ところが、特許文献1に記載のマスキング方法の場合、マスキングした状態では、粘着防止フィルム103が保護フィルム101によって完全に覆い隠されてしまい、不可視となる。それゆえ、粘着防止フィルム103を配置し忘れたとしても、有無の確認を行うことができず、配置し忘れの事実を看過してしまうおそれがある。この場合、フィルム剥離時にソルダーレジストがダメージを受け、歩留まりの低下につながってしまう。
また、一般的に配線基板の製造においては、材料の使用量をできるだけ減らすことにより、製造コストを低く抑えかつ産業廃棄物量を少なくしたいという要望がある。ところが、特許文献1に記載のマスキング方法では、粘着フィルムの使用量が比較的多いため、いまだ改善の余地があるといえる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、配線基板側へのダメージが少なく、液もぐりが起きにくく、かつ薬液への溶出が殆どないマスキング方法でめっきを行うことができ、しかも製造コスト及び産業廃棄物量の低減を図りやすい配線基板の製造方法を提供することにある。
そして上記課題を解決するための手段としては、第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面側にめっき層付きの第1主面側接続端子を備え、前記第2主面側にめっき層付きの第2主面側接続端子を備える配線基板の製造方法において、めっき液耐性を有する一方で粘着成分を実質的に有しないマスク材を、前記第1主面の第1主面側接続端子を覆うようにして配置するとともに、めっき液耐性を有する支持体上に粘着層を形成してなる粘着材を前記マスク材の外周部分全体につきマスク材外面側から覆うように貼り付けて、前記マスク材をその一部を露出させた状態で前記第1主面に固定するマスキング工程と、めっきを施すことにより、第2主面側接続端子の表面側にめっき層を形成するめっき工程と、前記めっき工程後に前記マスク材及び前記粘着材を除去する除去工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
上記課題を解決するための別の手段としては、第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面に搭載する電子部品の接続端子とはんだを介して接続されるめっき層付きの第1主面側接続端子を備え、前記第2主面で接続する他の基板の接続端子と機械的に接触接続されるめっき層付きの第2主面側接続端子を備える配線基板の製造方法において、第1金めっきを施すことにより、第1主面側接続端子の表面上及び第2主面側接続端子の表面上に第1金めっき層を形成する第1めっき工程と、めっき液耐性を有する一方で粘着成分を実質的に有しないマスク材を、前記第1主面の前記第1金めっき層を覆うようにして配置するとともに、めっき液耐性を有する支持体上に粘着層を形成してなる粘着材を前記マスク材の外周部分全体につきマスク材外面側から覆うように貼り付けて、前記マスク材をその一部を露出させた状態で前記第1主面に固定するマスキング工程と、第2金めっきを施すことにより、前記第2主面側接続端子の表面の前記第1金めっき層上に第2金めっき層を形成する第2めっき工程と、前記第2めっき工程後に前記マスク材及び前記粘着材を除去する除去工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
そして、これらの製造方法によれば、粘着材をマスク材に貼り付けた状態でも、マスク材の一部が露出するため、マスク材の有無を確認することができる。よって、マスク材を配置し忘れることにより、粘着材の剥離時に配線基板側が大きなダメージを受けるのを防止することができる。また、上記製造方法によれば、粘着材の粘着層が第1主面側接続端子に付着しないため、粘着材の粘着力を強くしても配線基板側へのダメージは少ない。ゆえに、粘着材の粘着力を強くして密着強度を高めることができるため、液もぐりが起きにくくなる。しかも、粘着材は、薬液への溶出が殆どない。従って、配線基板側へのダメージが少なく、液もぐりが起きにくく、かつ薬液への溶出が殆どない方法でめっきを行うことができる。
また、粘着材は、マスク材全体にではなく外周部分のみに貼り付けられるため、使用量を減らすことができる。これにより、配線基板の製造コストの低減を図りつつ、産業廃棄物量の低減を図ることができる。
本発明の配線基板は、第1主面及び第2主面を有しており、絶縁層と導体とを含んで構成されている。前記配線基板の主体部分を構成する材料としては、樹脂、セラミック、金属などを挙げることができる。これらの材料はコスト性、孔加工の容易性、導電性などを考慮して適宜選択される。
配線基板に使用される好適な樹脂としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)などが挙げられる。そのほか、これらの樹脂と、ガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基板にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料を使用してもよい。
配線基板に使用される好適なセラミックとしては、例えば、アルミナ、ベリリア、窒化アルミニウム、窒化ほう素、炭化珪素、ガラスセラミック、結晶化ガラス等の低温焼成材料等がある。
配線基板に使用される好適な金属としては、例えば、銅板や銅合金板、銅以外の金属単体や銅以外の金属合金などが挙げられる。銅合金としては、アルミニウム青銅(Cu−Al系)、りん青銅(Cu−P系)、黄銅(Cu−Zn系)、キュプロニッケル(Cu−Ni系)などがある。銅以外の金属単体としては、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル、モリブテンなどがある。銅以外の合金としては、ステンレス(Fe−Cr系、Fe−Cr−Ni系などの鉄合金)、アンバー(Fe−Ni系合金、36%Ni)、いわゆる42アロイ(Fe−Ni系合金、42%Ni)、いわゆる50アロイ(Fe−Ni系合金、50%Ni)、ニッケル合金(Ni−P系、Ni−B系、Ni−Cu−P系)、コバルト合金(Co−P系、Co−B系、Co−Ni−P系)、スズ合金(Sn−Pb系、Sn−Pb−Pd系)などがある。
前記配線基板における内層や外層には導体(配線パターンやビア導体など)が設けられるとともに、それら導体は前記絶縁層によって互いに隔てられている。かかる導体は、配線基板の片側面において1層のみ配置されていてもよいほか、配線基板の片側面において2層以上配置されていてもよい。この場合、配線基板の片側面に導体と樹脂絶縁層とを交互に積層してなるビルドアップ層が形成されていてもよい。
前記導体は主として銅からなり、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって形成される。具体的にいうと、例えば、銅箔のエッチング、無電解銅めっきあるいは電解銅めっきなどの手法が適用される。なお、スパッタやCVD等の手法により薄膜を形成した後にエッチングを行うことで導体を形成したり、導電性ペースト等の印刷により導体を形成したりすることも可能である。
前記配線基板の最表層には、配線基板の第1主面及び第2主面のうちの少なくともいずれか一方を覆うことで外層の導体を保護するソルダーレジストが配置されていてもよい。かかるソルダーレジストとしては、例えば熱硬化性樹脂が好適である。前記ソルダーレジストは、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択されることができる。熱硬化性樹脂の好適例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリエステル樹脂、けい素樹脂等がある。
前記配線基板は、第1主面側に搭載される電子部品の接続端子とはんだ接続するためのめっき層付きの第1主面側接続端子を備えている。
前記電子部品の好適例としては、裏面に複数の電極(接続端子)を有する半導体集積回路チップなどを挙げることができる。この場合、前記めっき層付きの第1主面側接続端子は、前記電子部品である半導体集積回路チップの接続端子とはんだ接続するための複数のフリップチップ用パッドであることがよい。前記電子部品としては、チップ部品(例えばチップトランジスタ、チップダイオード、チップ抵抗、チップキャパシタ、チップコイルなど)などであってもよく、能動部品でも受動部品でも構わない。
前記めっき層付きの第1主面側接続端子がフリップチップ用パッドである場合、当該パッドは、通常、半導体集積回路チップの有する接続端子の数、位置、大きさ(面積)、接続端子間ピッチ等に合わせて形成される。通常、フリップチップ用パッドは、配線基板の第1主面上の略中央部にあるダイエリア内にて格子状または千鳥状に配置される。なお、配線基板がいわゆる多数個取り用の配線基板であるような場合には、製品領域は配線基板の第1主面上の複数箇所に設定されていてもよい。
前記めっき層付きの第1主面側接続端子は基本的に複数種の異なる金属を積層してなる構造を有している。めっき層付きの第1主面側接続端子の好適な構造としては、例えば銅めっき層からなる接続端子上に金めっき層を積層してなる構造が挙げられる。金めっき層は、電解金めっき層であってもよいし、無電解金めっき層であってもよい。また、めっき層付きの第1主面側接続端子がフリップチップ用パッドである場合、当該パッドは、例えば銅めっき層からなる接続端子上に無電解ニッケルめっき層を介して無電解フラッシュ金めっき層を形成した構造を有していてもよい。第1主面側接続端子である銅めっき層は、めっき層付きの第1主面側接続端子のいわば本体部分であって、無電解ニッケルめっき層及び無電解フラッシュ金めっき層よりも厚く形成されている。無電解ニッケルめっき層は、第1主面側接続端子表面の酸化防止を図るとともに、第1主面側接続端子と無電解フラッシュ金めっき層とを隔てるバリア層としての役割を有している。かかる無電解ニッケルめっき層は1.00μm以上10.00μm以下の厚さに形成されることがよい。無電解フラッシュ金めっき層は、無電解ニッケルめっき層よりも薄く、具体的には0.01μm以上0.10μm以下の厚さで形成されることがよい。
前記配線基板は、前記第2主面側を支持する他の基板の接続端子と機械的に接触接続するためのめっき層付きの第2主面側接続端子をさらに備えている。めっき層付きの第2主面側接続端子は、ボールやピンが特に取り付けられないランドグリッドアレイ用パッド(LGA用パッド)であることがよい。なお、前記めっき層付きの第2主面側接続端子は、ピンが取り付けられるピングリッドアレイ用パッド(PGA用パッド)や、前記他の基板の接続端子とはんだボールを介して接続するための複数のボールグリッドアレイ用パッド(BGA用パッド)等であってもよい。
前記めっき層付きの第2主面側接続端子がランドグリッドアレイ用パッドである場合、当該パッドは、通常、マザーボード等のような他の基板の有する接続端子の数、位置、大きさ(面積)、接続端子間ピッチ等に合わせて形成される。従って、めっき層付きの第2主面側接続端子の面積及び接続端子間ピッチは、めっき層付きの第1主面側接続端子の面積及び接続端子間ピッチよりも相当大きく形成されている。前記めっき層付きの第2主面側接続端子は、通常、第2主面の外周部にて列状に配置され、あるいは外周部を含む第2主面のほぼ全域にて格子状または千鳥状に配置される。
前記めっき層付きの第2主面側接続端子は基本的に複数種の異なる金属を積層してなる構造を有している。めっき層付きの第2主面側接続端子の好適な構造としては、例えば銅めっき層からなる接続端子上に金めっき層を積層してなる構造が挙げられる。金めっき層は、電解金めっき層であってもよいし、無電解金めっき層であってもよい。また、前記めっき層付きの第2主面側接続端子がランドグリッドアレイ用パッドである場合、当該パッドは、他の基板の接続端子との接触によって摩擦が生じた場合に、めっき層が剥れないようにする必要がある。そのため、めっき層付きの第2主面側接続端子のめっき層は、前記めっき層付きの第1主面側接続端子のめっき層よりも厚く形成されることがよい。例えば、めっき層付きの第2主面側接続端子は、銅めっき層からなる接続端子上に無電解ニッケルめっき層、無電解フラッシュ金めっき層、無電解厚付け金めっき層の順に積層してなる構造を有していてもよい。第2主面側接続端子は、めっき層付きの第2主面側接続端子のいわば本体部分であって、無電解ニッケルめっき層、無電解フラッシュ金めっき層及び無電解厚付け金めっき層よりも厚く形成されている。無電解ニッケルめっき層は、第2主面側接続端子表面の酸化防止を図るとともに、第2主面側接続端子と無電解フラッシュ金めっき層とを隔てるバリア層としての役割を有している。かかる無電解ニッケルめっき層は1.00μm以上10.00μm以下の厚さに形成されることがよい。無電解フラッシュ金めっき層は、無電解ニッケルめっき層よりも薄く、具体的には0.01μm以上0.10μm以下の厚さで形成されることがよい。無電解厚付け金めっき層は、無電解フラッシュ金めっき層よりも厚く、0.1μm以上0.7μm以下の厚さで形成されることがよい。なお、めっき層付きの第2主面側接続端子は、めっき層付きの第1主面側接続端子とは別工程にて形成される。
前記配線基板は、前記めっき層付きの第1主面側接続端子及び前記めっき層付きの第2主面側接続端子を導通する内部導体回路を備えている。内部導体回路は上記のごとく配線基板の内部に設けられていて、具体的には配線パターンやビア導体などがこれに該当する。
前記配線基板の前記第1主面には、めっき液耐性を有する一方で粘着成分を実質的に有しないマスク材が前記第1主面側接続端子を覆うようにして配置されている。
めっき液耐性とは、めっき液がアルカリ性または酸性である場合や、めっき液が高温になった場合でも、めっき液への溶出が発生しにくい性質をいう。
また、前記粘着成分を実質的に有しないとは、マスク材に粘着成分を全く有していない場合のみをいうのではなく、有していたとしてもごく微量(検出限界未満、例えば0.01重量%未満)であって、実質的に有していないといえる場合も含む。
前記第1主面上には、前記第1主面側接続端子が配置された複数の製品領域と、前記複数の製品領域を包囲する製品外領域とが存在するとともに、前記マスキング工程において前記マスク材は、前記複数の製品領域全体を覆うようにして配置されることが好ましい。このようにすれば、複数の製品領域が存在する1枚のボードにつき、マスク材が1枚で済む。そのため、マスキング工程に必要な部材の点数が減り、粘着材の貼り付け作業の作業性も向上する。
前記マスキング工程において前記マスク材は、前記粘着材から露出している部分の面積のほうが、前記粘着材によって隠れている部分の面積よりも大きい状態で、前記第1主面に固定されることが好ましい。このようにすれば、粘着材の使用量をより確実に減らすことができる。これにより、配線基板の製造コストをよりいっそう低減することができるとともに、産業廃棄物量をよりいっそう低減することができる。また、マスク材と粘着材との接合面積が小さくなるため、マスク材を粘着材から分別して再使用する場合に、マスク材を簡単に剥がすことができる。
前記マスク材を構成する好適な材料としては、樹脂や紙などを挙げることができる。これらの材料は、配線基板側へのダメージが少ないこと、薬液への溶出が殆どないこと、安価であること、薄く形成しても丈夫なことなどを考慮して適宜選択される。なお、樹脂や紙などは、金属とは異なりめっきが付着せず、再利用しやすいという点で好ましい。かかるマスク材は10μm以上300μm以下の厚さに形成されることがよい。
前記マスク材はポリエステル系樹脂からなるフィルムであることが好ましい。ポリエステル系樹脂からなるフィルムは、好適なめっき液耐性を有する一方で粘着成分を実質的に有しないため、マスク材として極めて適している。しかも、価格的にも安いので、これを用いた場合には配線基板の製造コスト高を回避できる。さらに、離型性があるので、粘着材を容易に剥がすことができて、再使用が可能である。
前記ポリエステル系樹脂としては、PBT樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂)、PET樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)などが挙げられるが、廃棄が容易なPET樹脂を用いることが好ましい。
なお、マスク材は、例えば0.3μm径以上の超微粒子を殆ど発生しない無塵紙などであってもよい。無塵紙としては、フイルムベースやスパンボンド法によって造られた合成紙や、天然紙をベースに特殊樹脂を含浸したものなどが挙げられる。
前記マスク材の外周部分には、めっき液耐性を有する支持体上に粘着層を形成してなる粘着材が貼り付けられている。前記粘着材は、前記マスク材の一部を露出させた状態で前記第1主面に固定されている。
前記粘着材は、液もぐりを起きにくくするために、マスク材の外周部分全体に貼り付けられることがよく、開口部を有する環状に形成されることが好ましい。開口部の形状としては、略三角形状、略矩形状、略円形状、略楕円形状などが挙げられるが、マスク材が略矩形状である場合、開口部を略矩形状とすることが好ましい。このようにすることで、粘着材のロスを少なくすることができるからである。また、粘着材の開口率(即ち、(開口部の面積/(開口部の面積+粘着材の面積))×100(%))は、50%以上70%以下であることが好ましい。開口率を小さくしすぎると、粘着材のロスが大きくなり、産業廃棄物量が多くなってしまうからである。一方、開口率を大きくしすぎると、粘着材の強度が低下したり、貼り付けが困難になったりする可能性があるからである。
さらに、前記粘着材としては、粘着テープや粘着フィルムなどを挙げることができる。これら粘着材は、配線基板側へのダメージが少ないこと、液もぐりが起きにくいこと、薬液への溶出が殆どないことなどを考慮して適宜選択される。かかる粘着材は10μm以上200μm以下の厚さに形成されることがよい。
前記支持体に使用される材料としては、含浸クレープ紙、クレープクラフト紙、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。また、前記粘着層の粘着成分としては、合成ゴム系、シリコーン系、アクリル系のものなどが挙げられる。
前記粘着材は、めっき液耐性を有するフィルム上に粘着層を形成してなる略等しい幅の粘着テープであることが好ましい。この構成によれば、粘着テープのロスが殆ど生じないので、産業廃棄物量をよりいっそう低減することができる。また、市販品をそのまま使用できるため、配線基板の低コスト化に確実に寄与することができる。
前記マスク材は略矩形状であり、前記粘着テープはその略矩形状のマスク材の四辺において互いの端部を重ね合わせた状態で貼り付けられることが好ましい。略矩形状のマスク材のコーナー部は辺部よりも剥れやすいと考えられるが、この構成によれば、コーナー部が粘着テープによって二重に固定される。従って、その部分での剥れや液もぐりを確実に防止することができる。
以下、上記製造方法について説明する。
第1めっき工程では、第1金めっきを行い、前記第2主面側接続端子の表面上に第1金めっき層を形成することを行う。前記第1金めっきの種類としては、電解金めっきや、無電解金めっきなどを挙げることができる。前記無電解金めっきの種類としては、例えば、強アルカリめっき浴を用いて行う還元めっきや、酸性または中性のめっき浴を用いて行う置換めっきなどを挙げることができる。無電解金めっきの利点は、例えば第1主面側にフローティングパッドがある場合であっても、当該パッドの表面にも金を析出させることができることである。ただし、好ましくは置換めっきを選択することがよい。その理由は、酸性または中性のめっき浴であればソルダーレジスト層等の樹脂層が侵蝕されにくく、しかも、樹脂層がめっき浴に溶解しにくいので安定した条件でめっきを行うことができるからである。また、第2主面側にて行われる前記第1めっき工程の無電解金めっきの種類としては、無電解フラッシュ金めっきや無電解厚付け金めっきなどを挙げることができる。
ここで、第2主面側にて行われる前記第1めっき工程の前には、マスク材を前記第1主面の前記第1主面側接続端子を覆うようにして配置するとともに、粘着材をマスク材の外周部分に貼り付けて、前記マスク材をその一部を露出させた状態で前記第1主面に固定するマスキング工程をあらかじめ行っておくことがよい。このように、マスク材を配置し、粘着材を貼り付けておくと、第1主面側接続端子が覆われて確実に保護されることによりめっき浴が第1主面側接続端子に接触しなくなるため、第2主面側の所定部分にのみめっきを析出させることができる。よって、配線基板をめっき浴中に単純に浸漬する等の簡単な操作を行えばよく、しかも、必要としない部分に付着しためっきを除去する作業なども不要となる。従って、生産性の向上につながる。
なお、前記マスキング工程は、マスク材を配線基板に載置した後、粘着材を貼り付けるようにする工程であってもよいし、マスク材を粘着材に貼り付けておき、それを配線基板に貼り付けるようにする工程であってもよい。
さらに、第1主面側にて行われる前記マスキング工程と第2主面側にて行われる前記第1めっき工程との間には、前記第2主面側接続端子の表面上に無電解ニッケルめっき層を形成する無電解ニッケルめっき工程を行っておくことがよい。使用するめっき浴は周知のものでよいが、リン化合物系の添加物の量が少ないものが望ましい。
ここで、前記無電解ニッケルめっき工程及び前記第1めっき工程は、連続して行われることが望ましい。言い換えると、前記無電解ニッケルめっき工程を行った後、めっき以外の工程(例えば、強酸または強アルカリの液を用いて行われるめっき以外の工程など)を別段設けることなく、前記第1めっき工程を行うことが望ましい。このように2種のめっきを連続的に行うようにすれば、下地となる無電解ニッケルめっき層が強酸または強アルカリの液に攻撃されなくなり、無電解ニッケルめっき層の粗化や薄層化が回避される。その結果、無電解ニッケルめっき層にバリア層としての機能が確保され、第2主面側接続端子と第1金めっき層との好適な密着性が得られる結果、配線基板の接続信頼性を確実に向上させることができる。
第2めっき工程では、第2金めっきを行い、前記第2主面側の前記第1金めっき層の表面上に前記第2金めっき層を直接形成する。この段階で行う第2金めっきとしては、とりわけ置換めっきを選択することが好ましい。そして、第2めっき工程を行った後、第1主面側の前記マスク材及び前記粘着材を除去する除去工程が行われる。
次に、前記第1主面側接続端子の表面上に第1金めっきを行い、第1金めっき層を形成する第1めっき工程を行う。第1主面側にて行われる第1めっき工程の第1金めっきの種類としては、無電解フラッシュ金めっきなどを挙げることができる。なお、ここでの第1めっき工程は、第2主面側にて行われた第1めっき工程と同じものであってもよい。
ここで、前記第1主面側にて行われる前記第1めっき工程の前には、マスク材を前記第2主面の前記第2主面側接続端子を覆うようにして配置するとともに、粘着材をマスク材の外周部分に貼り付けて、前記マスク材をその一部を露出させた状態で前記第2主面に固定するマスキング工程をあらかじめ行っておくことがよい。ここでのマスキング工程は、第1主面側にて行われたマスキング工程と同じものであってもよい。このように、マスク材を配置し、粘着材を貼り付けておくと、第2主面側接続端子が覆われて確実に保護されることによりめっき浴が第2主面側接続端子に接触しなくなるため、第1主面側の所定部分にのみめっきを析出させることができる。よって、配線基板をめっき浴中に単純に浸漬する等の簡単な操作を行えばよく、しかも、必要としない部分に付着しためっきを除去する作業なども不要となる。従って、生産性の向上につながる。
さらに、第2主面側にて行われる前記マスキング工程と第1主面側にて行われる前記第1めっき工程との間には、前記第1主面側接続端子の表面上に無電解ニッケルめっき層を形成する無電解ニッケルめっき工程を行っておくことがよい。ここでの無電解ニッケルめっき工程は、第2主面側にて行われる無電解ニッケルめっき工程と同じものであってもよい。そして、第1めっき工程を行った後、第2主面側の前記マスク材及び前記粘着材を除去する除去工程が行われる。
なお、無電解ニッケルめっき工程を両面同時に行った後、両面同時に第1めっき工程を行い、前記第2主面側の前記第1金めっき層の表面上に前記第2金めっき層を形成するようにしてもよい。この方法によれば、少なくとも第2主面側のマスキング工程や、第2主面側のマスク材及び粘着材を除去する除去工程を省略することができ、さらなる工程の簡略化及び生産性の向上を図ることが可能となる。
また、上記の方法では、先に第2主面側に第1金めっき及び第2金めっきを行い、後で第1主面側に第1金めっきを行っているが、この順序を逆にすることも許容される。即ち、第2主面側のマスキング工程→第1主面側の第1めっき工程→第2主面側の除去工程→第1主面側のマスキング工程→第2主面側の第1めっき工程→第2めっき工程→第1主面側の除去工程の順であってもよい。
そして、以上のようにして製造された配線基板の第1主面側に、半導体集積回路チップ等のような電子部品をはんだ接続し、さらに必要に応じて当該電子部品と配線基板との隙間をアンダーフィル材で樹脂封止する。この場合、電子部品と配線基板とがはんだによって互いに固定されるばかりでなく、アンダーフィル材によっても互いに固定された状態となる。
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態の配線基板11及びその製造方法を、図1〜図14に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態の配線基板11を示す要部断面図である。図2は配線基板11のフリップチップ接続面(以下「FC接続面」とする。)を示す概略平面図、図3は配線基板11のランドグリッドアレイ接続面(以下「LGA接続面」とする。)を示す概略平面図である。図4〜図13は、本実施形態の配線基板11の製造工程を説明するための概略図である。図14は、本実施形態の配線基板11の製造工程を説明するためのフローチャートである。
図1に示されるように、この配線基板11を構成する基板12は、平面視で略矩形状の多層板状部材であり、FC接続面13(第1主面)及びLGA接続面14(第2主面)を有している。図1において、FC接続面13(第1主面)は上側に位置し、LGA接続面14(第2主面)は下側に位置している。基板12のFC接続面13(第1主面)の表面は、ソルダーレジスト21によってほぼ全体的に覆われている。基板12のLGA接続面14(第2主面)の表面も、ソルダーレジスト22によってほぼ全体的に覆われている。
図1,図2に示されるように、基板12のFC接続面13(第1主面)側においてその略中央部には、略矩形状のダイエリア(電子部品搭載領域)が設定されている。ダイエリアには、電子部品の一種である矩形状の半導体集積回路チップ16が搭載可能となっている。ダイエリア内には、半導体集積回路チップ16側との電気的な接続を図るためのFC用パッド17(めっき層付きの第1主面側接続端子)が多数かつ格子状に形成されている(図2参照)。一方、基板12のLGA接続面14(第2主面)側には特に電子部品搭載領域は設定されておらず、その代わりに図示しないマザーボード(他の基板)が接続可能となっている。そのため、基板12のLGA接続面14のほぼ全域には、マザーボード側に取り付けられたソケット61の接触子62(接続端子)に圧接するLGA用パッド18(めっき層付きの第2主面側接続端子)が多数かつ格子状に形成されている(図3参照)。
めっき層付きの第1主面側接続端子であるFC用パッド17は、第1主面側銅端子23(第1主面側接続端子)上に無電解ニッケルめっき層29を介して無電解フラッシュ金めっき層26(第1金めっき層)を形成した構造を有する。かかるFC用パッド17は、半導体集積回路チップ16のバンプ76(接続端子)とはんだ接続されるようになっている。ここでは、第1主面側銅端子23を30μm、無電解ニッケルめっき層29を6μm、無電解フラッシュ金めっき層26を0.05μmに設定している。
一方、めっき層付きの第2主面側接続端子であるLGA用パッド18は、第2主面側銅端子24(第2主面側接続端子)上に無電解ニッケルめっき層38、無電解フラッシュ金めっき層30(第1金めっき層)及び無電解厚付け金めっき層39(第2金めっき層)を順番に積層した構造を有する。かかるLGA用パッド18は、マザーボード側に設けられたソケット61の接触子62に機械的に接触接続されるようになっている。よって、LGA用パッド18上のめっきは、FC用パッド17上のめっきよりもダメージを受けやすい。ゆえに、LGA用パッド18上には、第1主面側銅端子23上の無電解フラッシュ金めっき層26よりもいくぶん厚めに金めっきが施されている。ここでは、第2主面側銅端子24を30μm、無電解フラッシュ金めっき層30を0.05μm、無電解厚付け金めっき層39を0.5μmに設定している。つまり、この配線基板11の場合、表裏面におけるパッド構造が相違していて、一方が3層構造でありかつ他方が4層構造となっている。
そして本実施形態では、LGA用パッド18はマザーボード側の接触子62の大きさやピッチに合わせて形成される一方、FC用パッド17は半導体集積回路チップ16側のバンプ76の大きさやピッチに合わせて形成される。従って、個々のLGA用パッド18の直径及び面積は、個々のFC用パッド17の直径及び面積よりも大きくなっている。具体的には、個々のLGA用パッド18の直径は約600μmに設定され、個々のFC用パッド17の直径は約100μmに設定されている。また、隣接するLGA用パッド18,18間の中心間距離(即ちピッチ)は、隣接するFC用パッド17,17間の中心間距離(即ちピッチ)よりも大きくなっている。具体的には、LGA用パッド18,18間のピッチは約600μmに設定され、FC用パッド17,17間のピッチは約100μmに設定されている。
図1に示されるように、ソルダーレジスト21の所定箇所には、FC用パッド17を露出させる開口部25が形成されている。ソルダーレジスト22の所定箇所には、LGA用パッド18を露出させる開口部27が形成されている。FC用パッド17の表面上には、いわゆるC4バンプと呼ばれる略半球状のはんだバンプ28が形成されている。
図1に示されるように、この基板12は、エポキシ樹脂を含浸したガラスクロスからなるコア材31をその中心部に備えている。コア材31の上面32及び下面33には、厚さ数十μmの銅からなる配線パターン34,35が形成されている。コア材31における複数箇所にはビア導体36が形成されている。かかるビア導体36は、コア材31の上面32側の配線パターン34と下面33側の配線パターン35とを接続導通している。なお、ビア導体36の内部は、導電性を有する閉塞体37で埋められている。
コア材31の上面32及び下面33には、感光性エポキシ樹脂を用いて内層の樹脂絶縁層41,42が形成されている。樹脂絶縁層41の表面(即ち第1主面)上には、FC用パッド17のほかに配線パターン51も形成されている。樹脂絶縁層42の表面(即ち第2主面)上には、LGA用パッド18のほかに配線パターン52が形成されている。樹脂絶縁層41,42にはブラインドビア導体53,54が形成されている。上側のブラインドビア導体53は、配線パターン34と配線パターン51とを接続導通している。下側のブラインドビア導体54は、配線パターン35と配線パターン52とを接続導通している。
そして、図1に示されるように、配線基板11と半導体集積回路チップ16との隙間には、エポキシ樹脂からなるアンダーフィル材75が充填されている。これにより、配線基板11と半導体集積回路チップ16とが、界面が封止された状態で互いに固定されている。
次に、本実施形態の配線基板11の製造方法を図4〜図14に基づいて順に説明する。
まず上記構成の基板12を作製する。具体的には下記のようにする。即ち、コア材31の両面に銅箔を貼着した両面銅張積層板を出発材料とし、それにYAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いてレーザー加工を行い、両面銅張積層板を貫通する貫通孔を形成する。次に、前記貫通孔内面に対する無電解銅めっきによりビア導体36を形成した後、銅箔のエッチングにより配線パターン34,35をパターニングする。ここでビア導体36を閉塞体37で埋めた後、コア材31の上面32及び下面33に樹脂絶縁層41,42を形成する。次に、レーザー加工によって樹脂絶縁層41,42を孔開けし、ブラインドビア導体53,54を形成するための盲孔を形成する。さらに、マスクを形成しないで無電解銅めっきを施すことにより、前記盲孔の内部に銅めっきを析出させてブラインドビア導体53,54を形成する。このとき樹脂絶縁層41,42の外表面全体にも無電解銅めっきが析出する。この後、露光及び現像を行って所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施した後、まずレジストを溶解除去して、さらに不要な無電解銅めっき層をエッチングで除去する。これにより、上側の樹脂絶縁層41の表面上に配線パターン51を形成するとともに、FC用パッド17の本体部分となる第1主面側銅端子23を形成する。また、下側の樹脂絶縁層42の表面上に配線パターン52を形成するとともに、LGA用パッド18の本体部分となる第2主面側銅端子24を形成する。
そして、上記のように作製された基板12のFC接続面13(第1主面)及びLGA接続面14(第2主面)の表面上に、感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト21,22を形成する。次に、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト21,22に開口部25,27をパターニングする(図4参照)。
次に、図14のステップS110において、FC接続面13(第1主面)側に、略矩形状をなすマスク材81を、第1主面側銅端子23を覆うようにして配置する。このマスク材81は、めっき液耐性を有する材料、例えばポリエステル系樹脂の一種であるPET樹脂からなるフィルムである。さらに、マスク材81の外周部分に粘着テープ82(粘着材)を貼り付ける(マスキング工程)。この粘着テープ82は、マスク材81の四辺に沿って略ロ字状に形成されている。粘着テープ82は、めっき液耐性を有するフィルム83(支持体)と、同フィルム83の片面に形成される粘着層84とを備えている。また、粘着テープ82の外周部分はソルダーレジスト21の表面に貼り付けられる。これにより、マスク材81がその一部を露出させた状態でFC接続面13に固定される。この状態において、粘着テープ82の開口率(粘着テープ82の開口部の面積/(粘着テープ82の開口部の面積+粘着テープ82自身の面積)×100(%))は、60%に設定されている。即ち、マスク材81は、粘着テープ82から露出している部分の面積のほうが、粘着テープ82によって隠れている部分の面積よりも大きくなっている。
図6,図7に示されるように、本実施形態の配線基板11は、中間製品の段階では複数個のものが縦横に一体化された大判の状態で製造され、後述する各種めっき工程等は全ての中間製品について一括して行われる。図5,図7に示されるように、中間製品のFC接続面13(第1主面)上には、複数の製品領域91と、複数の製品領域91を包囲する製品外領域92とが存在している。なお、マスキング工程において前記マスク材81は、個々の製品領域91をそれぞれ覆うようにして配置される。
次に、図14のステップS120において、無電解ニッケルめっき浴に前記基板12を浸漬し、無電解ニッケルめっきを行う。その結果、図8に示されるように、LGA接続面14(第2主面)側の第2主面側銅端子24の表面上にのみ、無電解ニッケルめっき層38が形成される(無電解ニッケルめっき工程)。
次に、図14のステップS130において、基板12を置換金めっき浴に移し替えて無電解フラッシュ金めっき(第1金めっき)を行う(第1めっき工程)。これにより、図8に示すように、LGA接続面14(第2主面)側の無電解ニッケル層38の表面上に無電解フラッシュ金めっき層30が形成される。さらに、ステップS140において無電解厚付け金めっきを行う(第2めっき工程)。その結果、図8に示すように、LGA接続面14(第2主面)側の無電解フラッシュ金めっき層30の表面上に無電解厚付け金めっき層39が形成され、LGA用パッド18が形成される。よって、無電解ニッケルめっき層38の粗化や薄層化が回避される結果、バリア層としての機能が確保され、第2主面側銅端子24と無電解フラッシュ金めっき層30との好適な密着性を得ることができる。
このような無電解ニッケルめっき工程、第1めっき工程及び第2めっき工程の際、FC接続面13(第1主面)側はマスク材81及び粘着テープ82により確実に保護されている。ゆえに、めっき浴がFC接続面13(第1主面)側に接触しなくなり、LGA接続面14(第2主面)側の所定部分にのみめっきを析出させることができる。よって、基板12をめっき浴中に単純に浸漬する等の簡単な操作を行えばよく、しかも、必要としない部分に付着しためっきを除去する作業なども不要となる。
次に、図14のステップS150において、基板12を無電解金めっき浴から取り出し、図9に示すように、粘着テープ82を引き剥がし、マスク材81を取り除く(除去工程)。かかる粘着テープ82は、粘着剤の粘着力により仮固定されているにすぎず強固に接着されているわけではないので、比較的簡単に引き剥がすことができる。また、マスク材81は、粘着成分を全く有していないため、粘着テープ82を引き剥がした後に簡単に取り除くことができる。
次に、図14のステップS160において、前記基板12のLGA接続面14(第2主面)側に、略矩形状をなすマスク材85を、前記LGA用パッド18を覆うようにして配置する。このマスク材85は、マスク材81と同様の材料(PET樹脂)からなるフィルムである。さらに、マスク材85の外周部分に、粘着テープ86(粘着材)を図10のように貼り付ける。粘着テープ86は、めっき液耐性を有するフィルム87(支持体)と、同フィルム87の片面に形成される粘着層88とを備えている。また、粘着テープ86の外周部分はソルダーレジスト22に貼り付けられる。これにより、マスク材85がその一部を露出させた状態でLGA接続面14に固定される。
次に、図14のステップS170において、無電解ニッケルめっき浴に前記基板12を含浸し、無電解ニッケルめっきを行う。その結果、図11に示されるように、FC接続面13(第1主面)側の第1主面側銅端子23の表面上に、無電解ニッケルめっき層29が形成される(無電解ニッケルめっき工程)。
次に、図14のステップS180において、基板12を置換金めっき浴に移し替えて無電解フラッシュ金めっきを行うことにより、FC接続面13(第1主面)側の無電解ニッケルめっき層29の表面上に、図11に示すような無電解フラッシュ金めっき層26を形成する(第1めっき工程)。
このような無電解ニッケルめっき工程及び第1めっき工程の際、LGA接続面14(第2主面)側は粘着テープ86により確実に保護されている。ゆえに、めっき浴がLGA接続面14(第2主面)側にあるLGA用パッド18に接触しなくなり、FC接続面13(第1主面)側の所定部分にめっきを析出させることができる。よって、基板12をめっき浴中に単純に浸漬する等の簡単な操作を行えばよく、しかも、必要としない部分に付着しためっきを除去する作業なども不要となる。
次に、図14のステップS190において、基板12を置換金めっき浴から取り出し、図12に示すように粘着テープ86を引き剥がし、マスク材85を取り除く(除去工程)。なお、かかる粘着テープ86は、粘着剤の粘着力により仮固定されているにすぎず強固に接着されているわけではないので、比較的簡単に引き剥がすことができる。また、マスク材81は、粘着成分を全く有していないため、粘着テープ82を引き剥がした後に簡単に取り除くことができる。
この後、周知の手法に従ってはんだバンプ形成工程を行い、FC用パッド17の表面上にはんだバンプ28を形成する(図13参照)。具体的には、ソルダーレジスト21上に、所定パターンのマスクを載置し、FC用パッド17上にはんだペーストを印刷する。その後、このはんだペーストをリフローする。その後、大判状態で一体化されている中間製品を、ダイシングブレード等の切断具を用いて個片に切り離せば、本実施形態の配線基板11が完成する。
さらに、この配線基板11のダイエリアに半導体集積回路チップ16を搭載する。このとき、配線基板11側のはんだバンプ28と、半導体集積回路チップ16側のバンプ76とを位置合わせしてリフローを行う。これにより、はんだバンプ28及びバンプ76同士を接合し、配線基板11側と半導体集積回路チップ16側とを電気的に接続する。さらに、配線基板11と半導体集積回路チップ16との隙間にアンダーフィル材75を充填して硬化処理を行い、前記隙間を樹脂封止する。なお、基板12のFC接続面13(第1主面)の表面は、凹凸の少ないソルダーレジスト21によって覆われているため、アンダーフィル材75はソルダーレジスト21上をスムーズに流れる。その結果、所望の半導体パッケージ(いわゆるオーガニックパッケージ)が完成する。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の配線基板11の製造方法によれば、粘着テープ82をマスク材81に貼り付けた状態でも、マスク材81の一部が露出するため、マスク材81の有無を確認することができる。よって、マスク材81を配置し忘れることにより、粘着テープ82の剥離時にソルダーレジスト21や第1主面側銅端子23などが大きなダメージを受けるのを防止することができる。また、上記製造方法によれば、粘着テープ82の粘着層84が第1主面側銅端子23に付着しないため、粘着テープ82の粘着力を強くしても配線基板11側へのダメージは少ない。ゆえに、粘着テープ82の粘着力を強くして密着強度を高めることができるため、液もぐりが起きにくくなる。しかも、粘着テープ82は、薬液への溶出が殆どない。従って、配線基板11側へのダメージが少なく、液もぐりが起きにくく、かつ薬液への溶出が殆どない方法で、無電解ニッケルめっき、無電解フラッシュ金めっき及び無電解厚付け金めっきを行うことができる。
同様に、粘着テープ86をマスク材85に貼り付けた状態でも、マスク材85の一部が露出するため、マスク材85の有無を確認することができる。よって、マスク材85を配置し忘れることにより、粘着テープ86の剥離時にソルダーレジスト22やLGA用パッド18などが大きなダメージを受けるのを防止することができる。また、上記製造方法によれば、粘着テープ86の粘着層88が無電解厚付け金めっき層39に付着しないため、粘着テープ86の粘着力を強くしても配線基板11側へのダメージは少ない。ゆえに、粘着テープ86の粘着力を強くして密着強度を高めることができるため、液もぐりが起きにくくなる。しかも、粘着テープ86は、薬液への溶出が殆どない。従って、配線基板11側へのダメージが少なく、液もぐりが起きにくく、かつ薬液への溶出が殆どない方法で、無電解ニッケルめっき及び無電解フラッシュ金めっきを行うことができる。
また、粘着テープ82は、マスク材81全体にではなく外周部分のみに貼り付けられるため、使用量を減らすことができる。同様に、粘着テープ86は、マスク材85の外周部分のみに貼り付けられるため、使用量を減らすことができる。これにより、配線基板11の製造コストの低減を図りつつ、産業廃棄物量の低減を図ることができる。
(2)本実施形態の製造方法によれば、粘着テープ82を配置した状態でLGA接続面(第2主面)14に対する無電解フラッシュ金めっき及び無電解厚付け金めっきを行う一方、粘着テープ86を配置した状態でFC接続面13(第1主面)に対する無電解フラッシュ金めっきを行っている。つまり、LGA接続面14(第2主面)に対する無電解金めっき及び無電解厚付け金めっきと、FC接続面13(第1主面)に対する無電解フラッシュ金めっきとを、別個に行っている。従って、この製造方法によれば、無電解フラッシュ金めっき層26,30及び無電解厚付け金めっき層39の膜厚を個々に好適な値に設定することが可能であり、ひいては接続信頼性の向上を達成しやすくなる。
[第2の実施形態]
次に、第2実施形態の配線基板11の製造方法を、図15に基づいて説明する。
第1実施形態の製造方法では、略矩形状をなすマスク材81が、前記中間製品のFC接続面13(第1主面)上に存在する複数の製品領域91をそれぞれ覆うようにして配置されていた。さらに、マスク材81の外周部分に、マスク材81の四辺に沿って略ロ字状に形成された粘着テープ82が貼り付けられていた。
これに対し、本実施形態では、矩形状をなすマスク材81の外周部分に略ロ字状に形成した粘着テープ82を貼り付ける代わりに、マスク材81の四辺において、それぞれ4本の略等しい幅の粘着テープ82(粘着材)を貼り付けることを特徴としている。各粘着テープ82は、マスク材81のコーナー部において互いの端部を重ね合わせた状態で貼り付けられている。これにより、マスク材81がその一部を露出させた状態でFC接続面13に固定される。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(3)本実施形態によれば、略等しい幅の粘着テープ82が用いられているため、粘着テープ82を、例えば第1実施形態のように中抜きして用いたりする必要がない。その結果、粘着テープ82のロスが殆ど生じないので、産業廃棄物量をよりいっそう低減することができる。また、市販品をそのまま使用できるため、配線基板11の低コスト化に確実に寄与することができる。
(4)また、略矩形状のマスク材81のコーナー部は辺部よりも剥れやすいと考えられるが、本実施形態の構成によれば、コーナー部が粘着テープ82によって二重に固定される。従って、その部分での剥れや液もぐりを確実に防止することができる。
[第3の実施形態]
次に、第3実施形態の配線基板11の製造方法を図16,図17に基づいて説明する。
第1実施形態では、略矩形状をなすマスク材81が、前記中間製品のFC接続面13(第1主面)上に存在する複数の製品領域91をそれぞれ覆うようにして配置されていた。さらに、マスク材81の外周部分に、マスク材81の四辺に沿って略ロ字状に形成された粘着テープ82が貼り付けられていた。
これに対し、本実施形態では、複数の製品領域91をそれぞれ覆うようにしてマスク材81を配置する代わりに、複数の製品領域91全体を覆うようにしてマスク材81を配置することを特徴としている。さらに、矩形状をなすマスク材81の外周部分に、略ロ字状に形成した粘着テープ82(粘着材)を貼り付けることを特徴としている。
従って、本実施形態によれば、複数の製品領域91が存在する1枚のボードにつき、マスク材81が1枚で済む。そのため、マスキング工程に必要な部材の点数が減り、粘着テープ82の貼り付け作業の作業性も向上する。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、FC用パッド17は、第1主面側銅端子23上に無電解ニッケルめっき層29を介して無電解フラッシュ金めっき層26(第1金めっき層)を形成した構造を有していた。また、LGA用パッド18は、第2主面側銅端子24上に無電解ニッケルめっき層38、無電解フラッシュ金めっき層30(第1金めっき層)及び無電解厚付け金めっき層39(第2金めっき層)を順番に積層した構造を有していた。
しかし、FC用パッド17は、第1主面側銅端子23上に無電解フラッシュ金めっき層26を直接形成した構造を有していてもよい。また、LGA用パッド18は、第2主面側銅端子24上に、無電解フラッシュ金めっき層30及び無電解厚付け金めっき層39を順番に積層した構造を有していてもよい。つまり、無電解ニッケルめっき層29,38はなくてもよい。
また、FC用パッド17は、第1主面側銅端子23上に、はんだめっき層を形成した構造を有していてもよい。また、LGA用パッド18は、第2主面側銅端子24上に、はんだめっき層を形成した構造を有していてもよい。つまり、無電解ニッケルめっき層29,38、フラッシュ金めっき層26,30及び無電解厚付け金めっき層39はなくてもよい。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面に搭載する電子部品の接続端子とはんだを介して接続されるフリップチップ用パッドを備え、前記第2主面で接続する他の基板の接続端子と機械的に接触接続されるランドグリッドアレイ用パッドを備える配線基板の製造方法において、無電解フラッシュ金めっきを施すことにより、第1主面側銅端子の表面上及び第2主面側銅端子の表面上に無電解フラッシュ金めっき層を形成する無電解フラッシュ金めっき工程と、めっき液耐性を有する一方で粘着成分を実質的に有しないマスク材を、前記第1主面の前記無電解フラッシュ金めっき層を覆うようにして配置するとともに、めっき液耐性を有する支持体上に粘着層を形成してなる粘着テープを前記マスク材の外周部分に貼り付けて、前記マスク材をその一部を露出させた状態で前記第1主面に固定するマスキング工程と、無電解厚付け金めっきを施すことにより、前記第2主面側銅端子の表面の前記無電解フラッシュ金めっき層上に無電解厚付け金めっき層を形成する無電解厚付け金めっき工程と、前記無電解厚付け金めっき工程後に前記マスク材及び前記粘着テープを除去する除去工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法。
(2)めっき液耐性を有する一方で粘着成分を実質的に有しないマスク材と、めっき液耐性を有する支持体上に粘着層を形成してなり、前記マスク材の外周部分に貼り付けられる粘着材とを備えることを特徴とする、配線基板製造時に用いるめっき用保護部材。