JP4536871B2

JP4536871B2 - 建材用化粧シートの作成システム

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Publication number: JP4536871B2
Application number: JP2000139508A
Authority: JP
Inventors: 哲夫松倉
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date: 2000-05-12
Filing date: 2000-05-12
Publication date: 2010-09-01
Anticipated expiration: 2020-05-12
Also published as: JP2001315289A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は建材用化粧シートの作成システムに関し、特に、顧客の嗜好に合致したデザインを有する建材用化粧シートを、顧客の必要とする量だけ、顧客の要望に応じて作成することができる建材用化粧シートの作成システムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
壁紙や床材などに代表される建材用化粧シートは、住宅用の内装材や外装材をはじめ、オフィスビルや公共施設の内装材や外装材として幅広く利用されており、更には、家電製品のキャビネットや自動車の内装などにも利用されている。このような建材用化粧シートのデザインは、木目柄や石目柄の他、抽象的な模様など多岐の絵柄にわたっており、その色調も様々である。建材用化粧シートを作成するためには、まず、木板、石板あるいは模様画などの原稿を用意し、この原稿上の画像を写真撮影した後、スキャナ装置などで入力してデジタル画像データとして取り込み、コンピュータを用いた製版処理が行われる。続いて、専用のグラビア輪転印刷機を使ってシート上に模様を印刷し、裁断工程やラミネート加工工程を行うことにより、建材用化粧シートが作成できる。このような工程によって作成された建材用化粧シートは、問屋、ハウスメーカ、工務店などの流通経路を経て、最終的な顧客のもとに搬入される。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
これまでの建材用化粧シートは、上述のような工程で作成されるため、商業的な観点からは、大ロット少品種の生産を行うことが前提とならざるを得ない。たとえば、建材メーカは、売れ筋になるであろうと予想されるデザインの壁紙を大ロットで生産し、これをしばらくの期間にわたって在庫として保持するとともに、カタログに掲載して顧客からの注文を待つ必要がある。顧客は、このカタログの中から、自分の嗜好に合致したデザインの壁紙を選択し、工務店などを通じて発注する。注文を受けた壁紙は、倉庫から出荷され、流通過程にのって顧客のもとへ搬送される。当然、人気のない品種については、注文も少なく、長期間にわたって倉庫内に在庫をかかえてしまうことになる。したがって、このような生産および流通の形態をとる以上、大ロット少品種にしなければ、商業上の採算はとれない。
【０００４】
もちろん、ある程度のロット数の出荷が見込まれている場合には、受注生産を行うことも可能であるが、現在の生産および流通のシステムでは、具体的には、５０所帯以上が入居できる大規模なマンションに共通して使用される壁紙のように、相当数のロットが見込まれないと、受注生産による採算はとれない。また、現在の生産および流通のシステムでは、このような受注生産を行った場合、かなり長い納期が必要になる。しかも、このように納期が長くなるのは、受注生産品だけに限ることではない。カタログに掲載されている既成の品目であっても、施工現場の近くの拠点倉庫に在庫がなければ、遠方の倉庫から取り寄せる必要が生じ、搬入までにかなりの納期が必要になることも少なくない。
【０００５】
一方、顧客側の要望は、上述のような事情とは全く相反するものになる。まず、品種に関しては、建材メーカ側が用意したカタログに掲載されている品種だけでは不十分であり、顧客はある程度の妥協の上で、カタログ掲載品の中から好みのものを選択しているのが現状である。このため、一般の顧客からは、自分の趣向にできるだけ近いデザインの壁紙が入手できるように、より多数の品種を用意して欲しいという要望が強い。また、リフォームなどで、小面積の部分のみの壁紙を張り替えたいという要望もあり、小ロットでの購入を望む声も少なくない。しかも、納期に関しては、当然ながら、施工期間中に発注しても直ちに品物が入手できるように、短期間の納期が望まれている。
【０００６】
このように、従来の建材用化粧シートの作成システムでは、提供者側の事情により、大ロット少品種の生産を行わざるを得ず、ある程度の納期も見込んでおく必要があるのに対し、顧客側からは、小ロット多品種の商品が短い納期で提供されることが切望されている。そこで本発明は、このような顧客側の要望に応えることのできる建材用化粧シートの作成システムを提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第１の態様は、顧客の嗜好に合致したデザインを有する建材用化粧シートを、顧客の要望に応じて作成することができる建材用化粧シートの作成システムを、第１の装置Ｘと、第２の装置Ｙと、第３の装置Ｚと、の組み合わせにより構成した点に特徴がある。ここで、第１の装置Ｘは、第１のパソコンと、第１の大判カラープリンタと、画像データ出力手段と、を有し、第２の装置Ｙは、化粧シートのデザインに関するデータをデータベースとして格納するサーバコンピュータを有し、第３の装置Ｚは、第２のパソコンと、第２の大判カラープリンタと、画像データ入力手段と、を有する。そして、第１のパソコンは、サーバコンピュータ内に格納されているデータベースをアクセスするデータベースアクセス手段と、顧客の要求を示す指示入力を受け付ける指示入力手段と、データベース内のデータおよび指示入力に基づいて、顧客の要求するデザインをもった画像データを作成する画像データ作成手段と、画像データを第１の大判カラープリンタへと転送して印刷を行わせる転送手段と、画像データに基づいて顧客が要求したデザインを提示するデザイン提示手段と、を有する。また、第１の大判カラープリンタは、紙製のロール紙とこの紙製のロール紙をサンプルシートとして供給する給紙部とを含むサンプルシート供給手段と、転送手段から転送されてきた画像データに基づいて印刷を行う印刷手段と、を有し、画像データ出力手段は、画像データ作成手段によって作成された特定の画像データに対する出力指示が与えられたときに、これを出力し、画像データ入力手段は、画像データ出力手段から出力された画像データを入力する。更に、第２のパソコンは、画像データ入力手段が入力した画像データを第２の大判カラープリンタへと転送して印刷を行わせる仲介手段を有し、第２の大判カラープリンタは、印刷基材シートとこの印刷基材シートを供給する給紙部とを含む印刷基材シート供給手段と、供給された印刷基材シート上に、仲介手段から転送されてきた画像データに基づいて印刷を行う印刷手段と、を有し、印刷基材シートが、裏打紙上に樹脂コート層を形成してなる基材もしくは樹脂シート層からなる基材と、この基材表面に印刷可能面として形成された水性インキ受容層と、を有し、第２の大判カラープリンタの印刷手段が、微小なノズルから水性インキ受容層上に水性インキを吐出することにより印刷を行う機能を有するようにしたものである。
【０００８】
(2) 本発明の第２の態様は、上述の第１の態様に係る建材用化粧シートの作成システムにおいて、
サーバコンピュータ内のデータベースが、化粧シートのデザインに関するデータとして、絵柄に関するデータと色調に関するデータとを有し、
指示入力手段が、顧客の嗜好に合致した絵柄および色調を示す指示入力を受け付ける機能を有し、
画像データ作成手段が、データベースを利用して、顧客の嗜好に合致した絵柄および色調をもった画像データを作成できるようにしたものである。
【０００９】
(3) 本発明の第３の態様は、上述の第１または第２の態様に係る建材用化粧シートの作成システムにおいて、
画像データ出力手段が、携帯可能なデータ記録媒体に画像データを書き込むことによってデータ出力を行う機能を有し、
画像データ入力手段が、このデータ記録媒体から画像データを読み出すことによってデータ入力を行う機能を有するようにしたものである。
【００１０】
(4) 本発明の第４の態様は、上述の第１〜第３の態様に係る建材用化粧シートの作成システムにおいて、
第１のパソコンとサーバコンピュータとをネットワークを介して接続し、データベースアクセス手段が、ネットワークを介してサーバコンピュータ内のデータベースをアクセスできるようにし、大容量のデータベースを提供できるようにしたものである。
【００１１】
(5) 本発明の第５の態様は、上述の第１〜第４の態様に係る建材用化粧シートの作成システムにおいて、
第３の装置Ｚが、印刷済の印刷基材シートの印刷面上に表面保護シートを用いてラミネート加工するラミネート加工手段を更に有するようにし、印刷面が保護された建材用化粧シートを作成することができるようにしたものである。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
§１．本発明の基本的な実施形態
図１は、本発明の基本的な実施形態に係る建材用化粧シートの作成システムの構成を示すブロック図である。このシステムは、顧客の嗜好に合致したデザインを有する建材用化粧シートを、顧客の要望に応じて作成するシステムであり、その大きな構成要素は、画像作成部１００と化粧シート作成部２００である。画像作成部１００は、顧客の嗜好に合致したデザインの画像を作成する作業を行う部分であり、化粧シート作成部２００は、この作成された画像をシート上に印刷する作業を行う部分である。
【００１７】
画像作成部１００は、図示のとおり、データベース格納手段１１０、指示入力手段１２０、画像データ作成手段１３０、デザイン提示手段１４０、画像データ出力手段１５０によって構成されている。ここで、データベース格納手段１１０は、化粧シートのデザインに関するデータをデータベースとして格納する手段である。この実施形態の場合、デザインに関するデータとして、建材用化粧シートの絵柄に関するデータと色調に関するデータとが格納されている。このデータベース格納手段１１０自体は、たとえば、ＣＤ−ＲＯＭなどのデータ記録媒体によって構成することも可能であるが、ある程度の容量をもったデータベースを格納するためには、ハードディスク装置などの大容量記憶装置を用いて構成するのが好ましい。
【００１８】
指示入力手段１２０は、顧客Ｃの要求を示す指示入力を受け付ける機能をもった構成要素である。具体的には、キーボードやマウスなどの入力機器と、顧客Ｃの操作に基づいて指示入力を認識するためのソフトウエアとの組み合わせにより実現される要素である。画像データ作成手段１３０は、データベース格納手段１１０内に格納されているデータベース内のデータおよび指示入力手段１２０から入力された指示入力に基づいて、顧客の要求するデザインをもった画像データを作成する処理を行う構成要素であり、具体的には、ＣＰＵ（中央処理装置）や記憶装置等からなるハードウエアと画像データを取り扱うソフトウエアによって実現される要素である。デザイン提示手段１４０は、画像データ作成手段１３０が作成した画像データのうち、顧客が要求したデザインの画像データを用いて画像を提示する構成要素である。具体的には、ＣＲＴ（陰極線管）、ＬＣＤ（液晶表示装置）等のコンピュータ用のディスプレイ装置と、このディスプレイ装置の画面上に所定の画像を表示させるソフトウエアによって実現される要素である。
【００１９】
画像データ出力手段１５０は、顧客から特定の画像データに対する出力指示が与えられたときに、これを画像データ１０として出力する機能をもった構成要素であり、たとえば、ＭＯドライブ装置を画像データ出力手段１５０として用いた場合には、画像データ１０はＭＯディスク（光磁気記録盤）なる記録媒体上に出力されることになる。もっとも、画像データ出力手段１５０は、何らかの記録媒体上に画像データ１０を出力する装置に限定されるものではない。たとえば、有線・無線を問わず何らかの通信経路上に画像データ１０を出力する機能をもった装置を画像データ出力手段１５０として用いてもかまわない。
【００２０】
一方、化粧シート作成部２００は、図示のとおり、画像データ入力手段２１０、印刷基材シート供給手段２２０、印刷手段２３０、ラミネート加工手段２４０によって構成されている。ここで、画像データ入力手段２１０は、画像データ出力手段１５０から出力された画像データを入力するための構成要素である。たとえば、画像データ出力手段１５０がＭＯドライブ装置から構成され、画像データ１０がＭＯディスク上に出力される場合であれば、画像データ入力手段２１０としてもＭＯドライブ装置を用い、ＭＯディスクから画像データ１０を読み出すことができるようにしておけばよい。また、画像データ出力手段１５０が何らかの通信経路上に画像データ１０を出力する場合には、この通信経路上に出力された画像データ１０を受信する機能をもったインターフェイス装置などを画像データ入力手段２１０として用いればよい。
【００２１】
印刷基材シート供給手段２２０は、建材用化粧シートとして利用可能な素材からなり印刷可能面を有する印刷基材シートを、印刷手段２３０に対して供給する構成要素である。印刷基材シートの具体的な構成例については後述する。印刷手段２３０は、こうして供給された印刷基材シートの印刷可能面上に、画像データ入力手段２１０が入力した画像データに基づいて印刷を行う構成要素である。この印刷基材シート供給手段２２０および印刷手段２３０は、具体的には、たとえば大判カラーインキジェットプリンタ、昇華転写式プリンタ、感熱熔融転写式プリンタ、ホットメルト型インキジェットプリンタなどによって構成することができる。
【００２２】
ラミネート加工手段２４０は、印刷手段２３０から排出される印刷済の印刷基材シートの印刷面上に、表面保護シートを用いてラミネート加工を行う機能をもった装置であり、一般的なラミネータ装置によって構成することができる。こうして、ラミネート加工が完了した印刷済の印刷基材シートは、目的となる建材用化粧シートとして排出されることになる。なお、表面保護シート無しでも、建材用化粧シートとして十分使用可能な場合には、ラミネート加工手段２４０による表面保護シートのラミネート加工を省略しても良いし、その様な建材用化粧シートのみを取扱うのであれば、ラミネート加工手段２４０自体を省略しても良い。
【００２３】
図２は、データベース格納手段１１０内に格納されるデータベースの一例を示す図である。ここに示すデータベースは、化粧シートのデザインに関するデータベースであり、絵柄に関するデータと色調に関するデータとによって構成されている。絵柄に関するデータは、図示のとおり、いくつかの階層構造によって分類されている。まず、大分類として、木目パターン（天然木の木目模様をモチーフとしたパターン）、石目パターン（天然石の表面や断面の模様をモチーフとしたパターン）、抽象パターン（人為的に作成された種々の模様パターン）の３分類が定義されており、続いて中分類として、たとえば木目パターンについては、オーク材、チーク材、ブナ材、ヒノキ材、…といった種々の木材ごとの分類が定義されている。更に、小分類として、たとえばオーク材については、Ｎｏ．１，Ｎｏ．２，……というように、実際の絵柄を示す画像データが用意されている。
【００２４】
一方、色調に関するデータとしては、この実施形態の場合、Ｙ，Ｍ，Ｃ，Ｋの各色成分についての濃度値（この例では、８ビットで表現される０〜２５５までの濃度値）のデータが定義されている。この４つの色成分について、それぞれ所定の濃度値を決定することにより、１つの色が決定されることになる。したがって、理論的には、２５６の４乗とおりの色が用意されていることになる。もっとも、このような色調に関するデータは、いわゆるデータベースとして個々のデータそのものを格納しておく必要はなく、色を定義するための手法が何らかの形式で記述されていればよい。データベース格納手段１１０内に格納されているデータベースは、上述した絵柄に関するデータのように、多数のデータそのものによって構成することもできるが、上述した色調に関するデータのように、何らかの形式で多数のデータを定義する情報によって構成することもできる。
【００２５】
指示入力手段１２０は、顧客の嗜好に合致した絵柄および色調を示す指示入力を受け付ける機能を有しており、顧客Ｃは、指示入力手段１２０に対して、自分がどのような絵柄を好み、どのような色調を好むか、という情報を指示入力として与える作業を行う。前述したように、指示入力手段１２０は、具体的には、キーボードやマウスなどの入力機器と、顧客Ｃの操作に基づいて指示入力を認識するためのソフトウエアとの組み合わせにより実現される。このソフトウエアは、たとえば、次のような手順で、顧客Ｃの嗜好に合致した絵柄および色調を示す指示入力を受け付ける。まず、ディスプレイ装置の画面上に、木目パターン、石目パターン、抽象パターンなる大分類を表示し、顧客Ｃにマウスクリックなどの操作を行わせ、好みの分類を選択させる。たとえば、顧客Ｃが、木目パターンを選択したとすると、続いて、ディスプレイ装置の画面上に、木目パターンについての中分類であるオーク材、チーク材、ブナ材、ヒノキ材、といった木材名を表示し、顧客Ｃにマウスクリックなどの操作を行わせ、好みの木材を選択させる。たとえば、顧客Ｃが、オーク材を選択したとすると、最後に、ディスプレイ装置の画面上に、小分類となるＮｏ．１，Ｎｏ．２，…といった木目柄画像そのものを表示し、顧客Ｃにマウスクリックなどの操作を行わせ、好みの木目柄画像を選択させる。
【００２６】
以上のような操作をさせることにより、顧客Ｃに、自分の嗜好に合致した絵柄を選択させることができたら、続いて、好みの色調についての指示入力を受け付ける処理を行う。これは、たとえば、顧客Ｃが選択した絵柄を、標準的な色で着色された状態で画面に表示させ、顧客の嗜好に応じて、各部の色調を変更する処理を行わせるようにすればよい。たとえば、図３に示すような木目柄が選択された場合であれば、とりあえず、この絵柄を標準色でディスプレイ画面上に表示し、特徴的な領域Ａ１，Ａ２，Ａ３のそれぞれについて、別個独立して色調を変更させるような操作を行わせればよい。色調の変更処理は、たとえば、現在のＹＭＣＫの各濃度値を画面上に表示し、この濃度値をマウスドラッグ操作やキーボード操作によって変更するような操作入力を受け付けるようにしておけばよい。具体的な色調の変更処理は、ＹＭＣＫの各色成分の濃度値そのものを変更する形式でもよいが、一般の顧客にとってより操作し易くする為に、例えば、色相を赤緑方向の座標軸と黄青方向の座標軸とから成る二次元の色相空間上での変位ベクトルとして色相変更を指示したり、入力画像濃度値を示す座標軸と出力画像濃度値を示す座標軸とから成る二次元座標における曲（直）線として濃淡の階調（コントラスト）を変更する指示をする等の形式を採用しても良い。
【００２７】
いずれにせよ、顧客Ｃは、指示入力手段１２０に対して所望の指示入力を与えることにより、自分の好みの絵柄を選択することができ、自分の好みの色調を指定することができる。別言すれば、絵柄と色調を指定することにより、自分の嗜好に合致した建材用化粧シートのデザインを指定することができる。画像データ作成手段１３０は、データベース格納手段１１０内のデータベースを利用して、顧客が指示した絵柄および色調に応じたデザインの画像データを作成する。デザイン提示手段１４０は、こうして作成された画像データに基づいて、ディスプレイ画面上に顧客が指定した建材用化粧シートのデザインを提示する。顧客Ｃは、必要があれば、更に指示入力手段１２０に対して修正指示を与えることにより、このデザインを修正することができる。
【００２８】
顧客Ｃは、提示されたデザインに最終的に満足した場合には、指示入力手段１２０に対して、この満足したデザインに対応する画像データを出力する旨の指示を与える。この指示は、画像データ作成手段１３０へと伝えられ、当該画像データが、画像データ出力手段１５０を介して、画像データ１０として出力されることになる。前述したように、図１に示す例では、この画像データ１０は、ＭＯディスクなどのデータ記録媒体に出力された後、画像データ入力手段２１０によって、化粧シート作成部２００側に入力されることになる。もちろん、画像データ出力手段１５０と画像データ入力手段２１０とがケーブルなどでオンライン接続されている場合には、画像データ出力手段１５０からケーブル上に出力された画像データ１０が、画像データ入力手段２１０によってそのまま取り込まれることになる。
【００２９】
このようにして、顧客の嗜好に合致したデザインの画像データ１０が、化粧シート作成部２００に与えられたら、印刷手段２３０によって、印刷基材シート供給手段２２０から供給される印刷基材シート上に、このデザインの画像が印刷されることになる。そして、ラミネート加工手段２４０によって、印刷済みの印刷基材シートにラミネート加工が施され、建材用化粧シートとして排出されることになる。こうして排出された建材用化粧シートは、顧客の嗜好に合致したデザイン（絵柄および色調）をもったシートであり、いわば受注生産された建材用化粧シートと同じである。印刷基材シート供給手段２２０が供給する印刷基材シートは、後述するように、建材用化粧シートとして利用可能な素材からなり、かつ印刷可能面を有しているため、印刷手段２３０による印刷が可能になり、しかも最終的に排出される建材用化粧シートは、従来の一般的な建材用化粧シートと同等の品質をもったシートになる。
【００３０】
本発明に係る建材用化粧シートの作成システムでは、顧客Ｃは、膨大なバリエーションの中から、自分の嗜好に合致したデザインを選択することができるようになり、極めて多品種のデザインの中からの選択が可能になる。最近は、ディスプレイ画面上で画像に対するレタッチ処理を行うソフトウエアも多数市販されており、画像データ作成手段１３０として、このようなレタッチ処理を行うソフトウエアを組み込んでおけば、顧客Ｃは、予めデータベース格納手段１１０内に用意されていた絵柄に対して、様々な加工を施すことも可能になり、デザイン選択の範囲は無限に広がることになる。しかも、実際の建材用化粧シートは、印刷手段２３０による印刷処理によって作成されるため、どのような小ロットにも対応することが可能である。顧客Ｃは、嗜好に合致したデザインの建材用化粧シートを、必要なときに、必要なだけ印刷すればよいので、小ロット多品種の建材用化粧シートを、極めて短い納期で入手することができるようになる。
【００３１】
§２．本発明の実用的な実施形態
図４は、本発明に係る建材用化粧シートの作成システムを、より実用に即した形態で実施した一例を示すブロック図である。ここに示す例は、建材会社Ｘ、印刷会社Ｙ、施工業者Ｚの三者によって、本発明に係るシステムを利用した例である。従来の一般的なケースの場合、建材会社Ｘは、壁紙や床材などの建材用化粧シートを販売している企業であり、印刷会社Ｙは、この建材会社Ｘからの注文を受けて建材用化粧シートを製造している企業であり、施工業者Ｚは個々の地域で内装工事などを引き受けている企業である。
【００３２】
既に、従来技術において述べたように、建材用化粧シートを提供するための三者Ｘ，Ｙ，Ｚ間における従来の作業手順は、次のようなものである。まず、建材会社Ｘが売れ筋となるであろうと思われるデザインの企画を練り、印刷会社Ｙに対して、このデザインの建材用化粧シートを大ロットで発注し、これをカタログに掲載する。施工業者Ｚは、顧客にこのカタログを提示し、希望のデザインの建材用化粧シートを選ばせ、これを建材会社Ｘに発注する。建材会社Ｘは、施工業者Ｚの近隣の拠点倉庫から、注文を受けた建材用化粧シートを施工業者Ｚ宛てに出荷する。もし、近隣の拠点倉庫に在庫がなければ、遠方の拠点倉庫からの取り寄せを行うことになる。こうして、注文した建材用化粧シートが施工業者Ｚに搬入されたら、施工業者Ｚは、この建材用化粧シートを用いて、施工現場Ｗでの施工作業を行う。以上は従来の一般的な作業手順であるが、このような手順を採る限り、商業上は大ロット少品目の提供しか行うことができず、施工業者Ｚへの建材用化粧シートの搬入まで、ある程度の納期が必要になる。
【００３３】
このような三者Ｘ，Ｙ，Ｚについて、本発明に係る建材用化粧シートの作成システムを導入する場合の構成例が図４に示されている。この例の場合、各企業の各担当部署には、それぞれ次のような機器が設置されることになる。まず、印刷会社Ｙの建材部門には、サーバコンピュータ３００を設置する。また、建材会社Ｘのショールームには、パソコン４１０、大判カラープリンタ４２０、ＭＯドライブ装置４３０を設置する。ここで、サーバコンピュータ３００とパソコン４１０とは、ネットワーク３５０（たとえば、インターネット）を介して接続されており、パソコン４１０は、サーバコンピュータ３００に対するクライアントコンピュータとして機能する。更に、施工業者Ｚの作業場には、パソコン５１０、大判カラープリンタ５２０、ＭＯドライブ装置５３０、大判用ラミネータ５４０を設置する。
【００３４】
この図４に示す実用的なシステムと、図１に示す基本的なシステムとについて、個々の構成要素の関係を述べておくと次のとおりである。まず、印刷会社Ｙに設置されたサーバコンピュータ３００は、図１に示すデータベース格納手段１１０に相当する構成要素である。したがって、このサーバコンピュータ３００内には、化粧シートのデザインに関するデータ、より具体的には、図２に示すような絵柄に関するデータと色調に関するデータがデータベースとして格納されていることになる。
【００３５】
一方、建材会社Ｘに設置されたパソコン４１０は、図１に示す指示入力手段１２０、画像データ作成手段１３０、デザイン提示手段１４０として機能する構成要素である。パソコン４１０には、キーボード、マススなどの入力装置や、ディスプレイなどの表示装置が備わっており、内部のハードディスクやメモリには、所定のソフトウエアがインストールされている。また、ネットワーク３５０を介して、サーバコンピュータ３００内のデータベースをアクセスする機能も有している。したがって、このパソコン４１０によって、図１に示す指示入力手段１２０、画像データ作成手段１３０、デザイン提示手段１４０の機能を実現することができる。
【００３６】
建材会社Ｘに設置された大判カラープリンタ４２０は、幅９００ｍｍ程度の長尺状の原紙にインキジェット方式で印刷する機能をもったプリンタである。そのヘッド部分には、多数の微小なノズルが並んでおり、これらのノズルからＹＭＣＫ各色のインキを吐出して印刷を行うことができる。一般的な紙製のロール紙を給紙して用いる大判カラープリンタは、既に種々のものが市販されているが、本発明で用いる大判カラープリンタ４２０は、建材用化粧シートとして利用可能な素材からなり、表面に印刷可能面を有する印刷基材シート（具体的な構造については後述する）を給紙することができる給紙装置が付属している。この給紙装置は、ロール状の印刷基材シートを給紙する装置であってもよいし、枚葉状（所定の長さに予め切断された状態）の印刷基材シートを給紙する装置であってもかまわない。結局、大判カラープリンタ４２０のプリンタ本体部は図１の印刷手段２３０に相当し、給紙装置の部分は図１の印刷基材シート供給手段２２０に相当することになる。この場合、図１の画像データ出力手段１５０は、パソコン４１０から大判カラープリンタ４２０へ、画像データを転送するインターフェイス装置ということになり、図１の画像データ入力手段２１０は、パソコン４１０から転送されてきた画像データを大判カラープリンタ４２０の本体部へと取り込むインターフェイス装置ということになる（ＭＯドライブ装置４３０は、後述するように、別な観点からみたときの画像データ出力手段１５０となる）。
【００３７】
かくして、建材会社Ｘおよび印刷会社Ｙに設置されたサーバコンピュータ３００、パソコン４１０、大判カラープリンタ４２０によって、図１に示す基本システムにおける主要な構成要素が実現されていることになる（ラミネート加工手段２４０だけが欠けていることになるが、このラミネート加工手段２４０は、本発明を実施する上での必須構成要素ではない）。
【００３８】
一方、図４に示す実施形態の場合、施工業者Ｚの作業場に設置されたパソコン５１０は、建材会社Ｘに設置されたパソコン４１０とは若干機能が異なっている。すなわち、パソコン４１０は、図１の指示入力手段１２０、画像データ作成手段１３０、デザイン提示手段１４０として機能する構成要素であるのに対し、パソコン５１０は、ＭＯドライブ装置５３０が取り込んだ画像データを大判カラープリンタ５２０へと転送して印刷を行わせる仲介装置としての機能を果たすだけでよい。すなわち、ＭＯドライブ装置５３０は、図１の画像データ入力手段２１０として機能し、ＭＯディスク２０に記録された画像データを読み込む作業を行うことになるが、読み込まれた画像データは、一旦、パソコン５１０に取り込まれた後、大判カラープリンタ５２０へと転送される。
【００３９】
施工業者Ｚの作業場に設置された大判カラープリンタ５２０は、建材会社Ｘに設置された大判カラープリンタ４２０と同様のインキジェット方式のプリンタであり、図１の印刷基材シート供給手段２２０および印刷手段２３０として機能する。施工業者Ｚの作業場には、更に、大判用ラミネータ５４０が設置されている。この大判用ラミネータ５４０は、大判カラープリンタ５２０から排出される印刷済みの印刷基材シートの印刷面上に、表面保護シートをを用いてラミネート加工を施す装置であり、図１のラミネート加工手段２４０に相当する装置である。ここでラミネート加工された印刷基材シートは、そのまま建材用化粧シートとして排出されることになる。施工業者Ｚは、この建材用化粧シートを用いて、施工現場Ｗでの施工を行うことになる。
【００４０】
結局、建材会社Ｘに設置されたサーバコンピュータ３００、印刷会社Ｙに設置されたパソコン４１０、ＭＯドライブ装置４３０、施工業者Ｚに設置されたＭＯドライブ装置５３０、パソコン５１０、大判カラープリンタ５２０、大判用ラミネータ５４０によって、図１に示す基本システムにおける主要な構成要素が実現されていることになる。
【００４１】
このように、図４に示す実施形態は、図１に示す基本的な実施形態との関連においては、２通りの観点から把握することができる。第１の観点から見た場合には、建材会社Ｘおよび印刷会社Ｙに設置された構成要素によって、図１のラミネート加工手段２４０以外の構成要素がすべて実現されていることになる。すなわち、パソコン４１０およびサーバコンピュータ３００が画像作成部１００に相当し、大判カラープリンタ４２０が化粧シート作成部２００に相当することになる（ＭＯドライブ装置４３０は、この第１の観点から見た場合は、図１のシステムの構成要素にはならない）。この場合、大判カラープリンタ４２０が印刷基材シート供給手段２２０および印刷手段２３０として機能し、パソコン４１０と大判カラープリンタ４２０との間のインターフェイス機器が、画像データ出力手段１５０および画像データ入力手段２１０として機能し、画像データ１０はオンラインにより、画像作成部１００から化粧シート作成部２００へと転送されることになる。
【００４２】
一方、第２の観点から見た場合には、建材会社Ｘ、印刷会社Ｙ、施工業者Ｚの三者に設置された構成要素によって、図１の構成要素がすべて実現されていることになる。すなわち、パソコン４１０、サーバコンピュータ３００、ＭＯドライブ装置４３０が画像作成部１００に相当し（大判カラープリンタ４２０は、この第２の観点から見た場合は、図１のシステムの構成要素にはならない）、ＭＯドライブ装置５３０、パソコン５１０（画像データの単なる中継点として機能する）、大判カラープリンタ５２０、大判用ラミネータ５４０が化粧シート作成部２００に相当することになる。この場合、ＭＯドライブ装置４３０が画像データ出力手段１５０として機能し、ＭＯドライブ装置５３０が画像データ入力手段２１０として機能することになり、画像データ１０は、ＭＯディスク２０に格納されて化粧シート作成部２００へと引き渡されることになる。
【００４３】
このように、図４に示す例には、本発明の２通りの実施形態が含まれていることになるが、顧客Ｃにとっての利便性を考えると、この図４に示す例は実用上非常に有用である。この図４に示す例における建材用化粧シート搬入までのプロセスは次のような手順で行われる。たとえば、施工現場Ｗの住人である顧客Ｃが、ある一部屋についてのリフォームを行う際に、壁紙の張り替えを考えていたとしよう。この場合、顧客Ｃは、まず建材会社Ｘのショールームを訪問し、壁紙のデザインを決定する作業を行うことになる。すなわち、顧客Ｃは、パソコン４１０を用いて、印刷会社Ｙに設置されたサーバコンピュータ３００内のデータベースにアクセスし、§１で述べたような操作により、所望の壁紙の絵柄と色調とを決定する作業を行う（実用上は、パソコン４１０の操作は、顧客Ｃ自身ではなく、ショールームの専任の担当者が行うことになる）。
【００４４】
なお、デザインを決定する操作中は、パソコン４１０のディスプレイ画面上で絵柄や色調の確認を行うことができるが、ディスプレイ画面に表示されたデザインと、実際の建材用化粧シート上に表現されるデザインとは、色調などが微妙に異なっている。そこで、顧客Ｃは、一応、ディスプレイ画面上において自分の嗜好に合致したと思われるデザインが得られたら、当該デザインについての画像データを大判カラープリンタ４２０へと転送し、サンプルシート上に試し刷りを行い、このサンプルシート上でデザインを確認することも可能である。もちろん、大判カラープリンタ４２０における給紙装置として、本番用の印刷基材シート（建材用化粧シートとして利用可能な素材からなるシートで、本来、施工業者Ｚの大判カラープリンタ５２０において使用されるシート）を給紙する装置を用いることにすれば、この試し刷りとして排出されたサンプルシートは、そのまま建材用化粧シートとして利用できることになる。ただし、コストの点を考慮すると、あくまでも試し刷りとして出力させるサンプルシートに、本番用の印刷基材シートを用いてしまうと、かなりのコストがかかることになる。そこで、コストを低減させるためには、大判カラープリンタ４２０では、比較的安価な紙製のロール紙などを給紙するようにしてサンプルシート上への画像出力を行うようにするとよい。あるいは、大判カラープリンタ４２０の代わりに、Ａ４判程度の事務用カラープリンタを用いてＡ４判のサンプルシートを出力するようにしてもよい。
【００４５】
顧客Ｃは、自分の嗜好に合致したデザインのサンプルシートが得られるまで、パソコン４１０を用いて何度でもデザインを修正する作業を行うことができる。そして、最終的に、好みのデザインが得られたら、パソコン４１０に対して、このデザインについての画像データを、外部へ出力する旨の指示を与える。この指示を受けて、当該画像データが、ＭＯドライブ装置４３０からＭＯディスク２０へと出力される。以上で、顧客Ｃが建材会社Ｘのショールームで行う作業は完了である。顧客Ｃは、このＭＯディスク２０を、作業結果としてそのまま持ち帰ることができる。
【００４６】
続いて、顧客Ｃは、このＭＯディスク２０を施工業者Ｚに渡して、施工を依頼すればよい。施工業者Ｚは、顧客Ｃから受け取ったＭＯディスク２０内の画像データを、ＭＯドライブ装置５３０を介してパソコン５１０へと読み込み、更に、この画像データを大判カラープリンタ５２０へと転送して印刷を行う。もちろん、この大判カラープリンタ５２０では、本番用の印刷基材シートが給紙される。こうして、ＭＯディスク２０内の画像データに基づく画像が印刷されたら、更に、大判用ラミネータ５４０によって印刷面に保護用のラミネート加工が施され、最終的な建材用化粧シートが排出される。この建材用化粧シートには、顧客Ｃの嗜好に合致したデザインが印刷されていることになる。
【００４７】
なお、パソコン５１０には、ＭＯディスク２０内の画像データに基づいて、所望のサイズの画像を大判カラープリンタ５２０に印刷させる印刷制御用ソフトウエアをインストールしておくのが好ましい。そうすれば、施工業者Ｚは、実際の施工現場Ｗの寸法に応じて、必要最低限の大きさの建材用化粧シートを印刷させることができ、印刷基材シートを無駄にしないですむ。
【００４８】
たとえば、一般的な壁紙の場合、従来は、９００ｍｍ幅で所定長（たとえば、２０ｍ）をもったロール状の化粧シートとして納品されるので、これを施工業者Ｚが必要な長さに裁断しながら、壁へ張り付ける作業を行ってゆくことになる。通常、若干の長さの余裕をみて発注を行うため、施工後にはいくらかの長さが余って無駄になる。本発明に係るシステムの場合、壁紙用の画像データとしては、せいぜい９００ｍｍ×２４００ｍｍ程度の面積をカバーする画像データを用意し、これをＭＯディスク２０に格納するようにしておけば十分である。一般的な住宅の場合、天井高は２４００ｍｍ以下であるので、施工業者Ｚが１枚の壁紙として印刷する必要がある建材用化粧シートの大きさは、せいぜい９００ｍｍ×２４００ｍｍ程度となるためである。もちろん、リピータブルな絵柄の場合、より小さな面積についての画像データだけを用意しておき、印刷時に同じ絵柄を繰り返し印刷するようにすればよい。
【００４９】
パソコン５１０に、印刷サイズを制御するソフトウエアを用意しておけば、幅は９００ｍｍと固定であったとしても、印刷の長さは任意に設定することができるため、たとえば、天井高が２１５０ｍｍの部屋に壁紙を張る場合には、長さ２１５０ｍｍ分だけ印刷を行うようにすれば、印刷基材シートは全く無駄にならないですむ。このように、実際の施工現場Ｗで作業を行う施工業者Ｚ自身が、必要なときに、必要な分量だけ、建材用化粧シートを印刷して利用できる点も、本発明に係るシステムの大きなメリットである。
【００５０】
本発明に係る建材用化粧シートの作成システムが全国的に普及するようになれば、各地区の施工業者の作業場に、図４の施工業者Ｚと同等の設備が用意されるようになる。そうなれば、顧客Ｃがいずれの施工業者に依頼したとしても、全く同じ壁紙を用いた施工が期待できる。すなわち、建材会社Ｘのショールームで、一度、自分の嗜好に合致したデザインの画像データを作成してしまえば、これをＭＯディスク２０に格納して保持することができ、このＭＯディスク２０を施工業者に提出することにより、いつでも所望の壁紙を張らせることができるようになる。そのため、将来（例えば１０年後）壁紙を張り替える必要が生じた場合でも、画像データを収納したＭＯディスクさえ保管されていれば、その画像データを基に最初の施工時と同じデザインの壁紙を必要な量だけ入手出来る。これは、従来のシステムには無い利点である。従来のシステムでは、１０年以上の長期間が経過すると、その壁紙自体の在庫はもとより、その壁紙の版や画像データさえも廃棄・抹消され同じデザインの壁紙の購入が全く不可能となることも有り得たからである。本発明は、このような新たなビジネスモデルをも提案するものである。図１に示す構成において、画像データ出力手段１５０から画像データ入力手段２１０へ、画像データ１０を引き渡すための手段として、ＭＯディスク２０のような携帯可能なデータ記録媒体を介在させるメリットは、上述したように、顧客ＣがＭＯディスク２０を自分自身で保管でき、必要に応じて、このＭＯディスク２０を施工業者に提出することにより、いつでも所望の壁紙を用いた施工を行わせることができるようになる点にある。顧客Ｃから見れば、建材会社Ｘのショールームにおいて、あたかも、オーダーメイドの壁紙をＭＯディスク２０という容器に入れて購入してきたような感覚が得られる。
【００５１】
§３．シートの具体的な構成例
続いて、本発明に係るシステムに用いられる印刷基材シートおよび表面保護シートの具体的な構成例を述べておく。
【００５２】
図５は、図１に示すシステムにおける印刷基材シート供給手段２２０によって供給される印刷基材シート（図４のシステムの大判カラープリンタ４２０あるいは大判カラープリンタ５２０において給紙されるシート）の具体的な構成例を示す側断面図である。本発明に用いられる印刷基材シートは、建材用化粧シートとして利用可能な素材からなり、印刷可能面を有している、という２条件を満たしたシートである必要がある。図５に示す印刷基材シートは、いずれもこの２条件を満足するシートである。
【００５３】
図５(a) に示す印刷基材シート３０の本体部分は、裏打紙３１、樹脂コート層３２および水性インキ受容層３３なる３層から構成されており、更に、裏打紙３１の下面には、粘着剤層３４および離型シート３５が形成されている。裏打紙３１は、印刷基材シート３０の基本層として機能する層であり、この例では、秤量７０〜９０ｇ／ｍ^２程度の紙を用いている。実用上は、水酸化アルミニウム粉末などを添加して難燃処理を施しておくのが好ましい。その上にコートされた樹脂コート層３２は、厚さ５０〜２００μｍ程度の樹脂層であり、たとえば、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体などによって構成することができる。
【００５４】
水性インキ受容層３３は、水溶性インキを微小なノズルから吐出して印刷するインキジェットプリンタを用いることを前提とした印刷可能面を形成するための層であり、水性インキを受容することができる層であれば、どのような材質で構成してもかまわない。たとえば、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂に、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の粉末からなる体質顔料などを添加した組成物を用いて、水性インキ受容層３３を構成することができる。水性インキ受容層は、通常１〜５μｍ程度の厚さとする。粘着剤層３４および離型シート３５は、印刷基材シート３０に必ずしも必須の構成要素ではないが、施工時に糊の塗布が不要な壁紙などを作成する場合には必要になる。粘着剤層３４は、壁紙などを張り付けるときの糊として機能する粘着剤であれば、どのような材料でもかまわない。一般的には、アクリル樹脂系やゴム系の粘着剤を利用すればよい。離型シート３５は、この粘着剤層３４を保護するためのシートであり、たとえば、シリコン樹脂コート紙などによって構成される。施工時には、この離型シート３５を粘着剤層３４から剥離して、粘着剤層３４を露出状態にした上で、この粘着剤層３４の面を壁に張り付けることになる。もちろん、施工時に接着剤を塗布する場合は、粘着剤層３４および離型シート３５は省略する（形成しない）。
【００５５】
一方、図５(b) に示す印刷基材シート３０は、図５(a) に示す裏打紙３１および樹脂コート層３２を、樹脂シート３６に置き換えた構成を有するものである。樹脂シート３６は、５０〜２００μｍ程度の厚みをもった樹脂層であり、たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステルなどの樹脂によって構成することができる。通常は、チタン白、カーボンブラック等の顔料を添加して、所望の色に着色すると共に隠蔽性（不透明）とする。水性インキ受容層３３、粘着剤層３４、離型シート３５は、図５(a) に示すものと同様である。
【００５６】
図６は、図１に示すシステムにおけるラミネート加工手段２４０において用いられる表面保護シート４０の具体的な構成例を示す側断面図である。図６(a) の例では、透明樹脂シート４１の下面に粘着剤層４２が形成され、更にその下面に離型シート４３が形成されている。透明樹脂シート４１は、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリ弗化ビニリデンなどの弗化樹脂、その他、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンなどの樹脂によって構成することができる。この例では、透明樹脂シート４１の表面は平滑な平坦面となっている。一方、粘着剤層４２は、１〜１００μｍ程度の厚みをもった層であり、アクリル樹脂系、ゴム系などの粘着剤から構成される。離型シート４３は、たとえば、シリコン樹脂コート紙などによって構成され、ラミネート加工時には、離型シート４３は粘着剤層４２から剥離される。図６(b) は、表面保護シート４０のもう１つの例を示すものである。この例では、透明樹脂シート４１の表面には、凹凸模様４５が形成されている。この凹凸模様は、公知のエンボス加工法によって形成されるものであり、木目導管溝、砂目、ヘアライン、花崗岩、劈開面等の凹凸形状からなる。透明樹脂シートの厚みや材料は、図６(a) と同様である。また、透明樹脂シートの裏面には、感熱型接着剤層４４が形成されている。この感熱型接着剤層４４は、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂、ブロックイソシアネート硬化剤とポリオールとからなる２液硬化型ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂から成る。
【００５７】
図７は、図５(a) に示す印刷基材シート３０の上面に、インキジェット方式のプリンタを用いて印刷を行い、水性インキ受容層３３上にインキ層５０を付着させた後、図６(a) の表面保護シート４０から離型シート４３を剥離したものを用いて、ラミネート加工を施した状態を示す側断面図である。印刷基材シート３０上のインキ層５０は、粘着剤層４２によって覆われて保護され、表面には透明樹脂シート４１が形成されている。
【００５８】
なお、図１に示す化粧シート作成部２００では、印刷手段２３０とラミネート加工手段２４０とが別個の構成要素となっており、図４に示す施工業者Ｚ内の装置においても、大判カラープリンタ５２０と大判用ラミネータ５４０とが別個の装置となっているが、印刷手段２３０とラミネート加工手段２４０とを単一の装置として構成してもかまわない。たとえば、図８に側面図を示す装置は、印刷手段２３０とラミネート加工手段２４０とを兼ね備えた装置の一例である。この装置では、市販のインキジェットプリンタ６０の排紙経路に、ラミネート加工のための機構が付加されている。インキジェットプリンタ６０から排出される印刷済みの印刷基材シート３０の上面には、インキジェットプリンタ６０のノズルから吐出されたインキ層５０が載った状態となっている。この印刷基材シート３０の上面に、表面保護シート７０が重ねられた後、押圧ローラ８０によって上下方向の押圧力が加えられることにより、印刷基材シート３０と表面保護シート７０とが接着されることになる。ここで用いられる表面保護シート７０は、図６(a) に示す表面保護シート４０から離型シート４３を除去した構造、あるいは図６(b)に示す構造を有し、ロール状の巻取７５として供給される。表面保護シート４０が図６(a) の如く粘着剤層を有する場合は、押圧ローラ８０は室温のままで、単に圧力のみを加える。一方、表面保護シート４０が図６(b) の如く、感熱型接着剤層を有する場合は、押圧ローラ８０はローラ内に高温水蒸気を通す等の方法で加熱された加熱ローラとし、加圧と同時に加熱する。必要に応じて、押圧ローラ８０の前後に赤外線輻射式等の方式のヒーター８６を設置し、感熱型接着剤層の加熱活性化を助ける。押圧ローラ８０の表面に凹凸模様の逆凹凸形状を付与しておくと、ここで凹凸模様４５をエンボスすることもできる。押圧ローラ８０は、通常、表面保護シート側を金属ローラとし、印刷基材シート側をゴムローラとする。押圧ローラ８０によって接着されたシートは、切断刃８５によって所定位置で切断され、建材用化粧シート９０として排出される。
【００５９】
図４のシステムにおける大判カラープリンタ５２０と大判用ラミネータ５４０のように、プリンタとラミネータとをそれぞれ別個の装置として用意した場合、プリンタから排出された印刷済みの印刷基材シートを、ラミネータの導入口へと挿入する作業を行う必要がある。図８に示すように、両者を一体化した装置を用いるようにすれば、ラミネート加工までが完了した最終的な建材用化粧シート９０が排出されるため、作業はかなり楽になる。
【００６０】
§４．画像分割機能
次に、本発明に係る建材用化粧シートの作成システムに適した付加機能を述べておく。一般に、壁紙は、幅９００ｍｍ、長さが施工場所の天井高（通常、２０００〜２４００ｍｍ程度）となるような単位矩形を１単位として、施工場所の壁に張り付ける作業が行われる。したがって、このような単位矩形の面積よりも大きな大柄画像を表現する壁紙は、既製品としては、通常は用いられていない。ただ、ホテルのロビー用の壁紙など、特殊な環境においては、このような大柄画像の壁紙の需要も少なからず存在する。このような需要に応じる場合、大柄画像を複数の分割画像に分割し、個々の分割画像ごとに１枚の壁紙を構成する手法が採られる。
【００６１】
たとえば、図９に示すように、景色を表現した大柄画像Ｐ０を壁紙として用いたい場合、この大柄画像Ｐ０を、図１０に示すように、６つの分割画像Ｐ１〜Ｐ６に分割し、個々の分割画像Ｐ１〜Ｐ６ごとにそれぞれ１枚の壁紙を構成するようにする。そして、この６枚の壁紙を、互いに隣接するように壁に張り付ければ、もとの大柄画像Ｐ０を得ることができる。
【００６２】
しかしながら、従来の建材用化粧シートの作成システムでは、実用上、このような大柄画像の壁紙の需要に応えることが困難である。既に述べたように、商業的な採算を考慮すると、大ロット少品種の品揃えを行わざるを得ず、上述のような６種類もの分割画像を用意する必要がある品目は、採算のとれない品目にならざるを得ない。たとえば、従来のシステムでは、図１０に示す６種類の分割画像Ｐ１〜Ｐ６のそれぞれについて版を作成し、それぞれ別個のロールに印刷することになるため、６種類の絵柄のロールを在庫として保有しなければならない。また、この６種類のロールは、同一の印刷機で同時期に印刷されるとは限らず、異なる印刷機を用いて異なる時期に印刷される可能性もある。このため、本来、同一の色調で表現されるべき部分であるのに、ロールごとに色調の食い違いが生じる可能性がある。このように、ロールごとに色調が異なると、壁紙として隣接して張り付けたときに、境界を挟んで色調に変化が生じ、全体として不自然な画像になってしまうおそれがある。
【００６３】
このような従来の問題点は、本発明に係る建材用化粧シートの作成システムによって完全に解決される。すなわち、本発明に係るシステムでは、建材用化粧シートを在庫としてかかえる必要がなく、施工時に受注生産を行う形式になるため、６種類の分割画像ごとにそれぞれ１枚の壁紙を構成することになっても、何ら支障は生じない。施工時に、図１０に示す６枚の分割画像Ｐ１〜Ｐ６をカラープリンタで順番に印刷してゆけばよい。当然、この６枚の分割画像をもった壁紙は、同一のプリンタで同時期に印刷された壁紙となるため、相互に色調の食い違いが生じることもなく、隣接して張り付けた場合に境界部分の色調変化が目立つこともない。このような点から、大柄画像を複数の分割画像に分けて出力するタイプの建材用化粧シートを作成するには、本発明に係るシステムを用いるのが最適である。
【００６４】
なお、図９に示すような大柄画像Ｐ０を、図１０に示すように複数の分割画像Ｐ１〜Ｐ６に分割する処理は、図１に示すシステムにおける画像作成部１００側で行ってもよいし、化粧シート作成部２００側で行ってもよい。画像作成部１００側で分割処理を行う場合は、画像データ作成手段１３０に分割画像の作成機能を設けておくようにする。すなわち、顧客Ｃから出力指示が与えられた画像データによって表現される画像のサイズが、印刷基材シート供給手段２２０から供給される印刷基材シートのサイズよりも大きい場合に、この画像を複数の部分領域に分割し、個々の部分領域ごとの画像を示す分割画像データを作成する機能を設けておく。図４のシステムでは、パソコン４１０において６枚の分割画像Ｐ１〜Ｐ６についての画像データが作成され、ＭＯディスク２０には、この６枚の分割画像データが記録されることになるので、施工業者Ｚは、大判カラープリンタ５２０を用いて、この６枚の分割画像Ｐ１〜Ｐ６を順次印刷すればよい。
【００６５】
一方、化粧シート作成部２００側で分割処理を行う場合は、印刷手段２３０に分割出力の機能を設けておけばよい。すなわち、入力した画像データによって表現される画像のサイズが、印刷基材シート供給手段２２０から供給される印刷基材シートのサイズよりも大きい場合には、この画像を複数の部分領域に分割し、個々の部分領域ごとの画像を示す分割画像データを作成し、この分割画像データに基づいて個々の部分領域ごとに印刷を行う機能を、印刷手段２３０に設けておくようにする。図４のシステムでは、ＭＯディスク２０には、大柄画像Ｐ０の画像データがそのまま記録されることになるが、このＭＯディスク２０内の画像データを大判カラープリンタ５２０に与える際の仲介作業を行うパソコン５１０において、６枚の分割画像Ｐ１〜Ｐ６の画像データを作成するようにし、これを順次大判カラープリンタ５２０に送って順番に印刷が行われるようにすればよい。
【００６６】
§５．その他の変形例
以上、本発明を図示するいくつかの実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の形態で実施可能である。
【００６７】
たとえば、図４に示す実施形態では、化粧シートのデザインに関するデータベースを、印刷会社Ｙに設置されたサーバコンピュータ３００内に格納し、これをネットワーク３５０を介してパソコン４１０からアクセスするようにしているが、データベース格納手段は、必ずしもサーバコンピュータに設置する必要はない。たとえば、比較的小規模なデータベースであれば、ＣＤ−ＲＯＭに格納することも可能である。この場合は、このＣＤ−ＲＯＭを本発明におけるデータベース格納手段１１０として用いることができる。図４の実施形態の場合、このＣＤ−ＲＯＭ内のデータベースをパソコン４１０から直接利用することができるので、ネットワーク３５０およびサーバコンピュータ３００は不要になる。
【００６８】
ただ、壁紙などの建材用化粧シートの絵柄の画像データは、かなりデータ容量が大きいため、ＣＤ−ＲＯＭに収容できる小規模なデータベースでは、顧客の要望に応じた多様な絵柄のバリエーションを提供することが困難である。したがって、実用上は、前述した実施形態のように、印刷会社Ｙなどにサーバコンピュータ３００を設置し、このサーバコンピュータ３００内にデータベースを格納するようにするのが好ましい。このように、サーバコンピュータ３００内にデータベースを格納しておけば、非常に多数の種類の絵柄を提供できるというメリットが得られるだけでなく、データベースを一元管理することができるというメリットも得られる。たとえば、印刷会社Ｙ側で、流行に応じた新しいデザインの絵柄をこのデータベースに逐次追加する作業を行うようにすれば、顧客は、常に最新のデータベースを利用することができるようになる。
【００６９】
また、図４に示す実施形態では、図１の画像作成部１００の構成要素のうち、データベース格納手段１１０のみをサーバコンピュータ３００側に設けているが、画像データ作成手段１３０をサーバコンピュータ３００側の機能により実現するようにしてもよい。この場合、画像データを作成する実質的な処理は、サーバコンピュータ３００側のプログラムによって実行されることになり、パソコン４１０は、指示入力手段１２０およびデザイン提示手段１４０としての機能を果たすだけでよい。現在、市販されている汎用パソコンは、ＯＳソフトウエアとＷｅｂブラウザソフトウエアを標準装備しているものがほとんどである。サーバコンピュータ３００として、Ｗｅｂサーバを用い、パソコン４１０に対してＷｅｂページを公開するようにすれば、指示入力手段１２０は、このＷｅｂページ上で指示入力を行うことができればよく、デザイン提示手段１４０は、このＷｅｂページ上の情報を提示することができればよいため、市販の汎用パソコンをそのままパソコン４１０として用いることが可能になる。
【００７０】
なお、前述の説明では、パソコン５１０は、ＭＯドライブ装置５３０が読み込んだ画像データを大判カラープリンタ５２０へと引き渡す仲介機能だけを備えていればよい、ということであったが、もちろん、パソコン５１０がパソコン４１０と全く同じ機能をもったパソコンであってもかまわない。この場合、顧客Ｃは、建材会社Ｘのショールームに出向くことなしに、施工業者Ｚの作業場において、自分の嗜好に合致したデザインの画像データを作成する作業を行うことができるようになる。また、上述のように、サーバコンピュータ３００側に画像データ作成手段１３０としての機能をもたせてしまえば、顧客Ｃは、自宅（施工現場Ｗ）の汎用パソコンのＷｅｂブラウザから、サーバコンピュータ３００内のデータベースにアクセスし、所望のデザインの画像データを作成することができるため、施工業者Ｚの作業場へすら出向く必要はなくなる。
【００７１】
図４の実施形態では、画像データはＭＯディスク２０に格納されて受け渡しがなされているが、もちろん、画像データはこのような記録媒体を介して受け渡しする必要はなく、オンラインで受け渡しを行うようにしてもかまわない。たとえば、図４において、パソコン４１０とパソコン５１０とをインターネットなどを介してオンライン接続すれば、ＭＯディスク２０を介さずに、画像データを直接送受信することができるようになる。また、図４の実施形態では、施工業者Ｚの作業場と施工現場Ｗとが地理的に別々の位置にある例を示したが、もちろん、施工現場Ｗにパソコン５１０、大判カラープリンタ５２０、ＭＯドライブ装置５３０、大判用ラミネータ５４０などの機器を持ち込むことができれば、施工現場Ｗを施工業者Ｚの作業場として利用することも可能である。
【００７２】
更に、最近では、インキを噴霧するノズルが並べられたヘッドを、壁面に沿って移動させながら、壁面に対して直接描画を行う機能をもった印刷装置も利用されている。本発明を実施する上では、印刷手段として、このような直接描画式の印刷装置を用いることも可能である。更にまた、図９，図１０に示す実施形態の場合とは逆に、顧客から出力指示を与えられた画像データによって表現された画像サイズが、印刷基材シートのサイズよりも小さい場合は、画像データを公知の画像処理技術を用いて、拡大したり、あるいは原寸のまま前後左右方向に殖版して繋げたりして、印刷基材シートサイズ全体に画像が納まるようにすることもできる。
【００７３】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る建材用化粧シートの作成システムによれば、顧客の要望に応じて、小ロット多品種の商品を短い納期で提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の基本的な実施形態に係る建材用化粧シートの作成システムの構成を示すブロック図である。
【図２】図１に示すシステムにおけるデータベース格納手段１１０内に格納されるデータベースの一例を示す図である。
【図３】図２のデータベースに格納されている絵柄パターンの一例を示す平面図である。
【図４】本発明に係る建材用化粧シートの作成システムを、より実用に即した形態で実施した一例を示すブロック図である。
【図５】図１に示すシステムにおける印刷基材シート供給手段２２０によって供給される印刷基材シート３０の具体的な構成例を示す側断面図である。
【図６】図１に示すシステムにおけるラミネート加工手段２４０において用いられる表面保護シート４０の具体的な構成例を示す側断面図である。
【図７】図５に示す印刷基材シート３０上に、図６に示す表面保護シート４０を貼り付けた状態を示す側断面図である。
【図８】図１に示すシステムにおける印刷手段２３０とラミネート加工手段２４０とを一体構造にした具体的な構成例を示す側面図である。
【図９】１枚の壁紙上に表現することができないサイズをもった大柄画像Ｐ０の一例を示す平面図である。
【図１０】図９に示す大柄画像Ｐ０を、１枚の壁紙上に表現することができるサイズをもった複数の分割画像Ｐ１〜Ｐ６に分割した例を示す平面図である。
【符号の説明】
１０…画像データ
２０…ＭＯディスク
３０…印刷基材シート
３１…裏打紙
３２…樹脂コート層
３３…水性インキ受容層
３４…粘着剤層
３５…離型シート
３６…樹脂シート
４０…表面保護シート
４１…透明樹脂シート
４２…粘着剤層
４３…離型シート
４４…感熱型接着剤層
４５…凹凸模様
５０…インキ層
６０…インキジェットプリンタ
７０…表面保護シート
７５…表面保護シートの巻取
８０…押圧ローラ
８５…切断刃
８６…ヒーター
９０…建材用化粧シート
１００…画像作成部
１１０…データベース格納手段
１２０…指示入力手段
１３０…画像データ作成手段
１４０…デザイン提示手段
１５０…画像データ出力手段
２００…化粧シート作成部
２１０…画像データ入力手段
２２０…印刷基材シート供給手段
２３０…印刷手段
２４０…ラミネート加工手段
３００…サーバコンピュータ
３５０…ネットワーク
４１０…パソコン（クライアントコンピュータ）
４２０…大判カラープリンタ
４３０…ＭＯドライブ装置
５１０…パソコン
５２０…大判カラープリンタ
５３０…ＭＯドライブ装置
５４０…大判用ラミネータ
Ａ１，Ａ２，Ａ３…絵柄の各領域
Ｃ…顧客
Ｐ０…大柄画像
Ｐ１〜Ｐ６…分割画像
Ｗ…施工現場
Ｘ…建材会社（ショールーム）
Ｙ…印刷会社（建材部門）
Ｚ…施工業者（作業場）

Claims

顧客の嗜好に合致したデザインを有する建材用化粧シートを、顧客の要望に応じて作成するシステムであって、第１の装置Ｘと、第２の装置Ｙと、第３の装置Ｚと、を備え、
前記第１の装置Ｘは、第１のパソコンと、第１の大判カラープリンタと、画像データ出力手段と、を有し
前記第２の装置Ｙは、化粧シートのデザインに関するデータをデータベースとして格納するサーバコンピュータを有し、
前記第３の装置Ｚは、第２のパソコンと、第２の大判カラープリンタと、画像データ入力手段と、を有し
前記第１のパソコンは、前記サーバコンピュータ内に格納されている前記データベースをアクセスするデータベースアクセス手段と、顧客の要求を示す指示入力を受け付ける指示入力手段と、前記データベース内のデータおよび前記指示入力に基づいて、顧客の要求するデザインをもった画像データを作成する画像データ作成手段と、前記画像データを前記第１の大判カラープリンタへと転送して印刷を行わせる転送手段と、前記画像データに基づいて顧客が要求したデザインを提示するデザイン提示手段と、を有し、
前記第１の大判カラープリンタは、紙製のロール紙とこの紙製のロール紙をサンプルシートとして供給する給紙部とを含むサンプルシート供給手段と、前記転送手段から転送されてきた画像データに基づいて印刷を行う印刷手段と、を有し、
前記画像データ出力手段は、前記画像データ作成手段によって作成された特定の画像データに対する出力指示が与えられたときに、これを出力し、
前記画像データ入力手段は、前記画像データ出力手段から出力された画像データを入力し、
前記第２のパソコンは、前記画像データ入力手段が入力した画像データを前記第２の大判カラープリンタへと転送して印刷を行わせる仲介手段を有し、
前記第２の大判カラープリンタは、印刷基材シートとこの印刷基材シートを供給する給紙部とを含む印刷基材シート供給手段と、供給された印刷基材シート上に、前記仲介手段から転送されてきた画像データに基づいて印刷を行う印刷手段と、を有し、
前記印刷基材シートが、裏打紙上に樹脂コート層を形成してなる基材もしくは樹脂シート層からなる基材と、この基材表面に印刷可能面として形成された水性インキ受容層と、を有し、
前記第２の大判カラープリンタの印刷手段が、微小なノズルから前記水性インキ受容層上に水性インキを吐出することにより印刷を行う機能を有することを特徴とする建材用化粧シートの作成システム。
請求項１に記載の作成システムにおいて、
サーバコンピュータ内のデータベースが、化粧シートのデザインに関するデータとして、絵柄に関するデータと色調に関するデータとを有し、
指示入力手段が、顧客の嗜好に合致した絵柄および色調を示す指示入力を受け付ける機能を有し、
画像データ作成手段が、データベースを利用して、顧客の嗜好に合致した絵柄および色調をもった画像データを作成することを特徴とする建材用化粧シートの作成システム。
請求項１または２に記載の作成システムにおいて、
画像データ出力手段が、携帯可能なデータ記録媒体に画像データを書き込むことによってデータ出力を行う機能を有し、
画像データ入力手段が、前記データ記録媒体から画像データを読み出すことによってデータ入力を行う機能を有することを特徴とする建材用化粧シートの作成システム。
請求項１〜３のいずれかに記載の作成システムにおいて、
第１のパソコンとサーバコンピュータとをネットワークを介して接続し、データベースアクセス手段が、前記ネットワークを介してサーバコンピュータ内のデータベースをアクセスできるようにしたことを特徴とする建材用化粧シートの作成システム。
請求項１〜４のいずれかに記載の作成システムにおいて、
第３の装置Ｚが、印刷済の印刷基材シートの印刷面上に表面保護シートを用いてラミネート加工するラミネート加工手段を更に有することを特徴とする建材用化粧シートの作成システム。