以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の電力監視システムは、図1に示すように、宅内に設置された統合管理盤1と、商用電源を供給する電路Lpおよび情報伝送路Ls(エンハンスト・カテゴリ5若しくはカテゴリ6のLANケーブル)を介して統合管理盤1に接続されて、統合管理盤1が電力供給、制御並びに監視を行う照明器具、空調機器(エアコン)、床暖房設備、IH調理器等の宅内に設置された複数の電気機器Xmn(m=1,2,…、n=1,2,…)と、統合管理盤1にLANケーブルLsを介して接続される複数(図示例では、2つ)の端末装置(パーソナル・コンピュータPC並びに表示制御装置CV等のウェブブラウザ機能を有する端末装置)とを備え、統合管理盤1と端末装置とが汎用の通信プロトコル(TCP/IP、UDP、HTTPなど)を利用した宅内ネットワークを構成している。この宅内ネットワークは、100BASE-TX(IEEE 802.3u)規格に準拠したローカルエリアネットワーク(LAN)であって、統合管理盤1内においてレイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチに相当する後述の統合装置TMに、ネットワーク端末に相当する端末装置(パーソナルコンピュータPC並びに表示制御装置CV)などがスター配線で接続されている。また、統合装置TMは、インターネットに接続するための回線の種類(電話回線、CATV回線、光ファイバ回線など)に応じたインターネット接続機能を有しており、宅内ネットワークが外部ネットワークたるインターネットに接続される。なお、表示制御装置CVとしては、液晶ディスプレイやLANインタフェースを搭載した専用機器の他、LANインタフェースを搭載し且つウェブブラウザ機能を有したテレビ受像機等であってもよい。
そして、宅内ネットワークには遠隔地に設置されたセンタ装置(センタサーバ)SVがインターネットを通じて接続されており、後述するようにインターネットに接続可能なノート型のパーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)等からなるウェブブラウザ機能を有する携帯型の端末装置PTとセンタ装置SVとの間でインターネットを介したデータ通信を行うことにより、例えば、携帯端末PTを使って外出先から宅内の電気機器Xmnの制御や監視を行うことができる。センタ装置SVは、ネットワーク機能を有する汎用のコンピュータ装置で構成されており、携帯端末PTからインターネットを通じて送信される統合管理盤1宛のメッセージや統合管理盤1から宅内ネットワークに属さない端末装置に宛て送信されるメッセージを中継する機能を有している。但し、上述のようなインターネット接続機能を有する携帯端末PTやセンタ装置SVは従来周知であるから、詳細な構成についての図示並びに説明は省略する。
統合管理盤1は分電盤としての機能を有し、図1に示すように外部から住宅に供給される商用電源を一次側に受ける主幹ブレーカBsと、主幹ブレーカBsの二次側から分岐した電路に介挿された複数の分岐ブレーカBmnと、エネルギマネージメントユニット2と、統合装置TMと、電気機器コントローラC1とを備える。そして、分岐ブレーカBmnを介して分岐された各電路Lpmnは統合管理盤1外に導出され、各電気機器Xmnに接続されて動作電源を供給している。
エネルギマネージメントユニット2は、各分岐ブレーカBmnを介して供給される電力量を分岐ブレーカBmn毎に検出して、検出データを分岐ブレーカBmn毎に表示する画像データを生成する機能を有しており、主幹ブレーカBsを流れる主幹電流の値を定期的に計測する主幹電流検出部CTsと、主幹電流の計測値を電力に変換することで主幹ブレーカBsを介して供給されている主幹電力量を演算する電力演算部2aと、各分岐ブレーカBmnを流れる分岐電流の値を分岐ブレーカ毎に定期的に検出する分岐電流検出部CTmnと、電力演算部2aで演算した主幹電力量、および各分岐電流検出部CTmnで計測した分岐電流を入力されて、各分岐電流に基づいて各分岐ブレーカBmnを介して供給されている分岐電力量を演算する演算部2bと、演算部2bから入力された主幹電力量、分岐電力量に基づいて、主幹電力量および分岐電力量を表す画像データを生成する制御部2cとを備える。
制御部2cは、CPUやメモリ、LANインタフェース等を搭載したマイコンからなり、電力量検知を行う分岐ブレーカBmnのデータ(分岐ブレーカの名称:分岐1、分岐2、...等)を予めメモリに格納しており、主幹電力量および分岐電力量を表示するための画像データ(例えば、分岐電力モニタ用画像データ)としてウェブコンテンツ(ウェブページ)を作成し、端末装置からの要求に応じて当該ウェブコンテンツをLANインタフェースより宅内ネットワークを介して端末装置に提供(配信)する機能(ウェブサーバ機能)を有しており、LANケーブルを介して統合管理盤1内の統合装置TM、電気機器コントローラC1等が接続されている。
そして、宅内にはリビング、寝室、子供部屋等の複数の部屋Rn(n=1,2,…)が設けられており、図1において宅内は3つの部屋R1,R2,R3を備えたものとして、部屋R1内に設置された電気機器をX1n、部屋R2内に設置された電気機器をX2n、部屋R3内に設置された電気機器をX3nと称する(n=1,2,…)。そして、統合管理盤1内の分岐ブレーカB1n(n=1,2,…)は、図2に示すように、電路Lp1n(n=1,2,…)を介して部屋R1内の各電気機器X1nに1:1の対応で個別に電力供給し、分岐ブレーカB3n(n=1,2,…)は、電路Lp3n(n=1,2,…)を介して部屋R3内の各電気機器X3nに1:1の対応で個別に電力供給しているのに対して、分岐ブレーカB20は、電路Lp20を介して部屋R2内の複数の電気機器X2n(n=1,2,…)に1:nの対応で一括して電力供給している。すなわち、照明器具等の一般的な家電製品は定格電圧が100ボルト(実効値)であって消費電力もそれほど多くないから部屋毎に1つの分岐電路(分岐ブレーカB20)で電力供給可能であるが、一部のエアコン、床暖房設備、IH調理器のように定格電圧が200ボルト(実効値)であって消費電力が相対的に多い電気機器については1つの分岐電路(分岐ブレーカB1n,B3n)で1つの電気機器に電力供給を行う必要がある。
また、図1において分岐ブレーカB1n,B3nの各分岐電流を検出する分岐電流検出部をCT1n,CT3n、分岐ブレーカB20の分岐電流を検出する分岐電流検出部をCT20と称す。
図3は、主幹ブレーカBs、分岐ブレーカBmn、分岐電流検出部CTmn周辺の詳細な構成を示し、主幹ブレーカBs、及び主幹電路11から分岐する分岐電路Lp(12a,12b)に設けられる分岐ブレーカBmnを備える統合管理盤1内に、各分岐電流を検出する複数のセンサSmnと、各センサSmnの検出出力に基づいて検出データを生成する複数のセンサユニットAmnと、各センサユニットAmnより分岐電流の検出データを収集し、収集した検出データを検出情報として出力する計測制御ユニットKaと、計測制御ユニットKaにセンサユニットAmnを鎖状に接続する伝送路6とを備えるとともに、統合管理盤1の外部に露出して設けられて使用者に計測制御ユニットKaから出力される検出情報の表示を行う表示ユニットKbを備えている。なお、センサSmn、センサユニットAmn、計測制御ユニットKaで上記分岐電流検出部CTmnを構成している。
そして、複数のセンサユニットAmnは、伝送路6によって鎖状(数珠繋ぎ)に接続され、計測制御ユニットKaは、始端のセンサユニットA11にトリガ信号を出力するように構成され、各センサユニットAmnは、トリガ信号を受信すると検出データを生成して計測制御ユニットKaへ送信し、この後に末端側(次段)のセンサユニットにトリガ信号を出力するように構成されている。尚、分岐ブレーカB1n〜B2n〜B3n、センサS1n〜S2n〜S3nには、この順番に通し番号(No1、No2、No3、......)が付されている。
そして、主幹ブレーカBsの一次側には低圧配電線100が接続され、主幹ブレーカBsの二次側端子には主幹電路11が接続され、上記分岐電路Lpmnは、主幹電路11の電圧極11a,11bの一方に一端が接続された分岐電路12aと、主幹電路11の中性極11cに一端が接続された分岐路12bとで構成される。
主幹ブレーカBsは、低圧配電線100の電圧極101,102に接続される電源側端子(図示せず)及び中性極103に接続される電源側端子(図示せず)と、電圧極101,102に接続される電源側端子に各別に対応して電圧極となる2つの負荷側端子(図示せず)と、中性極103に接続される電源側端子に対応して中性極となる負荷側端子(図示せず)と、電源側端子と負荷側端子とが通電している際にはオン側に位置する操作ハンドルH1を備えている。そして主幹ブレーカBsは、電源側端子と負荷側端子との間に過電流が生じた際にはこれら端子間を遮断するとともに、操作ハンドルH1をオフ側に位置させるように構成されている。
分岐ブレーカBmnは、分岐路12a,12bの他端側をそれぞれ接続可能な分岐路用端子部(図示せず)と、負荷側の電源線(図示せず)を電気的に接続するための電源線用端子部(図示せず)と、通常時はオン側に位置する操作ハンドルH2とを備えている。そして、分岐ブレーカBmnは、分岐路用端子部と電源線用端子部との間に過電流が生じた際にこれら端子部間を遮断するとともに、操作ハンドルH2をオフ側に位置させるように構成されている。尚、主幹ブレーカBs及び分岐ブレーカBmnは、過電流だけではなく、短絡電流の発生に対しても回路を遮断するように構成してもよい。
一方、主幹電路11及び分岐電路12a,12bは、いずれも導電性を有する金属板から形成されており、その幅、厚み等は、主幹ブレーカの最大定格電流に合わせた最大電流容量を有するように設定されている。
次に、センサSmnと、センサユニットAmnと、計測制御ユニットKaと、表示ユニットKbと、伝送路6とについて説明する。ここで、センサSmnと、センサユニットAmnと、伝送路6とは、プリント基板7上に形成されて一体化されており、まずプリント基板7について説明する。
プリント基板7は、複数の絶縁板を積層してなる多層構造のもの(すなわち多層基板)であって、図4に示すように、プリント基板7を表裏に貫通する分岐路12b用の挿通孔7aを複数備えている。また、プリント基板7には、プリント基板7を表裏に貫通するスルーホール7bが、各挿通孔7aの周辺部に挿通孔7aを囲繞するように複数形成されている。さらに、プリント基板7には、各挿通孔7aの周辺部に表面から中層(表面と裏面との間の層)まで貫通するスルーホール7cが複数形成されている。そして、このプリント基板7の表面には、センサSmn及びセンサユニットAmnが実装されるとともに、伝送路6が形成されている。尚、センサユニットAmnは、ディスクリート半導体等の必要な電子部品を個々にプリント基板に実装することで構成してもよいし、必要な電子部品をIC化(集積化)したものであってもよい。また尚、プリント基板7としては、上記のような多層基板に限らず、両面基板を用いてもよい。
センサSmnは、各分岐ブレーカBmnに対応する分岐路12bの電流値、つまりは分岐ブレーカBmnに流れる電流値を検出するための電流センサである。このようなセンサSmnは、いずれも同様の構成を有するものであるから、センサS11についてのみ詳細に説明する。
このセンサS11は、図4に示すように、上記のプリント基板7に形成されたコイル線路20からなるロゴスキコイルを有する電流センサであり、電流の微分形を検出出力として出力するものである。コイル線路20は、プリント基板7の挿通孔7aの周辺部のスルーホール7bを介してプリント基板7の表面に形成されたパターン21a(図4に実線で示す)及びプリント基板7の裏面に形成されたパターン21b(図4に点線で示す)を接続してなるコイル部21を有している。さらに、コイル部21の末端は、スルーホール7cを介して戻し線路22(図4に一点破線で示す)の一端側と接続されており、この戻し線路22は、他端側がコイル部21の末端側からコイル部21内を通ってコイル部21の始端側へ戻るようにプリント基板7の中層に形成されている。つまり、このセンサS11では、コイル部21の始端側と、戻し配線22の他端側とが、それぞれ入力端子として用いられる。
次にセンサユニットAmnは、センサSmnの検出出力に基づいて検出データを生成するものであって、センサSmnより取得した検出出力に基づいて電流値の実効値からなる検出データを生成し、動作開始用のトリガ信号を受信すると検出データを伝送用信号に変調して計測制御ユニットKaへ送信する。さらに、検出データの送信後には、次のセンサユニットAmnへトリガ信号を出力する。
計測制御ユニットKaは、センサユニットAmnが出力する伝送用信号を復調して検出データを取り出し、受信した検出データを順次演算部2bへ出力する機能と、センサユニットから検出データを収集するためのトリガ信号を始端のセンサユニットA11へ出力する機能と、検出データに応じた表示用データを生成して表示ユニットKbへ出力する機能とを備える。
表示ユニットKbは、例えば各分岐ブレーカBmnに対応した複数のLEDを具備し、計測制御ユニットKaから出力される表示用データに基づいて、分岐ブレーカBmnの番号と、その分岐ブレーカBmnに対応する電流値との表示をLEDの消灯、点滅、点灯、あるいは色の変化等で行うようにされており、LEDを統合管理盤1外に露出させた状態で統合管理盤1内に設けている。
伝送路6は、図3に示すように、計測制御ユニットKaにセンサユニットAmnを、トリガ用伝送線60とデータ用伝送線61とグラウンド線62との3線を用いて接続するものである。ここで、トリガ用伝送線60は、計測制御ユニットKaが出力するトリガ信号を始端のセンサユニットA11に1対1で接続する接続線60aと、センサユニットから順次送信されるトリガ信号を末端側(次段)のセンサユニットに1対1で接続する送り用接続線60b〜60pとからなり、計測制御ユニットKaに、センサユニットAmnを鎖状に接続するものである。
また、データ用伝送線61は、計測制御ユニットKaに各センサユニットAmnが出力する検出データを接続するものであり、グラウンド線62は、計測制御ユニットKa及び各センサユニットAmn等においてトリガ用伝送線60及びデータ用伝送線61の電圧基準として用いられるものである。尚、グラウンド線62については図面の簡略化のためにセンサユニットAmnとの接続部分の図示は省略している。
このように、センサSmnとしてプリント基板7に形成したコイル線路20を用いれば、主幹ブレーカBsや、分岐ブレーカBmn、主幹電路11、分岐電路12a,12b等によって利用できるスペースが狭くなっている統合管理盤1の筐体内でも、センサSmnを効率的に配置できるという効果を奏する。また、センサSmnが統合管理盤1の施工時に邪魔にならず、統合管理盤1の施工性を損なうことがないという効果を奏する。さらに、このようなセンサSmnは、空芯のものであるから、鉄芯(磁気コア)がないため小型化、及び軽量化を図れるという効果を奏し、しかも鉄芯による飽和がないという利点があり、これによりダイナミックレンジが広く、大電流を検出できる電流センサを得ることが可能になるという効果を奏する。
また、図5はセンサSmnの別の構造を示しており、プリント基板7に形成されたトロイダルコイル31を備える。トロイダルコイル31は、巻き進み方向の巻き進みコイル32(以下、進みコイルという)と、巻き戻し方向の巻き戻しコイル33(以下、戻しコイルという)とを有し、それらが同じプリント基板7上に二重形成され、直列に連続接続されている。これらの進みコイル32、戻しコイル33は、プリント基板7の表裏両面に挿通孔7aから放射状に形成された放射状ライン34と、この複数の放射状ライン34間を接続する外周上に等ピッチ間隔で表裏面に設けられた接続部35と、表裏の放射状ライン34と接続部35とを電気的に連続接続するスルーホール36とにより形成される。これらの放射状ライン34および接続部35は、図5において、プリント基板7の表面側において濃い実線で示され、裏面側において白抜きの実線で示されている。
接続部35は、表裏両面において、隣接する放射状ラインを避けるように引き回し形成される。また、接続部35は、進みコイル32、戻しコイル33において、接続部35の表面側コイルと裏面側コイルをスルーホール36aによる繋ぎ部で接続するとともに、この繋ぎ部は、繋ぎ部を挟んで両コイルの表面側と裏面側とが略等分の長さになるように配設されている。
スルーホール36は、挿通孔7aの中心7dを略中心とする挿通孔7aに遠い側及び近い側の円周上にスルーホール36a,36bを等間隔に同数配設されるとともに、戻しコイル33における表裏の放射状ライン34及び接続部35(35b)の各端部である境界部分には、表裏の放射状ライン34および接続部35(35b)間を接続するスルーホール36c,36dが設けられている。この36c,36dは、スルーホール36a,36bを結ぶ直線に対して対称に配設されている。また、最外周上に存在するスルーホール36a(半径R1の円周上とする)と接続部35を接続する円周上のスルーホール36c,36d(半径R2の円周上とする)は、外部磁界に対して影響を抑えるため、半径R1,R2の差はできるだけ小さいことが望ましく、この半径R1とR2の差は、プリント基板の製造上の制約(ライン幅、スルーランド径)から、具体的には1mm以下としている。
放射状ライン34は、挿通孔7aの中心7dを略中心として放射状に一定ピッチでプリント基板7上に配列されている。放射状ライン34および接続部35を構成する導体部は、プリント基板7に銅箔で形成され、この銅箔は、例えばガラス入りエポキシ樹脂からなる両面プリント基板をエッチング加工することにより形成することができる。
接続部35は、放射状ライン34の外周側の端部(ここでは、放射状ライン34および接続部35との境界部分となり、例えば、戻しコイル33ではスルーホール36cまたは36dを指し、進みコイル32においては、戻しコイル33のスルーホール36cまたは36dに対応する進みコイル32の放射状ライン34上のラインとなる)から円周方向に延設され、複数の放射状ライン34間を電気的に接続する。そして、スルーホール36(36a〜36d)を介して、プリント基板7の表裏両面に形成された複数の放射状ライン34の端部および接続部35と、反対側の面にある放射状ライン34の端部および接続部35とが電気的に直列に接続されることにより、プリント基板7を導体部で巻回するコイルが形成される。
進みコイル32は、表側および裏側における放射状ライン34および進みコイル32の接続部35aを、接続部35aの中間位置に設けられたスルーホール36aを繋ぎ部として、スルーホール36aで電気的に接続することにより一巻きのコイルを形成する。同様に、戻しコイル33は、表側および裏側における放射状ライン34および戻しコイル33の接続部35bを互いにスルーホール36(36a,36c,36d)で電気的に接続することにより一巻きのコイルを形成する。そして、この進みコイル32および戻しコイル33の一巻きのコイルのピッチは、等しく形成されている。また、接続部35は、隣接する放射状ライン34を避けるように引き回して形成され、両コイル32,33の接続部35と放射状ライン34によるコイルパターンは、プリント基板7の表裏で同一形状として形成されている。以上の構成により、トロイダルコイル31のコイルを形成する導体部(導体膜)は、プリント基板7の挿通孔7aの中心7dの中心軸に関してほぼ対称に、かつ均一に形成される。また、このセンサSmnを用いた電流測定では、挿通孔7aに電流が流れる被測定導体が通され、この電流による磁界の磁束が両コイル32,33の断面領域を通ることにより発生する誘導電流を検出する。
図6は、統合管理盤1内における主幹ブレーカBs、分岐ブレーカBmn、分岐電流検出部CTmn等の配置を示す一部分解斜視図であり、主幹ブレーカBsの横に電流センサブロックSBが配置され、電流センサブロックSBは、上記センサSmn、センサユニットAmn、伝送路6を形成したプリント基板7を、長尺状のブロック本体SB1の短手方向の両側に対向して取り付けて構成される。そして、複数の分岐ブレーカBmnが、電流センサブロックSBの両側に長手方向に沿って並設されており、各分岐ブレーカBmnは、その分岐路用端子部が各センサSmnに対向するように配置されて、分岐ブレーカBmnとセンサSmnとの間の配線作業が容易に行えるようにしている。また、電流センサブロックSBの上方には、スペーサ40を介して設けた矩形枠上のブラケット41に表示ユニットKbを取り付けており、表示ユニットKbの各LEDが統合管理盤1外に露出して、各分岐電流の概略値を表示している。
次に図1における統合装置TMは、LANケーブルを介して、盤内の制御部2cや電気機器コントローラC1、盤外のパソコンPC、表示制御装置CVが接続されるとともに、インターネットを通じてセンタ装置SVや携帯電話機MP、または他の端末装置に接続しており、パケット処理機能、経路切換機能、ネットワークセキュリティ機能、UPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ)のコントロールポイントの機能等を有して、ネットワークにおけるデータ授受をコントロールしている。
電気機器コントローラC1は、統合装置TMと日本電機工業会(JEMA)の統一規格に適合した電気機器Xmnとのインタフェース機能を有し、統合装置TMを介して端末装置から制御要求のメッセージを受け取ったときに制御線Liを介して各電気機器Xmnを個別に制御して運転(照明器具の場合は点灯)と停止(照明器具の場合は消灯)を切り換え、統合装置TMを介して端末装置から監視要求のメッセージを受け取ったときに各電気機器Xmnの動作状態(運転<点灯>又は停止<消灯>)を個別に取得するとともに、制御要求や監視要求に対する応答(各電気機器Xmnの動作状態)のメッセージを要求メッセージの送信元である端末装置に向けて統合装置TMを介して送信させる機能(制御監視機能)を有する。また電気機器コントローラC1は、自己の配下にある電気機器Xmnに対応した識別情報(例えば、「エアコン」や「床暖房」といった電気機器Xmnの機器名称の他、「リビング」や「台所」といった電気機器Xmnが設置されている部屋の名称など)等を予め格納しており、電気機器Xmnの識別情報並びに動作状態を文字や記号で表示するためのウェブコンテンツ(ウェブページ)を作成し、端末装置からの要求に応じて当該ウェブコンテンツを端末装置に提供(配信)する機能(ウェブサーバ機能)も有している。
上記のように構成された電力監視システムでは、宅内のパソコンPCや表示制御装置CV、またはインターネットに接続された携帯端末PT等の端末装置からエネルギマネージメントユニット2に電力モニタ要求のメッセージを送信し、エネルギマネージメントユニット2の制御部2cが統合装置TMを介して電力モニタ要求を受信すると、制御部2cで生成した電力モニタ用画像データを、統合装置TMを介して、電力モニタ要求を送信してきた端末装置に向けて送信する。
画像データを受信したパソコンPC、表示制御装置CV、携帯端末PT等の端末装置では、当該画像データが各端末装置のモニタ画面に表示され、主幹電力量および分岐ブレーカBmn毎の分岐電力量をモニタできる。図7は、端末装置で表示された分岐電力モニタ用画像を示しており、分岐ブレーカBmn毎の分岐電力量を棒グラフG1で表している。なお、電力量のモニタ画面は、電力量のグラフ表示以外に、日時表示や、メニュー画面に遷移するメニューボタン、前ページや後ページに遷移する前ページボタンおよび後ページボタン、過去の電力量のデータを表示する履歴ボタン等が設けられている。
このように、分岐ブレーカBmn毎に供給している電力量を監視できるので、無駄な電力消費をしている分岐電力系統を特定することができ、ユーザは、特定された分岐電力系統に接続している電気機器Xmnに対して、停止、消灯等の具体的な操作を行うことで、容易に省エネルギー化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、パソコンPC、表示制御装置CV、携帯端末PT等の端末装置を用いて、分岐ブレーカBmnの識別情報、すなわち、分岐ブレーカBmnに対応する電気機器Xmnまたは部屋Rnの名称を入力することができ、以下、この識別情報(名称)入力機能について説明する。
まず、端末装置において、図7に示す分岐電力量のモニタ画面を表示させた状態で、名称入力を行う分岐ブレーカBmnの表示領域M1を選択した後、機器名称(例えば、エアコン、床暖房設備、IH機器等)、または部屋名称(例えば、リビング、台所、浴室等)を入力する。
すると、選択した領域M1に対応する分岐ブレーカBmnのデータ(分岐ブレーカの名称:分岐1、分岐2、...等)と、入力した機器名称または部屋名称とが、端末装置からエネルギマネージメントユニット2に送信され、統合装置TMを介して上記データを受信した制御部2cは、各名称を分岐ブレーカBmnに対応させてメモリに記憶する。その後、制御部2cが分岐電力モニタ用画像データを生成する際には、各分岐ブレーカBmnに対応する機器名称または部屋名称を参照して画像データを生成し、端末装置で表示される分岐電力モニタ用画像は、図8に示すように、機器名称または部屋名称に対応させた分岐電力量を棒グラフG2で表す画像となる。したがって、表示された各分岐電力量が、どの電気機器での消費電力量なのか、またはどの部屋における消費電力量なのかが一目で認識できる。
また、電気機器コントローラC1は自己の監視制御機能の配下にある電気機器の機器名称情報を予め格納しており、エネルギマネージメントユニット2の制御部2cは、上述の機器名称入力時に端末装置から機器名称を受け取ると、電気機器コントローラC1が予め格納している上記機器名称情報を取得し、当該機器名称情報中に端末装置から送信された機器名称と同一名称があるか否かを判定する。同一名称がある場合、制御部2cは、対象の電気機器Xmnは既に電気機器コントローラC1の配下にあると認識し、分岐ブレーカBmnと電気機器コントローラC1の配下にある電気機器との対応付けを自動で行い、エネルギマネージメントユニット2と電気機器コントローラC1との連動を可能にしている。
一方、同一名称がない場合は、制御部2cによる上記対応付けは行われず、ユーザ自らが、対象の電気機器Xmnを配下にしている電気機器コントローラC1を登録し、さらに当該電気機器コントローラC1のどの端子に対象の電気機器Xmnが接続されているかを登録して、分岐ブレーカBmnと電気機器コントローラC1の配下にある電気機器との対応付けを手動で行う。
上記のように自動または手動で分岐ブレーカBmnと電気機器コントローラC1の配下にある電気機器との対応付けがなされると、エネルギマネージメントユニット2において、ある分岐ブレーカBmnから供給される電力量が所定値を超えた場合には、当該分岐ブレーカBmnに接続されている電気機器Xmnの動作を停止<消灯>させるように、制御部2cがコントローラC1に指示することができ、分岐電路毎に使用電力量が予め決めた上限値を超えたときに電気機器の電源を自動的にオフする制御(デマンド制御)が可能となる。
また、本実施形態では、名称入力した電気機器Xmnが、既に電気機器コントローラC1の配下にある場合は、分岐ブレーカBmnと電気機器コントローラC1の配下にある電気機器との対応付けを自動で行うので、登録の手間が省ける。特に、施工してから時間が経過している場合、ユーザ自らが上記対応付けを行うと、電気機器コントローラC1の登録や、電気機器Xmnが接続されている端子の登録を誤る可能性が高いが、上記のように名称入力時に自動で対応付けを行うことで、登録誤りによる操作不能状態の発生を低減できる。
次に本発明の要旨、つまりエネルギマネージメントユニット2の演算部2bにおける分岐電力量の演算処理についてさらに詳しく説明する。
演算部2bでは、各分岐電流検出部CTmnで計測した分岐電流値を図示しない不揮発性のメモリに時間とともに逐次記憶しており、電力モニタ要求のメッセージを受け取ったエネルギマネージメントユニット2の制御部2cから電力量の演算指令を受けると、前記メモリから読み出した分岐電流値と、分岐ブレーカB1n,B20,B3nの定格電圧値(本実施形態の場合、分岐ブレーカB1nとB3nは200ボルト、B20は100ボルト)とを乗算した皮相電力[VA]に電気機器Xmnの力率を乗算することで有効電力[W]を算出するとともに、電力量を演算する期間(制御部2cからの演算指令によって指定された期間)の有効電力の積算値を算出することによって各分岐ブレーカB1n,B20,B3n毎の分岐電力量[kWh]を演算して制御部2cに出力する。そして、演算部2bから入力された分岐電力量に基づいて制御部2cが前記電力モニタ用画像データを生成する。
ここで、演算部2bが分岐電力量の演算に使用する各分岐ブレーカB1n,B20,B3n毎の定格電圧値(定格電圧情報)並びに電気機器Xmnの力率(力率情報)が制御部2cの具備する不揮発性のメモリに記憶されており、端末装置による電力モニタ要求で指定された電力モニタ対象の機器名称や部屋名称に対応した各分岐ブレーカB1n,B20,B3nの分岐電路における定格電圧値(100ボルト又は200ボルト)と、電気機器Xmnの力率とが前記不揮発性メモリから読み出されて演算部2bに与えられる。但し、制御部2cの不揮発性メモリに記憶される力率情報は、電気機器Xmnの種類(例えば、蛍光灯照明器具、白熱灯照明器具、テレビ受像機、エアコン、床暖房設備、IH調理器など)に対応した標準的な値であって、機器名称並びに部屋名称とそれぞれ対応付けされたリストとして記憶されている。なお、分岐ブレーカB20については複数の電気機器Xmnに電力を供給することから、部屋の種類(リビング、子供部屋、寝室など)に応じた平均的な値(例えば、それぞれの部屋での使用が想定される電気機器の力率の平均値)が対応付けされる。
上述のように本実施形態では、各分岐ブレーカBmnを介して電気機器Xmnに供給される電流値を分岐電流検出部CTmnで検出し、演算部2bにて各分岐ブレーカBmn毎の電力量を演算しているので、各分岐ブレーカBmn毎に電力計等の計測器を用いて電力量を計測する場合に比較して、構成が簡易であって省スペース化が図れるという利点がある。
ところで、各分岐ブレーカB1n,B20,B3nの分岐電路における定格電圧値(100ボルト又は200ボルト)を制御部2cの不揮発性メモリに記憶する作業を、上述の機器名称や部屋名称の設定時に同時且つ自動的に行うことも可能である。例えば、IH調理器のように定格電圧がほぼ200ボルトに決まっている場合、機器名称としてIH調理器が設定されたときは制御部2cが当該電気機器Xmnの定格電圧値を自動的に200ボルトに設定し、その他の機器名称(例えば、照明器具など)が設定されたときは制御部2cが当該電気機器Xmnの定格電圧値を自動的に100ボルトに設定する。但し、エアコンのように定格電圧が100ボルトの機種と200ボルトの機種が混在する電気機器(以下、「特定品種の電気機器」と呼ぶ。)については、例えば、端末装置における機器名称の入力時に「エアコン」が入力された場合に定格電圧を選択する画面を表示させてユーザに選択させればよい。
あるいは、エアコンのような特定品種の電気機器における品番と定格電圧との対応関係を表すデータテーブルをセンタ装置SVに保有しておき、端末装置における機器名称の入力時に「エアコン」が入力された場合、センタ装置SVが保有する前記データテーブルの品番データをインターネット並びに宅内ネットワークを介してエネルギマネージメントユニット2の制御部2cが受信し、当該品番データの一覧を表示する画像データを生成して機器名称として「エアコン」が入力された端末装置に送信する。一方、端末装置では当該画像データに基づいて品番入力用画面を表示し、ユーザが「エアコン」の品番を入力すれば、当該品番データを制御部2cに送信する。そして、制御部2cは端末装置から受信した品番データに対応する定格電圧値を返信するようにセンタ装置SVに要求し、センタ装置SVから返信されてくる定格電圧値(定格電圧情報)を機器名称と対応付けて不揮発性メモリに記憶するようにしてもよい。このような方法によれば、エアコンのような特定品種の電気機器の仕様が判らないユーザや電気的な知識を持たないユーザでも当該特定品種の電気機器に対する定格電圧値の設定が容易に行える。
また、エネルギマネージメントユニット2の制御部2cが、統合管理盤1の電気機器コントローラC1に対して機器名称を指定して当該機器名称が設定されている電気機器Xmnを運転させる指令を与えるとともに、当該指令を与えた後に分岐電流の検出値が急激に増えた分岐電流検出部CTmnを特定し、当該分岐電流検出部CTmnに対応した分岐ブレーカBmnに接続されている電気機器Xmnの種類を推定し、推定した種類に対応する力率を当該分岐ブレーカBmnの識別情報(機器名称)と対応付けて不揮発性メモリに記憶するようにしても構わない。
なお、宅内ネットワークおよびインターネットを介してセキュリティ機器などの住宅設備の制御並びに監視を行う住宅設備監視制御システムに、本発明の電力監視システムを組み込めば、システムの統一を図ることができる。