(実施例1)
図2は本発明を適用する画像形成装置の略断面図である。
図2において、1は像担持体たる感光ドラムであり、OPC、アモルファスSi等の感光材料をアルミニウムやニッケル等のシリンダ状の基板上に形成して構成されており、モータなどの駆動手段Aにより矢示の時計方向aに所定の周速度で回転駆動される。
2は回転する感光ドラム1の周囲を所定の極性・電位に一様に帯電処理する帯電手段であり、本例では帯電ローラを使用した接触帯電装置を用いている。3は画像情報露光手段であり、本例ではレーザービームスキャナーを用いている。このスキャナー3は、半導体レーザー、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有してなり、不図示のホスト装置から送られてきた画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザービームLを出射して感光ドラム1の一様に帯電された表面を走査露光し、静電潜像を形成する。4はプロセスカートリッジを構成する現像装置であり、現像剤(以下トナーという)が内包されている。感光ドラム1上の静電潜像をトナー像として現像する。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法等が用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが多い。5は弾性層を有する回転体形状の接触帯電部材としての転写ローラであり、感光ドラム1に対して加圧接触させて転写ニップ部Nを形成しており、モータなどの駆動手段Bにより矢示の反時計方向bに所定の周速度で回転駆動される。
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、該転写ニップ部Nに対して給紙部から給紙された被記録材P(被転写材)に対して順次静電転写される。手差し給紙部7やカセット給紙部14等の給紙部から給紙された被記録材Pは、プレフィードセンサ10で待機した後に、レジストローラ11、レジストセンサ12、転写前ガイド13を通過して転写ニップ部N(画像形成部)に給紙される。
被記録材Pは、レジストセンサ12によって感光ドラム1の表面に形成されたトナー像と同期取りされて、感光ドラム1と転写ローラ5とで形成される転写ニップ部Nに供給される。また、給紙部において記録材Pの給紙時に複数の記録材を誤って給紙してしまう重送と言った問題を解消するために、分離ローラ(8、15)等が設けられている。転写ニップ部Nにおいてトナー像の転写を受け、転写ニップ部Nを通過した被記録材Pは、感光ドラム1の面から分離され、シートパス9を通って定着装置18へ搬送される。本例の定着装置18は加熱フィルムユニット18aと加圧ローラ18bの圧接ローラ対からなるフィルム加熱方式の定着装置であり、トナー像を保持した被記録材Pは加熱フィルムユニット18aと加圧ローラ18bの圧接部である定着ニップ部TNで狭持搬送されて加熱・加圧を受けることでトナー像が被記録材P上に定着され永久画像となる。トナー像が定着された被記録材Pは排紙ローラ19に従って、フェイスアップ排紙口16もしくはフェイスダウン排紙口17へ排出される。
一方、被記録材Pに対するトナー像転写後の感光ドラム1の表面は、プロセスカートリッジのクリーニング装置6により転写残留トナーの除去を受けて清掃されて繰り返して作像に供される。本例のクリーニング装置6はブレードクリーニング装置であり、6aはそのクリーニングブレードである。
次に、本発明の画像形成装置制御部およびプロセスカートリッジについての詳細な説明を図1を用いながら行う。
本発明で用いられる電子写真画像形成装置(以下、「装置本体」という)は、ホストコンピュータからの画像信号を受け取り、可視化された画像として出力するレーザービームプリンタであり、電子写真感光体、現像手段、現像剤(トナー)等の消耗品をプロセスカートリッジとして装置本体に対して着脱し交換可能にした電子写真画像形成装置である。
図1に示すように、画像形成装置制御部101は、装置本体の形成動作を行う中央処理演算装置である本体CPU103と、カートリッジに搭載されている記憶装置と通信を行うIO制御部104、得られた画像信号107を画像処理する画像処理制御部105、出力画像信号に応じてスキャナレーザーの発光制御を行うレーザー駆動制御部106によって構成される。
プロセスカートリッジ102が装置本体に挿入された場合、および、装置本体に電源が投入された場合、IO制御部104はカートリッジに付随する記憶装置111と通信を行い、プロセス条件や使用履歴といった種々の記憶値を取得する。IO制御部104によって得られた記憶値は本体CPU103に送信され、画像形成を行う際の、データとして使われる。
画像形成装置に接続される画像信号入力部100であるコンピューターまたは画像読取りスキャナなどから送信された画像信号107は、画像処理制御部105において、エッジ処理や濃度調整などといった画像処理を行い最適な画像形成を行えるような画像信号として処理される。
本体CPU103は、カートリッジの記憶装置111から得られた記憶値と、画像処理を終えた画像信号とから、最適なプロセス条件値を算出し、最適なプロセス条件値で画像を形成する。
また、プロセスカートリッジ102(以下、「カートリッジ」という)は、電子写真感光体である感光体ドラム112と、感光体ドラム112を均一に帯電するための帯電手段としての帯電ローラ113,現像装置114と、感光体ドラム112の表面を清掃するクリーニング手段であるクリーニングブレード115と、クリーニングブレード115により感光体ドラム112から除去された残留トナーを収容する廃トナー容器116とが一体的に構成され、装置本体に取り外し可能に装着される。
現像装置114は、現像剤であるトナーTを収容する現像剤収納部であるトナー容器117、トナー容器117と連結された現像容器118、感光体ドラム112に対向配置された現像手段としての現像ローラ119、現像ローラ119に当接し、トナー層厚を規制する現像剤規制部材である現像ブレード120、及びトナー容器117内のトナーTを攪拌し現像容器内へトナーTを送り込むトナー容器内攪拌部材121、トナー容器から送り込まれたトナーTを現像ローラ119へ搬送する攪拌部材122を備えている。
又、カートリッジの使用前には、トナー容器117と現像容器118の間にトナー封止部材123が貼着されている。このトナー封止部材123は、カートリッジの輸送中等に激しい衝撃が発生した場合等でもトナーが洩れることのないように設けられ、装置本体にカートリッジを装着する直前にユーザーによって開封される。
尚、本実施例においては、現像剤として絶縁性磁性1成分トナーを用いた。
また、本実施例に使用される記憶装置には、画像形成に必要な帯電バイアス設定値や、現像バイアス設定値、露光手段であるレーザーの光量設定値等といった画像形成プロセス設定値や、感光体使用量やトナー残量などの使用量等を記憶している。また、通紙履歴に応じてバイアス設定値などを切り替えて使用する場合、切り替えタイミングである閾値情報や閾値情報に応じて切り替えられる設定値などが記憶されている。
以上説明した上記構成において、CPU103からの指示によって高圧印加部200から帯電ローラに対してバイアスが印加されることによって、感光体ドラムが帯電ローラによって均一に帯電され、その表面を露光装置としてのレーザースキャナー108から照射される画像信号に応じたレーザー光109がミラー110で反射されて感光体ドラムに導かれることによって走査露光なされ、目的の画像情報の静電潜像が形成される。静電潜像は、CPU103からの指示によって高圧印加部200から現像ローラに対してバイアスが印加されて、現像ローラがトナーを感光体に搬送して、感光体ドラム上にトナーが付着されてトナー像として可視化される。
図4は画像処理の流れを示した図であり、図4を用いて画像処理の概略を説明する。
なお、図1と同様の部分には同じ番号を用いて記載してある。
図4においてプリンタ本体には文章や図といった画像情報107を送信するパーソナルコンピュータやホストコンピュータなどのコンピュータ機器100が接続されている。このコンピュータ機器100より、プリンタ本体403へ画像情報107が信号線404を介して送信され、送信された画像情報107はプリンタ本体内403の本体CPU103や、本体CPU内に設けられている画像が出力されるまでの間、画像データを一時的に保存する揮発性記憶装置(不図示)などに送られる。
そして、記録用紙1枚に印刷されるすべての画像情報107が取得できたことが確認されれば、プリンタ本体は印刷動作を開始する。印刷動作の開始後、レーザー駆動制御部106に画像情報107が信号線408を介して送信され、画像情報107に応じてレーザースキャナ108のレーザーを信号線410を介して発光・非発光制御する信号を送信して、感光体112上に静電潜像412を形成する。
ここで、コンピュータ機器より送信される画像データは、プリンタ本体の解像度の最小単位である1dot毎に、レーザースキャナの発光を制御するコードが入力されている。たとえば、ドットを打つのか打たないのかといった2値データが保存されている場合や、灰色などのハーフトーンを含んだ多値データなどが保存されている。また、ここで解像度の最小単位である1dotを1画素という。
そして、この1画素毎の2値データ、または、多値データに基づいて、レーザースキャナ108の発光時間や光量が制御され、感光体上に静電潜像の電位差となって現れ、トナーの載り量を制御し濃度を調整し、豊かな階調性を得ている。
通常の画像形成モードでは、画像信号に応じた1画素ごとのデータに基づいて、レーザスキャナ108の発光量(発光時間または発光光量)をCPU103が制御して、レーザを発光させて感光体上に潜像を形成することによって画像を形成している。
これに対して、通常の画像形成モードとは異なる画像形成条件で画像を形成するモード、すなわち、通常の画像形成モードよりもトナーの消費量を低減させてトナーを節約して印字するトナー低消費モードがある。ここで、本実施例のトナー低消費モードについて図5を用いて説明する。本実施例の方法は、画素の集合割合に応じて行う、一律ではないトナー消費量低減のための画像処理方法である。
なお、この通常の画像形成モードとトナー低消費モードの選択は、画像形成装置に設けられているオペレーションパネル(不図示)のスイッチによる選択指示、または、外部コンピュータ(図1の100)などからのコマンド入力などによって選択可能になっている。
図5は、画像形成処理の流れを示した図である。なお、図1と同様の部分については同じ番号を用いて記載してある。
図5において、外部コンピュータ100からレーザプリンタに送信される画像情報がレーザプリンタのCPU103で受信され、CPU103もしくは記憶装置(不図示)に保持される。CPU103は、不図示のオペレーションパネルからの指示信号、もしくは、外部コンピュータからのコマンドに応じて、通常の画像形成モードで印字するか、もしくは、トナー低消費モードで印字するかを判断する。通常の画像形成モードであると判断された場合には、矢印Aでしめされているように、画像情報(元画像)502をレーザ駆動制御部106に送信する。また、トナー低消費モードであると判断された場合には、矢印Bでしめされているように、画像情報(元画像)502を、画像処理を行う画像処理制御部105へ送信する。画像処理部105にて元画像が画素毎に解析され、小面積の画素集合領域である場合と、大面積の画素集合領域である場合に分けられる。パターン処理部50では、小面積の画素集合領域である場合には、504の処理パターンで画像処理され、大面積の画素集合領域である場合には、505の処理パターンで画像処理が行われる。画像処理処理部105へ送られた画像情報506に対し画像処理が行われた後、再び本体CPU103へ送信され、画像処理後の処理画像507としてレーザ駆動制御部106に送信されレーザーの発光制御に使われる。
図6においてトナー消費量を低減させる場合の画像処理の効果を示す。
図6−aにおいて、現像を行う画素集合領域の面積の小さな小面積画像601と画素集合領域の面積の大きな大面積画像602がある。ここであげた小面積画像601と大面積画像602は画像情報604の一部に含まれる。図6−aでのセル603は1画素を示し、600dpiの解像度の場合、1画素=1/600インチに相当する。また、図6−aにおいて画素内に“B”605が付してあるものは現像を行いドットを打つ画素である。また、空白はドットを打たない画素である。
画像処理CPU内で、小面積画像と判断された画素集合領域601に対しては、小面積画像の処理パターンに即して、画像処理が行われる。また、大面積画像と判断された画素集合領域602に対しては、大面積画像の処理パターンに即して、画像処理が行われる。なお、小面積画像の処理パターンは図5の504、大面積画像の処理パターンは図5の505に相当する処理である。
この場合、大面積の画素集合領域とは、例えば、主走査方向8ドット以上、かつ、副走査方向8ドット以上の画素集合領域であり、小面積の画素集合領域とは、主走査方向7ドット以下、かつ、副走査方向7ドット以下の画素集合領域とする。なお、大面積/小面積の画素集合領域の判断は、このドット数に限定されるものではなく、適宜変更可能なものである。
画像処理後の画像情報(図6−b)には、小面積画像606として処理された画素は濃度を大きく低下させないような中間階調データ(ハーフトーン)H1(608)として処理される。また、大面積画像607として処理された画素は濃度を保ちつつトナー消費量を可能なまでに低下させるハーフトーンH2(609)として処理される。なお、大面積画像を処理するハーフトーンH2の処理は、小面積画像を処理するハーフトーンH1の処理よりも濃度をより多く低下させるように設定してある。
図7において、本実施例で用いる2値データを解析しハーフトーン画像化を行い、ハーフトーン画像化に基づいて行うレーザー発光制御について説明を行う。
本実施例ではレーザー発光時間を制御し、発光時間に応じて感光体上に露光された箇所に電位差を生じさせる。
図7において、各プリンタの解像度に応じた1dotを形成するために必要なレーザー発光時間701がある。1dotを形成するための時間を連続して発光703させることで、べた黒画像が形成される。このときの感光体上の電位705は感光体暗部電位Vd707に対し、露光された明部電位Vl708となる。
また、1dotの形成に必要な基本となる1dotあたりのレーザー発光時間を「基準発光時間」701とする。
ここで、レーザー発光時間が例えば基準発光時間に対し50%に制御された場合、1dotを形成するためのレーザー発光時間は702となる。これを連続的に発光704することで、レーザー発光時間を基準発光時間に対し50%に制御されたべた黒画像が形成され、感光体上の電位706は感光体表面電位Vd707に対し、露光された部分はVl’709となり、感光体上の潜像電位が変化710することでトナー消費量を変化させている。
また、このとき、感光体上の露光電位Vlと現像バイアスのDC成分との差を現像コントラストという。また、暗部電位Vdと現像バイアスのDC成分との差をバックコントラストという。
図8−aにレーザー発光時間とドラム上の露光電位Vlをしめす。ここで、横軸は基準発光時間に対するレーザー発光時間の割合を示す。図8−aに示すように、レーザー発光時間が基準発光時間に対し100%〜60%では、ドラム上の露光電位Vlの変化は小さい。また、基準発光時間に対し60%以下においても変化は小さいが徐々に大きな変化を示す。
図8−bにドラム上露光電位Vlとべた黒濃度を示す。図8−bに示すように、ドラム上露光電位に対してべた黒濃度は非線形に変化し、特にドラム上露光電位Vlが小さくなるに従って、べた黒濃度は急激な落ち込みを示す。また、べた黒濃度として、満足のいく値は1.4以上であるので、このときに必要なドラム上露光電位は−200V以上であることがわかり、図8−aよりレーザー発光時間として、基準発光時間に対し60%程度まで削減が可能である。
図8−cにドラム上露光電位Vlと線幅をしめす。このときの線幅は、600dpiの解像度において4dot幅で線画像を書いたものを顕微鏡で測定したものを採用する。また、このときの4dotは約170μmに相当する。図8−cに示すように、線幅はドラム上露光電位Vlに対し、ほとんど変化することなく緩やかに推移していることがわかる。しかし、変化は緩やかではあるもののべた黒濃度と同様にドラム上露光電位Vlに従って細くなっている。また、4dot幅の170μmに対し、満足のゆく画質を得るために必要な線幅は約165μmであるので、165μm以上の線幅を得るためには、ドラム上露光電位として−180V以上必要であることがわかり、図8−aよりレーザー発光時間として、基準発光時間に対し80%程度まで削減が可能である。
以上示したグラフより、べた黒濃度および線幅がドラム上露光電位に影響し、特にべた黒画像において、大きな変化を示している。また、そのそれぞれで満足のゆく画質を保持するためのドラム上露光電位は異なることがわかる。
ここで、べた黒濃度推移と線幅推移を確認する画像データとして、図9に示す。図9に示す画像データは例えばA4サイズの記録紙上の中央に、べた黒濃度を測定するための、5cm四方のべた黒画像901と、それと隣接して、線幅を測定するための、4dot幅で長さが5cm(1180dot)の縦線と横線902を配置する。べた黒濃度としては5cm(1180dot)四方のサンプルを反射濃度測定器(MAcbeth社製RD918)にて測定した結果を用いる。また、線幅としては縦線と横線の線幅を顕微鏡でそれぞれ測定し平均化したものを用いる。
そこで、1dotに点灯する規定のレーザー発光時間(基準発光時間)に対し、べた黒画像901のように大面積画像のレーザー発光時間を60%とし、線画像902のように小面積画像におけるレーザー発光時間を80%とし、通紙枚数に応じてべた黒濃度と線幅変化を確認する。
また、このときの実験では、プロセススピードを200mm/secとし、1分間にA4サイズの記録材を縦送りで連続30枚通紙可能な画像形成装置を使用した。また、トナーカートリッジの容量は1000gを搭載し、1枚につき60mgのトナー消費量で16000枚を通紙可能なカートリッジを用いた。このとき、画像形成装置の解像度を600dpiとし、1dotを形成するために必要な基本となる1dotあたりのレーザー発光時間は63nsecとなる。また、通紙試験に用いられる記録材をA4サイズとし、通紙間隔は、1枚印刷するごとに駆動を停止する1枚間欠通紙モードにて行う。
さらに、本実施例においては、画像処理を行う上で、小面積と区別する画素集合領域を、縦10dotもしくは横10dot以下の場合とし、大面積と区別する画素集合領域を、縦11dotかつ横11dot以上の場合として、トナー消費量を低減させるモードとしてはレーザ発光時間を制御してトナー消費量を低減させる低消費モード用いる。
さらに、べた黒濃度測定や線幅測定は、図9に示す画像サンプルを用い、本実施例では2000枚毎にサンプリングを行う。また、本実験では低消費モードを採用した場合のべた黒濃度推移と線幅推移を確認したいことから、大面積と判断された場合のレーザー発光時間が基準発光時間に対し60%、小面積と判断された場合のレーザー発光時間が基準発光時間に対し80%であることから、通常、トナー消費量を低減させないで使用した場合の1.5倍程度の通紙枚数(通紙積算枚数)まで印字させて、べた黒濃度や線幅の測定を行った。
その結果、べた黒濃度推移は図10−a、線幅推移は図10−bに示すように、通紙枚数に応じて常に減少していることがわかる。
そこで、通紙耐久を終えたトナーカートリッジを用いてレーザー発光時間とドラム上の露光電位を測定する。その結果、図11に示すように、波線に示す通紙試験開始時に測定した推移に対し、実線に示す通紙試験後に測定した推移は、ドラム上露光電位が上昇していることがわかる。さらに、レーザー発光時間が基準発光時間に対し100%の場合、通紙試験を行う前後でドラム上露光電位がほとんど変化していないのに対し、べた黒画像のような大面積画像で用いたレーザー発光時間が基準発光時間に対し60%付近の変化が非常に大きいことがわかる。
さらに、特に画質の劣化が激しいべた黒画像について、通紙枚数とドラム上露光電位Vlの推移を見ると、図12に示すようになる。ドラム上露光電位が通紙枚数に応じてほぼ直線的に変化していることがわかる。
これは、通紙試験を行うこと、すなわち感光体ドラムの使用量によって、トナーカートリッジの感光体の露光特性が変化していることがわかる。また、感光体の露光特性の変化は、感光層の膜厚変化に起因すると考えられる。さらに、感光層の膜厚変化は通紙枚数に応じて変化するのでドラム上露光電位も通紙枚数に応じて変化することがわかる。加えて、図8−aで示すように特に劣化の激しかったレーザー発光時間を基準発光時間に対し60%にしたべた黒濃度推移はドラム上露光電位が低下すればするほど大きく変化していることから、レーザー発光時間を短くすることでトナー消費量を変化させる低消費モードを搭載する場合に特有の問題であることがいえる。これに対して低消費モードではない通常の画像形成モードにおいては、感光ドラム使用量に応じたドラム上の露光電位の変動、つまり、べた黒画像の濃度変動、線幅などの変動はほとんど問題ないレベルの変動である。
ここで、感光層の膜厚変化について、通紙枚数に応じて変化するとの説明を行った。しかし、通紙枚数と膜厚変化の関係は間欠耐久や連続耐久といった通紙条件によって変化してしまう。これは、感光層の膜厚変化は、使用によるドラム表面層の摩耗によるものであり、ドラムの回転数および帯電バイアスの印加時間に応じるからである。そこで、本実験では通紙間隔を1枚間欠に揃えて行ったが、1枚間欠は記録材が通紙する時間に加え、前回転処理、および後回転処理を行う間にも、帯電バイアスは印可され、ドラムの回転数も多い為、通紙試験を行う上で一番感光層を削る速度が速い。例えば図21に示すように、感光層の削れ速度が速い1枚間欠を行った場合と、感光層の削れ速度の遅い連続通紙を行った場合の感光体上露光電位を比べると、通紙枚数において、ドラム上露光電位が削れ速度の速い1枚間欠の変化に比べ、削れ速度の遅い連続通紙の変化は非常に緩やかであることがわかる。
感光体の膜厚変化は通紙枚数における変化に比べ、帯電バイアスの印加時間とドラム回転時間のそれぞれに感光層を削らせる寄与率を乗じた値の総和であるドラム使用量を用いるのが適当である。そこで、本実施例では感光体の膜厚と相関のあるドラム使用量を用いる。
また、ドラム使用量の計算式は、帯電バイアス印可時間をPt、ドラム回転時間をDtとすると、ドラム使用量Wは、以下の計算式となる。
W=a×Pt+b×Dt
ここで、係数aおよびbはカートリッジ構成や本体構成、印加バイアスに応じて変化する、感光層の膜厚変化における寄与率であり、本実施例の構成では、a=1、b=0.28である。また、PtおよびDtの時間を図22に示す。図22において、1枚間欠通紙を行った場合、印加時間は前回転時の印加時間と通紙時の印加時間と後回転時の通紙時間の総和である。また、連続通紙を行った場合、印加時間は後回転および前回転は行われないので、通紙時の印加時間と紙間時の印加時間の総和である。さらに、図23において通紙枚数に対するドラム使用率Wの相関関係は、削れ速度の速い1枚間欠の場合と、削れ速度の遅い連続通紙の場合、それぞれの相関関係を示している。また、本実施例では、通紙モードとして1枚間欠モードを用いて行う。
そこで、本実施例では、トナーカートリッジのドラム使用量に応じて、画像集合の1dotあたりの規定の基準発光時間(レーザ発光時間)を変化させて、ドラム上の露光電位を通紙枚数(ドラム使用量)によらず一定にする制御を行う。
本実施例では、べた黒画像のような大面積画素集合領域の1dotあたりの基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合と、線画像のように小面積画素集合の1dotあたりの基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合とを通紙枚数(ドラム使用量)によらず、一定の変化の割合とする。本実施例の場合は、大面積画素集合領域の1dotあたりの基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合を60%とし、線画像のように小面積が素集合の1dotあたりの基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合を80%とする。
すなわち、本実施例では、レーザの変調度(発光時間の変化の割合)を例えば60%または80%と一定にして、基準となる1ドット当りの発光時間を変化させることにより、ドラム上の露光電位を所望の電位になるようにしている。
本実施例では前述の実験で用いた実験装置(画像形成装置およびトナーカートリッジ)を用いる。
また、通紙枚数(ドラム使用量)に応じて、特にべた黒画像濃度の変化が大きいため、本実施例ではべた黒画像の濃度に注目して検討を行った。
はじめに、各通紙枚数においてべた黒画像の濃度が1.4以上となるドラム上露光電位−200Vを得るために必要な、基本となる1dotあたりのレーザー発光時間(基準発光時間)を確認する。測定間隔としては、本実施例では5000枚毎として行う。その結果、べた黒濃度推移を1.4以上とするドラム上露光電位−200Vを得るためにの基本となる1dotあたりのレーザー発光時間は図13に示すようになる。図13は像形成担持体使用量0〜181200までのレーザ点灯幅の1ドット当りのレーザの基準発光時間を示している。ここで像形成担持体使用量はプリント枚数そのものではなく、前述した使用量Wの値である。
そこで、図13で得られたべた黒濃度が1.4以上となる基準発光時間をもちいて、実際に通紙試験を試みて、べた黒濃度推移と線幅推移を確認する。また、6つの低消費モード1〜6を、それぞれ像形成担持体使用量が0、37750(プリント枚数5000枚相当)、75500(プリント枚数10000枚相当)、113250(プリント枚数15000枚相当)、151000(プリント枚数20000枚相当)、181200(プリント枚数25000枚相当)の場合に対応させて設定する。そして、切り替えのタイミングとして、像形成担持体使用量Wがそれぞれに達した場合に、レーザーの基準発光時間を切り替える。画像形成条件、各枚数で切り替えを行う枚数と基本となる1dotあたりのレーザー発光時間の対応を図14に示す。
その結果、図15−aで示すように、べた黒画像に関しては、通紙試験を通じて(通紙枚数に対して)安定した濃度を示すことが可能となった。また、線画像に関しては、図15−bに示すように後半、線幅の増加が見られるものの、ほぼ安定した線幅推移を得ることが可能となった。
さらに、本実施例で求められた閾値情報をカートリッジに付属の記憶装置に記憶させる。たとえば、同一条件下にて通紙試験を行った場合に、カートリッジの感光ドラム、その他構成要素の特性などによっては感光層の削れ速度が異なる場合もある。そういった場合、本体CPU内のROM(不図示)に予め記憶してある閾値情報を用いて制御を行った場合には、カートリッジ毎に閾値情報を変更することができず、ドラム使用量に応じた補正を狙い通りに行うことができなくなる。一方、カートリッジに付属の記憶装置に閾値情報を記憶している場合は、カートリッジの構成要素に応じた最適な閾値情報を記憶させておき、カートリッジ個々の特性に依存した感光層の削れ速度変化に対応した最適な制御を行うことができる。
本実施例における低消費モードの制御フローを図1、図14、図16を用いて説明する。
プリンタに接続されているコンピュータなどからの印刷命令とともに画像情報(画像信号)が送信されてプリンタにおける制御が開始される(1601)。画像情報を全て受信したかを、本体CPU103で判断した後(1602)、IO制御部104によってカートリッジに付属の記憶装置より閾値情報を読み込み、CPU103において、ドラム使用量を閾値情報と比較し、図14に示されているドラム使用量の閾値情報に応じた低消費モードが選択される(1604)。低消費モードの選択後、画像処理制御部105において画像処理が行われ(1605)、画素集合領域が大面積の場合(1609)、画素集合領域が小面積の場合(1610)、印字する画素がない場合(空白ドットの場合)など(1611)に分岐し、それぞれの画素の割合に応じた画像処理が画像処理制御部105において行われる(1614)。その後、CPU103において、得られた画像情報に対し未処理の画像があるか否かを判断し(1608)、画像処理が終了したことが確認されたら(1606)、画像形成を行う際に、選択された低消費モードに応じて、CPU103からレーザ駆動制御部106に対してレーザ発光時間を変更するように指示する信号が出力されて、基本となる1dotあたりのレーザー発光時間をドラム使用量の閾値情報に応じて変化させて(1607)、感光ドラム上にレーザー露光し、画像形成1612を行う。その後終了処理を行い、全ての印刷動作が終了する(1613)。
以上説明したように、カートリッジのドラム使用量(通紙枚数)に応じて、画像集合の1dotあたりの基準発光時間に対するレーザ発光時間を変化させて、ドラム上の露光電位をドラム使用量(通紙枚数)によらず一定にする制御を行うことによって、ドラムの使用によるドラム膜厚変化によらず、可能な限りトナー消費量を低減し、かつ、安定した画質を維持できる低トナー消費モードを行うこが可能となる。
なお、本実施例では、べた黒画像のような大面積画素集合領域の1dotあたりの基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合と、線画像のように小面積画素集合の1dotあたりの基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合とを通紙枚数(ドラム使用量)によらず一定の割合に設定して制御を行った。
また、本実施例では切り替える低消費モードを6種類持つ構成について説明したが、この限りではない。低消費モードをさらに沢山持ち、様々なモードにおいて適正な低消費モードを使用することで、効果的に安定した画質の低消費モードを提供することが可能となる。
各低消費モードで、画素集合領域が小面積の場合と画素集合領域が大面積の場合という分け方で画像処理を行ったが、これに限られたものではなく、さらに詳細に画素解析を行い、さらに詳細な場合分けを行うことも可能である。
本実施例においても、画素集合領域の輪郭部分にたいし、トナー消費量低減操作を行わないシーケンスを加えることも有効である。
本実施例で説明した、プロセススピードや解像度、レーザー発光時間に関し、これに限られたものではない。また、ドラム使用量、および、算出式、算出に用いた感光層の膜厚変化に対する寄与率、帯電バイアス印加時間、現像バイアス印加時間はこれに限られたものではない。
(実施例2)
前記実施例1ではドラム使用量に応じて、基本となる1dotあたりのレーザー発光時間を変化させることによって、画質の安定した低消費モードを提供することが可能となった。しかし、前記実施例1では、べた黒濃度をドラム使用量に応じず濃度を1.4以上に保つことが可能になった。しかし、線幅推移に関しては、ドラム使用量に応じて増加する傾向が見られた。
また、線幅が増加した場合、線画像を多用したものや、線画像と判断された画素集合領域が比較的狭い範囲に集まった場合、実施例1の方法では、ベタ画像に注目した制御となっているため、本来それぞれの画像が孤立しているべきであるものが、つながってしまい画像つぶれが発生する可能性がある。
そこで、本実施例では、基本となる1dotあたりのレーザー発光時間701(図7参照)を一定とし、ドラム使用量(通紙枚数)に応じて、べた黒画像のような大面積画素集合領域の基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合と、線画像のように小面積画素集合領域の基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合とを各々異なる割合に設定して変化させることを特徴とする。
ここで、べた黒画像などの大面積画素集合領域に対する適正な基準発光時間に対するレーザー発光時間は前記実施例1により既に求められていることから、本実施例での説明は省略する。また、画像形成装置の制御及びプロセスカートリッジの説明(図1)、画像処理の概要の説明(図4)、画像処理方法の説明(図5〜図12)、感光体ドラムの使用量算出の説明については、実施例1と同様であるため説明を省略する。
本実施例では、線画像のような小面積画素集合領域に対する適正なレーザー発光時間を求める。ここで、小面積画素集合領域として、前記実施例1と同様に4dot幅の線画像を用いる。また、4dot幅の線画像において、安定した画質を得るためには、165μm以上必要である。また、4dot幅の線画像が165μm以上の線幅を得るためにドラム上露光電位は−180V以上必要とする。そこで、通紙試験(通紙枚数)を通してドラム上露光電位が−180V以上となるレーザー発光時間を確認する。測定間隔としては、本実施例では5000枚毎として行う。その結果、線幅推移を165μm以上とするドラム上露光電位−180Vを得るためにレーザー発光時間は図17に示すようになる。
そこで、図17で得られた線幅が165μm以上となる基準発光時間に対するレーザー発光時間をもちいて、通紙試験における線幅推移を確認する。また、切り替えのタイミングとして、ドラム使用量の値がW=75500(10000枚目)で線幅が165μm以上を満たすための基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合(83%:32nsec)をドラム使用量の値がW=37750(5000枚目)で切り替える。同様に、各枚数で切り替えを行う枚数とレーザー発光時間の対応を図18に示す。また、前記実施例1で求められたべた黒画像における、ドラム使用量に応じたレーザー発光時間を併記する。
その結果、図19−aおよび図19−bで示すように、べた黒画像の濃度推移、および、線画像の線幅推移のそれぞれにおいて、ドラム使用量によらず安定した満足のゆく画質を得ることが可能となった。
また、本実施例においても、前記実施例1で述べたように閾値情報をカートリッジに付属の記憶装置内に記憶することが効果的である。
本実施例における低消費モードの制御フローを図1、図18、図20を用いて説明する。
プリンタに接続されているコンピュータなどからの印刷命令とともに画像情報が送信されてプリンタにおける制御が開始される(2001)。画像情報を全て受信が行われたかをCPU103で判断した後(2002)、IO制御部104によってカートリッジに付属の記憶装置より閾値情報を読み込み、CPU103でドラム使用量を閾値情報と比較し、図18に示されるドラム使用量の閾値情報に応じて低消費モードが選択される(2004)。低消費モードの選択後、画像処理制御部105において画像処理が行われ(2005)、画素集合領域が大面積の場合(2009)、画素集合領域が小面積の場合(2010)、印字する画素がない場合(空白ドットの場合)など(2011)に分岐し、それぞれの画素の割合に応じた画像処理が画像処理制御部105において行われる(2012)。その後、CPU103において、得られた画像情報に対し未処理の画像があるか否かを判断し(2008)、画像処理が終了したことが確認されたら(2006)、画像形成を行う際に、選択された低消費モードに応じて、CPU103からレーザ駆動制御部106に対してレーザ発光時間を変更するように指示する信号が出力されて、基本となる1dotあたりのレーザー発光時間を、画素集合領域が大面積の場合と小面積の場合のそれぞれにおいて、ドラム使用量の閾値情報に応じて変化させて(2007)、感光ドラム上にレーザー露光し、画像形成を行う(2008)。その後終了処理を行い全ての印刷動作が終了する(2009)。
以上説明したように、本実施例では、カートリッジのドラム使用量(通紙枚数)に応じて、べた黒画像のような大面積画素集合領域の基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合と、線画像のように小面積画素集合領域の基準発光時間に対するレーザー発光時間の変化の割合とを各々異なる割合に設定して変化させることで、ドラムの使用によるドラム膜厚変化によらず、可能な限りトナー消費量を低減し、かつ、安定した画質を維持できる低トナー消費モードを行うこが可能となる。
本実施例では切り替える低消費モードを6種類持つ構成について説明したが、この限りではない。低消費モードをさらに沢山持ち、様々なモードにおいて適正な低消費モードを使用することで、効果的に安定した画質の低消費モードを提供することが可能となる。
各低消費モードで、画素集合領域が小面積の場合と画素集合領域が大面積の場合という分け方で画像処理を行ったが、これに限られたものではなく、さらに詳細に画素解析を行い、さらに詳細な場合分けを行うことも可能である。
本実施例においても、画素集合領域の輪郭部分にたいし、トナー消費量低減処理を行わないシーケンスを加えることも有効である。
また、本実施例では2値データにおいて説明を行った。しかし、これに限られたものではなく、多値データに関しても、濃度の低下率を多値データそれぞれに応じて変化させるなどの手段を用いることで、同様の効果を得ることが可能である。
本実施例で説明した、プロセススピードや解像度、レーザー発光時間に関し、これに限られたものではない。
ここで、上記の本実施例1〜2で説明したカートリッジの付属の記憶装置の詳細について説明する。
図24は、本実施例1〜2で用いる記憶装置の記憶領域2801の概念図を示している。
例えば、記憶領域には画像形成に必要なプロセス設定値が格納されている領域2802と通紙動作に応じて増加する通紙履歴情報を記憶するために確保している領域2803と、カートリッジの固有情報(例えばシリアルNo.)などを記憶している領域2804とにわけられる。
画像形成に必要なプロセス設定値2802には、使用されるに従って切り替えられるプロセス設定値2805やカートリッジによっては一定なプロセス設定値2806とがある。切り替えを必要とするプロセス設定値2805の領域には、切り替える枚数や回転数と言った閾値2807と、切り替えるプロセス設定値2808を記憶している。
また、カートリッジを使用することによって生じる、ドラムの回転数データや、通紙枚数と言った通紙履歴情報を記憶するための領域2803が、取りうる値の最大値が十分記憶できるように、十分な容量が確保されている。
上記実施例1、2で説明したドラム使用量の閾値情報は、図24では2807の記憶領域に記憶されている。ドラムの使用量がこの閾値情報に到達したタイミングで、実施例1、2において説明したようにレーザ発光時間の変更を行う制御を実行する。
また、上述したドラム使用量の計算式によって算出されたドラム使用量Wを記憶装置の領域2803に更新して記憶させておき、その情報を読み出して、記憶装置の領域2807に記憶されている閾値情報と比較して、ドラム使用量が閾値情報に到達したタイミングで実施例1、2の制御を行っても良い。
また、ドラム使用量を計算するために用いるは、帯電バイアス印可時間をPt、ドラム回転時間をDtを記憶装置の領域2803に更新して記憶し、係数a、bを記憶装置の領域2804に記憶させておき、ドラム使用量Wの計算に用いても良い。
なお、この閾値情報に応じたレーザ発光時間をプロセス設定値2808の記憶領域に記憶しておき、ドラムの使用量がこの閾値情報に到達したタイミングで読み出して使用してもよい。
なお、記憶装置の記憶領域の設定の仕方は、図24に示すような設定に限らず、例えば、1つの閾値情報に対して、複数のプロセス設定値を設定するなど適宜変更可能であることは言うまでもない。
(実施例3)
実施例2において、カートリッジの使用量に応じて、1dot当りの規定の基準発光時間701(図7参照)に対するレーザ発光時間の割合を変化させることによって、ドラム上露光電位を通紙枚数によらず一定にするよう制御した。それに対して、本実施例では、トナーカートリッジのドラム使用量に応じて、レーザー光の光量を変化させ、ドラム上露光電位を通紙枚数によらず一定にすることを特徴とする。ここで、レーザー光の光量とは、単位面積あたりのレーザー発光エネルギー(単位:mj/m^2)のことである。
なお、画像形成装置の制御及びプロセスカートリッジの説明(図1)、画像処理の概要の説明(図4)、画像処理方法の説明(図5〜図12)、感光体ドラムの使用量算出の説明については、実施例1と同様であるため説明を省略する。
なお、本実施例でも前述の実験で用いた実験装置(画像形成装置及びカートリッジ)を用いる。また、本実施例においても通紙枚数(ドラム使用量)に応じて、特にべた黒画像濃度の変化が大きいため、本実施例ではべた黒画像の濃度に注目して検討を行う。
はじめに、各通紙枚数においてべた黒画像の濃度が1.4以上となるドラム上露光電位−200Vを得るために必要な、レーザー光量を確認する。測定間隔としては、本実施例では5000枚毎として行う。その結果、べた黒濃度推移を1.4以上とするドラム上露光電位−200Vを得るためのレーザー光量は図25に示すようになる。
そこで、図25で得られたべた黒濃度が1.4以上となるレーザー光量をもちいて、通紙試験におけるべた黒濃度推移と線幅推移を確認する。また、切り替えのタイミングとして、ドラム使用量の値がW=75500(10000枚目)でべた黒濃度が1.4以上を満たすためのレーザー光量をドラム使用量の値がW=37750(5000枚目)で切り替える。同様に、各枚数で切り替えを行う枚数とレーザー光量の対応を図26に示す。
その結果、図27−aで示すように、べた黒画像に関しては、通紙試験を通じて安定した濃度を示すことが可能となった。
また、線画像に関しては、図27−bに示すように後半若干の線幅増加が見られるものの、安定した線幅推移を得ることが可能となった。
本実施例における低消費モードの制御フローを図1、図26、図28を用いて説明する。
プリンタに接続されているコンピュータなどから印刷命令とともに画像情報が送信されてプリンタにおける制御が開始される(1901)。画像情報を全て受信が行われたかをCPU103で判断した後(1902)、IO制御部104によってカートリッジに付属の記憶装置より閾値情報を読み込み、CPU103でドラム使用量を閾値情報と比較し(1904)、図26に示されるドラム使用量の閾値情報に応じたレーザー光量が選択される(1907)。レーザー光量の選択後、画像処理制御部105において画像処理が行われ(1905)、画素集合領域が大面積の場合(1909)、画素集合領域が小面積の場合(1910)、印字する画素がない場合(空白ドットの場合)など(1911)に分岐し、それぞれの画素の割合に応じた画像処理が行われる(1914)。その後、得られた画像情報に対し未処理の画像があるか否かを判断し(1908)、画像処理が終了したことが確認されたら(1906)、画像形成を行う。画像形成を行う際には、選択されたレーザー光量にて、感光ドラム上にレーザー露光し、画像形成を行う(1912)。その後終了処理を行い、全ての印刷動作が終了する(1913)。
なお、本実施例においても、実施例1、2と同様に、カートリッジの記憶装置にドラム使用量の閾値情報を記憶させておき、ドラム使用量が閾値情報に到達したタイミングで画像形成条件であるレーザー光量値を変更する制御を行う。
記憶装置については図24と同様の構成であり、本実施例で説明したドラム使用量の閾値情報は、図24では2807の記憶領域に記憶される。なお、閾値情報に応じたレーザ光量値を2808に記憶させておいてもよい。
また、実施例1,2と同様、上述したドラム使用量の計算式によって算出されたドラム使用量Wを記憶装置の領域2803に更新して記憶させておき、その情報を読み出して、記憶装置の領域2807に記憶されている閾値情報と比較して、ドラム使用量が閾値情報に到達したタイミングで実施例1、2の制御を行っても良い。
また、実施例1,2と同様、ドラム使用量を計算するために用いるのは、帯電バイアス印可時間をPt、ドラム回転時間をDtを記憶装置の領域2803に更新して記憶し、係数a、bを記憶装置の領域2804に記憶させておき、ドラム使用量Wの計算に用いても良い。
以上説明したように、カートリッジのドラム使用量(通紙枚数)に応じて画像集合の1dotあたりのレーザー光量を変化させることによって、ドラム使用量に応じた感光体上露光電位の変化を一定に保ち、ドラムの使用によるドラム膜厚変化によらず、可能な限りトナー消費量を低減し、かつ、安定した画質を維持できる低トナー消費モードを行うこが可能となる。
本実施例では切り替えるレーザー光量および切り替え閾値を5種類持つ構成について説明したが、この限りではない。レーザー光量をさらに沢山持ち、様々なモードにおいて適正なレーザー光量を使用することで、効果的に安定した画質の低消費モードを提供することが可能となる。
各低消費モードで、画素集合領域が小面積の場合と画素集合領域が大面積の場合という分け方で画像処理を行ったが、これに限られたものではなく、さらに詳細に画素解析を行い、さらに詳細な場合分けを行うことも可能である。
本実施例においても、画素集合領域の輪郭部分にたいし、トナー消費量低減操作を行わないシーケンスを加えることも有効である。
本実施例で説明した、プロセススピードや解像度、レーザー発光時間に関し、これに限られたものではない。また、ドラム使用量、および、算出式、算出に用いた感光層の膜厚変化に対する寄与率、帯電バイアス印加時間、現像バイアス印加時間はこれに限られたものではない。
(実施例4)
前記、実施例3において、ドラム使用量に応じて感光層が削れ、削れることによってドラム上露光電位が変化した場合であっても、レーザー光量をドラム使用量に応じて変化させ、ドラム上露光電位が一定となるように切り替えることで、画質の安定した低消費モードを提供することが可能となった。
本実施例では、ドラム使用量に応じて、現像バイアスと帯電バイアスを変化させることで、バックコントラストを変えることなく現像コントラストを一定に保つことで、画質を安定した低消費モードを提供する。
なお、画像形成装置の制御及びプロセスカートリッジの説明(図1)、画像処理の概要の説明(図4)、画像処理方法の説明(図5〜図12)、感光体ドラムの使用量算出の説明については、実施例1と同様であるため説明を省略する。
以下、本実施例の説明を行う。
また、このときの低消費モードおよび実験条件は前記実施例1で説明したものと同一条件にて行う。
はじめに、ドラム使用量と現像コントラストの関係を確認すると、前記実施例1出説明したものと同様に、現像バイアスのDC成分が−450Vである。図29より、現像コントラストが通紙試験初期、すなわちドラム使用量W=0では250Vあったものが、ドラム使用量W=18000付近では100V程度にまで低下してしまっていることがわかる。
そこで、ドラムの使用量に応じて、現像コントラストが常に250V以上となるように、現像バイアスのDC成分を変化させる。ここで、現像バイアスのDC成分のみを変化させてしまうと、現像コントラストは一定に保つことが可能であるが、ドラム上帯電電位とのバックコントラストの値が減少し、現像かぶりを生じさせてしまうことがある。そこで、現像バイアスのDC成分とともに帯電バイアスのDC成分も変化させ、バックコントラストを一定と保つようにする。
また、ドラム上帯電電位を変化させた場合であっても、スキャナーレーザーにより露光されたドラム上露光電位はほとんど変化しない。
ここで、ドラム使用量に対する現像バイアスDC成分および、帯電バイアスDC成分を図30とする。そこで、図30を用いて通紙試験を行った場合の濃度推移を説明する。
この結果、図31−a(べた黒濃度)および図32−b(線幅)となり、バックコントラストを保ちながら、現像コントラストを250V以上となるように切り替えることで、ドラム使用量に応じて、べた黒濃度推移および線幅推移が低下していたものが、通紙試験を通じて安定した画像を得ることが可能となった。
また、本実施例における低消費モードの制御フローを図1、図30、図32を用いて説明する。
プリンタに接続されているコンピュータなどから印刷命令とともに画像情報が送信されてプリンタにおける制御が開始される(2301)。画像情報を全て受信が行われたかをCPU103で判断した後(2302)、カートリッジに付属の記憶装置より閾値情報を読み込み、CPU103でドラム使用量を閾値情報と比較し(2304)、図30に示されているドラム使用量の閾値情報に応じた現像バイアス(2315)および帯電バイアス(2307)が選択され、画像処理制御部105において画像処理が行われ(2305)、画素集合領域が大面積の場合(2309)、画素集合領域が小面積の場合(2310)、印字する画素がない場合(空白ドットの場合)など(2311)に分岐し、それぞれの画素の割合に応じた画像処理が行われる(2314)。その後、得られた画像情報に対し未処理の画像があるか否かを判断し(2308)、画像処理が終了したことが確認されたら(2306)、画像形成を行う。画像形成を行う際には、ドラム使用量の閾値情報に応じて選択された帯電バイアスによって感光ドラムが帯電され、感光ドラム上にレーザー露光し、スキャナーレーザーによって感光ドラム面上に形成された静電潜像に、ドラム使用量の閾値情報に応じて選択された現像バイアス及び帯電バイアスによって形成された現像コントラストによって画像形成を行う(2312)。その後終了処理を行い、全ての印刷動作が終了する(2313)。
なお、本実施例においても、実施例1〜3と同様に、カートリッジの記憶装置にドラム使用量の閾値情報を記憶させておき、ドラム使用量が閾値情報に到達したタイミングで画像形成条件である現像バイアス値、帯電バイアス値を変更する制御を行う。
記憶装置については図24と同様の構成であり、本実施例で説明したドラム使用量の閾値情報は、図24では2807の記憶領域に記憶される。なお、閾値情報に応じた現像バイアス値、帯電バイアス値をプロセス設定値2808の記憶領域に記憶させてもよい。
また、実施例1,2と同様、上述したドラム使用量の計算式によって算出されたドラム使用量Wを記憶装置の領域2803に更新して記憶させておき、その情報を読み出して、記憶装置の領域2807に記憶されている閾値情報と比較して、ドラム使用量が閾値情報に到達したタイミングで実施例1、2の制御を行っても良い。
また、実施例1,2と同様、ドラム使用量を計算するために用いるのは、帯電バイアス印可時間をPt、ドラム回転時間をDtを記憶装置の領域2803に更新して記憶し、係数a、bを記憶装置の領域2804に記憶させておき、ドラム使用量Wの計算に用いても良い。
以上説明したように、ドラム使用量(通紙枚数)に応じて変化するドラム上露光電位を、現像バイアスを変化させ、現像コントラストを一定に保ち、また、現像コントラストを一定にするため現像バイアスを変化させるのと同時に、帯電バイアスも同様に変化させ、ドラム上帯電電位を変化させることで、バックコントラストを一定に保ち、現像かぶりなどの問題を生じさせず、安定した画像を維持できる低トナー消費モードを行うことができる。
本実施例では説明したような帯電バイアス、現像バイアスのそれぞれの値は、これに限られたものではない。
また、閾値、および切り替えタイミング、切り替えの数についてもこれに限られたものではない。
なお、上記実施例1〜4の感光ドラムの使用量に応じた制御は、説明するまでもないがトナー低消費モードにおいて実行されるものであり、通常の画像形成モードにおいては実行されないものである。
なお、上記実施例1〜4で説明したトナー低消費モードにおける感光ドラム上の露光電位の変動を低減させるための制御とは別に、通常の画像形成モード時およびトナー低消費モード時において、画質を維持するために、感光ドラムの使用量に応じて帯電条件または現像条件を切り替える制御を実施している。この場合は、上記実施例で説明したドラム使用量のしきい値とは異なるしきい値を用いて帯電条件または現像条件を切り替えることになる。