回転しているプラテンローラにサーマルヘッド27が接することもない。
図13は、「用紙終端処理」の制御動作を示すフローチャートである。
ST50において、用紙後端が用紙検出センサS1で検知されると、R>Qの判定が行われ、R>Qであるなら、RをQに設定する(ST52)。
上記のようにして印字動作が行われ全てのラインに対する印字が終了すると(図6のST12)、制御回路は昇降モータ30を駆動することによってサーマルヘッド27を上昇をさせる(図6のST13)。
次に、消去モード時の動作について説明する。この消去モードは、消去モード、および、消去・記録モードの時に実行される。
図14は、この消去モード時の制御動作を示すフローチャートである。
ST60において、「消去ローラ通電開始」を実行する。続いて、温度センサS3による消去ローラ23の表面温度を計測し、ST62において、テーブルTB3を参照して、その時の温度(開始時温度)に対応して制御目標となる設定温度と強制OFF時間を設定する。テーブルTB3を参照すると、たとえば、開始時温度が100°C以上であれば、設定値が147°Cであり、強制OFF時間は100msである。また、開始時温度が20°Cから100°Cの間である時は、設定値が145°Cであって、強制OFF時間が50msである。
次に、ST63に進んでタイマ割り込みにより「消去割り込みスタート」を実行する。ST64において、目標温度に達したかどうかを判断し、達していれば、ST65において用紙の搬送を開始する。なお、サーマルヘッド27はこの時上昇しているが、消去・記録モードの場合は、用紙先端が用紙検出センサS1に達するとサーマルヘッド27の下降が開始される。
図15は、ST60の「消去ローラ通電開始」を実行するための構成図および波形図を示している。商用電源70は、リアクトル71およびトライアック72を介してハロゲンランプからなるヒータランプ53に供給されている。トライアック72は、ゼロクロス制御回路73でゼロクロス制御され、さらにこのゼロクロス制御回路73には、駆動部54から制御パルスが入力する。ゼロクロス制御回路73は,トライアック72のON/OFFタイミングを電源電圧のゼロクロスタイミングとするゼロクロス制御を行う回路であって、このゼロクロス制御を行うことによって通電時の突入電流を防ぐことができる。また、このゼロクロス制御回路73に対して図15(C)に示すように通電開始時から徐々にゼロクロス制御期間を増やす制御パルスを入力する。これにより、図15(B)に示すように、ゼロクロス制御を行いながら、トライアック72に通電する時間を徐々に長くしていくことができる。したがって、ヒータランプ53には一気に電流が流れることがなくなり、突入電流が流れることによる部品の性能劣化や破損、また、周囲の電子機器に対する悪影響を防止することができる。
図16は、ST62において設定する設定温度および強制OFF時間について説明する図である。ヒータランプに対して通電する時の開始時の消去ローラ温度が低い場合と高い場合とでは、その後の通電に伴う温度上昇の挙動が異なってくる。すなわち、消去ローラの熱容量が大きいと、加熱に対する温度上昇の変化が鈍くなるために、温度センサにて目標温度を確認した時点で通電をOFFしても、しばらくは温度上昇が続く。また、ヒータランプに対して通電する時の開始時の消去ローラ温度が低い場合と高い場合とでは、その温度上昇の程度が異なる。そこで、ヒータランプへの通電を開始した時には、目標温度よりも手前に一定の設定温度を設定し、また、ヒータランプに対して通電開始した時の開始時温度(消去ローラの温度)によってその設定温度を変える(開始時温度の高い場合の設定温度をより高くする)。そして、この設定温度に達した時点で電力供給をOFFする。また、設定温度に達した時から一定の強制OFF時間を設定し、そのOFF時間を経過した後に温度コントロールを可能にするとともに、その強制OFF時間はヒータランプに対して通電開始した時の開始時温度によってその長さを変えている。
上記のように制御する理由は、ヒータランプに対して通電開始した時の開始時温度がより高い場合のほうが消去ローラに対する蓄熱量が大きいため、設定温度をより高くしたり強制OFF時間をより長く設定するほうが望ましいからである。
そこで、図3のテーブルTB3に示すように、開始時温度が20°C〜100°Cの場合には、設定温度を145°C、強制OFF時間を50msに設定し、開始時温度が100°C以上の場合には、設定温度を147°C、強制OFF時間を100msに設定する。
強制OFF時間を終えると、ローラ温度は最終目標温度かその温度に極く近い温度になる。したがって、その直後では、ローラ温度が設定温度以上である可能性が高いためヒータ通電のOFF状態が続くが、設定温度以下になると、再び上記の温度コントロールが行われる。
なお、上記実施形態では、開始時温度に応じて設定温度と強制OFF時間の両方を変えるようにしているが、いずれか一方を一定値とし、他方を開始時温度に応じて変えるようにしても良い。
図17は、図14のST63の「消去割込スタート」のタイマ割込動作を示している。
ST70において強制OFFフラグがセットされているかどうかの判定を行い、ST71において消去ローラの温度計測を温度センサ53において行う。温度が異常時である場合には(ST72)、エラーフラグをセットし(ST73)、ヒータランプをOFFして(ST74)リターンする。
上記ST72において、計測温度が正常時の時には、ST75において、計測温度が設定値をオーバーしているかどうかの判定を行う。この設定値は、図14のST62において、テーブルTB3を参照して得られた値である。設定値をオーバーしていなければ、ST76においてヒータランプをONしてリターンする。
ST75において、設定値をオーバーしていれば、ST77において強制OFFフラグをセットし、ST78において強制OFF時間Mを設定し、ヒータをOFFする(ST79)。
上記ST70において、強制OFFフラグがセットしていれば、ST80において、強制OFF時間Mから1単位時間(ここでは、25ms)デクリメントし、ST81において、M=0かどうかの判断を行い、M=0の時に強制OFFフラグをクリアする(ST82)。M=0でない場合には、ST74に進んでヒータをOFFする。したがって、強制OFFフラグがセットされると、ST78で設定された強制OFF時間Mだけヒータランプに対する電力供給がOFF状態となる。
このようにして、消去モード時と記録・消去モード時の消去期間には、消去ローラ23のヒータランプ53に対し、目標温度の手前の設定温度に対する温度制御が行われ、図14のST64において目標温度に達するのを待ち、目標温度に達した段階で用紙の搬送が行われる。したがって、この制御によれば、消去ローラ23の熱容量を考慮して、より正確に目標温度に制御されるようになる。
本実施形態ではさらに次の制御が行われる。
第1に、サーマルヘッド27を保護するために、サーマルヘッド27の昇降状態をサーマルヘッドの昇降位置センサ33で常時監視し、サーマルヘッドが上昇位置(待機位置)またはプラテンローラ26に接していない状態では、サーマルヘッド27に対し駆動信号が出力されないようにし、また、サーマルヘッドへの駆動電圧が遮断されるようにする。これにより、サーマルヘッドが上昇位置にある時には、誤ってサーマルヘッドに対しエネルギが印加されるのを防ぐことができる。
第2に、サーマルヘッド27に対してエネルギを印加して印字動作を行っている時に、用紙検出センサS1と他の図示しない搬送路上に設けられているセンサとによって、用紙のジャムが生じたかどうかを監視する。用紙のジャムが生じた場合には、直ちにサーマルヘッド27に対するエネルギの印加を停止する。これによって、サーマルヘッドの温度上昇が過度になるのを防ぐことができる。
第3に、図17のST72において、消去ローラ23の温度計測値が異常値であるかどうかの判定をしているが、この判定は、計測した温度自体が異常である場合は勿論、前回の計測温度値から異常な変化をした場合(微分値が大きい)も異常値であるとして検出する。
本発明の実施形態であるサーマルプリンタ装置の外観図 用紙搬送路周辺の構成図 制御部の構成図 印字パルスパターンについて説明する図 履歴制御部の動作について説明する図 記録モード時の制御動作を示すフローチャート 「温度低下待ち」の制御動作を示すフローチャート 「温度検知」の制御動作を示すフローチャート サーマルヘッド下降時の制御について説明する図 「サーマルヘッド下降」の制御動作を示すフローチャート 印字通電と印字データ転送のタイミング波形図 「用紙終端処理」の動作内容について説明する図 「用紙終端処理」の制御動作を示すフローチャート 消去モード時の制御動作を示すフローチャート 消去ローラに対する通電開始を行うための構成図および動作説明図 設定温度と強制OFF時間について説明する図 消去モード時のタイマ割り込み動作を示すフローチャート

Claims (2)

  1. 加熱後の冷却速度を変えることにより印字と消去を可能にする可逆性感熱記録用紙を搬送する用紙搬送路と、
    前記用紙搬送路上を搬送されてきた用紙に画像を記録するサーマルヘッドと、
    前記サーマルヘッドの上流側の搬送路に配置され、用紙を加熱することにより、その加熱後の徐冷によって用紙上の画像を消去させる消去ローラと、
    前記消去ローラの温度検出を行う温度センサの検出値に基づいて該消去ローラに対して印加する電力を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記消去ローラに電力供給を開始してからの制御目標温度を最終的に目標となる最終目標温度よりも所定の温度だけ低い温度に設定し、さらに該制御目標温度を前記温度センサの検出値が高いほど高くなるように変更し、該制御目標温度を、前記温度センサの検出値がこの制御目標温度に達すると、所定時間だけ電力供給をオフしてから、再度、上記制御目標温度に対する温度制御を行い、前記所定時間は前記消去ローラに電力供給を開始するときの前記温度センサの検出値が高いほど長く設定することを特徴とする、サーマルプリンタ装置。
  2. 前記制御部は、前記温度センサの検出値が前記最終目標温度に達すると、前記用紙の搬送を開始する請求項に記載のサーマルプリンタ装置。
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