JP4537015B2 - 補整機能を有する下着 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は補整機能を有する下着に関し、より詳しくは優れた着用感と補整機能を両立することが可能なショートガードルやボディスーツ等の下着に関する。
【0002】
【従来の技術】
女性の体型を補整して身体のラインを美しく見せるための補整用下着として、ウエストから下の腹部、臀部、大腿部の体型を補整するガードルがある。
従来のガードルとしては、図8に示すような形態のものが一般的である(例えば、特許文献1等参照)。尚、図8(a)は表面図、(b)は裏面図である。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−209203号公報
【0004】
図8に示すような従来のガードルは、前身頃(A)及び後身頃(B)とこれらを繋ぐ股部片(C)から構成されている。
そして、前身頃(A)の裏面には、縦方向への伸縮性に優れた当て布(D)が取り付けられており、この当て布(D)はその周縁全体において前身頃(A)と縫着されている。
【0005】
このような従来のガードルは、伸縮性を有する当て布(D)が着用者の腹部を押さえる機能を発揮するため、着用者の腹部のラインを美しく補整することが可能である。
しかしながら、当て布(D)が足口(F)周りを含む周囲全体に亘って縫着されているため、足口が着用者の脚をきつく締め付け、着用者が立ったり座ったりした時に、鼠径部にあるリンパ節が強く圧迫されることで痛みを感じることがあった。
【0006】
このような実情に鑑みて、図9に示すような、足口の締め付けによる圧迫感を解消したガードルが提案されている。尚、図9(a)は表面図、(b)は裏面図である。
図9に示すガードルは、前身頃(A)が重なり合った表布(A1)と裏布(A2)からなり、これら表布と裏布は上辺と左右両脇部においてのみ縫着され、足口を含む下方部分においては完全に遊離した構造を有している(図10参照)。
そのため、着用者が立ったり座ったりした時には、足口が適度に拡がって着用者の脚が強く締め付けられることがなくなり、この点においては優れたガードルであった。
【0007】
しかしながら、図9に示すような従来のガードルは、確かに足口の圧迫感は解消されるが、ガードル本来の機能である補整機能が充分に発揮されないという問題があった。
すなわち、このようなガードルは、着用時において図11の黒色矢印に示すように横又は斜め方向に力が作用すると、伸縮性素材からなる裏布(A2)は白矢印で示す如く縦方向に縮まろうとするのみであるから、腹部全体にバランス良く押圧力を作用させることができず、良好な補整機能を発揮することができなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記したような従来のガードルが抱える問題点を悉く解決すべくなされたものであって、着用時において足口に圧迫感や痛みを覚えることがなく、しかも腹部全体にバランス良く押圧力を作用させることができ、優れた補整機能を発揮することが可能なガードルやボディスーツ等の補整機能を有する下着を提供せんとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明では、少なくとも腹部、股部、臀部を覆うことが可能な補整機能を有する下着であって、前身頃及び後身頃とこれらを繋ぐ股部片を有してなり、前記前身頃は重なり合った表布及び裏布からなるとともに、これら表布及び裏布は、上辺部、左右両脇部、股部においてのみ互いに縫着され他の部分においては遊離しており、前記裏布は、臀部を覆う前記後身頃を構成する布地と連続して一体に同じ布から形成されており、前記裏布と前記後身頃を構成する布との境界部分となる下着の左右両側部にはダーツが形成され、これら左右のダーツ部分に表布の左右両端部がそれぞれ縫着されており、前記表布の左右両端部は前記ダーツの長さに比べて僅かに短く形成され、前記裏布の下辺部は前記表布の下辺部に比べて幅が狭く形成されており、これにより前記表布と前記裏布は足口の部分における正面視の輪郭が一致せずに交差するようになっていることを特徴とする補整機能を有する下着とした。
請求項2に係る発明では、前記裏布には、縦横に伸縮可能な素材からなる当て布が縫着されてなることを特徴とする請求項1記載の補整機能を有する下着とした。
請求項3に係る発明では、前記当て布の前中心には縦方向にダーツが設けられてなることを特徴とする請求項2記載の補整機能を有する下着とした。
請求項4に係る発明では、ショートガードルであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の補整機能を有する下着とした。
請求項5に係る発明では、ボディスーツであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の補整機能を有する下着とした。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る補正機能を有する下着の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本発明に係る補正機能を有する下着は、少なくとも腹部、股部、臀部を覆うことが可能とされた下着であれば、その種類は特に限定されるものではなく、例えばショートガードル、ボディスーツ等の下着に適用することが可能である。
【0011】
以下、本発明に係る下着がショートガードルである場合を例に挙げて説明する。
図1は本発明に係るショートガードルをやや右斜めから見た正面図であって、(a)は表面図、(b)は裏面図である。また、図2は本発明に係るショートガードルの側面図である。
本発明に係るショートガードル(1)は、前身頃(2)及び後身頃(3)とこれらを繋ぐ股部片(4)から構成されている。
【0012】
前身頃(2)は、その上縁部に設けられた帯状の上部片(21)と、該上部片(21)の下方に設けられた中央部片(22)から構成されており、該中央部片(22)は重なり合った表布(2a)及び裏布(2b)の2枚の布地から形成されている。
【0013】
中央部片(22)を構成する2枚の布のうち、裏布(2b)は後身頃(3)を構成する布と連続して一体に同じ布から形成されており、該裏布(2b)と後身頃(3)を構成する布との境界部分となるショートガードル(1)の左右両脇部にはダーツ(5)が形成されている。
ダーツ(5)は、ショートガードル(1)の上端部から下端部に向けて縦方向に、ショートガードルの下端部、即ち足口(6)までは到達しない長さで形成されており、これら左右のダーツ(5)部分に表布(2a)の左右両端部がそれぞれ縫着されている。
【0014】
上部片(21)の下辺部は、緩やかなV字状或いは下向きの凸カーブに形成されており、該下辺部は表布(2a)及び裏布(2b)の上辺部と縫着されている。そして、表布(2a)及び裏布(2b)の下辺部は、共に股部片(4)と縫着されている。
また、表布(2a)の左右両端部はダーツ(5)の長さより僅かに短く形成され(図1(a)参照)、裏布(2b)の下辺部は表布(2a)の下辺部に比べて幅が狭く形成されており(図1(b)参照)、これによって、表布(2a)と裏布(2b)は足口(6)の部分における正面視の輪郭が合致せずに交差するようになっている。
【0015】
上記したように、表布(2a)と裏布(2b)は、ショートガードル(1)の左右両脇部のダーツ(5)部分において縫着され、さらに上辺部において上部片(21)と縫着され、下辺部において股部片(4)と縫着されているが、それ以外の部分においては全く縫着されることなく遊離した状態となっている。尚、表布(2a)と裏布(2b)の縫着部分は、必ずしもダーツ部分のみでなくともよく下辺まで縫い合わせても良い。
すなわち、本発明に係るショートガードル(1)では、表布(2a)と裏布(2b)は、上記の3箇所(3辺)のみにおいて縫着一体化され、足口(6)を含む他の部分においては遊離している(図3参照)。
【0016】
このように、本発明に係るショートガードル(1)では、表布(2a)は上記3辺のみにおいて裏布(2b)と縫着一体化され、足口(6)を含む他の部分においては遊離している。そのため、着用時(図4参照)において、表布(2a)は後身頃(3)の影響を受けず、しかも足繰りの鼠径部には表布(2a)のみが接触することから、着用者が立ったり座ったりした時には、足口が適度に拡がって着用者の脚が強く締め付けられることがなくなる。
【0017】
また、裏布(2b)には縦横に伸縮可能な素材からなる当て布(7)が縫着されている。この当て布(7)は、裏布(2b)の表面、即ち表布(2a)に相対する側の面に縫着されているため、図1では表れておらず、符号(7)を破線の引き出し線で示しているが、その形状等の理解を容易にするために、図5に当て布(7)の部分に斜線を施した図を示す。
【0018】
表布(2a)及び裏布(2b)は同じ素材から形成され、具体的にはサテンネット、パワーネット、ツーウェイトリコット等が好適に使用される。
また、当て布(7)の素材は、裏布(2b)と同じ素材としてよいが、裏布よりも縦横方向に高い伸縮性を有する素材、好ましくは二方向に同時に伸長可能な素材が使用される。このような素材としては、例えばサテンネット、パワーネット等が好適に使用される。
【0019】
このように、裏布(2b)に縦横方向に高い伸縮性を有する当て布(7)が縫着されていることによって、着用時において図6に矢印に示すように縦横両方向に同時に力が働き、腹部全体にバランス良く押圧力を作用させることが可能となり、腹部に対する優れた補整機能を発揮することができる。
【0020】
裏布(2b)の前中心には縦方向にダーツ(8)が設けられており、当て布(7)は周縁部及びこのダーツ(8)の部分で裏布(2b)と縫着されている。
また、表布(2a)の前中心にも縦方向にダーツ(9)が設けられている。
このようにダーツ(8)が設けられていることによって、着用時に中央部片(22)に引っ張り力が作用すると、ガードル(1)の前中心が窪むので、腹部押さえの機能が効果的に発揮される。
【0021】
以上、本発明に係る補正機能を有する下着について、ショートガードルを例に挙げて説明したが、前述した如く、本発明に係る下着は、少なくとも腹部、股部、臀部を覆うことが可能な下着であれば、特に限定されるものではなく、例えば図7に示すようなボディスーツ(10)に適用することも可能である。
ボディスーツのように上半身部を有する下着に本発明を適用する場合、上記したショートガードルについて説明した構造をその下半身部(11)に適用すればよい。
図12は、従来の遊離型ショートガードルのカッティングをボディスーツに使用した場合を示す図である。この場合、着用者の足口が強く圧迫されることはないが、着用時に図中の矢印に示す如く横又は斜め方向に力が作用すると、伸縮性素材からなる裏布は縦方向に縮まろうとして、腹部全体にバランス良く押圧力が作用せず、良好な補整機能を発揮することができない。
これに対して、本発明を適用したボディスーツによれば、足口が圧迫されることなく着用感に優れたものとなる上に、着用時において図7中の矢印に示すように縦横両方向に同時に力を働かせることができるので、腹部全体にバランス良く押圧力が作用し、下半身(特に腹部)に対する優れた補整機能を発揮することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明は、少なくとも腹部、股部、臀部を覆うことが可能な補整機能を有する下着であって、前身頃及び後身頃とこれらを繋ぐ股部片を有してなり、前記前身頃は重なり合った表布及び裏布からなるとともに、これら表布及び裏布は、上辺部、左右両脇部、股部においてのみ互いに縫着され他の部分においては遊離しており、前記裏布は、臀部を覆う前記後身頃を構成する布地と連続して一体に同じ布から形成されており、前記裏布と前記後身頃を構成する布との境界部分となる下着の左右両側部にはダーツが形成され、これら左右のダーツ部分に表布の左右両端部がそれぞれ縫着されており、前記表布の左右両端部は前記ダーツの長さに比べて僅かに短く形成され、前記裏布の下辺部は前記表布の下辺部に比べて幅が狭く形成されており、これにより前記表布と前記裏布は足口の部分における正面視の輪郭が一致せずに交差するようになっていることを特徴とする補整機能を有する下着であるから、着用時において足口に圧迫感や痛みを覚えることがなく、しかも腹部に対して優れた補整機能を発揮することが可能なガードルやボディスーツ等の補整機能を有する下着となる。
請求項2に係る発明は、前記裏布には、縦横に伸縮可能な素材からなる当て布が縫着されてなることを特徴とする請求項1記載の補整機能を有する下着であるから、腹部全体にバランス良く押圧力を作用させることが可能となり、優れた補整機能が発揮される。
【0023】
請求項3に係る発明は、前記当て布の前中心には縦方向にダーツが設けられてなることを特徴とする請求項2記載の補整機能を有する下着であるから、着用時に作用する引っ張り力によって、ガードルの前中心が窪むことにより、腹部押さえの機能がより効果的に発揮される。
請求項4に係る発明は、ショートガードルであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の補整機能を有する下着であるから、優れた着用感と補整機能を両立し得るショートガードルを得ることができる。
請求項5に係る発明は、ボディスーツであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の補整機能を有する下着であるから、優れた着用感と補整機能を両立し得るボディスーツを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る下着(ショートガードル)をやや右斜めから見た正面図であって、(a)は表面図、(b)は裏面図である。
【図2】本発明に係るショートガードルの側面図である。
【図3】表布と裏布を右側の足口部分において大きく遊離させた状態を示す正面図である。
【図4】本発明に係るショートガードルを着用した状態を示す図である。
【図5】当て布が縫着されている部分に斜線を施した図である。
【図6】本発明に係るショートガードルの着用時における作用を示す図である。
【図7】本発明をボディスーツに適用した例を示す図である。
【図8】従来のショートガードルの一例を示す図である。
【図9】従来の他のショートガードルを示す図である。
【図10】表布と裏布を右側の足口部分において大きく遊離させた状態を示す正面図である。
【図11】図9示のショートガードルの着用時の作用を示す図である。
【図12】従来の遊離型ショートガードルのカッティングをボディスーツに使用した例を示す図である。
【符号の説明】
1 ショートガードル
2 前身頃
3 後身頃
4 股部片
21 上部片
22 中央部片
2a 表布
2b 裏布
5 ダーツ
6 足口
7 当て布
8 ダーツ
9 ダーツ
10 ボディスーツ
11 ボディスーツの下半身部

Claims (5)

  1. 少なくとも腹部、股部、臀部を覆うことが可能な補整機能を有する下着であって、前身頃及び後身頃とこれらを繋ぐ股部片を有してなり、前記前身頃は重なり合った表布及び裏布からなるとともに、これら表布及び裏布は、上辺部、左右両脇部、股部においてのみ互いに縫着され他の部分においては遊離しており、
    前記裏布は、臀部を覆う前記後身頃を構成する布地と連続して一体に同じ布から形成されており、
    前記裏布と前記後身頃を構成する布との境界部分となる下着の左右両側部にはダーツが形成され、これら左右のダーツ部分に表布の左右両端部がそれぞれ縫着されており、
    前記表布の左右両端部は前記ダーツの長さに比べて僅かに短く形成され、前記裏布の下辺部は前記表布の下辺部に比べて幅が狭く形成されており、これにより前記表布と前記裏布は足口の部分における正面視の輪郭が一致せずに交差するようになっていることを特徴とする補整機能を有する下着。
  2. 前記裏布には、縦横に伸縮可能な素材からなる当て布が縫着されてなることを特徴とする請求項1記載の補整機能を有する下着。
  3. 前記当て布の前中心には縦方向にダーツが設けられてなることを特徴とする請求項2記載の補整機能を有する下着。
  4. ショートガードルであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の補整機能を有する下着。
  5. ボディスーツであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の補整機能を有する下着。
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