JP4535221B2 - 便蓋クッションゴムおよび便蓋クッションゴムを備えた便座装置 - Google Patents

便蓋クッションゴムおよび便蓋クッションゴムを備えた便座装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可塑剤が便座材質に移行しにくい便蓋クッションゴムおよびその便蓋クッションゴムを使用した便座に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、便座、便蓋を備えた洋式便器においては、便蓋の閉止時に便蓋と便座が衝突する際の衝撃を緩和する目的で便蓋の裏側にクッションゴムがつけられている。このクッションゴムは熱可塑性エラストマーあるいはスチレンブタジエンゴム等の合成ゴムが使用されており、これらのゴムには柔軟性を与えるため、可塑剤としてパラフィン系オイルが添加されているものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
便蓋クッションゴムは閉止時においては便座と接触しており、接触部には便座に内蔵されたヒータによって暖房された便座からくる熱および清掃者が清掃時に便座表面を拭き取ることにより、体重による荷重が負荷される。
【0004】
近年、温水洗浄暖房便座の材質はポリプロピレンを主体として成っており、便蓋クッションゴムとの接触部に加わる熱や荷重の外部要因によって、便蓋クッションゴムの可塑剤として添加されているパラフィン系オイルが便座材質に移行して便座表面を汚染し、その結果、便座表面の便座クッションゴムとが接触する部分に光沢がなくなるという状態が発生する。
【0005】
そこで本発明は、便座表面を汚染しない便蓋クッションゴムおよびその便蓋クッションゴムを使用した便座を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、熱可塑性エラストマーから成る便蓋クッションゴムにおいて、その可塑剤がシリコーン系オイルであり、前記シリコーン系オイルの添加量が1重量%であることを特徴とする。本発明においては、可塑剤としてパラフィン系オイルを使用せず、シリコーン系オイルを使用したことにより、便座表面への可塑剤の移行を抑えた便蓋クッションゴムを提供することができる。
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項記載の発明は、合成ゴムから成る便蓋クッションゴムにおいて、その可塑剤がシリコーン系オイルであり、前記シリコーン系オイルの添加量が1重量%であることを特徴とする。本発明においては、可塑剤としてパラフィン系オイルを使用せず、シリコーン系オイルを使用したことにより、便座表面への可塑剤の移行を抑えた便蓋クッションゴムを提供することができる。
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項記載の発明は、便座及び便蓋を有する便座装置において、請求項1又は2に記載の便蓋クッションゴムを便蓋に設けたことを特徴とする便蓋クッションゴムを備えた。本発明においては、上述した材質の便蓋クッションゴムを使用したことにより、便座の表面に便蓋クッションゴムが移行するのを抑えて、便座表面の光沢を長期にわたって保てる便座装置を提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図3に、本発明の便座装置の便蓋2を下から見た図を示す。便蓋2の裏面の4ヶ所に便蓋クッションゴム3を設けている。
この便蓋クッションゴム3に、後述する実施例1または実施例2に示した材質が使用される。
なお、便座装置は、暖房用のヒーターを内蔵するか又はヒーターを有しない便座と、便蓋2とを軸支する本体とから構成される。この本体の内部に局部洗浄機構を内蔵させた温水洗浄便座であってもよい。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例および比較例について説明する。
【0011】
実施例1
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるポリスチレン系熱可塑性エラストマー(SBS)85重量%および炭酸カルシウム14重量%およびシリコーン系オイルとしてポリジメチルシロキサン1重量%を混錬した樹脂ペレットを成形金型にて射出成形し、便蓋クッションゴムを成形した。
この場合、混錬するポリスチレン系熱可塑性エラストマーおよび炭酸カルシウムの混錬比率はこの限りではなく、これらの混錬比率は自由に設定できる。また、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるポリスチレン系熱可塑性エラストマー(SBS)の代わりにポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンからなるポリスチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーが使用できる。
【0012】
比較例1
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン共重合からなるポリスチレン系熱可塑性エラストマー(SBS)および炭酸カルシウムおよびシリコーン系オイルとしてポリジメチルシロキサンの混錬物であり、その混錬重量比率がポリスチレン系熱可塑性エラストマー:炭酸カルシウム:ポリジメチルシロキサン=84:14:2または81:14:5である樹脂ペレットを成形金型にて射出成形し、便蓋クッションゴムを成形した。
【0013】
比較例2
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン共重合からなるポリスチレン系熱可塑性エラストマー(SBS)および炭酸カルシウムおよびパラフィン系オイルの混錬物であり、その混錬重量比率がポリスチレン系熱可塑性エラストマー:炭酸カルシウム:パラフィン系オイル=85:14:1または84:14:2または81:14:5である樹脂ペレットを成形金型にて射出成形し、便蓋クッションゴムを成形した。
【0014】
実施例2
スチレン−ブタジエンゴムポリマー(SBR)45重量%およびタルク45重量%およびシリコーン系オイルとしてポリジメチルシロキサン1重量%および加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、顔料等の添加剤を9重量%を混錬した合成ゴム生地を成形金型にて加硫成形し、便座クッションゴムを成形した。
この場合、混錬するスチレン−ブタジエンゴムポリマーおよびタルクおよび加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、顔料等の添加剤の混錬比率はこの限りではなく、これらの混錬比率は自由に設定できる。また、スチレン−ブタジエンゴムポリマー(SBR)の代わりにエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)または、ブチルゴム(IIR)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等の各種合成ゴムが使用できる。
【0015】
比較例3
スチレン−ブタジエンゴムポリマーおよびタルクおよびポリジメチルシロキサンおよび加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、顔料等の添加剤の混錬物であり、その混錬重量比率が、スチレン−ブタジエンゴムポリマー:タルク:ポリジメチルシロキサン:その他配合剤=44:45:1:9または41:45:2:9または41:45:5:9である合成ゴム生地を成形金型にて加硫成形し、便座クッションゴムを成形した。
【0016】
比較例4
スチレン−ブタジエンゴムポリマーおよびタルクおよびパラフィン系オイルおよび加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、顔料等の添加剤の混錬物であり、その混錬重量比率が、スチレン−ブタジエンゴムポリマー:タルク:パラフィン系オイル:その他配合剤=44:45:1:9または41:45:2:9または41:45:5:9である合成ゴム生地を成形金型にて加硫成形し、便座クッションゴムを成形した。
【0017】
このような方法にて成形した便蓋クッションゴムに対し、便座への汚染の有無を確認するため、移行性試験を実施した。試験方法は便蓋クッションゴムを便座材質であるポリプロピレンの成形板に密着させ、便蓋クッションゴムの上から10Nの荷重を負荷し、60℃の雰囲気にて720時間放置させた。その後、便蓋クッションを取り外し、ポリプロピレン成形板における便蓋クッション接触部の状態を目視にて確認した。目視での確認結果、ポリプロピレン成形板における便座クッション接触部に変化が見られず光沢が残っている場合の判定を○とし、表面に光沢が失われたという変化が見られる場合は判定を×とした。
【0018】
図1に試験結果を示す。可塑剤のシリコーン系オイルとして、ポリジメチルシロキサンを1重量%添加した実施例1および実施例2の便蓋クッションゴムにおいては、表面の変化は見られず、光沢が残っている(判定 ○)。
一方、可塑剤にパラフィン系オイルを添加した比較例2および比較例4の便蓋クッションゴムにおいては、便蓋クッション接触部の光沢がない状態になっている(判定 ×)。
【0019】
図2にポリプロピレン成形板における便蓋クッション接触部の状態のイメージを示す。
さらに、ポリメチルシロキサンを2重量%、5重量%添加した比較例1および比較例3の便座クッションゴムにおいても便座クッション接触部の光沢がない状態になっている(判定 ×)。
このことより、便蓋クッションゴムに添加する可塑剤として、シリコーン系オイルを添加し、且つその添加量が1.0重量%以下であれば、便蓋クッション接触部におけるポリプロピレン成形板の表面状態は良好である。
【0020】
以上の試験結果により、可塑剤としてパラフィン系オイルを使用せず、シリコーン系オイルを使用し、便座表面の汚染を防止すること、また、シリコーン系オイルの添加量を1.0%重量以下にすると、より効果的であることが確かめられた。
【0021】
【発明の効果】
本発明においては、熱可塑性エラストマー又は合成ゴムから成る便蓋クッションゴムにおいて、その可塑剤としてシリコーン系オイルを使用することにより、便座表面の汚染を防止する便蓋クッションゴムおよびこれを使用した便座もしくは暖房便座を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例及び比較例の実験結果をとめた表。
【図2】便蓋クッションゴム接触部のポリプロピレン成形板への汚染状況をイメージした図。
【図3】本発明の実施形態の一例を示す便蓋を下から見た図。

Claims (3)

  1. 熱可塑性エラストマーから成る便蓋クッションゴムにおいて、その可塑剤がシリコーン系オイルであり、前記シリコーン系オイルの添加量が1重量%であることを特徴とする便蓋クッションゴム。
  2. 合成ゴムから成る便蓋クッションゴムにおいて、その可塑剤がシリコーン系オイルであり、前記シリコーン系オイルの添加量が1重量%であることを特徴とする便蓋クッションゴム。
  3. 便座及び便蓋を有する便座装置において、請求項1又は2に記載の便蓋クッションゴムを便蓋に設けたことを特徴とする便蓋クッションゴムを備えた便座装置。
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