JP4534364B2 - 水中移動装置 - Google Patents

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水中移動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子炉圧力容器の内部構造物、火力発電所の取水路及び排水路の水路壁、船舶の推進器の表面などの水中に位置しているものを対象とした検査を、遠隔操作によって行なう場合には、水中を自力移動し且つ検査対象物の清掃や撮影をする装置が必要となる。
【0003】
図3乃至図6は近年提案されている水中移動装置の一例であり、この水中移動装置は、中空構造の装置本体6、無端状のシールスカート7、スラストファン8、ファン駆動機構9、走行輪10、従動輪11、走行駆動機構12、並びに工具装着部13を備えている。
【0004】
装置本体6は、枠体14と、該枠体14の一側(腹側)にボルト締結され且つ中央部分に開口15を有する腹側端板16と、枠体14の他側(背側)にボルト締結され且つ前端近傍部分の左右に排出口17を有する背側端板18とによって構成されている。
【0005】
背側端板18の反枠体側の面には、ネット19が取り付けられた極短円筒状のガードリング20が、排出口17に対して同軸に取り付けられている。
【0006】
枠体14は、ポリアセタタールなどの高分子材料によって一体的に形成され、腹側端板16、背側端板18、ネット19、ガードリング20は、ステンレス鋼などの金属材料によって形成されている。
【0007】
シールスカート7は、腹側端板寄りの端部に径方向内側へ突出するフランジ部21を有し且つ開口15が内方に位置するように腹側端板16の反装置本体側面に配置された無端状のスカート22と、該スカート22のフランジ部21に反腹側端板側から当接し且つ腹側端板16に対してボルト締結された押えリング23と、スカート22の反腹側端板寄りの端部に同軸に装着され且つ作業対象面5を摺動する環状のシュー24とによって構成されている。
【0008】
スカート22は、屈曲性を有する合成ゴムなどによって形成されている。
【0009】
また、シュー24の反腹側端板寄りの部分の周縁には、作業対象面に付着した酸化物をシュー24が容易に乗り越えられるようにするための面取部25が形成されている。
【0010】
スラストファン8は、排出口17の内径に応じた回転半径を有し且つそれぞれの排出口17の内部に配置されている。
【0011】
ファン駆動機構9は、装置本体6の内方背側寄り部分の左右に配置したモータ26と、装置本体6の内部の隔壁27を貫通し且つモータ26の回転をスラストファン8へ伝える回転伝達系28とによって構成されている。
【0012】
走行輪10は、装置本体6の内方に設置した水密構造のケーシング29の外部左右に同軸に且つ作業対象面5を転動し得るように枢支され、該ケーシング29によって、装置本体6内部のモータ26が配置されている個所の水密が保たれるようになっている。
【0013】
従動輪11は、装置本体6の後端部に装着したブラケット30に、支持座31を介して旋回し得るように枢支されている。
【0014】
走行駆動機構12は、ケーシング29の内部左右に装置本体6の幅方向を向くように配置され且つ駆動軸32がケーシング29の外部に突出したモータ33と、駆動軸32、走行輪10のそれぞれに同軸に取り付けたプーリ34,35と、両プーリ34,35に巻き掛けたベルト36とによって構成されている。
【0015】
また、ケーシング29において、駆動軸32が貫通している部分には、水密を保持するためのシール(図示せず)が設けられている。
【0016】
工具装着部13は、装置本体6の前端外部に固着され且つその幅方向へ延びるガイドレール37と、該ガイドレール37にリニア軸受を介して装着した幅方向移動ブラケット38と、該幅方向移動ブラケット38に固着され且つ装置本体6の高さ方向へ延びるガイドレール39と、該ガイドレール39にリニア軸受を介して装着した高さ方向移動ブラケット40と、移動ブラケット38,40の間に介在し且つ高さ方向移動ブラケット40を装置本体6の腹側へ向かって付勢するばね41とで構成されており、高さ方向移動ブラケット40には、後述する水中作業用工具51が装着されている。
【0017】
この工具装着部13は、工具移動機構42によって装置本体6の幅方向へ移動するようになっている。
【0018】
工具移動機構42は、装置本体6の前端左右に枢支した従動プーリ43,44と、装置本体6の前端中央に枢支した駆動プーリ45と、各プーリ43,44,45に巻き掛けられ且つ所定箇所に幅方向移動ブラケット38を係止した無端状ベルト46と、該無端状ベルト46に外接するように装置本体6の前端中央部近傍に枢支した張力付与プーリ47,48と、装置本体6の内方背側寄り部分の中央に配置したモータ49と、装置本体6の前端部を貫通し且つモータ49の回転を駆動プーリ45に伝える回転伝達系50とで構成され、モータ49の回転方向に応じて、工具装着部13が装置本体6の幅方向へ移動する。
【0019】
水中作業用工具51は、工具装着部13の高さ方向移動ブラケット40に締結した水密構造のケーシング52と、該ケーシング52に装着され且つ作業対象面5へ向かって突出する回転研掃部材53を保有する研掃工具54と、レンズ部55が作業対象面5に対峙し得るようにケーシング52に取り付けたカメラ56とで構成されている。
【0020】
更に、装置本体6の内部の腹側寄り部分には、該装置本体6の移動距離計測用の計測輪57を有するプラニメータ58が取り付けられている。
【0021】
これに加えて、ファン駆動機構9、走行駆動機構12、工具移動機構42のモータ26,33,49や研掃工具54、カメラ56に対する給電、並びにケーシング29,52内部への空気圧の付与は、装置本体6項端部に接続した多芯ケーブル59を介して行なわれるようになっている。
【0022】
以下、図3乃至図6に示す水中移動装置の作動について説明する。
【0023】
水中に存在している作業対象面5の研掃、及び目視検査を行なう際には、装置本体6の前端が下方を向くように、多芯ケーブル59によって、水中移動装置を水中に吊り下げる。
【0024】
次いで、ファン駆動機構9により双方のスラストファン8を正回転させると、装置本体6の腹側から背側へ噴出する水流が生じ、水中移動装置が装置本体6の腹側を進行方向前端として移動する。
【0025】
また、双方のスラストファン8を逆回転させると、装置本体6の背側から腹側へ噴出する水流が生じ、水中移動装置が装置本体6の背側を進行方向前端として移動する。
【0026】
更に、一方のスラストファン8を正回転させるとともに他方のスラストファン8を逆回転させると、各スラストファン8により生じる水流の方向の相違に起因して、水中移動装置が多芯ケーブル59を中心に旋回する。
【0027】
双方のスラストファン8が正回転した状態で、シールスカート7のシュー24が作業対象面5に当接すると、スラストファン8の回転によりシールスカート7の内方が減圧され、水中移動装置を作業対象面5に吸着させようとする力が発生し、これにより、走行輪10、従動輪11が作業対象面5に押し付けられ、多芯ケーブル59を繰り出しても、作業対象面5から水中移動装置が脱落しない状態になる。
【0028】
また、工具装着部13のばね41の反発力によって、回転研掃部材53が作業対象面5に押圧され、この状態で研掃工具54を作動させると、作業対象面5が研掃される。
【0029】
上述したように作業対象面5の研掃作業を行なうとき、あるいは、カメラ56によって作業対象面5の目視検査を行なうときには、工具移動機構42のモータ49を正逆回転させて、無端状ベルト46を介して研掃工具54及びカメラ56を装置本体6の幅方向へ適宜移動させる。
【0030】
水中移動装置が作業対象面5に吸着した状態で、走行駆動機構12により双方の走行輪10を正逆転させると、水中移動装置が装置本体6の工具移動機構42装着端を進行方向として作業対象面5を移動する。
【0031】
また、双方の走行輪10を逆回転させると、水中移動装置が装置本体6の従動輪11支持端を進行方向前端として作業対象面5を移動する。
【0032】
更に、一方の走行輪10を正回転させ且つ他方の走行輪10を逆回転させると、両走行輪10の回転方向の相違に起因して、水中移動装置が双方の走行輪10の中間点を中心として作業対象面5に吸着した状態で旋回する。
【0033】
このように、図3乃至図5に示す水中移動装置においては、装置本体6の腹側縁部全周にわたって無端状のシールスカート7を取り付けているので、スラストファン8だけで、水中移動装置を直立した作業対象面5に吸着させることが可能になり、研掃工具54による作業対象面5の研掃、カメラ56による作業対象面5の目視検査を行なえる。
【0034】
また、ファン駆動機構9及び走行駆動機構12を装置本体6に内装し、装置の小型化を図っているので、沸騰水型原子炉圧力容器内の燃料格子板や炉心支持板の開口部分を水中移動装置が通過することが可能になり、原子炉圧力容器の内底部付近に位置しているシュラウドサポートなどの構造物の研掃、目視検査を効率よく実施できる。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図3乃至図6に示す水中移動装置は、装置本体6にファン駆動機構9や走行駆動機構12が内装されているため、装置の見掛けの比重が大きくなり、水中を迅速に移動することが困難であった。
【0036】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、水中運動性能が高く且つ狭隘な開口部分を通過可能な水中移動装置を提供することを目的としている。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の水中移動装置では、水中で回転可能なスラストファンを有し且つ作業工具を支持する装置本体と、該装置本体に拡縮可能に取り付けた浮体と、該浮体内部に連通する給排気管路とを備え
前記浮体を、
一縁が装置本体外側面に枢支されて他縁が装置本体外側面に近接離反し得る耐圧板と、
一端が装置本体外側面に固着され且つ他端が耐圧板にそれぞれ気密に固着されて気室を形成する拡縮壁とで構成している。
【0038】
本発明の請求項2に記載の水中移動装置では、水中で回転可能なスラストファンを有し且つ作業工具を支持する装置本体と、該装置本体に拡縮可能に取り付けた浮体と、該浮体内部に連通する給排気管路とを備え
前記浮体を、
装置本体内方へ延びるアームを有する耐圧板と、
装置本体内部に設けられ且つ耐圧板が装置本体外側面に平行を保って近接離反し得るように前記アームをその軸線方向に摺動可能に案内するガイド機構と、
一端が装置本体外側面に固着され且つ他端が耐圧板にそれぞれ気密に固着されて気室を形成する拡縮壁とで構成している。
【0041】
本発明の請求項1、2に記載した水中移動装置のいずれにおいても、給排気管路から浮体内部へ気体を送給することにより浮体を拡大させて、装置の見掛けの比重を小さくし、水中浮力の増大を図る。
【0042】
また、浮体内部の気体を給排気管路から排気することにより浮体を縮小させて、装置の全体形状を小さくし、狭隘な開口部分の通過を可能にする。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。
【0044】
図1は本発明の水中移動装置の実施の形態の一例であり、図中、図3乃至図6と同一の符号を付したものは同一物を表している。
【0045】
この水中移動装置は、装置本体6の左右両側に拡縮可能に設けた浮体61と、各浮体61の内部に連通する給排気管路62とを備えている。
【0046】
浮体61は、耐圧板63と拡縮壁64とで構成されている。
【0047】
耐圧板63は、その一端縁部が、装置本体6の側面前端寄り部分に設けた装置本体6高さ方向へ延びるヒンジ65に枢支されており、当該ヒンジ65を中心として他端縁側が、装置本体6の側面に対して近接離反し得るようになっている。
【0048】
拡縮壁64は、断面が矩形状のベローズであって、一端部が装置本体6の側面に、また、他端部が耐圧板63にそれぞれ気密に固着され、拡縮壁64の内側面、装置本体6の側面、及び耐圧板63内側面により気室66を構成している。
【0049】
給排気管路62は、多芯ケーブル59と同軸に構成され、空気送給装置(図示せず)から各気室66内へ空気を供給し且つ当該気室66内の空気を外部へ排出するようになっている。
【0050】
図1に示す水中移動装置では、多芯ケーブル59によって水中移動装置を水中に吊り下げ、ファン駆動機構9によりスラストファン8を駆動して装置本体6を移動させるときに、空気送給装置から給排気管路62を介して浮体61へ空気を送給し、空気圧により耐圧板63を押圧して、拡縮壁64を拡張させる。
【0051】
これにより、気室66が拡大し、水中移動装置の見掛けの比重が小さくなって水中浮力の増大が図られる。
【0052】
また、水中移動装置が狭隘な開口部分を通過するときには、気室66内の空気を給排気管路62から外部へ排出して拡縮壁64を縮小させ、装置の全体形状を小さくする。
【0053】
このように、図1に示す水中移動装置においては、空気を送給することにより浮体61を拡大させ、装置の見掛けの比重を小さくして、水中浮力の増大を図るので、水中運動性能が向上する。
【0054】
また、空気を排出させて浮体61を縮小すると、装置の全体形状が小さくなるので、狭隘な開口部分の通過が可能となる。
【0055】
図2は本発明の水中移動装置の実施の形態の他の例であり、図中、図3乃至図6と同一の符号を付したものは同一物を表している。
【0056】
この水中移動装置は、装置本体6の左右両側に拡縮可能に設けた浮体67と、各浮体67の内部に連通する給排気管路62とを備えている。
【0057】
浮体67は、耐圧板68とガイド機構69と拡縮壁70とで構成されている。
【0058】
耐圧板68は、装置本体6の側面に対して平行に配置されており、耐圧板68の前端寄り部分及び後端寄り部分には、装置本体6の内方へ延び且つ後述のガイド機構69に案内されるアーム71が取り付られている。
【0059】
ガイド機構69は、アーム71をその軸線方向へ摺動可能に案内するように装置本体6の内部に設けられており、当該ガイド機構69によって耐圧板68は、装置本体6の外側面に対して平行を保ちつつ近接離反する。
【0060】
拡縮壁70は、断面が矩形状のベローズであって、一端部が装置本体6の側面に、また、他端部が耐圧板68にそれぞれ気密に固着され、拡縮壁70の内側面、装置本体6の側面、及び耐圧板68内側面により気室72を構成している。
【0061】
給排気管路62は、多芯ケーブル59と同軸に構成され、空気送給装置(図示せず)から各気室72内へ空気を供給し且つ当該気室72内の空気を外部へ排出するようになっている。
【0062】
図2に示す水中移動装置では、多芯ケーブル59によって水中移動装置を水中に吊り下げ、ファン駆動機構9によりスラストファン8を駆動して装置本体6を移動させるときに、空気送給装置から給排気管路62を介して浮体67へ空気を送給し、空気圧により耐圧板68を押圧して、拡縮壁70を拡張させる。
【0063】
これにより、気室72が拡大し、水中移動装置の見掛けの比重が小さくなって水中浮力の増大が図られる。
【0064】
また、狭隘な開口部分を通過するときには、気室72内の空気を給排気管路62から外部へ排出して拡縮壁70を縮小させ、装置の全体形状を小さくする。
【0065】
このように、図2に示す水中移動装置においては、空気を送給することにより浮体67を拡大させ、装置の見掛けの比重を小さくして、水中浮力の増大を図るので、水中運動性能が向上する。
【0066】
また、空気を排出させて浮体67を縮小すると、装置の全体形状が小さくなるので、狭隘な開口部分の通過が可能となる。
【0067】
なお、本発明の水中移動装置は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【0068】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1、2に記載の水中移動装置のいずれにおいても、下記のような優れた効果を奏し得る。
【0069】
(1) 給排気管路から浮体内部へ気体を送給することにより浮体を拡大させて、装置の見掛けの比重を小さくし、水中浮力の増大を図るので、水中運動性能が向上する。
【0070】
(2) また、浮体内部の気体を給排気管路から排気することにより浮体を縮小すると、装置の全体形状が小さくなるので、狭隘な開口部分を通過できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水中移動装置の実施の形態の一例を示す平面図である。
【図2】本発明の水中移動装置の実施の形態の他の例を示す平面図である。
【図3】従来の水中移動装置の一例を示す側面図である。
【図4】図3に関連する水中移動装置の平面図である。
【図5】図3に関連する水中移動装置のシールスカートの部分断面図である。
【図6】図3に関連する水中移動装置の工具移動機構の概念図である。
【符号の説明】
6 装置本体
8 スラストファン
54 研掃工具(作業工具)
61 浮体
62 給排気管路
63 耐圧板
64 拡縮壁
66 気室
67 浮体
68 耐圧板
69 ガイド機構
70 拡縮壁
71 アーム
72 気室

Claims (2)

  1. 水中で回転可能なスラストファンを有し且つ作業工具を支持する装置本体と、該装置本体に拡縮可能に取り付けた浮体と、該浮体内部に連通する給排気管路とを備え
    前記浮体を、
    一縁が装置本体外側面に枢支されて他縁が装置本体外側面に近接離反し得る耐圧板と、
    一端が装置本体外側面に固着され且つ他端が耐圧板にそれぞれ気密に固着されて気室を形成する拡縮壁とで構成したことを特徴とする水中移動装置。
  2. 水中で回転可能なスラストファンを有し且つ作業工具を支持する装置本体と、該装置本体に拡縮可能に取り付けた浮体と、該浮体内部に連通する給排気管路とを備え
    前記浮体を、
    装置本体内方へ延びるアームを有する耐圧板と、
    装置本体内部に設けられ且つ耐圧板が装置本体外側面に平行を保って近接離反し得るように前記アームをその軸線方向に摺動可能に案内するガイド機構と、
    一端が装置本体外側面に固着され且つ他端が耐圧板にそれぞれ気密に固着されて気室を形成する拡縮壁とで構成したことを特徴とする水中移動装置。
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